JP2011248336A - 偏光板保護フィルム、偏光板とその製造方法および液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿経時後の偏光子の劣化が少ない偏光板および該偏光板に用いることができる偏光板保護フィルムの提供。
【解決手段】セルロースアシレートを含み、下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする偏光板保護フィルム。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板保護フィルム、偏光板とその製造方法および液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の高性能化や大型化に伴い用途の拡大が進んできており、屋外など、従来よりも高温高湿環境下でも好適に使用されることが求められてきている。
ここで、液晶表示装置は、液晶セルの上下を2枚の偏光板で挟まれた構成をとっている。また、偏光板は、一般に偏光能を有する偏光子の両面あるいは片面に、接着剤層を介して偏光板保護フィルムを貼り合わされている。偏光子としてはポリビニルアルコール(以下、PVA)が主に用いられており、平行に配向しているPVA分子間にヨウ素または二色性染料が配向しており、さらに平行に並んだPVA分子をホウ素化合物が架橋することにより形成されたはしご状の空間にヨウ素などがしっかりと固定されている。一方、偏光板保護フィルムとしては、光学的に透明で複屈折が小さいことから、セルロースアシレートフィルムが好ましく用いられている。
しかし、このような偏光板を高温高湿環境下に放置しておくと、経時で偏光特性が低下してしまい、結果として液晶表示装置の表示性能が悪化してしまうという問題が生じる。これは吸水性の大きなPVAを偏光子に用いているため、吸湿により延伸したPVA分子の配向が乱れ、これに沿って配向、吸着しているヨウ素の配向の乱れ、脱着を生じ、偏光能が低下するためと考えられている。
ここで、保護フィルムとして用いられているセルロースアシレートフィルムは、屋内など通常の湿度環境下では十分に保護フィルムとしての機能を果たし、偏光子の吸湿を防ぐことが可能である。しかしながら、セルロースアシレートフィルムは一般的に透湿性が大きいために高温高湿環境下では環境湿度を透過しやすく、偏光子の吸湿を十分に防ぐことが困難であった。すなわち、近年液晶表示装置の使用が望まれてきている高温高湿環境下では、偏光板保護フィルムとしてセルロースアシレートフィルムを用いるとPVAの配向の乱れを生じやすくさせてしまい、偏光板の耐久性を向上させることができなくなってしまうという問題が生じていた。
このような湿熱環境下で偏光板の耐久性の問題を解決する方法として、特許文献1では特に偏光子に含まれるホウ素の配向状態が4配位を維持できるように偏光板内部の状態を制御することで、ホウ素化合物による架橋構造が堅牢となり、PVA鎖の広がりやそれに伴うヨウ素の散逸を防ぐ方法が挙げられている。具体的には、ホウ酸が3配位にならずに4配位の状態を保つように偏光板を製造する方法などが挙げられており、ホウ酸がセルロースアシレートのヒドロキシル基と反応しないように、この反応を触媒する酸(特に硫酸)をセルロースアシレートが含まないようにする方法が挙げられている。従来、セルロースアシレートフィルムを接着性改良のためにアルカリ鹸化処理した後で酸性水溶液を塗布して中和するのが一般的な方法であったところ、特許文献1ではこのような酸性水溶液でのアルカリの中和を行なわず、水洗のみでアルカリを除いてセルロースアシレートフィルムの膜面pHが5〜9になるように制御する方法が開示されている。
なお、同文献の[0035]には、セルロースアシレートフィルムの剥ぎ取り応力を小さくするために剥離剤として酸解離指数pKaが1.93〜4.50である酸を加えてもよいと記載されているが、上記の観点から実施例ではこのような酸を剥離剤として添加した例は検討されていない。
また、特許文献1に開示されているようなセルロースアシレートフィルムの膜面pHを制御する方法は、高温高湿経時後のフィルム強度を改善し、フィルムの着色を防ぐ方法としてその他の文献でも知られている。例えば特許文献2には、含水率が50〜1000ppm及びその純水浸漬pHが5〜7である総アシル置換度2.65のセルロースアセテートプロピオネートを用いて溶融製膜を行なう光学フィルムの製造方法が挙げられており、得られたフィルムの膜面pHが5〜7になることが開示されている。同文献では、高い強度であり着色の少ないフィルムを得るために溶融前のセルロースアシレートに含まれる酸性物質を全て中和する方法が開示されている。
なお、同文献では得られたフィルムを偏光板保護フィルムとして偏光板に組み込んだときに高温高湿経時をさせたときの偏光子耐久性を検討した例について開示も示唆もない。例えば、同文献実施例1ではフィルム膜面pH5.0とした例が開示されているが、高温高湿経時後の偏光子耐久性は検討されていない。また、同文献比較例1では総アシル置換度2.65のセルロースアセテートプロピオネートを用いて、膜面pH4.6と低下させた比較例も開示されているが、物理的強度が低く、高温高湿経時後にフィルムの着色が生じるため、好ましくないと記載されている。
特開2004−240042号公報 特開2006−208934号公報
本発明者らが特許文献1に記載の方法で得られた偏光板および液晶表示装置の高温高湿下での耐久性を検討したところ、依然として不満が残るものであり、さらなる改善が求められることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、高温高湿経時後の偏光子の劣化が少ない偏光板および該偏光板に用いることができる偏光板保護フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィルム膜面pHを3以上4.5以下とすることで、驚くほど顕著に高温高湿経時後の偏光子の劣化が抑制されることを見出すに至った。
一方、従来は偏光板保護フィルムの透湿度が高いほど、高温高湿環境下では環境湿度を透過しやすくなるために偏光子の吸湿を促進してしまうこととなり、偏光板耐久性も悪くなると考えられていた。しかし、本発明者らがフィルムの透湿度を2800g/m2・day以上にまで透湿度を高めた結果、フィルム膜面pHが4.5を超え6.0以下の範囲である場合にも高温高湿経時後の偏光子の劣化が抑制されることを見出すに至った。このように透湿度が高くても耐久性を改良することが出来ることは従来の知見に反するものであり、驚くべき結果であった。
すなわち、本発明者らは以下の構成によって上記課題が解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
[1] セルロースアシレートを含み、下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする偏光板保護フィルム。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
[2] 膜面pHが3.0〜4.5であることを特徴とする[1]に記載の偏光板保護フィルム。
[3] 膜面pHが3.0〜6.0であり、透湿度が2800g/m2・day以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の偏光板保護フィルム。
[4] 含水率が4.0%以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[5] 下記一般式(1)で表される有機酸を前記セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜10質量部含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(1)
X−L−(R1n
(一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
[6] 前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする[5]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(2)
Figure 2011248336
(式中、sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。)
[7] 前記セルロースアシレートの総アシル置換度が、1.0以上2.6未満であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[8] 鹸化されていることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[9] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理する工程と、アルカリ鹸化処理後の偏光板保護フィルムを水洗する工程と、水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に積層する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
[10] [9]に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
[11] 偏光子と、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
[12] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムまたは、[10または[11]に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、高温高湿経時後の偏光子の劣化が少ない偏光板および該偏光板に用いることができる偏光板保護フィルムを提供することができる。
本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
以下において、本発明の偏光板やそれに用いる偏光板保護フィルムなどについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[偏光板保護フィルム]
本発明の偏光板保護フィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、セルロースアシレートを含み、下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする。
条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
以下、本発明の偏光板保護フィルムの好ましい態様を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
<フィルム特性>
