JP2011248336A - 偏光板保護フィルム、偏光板とその製造方法および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロースアシレートを含み、下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする偏光板保護フィルム。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
【選択図】なし
Description
なお、同文献の[0035]には、セルロースアシレートフィルムの剥ぎ取り応力を小さくするために剥離剤として酸解離指数pKaが1.93〜4.50である酸を加えてもよいと記載されているが、上記の観点から実施例ではこのような酸を剥離剤として添加した例は検討されていない。
なお、同文献では得られたフィルムを偏光板保護フィルムとして偏光板に組み込んだときに高温高湿経時をさせたときの偏光子耐久性を検討した例について開示も示唆もない。例えば、同文献実施例1ではフィルム膜面pH5.0とした例が開示されているが、高温高湿経時後の偏光子耐久性は検討されていない。また、同文献比較例1では総アシル置換度2.65のセルロースアセテートプロピオネートを用いて、膜面pH4.6と低下させた比較例も開示されているが、物理的強度が低く、高温高湿経時後にフィルムの着色が生じるため、好ましくないと記載されている。
本発明が解決しようとする課題は、高温高湿経時後の偏光子の劣化が少ない偏光板および該偏光板に用いることができる偏光板保護フィルムを提供することである。
一方、従来は偏光板保護フィルムの透湿度が高いほど、高温高湿環境下では環境湿度を透過しやすくなるために偏光子の吸湿を促進してしまうこととなり、偏光板耐久性も悪くなると考えられていた。しかし、本発明者らがフィルムの透湿度を2800g/m2・day以上にまで透湿度を高めた結果、フィルム膜面pHが4.5を超え6.0以下の範囲である場合にも高温高湿経時後の偏光子の劣化が抑制されることを見出すに至った。このように透湿度が高くても耐久性を改良することが出来ることは従来の知見に反するものであり、驚くべき結果であった。
[1] セルロースアシレートを含み、下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする偏光板保護フィルム。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
[2] 膜面pHが3.0〜4.5であることを特徴とする[1]に記載の偏光板保護フィルム。
[3] 膜面pHが3.0〜6.0であり、透湿度が2800g/m2・day以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の偏光板保護フィルム。
[4] 含水率が4.0%以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[5] 下記一般式(1)で表される有機酸を前記セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜10質量部含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
[6] 前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする[5]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(2)
[7] 前記セルロースアシレートの総アシル置換度が、1.0以上2.6未満であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[8] 鹸化されていることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[9] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理する工程と、アルカリ鹸化処理後の偏光板保護フィルムを水洗する工程と、水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に積層する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
[10] [9]に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
[11] 偏光子と、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
[12] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムまたは、[10または[11]に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の偏光板保護フィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、セルロースアシレートを含み、下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
以下、本発明の偏光板保護フィルムの好ましい態様を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
本発明の偏光板保護フィルムの第1の態様は、前記条件(1)を満たすこと、すなわち膜面pHが3.0〜4.5であることを特徴とする。
従来、このように膜面pHが4.5以下になるほど低下させると、セルロースアシレートの流延製膜時に流涎支持体(いわゆるバンドやドラム)を腐食させてしまい、フィルムの茶異物故障が発生してしまい、流延支持体の洗浄が必要になってしまうことが知られていた。そのため、製造コストの観点から、膜面pHを4.5以下に低下させることはほとんど実施されていなかった。しかしながら、本発明者らがこのような構成の偏光板保護フィルムを用いた偏光板を高温高湿経時させたところ、顕著に耐久性が改善されることがわかった。
前記膜面pHは、3.0以上であることが、セルロースアシレートを分解しない観点から好ましい。また、前記膜面pHは、4.5以下であることが、透湿度によらず本発明の効果を得られる観点から好ましい。
また、本発明のフィルムの第1の態様では、前記膜面pHが3.5〜4.5であることがより好ましく、4.0〜4.5であることが特に好ましい。
膜面pHが4.5を超え6.0以下である場合には、上記範囲に透湿度を制御することで、本発明の効果を得ることができる。膜面pHが4.5を超え6.0以下の場合、透湿度が上記範囲を下回ると高温高湿環境下での偏光子耐久性は悪化しやすい傾向にある。また、従来は偏光板保護フィルムの透湿度が高いほど、高温高湿環境下では環境湿度を透過しやすくなるために偏光子の吸湿を促進してしまうこととなり、偏光子耐久性も悪くなると考えられていた。しかしながら、本発明者らが検討した結果、膜面pHが4.5を超え6.0以下である場合には、上記範囲に透湿度を制御することで、従来に知見に反して高温高湿環境下での偏光子耐久性が顕著に改善されることがわかった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、フィルム透湿度が高いほうが、酸成分が偏光板のPVA層に拡散しやすく、酸添加による耐久性改良効果が高いと推定している。
