JP2011250602A - 固定子積層鉄心およびこれを用いた回転電機 - Google Patents

固定子積層鉄心およびこれを用いた回転電機 Download PDF

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Abstract

【課題】積層する鉄心部材間の倒れが発生しにくい高精度な積層鉄心構造を提供するとともに、外周面に外枠が嵌着された固定子積層鉄心であっても、圧縮応力による固定子鉄心の磁気特性劣化を抑制すること。
【解決手段】第1の鉄心部材10aと第2の鉄心部材10bが交互に積層され、積層面外に折り曲げられる片梁部11a、11bの外周縁辺か穴部12a、12bの内周縁辺かの少なくとも一方に低剛性部が形成されており、第一の穴部12aの長手方向と第二の穴部12bの長手方向とが互いに異なる方向に形成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、モータ、発電機等に使用され、磁性板である鉄心部材を積層した固定子積層鉄心およびこれを用いた回転電機に関するものである。
一般的に電磁鋼板から回転機の固定子積層鉄心を製造する方法としては、プレスによる金型打ち抜き加工が用いられる。とりわけ、中小型容量機では鉄心の打ち抜きから積層に至る過程は省力化、自動化が進み、パンチ(オス型)とダイ(メス型)で構成される順送金型内で所望形状の鉄心片に打ち抜かれると共に積層されかつ高精度な自動カシメが行われる。
自動カシメによる鉄心部材の積層方法としては、図9に示すような鉄心部材41をかしめて積層する抜きかしめ工法が主に用いられている。順送金型の工程の中で、あらかじめ板厚方向に凹凸部、例えば表側に凹部42を、裏側に凸部43を形成しておき、最後に外形形状を打ち抜く。この打ち抜き工程後に、ダイ内を下降中に鉄心部材外周部に側圧がかかるような拘束状態に置き、積層方向に加圧することにより、複数個の鉄心部材において、積層方向に隣接する鉄心部材のダボの凸部43を凹部42に圧入することにより鉄心部材同士が固定されて、積層鉄心44が形成される(例えば、特許文献1)。
また、固定子として用いられる積層鉄心の場合には、積層鉄心の外周面に鉄やアルミニウム製の外枠が嵌着される。嵌着は、積層鉄心の外径と外枠の内径との寸法差を利用した方法、例えば焼嵌めや圧入といった方法が採用されている。外枠により積層鉄心の固定を確実にすることにより、回転子から回転方向の電磁力を受けて積層鉄心の位置がずれるのを防止し、発生したトルクの伝達性を高めることができる(例えば、特許文献2)。
特開平6−165447(3−6頁、図5−6) 特開2009−136101(6−7頁、図2)
上記従来の固定子積層鉄心においては、以下に示す2つの課題が指摘されている。
積層鉄心の積層精度が劣化して回転子と固定子間のギャップが不均一となると、騒音・振動を引き起こすことによりモータの効率低下を招来することとなるため、積層鉄心の積層精度については従来にも増して高精度が要求されるようになってきている。
抜きかしめ方式では、図10に示すとおりダボの凹部42と凸部43の偏心により積層鉄心に倒れ(tan−1(y/t))が生じる。例えばダボの凹凸の偏心(y)が1μmであっても200枚積層すれば0.2mmずれることになり、ロータとステータ間のギャップに比して無視し得ない大きな量となる。以上より、従来の抜きかしめ方式を用いた固定子積層鉄心における1点目の課題は、積層した鉄心部材間の倒れが小さく規定精度を満たす積層鉄心を得ることが困難であったということである。