本発明の偏光板保護フィルムの第1の態様は、前記条件(1)を満たすこと、すなわち膜面pHが3.0〜4.5であることを特徴とする。
従来、このように膜面pHが4.5以下になるほど低下させると、セルロースアシレートの流延製膜時に流涎支持体(いわゆるバンドやドラム)を腐食させてしまい、フィルムの茶異物故障が発生してしまい、流延支持体の洗浄が必要になってしまうことが知られていた。そのため、製造コストの観点から、膜面pHを4.5以下に低下させることはほとんど実施されていなかった。しかしながら、本発明者らがこのような構成の偏光板保護フィルムを用いた偏光板を高温高湿経時させたところ、顕著に耐久性が改善されることがわかった。
ここで、本明細書中、膜面pHとは、純水を窒素で15分間以上バブリングを行って作成した脱炭酸水50μlをフィルム上に滴下し、10分後の脱炭酸水のpHを平坦なガラスpH電極をフィルム面に接触させて測定したpHのことを言う。
前記膜面pHは、3.0以上であることが、セルロースアシレートを分解しない観点から好ましい。また、前記膜面pHは、4.5以下であることが、透湿度によらず本発明の効果を得られる観点から好ましい。
また、本発明のフィルムの第1の態様では、前記膜面pHが3.5〜4.5であることがより好ましく、4.0〜4.5であることが特に好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムの第2の態様は、前記条件(2)を満たすこと、すなわち膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上であることを特徴とする。
膜面pHが4.5を超え6.0以下である場合には、上記範囲に透湿度を制御することで、本発明の効果を得ることができる。膜面pHが4.5を超え6.0以下の場合、透湿度が上記範囲を下回ると高温高湿環境下での偏光子耐久性は悪化しやすい傾向にある。また、従来は偏光板保護フィルムの透湿度が高いほど、高温高湿環境下では環境湿度を透過しやすくなるために偏光子の吸湿を促進してしまうこととなり、偏光子耐久性も悪くなると考えられていた。しかしながら、本発明者らが検討した結果、膜面pHが4.5を超え6.0以下である場合には、上記範囲に透湿度を制御することで、従来に知見に反して高温高湿環境下での偏光子耐久性が顕著に改善されることがわかった。いかなる理論に拘泥するものでもないが、フィルム透湿度が高いほうが、酸成分が偏光板のPVA層に拡散しやすく、酸添加による耐久性改良効果が高いと推定している。
前記膜面pHは、6.0以下であることが、高温高湿環境下での偏光子耐久性を改善する観点から好ましい。
また、本発明のフィルムの第2の態様では、膜面pHが4.5を超え6.0以下であるが、この場合は膜面pHが4.5を超え5.5以下であることがより好ましく、4.5を超え5.3以下であることが特に好ましい。
ここで、本明細書中、透湿度とは、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気中、面積1m2の試料を24時間に通過する水蒸気の重量のことを言う。
本発明のフィルムの第2の態様では、前記透湿度が2800〜5000g/m2・dayであることがより好ましく、2800〜4000g/m2・dayであることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、膜面pHが3.0〜6.0であり、透湿度が2800g/m2・day以上であることも好ましい。pHが3.0〜4.5の場合にも、透湿度が2800g/m2・day以上であると、フィルム透湿度が高いほうが、酸成分がPVA層に拡散しやすく、酸添加による耐久性改良効果が高まることとなり好ましい。この場合のフィルム透湿度の好ましい範囲は、本発明の第2の態様で挙げた好ましい範囲と同様である。
また、透湿度が2800g/m2・day以上である場合、前記膜面pHは3.5〜6.0であることがより好ましく、4.0〜6.0であることが特に好ましく、4.0〜5.5であることがより特に好ましく、4.5を超え5.3以下であることも好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、含水率が4.0%以上であることが偏光板加工時の乾燥性、すなわち偏光板の生産性が高まる観点から好ましい。
ここで、本明細書中、含水率とは、25℃、80%で2時間以上調湿した24mm×35mmの偏光板保護フィルムに含まれる水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した値のことを言う。
ここで言う含水率はすなわち、一定条件下におけるフィルムの含水率を意味しており、フィルムの水分の保持可能量に相当する。本発明の偏光板保護フィルムの含水率が上記範囲以上であると、特に本発明の偏光板保護フィルムの透湿度が高い場合に、偏光子と偏光板保護フィルムを積層(貼り合わせる)工程でPVAなどが保有する水分を外部へ逃す働きを本発明の偏光板保護フィルムが補助することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、含水率が4.0〜10.0%であることが好ましく、4.0〜8.0%であることがより好ましい。
(偏光板保護フィルムの厚み)
本発明のフィルムの厚みは30μm〜100μmが好ましく、30μm〜80μmがさらに好ましく、30μm〜60μmが最も好ましい。
<膜面pHを調整する方法>
(A) 酸性化合物
本発明における膜面pHを調整する方法として、まず、酸性化合物を添加する方法を挙げることができる。前記酸性化合物としては、本発明の趣旨に反しない限り、膜面pHを前記条件(1)または(2)を満たす範囲に調整できる任意の酸性化合物を用いることができる。
また、前記酸性化合物は、本発明のフィルムの膜面pHを調整するだけでなく、透湿度および/または含水率も本発明の好ましい範囲に調整できる化合物であることが好ましい。
その中でも、以下の酸性化合物を本発明では好ましく用いることができる。
(一般式(1)で表される酸性化合物)
本発明のフィルムは、下記一般式(1)で表される有機酸を含むことが、本発明の膜面pHを調整し、かつ、本発明のフィルムを流涎製膜により製造する場合に流涎支持体の腐食性を改善できる観点から、好ましい。
一般式(1)
X−L−(R1n
(式中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
前記一般式(1)で表される有機酸において、酸性基である前記X部分により溶液製膜設備(ドープを流涎するときの金属支持体)からの剥離性を改善することができる。剥離性が低下する機構として、流延するときの金属支持体の金属表面(例えば、ステンレスなど)と、ドープに含まれるセルロース中の極性部位(例えばOH基など)とが、直接もしくはドープ中に存在している成分(例えば、酸性基を有する化合物または不純物)を介して間接的に、水素結合の様な何らかの相互作用を生じさせて金属支持体とドープとの界面の密着力が増大する機構が想定される。この相互作用による剥離性低下機構を想定した場合、前記一般式(1)で表される有機酸はこの相互作用を低減または切断する作用を発現できると考えられる。
さらに、酸性基である前記X部分が支持体の金属表面に付着し、特定の構造の疎水性基である前記R1部分が支持体の金属表面を酸素等の酸化剤からブロックすることにより、前記R1の範囲から外れる疎水性基を有する有機酸に比べて、金属の腐食を防止することができる。特に前記流延支持体がステンレス(SUS)製であるときに好ましく用いることができる。
以下、本発明のフィルムに用いることができる酸性化合物について説明する。
一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸を表し、カルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基が好ましく、カルボキシル基、スルフォン酸基がさらに好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。なお、Xがアスコルビン酸基を表す場合は、アスコルビン酸の水素原子のうち、5位、6位の位置の水素原子が外れてLと連結していることが好ましい。
本明細書中、酸解離定数としては、化学便覧、丸善株式会社刊に記載の値を採用する。
一般式(1)中、R1は水素原子、炭素数6〜30のアルキル基(置換基を有してもよく、シクロアルキル基であってもよい)、炭素数6〜30のアルケニル基(置換基を有してもよい)、炭素数6〜30のアルキニル基(置換基を有してもよい)、炭素数6〜30のアリール基(置換基を有してもよい)、環員数6〜30の複素環基(置換基を有してもよい)を表す。置換基として、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1〜6)、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、水酸基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基等が挙げられる。
1はさらに好ましくは、炭素数6〜24のアリール基、環員数6〜24の複素環基、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のアリール基、環員数6〜20の複素環基、炭素数10〜24の直鎖のアルキル基、アルケニル基である。
一般式(1)におけるLは、単結合、あるいは、下記群から得られるユニットまたはこれらのユニットを組み合わせて得られる2価以上の連結基であることが好ましい。
ユニット:−O−、−CO−、−N(−R2)−(前記R2は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH=CH−、−CH(OH)−、−CH2−、−SO2−。
一般式(1)におけるLは、単結合、エステル基由来の連結基(−COO−、−OCO−)、またはアミド基由来の連結基(−CONR2−、−NR2CO−)を部分構造として有することが特に好ましい。
また、前記Lは、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R1が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でも−OH基またはアルキル基(より好ましくはカルボキシル基で置換されたアルキル基)が好ましい。
また、前記R2はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R1が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でもカルボキシル基が好ましい。
これらの中でも、前記Lはグリセリン由来の基またはイミノジ酢酸(−N(CH2COOH)(CH2COOH))由来の基を含む連結基であることがより好ましい。