また、本発明のフィルムの第2の態様では、膜面pHが4.5を超え6.0以下であるが、この場合は膜面pHが4.5を超え5.5以下であることがより好ましく、4.5を超え5.3以下であることが特に好ましい。
本発明のフィルムの第2の態様では、前記透湿度が2800〜5000g/m2・dayであることがより好ましく、2800〜4000g/m2・dayであることが特に好ましい。
また、透湿度が2800g/m2・day以上である場合、前記膜面pHは3.5〜6.0であることがより好ましく、4.0〜6.0であることが特に好ましく、4.0〜5.5であることがより特に好ましく、4.5を超え5.3以下であることも好ましい。
ここで、本明細書中、含水率とは、25℃、80%で2時間以上調湿した24mm×35mmの偏光板保護フィルムに含まれる水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した値のことを言う。
ここで言う含水率はすなわち、一定条件下におけるフィルムの含水率を意味しており、フィルムの水分の保持可能量に相当する。本発明の偏光板保護フィルムの含水率が上記範囲以上であると、特に本発明の偏光板保護フィルムの透湿度が高い場合に、偏光子と偏光板保護フィルムを積層(貼り合わせる)工程でPVAなどが保有する水分を外部へ逃す働きを本発明の偏光板保護フィルムが補助することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、含水率が4.0〜10.0%であることが好ましく、4.0〜8.0%であることがより好ましい。
本発明のフィルムの厚みは30μm〜100μmが好ましく、30μm〜80μmがさらに好ましく、30μm〜60μmが最も好ましい。
(A) 酸性化合物
本発明における膜面pHを調整する方法として、まず、酸性化合物を添加する方法を挙げることができる。前記酸性化合物としては、本発明の趣旨に反しない限り、膜面pHを前記条件(1)または(2)を満たす範囲に調整できる任意の酸性化合物を用いることができる。
また、前記酸性化合物は、本発明のフィルムの膜面pHを調整するだけでなく、透湿度および/または含水率も本発明の好ましい範囲に調整できる化合物であることが好ましい。
その中でも、以下の酸性化合物を本発明では好ましく用いることができる。
本発明のフィルムは、下記一般式(1)で表される有機酸を含むことが、本発明の膜面pHを調整し、かつ、本発明のフィルムを流涎製膜により製造する場合に流涎支持体の腐食性を改善できる観点から、好ましい。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(式中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
さらに、酸性基である前記X部分が支持体の金属表面に付着し、特定の構造の疎水性基である前記R1部分が支持体の金属表面を酸素等の酸化剤からブロックすることにより、前記R1の範囲から外れる疎水性基を有する有機酸に比べて、金属の腐食を防止することができる。特に前記流延支持体がステンレス(SUS)製であるときに好ましく用いることができる。
以下、本発明のフィルムに用いることができる酸性化合物について説明する。
本明細書中、酸解離定数としては、化学便覧、丸善株式会社刊に記載の値を採用する。
R1はさらに好ましくは、炭素数6〜24のアリール基、環員数6〜24の複素環基、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のアリール基、環員数6〜20の複素環基、炭素数10〜24の直鎖のアルキル基、アルケニル基である。
ユニット:−O−、−CO−、−N(−R2)−(前記R2は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH=CH−、−CH(OH)−、−CH2−、−SO2−。
一般式(1)におけるLは、単結合、エステル基由来の連結基(−COO−、−OCO−)、またはアミド基由来の連結基(−CONR2−、−NR2CO−)を部分構造として有することが特に好ましい。
また、前記Lは、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R1が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でも−OH基またはアルキル基(より好ましくはカルボキシル基で置換されたアルキル基)が好ましい。
また、前記R2はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R1が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でもカルボキシル基が好ましい。
これらの中でも、前記Lはグリセリン由来の基またはイミノジ酢酸(−N(CH2COOH)(CH2COOH))由来の基を含む連結基であることがより好ましい。
前記Lとしては、具体的に以下の構造であることが好ましい。但し、以下においてp、q、rはそれぞれ1〜40の整数を表し、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。また、qは2〜4であることがより特に好ましい。
L2: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OH))−(CH2)r−O−;
L3: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OCO−R3))−(CH2)r−O−;
L4: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OH))−(CH2)r−O−CO−;
L4’: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OCO−R3))−(CH2)r−O−CO−;
L5:−(CH2)p−N(CH2COOH)−;
L6: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−;
L7: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−O−;
L8: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−CONH−;
L9: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−CONH−(CH2)r−;
L10: −(CH2)p−N(CH2COOH)−CO−;
L11: −(CH2)p−N(CH2COOH)−CO−CH(CH2COOH)−;
L12: −(CH2)p−N(CH2COOH)−SO2−。