また、固定子積層鉄心を鉄あるいはアルミ合金等の外枠に、積層鉄心と外枠との内外径差を利用した方法(例えば焼嵌め)にて嵌着した場合、積層鉄心には外枠の締め付け応力に起因する圧縮力が働く。従って、従来の外枠を備えた固定子積層鉄心における2点目の課題は、積層鉄心内部の発生する圧縮応力により、鉄心の磁気特性を劣化させモータ効率の低下を引き起こしていたということである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、積層する鉄心部材間の倒れが発生しにくい高精度な積層鉄心構造を提供するとともに、外周面に外枠が嵌着された固定子積層鉄心であっても、圧縮応力による固定子鉄心の磁気特性劣化を抑制することが可能な固定子積層鉄心を得ることを目的とする。
この発明に係る固定子積層鉄心は、短冊状の第1の片梁部とスリット状の第2の穴部が形成された第1の鉄心部材と、短冊状の第2の片梁部とスリット状の第1の穴部が形成された第2の鉄心部材とが、交互に積層して形成される積層鉄心部と、この積層鉄心部の外周面に嵌着された外枠とを備えており、前記積層鉄心部は、第1の片梁部が第1の鉄心部材の積層面外に折り曲げられて第1の穴部に嵌合して構成される第1の連結部と、第2の片梁部が第1の片梁部と同じ方向に折り曲げられて前記第2の穴部に嵌合して構成される第2の連結部とを有している。
ここで、第1の連結部において、第1の片梁部外周縁辺か第1の穴部内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第1の低剛性部と、第2の連結部において、第2の片梁部外周縁辺か第2の穴部内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第2の低剛性部とを有しており、また、第一の穴部の長手方向と第二の穴部の長手方向とが互いに異なる方向に形成されていることを特徴とする。
この発明に係る固定子積層鉄心によると、連結部において片梁部外周縁辺か穴部内周縁辺かの少なくとも一方に形成された低剛性部を備えているため、片梁部と穴部の形成される位置にずれがあったとしても低剛性部においてこのずれを吸収することができ、外形側方を拘束することにより倒れのない高精度に整列された固定子積層鉄心を得ることができる。
また、スリット状の穴部は、この穴部の長手方向の縁辺が変形することにより、穴部の長手方向に垂直な成分の圧縮応力を効果的に緩和することができる。第一の穴部の長手方向と第二の穴部の長手方向とが互いに異なる方向に形成されているため、第1の鉄心部材内においては第1の片梁部周辺の穴部と第2の穴部とが、第2の鉄心部材内においては第2の片梁部と第1の穴部とが、各々異なる方向に形成されていることになる。従って、各鉄心部材内にこれら2方向を有するスリット状の穴部を配置することにより、外枠の嵌着によって鉄心部材内に発生する積層面内の任意の方向の圧縮応力を緩和することが可能となり、積層鉄心部の磁気特性の内部圧縮応力による劣化を抑制することができる。
本発明の実施の形態1による回転電機の断面図である。 本発明の実施の形態1による第1のコア部材と第2のコア部材の平面図、及び片梁部と穴部の部分拡大図である。 本発明の実施の形態1による第1のコア部材と第2のコア部材の連結部の断面図である。 本発明の実施の形態1による第1のコア部材と第2のコア部材の連結部の断面図である。 本発明の実施の形態1による鋼板を示す平面図である。 本発明の実施の形態1による積層鉄心部の積層方法及び積層装置を示す図である。 本発明の実施の形態1による積層鉄心部の積層方法及び積層装置を示す部分拡大図である。 本発明の実施の形態2による第1のコア部材と第2のコア部材の平面図である。 従来の抜きかしめ工法による積層方法を示す図である。 従来の抜きかしめ工法による積層方法におけるコアの倒れを示す図である。
実施の形態1.
