JP2011245418A - 重質油水素化処理触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バナジウムを含む水素化処理活性の高い重質油水素化処理触媒及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが515.0〜516.5eVであることを特徴とする重質油水素化処理触媒及びその製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが515.0〜516.5eVであることを特徴とする重質油水素化処理触媒及びその製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、重質油水素化処理触媒及びその製造方法、詳しくは、バナジウムを含む水素化活性が高い重質油水素化処理触媒及びその製造方法に関する。
従来、重質油の水素化処理を行う場合、原料が重質化するほど水素化処理触媒の性能が早期に低下し、その劣化速度が速いため、重質油の水素化処理が困難になるという問題点があった。
したがって、原油の重質化が進むにつれて、より重質油の処理が容易な水素化処理活性が高い触媒の必要性が高まっている。
一方、バナジウムは、水素化処理活性を有する触媒として知られ、入手が容易であるため、これまでも種々の水素化処理触媒に利用する試みが行われてきた。
例えば、特許文献1は、重質油の水素化処理方法において、多孔質アルミナにニッケル、コバルト、及びモリブデンから選ばれる金属の酸化物を担持させたものにバナジウム酸化物等を担持させて、かつ特定の細孔分布を有する触媒を用いる方法を開示している(請求項1)。
したがって、原油の重質化が進むにつれて、より重質油の処理が容易な水素化処理活性が高い触媒の必要性が高まっている。
一方、バナジウムは、水素化処理活性を有する触媒として知られ、入手が容易であるため、これまでも種々の水素化処理触媒に利用する試みが行われてきた。
例えば、特許文献1は、重質油の水素化処理方法において、多孔質アルミナにニッケル、コバルト、及びモリブデンから選ばれる金属の酸化物を担持させたものにバナジウム酸化物等を担持させて、かつ特定の細孔分布を有する触媒を用いる方法を開示している(請求項1)。
また、特許文献2、3は、残油の水素化処理触媒として、アルミナ担体に、ニッケル、コバルト、モリブデン、バナジウム等から選ばれる活性金属とホウ素やリンを担持した特定の細孔分布を有する触媒を開示している(各請求項1)。
しかしながら、これらの重質油水素化処理触媒は、必ずしも十分な活性を有するものではなく、さらに改良の余地があった。
一方で、このようなことから、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの活性金属とバナジウムを含む触媒においては、バナジウムと活性金属との間で、活性金属の作用を妨げる相互作用が発現し、そのことによって水素化活性の向上が妨げられることがある。
さらに、ホウ素やリンを担持した触媒はコークによる劣化を起こしやすい傾向もある。
したがって、バナジウムを含む高い水素化処理活性を有する重質油の水素化処理触媒の出現が期待されている。
しかしながら、これらの重質油水素化処理触媒は、必ずしも十分な活性を有するものではなく、さらに改良の余地があった。
一方で、このようなことから、ニッケル、コバルト、モリブデンなどの活性金属とバナジウムを含む触媒においては、バナジウムと活性金属との間で、活性金属の作用を妨げる相互作用が発現し、そのことによって水素化活性の向上が妨げられることがある。
さらに、ホウ素やリンを担持した触媒はコークによる劣化を起こしやすい傾向もある。
したがって、バナジウムを含む高い水素化処理活性を有する重質油の水素化処理触媒の出現が期待されている。
本発明は、このような状況下において、バナジウムを含む水素化処理活性の高い重質油水素化処理触媒を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、バナジウムとともに、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが特定の範囲の値を示す触媒が、前記目的を達成できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した重質油水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが515.0〜516.5eVであることを特徴とする重質油水素化処理触媒、
[2]前記水素化処理触媒中のバナジウムと第15族の原子(A)の含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0である上記[1]に記載の重質油水素化処理触媒、
[3]前記第6族金属がモリブデン、前記第9族金属がコバルト、前記第10族金属がニッケル、前記第15族原子がリンである上記[1]又は[2]に記載の重質油水素化処理触媒、
[4]前記無機酸化物担体に含まれるニッケル及びバナジウムの含有量が、担体全量基準で、ニッケルが、NiO換算で0.1〜5質量%、バナジウムがV2O5換算で1〜10質量%である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒、
[5]ニッケル化合物、バナジウム化合物及び有機酸を用いて得られる水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に担持してニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を調製し、次いで得られた無機酸化物担体に周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を、それらの金属や原子含む水溶液を用いて担持することを特徴とする重質油水素化処理触媒の製造方法であって、当該水溶液中の第15族の原子(A)の含有量が、担持後の触媒中のバナジウムとAの含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0を満たす濃度の水溶液を用いて担持することを特徴とする重質油水素化処理触媒の製造方法、
[6]前記ニッケル化合物が塩基性炭酸ニッケル、前記バナジウム化合物がバナジン酸アンモニウムである上記[5]に記載の重質油水素化処理触媒の製造方法、
[7]前記第6族金属がモリブデン、前記第9族金属がコバルト、前記第10族金属がニッケル、前記第15族原子がリンである上記[5]または[6]に記載の重質油水素化処理触媒の製造方法、
[8]周期表第6族、第9族もしくは第10族の金属、並びに第15族原子を分子量200〜500のポリエチレングリコールの存在下で、無機酸化物担体に担持することを特徴とする上記[5]〜[7]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒の製造方法、
[9]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒もしくは上記[5]〜[8]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒の製造方法によって得られた触媒の存在下で水素化処理することを特徴とする重質油の水素化処理方法、
を提供するものである。
[1]ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した重質油水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが515.0〜516.5eVであることを特徴とする重質油水素化処理触媒、