前記Lとしては、具体的に以下の構造であることが好ましい。但し、以下においてp、q、rはそれぞれ1〜40の整数を表し、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。また、qは2〜4であることがより特に好ましい。
L1: −(CH2p−CO−O−(CH2q−O−;
L2: −(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OH))−(CH2r−O−;
L3: −(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−R3))−(CH2r−O−;
L4: −(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OH))−(CH2r−O−CO−;
L4’: −(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−R3))−(CH2r−O−CO−;
L5:−(CH2p−N(CH2COOH)−;
L6: −(CH2p−N(CH2COOH)−(CH2q−;
L7: −(CH2p−N(CH2COOH)−(CH2q−O−;
L8: −(CH2p−N(CH2COOH)−(CH2q−CONH−;
L9: −(CH2p−N(CH2COOH)−(CH2q−CONH−(CH2r−;
L10: −(CH2p−N(CH2COOH)−CO−;
L11: −(CH2p−N(CH2COOH)−CO−CH(CH2COOH)−;
L12: −(CH2p−N(CH2COOH)−SO2−。
なお、上記のLの具体例に含まれるR3は、前記一般式(1)における前記R1と同義である。すなわち、−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−R3))−(CH2r−O−という連結基におけるR3は便宜上Lの内部に記載しているだけであり、連結基LはR3を除いた部分を意味する。つまり、この場合Lは3価である。一般式(1)で表すと、X−L−(R12、[但しLは−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−))−(CH2r−O−を表す]と記載でき、すなわちこのときの連結基Lは3価の連結基となっている。
前記Lと前記Xはエステル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合で結合していることがより好ましい。また、前記Xにはエステル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
前記Lと前記R1はエステル結合、エーテル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合またはアミド結合で結合していることがより好ましく、エステル結合で結合していることが特に好ましい。また、前記R1にはエステル結合やエーテル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
以下に前記一般式(1)で表される有機酸の好ましい具体例を以下に挙げる。
《脂肪酸》
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、ウンデカン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
《ジアルキルスルフォコハク酸》
ジオクチルスルフォコハク酸、ジヘキシルスルフォコハク酸、ジシクロヘキシルコハク酸、ジアミルスルフォコハク酸、ジトリデシルシクロコハク酸。
≪一般式(2)で表される多価カルボン酸≫
前記一般式(1)で表される有機酸は、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることが好ましい。
一般式(2)
Figure 2011248336
(式中、sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。)
sおよびtは、より好ましくは、それぞれ独立して1または2であり、さらに好ましくは1である。
4は、より好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(置換基を有してもよく、シクロアルキル基であってもよい)、炭素数6〜30のアリールスルホニル基(置換基を有してもよい)、アシル基(置換基を有してもよい)であり、炭素数1〜30のアルキル基であることがより好ましく、さらに好ましくは、炭素数1〜24のアルキル基(置換基を有してもよい)であり、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。
4が表す基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、水酸基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、カルボキシル基等が挙げられる。R4が表す基の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アシル基、アリール基、カルバモイル基、であり、さらに好ましくは、アリール基、カルバモイル基である。
4が表す基の置換基は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基の好ましい範囲は前記R4が表す基の置換基の好ましい範囲と同様である。
また、R4として最も好ましいのは、アリール基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基、または、カルバモイル基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基であり、該カルバモイル基はアリール基で置換されていることが好ましい。さらに該アリール基は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基で置換されていることが最も好ましい。
前記一般式(2)で表されるカルボン酸誘導体の具体例としては、例えば式(3)で表されるN−(2,6−ジエチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
Figure 2011248336
式(4)で表されるN−ベンジルイミノジ酢酸;
Figure 2011248336
式(5)〜(12);
Figure 2011248336
式(13)で表されるラウラミノジ酢酸;
Figure 2011248336
式(14)〜(22);
Figure 2011248336
で表される化合物が挙げられる。
《多価有機酸の一部誘導体》
前記一般式(1)で表される有機酸は、多価有機酸の一部誘導体であることが本発明の膜面pHを調整し、かつ、本発明のフィルムを流涎製膜により製造する場合に流涎支持体の腐食性を改善できる観点から好ましい。本明細書中、多価有機酸の一部誘導体とは、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価有機酸がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換の酸性基を少なくとも1つ有する化合物のことを言う。なお、本明細書中、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を意味する。すなわち、本明細書中における脂肪酸は、いわゆる高級脂肪酸に限定されるものではなく、酢酸やプロピオン酸などの炭素数12以下の低級脂肪酸も含まれる。
前記多価有機酸の一部誘導体は、多価カルボン酸の一部誘導体であることが好ましい。すなわち、前記一般式(1)で表される有機酸は、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記多価カルボン酸の一部誘導体に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記多価有機酸の一部誘導体に用いられる前記多価アルコールとしては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、グリセリン等を挙げることができる。その中でも、グリセリンが好ましく、前記一般式(1)で表される有機酸はいわゆる有機酸グリセリドであることが好ましい。
前記一般式(1)で表される有機酸としては、有機酸の酸性基Xが、グリセリン由来の基を含む連結基Lを介して、疎水性部R1と結合している有機酸グリセリド(グリセリン脂肪酸有機酸エステル)が本発明の膜面pHを調整し、かつ、本発明のフィルムを流涎製膜により製造する場合に流涎支持体の腐食性を改善できる観点から好ましい。ここで、本明細書中における有機酸グリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち1個または2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
その中でも、有機酸モノグリセリドまたは有機酸ジグリセリドがより好ましく、有機酸モノグリセリドがより特に好ましい。本明細書中における有機酸モノグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。本明細書中における有機酸ジグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個が無置換の水酸基であり、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物であることがより特に好ましい。前記有機酸モノグリセリドの脂肪酸とエステル結合している水酸基は非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましく、前記有機酸モノグリセリドの多価有機酸とエステル結合している水酸基は同様に非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましい。すなわち、前記有機酸モノグリセリドの中でも、無置換の水酸基を有し、かつ脂肪酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子と、多価有機酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子とが隣り合わない構造の化合物であることが好ましい。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、多価カルボン酸のモノグリセリドがより特に好ましい。前記多価カルボン酸のモノグリセリドとは、多価カルボン酸のうち、少なくとも1つが無置換のカルボキシル基を有し、その他のカルボキシル基がモノグリセリドで置換されている有機酸のことを言う。すなわち、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子が結合したカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドが特に好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等があげられる。
