JP2011245807A - 積層体 - Google Patents

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JP2011245807A JP2010123515A JP2010123515A JP2011245807A JP 2011245807 A JP2011245807 A JP 2011245807A JP 2010123515 A JP2010123515 A JP 2010123515A JP 2010123515 A JP2010123515 A JP 2010123515A JP 2011245807 A JP2011245807 A JP 2011245807A
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Kaori Matoishi
かおり 的石
Takamasa Yano
卓真 矢野
Hiromasa Marubayashi
博雅 丸林
Tamotsu Harada
保 原田
Shiro Nakatsuka
史朗 中塚
Sunao Nagai
永井  直
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Abstract

【課題】帯電防止性に優れた積層体を提供する。
【解決手段】基材層と基材層の少なくとも片面上に設けられた表面層とを備え、表面層は熱可塑性樹脂と下記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体からなる帯電防止剤とを含み、末端分岐型共重合体の数平均分子量が1.0×10以上、1.0×10以下である、積層体。
Figure 2011245807

(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少くともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、積層体に関する。
特許文献1や特許文献2等には、帯電を防止するために、基材層上に帯電防止層を積層した積層体が記載されている。同文献によれば、帯電防止層は、高分子材料と帯電防止剤とを混合することにより得られることが記載されている。
特許文献4および特許文献5には、ダイシングフィルムに用いる基材層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン共重合体を主成分とする樹脂を用いることが記載されている。また、同文献には、帯電を防止するためポリエーテル高分子型帯電防止剤を配合することが記載されている。
国際公開2007/142142号パンフレット 特開2005−28771号公報 特開2009−24151号公報 特開2006−165071号公報 特開2009−164181号公報
特許文献1には、帯電防止層上に他の層を積層すると、積層体の帯電防止性能が、単層の帯電防止層自身が持つものよりも低下すると記載されている。
本発明は、帯電防止剤の含有量を低減しつつも、充分な帯電防止性が得られる積層体を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]
基材層と、
前記基材層の少なくとも片面上に設けられた表面層と、を備え、
前記表面層は、熱可塑性樹脂と下記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体からなる帯電防止剤とを含み、
前記末端分岐型共重合体の数平均分子量が1.0×10以上、1.0×10以下である、積層体。
Figure 2011245807
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
[2]
前記末端分岐型共重合体の数平均分子量が5.5×10以上、1.4×10以下である、[1]に記載の積層体。
[3]
前記基材層の膜厚と前記表面層の膜厚との比率は、98/2〜50/50である、[1]または[2]に記載の積層体。
[4]
前記表面層において、前記末端分岐型共重合体の添加量は、前記熱可塑性樹脂100重量%に対して、0.01重量%以上20重量%以下である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の積層体。
[5]
前記熱可塑性樹脂が、α−オレフィン重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[1]から[4]のいずれか1項に記載の積層体。
[6]
前記基材層が、熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂が、α−オレフィン重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂および、ポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[1]から[5]のいずれか1項に記載の積層体。
[7]
一般式(1)で表される前記末端分岐型共重合体において、XおよびXが、同一または相異なり、下記一般式(2)
Figure 2011245807
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基、または下記一般式(3)
Figure 2011245807
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、下記一般式(4)
Figure 2011245807
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)である、[1]から[6]のいずれか1項に記載の積層体。
[8]
一般式(1)で表される前記末端分岐型共重合体において、XまたはXのどちらか一方が下記一般式(5)
Figure 2011245807
(式中、X、X10は同一または相異なり、それぞれポリアルキレングリコール基を表す。Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価のアルキレン基を表す。)である、[1]から[7]のいずれか1項に記載の積層体。
[9]
一般式(1)で表される前記末端分岐型共重合体において、X、Xの少なくともいずれか一方が、下記一般式(6)
Figure 2011245807
(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)である、[1]から[8]のいずれか1項に記載の積層体。
[10]
前記末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)で表される、[1]から[9]のいずれか1項に記載の積層体。
Figure 2011245807
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上300以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
[11]
前記末端分岐型共重合体が下記一般式(1b)で表される、[1]から[9]のいずれか1項に記載の積層体。
Figure 2011245807
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上300以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
[12]
ダイシング用基体フィルムに用いる、[1]から[11]のいずれか1項に記載の積層体。
[13]
前記表面層が、エチレン共重合体を含む、[12]に記載の積層体。
本発明によれば、帯電防止剤の含有量を低減しつつも、充分な帯電防止性が得られる積層体を提供することができる。
本発明の積層体を模式的に示す断面図である。 本発明に係るダイシングフィルムを用いた半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本発明の積層体100を模式的に示す断面図である。
本発明の積層体100は、基材層102と、基材層102の少なくとも片面上に設けられた表面層(帯電防止層104)と、を備える。この表面層(帯電防止層104)は、熱可塑性樹脂と帯電防止剤とを含む。
以下、基材層102および帯電防止層104を構成する各成分について説明する。
本発明に係る帯電防止剤は、末端分岐型共重合体からなる。まず、末端分岐型共重合体について説明する。
[末端分岐型共重合体]
本発明に係る帯電防止剤を構成する末端分岐型共重合体は、下記の一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 2011245807