前記Lと前記Xはエステル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合で結合していることがより好ましい。また、前記Xにはエステル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
前記Lと前記R1はエステル結合、エーテル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合またはアミド結合で結合していることがより好ましく、エステル結合で結合していることが特に好ましい。また、前記R1にはエステル結合やエーテル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
《脂肪酸》
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、ウンデカン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
《ジアルキルスルフォコハク酸》
ジオクチルスルフォコハク酸、ジヘキシルスルフォコハク酸、ジシクロヘキシルコハク酸、ジアミルスルフォコハク酸、ジトリデシルシクロコハク酸。
前記一般式(1)で表される有機酸は、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることが好ましい。
一般式(2)
R4が表す基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、水酸基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、カルボキシル基等が挙げられる。R4が表す基の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アシル基、アリール基、カルバモイル基、であり、さらに好ましくは、アリール基、カルバモイル基である。
R4が表す基の置換基は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基の好ましい範囲は前記R4が表す基の置換基の好ましい範囲と同様である。
また、R4として最も好ましいのは、アリール基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基、または、カルバモイル基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基であり、該カルバモイル基はアリール基で置換されていることが好ましい。さらに該アリール基は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基で置換されていることが最も好ましい。
前記一般式(1)で表される有機酸は、多価有機酸の一部誘導体であることが本発明の膜面pHを調整し、かつ、本発明のフィルムを流涎製膜により製造する場合に流涎支持体の腐食性を改善できる観点から好ましい。本明細書中、多価有機酸の一部誘導体とは、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価有機酸がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換の酸性基を少なくとも1つ有する化合物のことを言う。なお、本明細書中、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を意味する。すなわち、本明細書中における脂肪酸は、いわゆる高級脂肪酸に限定されるものではなく、酢酸やプロピオン酸などの炭素数12以下の低級脂肪酸も含まれる。
前記多価有機酸の一部誘導体は、多価カルボン酸の一部誘導体であることが好ましい。すなわち、前記一般式(1)で表される有機酸は、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記多価カルボン酸の一部誘導体に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
その中でも、有機酸モノグリセリドまたは有機酸ジグリセリドがより好ましく、有機酸モノグリセリドがより特に好ましい。本明細書中における有機酸モノグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。本明細書中における有機酸ジグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個が無置換の水酸基であり、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物であることがより特に好ましい。前記有機酸モノグリセリドの脂肪酸とエステル結合している水酸基は非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましく、前記有機酸モノグリセリドの多価有機酸とエステル結合している水酸基は同様に非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましい。すなわち、前記有機酸モノグリセリドの中でも、無置換の水酸基を有し、かつ脂肪酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子と、多価有機酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子とが隣り合わない構造の化合物であることが好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等があげられる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後においえて90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物のまま使用してもよい。
前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中のカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドを蒸留等により精製すればよく、また、純度の高いカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば、理研ビタミン社製ポエムB−30、同ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等があげられる。
本発明のフィルムに含まれる前記一般式(1)で表される有機酸の添加量は、前記セルロースアシレートに対して0.1質量%〜10質量%の割合であり、0.5質量%〜10質量%であることが特に好ましく、1.5質量%〜5質量%であることがより特に好ましく、2.5質量%〜5質量%であることがより特に好ましい。
添加量が0.1%以上であれば偏光子耐久性改良効果および剥離性改良効果が十分となる。また、10質量%以下の添加量であれば、高温高湿経時において有機酸がブリードアウトし難く、偏光板の直交透過率が上昇しにくく、好ましい。
本発明のフィルムに含まれる前記一般式(1)で表される有機酸の濃度は、フィルム100gあたり0.2〜40mmolであることが好ましく、0.5〜5mmolであることがより好ましく、0.6〜4.5mmolであることが特に好ましく、0.8〜4.0mmolであることがより特に好ましい。