以下に、本発明に使用することができるカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドについて詳しく説明する。
本発明で使用することができるカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドは、一般的には、特開平4−218597号公報、特許第3823524号公報等に記載されている方法に従って、多価有機酸の無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後においえて90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物のまま使用してもよい。
前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中のカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドを蒸留等により精製すればよく、また、純度の高いカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば、理研ビタミン社製ポエムB−30、同ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等があげられる。
本発明のフィルムに含まれる前記一般式(1)で表される有機酸の添加量は、前記セルロースアシレートに対して0.1質量%〜10質量%の割合であり、0.5質量%〜10質量%であることが特に好ましく、1.5質量%〜5質量%であることがより特に好ましく、2.5質量%〜5質量%であることがより特に好ましい。
添加量が0.1%以上であれば偏光子耐久性改良効果および剥離性改良効果が十分となる。また、10質量%以下の添加量であれば、高温高湿経時において有機酸がブリードアウトし難く、偏光板の直交透過率が上昇しにくく、好ましい。
本発明のフィルムに含まれる前記一般式(1)で表される有機酸の濃度は、フィルム100gあたり0.2〜40mmolであることが好ましく、0.5〜5mmolであることがより好ましく、0.6〜4.5mmolであることが特に好ましく、0.8〜4.0mmolであることがより特に好ましい。
(その他の酸性化合物)
前記一般式(1)で表される有機酸の他、本発明のフィルムに公知の酸性化合物を添加してもよい。前記公知の酸性化合物としては、例えば特開2006−45497号公報の段落番号0048〜0069に記載の化合物を好ましく用いることができる。例えば、有機、無機の酸性化合物、界面活性剤、キレート剤等を使用することができる。
前記酸性化合物は、有機酸、多価カルボン酸の部分アルコールエステル、界面活性剤またはキレート剤であることが好ましい。
多価カルボン酸の部分アルコールエステルとしては、特開2006−45497号公報の段落番号0049に記載の化合物を好ましく用いることができる。
前記界面活性剤としては、特開2006−45497号公報の段落番号0050〜0051に記載の化合物を好ましく用いることができる。
キレート剤は、鉄イオンなど金属イオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンなどの多価イオンを配位(キレート)できる化合物であり、前記キレート剤としては、特公平6−8956号、特開平11−190892号、特開2000−18038号、特開2010−158640号、特開2006−328203号、特開2005―68246号、特開2006−306969号の公報または明細書に記載の化合物を用いることができる。
本発明のフィルムに含まれる全ての酸性化合物の合計添加量は、前記樹脂に対して0.001質量%(10ppm)〜20質量%(200000ppm)の割合が好ましく、0.005質量%(50ppm)〜15質量%(150000ppm)であることがより好ましく、0.01質量%(100ppm)〜10質量%(100000ppm)であることが特に好ましく、0.03質量%(300ppm)〜10質量%(100000ppm)であることが特により好ましく、0.1質量%(1000ppm)〜5質量%(50000ppm)であることがさらにより特に好ましい。
(B) フィルム面を水洗する方法
本発明における膜面pHを調整する方法としては、フィルム面を水洗する方法を挙げることができる。具体的には、本発明のフィルムを一度製膜した後で、鹸化処理を行い、その後水洗することにより膜面pHを調整してから、偏光子と貼り合わせてもよい。膜面pHを上記範囲に調整するための鹸化処理後の偏光板保護フィルムの水洗方法としては、以下の方法を挙げることができる。
水洗の後に0.01〜4.0Nの塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クロロ酢酸、シュウ酸などの酸性水溶液を通過させる。
なお、その他の鹸化処理の態様については、後述の本発明の偏光板保護フィルムを製造する方法における鹸化工程や、同じく後述する偏光板の製造方法において詳細を述べる。
<セルロースアシレート>
(原料)
本発明に用いられるセルロースアシレートは、特に定めるものではない。アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
まず、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明のフィルムは、前記セルロースアシレートの全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は1.0以上2.6未満であることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.6であり、特に好ましくは2.0〜2.6である。前記セルロースアシレートの全アシル置換度が上記範囲であることで、本発明のフィルムの透湿度および/または含水率を本発明の好ましい範囲に調整できる。
また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.08〜0.66が好ましく、より好ましくは0.15〜0.60、さらに好ましくは0.20〜0.45である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は全アシル置換度に対する6位のアシル置換度の割合であり、以下「6位のアシル置換率」とも言う。
本発明のフィルムに用いられるセルロースアシレートのアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアシル基としてはプロピオニル基またはブチリル基が好ましい。2位、3位および6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位および6位の水酸基のプロピオニル基またはブチリル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は1.0以上2.6未満であることが好ましい。DSBの値は0〜1.70であることが好ましく、0〜1.2であることがより好ましく、0〜0.5であることが特に好ましく、0であること、すなわち前記セルロースアシレートがセルロースアセテートであることがより特に好ましい。DSAとDSBの値を上記の範囲にすることで環境湿度によるRe値、Rth値の変化の小さいフィルムが得ることができ好ましい。
さらにDSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上が6位水酸基の置換基であることがさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。これらのフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低くろ過性のよい溶液の作成が可能となる。
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
セルロースのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
<その他の添加剤>
本発明のフィルムは、前記酸性化合物以外の各種の添加剤を含んでいてもよい。
本発明では添加剤として、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の高分子量添加剤および低分子量添加剤を広く採用することができる。
本発明のフィルムでは、添加剤の添加量は、セルロースアシレートに対して1〜35質量%であることが好ましく、4〜30質量%であることがより好ましく10〜25質量%であることがさらに好ましい。添加剤の添加量が1質量%以上であれば、温度湿度変化に対応しやすく、添加量が35質量%以下であればフィルムが白化しにくい。さらに、物理的特性も優れるものとなる。
ここで、本発明における添加剤とは、本発明の光学フィルムの諸機能の向上等を目的として添加される成分であり、セルロースアシレートに対し、1質量%以上の範囲で含まれている成分をいう。すなわち、不純物や残留溶媒等は、本発明における添加剤ではない。
また、本発明では、2種類以上の添加剤を用いることができる。2種類以上用いることにより、それぞれの添加剤により、光学特性、フィルム弾性率、フィルム脆性や、ウェブハンドリング適性を両立できるというメリットがある。
前記添加剤としては、例えば、非リン酸エステル系の化合物;マット剤;レターデーション調整剤(レターデーション発現剤およびレターデーション低減剤);フタル酸エステル、リン酸エステル系の化合物などの可塑剤;劣化(酸化)防止剤;紫外線吸収剤;酸性化合物などの添加剤を加えることができる。
以下、本発明のフィルムに好ましく用いることができる添加剤について詳細に説明する。
(1) 非リン酸エステル系の化合物
本発明のフィルムは、非リン酸エステル系の化合物を含むことが、レターデーションと低ヘイズ化の両立の観点から好ましい。
また、本明細書中、「非リン酸エステル系の化合物」とは、「エステル結合を有する化合物であって、該エステル結合に寄与する酸がリン酸以外である化合物」のことを言う。すなわち、「非リン酸エステル系の化合物」は、リン酸を含まず、エステル系である、化合物を意味する。
また、前記非リン酸エステル系の化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー(高分子化合物)であってもよい。以下、ポリマー(高分子化合物)である非リン酸エステル系の化合物のことを、非リン酸エステル系ポリマーとも言う。
以下、本発明に用いられる非リン酸エステル系の化合物について説明する。
前記非リン酸エステル系の化合物としては、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の高分子量添加剤および低分子量添加剤を広く採用することができる。