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくともどちらか一方は水素原子であり、XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の数平均分子量の下限値は、好ましくは1.0×10以上であり、より好ましくは5.5×10以上であり、さらに好ましくは7.0×10以上であり、特に好ましくは8.0×10以上である。一方、一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の数平均分子量の上限値は、好ましくは1.0×10以下であり、より好ましくは1.4×10以下であり、さらに好ましくは1.0×10以下であり、特に好ましくは4.0×10以下である。その数平均分子量は、Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量とXおよびXで表されるポリアルキレングリコール基の数平均分子量とR,RおよびCH分の分子量の和で表される。
末端分岐型共重合体の数平均分子量を上記範囲内とすることにより、充分な帯電防止性が得られる。また、末端分岐型共重合体の数平均分子量を上記より好ましい範囲内とすることにより、末端分岐型共重合体が帯電防止層104の表面にブリードすることを抑制できるので、帯電防止性の低下を抑制することができる。また、末端分岐型共重合体の数平均分子量を上記より好ましい範囲内とすることにより、末端分岐型共重合体が基材層102と帯電防止層104との界面にブリードすることを抑制できるので、基材層102と帯電防止層104との接着性を向上させることができる。
一般式(1)のAであるポリオレフィン鎖は、炭素数2〜20のオレフィンを重合したものである。炭素数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。本発明においては、これらのオレフィンの単独重合体又は共重合体であってもよく、特性を損なわない範囲で他の重合性の不飽和化合物と共重合したものであってもよい。これらのオレフィンの中でも特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
一般式(1)中、Aで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された数平均分子量は、400〜8000であり、好ましくは500〜4000、さらに好ましくは500〜2000である。ここで数平均分子量はポリスチレン換算の値である。
Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量が上記範囲にあると、ブリードアウトしにくくかつ、帯電防止層104を構成する樹脂への相溶性も高い傾向があるため好ましい。
一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、通常1.0〜数十であるが、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。
一般式(1)においてAで表される基の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲にあると、ブリードアウトのしにくさなどの点で好ましい。
GPCによる、Aで表される基の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、ミリポア社製GPC−150を用い以下の条件の下で測定できる。
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業社製)0.025重量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1重量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計。
なお、Aで表されるポリオレフィン鎖の分子量は、後述の、一方の末端に不飽和基を有するポリオレフィンの分子量を測定し、末端の分子量相当を差し引くことで測定できる。
,Rとしては、Aを構成するオレフィンの2重結合に結合した置換基である水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(1)において、X,Xは同一または相異なり、直鎖または分岐の数平均分子量がそれぞれ50〜10000のポリアルキレングリコール基を表す。分岐アルキレングリコール基の分岐態様は、多価の炭価水素基あるいは窒素原子を介した分岐等である。例えば、主骨格の他に2つ以上の窒素原子または酸素原子または硫黄原子に結合した炭化水素基による分岐や、主骨格の他に2つのアルキレン基と結合した窒素原子による分岐等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール基の数平均分子量が上記範囲にあると、帯電防止層104を構成する樹脂への相溶性が良好になる傾向があるため好ましい。
一般式(1)のX,Xが上記の構造を有することにより、積層しても帯電防止効果の低下が起こりにくい性質を持つ末端分岐型共重合体からなる帯電防止剤が得られる。
一般式(1)において、XおよびXの好ましい例としては、それぞれ同一または相異なり、一般式(2)、
Figure 2011245807
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Xはポリアルキレングリコール基、または下記一般式(3)
Figure 2011245807
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表し、mはRとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
Figure 2011245807
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)で表される基である。
一般式(3)において、Rで表される基としては、炭素数1〜20のm+1価の炭化水素基が好ましい。mは1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜2が特に好ましい。
一般式(1)の好ましい例としては、一般式(1)中、X、Xのどちらか一方が、一般式(4)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。さらに好ましい例としては、X、Xのどちらか一方が一般式(4)で表され、他方が、一般式(2)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。
一般式(1)の別の好ましい例としては、一般式(1)中、XおよびXの一方が、一般式(2)で表される基であり、さらに好ましくはXおよびXの両方が一般式(2)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。
一般式(4)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、一般式(5)
Figure 2011245807
(式中、X、X10は同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基を表し、Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価の炭化水素基を表す。)で表される基である。
一般式(5)においてQ,Qで表される2価の炭化水素基は、2価のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがより好ましい。炭素数2〜20のアルキレン基は、置換基を有していてもいなくてもよく、例えば、エチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、ブロモメチルエチレン基、メトキシメチルエチレン基、アリールオキシメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。好ましいアルキレン基としては、炭化水素系のアルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、メチルエチレン基であり、さらに好ましくは、エチレン基である。Q,Qは1種類のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
一般式(2)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、一般式(6)
Figure 2011245807
(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基である。
〜X11で表されるポリアルキレングリコール基とは、アルキレンオキシドを付加重合することによって得られる基である。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドであり、特に好ましくは、エチレンオキシドである。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基としては、これらのアルキレンオキシドの単独重合により得られる基でもよいし、もしくは2種以上の共重合により得られる基でもよい。好ましいポリアルキレングリコール基の例としては、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、またはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合により得られる基であり、特に好ましい基としては、ポリエチレングリコール基である。