前記一般式(1)で表される有機酸の他、本発明のフィルムに公知の酸性化合物を添加してもよい。前記公知の酸性化合物としては、例えば特開2006−45497号公報の段落番号0048〜0069に記載の化合物を好ましく用いることができる。例えば、有機、無機の酸性化合物、界面活性剤、キレート剤等を使用することができる。
多価カルボン酸の部分アルコールエステルとしては、特開2006−45497号公報の段落番号0049に記載の化合物を好ましく用いることができる。
前記界面活性剤としては、特開2006−45497号公報の段落番号0050〜0051に記載の化合物を好ましく用いることができる。
キレート剤は、鉄イオンなど金属イオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンなどの多価イオンを配位(キレート)できる化合物であり、前記キレート剤としては、特公平6−8956号、特開平11−190892号、特開2000−18038号、特開2010−158640号、特開2006−328203号、特開2005―68246号、特開2006−306969号の公報または明細書に記載の化合物を用いることができる。
本発明のフィルムに含まれる全ての酸性化合物の合計添加量は、前記樹脂に対して0.001質量%(10ppm)〜20質量%(200000ppm)の割合が好ましく、0.005質量%(50ppm)〜15質量%(150000ppm)であることがより好ましく、0.01質量%(100ppm)〜10質量%(100000ppm)であることが特に好ましく、0.03質量%(300ppm)〜10質量%(100000ppm)であることが特により好ましく、0.1質量%(1000ppm)〜5質量%(50000ppm)であることがさらにより特に好ましい。
本発明における膜面pHを調整する方法としては、フィルム面を水洗する方法を挙げることができる。具体的には、本発明のフィルムを一度製膜した後で、鹸化処理を行い、その後水洗することにより膜面pHを調整してから、偏光子と貼り合わせてもよい。膜面pHを上記範囲に調整するための鹸化処理後の偏光板保護フィルムの水洗方法としては、以下の方法を挙げることができる。
水洗の後に0.01〜4.0Nの塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クロロ酢酸、シュウ酸などの酸性水溶液を通過させる。
なお、その他の鹸化処理の態様については、後述の本発明の偏光板保護フィルムを製造する方法における鹸化工程や、同じく後述する偏光板の製造方法において詳細を述べる。
(原料)
本発明に用いられるセルロースアシレートは、特に定めるものではない。アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明のフィルムは、前記セルロースアシレートの全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は1.0以上2.6未満であることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.6であり、特に好ましくは2.0〜2.6である。前記セルロースアシレートの全アシル置換度が上記範囲であることで、本発明のフィルムの透湿度および/または含水率を本発明の好ましい範囲に調整できる。
また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.08〜0.66が好ましく、より好ましくは0.15〜0.60、さらに好ましくは0.20〜0.45である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は全アシル置換度に対する6位のアシル置換度の割合であり、以下「6位のアシル置換率」とも言う。
さらにDSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上が6位水酸基の置換基であることがさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。これらのフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低くろ過性のよい溶液の作成が可能となる。
本発明のフィルムは、前記酸性化合物以外の各種の添加剤を含んでいてもよい。
本発明では添加剤として、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の高分子量添加剤および低分子量添加剤を広く採用することができる。
本発明のフィルムでは、添加剤の添加量は、セルロースアシレートに対して1〜35質量%であることが好ましく、4〜30質量%であることがより好ましく10〜25質量%であることがさらに好ましい。添加剤の添加量が1質量%以上であれば、温度湿度変化に対応しやすく、添加量が35質量%以下であればフィルムが白化しにくい。さらに、物理的特性も優れるものとなる。
ここで、本発明における添加剤とは、本発明の光学フィルムの諸機能の向上等を目的として添加される成分であり、セルロースアシレートに対し、1質量%以上の範囲で含まれている成分をいう。すなわち、不純物や残留溶媒等は、本発明における添加剤ではない。
また、本発明では、2種類以上の添加剤を用いることができる。2種類以上用いることにより、それぞれの添加剤により、光学特性、フィルム弾性率、フィルム脆性や、ウェブハンドリング適性を両立できるというメリットがある。
以下、本発明のフィルムに好ましく用いることができる添加剤について詳細に説明する。
本発明のフィルムは、非リン酸エステル系の化合物を含むことが、レターデーションと低ヘイズ化の両立の観点から好ましい。
また、本明細書中、「非リン酸エステル系の化合物」とは、「エステル結合を有する化合物であって、該エステル結合に寄与する酸がリン酸以外である化合物」のことを言う。すなわち、「非リン酸エステル系の化合物」は、リン酸を含まず、エステル系である、化合物を意味する。
また、前記非リン酸エステル系の化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー(高分子化合物)であってもよい。以下、ポリマー(高分子化合物)である非リン酸エステル系の化合物のことを、非リン酸エステル系ポリマーとも言う。
以下、本発明に用いられる非リン酸エステル系の化合物について説明する。
前記非リン酸エステル系の化合物の含量は、前記セルロースアシレートに対して、0〜35質量%であることが好ましく、0〜18質量%であることがより好ましく、0〜15質量%であることがさらに好ましい。
以下、本発明に用いられる非リン酸エステル系の化合物である高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、本発明で用いられる非リン酸エステル系の化合物である高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでないことは言うまでもない。
