まず、本発明の一実施形態に係る可動役物100を備える遊技機1の全体構成について、図1を用いて説明する。
なお、以下の説明において、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、遊技機1の前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側を遊技機1の左側とし、右手側を遊技機1の右側として、遊技機1の左右方向を規定する。
遊技機1には、機体の外郭を成す外枠2が設けられる。外枠2は、前後面が開口される略四角筒状の枠体である。外枠2は、パチンコホール等の遊技場に設けられる台島に設置される。外枠2の前側の開口部には、略四角形状の枠体である中枠3が、ヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠3には、後述する遊技盤4が着脱自在に取り付けられる。なお、遊技盤4には、遊技球が転動する遊技領域7が形成されている(図2参照)。さらに、中枠3には、略平板状の枠体である窓枠5と、下皿ユニット6とが、ヒンジ等の軸支部材を介してそれぞれ回動可能に支持される。
窓枠5には、窓枠開口部8が設けられる。窓枠開口部8は、正面視で略円形状であって、窓枠5を前後方向に貫通して形成される。窓枠開口部8は、窓枠5の略中央に配置される。窓枠開口部8には、透明板9が被覆される。そして、窓枠開口部8から透明板9を通じて、遊技盤4の遊技領域7が視認可能となるように構成される。また、窓枠5には、発射前の遊技球が貯溜される上皿10が設けられる。上皿10は、窓枠開口部8の下方に配置される。また、窓枠5には、スピーカ11が設けられる。スピーカ11は、窓枠開口部8の左右上方にそれぞれ配置される。
下皿ユニット6は、窓枠5の下方に配置される。下皿ユニット6には、上皿10から溢れた遊技球が貯溜される下皿12が設けられる。下皿12は、下皿ユニット6の略中央に配置される。また、下皿ユニット6には、窓枠5の上皿10に貯溜された遊技球を遊技領域7へ向けて発射可能に構成される発射ハンドル13が設けられる。発射ハンドル13は、図示せぬ遊技球発射装置に連結され、下皿12の右側方に配置される。
次に、遊技盤4の構成について、図2を用いてさらに詳細に説明する。
遊技盤4は、基体21と、図柄表示手段22と、ガイドレール23と、一般入賞口24と、大入賞装置25と、可変入賞装置26と、アウト口27とを備える。
基体21は、遊技盤4の主たる構造体を成す部材である。基体21は、略平板状の部材により形成される。基体21には、遊技盤4の各構成部材が取り付けられる。また、基体21には、図柄表示手段22を取り付けるための図柄表示開口部31が設けられる。図柄表示開口部31は、正面視で略矩形状であって、基体21を前後方向に貫通して形成される。図柄表示開口部31は、基体21の略中央に配置される。
図柄表示手段22は、遊技機1における遊技の演出上の図柄や数字を変動表示する液晶画面32を備える装置である。図柄表示手段22は、液晶画面32を前方へ向けた状態で、基体21の後面側に取り付けられる。液晶画面32は、基体21の図柄表示開口部31を通じて前方を臨んで、前方から視認可能となるように構成される。また、液晶画面32は、基体21よりも若干後方に配置されて、基体21と液晶画面32との間には隙間が形成される。この隙間には、後述する可動役物100が配設される。
ガイドレール23は、外ガイドレール33aと、内ガイドレール33bとを備える。外ガイドレール33aおよび内ガイドレール33bは、金属製の帯状の部材であり、正面視で略円弧状に形成される。外ガイドレール33aおよび内ガイドレール33bは、短手方向を前後方向として基体21の前面側から前方へ突出される。外ガイドレール33aは、基体21の左側および上側の外周を周回するように配置される。内ガイドレール33bは、外ガイドレール33aよりも基体21の内側であって、基体21の左側および下側の外周を周回するように配置される。
なお、基体21の略中央における、外ガイドレール33aと内ガイドレール33bとにより略円形状に区画形成された領域が、遊技領域7とされる。また、基体21の左側における、外ガイドレール33aと内ガイドレール33bとの間に区画形成された領域が、発射通路34とされる。そして、発射ハンドル13の回動操作に応じて前記遊技球発射装置により発射された遊技球が、発射通路34を通過して遊技領域7へ放出されるように構成される。
一般入賞口24は上面が開口するポケット状に形成されて、遊技球を入賞可能とする部材である。一般入賞口24に遊技球が入賞すると、図示せぬ賞球払出装置によって所定数の賞球(遊技球)が払い出される。一般入賞口24は、基体21の遊技領域7の下部に複数個が配置される。
大入賞装置25は、大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口35を開放して遊技球を入賞可能とする装置である。大入賞口35に遊技球が入賞すると、前記賞球払出装置によって所定数の賞球(遊技球)が払い出される。大入賞装置25は、大入賞口35や、図示せぬ駆動手段および駆動伝達部等を備える。大入賞装置25は、基体21の遊技領域7の略中央下部に配置される。
可変入賞装置26は、予め設定された作動条件を満たすと、左右一対の可動片の動作に応じて、可変入賞口36を入賞可能な開放状態または入賞不能な閉鎖状態に切り替える装置である。可変入賞口36に遊技球が入賞すると、前記賞球払出装置によって所定数の賞球(遊技球)を払い出されると共に、図示せぬ抽選装置によって大当たり抽選が開始される。可変入賞装置26は、基体21の遊技領域7の略中央であって、図柄表示開口部31の下方に配置される。
アウト口27は、発射通路34を通過して遊技領域7へ放出された遊技球が、一般入賞口24や大入賞口35等の各入賞口に入賞しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口27に流入した遊技球は、パチンコホール等の遊技場側に回収される。アウト口27は、基体21を前後方向に貫通して形成される。アウト口27は、基体21の遊技領域7の最下端に配置される。
次に、可動役物100の構成について、図3から図7を用いて説明する。
可動役物100は、所定の場合に駆動され、当該駆動による外観上の変化により遊技者に視覚的な印象(インパクト)を与えるためのものである。可動役物100は、ロゴ等の形状を模して装飾された部材と、この部材を駆動(移動)させる機構とにより構成される。具体的には、可動役物100は、装飾役物本体110と、動力伝達機構150と、連結機構160とにより構成される。