一般式(1)においてX、Xが上記構造を有すると、本発明に係る末端分岐型共重合体の帯電防止性能が良好となるため好ましい。
本発明で用いることができる末端分岐型共重合体としては、下記一般式(1a)または(1b)で表される重合体を用いることが好ましい。
Figure 2011245807
式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。
l+mは2以上300以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
Figure 2011245807
式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
R6およびR7は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。R8およびR9は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。
l+m+oは3以上300以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
一般式(1b)で表される重合体としては、下記一般式(1c)で表される重合体を用いることがさらに好ましい。
Figure 2011245807
式中、l+m+o、nは一般式(1b)と同様である。
ポリエチレン鎖のエチレンユニット数(n)は、一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの数平均分子量(Mn)をエチレンユニットの分子量で割ることにより算出した。また、ポリエチレングリコール鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)は、ポリエチレングリコール基付加反応時の重合体原料と使用したエチレンオキシドとの重量比が、重合体原料とポリエチレングリコール基の数平均分子量(Mn)との比に同じであると仮定して算出した。
例えば、本実施例の合成例1で得られる末端分岐型共重合体(T−1)においては、重合体原料(I−1)と使用したエチレンオキシドの重量比が1:1であるため重合体原料(I−1)のMn1223に対し、伸長したエチレングリコールユニットのMnも1223となる。これをエチレングリコールユニットの分子量で割ることにより、PEG鎖のエチレングリコールユニット総数(l+m+o)を算出することができる。
また、n、l+mもしくはl+m+oはH−NMRによっても測定することができる。例えば合成例1で得られる末端分岐型共重合体(T−1)においては、一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの末端メチル基(シフト値:0.88ppm)の積分値を3プロトン分とした際の、ポリオレフィン基Aのメチレン基(シフト値:1.06−1.50 ppm)の積分値およびPEGのアルキレン基(シフト値:3.33−3.72 ppm)の積分値から算出することできる。
具体的には、メチル基の分子量は15、メチレン基の分子量は14、アルキレン基の分子量は44であることから、各積分値の値よりポリオレフィン基Aおよびアルキレン基の数平均分子量が計算できる。ここで得られたポリオレフィン基Aの数平均分子量をエチレンユニットの分子量で割ることによりnを、アルキレン基の数平均分子量をエチレングリコールユニットの分子量で割ることで、PEG鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)を算出することができる。
[末端分岐型共重合体の製造方法]
末端分岐型共重合体は、次の方法によって製造することができる。
最初に、目的とする末端分岐型共重合体中、一般式(1)で示されるAの構造に対応するポリマーとして、一般式(7)
Figure 2011245807
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合した数平均分子量が400〜8000の基、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくともどちらか一方は水素原子を表す。)で示される、片末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造する。
このポリオレフィンは、以下の方法によって製造することができる。
(1)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報などに示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(2)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(3)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(4)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
上記(1)〜(4)の方法の中でも、特に(1)の方法によれば、上記ポリオレフィンを収率よく製造することができる。(1)の方法では、上記サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物の存在下で、前述したオレフィンを重合または共重合することで上記片方の末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造することができる。
(1)の方法によるオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれによっても実施できる。詳細な条件などは既に公知であり上記特許文献を参照することができる。
(1)の方法によって得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、重合温度を変化させるか、または使用する触媒の種類を変えることによって調節することができる。
次に、上記ポリオレフィンをエポキシ化して、すなわち上記ポリオレフィンの末端の二重結合を酸化して、一般式(8)で示される末端にエポキシ基を含有する重合体を得る。
Figure 2011245807
(式中、A、RおよびRは前述の通り。)
かかるエポキシ化方法は特に限定されるものではないが、以下の方法を例示することができる。
(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化。
(2)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化。
(3)メチルトリオキソレニウム等のレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化。
(4)マンガンポルフィリンまたは鉄ポルフィリン等のポルフィリン錯体触媒と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化。
(5)マンガンSalen等のSalen錯体と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化。
(6)マンガン−トリアザシクロノナン(TACN)錯体等のTACN錯体と過酸化水素による酸化。
(7)タングステン化合物などのVI族遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化。
上記(1)〜(7)の方法の中でも、活性面で特に(1)および(7)の方法が好ましい。
また、例えばMw400〜600程度の低分子量の末端エポキシ基含有重合体はVIKOLOXTM(登録商標、Arkema社製)を用いることができる。
上記方法で得られた一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体に種々の反応試剤を反応させることにより、一般式(9)で表されるようなポリマー末端のα、β位に様々な置換基Y、Yが導入された重合体(重合体(I))を得ることが出来る。
Figure 2011245807
(式中、A、R,Rは前述の通り。Y、Yは同一または相異なり水酸基、アミノ基、または下記一般式(10a)〜(10c)を表す。)
Figure 2011245807
Figure 2011245807
Figure 2011245807
(一般式(10a)〜(10c)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Tは同一または相異なり水酸基、アミノ基を表し、mは1〜10の整数を表す。)
例えば、一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体を加水分解することにより、一般式(9)においてY、Yが両方とも水酸基である重合体が得られ、アンモニアを反応させることによりY、Yの一方がアミノ基、他方が水酸基の重合体が得られる。