また、前記非リン酸エステル系の化合物は、非リン酸エステル系のエステル系化合物であることが好ましい。但し、前記「非リン酸エステル系のエステル系化合物」は、リン酸エステルを含まず、エステル系である、化合物を意味する。
前記高分子量添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。これらの中でも好ましい芳香族ジカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、である。
本発明のフィルムは、マット剤を含有することが、フィルムすべり性、および安定製造の観点から好ましい。前記マット剤は、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
前記無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。前記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。前記酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
前記有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
本発明のフィルムは、レターデーション発現剤を含有していてもよい。前記レターデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状または円盤状化合物からなるものや、前記非リン酸エステル系の化合物のうちレターデーション発現性を示す化合物を挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
本発明に用いられる可塑剤としては、セルロースアシレートの可塑剤として知られる多くの化合物も有用に使用することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、特に制限はなく、本発明の趣旨に反しない限りにおいて公知の方法を用いることができる。例えば、前記セルロースアシレートと、好ましくは前記酸性化合物を含む溶液を製膜して製造することができる。一方、前記酸性化合物を用いない場合は、前述のフィルム面を水洗する方法を用いて、製造することができる。
製膜の方法についても本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく、溶液流延製膜(ソルベントキャスト法)により製造しても、溶融製膜により製造してもよい。その中でも、ソルベントキャスト法を用いることが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。本発明では、セルロースアシレート溶液に前記酸性化合物を偏光板保護フィルムフィルムに添加するタイミングは、特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時にセルロースアシレートと混合してもよい。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素の例として、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化メチル、四塩化炭素、トリクロル酢酸、臭化メチル、ウ化メチル、トリ(テトラ)クロロエチレン等が挙げられ、少なくともジクロロメタンを含むことが好ましい。
さらに、貧溶媒の沸点は、120℃以下であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。沸点を120℃以下とすることにより、溶媒の乾燥速度をより早くすることができ好ましい。
このような貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよび水が好ましい例として挙げられ、メタノールがより好ましい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
本発明では、調製したドープから、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレテートフィルムを製造することが好ましい。
調製したドープは、無端金属支持体上、例えば金属ドラムまたは金属支持体(バンドあるいはベルト)上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成することが好ましい。流延前のドープは、セルロース量が10〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
本発明の偏光板保護フィルムを製造するときは、前記pHを調整する方法として、酸性化合物を用いることが好ましい。その場合、用いる酸性化合物については上述したとおりであるが、その中でも流涎支持体(好ましくはSUS)への腐食性を有する酸性化合物を用いる場合は、前記流延支持体(金属支持体)が腐食することを防ぐ観点から、流延支持体を洗浄しながら製膜することが好ましい。
前記流延支持体の洗浄方法としては、特に制限はない。
ドラムやベルト上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送されることが好ましい。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量および乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
また、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100%
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量のさらに好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜30質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
したがって、一方向のみに力を与えて続けて延伸すると直角方向の幅は縮まってしまうが、これを幅規制せずに縮まる量に対して、縮まり量を抑制していることを意味しており、その幅規制するクリップやピンの間隔を延伸前に対して0.7〜1.0倍の範囲に規制していることを意味している。このとき、長手方向には、幅手方向への延伸によってフィルムが縮まろうとする力が働いている。長手方向のクリップあるいはピンの間隔をとることによって、長手方向に必要以上の張力がかからないようにしているのである。ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与することができる。本発明のフィルムは、製膜された後にさらに鹸化処理されていることが好ましい。また、鹸化処理された後、偏光子と貼り合わせるときにおいて、膜面pHが本発明の範囲であることが好ましい。
前記鹸化処理の方法については、偏光板の製造方法において詳細を示した。
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムが積層されていることが偏光板の光学特性値を容易に制御する観点からより好ましい。