装飾役物本体110は、それぞれ別体の部材である第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とがそれぞれ所定位置に配置されて、ひとまとまりの部材としての一体感を有するように装飾されて構成される部材である。装飾役物本体110の前面側、つまり遊技機1の遊技において遊技者が視認する側には、絵柄や模様等の装飾が施される。本実施形態において、装飾役物本体110の前面側には、英文字の「XYZ」のロゴが、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを左右に跨いだ状態に施される。装飾役物本体110は、図柄表示手段22の液晶画面32の近傍に配置されて(図7参照)、遊技機1の遊技における所定の条件に応じ、所定方向へ往復動自在に移動するように構成される。
第一装飾役物部111は、略矩形状に形成される平板状の部材である。第一装飾役物部111は、概ねその長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向として、装飾役物本体110の略左側半分となる位置に配置される。第一装飾役物部111の右端側は、垂直方向に対して右側方へ傾斜した状態に形成される。すなわち、第一装飾役物部111の右側辺は、上方へ向かうにつれて右側方へ傾斜している。また、第一装飾役物部111の前面側には、装飾役物本体110の前面側に施される英文字の「XYZ」のロゴのうち、英文字の「X」のロゴと、英文字の「Y」のロゴの略左側半分と、が施される。第一装飾役物部111は、第一支持部材112により支持される。
第一支持部材112は、略矩形状に形成される平板状の部材である。第一支持部材112は、概ねその長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向として、第一装飾役物部111の左側方に配置される。第一支持部材112は、その長手方向の右端側が第一装飾役物部111に固着され、その長手方向の左端側が後述するスライドレール部151のスライド体156に固着される。第一支持部材112は、スライド体156を介して所定方向へ往復動自在に移動(昇降)するように構成される。
このような構成により、第一装飾役物部111は、その一端側(左端側)が第一支持部材112により固定端とされ、他端側(右端側)が自由端とされることにより、第一支持部材112により片持ち支持される。そして、第一装飾役物部111は、図5に示すように、平面視で遊技盤4の基体21の後方であって、かつ図柄表示手段22の液晶画面32の前方に配置される。また、第一装飾役物部111は、第一支持部材112を介して所定方向へ往復動自在に移動(昇降)するように構成される。
第二装飾役物部113は、略矩形状に形成される平板状の部材である。第二装飾役物部113は、概ねその長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向として、装飾役物本体110の略右側半分となる位置に配置される。第二装飾役物部113の左端側は、垂直方向に対して右側方へ傾斜した状態に形成される。すなわち、第二装飾役物部113の左側辺は、上方へ向かうにつれて右側方へ傾斜している。また、第二装飾役物部113の前面側には、装飾役物本体110の前面側に施される英文字の「XYZ」のロゴのうち、英文字の「Y」のロゴの略右側半分と、英文字の「Z」のロゴと、が施される。第二装飾役物部113は、第二支持部材114により支持される。
第二支持部材114は、略矩形状に形成される平板状の部材である。第二支持部材114は、概ねその長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向として、第二装飾役物部113の右側方に配置される。第二支持部材114は、その長手方向の右端側が、後述するスライドレール部151のスライド体156に固着され、その長手方向の左端側が第二装飾役物部113に固着される。第二支持部材114は、スライド体156を介して所定方向へ往復動自在に移動(昇降)するように構成される。
このような構成により、第二装飾役物部113は、その一端側(右端側)が第二支持部材114により固定端とされ、他端側(左端側)が自由端とされることにより、第二支持部材114により片持ち支持される。そして、第二装飾役物部113は、図5に示すように、平面視で遊技盤4の基体21の後方であって、かつ図柄表示手段22の液晶画面32の前方に配置される。また、第二装飾役物部113は、第一支持部材112を介して所定方向へ往復動自在に移動(昇降)するように構成される。
次に、装飾役物本体110を構成している第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との配置構成について、図3から図5を用いてさらに詳細に説明する。
第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との配置構成においては、第二装飾役物部113が、第一装飾役物部111の右側方で、当該第一装飾役物部111の一側である右端側に対向して当接するように配置されて、当該第一装飾役物部111と左右に連なった状態となる。
具体的には、第一装飾役物部111の右側辺の垂直方向に対する右側方への傾斜角度と、第二装飾役物部113の左側辺の垂直方向に対する右側方への傾斜角度とは、同一角度(以下、「傾斜角度α」と称する。)となるように設定される。つまり、第一装飾役物部111の右側辺と第二装飾役物部113の左側辺とは、相互に平行となるように設定される。その上で、第一装飾役物部111の右側辺と第二装飾役物部113の左側辺とを相互に摺動自在に当接し、第一装飾役物部111の右側辺の上端部および下端部と、第二装飾役物部113の左側辺の上端部および下端部とを上下方向に(ガタが生じないように)位置を合わせて配置される。また、第一装飾役物部111の右側辺の前面側と、第二装飾役物部113の左側辺の前面側とを前後方向に(ガタが生じないように)位置を合わせて配置される。
また、このような第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との配置構成において、第一装飾役物部111の前面側に施される英文字の「Y」のロゴの略左側半分と、第二装飾役物部113の前面側に施される英文字の「Y」のロゴの略右側半分とが、左右に連なった状態となり、正面視で英文字の「Y」のロゴが形成される。つまり、第一装飾役物部111の前面側に施される英文字の「X」のロゴおよび英文字の「Y」のロゴの略左側半分と、第二装飾役物部113の前面側に施される英文字の「Y」のロゴの略右側半分および英文字の「Z」のロゴと、が左右に連なった状態となり、正面視で英文字の「XYZ」のロゴが形成される。そして、この英文字の「XYZ」のロゴにより、装飾役物本体110は、ひとまとまりの役物として一体感を有するように装飾される。