また、一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体と一般式(11a)で示される反応試剤Aとを反応させることにより、一般式(9)においてY、Yの一方が一般式(10a)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
Figure 2011245807
(式中、E、R、T、mは前述の通りである。)
また、末端エポキシ基含有重合体と一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bを反応させることにより、一般式(9)においてY、Yの一方が一般式(10b)または(10c)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
Figure 2011245807
Figure 2011245807
(式中、R、T、mは前述の通りである。)
一般式(11a)で示される反応試剤Aとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ブタントリオール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。
一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノフェノール、ヘキサメチレンイミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、N−(アミノエチル)プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。
エポキシ体とアルコール類、アミン類との付加反応は周知であり、通常の方法により容易に反応が可能である。
一般式(1)は一般式(9)で示される重合体(I)を原料として、アルキレンオキシドを付加重合することにより製造することができる。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドである。
触媒、重合条件などについては、公知のアルキレンオキシドの開環重合方法を利用することができ、例えば、大津隆行著,「改訂高分子合成の化学」,株式会社化学同人,1971年1月,p.172−180には、種々の単量体を重合してポリオールを得る例が開示されている。開環重合に用いられる触媒としては、上記文献に開示されたように、カチオン重合向けにAlCl、SbCl、BF、FeClのようなルイス酸、アニオン重合向けにアルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド、アミン類、フォスファゼン触媒、配位アニオン重合向けにアルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩、アルコキシドあるいは、Al、Zn、Feなどのアルコキシドを用いることができる。ここで、フォスファゼン触媒としては、例えば、特開平10−77289号公報に開示された化合物、具体的には市販のテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)フォスフォラニリデンアミノ]フォスフォニウムクロリドのアニオンをアルカリ金属のアルコキシドを用いてアルコキシアニオンとしたものなどが利用できる。
反応溶媒を使用する場合は、重合体(I)、アルキレンオキシドに対して不活性なものが使用でき、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
触媒の使用量はホスファゼン触媒以外については原料の重合体(I)の1モルに対して、0.05〜5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルの範囲である。ホスファゼン触媒の使用量は、重合速度、経済性等の点から、重合体(I)の1モルに対して1×10−4〜5×10−1モルが好ましく、より好ましくは5×10−4〜1×10−1モルである。
反応温度は通常25〜180℃、好ましくは50〜150℃とし、反応時間は使用する触媒の量、反応温度、オレフィン類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分〜50時間である。
一般式(1)の数平均分子量は、前述の通り一般式(8)で示される重合体(I)の数平均分子量と、重合させるアルキレンオキシドの重量から計算する方法や、NMRを用いる方法により算出することができる。
本発明に係る帯電防止剤は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の高分子材料に含有させることができ、様々な用途への展開を図ることができる。
[帯電防止層104]
例えば、本発明に係る帯電防止層104は、熱可塑性樹脂と上記帯電防止剤(末端分岐型共重合体)とを含む樹脂組成物から得られる。
帯電防止層104中の末端分岐型共重合体の含有量は、要求される性能に応じて変えることができるが、熱可塑性樹脂100重量%に対して、好ましくは0.01〜20重量%であり、より好ましくは0.05〜15重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%であり、もっとも好ましくは0.1〜5重量%である。
末端分岐型共重合体の含有量を上記範囲内にすることにより、基材となる熱可塑性樹脂の物性を維持しつつ、優れた帯電防止性をあわせもつ樹脂組成物が得られる。
末端分岐型共重合体の含有量は、末端分岐型共重合体の含有層の断面を染色し、顕微鏡観察等により染色濃度を定量化することで測定できる。
帯電防止層104の表面固有抵抗値は、一定の条件にて状態調節後、例えばJIS−K6911などの方法により測定することができる。
帯電防止層104中の熱可塑性樹脂としては、例えば、α−オレフィン重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS樹脂)等のスチレン樹脂;ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体の水素添加物;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム状(共)重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;熱可塑性ポリウレタン樹脂;フッ素樹脂等またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
α−オレフィン重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が好ましいものとして挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、エチレンから導かれる構成単位と(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位からなる二元共重合体が好ましい。具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸二元共重合体またはエチレン−メタアクリル酸二元共重合体が挙げられる。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、三井デュポンポリケミカル株式会社製「ニュクレル(登録商標)」が挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、例えば三井デュポンポリケミカル株式会社製「エバフレックス(登録商標)」が挙げられる。
帯電防止層104は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩、界面活性剤、及び他の高分子帯電防止剤(本発明に係る末端分岐型共重合体からなる帯電防止剤以外の高分子帯電防止剤)からなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれてもよい。これらの成分によれば、帯電防止層104の帯電防止性をさらに向上させることができる。
アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩としては、例えば、炭素数1〜20のモノカルボン酸またはジカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸等)、炭素数1〜20のスルホン酸(例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、チオシアン酸などの有機酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属と塩、ハロゲン化水素酸(例えば塩酸、臭化水素酸等)、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸などの無機酸の塩が好ましく例示できる。これらの中でも好ましいのは、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のハライド、酢酸カリウム等の酢酸塩、及び過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩である。