図1から図7は本発明の実施の形態1に係る回転電機、固定子積層鉄心及び鉄心部材の構造、並びに製造方法及び製造装置を示す図である。
図1は本発明の実施の形態1に係る回転電機1の断面図であり、本図において鉄心部材2は一体の円環状連続体として形成されている。外周が概略円弧状であるヨーク部3とこのヨーク部3から内径側に突出したティース部4とで鉄心部材2の一極分が構成され、これは概略T型の断面形状を有している。
鉄心部材2をその板厚方向に積層して積層鉄心部5を形成し、積層鉄心部5の外周面に鉄やアルミニウム製の外枠6を嵌着して、固定子積層鉄心7が形成されている。また、この固定子積層鉄心7のティース部4の周囲に励磁巻線8を施し、固定子積層鉄心7のティース部4の内周側に所定の空隙を介して回転子9を回転自在に配置することにより、回転電機1が構成されている。外枠6を積層鉄心部5に嵌着する手段として、積層鉄心部5の外径と外枠6の内径との寸法差を利用した方法、例えば焼嵌めや圧入といった方法が採用されている。外枠6により積層鉄心部5の固定を確実にすることにより、回転子9から回転方向の電磁力を受けて積層鉄心部5の位置がずれるのを防止し、発生したトルクの伝達性を高めることができる
積層鉄心部5は、上記の一体の円環状連続体である鉄心部材2を使用する以外に、図2に示したように、鉄心部材2が円周方向に分割され概略T型の断面形状を有する鉄心部材10a、10bを円周方向に複数連結することにより形成することも可能である。この場合には、外枠6を積層鉄心部5の外周側に嵌着することにより、固定子積層鉄心鉄心7として形成した場合の成形性(真円度)を高めることにより、コギングトルクや脈動トルクを抑制できる効果もある。
図2(a)(b)を用いて以下に本実施の形態に係る固定子積層鉄心7の特徴的な構成について説明する。第一の鉄心部材10aと第2の鉄心部材10bは交互に積層され、励磁巻線8の巻枠による押さえ込み、あるいは積層鉄心外周部の溶接等により、積層された鉄心部材10a、10b間の最終締結がなされ積層鉄心部5を得る。この最終締結に至るまでに積層された鉄心部材をハンドリングするためには、鉄心部材間の仮固定が必要となる。そこで、第1の鉄心部材10aには、短冊状の第1の片梁部11aとスリット状の第2の穴部12bが、第2の鉄心部材10bには短冊状の第2の片梁部11bとスリット状の第1の穴部12aとが形成されており、これらの片梁部及び穴部を用いることにより積層された鉄心部材間の仮固定が行われる。
図3は、第1の鉄心部材10aと第2の鉄心部材10bを交互に積層して構成される積層鉄心部5について、ティース部4の対称軸13(図2参照)の左側に位置する片梁部11a、11b、穴部12a、12b周辺の断面A−A’を模式的に表したものを示す。第1の片梁部11aと第1の穴部12aはそれぞれ対応する位置に配置されており、第1の片梁部11aが第1の鉄心部材10aの面外に折り曲げられて第1の穴部12aに嵌合することにより第1の連結部14aを構成する。同様に、第2の片梁部11bと第2の穴部12bはそれぞれ対応する位置に配置されており、第2の片梁部11bが第1の片梁部11aと同じ方向に折り曲げられて第2の穴部12bに嵌合することにより第2の連結部14bを形成する。
ここで第1の片梁部11a及び第2の片梁部11bは板厚が薄く形成されている。薄く形成された片梁部11a及び11bは元の板厚のものよりも剛性が低減した低剛性部となっており、ばね性を有している。ティース部4の対称軸13の右側に位置する片梁部11a、11b、穴部12a、12bについても左側と同様、低剛性部(薄肉部)を有する片梁部11a、11bが積層面外に折り曲げられて穴部12a、12bに嵌合することにより、第1の連結部14aと第2の連結部14bが形成される。