前記非リン酸エステル系の化合物の含量は、前記セルロースアシレートに対して、0〜35質量%であることが好ましく、0〜18質量%であることがより好ましく、0〜15質量%であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムに非リン酸エステル系の化合物として用いられる高分子量添加剤は、その化合物中に繰り返し単位を有するものであり、数平均分子量が700〜10000のものが好ましい。高分子量添加剤は、溶液流延法において、溶媒の揮発速度を速める機能や、残留溶媒量を低減する機能も有する。さらに、機械的性質向上、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示す。
ここで、本発明における非リン酸エステル系の化合物である高分子量添加剤の数平均分子量は、より好ましくは数平均分子量700〜8000であり、さらに好ましくは数平均分子量700〜5000であり、特に好ましくは数平均分子量1000〜5000である。
以下、本発明に用いられる非リン酸エステル系の化合物である高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、本発明で用いられる非リン酸エステル系の化合物である高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでないことは言うまでもない。
また、前記非リン酸エステル系の化合物は、非リン酸エステル系のエステル系化合物であることが好ましい。但し、前記「非リン酸エステル系のエステル系化合物」は、リン酸エステルを含まず、エステル系である、化合物を意味する。
非リン酸エステル系の化合物である高分子系添加剤としては、ポリエステル系ポリマー(脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー等)、ポリエステル系成分と他の成分の共重合体などが挙げられ、脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー(脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー等)とアクリル系ポリマーの共重合体およびポリエステル系ポリマー(脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー等)とスチレン系ポリマーの共重合体が好ましく、少なくとも共重合成分の1つとして芳香族環を含有するポリエステル化合物であることがより好ましい。
前記脂肪族ポリエステル系ポリマーとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2〜12の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のジオールとの反応によって得られるものであり、かつ反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸類やモノアルコール類またはフェノール類を反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特にフリーなカルボン酸類を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効である。本発明のポリエステル系ポリマーに使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸残基であることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
これらの中でも好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。特に好ましくは、脂肪族ジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸である。
前記高分子量添加剤に利用されるジオールは、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールから選ばれるものである。
炭素原子2〜20の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールおよび脂環式ジオール類を挙げることができ、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、特に好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテルグリコールならびにこれらの組み合わせが挙げられる。その平均重合度は、特に限定されないが好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらには2〜5であり、特に好ましくは2〜4である。これらの例としては、典型的に有用な市販のポリエーテルグリコール類としては、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluronics) レジンおよびニアックス(Niax)レジンが挙げられる。
本発明においては、特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止された高分子量添加剤であることが好ましい。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、高温高湿での経時劣化に対して有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが要因となっている。
前記高分子量添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
好ましく使用され得る末端封止用アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコールであり、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、シクロヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ベンジルアルコールである。
また、モノカルボン酸残基で封止する場合は、モノカルボン酸残基として使用されるモノカルボン酸は、炭素数1〜30の置換、無置換のモノカルボン酸が好ましい。これらは、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族環含有カルボン酸でもよい。好ましい脂肪族モノカルボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族環含有モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−tert−アミル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上を使用することができる。
かかる前記高分子量添加剤の合成は、常法により上記脂肪族ジカルボン酸とジオールおよび/または末端封止用のモノカルボン酸またはモノアルコール、とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。これらのポリエステル系添加剤については、村井孝一編者「添加剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
前記芳香族ポリエステル系ポリマーは、前記ポリエステルポリマーに芳香環を有するモノマーを共重合することによって得られる。芳香環を有するモノマーとしては、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、炭素数6〜20の芳香族ジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のモノマーである。
炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。これらの中でも好ましい芳香族ジカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、である。
炭素数6〜20の芳香族ジオールとしては、特に限定されないがビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールが挙げられ、好ましくはビスフェノールA、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールである。
本発明では、芳香族ポリエステル系ポリマーは前述のポリエステルに芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールのそれぞれの少なくとも一種類を組み合わせて用いられるが、その組み合わせは特に限定されるものではなく、それぞれの成分を数種類組み合わせても問題ない。本発明においては、前述のように、特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止された高分子量添加剤であることが好ましく、封止には前述の方法を使用することができる。
以下に、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーの具体例を記すが、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2011248336
Figure 2011248336
表1および表2中、PAはフタル酸を、TPAはテレフタル酸を、IPAはイソフタル酸を、AAはアジピン酸を、SAはコハク酸を、2,6−NPAは2,6−ナフタレンジカルボン酸を、2,8−NPAは2,8−ナフタレンジカルボン酸を、1,5−NPAは1,5−ナフタレンジカルボン酸を、1,4−NPAは1,4−ナフタレンジカルボン酸を、1,8−NPAは1,8−ナフタレンジカルボン酸をそれぞれ示している。
(2)マット剤
本発明のフィルムは、マット剤を含有することが、フィルムすべり性、および安定製造の観点から好ましい。前記マット剤は、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
前記無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。前記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。前記酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
前記有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