帯電防止層104中におけるアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩の含有量は、熱可塑性樹脂と末端分岐型共重合体との合計量100重量%に対して、例えば0.001〜3重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記界面活性剤の中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩が好ましい。
帯電防止層104中の界面活性剤の含有量は、熱可塑性樹脂と末端分岐型共重合体との合計量100重量%に対して、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%である。
他の高分子帯電防止剤としては、例えば、公知のポリエーテルエステルアミド等の高分子型帯電防止剤を使用することができ、公知のポリエーテルエステルアミドとしては、例えば特開平7−10989号公報に記載のビスフェノールAのポリオキシアルキレン付加物からなるポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
他の高分子帯電防止剤としては、例えば、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックの結合単位が2から50の繰り返し構造を有するブロックポリマーを使用することができ、例えばUS6552131公報記載のブロックポリマーを挙げることができる。
帯電防止層104中の他の高分子帯電防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂と末端分岐型共重合体との合計量100重量%に対して、例えば0〜40重量%、好ましくは5〜20重量%である。
また、帯電防止層104中には、相溶化剤が含まれてもよい。相溶化剤によれば、本発明に係る熱可塑性樹脂と末端分岐型共重合体との相溶性を向上させることができる。
相溶化剤としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基及びポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体、例えば特開平3−258850号公報に記載の重合体や、特開平6−345927号に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、あるいはポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体などが挙げられる。
帯電防止層104中の相溶化剤の含有量は、熱可塑性樹脂と末端分岐型共重合体との合計量100重量%に対して、例えば0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。
帯電防止層104は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、顔料、染料、充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、防カビ剤、防錆剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、反応遅延剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤、タック防止剤等の添加剤を適宜配合することができる。各種の添加剤の配合割合は、その目的および用途により適宜選択される。
[基材層102]
基材層102は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の高分子材料を含む。
基材層102の熱可塑性樹脂としては、例えば、帯電防止層104中の熱可塑性樹脂と同様である。ここで、基材層102の熱可塑性樹脂は、帯電防止層104中の熱可塑性樹脂と同種でも異種でもよい。基材層102の膜種は、その目的および用途により適宜選択される。
また、基材層102は、上述のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩、界面活性剤、及び他の高分子帯電防止剤(本発明の重合体による帯電防止剤以外の高分子帯電防止剤)、相溶化剤、添加剤等を含んでもよい。また、基材層102は、単層または多層でもよい。
[積層体100]
本発明の積層体100においては、図1に示すように、基材層102の少なくとも片面上に表面層(帯電防止層104)が設けられている。
本発明の積層体100においては、基材層102の片面上の表層に帯電防止層104が形成されている限りいずれの態様でもよく、例えば、帯電防止層104が、基材層102の両面に設けられていてもよく、基材層102と帯電防止層104との間に、少なくとも1層の接着剤層が設けられていてもよく、帯電防止層104と反対面側の帯電防止層104に接着剤層が設けられていてもよい。
また、積層体100は、基材層102、帯電防止層104、接着剤層以外にも、他の機能を有する層を有していてもよい。
基材層102の膜厚D1と帯電防止層104の膜厚D2(各膜厚は、例えば平均膜厚とする)との比率は、好ましくは98/2〜50/50、より好ましくは90/10〜60/40である。
基材層102の膜厚D1は、好ましくは10μm以上1000μm以下であり、より好ましくは20μm以上500μm以下である。
帯電防止層104の膜厚D2は、好ましくは0.1μm以上100μm以下であり、より好ましくは1μm以上50μm以下である。
帯電防止層104の膜厚の測定方法としては、末端分岐型共重合体の含有層の断面を染色し、顕微鏡観察等により染色された含有層の層厚を測定する方法が用いられる。具体的には、基材層102上に帯電防止層104が積層された積層体100について、たとえば四酸化ルテニウム等による染色を行う。この後、染色された積層体100の断面の超薄切片を作成する。そして、この超薄切片について、TEM等を用いた観察を行う。末端分岐型共重合体を含む帯電防止層104には、末端分岐型共重合体による海島構造が確認され、基材層102は海島構造を持たない。このため、両者を区別することができるので、帯電防止層104および基材層102の膜厚を測定することができる。
本発明に係る接着剤層としては、公知の物を用いることができ、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シアノアクリレート系の瞬間接着剤、変性アクリレート系接着剤等や、特開平10−217380号公報や特開2002−323861号公報等に記載されているものを用いることができる。
[積層体100の製造方法]
本発明の積層体100の製造方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)などが挙げられ、目的に応じて任意の方法で成形できる。
例えば、本発明の積層体100は、共押出し法により形成される。共押出し法は、特に限定されないが、例えば、3台以上の押出機を用いて溶融押出しを行う、共押出し多層ダイス法、フィードブロック法等の公知の共押出し法を挙げることができる。
共押出しに際しての条件についても特に限定されず、基材層102を構成する樹脂組成物および帯電防止層104を構成する樹脂組成物を、それぞれ溶融温度以上に加熱し、上記の押出機を用いて溶融押出し、所定の温度となるように冷却すればよい。成形条件は特に限定されないが、成形温度は180〜280℃、チルロールの冷却温度は10〜80℃が好ましい。このように積層体100を共押出しにより製造することにより、基材層102と帯電防止層104との接着が強くなる。さらに、共押出しにより得られる積層体100は、一工程で製造できるため生産性に優れる。
また、本発明の積層体100を延伸することにより、延伸フィルムを得ることができる。延伸フィルムを作製するには、得られた積層体100を延伸してもよいが、積層体100を構成する各層をそれぞれ延伸したものを貼り合わせてもよい。例えば、帯電防止層104を予め延伸したのち、基材層102と貼りあわせることにより、積層体100を製造してもよい。
本発明の積層体100の延伸方法としては、特に制限はなく、公知の任意の延伸方法、例えばバッチ法、Tダイ成形法、チューブ法、インフレーション成形法、テンター法等を採用することができる。延伸成形の方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法が挙げられる。例えば一軸延伸法の場合には、Tダイ成形、あるいはインフレーション成形によって得られた未延伸シートあるいはフィルムを、冷却した後に、遅(前)駆動ロールと速(後)駆動ロールとの間に導入するなどして、縦方向に所定の倍率に延伸することで、延伸フィルムを得ることができる。通常はテンター法により2〜10倍、好ましくは2〜6倍程度に延伸される。