連結部の片梁部と穴部の勘合については、図2(c)に第1の片梁部11aの部分拡大図、図2(d)に第1の穴部12aの部分拡大図を示すが、第1の片梁部11aの幅(W1)が第1の穴部12aの幅(W2)よりもわずかに大きくなるように設定しており、このため第1の片梁部11aを第1の穴部12aに嵌合させることができる。また、第1の片梁部11aの先端部は面取り15を行うと共に、第1の片梁部11aの付根部に切り欠き16を設けている。これは、面取り15を設けることにより第1の片梁部11aを第1の穴部12aに挿入しやすくするためであり、切り欠き16を設けることにより第1の片梁部11aの折り曲げ加工を容易にするためである。
第1の連結部14aと第2の連結部14bがそれぞれ嵌合した状態であっても、第1の鉄心部材10aと第2の鉄心部材10bは積層面に平行な二方向、即ち積層鉄心部5の周方向と径方向への自由度を持ち、互いに移動することが可能となる。これにより、外形側方を拘束することにより倒れのない高精度に整列された積層鉄心を得ることができる。また、片梁部11a、11bが穴部12a、12bにそれぞれ嵌合することにより鉄心部材間を連結するため、従来例のようにダボの凹部と凸部におけるR部同士の干渉によって積層される鉄心部材間において隙間tg(図9)が発生することなく、積層方向にも寸法精度のよい積層鉄心を得ることができる。
図4(a)は第2の連結部14bについて第2の片梁部11bの先端側から投影した断面図であり、上図が第2の片梁部11bを折り曲げ加工する前、下図が折り曲げ加工を行い第2の穴部12bに嵌合した様子を示している。図4(a)においては、第2の片梁部11bのほぼ全面が薄くなるように、すなわち低剛性部が片梁部のほぼ全面に渡って形成されているように描かれているが、少なくとも片梁部11bの外周縁辺のみが薄く形成されていれば上記効果を奏することは言うまでもない。また、図4(b)では、図4(a)とは逆に穴部12bの内周縁辺について板厚を薄く形成しており、この部分は元の板厚ものよりも剛性が低減した低剛性部となっており、ばね性を有している。したがって、図4(b)の連結構造でも図4(a)の構成と同じ効果を有することは明らかである。
次に積層鉄心部5の内部に作用する応力について検討する。外枠6は焼嵌め、圧入などの方法により積層鉄心部5の外周面に嵌着されるため、外枠6から積層鉄心部5へ圧縮応力が作用し、積層鉄心部5の内部ではヨーク部3の径方向及び周方向の圧縮応力が発生する。ここで鉄心部材10a、10bに穴を形成すれば穴の形状が変形することによりこの圧縮応力を緩和することができる。特に細長いスリット状の穴を形成すると、穴部の長手方向の縁辺は長手方向に対して垂直な方向には容易に変形しうるため、長手方向に対して垂直方向の応力緩和に効果が高い。
本実施の形態に係る鉄心部材においては、穴部12a、12b、及びこの穴部に嵌合する短冊状の片梁部11a、11bの周囲に形成された穴はスリット状の形状を有するため、特にこの穴部の長手方向に対して垂直な方向の圧縮応力を効果的に緩和することに寄与する。第1の鉄心部材10aにおいては、第1の片梁部11aの周囲に形成された穴の長手方向が径方向を、第2の穴部12bの長手方向が周方向を向いているため、各々周方向、径方向の圧縮応力を緩和するのに効果的である。これは第2の鉄心部材10bに形成された第2の片梁部11bの周辺に形成された穴と第1の穴部12aに対しても同様である。
なお、本実施の形態においては、片梁部11a、11b周辺の穴の長手方向と穴部12a、12bの長手方向がヨーク部3の径方向と周方向に向いているが、必ずしもこのような方向に一致している必要はなく、また、両者のなす角度が厳密に90度である必要もない。両者の穴の長手方向が異なった向きに向いていれば鉄心部材10a、10bに発生する任意の方向の圧縮応力を緩和することができる。
また、ここでいう短冊状、スリット状とは、図2に示されたような矩形(長方形)形状のみを意味するものではなく、細長い形状を有するものであればよく、例えば楕円形状や、長円(レーストラック)形状のようなものであってもかまわない。更に本実施の形態においては、片梁部11a、11b周辺の穴と穴部12a、12bとが連続してL字型形状となっているが、これらの穴は連続している必要はなく、個別に形成されていても上記効果を奏することは言うまでもない。