これらのマット剤をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、特にその方法に限定されずいずれの方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができれば問題ない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、所謂直前添加方法でありその混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して用いられる。具体的には、インラインミキサーのような静的混合機が好ましく、また、インラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなものが好ましい。なお、インライン添加に関しては、濃度ムラ、粒子の凝集等をなくすために、特開2003−053752号公報には、セルロースアシレートフィルムの製造方法において、主原料ドープに異なる組成の添加液を混合する添加ノズル先端とインラインミキサーの始端部の距離Lが、主原料配管内径dの5倍以下とする事で、濃度ムラ、マット粒子等の凝集をなくす発明が記載されている。さらに好ましい態様として、主原料ドープと異なる組成の添加液供給ノズルの先端開口部とインラインミキサーの始端部との間の距離(L)が、供給ノズル先端開口部の内径(d)の10倍以下とし、インラインミキサーが、静的無攪拌型管内混合器または動的攪拌型管内混合器であることが記載されている。さらに具体的には、セルロースアシレートフィルム主原料ドープ/インライン添加液の流量比は、10/1〜500/1、好ましくは50/1〜200/1であることが開示されている。さらに、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムを目的とした発明の特開2003-014933号にも、添加剤を添加する方法として、溶解釜中に添加してもよいし、溶解釜〜共流延ダイまでの間で添加剤や添加剤を溶解または分散した溶液を、送液中のドープに添加してもよいが、後者の場合は混合性を高めるため、スタチックミキサー等の混合手段を設けることが好ましいことが記載されている。
(3)レターデーション発現剤
本発明のフィルムは、レターデーション発現剤を含有していてもよい。前記レターデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状または円盤状化合物からなるものや、前記非リン酸エステル系の化合物のうちレターデーション発現性を示す化合物を挙げることができる。上記棒状または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
(4)可塑剤
本発明に用いられる可塑剤としては、セルロースアシレートの可塑剤として知られる多くの化合物も有用に使用することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
<偏光板保護フィルムの製造方法>
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、特に制限はなく、本発明の趣旨に反しない限りにおいて公知の方法を用いることができる。例えば、前記セルロースアシレートと、好ましくは前記酸性化合物を含む溶液を製膜して製造することができる。一方、前記酸性化合物を用いない場合は、前述のフィルム面を水洗する方法を用いて、製造することができる。
製膜の方法についても本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく、溶液流延製膜(ソルベントキャスト法)により製造しても、溶融製膜により製造してもよい。その中でも、ソルベントキャスト法を用いることが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。本発明では、セルロースアシレート溶液に前記酸性化合物を偏光板保護フィルムフィルムに添加するタイミングは、特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時にセルロースアシレートと混合してもよい。
本発明に用いられるドープにおいて、セルロースアシレートの量は、得られるドープ中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法においてドープ中に用いられる溶媒は、溶液流延に用いられる溶媒であれば公知のものを採用することができるが、よりヘイズを低下させる観点から、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素の例として、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化メチル、四塩化炭素、トリクロル酢酸、臭化メチル、ウ化メチル、トリ(テトラ)クロロエチレン等が挙げられ、少なくともジクロロメタンを含むことが好ましい。
本発明ではさらに、貧溶媒を3〜30重量%の割合で含むことが好ましく、5〜20重量%の割合で含むことがより好ましい。貧溶媒を上記範囲内で含むことにより、セルロースアシレートとの相溶性が向上し、ヘイズがより低下する傾向にあり好ましい。
さらに、貧溶媒の沸点は、120℃以下であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。沸点を120℃以下とすることにより、溶媒の乾燥速度をより早くすることができ好ましい。
このような貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよび水が好ましい例として挙げられ、メタノールがより好ましい。
一般的な方法で前記ドープを調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。ドープは、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器(タンク等)に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、前記ドープを調製することもできる。
(製膜工程)
本発明では、調製したドープから、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレテートフィルムを製造することが好ましい。
本発明のフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
調製したドープは、無端金属支持体上、例えば金属ドラムまたは金属支持体(バンドあるいはベルト)上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成することが好ましい。流延前のドープは、セルロース量が10〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
ドープは、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく、特には−50〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
(流延支持体の洗浄)
本発明の偏光板保護フィルムを製造するときは、前記pHを調整する方法として、酸性化合物を用いることが好ましい。その場合、用いる酸性化合物については上述したとおりであるが、その中でも流涎支持体(好ましくはSUS)への腐食性を有する酸性化合物を用いる場合は、前記流延支持体(金属支持体)が腐食することを防ぐ観点から、流延支持体を洗浄しながら製膜することが好ましい。
前記流延支持体の洗浄方法としては、特に制限はない。
(乾燥工程)
ドラムやベルト上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送されることが好ましい。乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量および乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
(延伸工程)
また、ウェブ中の残留溶媒量が120質量%未満の時に延伸することが好ましい。
なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100%
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量のさらに好ましい範囲は10質量%〜50質量%、特に12質量%〜30質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率Nx、Ny、Nzを本発明の範囲に入れるために有効な方法である。例えば流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大きすぎると、Nzの値が大きくなりすぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制あるいは、幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、例えばテンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボ−イング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボ−イング現象を抑制でき、幅手の位相差の分布を少なく改善できるのである。さらに、互いに直交する2軸方向に延伸することにより得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。光学フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなる。光学フィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ1.2〜2.0倍、0.7〜1.0倍の範囲とすることが好ましい。ここで、一方の方向に対して1.2〜2.0倍に延伸し、直交するもう一方を0.7〜1.0倍にすることは、フィルムを支持しているクリップやピンの間隔を延伸前の間隔に対して0.7〜1.0倍の範囲にすることを意味している。
一般に、2軸延伸テンターを用いて幅手方向に1.2〜2.0倍の間隔となるように延伸する場合、その直角方向である長手方向には縮まる力が働く。
したがって、一方向のみに力を与えて続けて延伸すると直角方向の幅は縮まってしまうが、これを幅規制せずに縮まる量に対して、縮まり量を抑制していることを意味しており、その幅規制するクリップやピンの間隔を延伸前に対して0.7〜1.0倍の範囲に規制していることを意味している。このとき、長手方向には、幅手方向への延伸によってフィルムが縮まろうとする力が働いている。長手方向のクリップあるいはピンの間隔をとることによって、長手方向に必要以上の張力がかからないようにしているのである。ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