このように装飾役物本体110は、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との配置構成と、英文字の「XYZ」のロゴにより、全体としてひとまとまりの装飾された役物(装飾役物)として一体感を有するように、遊技者に視覚的な印象を与えることができる。
次に、動力伝達機構150の構成について、図3から図7を用いて説明する。
動力伝達機構150は、駆動源からの動力を伝達し、第二装飾役物部113と第一装飾役物部111とをそれぞれ往復動自在に移動(昇降)させるためのものである。動力伝達機構150は、図6に示すように、スライドレール部151と、昇降装置152とにより構成される。
スライドレール部151は、スライドレール155と、スライド体156とにより構成される。
スライドレール155は、細長い略棒状の部材である。本実施形態においては、図5に示すように、二つのスライドレール155が設けられ、基体21の後方であって、正面視で図柄表示手段22の液晶画面32を中央に挟んだ左右両側にそれぞれ配置される。なお、以下の説明において、左側に配置されるスライドレール155を左スライドレール155a、右側に配置されるスライドレール155を右スライドレール155bと称する。
左右のスライドレール155a・155bは、図3に示すように、その長手方向を右斜め方向、つまり上方へ向かうにつれて垂直方向に対して右側方へ傾斜した状態で配置される。なお、左右のスライドレール155a・155bの傾斜角度は、第一装飾役物部111の右側辺および第二装飾役物部113の左側辺の傾斜角度と同一、つまり傾斜角度αとなるように設定される。また、左右のスライドレール155a・155bの上端部は、基体21の図柄表示開口部31の下縁部よりも上方に位置し、左右のスライドレール155a・155bの下端部は、基体21の図柄表示開口部31の下縁部よりも下方に位置するようにそれぞれ設定される(図7参照)。
スライド体156は、図3に示すように、左右のスライドレール155a・155bに対してそれぞれ摺動可能に嵌め込まれる部材である。各スライド体156は、左右のスライドレール155a・155bの長手方向に沿って往復動自在に摺動される。具体的には、左右のスライドレール155a・155bは、垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した状態で配置されるので、各スライド体156は、垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に往復動自在に摺動される。なお、以下の説明において、左スライドレール155aに嵌め込まれるスライド体156を左スライド体156a、右スライドレール155bに嵌め込まれるスライド体156を右スライド体156bと称する。
左スライド体156aは、前述したように、第一装飾役物部111を片持ち支持する第一支持部材112に固着される。したがって、左スライド体156aが左スライドレール155aの長手方向に沿って摺動すれば、第一装飾役物部111が第一支持部材112を介して当該左スライドレール155aの長手方向、つまり垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に往復動自在に移動(昇降)する。
右スライド体156bは、前述したように、第二装飾役物部113を片持ち支持する第二支持部材114に固着される。したがって、右スライド体156bが右スライドレール155bの長手方向に沿って摺動すれば、第二装飾役物部113が第二支持部材114を介して当該右スライドレール155bの長手方向、つまり垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に往復動自在に移動(昇降)する。
昇降装置152は、図6に示すように、モータ157や、図示せぬギヤ等を内蔵し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とをそれぞれ往復動自在に移動(昇降)させる装置である。モータ157は、本発明に係る「駆動源」の実施の一形態であり、供給される電力により回転駆動するものである。本実施形態においては、二つのモータ157が設けられ、左右のスライドレール155a・155bよりも上方にそれぞれ配置される。なお、以下の説明において、左スライドレール155aの上方に配置されるモータ157を左モータ157a、右スライドレール155bの上方に配置されるモータ157を右モータ157bと称する。
左右のモータ157a・157bの回転駆動により発生した動力は、図示せぬギヤ機構を介して吊り上げ部材158・158にそれぞれ伝達される。吊り上げ部材158・158は、ワイヤ等の可撓性を有する線材である。吊り上げ部材158・158には、その下端部に、左右のスライドレール155a・155bに摺動可能に嵌めこまれた左右のスライド体156a・156bがそれぞれ固着される。
このような構成により、第一装飾役物部111および第二装飾役物部113を上昇させる場合、昇降装置152の左右のモータ157a・157bの動力は、図示せぬギヤ等を介して吊り上げ部材158・158に伝達される。そして、吊り上げ部材158・158により左右のスライド体156a・156bがそれぞれ左右のスライドレール155a・155bの長手方向に沿って上方へ摺動される。つまり、昇降装置152は、左スライド体156aに固着される第一支持部材112、および右スライド体156bに固着される第二支持部材114を介して、第一装飾役物部111および第二装飾役物部113を上昇させることができる。
他方、第一装飾役物部111および第二装飾役物部113を下降させる場合、昇降装置152の左右のモータ157a・157bの動力を吊り上げ部材158・158に伝達しなければ、左右のスライド体156a・156bは、自重により左右のスライドレール155a・155bの長手方向に沿って下方へ摺動される。つまり、昇降装置152は、左スライド体156aに固着される第一支持部材112、および右スライド体156bに固着される第二支持部材114を介して、第一装飾役物部111および第二装飾役物部113を下降させることができる。
次に、連結機構160の構成について、図4および図5を用いて説明する。
連結機構160は、本発明に係る「連結機構」の実施の一形態である。連結機構160は、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを摺動自在に連結して、第一装飾役物部111が所定方向とは異なる方向へ移動することを規制するものである。具体的には、連結機構160は、連結アーム161と、回動軸162と、ガイド軸163とにより構成される。なお、本実施形態において前記「所定方向」とは、後述する第一装飾役物部111の移動方向である。すなわち前記「所定方向」とは、(役物演出位置P1と役物収納位置P2との間を)垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に移動する方向のことを指すものとする。