積層鉄心部5の内部に発生する圧縮応力はスロット底部17(図1参照)付近で最も大きくなる。ここで、積層鉄心部5の内部の磁束18は、図1中の矢印で示される方向に形成されるが、磁路が短い経路ほど磁気抵抗が小さくなり磁束密度も高くなるため、磁路の短くなるスロット底部17近傍を流れる磁束密度が高くなることとなる。従ってこの部分の圧縮応力が高くなると磁束の分布に大きく影響するため、特にスロット底部17への圧縮応力の集中を緩和する必要がある。
本実施の形態に係る固定子積層鉄心7の積層鉄心部5においては、鉄心部材10a、10bに片梁部11a、11bと穴部12a、12bが、各々ヨーク部3の外周近傍に形成されており、上記穴部の開口幅の変化により開口部周辺に応力が集中することで、スリット底部17周辺の応力を緩和している。このことにより磁束密度が高いスロット底部17の圧縮応力を低減して磁気特性の劣化を抑制している。また、ヨーク部3の外周近傍は通過する磁束量が少なく、片梁部11a、11b及び穴部12a、12bを配置しても回転電機の性能低下に与える影響が比較的小さくて済むため、片梁部11a、11b及び穴部12a、12bを配置するには好適である。
また、本実施の形態では、第1の鉄心部材10aに形成された第1の片梁部11aと第2の穴部12b、第2の鉄心部材10bに形成された第2の片梁部11bと第1の鉄心部12aの各々が、回転子9の回転中心19(図1参照、積層鉄心部5の中心でもある)に対して回転対称に形成されており、鉄心部材10a、10b内の応力分布が周方向に回転対称状に繰り返されるため、各極について応力による磁気特性の影響に差異が生じない。従って回転電機1として使用した場合に、回転方向の非対象性により発生するコギングトルク、脈動トルクを低減することができる。
さらに、連結部14a、14bは鉄心部材10a、10b間を片梁部11a、11bと穴部12a、12bが接触しており、磁束の経路としても機能する。同一鉄心部材内においては片梁部11a、11bや穴部12a、12bには開口が形成されることにより磁気抵抗が高くなり磁束の流れを妨げるが、上記のように連結部14a、14bが存在するため、磁束が鉄心部材の層間を渡ることができ、ヨーク部3の外周に開口部を設けても固定子積層鉄心7内の磁気抵抗の増加を抑えて、モータ効率の低下を更に抑制できる。
次に、図1に示した円環状連続体である鉄心部材2の場合に、固定子積層鉄心7の製造方法について説明する。
図5には大きな鋼板20から湿式エッチングによって第1の鉄心部材2aと第2の鉄心部材2bを複数枚形成した様子を示す。第1の鉄心部材2aと第2の鉄心部材2bは、通常のパンチングの方法によってももちろん形成できるが、エッチングによる方法によるとパンチングによる加工歪が発生しないためこれによる磁気特性の劣化、及び鉄損の増加も引き起こさず、高効率なモータ機器を得るためには好適である。
特に片梁部11a及び11bの板厚を薄くするには、機械加工でも可能であるが、加工の手間や費用がかかるだけでなく鉄心部材2a、2bの磁気特性への加工歪劣化の影響が大きく好ましくない。湿式エッチング技術、特に素材の厚みの途中までエッチングするハーフエッチング技術を用いて薄肉部の形成を行えば容易に加工厚みの制御が行え、しかも加工歪が発生することがない。第1の鉄心部材2aと第2の鉄心部材2bの外周側には薄肉連結部(ゲート)21を設けておき、この部分のみ切断することによりランナー22との分離が行えるようにする。
湿式エッチングの製造工程の概略は、素板鋼板の表面を洗浄する工程、絶縁被膜がある場合にはエッチング部の被膜を剥離する工程、レジストコーティングを施す工程、マスク露光する工程、塩化第二鉄水溶液による鋼板溶解工程、レジスト分解剥離工程、絶縁被膜形成工程からなる。この工程において、鋼板20に第1の鉄心部材2aと第2の鉄心部材2bをエッチングにより所定枚数形成する。