前記偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如き親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。
本発明のフィルムを用いた偏光板は高温高湿条件下での劣化が少なく、長期間安定した性能を維持することができる。
偏光板の直交透過率CTについて、偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行うことができる。(1)の偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に本発明の偏光板保護フィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じのものを2つ用意する。(2)の偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態での測定は、ガラスの上に偏光板を本発明の偏光板保護フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板直交透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。本発明の実施例では、上記(1)および(2)の試験方法のうち、(2)の試験方法を採用した。
以下、本発明の偏光板の製造方法について述べる。
本発明の偏光板の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
鹸化の方法については、特に制限はないが、例えば特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載され、偏光板の偏光子の作り方、偏光板の光学特性等については同公報の〔0213〕〜〔0255〕に記載されており、これらの記載を基に本発明のフィルムを保護フィルムに用いた偏光板を作製することができる。
前記水洗膜面pHの範囲にけん化後のフィルムを調整する観点からは、アルカリ溶液を水洗のみでアルカリを洗い落とした後で0.01〜4.0Nの塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クロロ酢酸、シュウ酸などの酸性水溶液を通過させる態様が好ましい。
前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の偏光板の製造方法は、前記水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の両面に積層することがより好ましい。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板保護フィルムまたは本発明の偏光板を含むことを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、高温高湿条件下での劣化が少なく、長期間安定した性能を維持することができる。
また、本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板において、偏光子の一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムを用いていても、偏光子の両面に本発明の偏光板保護フィルムを用いていてもよい。
その中でも、本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板において、偏光子の一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムを用いていることが、いかなる理由に拘泥するものでもないが、偏光板の光学特性値を容易に制御する観点から好ましい。
前記偏光子が一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムを用いている場合、ガラス側(液晶セルと偏光子の間)保護フィルムに用いることが好ましい。前記偏光子のもう一方の面に用いる偏光板保護フィルム、好ましくは空気側(偏光子を挟んで液晶セルの逆側)保護フィルムとしては、公知のフィルムを用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、特に制限はない。例えば、フジタックTD80UF(富士フイルム(株)社製)や、特開2006−58322号公報、特開2009−122664号公報、特開2009−299075号公報などに記載のフィルムを用いることができる。
中でもフジタックTD80UFを用いることが、光学的均一性の観点から好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[偏光板保護フィルムの作成]
(セルロースアシレート溶液の調整)
下記成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調整した。
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セルロースアシレート溶液1の組成
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アセチル置換度2.42、重合度400のセルロースアセテート
100.0質量部
添加剤A 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
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本発明に用いられる添加剤は下記を使用した。添加剤は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。以下の添加剤A〜D、FおよびGは商業的に入手し、以下の添加剤Eは合成したものを用いた。
・添加剤A
扶桑化学工業(株)製 MDEC(具体的には、クエン酸ハーフエチルエステル化合物)
・添加剤B
理研ビタミン(株)製 ポエムK−37V
・添加剤C
東京化成工業(株)製 o−スルホベンズイミド
・添加剤D
和光純薬工業株式会社製 クエン酸無水物
・添加剤E
下記重縮合ポリエステル(重量平均分子量1200)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
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マット剤溶液2の組成
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平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
前記セルロースアシレート溶液1 10.3質量部
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作製した実施例1の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例1の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理した実施例1の偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成した実施例1の偏光板保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。