連結アーム161は、細長い矩形状に形成された平板状の部材である。連結アーム161の長手方向の長さは、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを合わせた左右方向の長さよりも短く設定される。連結アーム161は、ガイド孔164と、回動孔165とを備える。
ガイド孔164は、連結アーム161の長手方向の略中央から一端側にかけて、当該連結アーム161の板面が矩形状または長円形状に貫通されて形成される。
回動孔165は、連結アーム161の他端側に、当該連結アーム161の板面が略円形状に貫通されて形成される。
連結アーム161は、第一装飾役物部111および第二装飾役物部113の後面に、当該連結アーム161の長手方向を概ね左右方向とし、短手方向を概ね上下方向として、回動孔165を第二装飾役物部113側に配置し、ガイド孔164を第一装飾役物部111側に配置して、すなわち当該第一装飾役物部111と当該第二装飾役物部113とを左右に跨いだ状態に配置される。
回動軸162は、連結アーム161を、当該連結アーム161の回動孔165を介して第二装飾役物部113に回動自在に軸支する部材である。本実施形態において、回動軸162は、ネジ等の円柱状の部材により構成される。回動軸162は、後方から連結アーム161の回動孔165に挿通される。そして、回動軸162は、当該回動軸162の後端部と第二装飾役物部113の後面との間に、連結アーム161を適度に挟持した状態で、軸心方向を前後方向として当該第二装飾役物部113の後面に固着される。なお、前記「適度に挟持した状態」とは、回動軸162によって、連結アーム161の前面が第二装飾役物部113の後面に摺動自在に当接されている状態を言う。
このような構成により、連結アーム161は、回動軸162を中心として左右回りに回動することができる。また、連結アーム161の前面と第二装飾役物部113の後面とが当接している。したがって、連結アーム161は、第二装飾役物部113に対して左右回りに回動自在であるが、それ以外の方向、つまり回動軸162を中心とした前後方向へガタが生じることを防止することができる。
ガイド軸163は、連結アーム161のガイド孔164に挿通された状態で第一装飾役物部111に取り付けられ、ガイド孔164を介して、当該連結アーム161の左右回りの回動を案内する部材である。本実施形態において、ガイド軸163は、ボルト等の円柱状の部材により構成される。ガイド軸163は、後方から連結アーム161のガイド孔164に挿通され、当該連結アーム161に係合される。そして、ガイド軸163は、当該ガイド軸163の後端部と第一装飾役物部111の後面との間に、連結アーム161を適度に挟持した状態で、軸心方向を前後方向として第一装飾役物部111の後面に固着される。また、ガイド軸163は、連結アーム161が、その長手方向を左右方向として配置される状態(第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態)で、正面視でガイド孔164内の右側端部に配置される。なお、前記「適度に挟持した状態」とは、ガイド軸163が連結アーム161のガイド孔164内をその長手方向に沿って摺動自在であって、かつ連結アーム161の前面が第一装飾役物部111の後面に摺動自在に当接されている状態を言う。
このような構成により、連結アーム161は、当該連結アーム161のガイド孔164内に挿通されたガイド軸163を、当該ガイド孔164内の長手方向に沿って摺動させることができる。また、連結アーム161の前面と第一装飾役物部111の後面とが当接している。したがって、連結アーム161は、第一装飾役物部111に対して摺動自在であるが、それ(摺動する方向)以外の方向、つまりガイド軸163を中心とした前後方向へガタが生じることを防止することができる。
以上のような連結機構160の構成により、連結アーム161に、第二装飾役物部113に対して前後方向にガタが生じることを防止すると共に、第一装飾役物部111に対して前後方向にガタが生じることを防止している。換言すれば、このような連結機構160の構成により、第一装飾役物部111が、第二装飾役物部113に対して、前記所定方向とは異なる方向の一方向である前後方向に移動することを規制する。つまり、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係が変化し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接部分に段差や隙間が生じることを防止することができる。その結果、装飾役物本体110のひとまとまりの状態としての一体感が損なわれることを防止することができる。
なお、本実施形態においては、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とは、それぞれ第一支持部材112と第二支持部材114とにより第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが当接する側を自由端として片持ち支持されている。したがって、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とは、その当接する側(つまり、第一装飾役物部111の右端側と第二装飾役物部113の左端側)の相互の位置関係が前後方向に変化しやすい構成となっている。これに対して、本発明に係る可動役物100においては、片持ち支持されていても、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113に対して、前後方向にガタが生じることを防止し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係、特に第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接する側の位置関係が前後方向に変化することを防止することができるという優れた効果を奏するものである。
また、特に本実施形態においては、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを左右に跨いだ状態に英文字の「XYZ」のロゴが施されている。英文字の「Y」のロゴに対して相互の位置関係が前後方向に変化した(ガタが生じた)場合には、そのガタは目立ち易い(遊技者が視認して認識しやすい)ため、本発明に係る可動役物100における効果が、特に優れた効果を奏するものである。
次に、可動役物100の動作態様について、図5、図7および図8を用いて説明する。