(鹸化処理)
本発明の偏光板保護フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与することができる。本発明のフィルムは、製膜された後にさらに鹸化処理されていることが好ましい。また、鹸化処理された後、偏光子と貼り合わせるときにおいて、膜面pHが本発明の範囲であることが好ましい。
前記鹸化処理の方法については、偏光板の製造方法において詳細を示した。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムが積層されていることが偏光板の光学特性値を容易に制御する観点からより好ましい。
前記偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如き親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。
(偏光板の性能)
本発明のフィルムを用いた偏光板は高温高湿条件下での劣化が少なく、長期間安定した性能を維持することができる。
偏光板の直交透過率CTについて、偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行うことができる。(1)の偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に本発明の偏光板保護フィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じのものを2つ用意する。(2)の偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態での測定は、ガラスの上に偏光板を本発明の偏光板保護フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板直交透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。本発明の実施例では、上記(1)および(2)の試験方法のうち、(2)の試験方法を採用した。
[偏光板の製造方法]
以下、本発明の偏光板の製造方法について述べる。
本発明の偏光板の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
鹸化の方法については、特に制限はないが、例えば特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載され、偏光板の偏光子の作り方、偏光板の光学特性等については同公報の〔0213〕〜〔0255〕に記載されており、これらの記載を基に本発明のフィルムを保護フィルムに用いた偏光板を作製することができる。
例えば本発明の偏光板保護フィルムに対するアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルなどで行われることが一般的であるが、本発明はこのような態様に限定されない。すなわち、本発明の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理した後の偏光板保護フィルムを、酸性溶液により中和してもよく、酸性溶液で中和した後で水洗してもよく、酸性溶液により中和せずに水洗のみでアルカリを洗い落とした後で酸性溶液を通過させてもよい。なお、本明細書中、水洗により膜面pHを調整するという場合は、酸性溶液により中和せずに水洗のみでアルカリを洗い落とした後で酸性溶液を通過させる態様も含む。
前記水洗膜面pHの範囲にけん化後のフィルムを調整する観点からは、アルカリ溶液を水洗のみでアルカリを洗い落とした後で0.01〜4.0Nの塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クロロ酢酸、シュウ酸などの酸性水溶液を通過させる態様が好ましい。
前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
その中でも、本発明の偏光板の製造方法は、本発明の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理する工程と、アルカリ鹸化処理後の偏光板保護フィルムを水洗する工程と、水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に積層する工程を含むことが好ましい。特に、本発明の偏光板保護フィルムがアルカリ鹸化処理の前の時点で前記酸性化合物を含んでいない場合には、アルカリ鹸化処理後の偏光板保護フィルムを水洗する工程を含んでいることが好ましく、酸性溶液により中和せずに水洗のみを行なう工程を含んでいることがより好ましい。
また、本発明の偏光板保護フィルムと前記偏光子の積層方法としては特に制限はないが、鹸化処理された本発明の偏光板保護フィルムと前記偏光子を、接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。前記接着剤としては、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコ−ル水溶液が好ましく用いられる。
本発明の偏光板の製造方法は、前記水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の両面に積層することがより好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板保護フィルムまたは本発明の偏光板を含むことを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、高温高湿条件下での劣化が少なく、長期間安定した性能を維持することができる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を1枚含んでいても、2枚含んでいてもよい。
また、本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板において、偏光子の一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムを用いていても、偏光子の両面に本発明の偏光板保護フィルムを用いていてもよい。
その中でも、本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板において、偏光子の一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムを用いていることが、いかなる理由に拘泥するものでもないが、偏光板の光学特性値を容易に制御する観点から好ましい。
前記偏光子が一方の面だけに本発明の偏光板保護フィルムを用いている場合、ガラス側(液晶セルと偏光子の間)保護フィルムに用いることが好ましい。前記偏光子のもう一方の面に用いる偏光板保護フィルム、好ましくは空気側(偏光子を挟んで液晶セルの逆側)保護フィルムとしては、公知のフィルムを用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、特に制限はない。例えば、フジタックTD80UF(富士フイルム(株)社製)や、特開2006−58322号公報、特開2009−122664号公報、特開2009−299075号公報などに記載のフィルムを用いることができる。
中でもフジタックTD80UFを用いることが、光学的均一性の観点から好ましい。
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板8からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1および下側偏光板8は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、少なくとも一方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが本発明の保護フィルムであることが好ましい。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護フィルム、偏光子、本発明の偏光板保護フィルムの順序で積層することが好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
本発明の液晶表示装置は、特に液晶セルのモードに制限はないが、例えば、TNモード、VAモード、OCBモードであることが好ましく、VAモードであることがより好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板8の吸収軸9は略直交に積層する。液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層5中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図1において、符号4および7は、配向制御方向である。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用することが好ましい。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。本発明の偏光板保護フィルムが位相差フィルムである場合、この問題を解決するために光学補償シート(位相差フィルム)として、本発明の偏光板保護フィルムを配置することができる。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすることも好ましい。
(マルチドメイン)
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しづらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
[偏光板保護フィルムの作成]
(セルロースアシレート溶液の調整)
下記成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調整した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.42、重合度400のセルロースアセテート
100.0質量部
添加剤A 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(添加剤)
本発明に用いられる添加剤は下記を使用した。添加剤は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。以下の添加剤A〜D、FおよびGは商業的に入手し、以下の添加剤Eは合成したものを用いた。
・添加剤A
扶桑化学工業(株)製 MDEC(具体的には、クエン酸ハーフエチルエステル化合物)
・添加剤B
理研ビタミン(株)製 ポエムK−37V
・添加剤C
東京化成工業(株)製 o−スルホベンズイミド
・添加剤D
和光純薬工業株式会社製 クエン酸無水物