次に図5のようにエッチングにより第1の鉄心部材2aと第2の鉄心部材2bが形成された鋼板を図6に示すような鉄心積層装置に搭載する。この鉄心積層装置においては、XY直交テーブル23にXY方向に移動自在に設けられたホルダー24によって鋼板20が保持され、ランナー22と分離すべき所定の鉄心部材(2a又は2b)がパンチ25とダイ26に挟まれた空間にセットされるようにホルダー24が移動する。
図7に鉄心積層装置のパンチ25とダイ26に挟まれた空間の拡大図を示す。ホルダー24によって鋼板20が所定位置にセットされたことを確認すると、円筒状のパンチ25が降下してくると同時に、このパンチ25先端部の周囲に配置され、パンチ25の移動方向にばね圧が加えられた円環状の板押え27も一緒に降下してくる。ここでパンチ25、板押さえ27とも鋼板20の面位置まで降下すると、ランナー22は板押え27とダイ26の上面との間に挟まれて保持されるが、鉄心部材(2a又は2b;図7においては2a)は尚も降下するパンチ25とともに降下するため、ゲート21にはせん断力が働いて鉄心部材10aとランナー22とは分離される。
その後、鉄心部材2aは下方に積層している他の鉄心部材上に載置されるが、このときパンチ25によって加圧され、プレス先端部に形成された面外変形用突起28によって、第1の片梁部11aが第1の穴部12aに嵌合するように折り曲げられて第1の連結部14aが、第2の片梁部11bが第2の穴部12bに嵌合するように折り曲げられて第2の連結部14bが、各々形成される。
以上のプロセスを第1の鉄心部材2aと第2の鉄心部材2bとについて交互に繰り返すことにより積層鉄心部5を得ることができるが、このときダイ26は外形側方を拘束し積層鉄心を高精度に整列することに寄与している。できあがった積層鉄心部5はダイ26の下方に設けられた排出コンベア29(図6参照)によって、ダイ26の内部から図7の紙面手前方向に排出される。ゲート21のプレス切断部周辺は加工歪みの影響が残るものの、ティース部4の対称軸13がヨーク部3の外周部と交わる付近にゲート21を設ければ、この部分は鉄心内の磁束通過が少ないため加工歪みの影響を最小限に抑えることができる。
また、上記で得られた積層鉄心部5は高精度に仕上がっているため、この後工程に行う層間接着、外枠圧入などの固定作業においては、コアの微調整作業等の煩雑な作業を省略することができるため、生産性よく組立作業を行うことができる。
更に、本実施の形態によると、鋼板20からエッチングによって第1のコア部材2aと第2のコア部材2bを形成する。パンチングによって形成する場合には加工歪により磁気特性の劣化を引き起こすが、エッチングによるとこのような磁気特性の劣化に伴って鉄損が増加することもなく、高効率なモータ機器を得ることができる。
更に、エッチングで加工した部位はエッチング後に絶縁コーティングが施されるため、積層されるコア部材間における短絡がほとんどない。したがって、積層コア部材間を流れる電流、及びこれによる電力損失を極めて小さくすることができるため、更に高効率なモータ機器を得ることができる。
以上のとおり本実施の形態に係る固定子積層鉄心7によると、第1の連結部14aにおいて第1の片梁部11a外周縁辺か第1の穴部12a内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第1の低剛性部(薄肉部)と、第2の連結部14bにおいて第2の片梁部11b外周縁辺か第2の穴部12b内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第2の低剛性部(薄肉部)とを備えているため、片梁部と穴部の形成される位置にずれがあったとしても低剛性部においてこのずれを吸収することができ、外形側方を拘束することにより倒れのない高精度に整列された積層コアを得ることができる。