可動役物100においては、装飾役物本体110の移動について、主に二つの動作態様を有する。具体的には、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とにより構成される装飾役物本体110が、左右に連なった状態のまま、所定方向へ往復動自在に移動(昇降)する動作態様(以下、「通常動作態様」と称する。)と、装飾役物本体110が分割されて、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113に対して相対的に所定方向へ往復動自在に移動(昇降)する動作態様(以下、「分割動作態様」と称する。)とである。
まず、装飾役物本体110の移動における通常動作態様について説明する。
通常動作態様においては、装飾役物本体110は、図7に示すように、正面視で基体21の図柄表示開口部31の下縁部よりも若干下方の位置が、最下部の配置位置(以下、「役物収納位置P2」と称する。)となる。この役物収納位置P2に配置されている装飾役物本体110は、図5および図7に示すように、基体21の後方であって、かつ図柄表示開口部31の下縁部よりも下方に配置されて、遊技者が図柄表示開口部31を通じて視認することができないように構成される。つまり、装飾役物本体110は、遊技機1の遊技における演出に用いられない場合に、この役物収納位置P2に配置される。
また、装飾役物本体110は、図7に示すように、正面視で基体21の図柄表示開口部31の上下略中央の位置が、最上部の配置位置(以下、「役物演出位置P1」と称する。)となる。この役物演出位置P1に配置されている装飾役物本体110は、図5および図7に示すように、基体21の後方であるが、正面視で図柄表示開口部31の後方に配置されて、遊技者が図柄表示開口部31を通じて視認することができるように構成される。つまり、装飾役物本体110は、遊技機1の遊技における演出に用いられる場合に、この役物演出位置P1に配置される。
なお、役物演出位置P1に配置されている装飾役物本体110は、正面視で図柄表示手段22の液晶画面32の前方に配置されるので、この液晶画面32に表示される図柄や数字の変動等と共に昇降して、遊技機1の遊技における演出の効果を高めることができる。
そして、この通常動作態様においては、装飾役物本体110が、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態のまま、役物収納位置P2と役物演出位置P1との間を、昇降装置152によって遊技機1の遊技における所定の条件に応じて往復動自在に移動するように構成される。なお、役物収納位置P2と役物演出位置P1との間の移動方向は、前記所定方向、つまり垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向となる。
なお、この通常動作態様においては、装飾役物本体110が、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態のまま、役物収納位置P2と役物演出位置P1との間を往復動自在に移動するので、装飾役物本体110を構成している第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係は変化しない。したがって、装飾役物本体110の裏面、つまり第一装飾役物部111および第二装飾役物部113の裏面に配置され、当該第一装飾役物部111と当該第二装飾役物部113とを連結している連結アーム161は、概ねその長手方向を左右方向として配置されたままである(左右回りに回動しない)。
次に、装飾役物本体110の移動における分割動作態様について説明する。
分割動作態様においては、装飾役物本体110が、図8に示すように、役物演出位置P1に配置されている状態において、当該装飾役物本体110が分割され、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111が下降する。つまり、分割動作態様とは、第一装飾役物部111を、第二装飾役物部113から離間する方向へ移動して第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係を変化させるものである。
また、分割動作態様においては、その後に第一装飾役物部111が上昇し、再び役物演出位置P1に配置されて、役物演出位置P1において第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態となり、全体としてひとまとまりの装飾役物である装飾役物本体110が形成されるように構成される。
具体的には、昇降装置152の右モータ157bによって右スライド体156bを上昇させたまま、昇降装置152の左モータ157aによって左スライド体156aを左スライドレール155aの長手方向に沿って下方へ摺動させる。その結果、第二装飾役物部113が静止した状態で、第一装飾役物部111が、左スライド体156aに固着された第一支持部材112を介して当該第二装飾役物部113から離間する方向に下降する。
また、その後に昇降装置152の左モータ157aによって左スライド体156aを左スライドレール155aの長手方向に沿って上方へ摺動させる。その結果、第二装飾役物部113が静止した状態で、第一装飾役物部111が、左スライド体156aに固着された第一支持部材112を介して当該第二装飾役物部113に近接する方向へ上昇する。そして、第一装飾役物部111が役物演出位置P1に到達すると、第一装飾役物部111の上昇が停止し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態となり、装飾役物本体110が全体としてひとまとまりの一体感を有することとなる。
このような構成により、可動役物100は、装飾役物本体110が、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態、つまり全体としてひとまとまりの一体感を有した状態で上昇または下降という二つの動作を選択的に組み合わせて可動するだけではなく、第一装飾役物部111が、第二装飾役物部113に対して相対的に下降するという動作を加えて、これらを選択的に組み合わせて可動する構成とすることができる。
つまり、第一装飾役物部111が、第二装飾役物部113に対して相対的に下降した場合には、全体としてひとまとまりの装飾役物である装飾役物本体110が分割され、その分割された左側半分だけが下方へ落下したような視覚的な印象(インパクト)を遊技者に与えることができる。その結果、遊技機1の遊技における演出の効果を高めることができる。