また、本発明の積層体100に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法であれば、いずれであってもよく、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。これらの印刷におけるインキとしては、プラスチックの印刷に通常用いられるものが使用できる。
[本発明の積層体の用途]
本発明の積層体は、各種の用途に用いることができる。用途の一例としては、たとえばダイシングフィルムに用いることができる。
ダイシングフィルムは、半導体製造テープ用基材フィルム(いわゆるダイシング用基体フィルム)と、ダイシング用基体フィルム上に形成された接着剤層とを備える。このダイシング用基体フィルムは、半導体ウェハをダイシングする際に、ウェハに粘着固定するダイシングフィルムの基材となるフィルムである。ダイシング用基体フィルムには、帯電による破壊や埃異物を防止するため帯電防止能が要求される。
しかし本発明者らの検討した結果、特許文献1に具体的に記載された高分子型帯電防止剤は、帯電防止能を付与するためにエチレン共重合体に対して20%程度添加する必要があった。さらに、共押出しにより積層フィルムに加工した際に、フィルム外観が損なわれることが判明した。
これに対して、本発明の積層体は、より少量の帯電防止剤でも優れた帯電防止能を有し、積層フィルムに加工した際にも外観低下の少ないことから、ダイシング用基体フィルムに好適に用いることができる。
本発明に係るダイシングフィルム200としては、ダイシング用基体フィルム(積層体100)と、ダイシング用基体フィルム上に設けられた接着剤層206と、を備える。すなわち、本発明に係るダイシングフィルム200においては、帯電防止層204と反対面側の基材層202に接着剤層206が設けられている。
帯電防止層104を構成する樹脂としては、例えば、エチレン共重合体(エチレン骨格を有する共重合体)を主成分とする樹脂が用いられる。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS樹脂)、エチレン−ブテン共重合体樹脂、エチレン−ペンテン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン共重合体樹脂、エチレン−オクテン共重合体樹脂であるエチレン共重合体、またはこれらの混合物であることが好ましい。この中で、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂およびエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂がとりわけ好ましい。また、エチレン共重合体樹脂に加えて、エチレン−プロピレン共重合体を添加することもできる。エチレン−プロピレン共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM)、ポリプロピレンまたはポリエチレンとEPDMの混合物等のエチレン−α−オレフィン共重合体を挙げられる。これにより、本発明に係る帯電防止剤との相溶性が向上し、優れた外観が得られる。
基材層102を構成する樹脂としては、前述のエチレン共重合体、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体の水素添加物、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン重合体が用いられる。ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン炭化水素共重合体の水素添加物は、スチレンなどのビニル芳香族炭化水素とブタジエンなどの共役ジエン炭化水素の共重合体を水素添加することにより得られる。
接着剤層206としては、例えば、公知のアクリル系接着剤や離型フィルムが用いられる。
ダイシング用基体フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.05mm〜0.5mmであり、より好ましくは0.08mm〜0.3mmである。
帯電防止層104の膜厚は、ダイシング用基体フィルムの全膜厚に対して5〜50%が好ましい。
上記一般式(1)で示される末端分岐型共重合体からなる帯電防止剤の含有量は、帯電防止層104を構成する樹脂100重量%に対して、好ましくは0.01〜20重量%であり、より好ましくは0.05〜15重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。
以下、図2を用いて、本発明の積層体をダイシングフィルム200に用いる態様について説明する。図2は、ダイシングフィルム200を用いた半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
本発明に係るダイシングフィルム200は、基材層202および帯電防止層204および接着剤層206の共押出により製造することができる。その他にも、以下の方法が挙げられる。まず、基材層202上に帯電防止層204を形成する。基材層202の形成方法としては、前述の方法を用いることができる。続いて、基材層202上に接着剤層206を形成する。接着剤層206の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、基材層202上に、接着剤組成物を塗布して形成する、または接着剤組成物の塗布後、加熱処理して硬化させるか、乾燥させることにより形成する方法等が用いられる。また、このような接着剤層206中に放射線重合性化合物を含ませることができる。さらに、接着剤層206中には、必要に応じ、放射線照射により着色する化合物(ロイコ染料等)、光散乱性無機化合物粉末、砥粒、イソシアネート系硬化剤、UV開始剤等を含有させてもよい。このようにして、例えばロール状のダイシングフィルム200が得られる。
続いて、図2(a)に示すように、得られたダイシングフィルム200上にウェハ300を接着固定する。続いて、図2(b)に示すように、ウェハ300をダイシングして、複数のチップ302に個片化する。続いて、図2(c)に示すように、ダイシングフィルム200にUV310を照射する。UV310の照射により、接着剤層206の粘着力を低下させることができる。引き続き、図2(d)に示すように、ニードル330でチップ302を押出しつつ、押出されたチップ302をコレット320でピックアップする。この後、ピックアップしたチップ302を、リードフレームや実装基板等に搭載して、半導体装置が得られる。このようなダイシング工程中において、ダイシングフィルム200の表面には、帯電防止層204が形成されているので、埃や粉体などの微粒子が付着することを防止することができる。
本発明の積層体100は、ダイシングフィルム200に限らず、埃や粉末などの微粒子が付着することを防止するような以下の用途にも好適である。
本発明の積層体100の用途としては、特に限定されないが、たとえば、光学フィルタ;スナック菓子、削り節、パン粉、小麦粉、粉末調味料等の粉末乾燥食品、薬等の医薬品包装など広範囲にわたる包装用ラミネートフィルム;半導体ウェハ、プリント基板及びICチップ等の包装材料;液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極管表示装置(CRT)などのディスプレイの表面に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
樹脂組成物等の物性の測定および評価は以下の方法に従って行った。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用い、下記の方法で測定した。
ミリポア社製GPC−150を用い以下の条件の下で測定した。
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業社製)0.025重量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1重量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計。
また、融点(Tm)はDSC(島津製作所製、DSC−60)を用い、測定して得られたピークトップ温度を採用した。なお、測定条件によりポリアルキレングリコール部分の融点も確認されるが、ここではポリオレフィン部分の融点のことを指す。H−NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、例えばロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。表面固有抵抗値の測定は、23±2℃、50±5%RHに状態調節後、JIS−K6911に準じて行った。
(合成例1)
特開2006−131870号公報の合成例2に従って、Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)の末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)を合成し、原料として用いた。(末端エポキシ基含有率:90mol%)