また、スリット状に設けられた穴部は、この穴部の長手方向の縁辺が変形することにより、穴部の長手方向に垂直な成分の圧縮応力を効果的に緩和することができる。第一の穴部12aの長手方向と第二の穴部12bの長手方向とが互いに異なる方向に形成されているため、第1の鉄心部材10a内においては第1の片梁部11a周辺の穴部と第2の穴部12bとが、第2の鉄心部材10b内においては第2の片梁部11bと第1の穴部12aとが、各々異なる方向に形成されていることになる。従って、各鉄心部材10a、10b内にこれら2方向を有するスリット状の穴部を配置することにより、外枠6の嵌着によって鉄心部材10a、10b内に発生する積層面内の任意の方向の圧縮応力を緩和することが可能となり、積層鉄心部5の磁気特性の内部圧縮応力による劣化を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態1においては、円環状連続体である鉄心部材2(2a、2b)、又は分割型鉄心部材10a、10bについて説明してきたが、図8に示すような固定子一極分の鉄心部材を複数個、薄肉連結や凹凸のダボ嵌め合い等の関節状連結機構で連結させた第1の鉄心部材30aと第2の鉄心部材30bを円環状に組み立てて固定子積層鉄心7を形成する場合であっても本発明を同様に適用できる。図8(a)に示す第1の鉄心部材30aと図8(b)に示す第2の鉄心部材30bは、大きな鋼板からエッチングによって形成される。この第1のコア部材30a、第2のコア部材30bは図2に示す分割型の第1の鉄心部材10a、第2の鉄心部材10bを折り曲げ部31を介して複数枚連ねた形状を有する。
この第1の鉄心部材30aと第2の鉄心部材30bを用いたステータは以下の手順にて製作される。まず、図7に示すようにダイ26中にこの第1の鉄心部材30aと第2の鉄心部材30bを交互に積層し、先端に面外変形用突起28を備えたパンチ25にて積層方向について加圧することにより第1の片梁部11aと第2の片梁部11bを折り曲げて、第1の穴部12aと第2の穴部12bに嵌合させて、第1の連結部14aと第2の連結部14bを有する積層コアを形成するところまでは、実施の形態1と同じである。
その後ダイ26からこの積層コアを取外して、ティース部4周囲に励磁巻線8を形成し、最後にヨーク部3が円環状になるように折り曲げ部31を折り曲げて、積層鉄心部5として仕上げることとなる。単極形状を有する鉄心部材10a、10bを積層し、この積層鉄心に励磁巻線を行ってももちろん積層鉄心部5を製作できるが、全極が連なった鉄心部材30a、30bを用いる方が、部品点数を削減できると同時に各極の巻き線間接続の工数を削減できるという利点を有する。
以上のとおり本実施の形態に係る固定子積層鉄心7においても、第1の連結部14aにおいて第1の片梁部11a外周縁辺か第1の穴部12a内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第1の低剛性部(薄肉部)と、第2の連結部14bにおいて第2の片梁部11b外周縁辺か第2の穴部12b内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第2の低剛性部(薄肉部)とを備えているため、片梁部と穴部の形成される位置にずれがあったとしても低剛性部10においてこのずれを吸収することができ、外形側方を拘束することにより倒れのない高精度に整列された積層コアを得ることができる。
また、スリット状に設けられた穴部は、この穴部の長手方向の縁辺が変形することにより、穴部の長手方向に垂直な成分の圧縮応力を効果的に緩和することができる。第一の穴部12aの長手方向と第二の穴部12bの長手方向とが互いに異なる方向に形成されているため、第1の鉄心部材30a内においては第1の片梁部11a周辺の穴部と第2の穴部12bとが、第2の鉄心部材30b内においては第2の片梁部11bと第1の穴部12aとが、各々異なる方向に形成されていることになる。従って、各鉄心部材30a、30b内にこれら2方向を有するスリット状の穴部を配置することにより、外枠6の嵌着によって鉄心部材30a、30b内に発生する積層面内の任意の方向の圧縮応力を緩和することが可能となり、積層鉄心部5の磁気特性の内部圧縮応力による劣化を抑制することができる。