特に、本実施形態において、装飾役物本体110にて第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを左右に跨いだ状態に英文字の「XYZ」のロゴが施される。したがって、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111が下降すると、英文字の「XYZ」のロゴのうち、英文字の「Y」のロゴが分割され、その英文字の「Y」のロゴの左側半分が下方へ落下したような視覚的な印象を遊技者に与えて、遊技機1の遊技における演出の効果をさらに高めることができる。
ここで、第一装飾役物部111が下降する方向は、当該第一装飾役物部111を、第一支持部材112を介して支持している左スライド体156aの下方への摺動方向と同一である。すなわち、左スライド体156aは、左スライドレール155aの長手方向、つまり垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した下方向に摺動するので、第一装飾役物部111も垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に下降する。これに対して、第一装飾役物部111の右側辺および第二装飾役物部113の左側辺は、第一装飾役物部111が下降する方向と同一方向、つまり垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に沿って形成されている。
このような構成により、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111が下降する場合には、第一装飾役物部111は、その右側辺が第二装飾役物部113の左側辺に摺動しながら下降することとなる。換言すれば、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111が下降する場合には、第一装飾役物部111は、その右側辺が第二装飾役物部113の左側辺から左右方向に離間しながら下降したり、その右側辺が第二装飾役物部113の左側辺を押圧しながら下降したりすることがなく、円滑に下降することができる。
その結果、装飾役物本体110は、あたかも鋭利な刃物により切断されて、その切断面により第一装飾役物部111が第二装飾役物部113から分割されて滑り落ちるという視覚的な印象を、遊技者に与えることができる。その結果、遊技機1の遊技における演出の効果を高めることができる。
なお、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111が下降する場合には、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係が変化する。したがって、第一装飾役物部111および当該第二装飾役物部113の裏面に配置され、当該第一装飾役物部111と当該第二装飾役物部113とを連結している連結アーム161は、当該第一装飾役物部111の下降に合わせて回動することとなる。
なお、本実施形態において、装飾役物本体110の移動における分割動作態様は、装飾役物本体110が役物演出位置P1に配置されている状態において、第一装飾役物部111が下降するものであるが、これに限定するものではない。すなわち、役物演出位置P1以外の配置位置で、第一装飾役物部111が下降または上昇するものであってもよい。
また、本実施形態において、装飾役物本体110の移動における分割動作態様は、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113に対して相対的に下降するものであるが、これに限定するものではない。すなわち、第二装飾役物部113が第一装飾役物部111に対して相対的に下降または上昇するものであってもよい。
次に、装飾役物本体110の移動における分割動作態様において、連結アーム161の動作態様について、図9から図12を用いて説明する。
まず、可動役物100は、装飾役物本体110が役物演出位置P1に配置されている状態において、第一装飾役物部111が下降すると(図7および図8参照)、当該第一装飾役物部111の裏面に固着されたガイド軸163が下降する。そして、ガイド軸163に係合されている連結アーム161が、回動軸162を中心として左回り(正面視で反時計回り)に回動する。またこの際に、図10に示すように、第二装飾役物部113に固着された回動軸162と第一装飾役物部111に固着されたガイド軸163との間隔が離れる(直線距離が長くなる)ため、連結アーム161のガイド孔164内の右端に挿通されていたガイド軸163は、第一装飾役物部111の下降と共にガイド孔164内の左側へ移動することとなる。そして、図11に示すように、ガイド軸163が、連結アーム161のガイド孔164内の左端に到達した場合、つまりガイド孔164内の左端から回動軸162までの距離と、ガイド軸163から回動軸162までの距離とが同一となった場合には、ガイド軸163の下降は、ガイド軸163が連結アーム161のガイド孔164内の左端に干渉することにより規制されて、ひいては第一装飾役物部111の下降が終了する。
このような構成により、可動役物100は、連結アーム161によりガイド軸163の下降を規制することによって、第一装飾役物部111の下降が終了する構成とすることができる。したがって、可動役物100は、予め連結アーム161(または、ガイド孔164)の長手方向の長さを調整することにより、第一装飾役物部111の下降が終了する位置を設定することができる。換言すれば、連結機構160(さらに詳細には、連結アーム161)により、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113から相互に離間する方向へ最大限に移動した位置を予め設定して、第一装飾役物部111がこの最大限に移動した位置を越えて移動することを規制することができる。よって、可動役物100は、例えば昇降装置152の左モータ157aが故障したり、吊り上げ部材158が切断されたりした場合であっても、第一装飾役物部111がその下降が終了した位置からさらに(意図せずに)下降し、遊技機1の他の部材と接触して破損すること等の不都合を防止することができる。
次に、第一装飾役物部111が役物演出位置P1に再び配置されるために上昇すると、当該第一装飾役物部111の裏面に固着されたガイド軸163が上昇する。そして、ガイド軸163に係合されている連結アーム161が、回動軸162を中心として右回り(正面視で時計回り)に回動する。またこの際に、第二装飾役物部113に固着された回動軸162と第一装飾役物部111に固着されたガイド軸163との間隔が近接する(直線距離が短くなる)ため、連結アーム161のガイド孔164内の左端に挿通されていたガイド軸163は、第一装飾役物部111の上昇と共にガイド孔164内の右側へ移動することとなる。そして、ガイド軸163が、ガイド孔164内の右端に到達した場合、つまり、ガイド孔164内の右端から回動軸162までの距離が、ガイド軸163から回動軸162までの距離と同一となった場合には、ガイド軸163の上昇は、ガイド軸163が連結アーム161のガイド孔164内の右端に干渉することにより規制されて、ひいては第二装飾役物部113の上昇が終了する。