H−NMR : δ(CCl) 0.88(t, 3H, J = 6.92 Hz), 1.18 − 1.66 (m), 2.38 (dd,1H, J = 2.64, 5.28 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.29, 5.28 Hz) 2.80−2.87 (m, 1H)
融点(Tm):121℃、Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)
1000mLフラスコに、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)84重量部、ジエタノールアミン39.4重量部、トルエン150重量部を仕込み、150℃にて4時間撹拌した。その後、冷却しながらアセトンを加え、反応生成物を析出させ、固体をろ取した。得られた固体をアセトン水溶液で1回、さらにアセトンで3回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、重合体(I−1)(Mn=1223、一般式(9)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R=R=水素原子、Y、Yの一方が水酸基、他方がビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ基))を得た。
H−NMR : δ(CCl) 0.88 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 0.95−1.92 (m), 2.38−2.85 (m, 6H), 3.54−3.71 (m, 5H)
融点 (Tm):121℃
窒素導入管、温度計、冷却管、撹拌装置を備えた500mLフラスコに、重合体(I−1)20.0重量部、トルエン100重量部を仕込み、撹拌しながら125℃のオイルバスで加熱し、固体を完全に溶解した。90℃まで冷却後、予め5.0重量部の水に溶解した0.323重量部の85%KOHをフラスコに加え、還流条件で2時間混合した。その後、フラスコ内温度を120℃まで徐々に上げながら、水およびトルエンを留去した。さらに、フラスコ内にわずかな窒素を供給しながらフラスコ内を減圧とし、さらに内温を150℃まで昇温後、4時間保ち、フラスコ内の水およびトルエンをさらに留去した。室温まで冷却後、フラスコ内で凝固した固体を砕き、取り出した。
加熱装置、撹拌装置、温度計、圧力計、安全弁を備えたステンレス製1.5L加圧反応器に、得られた固体のうち18.0重量部および脱水トルエン200重量部を仕込み、気相を窒素に置換した後、撹拌しながら130℃まで昇温した。30分後、エチレンオキシド18.0重量部を加え、さらに5時間、130℃で保った後、室温まで冷却し、反応物を得た。得られた反応物より溶媒を乾燥して除き、末端分岐型共重合体(T−1)(Mn=2446、一般式(1)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R=R=水素原子、X、Xの一方がポリエチレングリコール、他方が一般式(5)で示される基(Q=Q=エチレン基、X=X10=ポリエチレングリコール))を得た。
H−NMR : δ(CCl) 0.88(3H, t, J= 6.8 Hz), 1.06 − 1.50 (m), 2.80 − 3.20 (m), 3.33 − 3.72 (m)
融点(Tm):118℃
(実施例1)
東洋精機製作所製ラボプラストミルにて、温度140℃、回転数30rpm、混練時間5分の条件で、合成例1を必要回数繰り返して得た共重合体(T−1)100重量部に酢酸カリウム3重量部を加えて共重合体組成物(T'−1)を得た。
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン F327 (MFR(230℃ 2.16kg加重)6.7、エチレン含量3.1wt%、表面固有抵抗値 2.3×1017(Ω)))95重量部、上記の共重合体組成物(T'−1)5重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−1)を得た。得られた樹脂組成物(B−1)とポリプロピレンについてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃でB−1/ポリプロピレンの2種2層フィルムを成形した。厚みは(B−1)/ポリプロピレン=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は9.0×1011(Ω)であった。
(実施例2)
実施例1と同様に、ポリプロピレン92.5重量部と共重合体組成物(T'−1)7.5重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−2)を得た。得られた樹脂組成物(B−2)とポリプロピレンについてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃でB−2/ポリプロピレンの2種2層フィルムを成形した。厚みは(B−2)/ポリプロピレン=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は2.6×1011(Ω)であった。
(実施例3)
上記の樹脂組成物(B−2)とポリプロピレンについてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−2)/ポリプロピレンの6倍延伸2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−2)/ポリプロピレン=6/24(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は1.8×1012(Ω)であった。
(実施例4)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製 ニュクレル N1108C(MFR(190℃ 2.16kg加重)6.7、エチレン含量3.1wt%、表面固有抵抗値 6.0×1015(Ω)))95重量部、上記の共重合体組成物(T'−1)5重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−3)を得た。得られた樹脂組成物(B−3)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体についてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−3)/エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−3)/エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は1.2×1011(Ω)であった。
(実施例5)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製 ニュクレル N1108C)97重量部、上記の共重合体組成物(T'−1)3重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−4)を得た。得られた樹脂組成物(B−4)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体についてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−4)/エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−4)/エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は1.5×1012(Ω)であった。
(実施例6)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製 ニュクレル N1108C)90重量部、上記の共重合体組成物(T'−1)10重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−5)を得た。得られた樹脂組成物(B−5)とポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン F327 (MFR(230℃ 2.16kg加重)6.7、エチレン含量3.1wt%、表面固有抵抗値 2.3×1017(Ω)))についてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−5)/ポリプロピレンの2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−5)/ポリプロピレン=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は1.0×1012(Ω)であった。なお、得られた多層フィルムの外観は良好であり、ブツ、スジ、ムラ等は認められなかった。