・添加剤E
下記重縮合ポリエステル(重量平均分子量1200)
Figure 2011248336
Figure 2011248336
Figure 2011248336
(マット剤溶液2の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液2の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
前記セルロースアシレート溶液1 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液2の1.3質量部とセルロースアシレート溶液1を98.7質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合した。混合した溶液を、バンド流延機を用いて流延し、80℃で残留溶媒含量30%まで乾燥した後、フィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムは、テンター延伸装置を用いて145℃の雰囲気下に搬送方向と垂直な方向に30%の倍率で延伸した。延伸後のフィルムをさらに140℃の雰囲気温度で20分乾燥させ、実施例1の偏光板保護フィルムを製造した。製造された偏光板保護フィルムの膜厚は55μmであった。
〔偏光板保護フィルムの鹸化処理(1)〕
作製した実施例1の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例1の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
〔偏光板の作製〕
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理した実施例1の偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成した実施例1の偏光板保護フィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。
この際、偏光子の透過軸と作成した実施例1の偏光板保護フィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして実施例1の偏光板を作製した。
[実施例2〜13、比較例1〜8]
実施例1においてのセルロースアシレートの種類および置換度、添加剤の種類および添加量、空気側保護フィルムの種類を下記表3に記載したとおりに変更した以外は同様にして実施例2〜13及び比較例1〜8の偏光板を作成した。
〔偏光板保護フィルムの鹸化処理(2)〕
なお、実施例6では、添加剤を添加せずに、水洗により膜面pHを調整した。具体的には、作製した酸性化合物を含まない実施例6の偏光板保護フィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、スプレーを用いて50℃の温水を10L/m2・分で1分間吹きかけた。さらに、0.2Nの硫酸溶液を通過させた後、100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例6の偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
なお、下記表3中、添加剤の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対する、質量部を表す。また、下記表3中、脂環式構造含有重合体樹脂フィルムは特開2006−58322号公報の実施例中の製造例2に従って作製し、アクリル系樹脂フィルムは特開2009−122664号公報の実施例中の透明保護フィルム1に記載の方法により作製し、セルロースアシレート系樹脂とアクリル系樹脂の混合樹脂フィルムは特開2009−299075号公報の実施例中の光学フィルム1に記載の方法により作製した。
<評価>
(偏光板保護フィルムの透湿度の測定)
JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気中、面積1m2の試料を24時間に通過する水蒸気の重量(g)を測定した。
得られた結果を下記表3に記載した。
(偏光板保護フィルムの含水率の測定)
25℃、80%で2時間以上調湿した24mm×35mmの偏光板保護フィルムを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出した。
得られた結果を下記表3に記載した。
(偏光板保護フィルムの膜面pHの測定)
純水を窒素で15分間以上バブリングを行って作成した脱炭酸水50μlをフィルム上に滴下し、10分後の脱炭酸水のpHを平坦なガラスpH電極をフィルム面に接触させて測定した。なお、pH電極は東亜ディーケー株式会社製のGST−5723Sを使用した。得られた結果を下記表3に記載した。
(偏光板加工時の乾燥性)
各偏光板加工時の乾燥性を、以下の方法で測定し、以下の基準で評価した。
70度で乾燥を行ったときに、偏光子の含水率が9Wt%以下になるまでに要する時間が、
○: 10分未満。
△: 10分以上、20分未満。
×: 20分以上。
得られた結果を下記表3に記載した。
(偏光板耐久性の評価)
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率CTを本明細書に記載した方法で、UV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定し、10回測定の平均値を用いた。
その後、60℃、相対湿度95%の環境下で96時間(4日間)保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光子耐久性として下記表3にその結果を記載した。なお、調湿なしの環境下での相対湿度は、0%〜20%の範囲であった。
(有機酸含有溶液のSUS腐食性評価)
オートクレーブ中に、セルロースアシレート溶液1を20g秤量し、そのなかに幅2cm×長さ3cm切り出した厚み1mmのSUS316の試験片を浸漬した。オートクレーブを密閉し、90℃で72時間経時させたのちに、オートクレーブのふたを開け、SUS316の試験片の腐食およびこれに起因する有機酸溶液の変化を観察し、以下の基準により評価した。
◎:試験片表面の平滑性に変化がなく、有機酸溶液は無色透明。
○:試験片表面の平滑性の変化はほとんどないが、有機酸溶液は黄色に着色。
△:試験片表面が一部ざらざらしており、有機酸溶液は黄色に着色。
×:試験片表面がざらざらしており、有機酸溶液は茶褐色で濁りあり。
他の実施例および比較例についても同様にして評価を行い、その結果を下記表3に記載した。
Figure 2011248336
表3より、実施例1〜13に記載の偏光板保護フィルムは、偏光板に組み込んだときの高温高湿経時後の直交透過率変化がいずれも小さく、実施例1〜13の偏光板は高温高湿経時後の偏光子耐久性が高いことがわかった。
なお、添加剤A、CおよびDを用いたときに流涎支持体を洗浄しながら製膜をしたところ、特に流涎支持体の腐食や、得られる偏光板保護フィルムに茶異物故障が発生しないことがわかった。
〔液晶表示装置の作製〕
市販の液晶テレビ(SONY(株)のブラビアJ5000)の2枚の偏光板をはがし、視認者側およびバックライト側に本発明の偏光板として、各実施例の偏光板保護フィルムを用いた本発明の偏光板を、各実施例の偏光板保護フィルムがそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして作製した本発明の液晶表示装置は市販の液晶テレビに対して、環境湿度を変えても斜めから観察した場合のコントラスト変化および色味変化が小さく、かつ高温高湿下で長時間使用してもコントラストの低下が小さく好ましかった。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置

Claims (12)

  1. セルロースアシレートを含み、
    下記条件(1)または(2)を満たすことを特徴とする偏光板保護フィルム。
    条件(1):膜面pHが3.0〜4.5である。
    条件(2):膜面pHが4.5を超え6.0以下であり、透湿度が2800g/m2・day以上である。
  2. 膜面pHが3.0〜4.5であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
  3. 膜面pHが3.0〜6.0であり、透湿度が2800g/m2・day以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. 含水率が4.0%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  5. 下記一般式(1)で表される有機酸を前記セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜10質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
    一般式(1)
    X−L−(R1n
    (一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
  6. 前記一般式(1)で表される有機酸が、下記一般式(2)で表される多価カルボン酸であることを特徴とする請求項5に記載の偏光板保護フィルム。
    一般式(2)
    Figure 2011248336
    (式中、sおよびtは、独立して1,2または3であり、R4は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しR4は前記一般式(1)におけるR1を含む。)
  7. 前記セルロースアシレートの総アシル置換度が、1.0以上2.6未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  8. 鹸化されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理する工程と、
    アルカリ鹸化処理後の偏光板保護フィルムを水洗する工程と、
    水洗後の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に積層する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
  10. 請求項9に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
  11. 偏光子と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムまたは、請求項10または11に記載の偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
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