1 回転電機
2 鉄心部材
2a 第1の鉄心部材
2b 第2の鉄心部材
3 ヨーク部
4 ティース部
5 積層鉄心部
6 外枠
7 固定子積層鉄心
8 励磁巻線
9 回転子
10a 第1の鉄心部材
10b 第2の鉄心部材
11a 第1の片梁部
11b 第2の片梁部
12a 第1の穴部
12b 第2の穴部
14a 第1の連結部
14b 第2の連結部
19 回転中心(積層鉄心部の中心)
30a 第1の鉄心部材
30b 第2の鉄心部材

Claims (9)

  1. 短冊状の第1の片梁部とスリット状の第2の穴部が形成された第1の鉄心部材と、短冊状の第2の片梁部とスリット状の第1の穴部が形成された第2の鉄心部材とが、交互に積層して形成される積層鉄心部と、
    この積層鉄心部の外周面に嵌着された外枠とを備えた固定子積層鉄心であって、
    前記積層鉄心部は、
    前記第1の片梁部が前記第1の鉄心部材の積層面外に折り曲げられて前記第1の穴部に嵌合して構成される第1の連結部と、
    前記第2の片梁部が前記第1の片梁部と同じ方向に折り曲げられて前記第2の穴部に嵌合して構成される第2の連結部と、
    前記第1の連結部において、前記第1の片梁部外周縁辺か前記第1の穴部内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第1の低剛性部と、
    前記第2の連結部において、前記第2の片梁部外周縁辺か前記第2の穴部内周縁辺かの少なくとも一方に形成された第2の低剛性部とを有し、
    前記第1の穴部の長手方向と前記第1の穴部の長手方向とが互いに異なる方向に形成されていることを特徴とする
    固定子積層鉄心。
  2. 第1の低剛性部又は第2の低剛性部は、薄肉部を設けることにより形成されたことを特徴とする
    請求項1に記載の固定子積層鉄心。
  3. 第1の鉄心部材及び第2の鉄心部材は、外周が円弧状であるヨーク部とこのヨーク部から内径側に突出したティース部を有することを特徴とする
    請求項1に記載の固定子積層鉄心。
  4. 第1の穴部と第2の穴部は、一方の長手方向がヨーク部の径方向に、他方の長手方向が前記ヨーク部の周方向になるように形成されたことを特徴とする
    請求項3に記載の固定子積層鉄心。
  5. 第1の片梁部、第2の穴部、第2の片梁部、第1の穴部がヨーク部外周近傍に形成されたことを特徴とする
    請求項3に記載の固定子積層鉄心。
  6. 第1の片梁部、第2の穴部、第2の片梁部、第1の穴部が積層鉄心部の中心に対して回転対称に形成されたことを特徴とする
    請求項3に記載の固定子積層鉄心。
  7. 第1の鉄心部材又は第2の鉄心部材は、エッチング加工により形成されたことを特徴とする
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固定子積層鉄心。
  8. 第1の鉄心部材又は第2の鉄心部材は、片梁部と穴部を形成後に絶縁処理が施こされたものであることを特徴とする
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固定子積層鉄心。
  9. 請求項3に記載の固定子積層鉄心と、
    前記固定子積層鉄心のティース部の周囲に設けられた励磁巻線と、
    前記ティース部の内周側に所定の空隙を介して回転自在に配置された回転子と、
    を備えた回転電機。
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