この際、偏光子の透過軸と作成した実施例1の偏光板保護フィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして実施例1の偏光板を作製した。
実施例1においてのセルロースアシレートの種類および置換度、添加剤の種類および添加量、空気側保護フィルムの種類を下記表3に記載したとおりに変更した以外は同様にして実施例2〜13及び比較例1〜8の偏光板を作成した。
なお、実施例6では、添加剤を添加せずに、水洗により膜面pHを調整した。具体的には、作製した酸性化合物を含まない実施例6の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、スプレーを用いて50℃の温水を10L/m2・分で1分間吹きかけた。さらに、0.2Nの硫酸溶液を通過させた後、100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例6の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
(偏光板保護フィルムの透湿度の測定)
JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気中、面積1m2の試料を24時間に通過する水蒸気の重量(g)を測定した。
得られた結果を下記表3に記載した。
25℃、80%で2時間以上調湿した24mm×35mmの偏光板保護フィルムを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
得られた結果を下記表3に記載した。
純水を窒素で15分間以上バブリングを行って作成した脱炭酸水50μlをフィルム上に滴下し、10分後の脱炭酸水のpHを平坦なガラスpH電極をフィルム面に接触させて測定した。なお、pH電極は東亜ディーケー株式会社製のGST−5723Sを使用した。得られた結果を下記表3に記載した。
各偏光板加工時の乾燥性を、以下の方法で測定し、以下の基準で評価した。
70度で乾燥を行ったときに、偏光子の含水率が9Wt%以下になるまでに要する時間が、
○: 10分未満。
△: 10分以上、20分未満。
×: 20分以上。
得られた結果を下記表3に記載した。
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率CTを本明細書に記載した方法で、UV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定し、10回測定の平均値を用いた。
その後、60℃、相対湿度95%の環境下で96時間(4日間)保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光子耐久性として下記表3にその結果を記載した。なお、調湿なしの環境下での相対湿度は、0%〜20%の範囲であった。
オートクレーブ中に、セルロースアシレート溶液1を20g秤量し、そのなかに幅2cm×長さ3cm切り出した厚み1mmのSUS316の試験片を浸漬した。オートクレーブを密閉し、90℃で72時間経時させたのちに、オートクレーブのふたを開け、SUS316の試験片の腐食およびこれに起因する有機酸溶液の変化を観察し、以下の基準により評価した。
◎:試験片表面の平滑性に変化がなく、有機酸溶液は無色透明。
○:試験片表面の平滑性の変化はほとんどないが、有機酸溶液は黄色に着色。
△:試験片表面が一部ざらざらしており、有機酸溶液は黄色に着色。
×:試験片表面がざらざらしており、有機酸溶液は茶褐色で濁りあり。
他の実施例および比較例についても同様にして評価を行い、その結果を下記表3に記載した。
市販の液晶テレビ(SONY(株)のブラビアJ5000)の2枚の偏光板をはがし、視認者側およびバックライト側に本発明の偏光板として、各実施例の偏光板保護フィルムを用いた本発明の偏光板を、各実施例の偏光板保護フィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして作製した本発明の液晶表示装置は市販の液晶テレビに対して、環境湿度を変えても斜めから観察した場合のコントラスト変化および色味変化が小さく、かつ高温高湿下で長時間使用してもコントラストの低下が小さく好ましかった。
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
Claims (12)
- セルロースアシレートを含み、
下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする偏光板保護フィルム。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。 - 膜面pHが3.0〜4.5であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
- 膜面pHが3.0〜6.0であり、透湿度が2800g/m2・day以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板保護フィルム。
- 含水率が4.0%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
- 下記一般式(1)で表される有機酸を前記セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜10質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(1)
X−L−(R1)n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。) - 前記セルロースアシレートの総アシル置換度が、1.0以上2.6未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
- 鹸化されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理する工程と、
アルカリ鹸化処理後の偏光板保護フィルムを水洗する工程と、
水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に積層する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。 - 請求項9に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
- 偏光子と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムまたは、請求項10または11に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
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