(実施例7)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製 エバフレックス EV460(MFR(190℃ 2.16kg加重)2.5、酢酸ビニル含量19wt%、表面固有抵抗値 6.8×1016(Ω)))97重量部、上記の共重合体組成物(T'−1)3重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−6)を得た。得られた樹脂組成物(B−6)とエチレン−酢酸ビニル共重合体についてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−6)/エチレン−酢酸ビニル共重合体の2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−6)/エチレン−酢酸ビニル共重合体=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は4.6×1010(Ω)であった。
(比較例1)
ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン F327 (MFR(230℃ 2.16kg加重)6.7、エチレン含量3.1wt%、表面固有抵抗値 2.3×1017(Ω)))95重量部、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット300、数平均分子量 1.5×10)5重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−7)を得た。得られた樹脂組成物(B−7)とポリプロピレンについてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−7)/ポリプロピレンの2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−7)/ポリプロピレン=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は3.3×1015(Ω)であった。
(比較例2)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製 ニュクレル N1108C)80重量部、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製 ペレスタット300、数平均分子量 1.5×10)20重量部をドライブレンドし、東芝機械製TEM−26SS:2軸押出機(L/D=60)にてシリンダー温度200℃で溶融混合し、樹脂組成物(B−8)を得た。得られた樹脂組成物(B−8)とポリプロピレン((株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン F327 (MFR(230℃ 2.16kg加重)6.7、エチレン含量3.1wt%、表面固有抵抗値 2.3×1017(Ω)))についてサーモ・プラスティックス工業株式会社製3種3層フィルム成形装置を用いてTダイ温度210℃で(B−8)/ポリプロピレンの2種2層フィルムを成形した。厚みは、(B−8)/ポリプロピレン=10/40(μm)である。得られた多層フィルムの表面固有抵抗値は3.0×1012(Ω)であった。ただし、得られた多層フィルムには多くのブツ、スジ等が見られ、外観が不十分であった。
実施例1〜7の積層体においては、充分な帯電防止性が得られることがわかった。また、実施例1〜7の積層体においては、同じ膜厚の帯電防止層からなる単層体と比較して、基材層の層厚分だけ、帯電防止剤の含有量を低減することができた。一方、比較例1の積層体においては、充分な帯電防止性が得られなかった。
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
100 積層体
102 基材層
104 帯電防止層
200 ダイシングフィルム
202 基材層
204 帯電防止層
206 接着剤層
300 ウェハ
302 チップ
310 UV
320 コレット
330 ニードル

Claims (13)

  1. 基材層と、
    前記基材層の少なくとも片面上に設けられた表面層と、を備え、
    前記表面層は、熱可塑性樹脂と下記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体からなる帯電防止剤とを含み、
    前記末端分岐型共重合体の数平均分子量が1.0×10以上、1.0×10以下である、積層体。
    Figure 2011245807
    (式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を表す。)
  2. 前記末端分岐型共重合体の数平均分子量が5.5×10以上、1.4×10以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材層の膜厚と前記表面層の膜厚との比率は、98/2〜50/50である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記表面層において、前記末端分岐型共重合体の添加量は、前記熱可塑性樹脂100重量%に対して、0.01重量%以上20重量%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、α−オレフィン重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記基材層が、熱可塑性樹脂を含み、
    前記熱可塑性樹脂が、α−オレフィン重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂および、ポリアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 一般式(1)で表される前記末端分岐型共重合体において、XおよびXが、同一または相異なり、下記一般式(2)
    Figure 2011245807
    (式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基、または下記一般式(3)
    Figure 2011245807
    (式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
    または、下記一般式(4)
    Figure 2011245807
    (式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)である、請求項1から6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 一般式(1)で表される前記末端分岐型共重合体において、XまたはXのどちらか一方が下記一般式(5)
    Figure 2011245807
    (式中、X、X10は同一または相異なり、それぞれポリアルキレングリコール基を表す。Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価のアルキレン基を表す。)である、請求項1から7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 一般式(1)で表される前記末端分岐型共重合体において、X、Xの少なくともいずれか一方が、下記一般式(6)
    Figure 2011245807
    (式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)である、請求項1から8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)で表される、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 2011245807
    (式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上300以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
  11. 前記末端分岐型共重合体が下記一般式(1b)で表される、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 2011245807
    (式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上300以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
  12. ダイシング用基体フィルムに用いる、請求項1から11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記表面層がエチレン共重合体を含む、請求項12に記載の積層体。
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