このような構成により、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113に対して相対的に上昇または下降する場合に、連結機構160(さらに詳細には、連結アーム161)によって、上昇が終了する位置(役物演出位置P1)、または下降が終了する位置(つまり、予め設定された、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113から相互に離間する方向へ最大限に移動した位置)、に当該第一装飾役物部111を確実に停止させて配置することができる。
したがって、可動役物100において、装飾役物本体110は、第一装飾役物部111が往復動自在に移動(昇降)を繰り返した場合であっても、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態であれば、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係が変化せず、装飾役物本体110のひとまとまりの状態としての一体感が損なわれることを防止することができる。
また、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態である場合と同様に、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113に対して相対的に上昇または下降する場合であっても、連結アーム161は、第二装飾役物部113に対して前後方向にガタが生じることを防止すると共に、第一装飾役物部111に対して前後方向にガタが生じることを防止している。換言すれば、このような連結機構160の構成により、第一装飾役物部111が、第二装飾役物部113に対して、前記所定方向とは異なる方向の一方向である前後方向に移動することを規制する。つまり、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係が変化し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接部分に段差や隙間が生じることを防止することができる。その結果、装飾役物本体110のひとまとまりの状態としての一体感が損なわれることを防止することができる。
また、装飾役物本体110において、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111が往復動自在に移動(昇降)することによって、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係が変化せず、第一装飾役物部111の右側辺と第二装飾役物部113の左側辺との相対的な配置位置が当初の配置位置から変化することがない。よって、例えば第一装飾役物部111の右側辺の配置場所や傾斜角度が変化することによって、第一装飾役物部111が昇降する場合に、その第一装飾役物部111の右側辺が第二装飾役物部113の左側辺を押圧しながら昇降する等の不都合がない。つまり、可動役物100は、装飾役物本体110において、第二装飾役物部113が静止している状態で第一装飾役物部111の昇降を円滑に行なうことができる。
また、可動役物100は、予め連結機構160を設定することにより、図9および図11に示すように、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111の下降が終了した場合(第一装飾役物部111が第二装飾役物部113から相互に離間する方向へ最大限に移動した位置に到達した場合)であっても、第一装飾役物部111の右上端部と、第二装飾役物部113の左下端部とが相互に当接した状態となるように構成できる。つまり、可動役物100は、第一装飾役物部111の下降が終了した場合であっても、第一装飾役物部111が、第二装飾役物部113から上下および左右方向に離間されて、当該第一装飾役物部111と当該第二装飾役物部113との間に隙間が生じる(当接状態が解除される)ことがない。
このような構成により、可動役物100は、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111の下降が終了した後に、第一装飾役物部111を再び役物演出位置P1に上昇する際に生じる不都合を防止することができる。具体的には、第一装飾役物部111の下降が終了した際に、第一装飾役物部111の右上端部が第二装飾役物部113の左下端部よりも下方に位置し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接状態が解除された場合、つまり第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との間に隙間が生じた場合には、第一支持部材112により左側方から片持ち支持される第一装飾役物部111が、自らの自重により自由端側(右端側)を下方へ弛ませることがある。そして、この右端側が下方へ弛んだ状態の第一装飾役物部111を上昇させ、再び役物演出位置P1に配置する場合に、第一装飾役物部111の右上端部が第二装飾役物部113の左下端部に干渉して、第一装飾役物部111の上昇、つまり第一装飾役物部111を再び役物演出位置P1に配置するための移動が妨げられるという不都合がある。
しかしながら、前述したように、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111の下降が終了した場合であっても、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接状態は解除されないので、第一装飾役物部111の下降が終了した後に第一装飾役物部111が上昇した際に、第一装飾役物部111の右上端部が第二装飾役物部113の左下端部に干渉することがない。つまり、第一装飾役物部111を再び役物演出位置P1に配置するための移動が妨げられることがない。
また、図11に示すように、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111の下降が終了した場合に、連結アーム161は、回動孔165側を上とし、ガイド孔164側を下として、つまり長手方向を右斜め方向として配置される。そして、連結アーム161における、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを跨いだ位置には、第一装飾役物部111の右上端部と、第二装飾役物部113の左下端部との当接部分が配置される。つまり、連結アーム161は、第一装飾役物部111の下降が終了した場合であっても、正面視で第一装飾役物部111および第二装飾役物部113の後方に、これらと重複(一致)するように配置されて、遊技者がこの連結アーム161を視認することができないように構成される。つまり、可動役物100において、遊技者が視認するための部材である第一装飾役物部111および第二装飾役物部113以外の部材である連結アーム161を、遊技者が視認することを防止することができる。
次に、本発明に係る可動役物の別実施形態である可動役物200について、図13から図15を用いて説明する。なお、可動役物200の構成のうち、可動役物100と略同一の部材には可動役物100と対応する部材と同一の符号を付し、説明を省略する。
図13から図15に示す連結機構260は、本発明に係る連結機構の実施の一形態である。連結機構260は、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とを摺動自在に連結して、第一装飾役物部111が前記所定方向とは異なる方向へ移動することを規制するものである。具体的には、連結機構260は、凹溝213と、凸部211とにより構成される。
凹溝213は、第二装飾役物部113の左側端面に形成される溝部である。凹溝213は、その長手方向を第二装飾役物部113の左側辺に沿って形成される。凹溝213は、図14に示すように、第二装飾役物部113の左側端面に、平面断面視で第一装飾役物部111側(左側方)へ向けて開口された略凹状に形成される。なお、凹溝213の上端部および下端部は閉塞されている。
凸部211は、第一装飾役物部111の右側端面から右側方へ向けて突出して形成される部位である。凸部211は、第一装飾役物部111の右上端部に配置される。凸部211は、その外幅が、凹溝213の内幅よりも僅かに小さく設定される。凸部211は、凹溝213内に嵌め込まれて当該凹溝213の長手方向に沿って摺動自在に構成される。
このような構成において、図13に示すように、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態に配置されている場合、凸部211の上端部が凹溝213の上側の閉塞部の下面に当接した状態、つまり第一装飾役物部111の上昇が規制された状態となっている。また、図15に示すように、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111の下降が終了した場合、凸部211の下端部が凹溝213の下側の閉塞部の上面に当接した状態、つまり第一装飾役物部111の下降が規制された状態となっている。したがって、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係を連結機構260により、予め設定することができる。
また、前述したように、凸部211は、その外幅が凹溝213の内幅よりも僅かに小さく設定される。換言すれば、凸部211は、凹溝213内に嵌めこまれた状態で、前後方向にガタが生じないように構成される。したがって、凸部211を備える第一装飾役物部111と、凹溝213を備える第二装飾役物部113との相互の位置関係においても、前後方向にガタが生じることがない。つまり、連結機構260により、第一装飾役物部111が第二装飾役物部113に対して、前記所定方向とは異なる方向の一方向である前後方向にガタが生じることを防止することができる。その結果、装飾役物本体110のひとまとまりの状態としての一体感が損なわれることを防止することができる。
なお、本実施形態において、凸部211は第一装飾役物部111の部位であり、凹溝213は第二装飾役物部113に形成される構成としたがこれに限定するものではない。すなわち、凸部211および凹溝213をそれぞれ第一装飾役物部111および第二装飾役物部113と別部材、例えば凸状のレール部材と、凹溝状のレール部材として、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とにそれぞれ固着する構成とすることができる。
以上のように、遊技機1の可動役物100は、
第一支持部材112により片持ち支持されて駆動源の動力により所定方向へ往復動自在に移動する第一装飾役物部111と、前記第一装飾役物部111の一側に対向して配置され、第二支持部材114により片持ち支持されて前記第一装飾役物部111と摺動自在に当接する第二装飾役物部113と、により、ひとまとまりの装飾役物として構成される装飾役物本体110を備える遊技機の可動役物であって、
前記第一装飾役物部111と前記第二装飾役物部113とを摺動自在に連結し、前記第一装飾役物部111が前記所定方向とは異なる方向へ移動することを規制するものである。
このように構成されるので、可動役物100は、第一装飾役物部111が、前記所定方向、つまり(役物演出位置P1と役物収納位置P2との間を)垂直方向に対して右側方へ傾斜角度αだけ傾斜した方向に移動する方向とは異なる方向(例えば前後方向)へ移動することを規制することができる。したがって、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113とが左右に連なった状態にある装飾役物本体110において、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との相互の位置関係が変化し、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接部分に段差や隙間が生じることを防止することができる。その結果、装飾役物本体110のひとまとまりの状態としての一体感が損なわれず、遊技機1の遊技における演出の効果が損なわれることを防止することができる。
また、遊技機1の可動役物100において、
前記連結機構160は、前記第一装飾役物部111が前記第二装飾役物部113の一側に対向して配置された位置から相互に離間する方向へ最大限に移動した位置を予め設定して、前記第一装飾役物部111が前記最大限に移動した位置を越えて移動することを規制し、
前記第一装飾役物部111は、前記最大限に移動した位置に配置された状態であっても、前記第二装飾役物部113と当接した状態であるものである。
このように構成されるので、第二装飾役物部113が静止した状態で第一装飾役物部111の下降が終了した場合であっても、第一装飾役物部111と第二装飾役物部113との当接状態は解除されないので、第一装飾役物部111の下降が終了した後に第一装飾役物部111が上昇した際に、第一装飾役物部111の右上端部が第二装飾役物部113の左下端部に干渉することがない。つまり、第一装飾役物部111を再び役物演出位置P1に配置するための移動が妨げられることがない。