[2]前記水素化処理触媒中のバナジウムと第15族の原子(A)の含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0である上記[1]に記載の重質油水素化処理触媒、
[3]前記第6族金属がモリブデン、前記第9族金属がコバルト、前記第10族金属がニッケル、前記第15族原子がリンである上記[1]又は[2]に記載の重質油水素化処理触媒、
[4]前記無機酸化物担体に含まれるニッケル及びバナジウムの含有量が、担体全量基準で、ニッケルが、NiO換算で0.1〜5質量%、バナジウムがV2O5換算で1〜10質量%である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒、
[5]ニッケル化合物、バナジウム化合物及び有機酸を用いて得られる水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に担持してニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を調製し、次いで得られた無機酸化物担体に周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を、それらの金属や原子含む水溶液を用いて担持することを特徴とする重質油水素化処理触媒の製造方法であって、当該水溶液中の第15族の原子(A)の含有量が、担持後の触媒中のバナジウムとAの含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0を満たす濃度の水溶液を用いて担持することを特徴とする重質油水素化処理触媒の製造方法、
[6]前記ニッケル化合物が塩基性炭酸ニッケル、前記バナジウム化合物がバナジン酸アンモニウムである上記[5]に記載の重質油水素化処理触媒の製造方法、
[7]前記第6族金属がモリブデン、前記第9族金属がコバルト、前記第10族金属がニッケル、前記第15族原子がリンである上記[5]または[6]に記載の重質油水素化処理触媒の製造方法、
[8]周期表第6族、第9族もしくは第10族の金属、並びに第15族原子を分子量200〜500のポリエチレングリコールの存在下で、無機酸化物担体に担持することを特徴とする上記[5]〜[7]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒の製造方法、
[9]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒もしくは上記[5]〜[8]のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒の製造方法によって得られた触媒の存在下で水素化処理することを特徴とする重質油の水素化処理方法、
を提供するものである。
本発明によれば、バナジウムを含む水素化処理活性の高い重質油水素化処理触媒を提供することができる。
本発明は、ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが所定の範囲の値を示す重質油水素化処理触媒である。
以下、担体、担持金属等、重質油水素化処理触媒の製造方法などについて詳細に説明する。
以下、担体、担持金属等、重質油水素化処理触媒の製造方法などについて詳細に説明する。
〔担体〕
本発明においては、ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を用いる。
バナジウムとともにニッケルを含むことによって、バナジウムが有する水素化処理活性を相乗的に高める効果がある。
また、ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体とし、ニッケル及びバナジウムを次項で述べる担持金属等とは別に無機酸化物担体に担持するのは、ニッケル・バナジウム錯体がニッケル・モリブデン錯体等の活性金属錯体と結合するなどにより、水素化処理触媒の活性を低下させることを防止するため別個に存在させるためである。
当該ニッケルの含有量は、担体全量を基準として、NiO換算で0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。また、バナジウムの含有量は、担体全量を基準として、V2O5換算で1〜10質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。ニッケル及びバナジウムの含有量が上記の範囲であれば、水素化処理活性向上効果が不充分になることはなく、また、さらに担持する活性金属であるMoなど第6族金属や第9族もしくは第10族金属の作用に悪影響与えることもない。
本発明においては、ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を用いる。
バナジウムとともにニッケルを含むことによって、バナジウムが有する水素化処理活性を相乗的に高める効果がある。
また、ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体とし、ニッケル及びバナジウムを次項で述べる担持金属等とは別に無機酸化物担体に担持するのは、ニッケル・バナジウム錯体がニッケル・モリブデン錯体等の活性金属錯体と結合するなどにより、水素化処理触媒の活性を低下させることを防止するため別個に存在させるためである。
当該ニッケルの含有量は、担体全量を基準として、NiO換算で0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。また、バナジウムの含有量は、担体全量を基準として、V2O5換算で1〜10質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。ニッケル及びバナジウムの含有量が上記の範囲であれば、水素化処理活性向上効果が不充分になることはなく、また、さらに担持する活性金属であるMoなど第6族金属や第9族もしくは第10族金属の作用に悪影響与えることもない。
本発明において、担体を形成する前記無機酸化物としては、例えば、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、アルミナ−チタニアなどが好適なものとして挙げられ、通常、これらの一種を単独で又は二種以上を組合せて用いる。中でも、特に水素化処理活性金属の性能を最適に引き出す点でアルミナが好ましい。
前記無機酸化物担体は、通常、以下のような構造を有するものが好ましい。
比表面積は、100〜500m2/gのものが好ましい。比表面積が100m2/g以上であれば、担持金属酸化物の分散性が良好であり、500m2/g以下であれば、反応生成物の拡散が阻害される恐れはない。したがって、比表面積は、150〜300m2/gのものがより好ましい。
無機酸化物担体の細孔容積は、0.3〜1.5cm3/gのものが好ましい。細孔容積が0.3cm3/g以上であれば、原料油中のバナジウム等の金属不純物の蓄積及びコークの析出により触媒細孔が閉塞される恐れはなく、一方細孔容積が1.5cm3/g以下であれば、実用に耐え得る十分な触媒強度が確保される。このようなことから細孔容積は、0.5〜1.2cm3/gのものがより好ましい。
無機酸化物担体の平均細孔径が、8〜30nmのものが好ましく、9〜25nmのものがより好ましく、10〜20nmであることが特に好ましい。
上記のような細孔径であれば、反応物である重質油の分子の大きさに適した細孔径であるため、反応物が十分に触媒細孔内部の反応活性点に拡散できる。
前記無機酸化物担体は、通常、以下のような構造を有するものが好ましい。
比表面積は、100〜500m2/gのものが好ましい。比表面積が100m2/g以上であれば、担持金属酸化物の分散性が良好であり、500m2/g以下であれば、反応生成物の拡散が阻害される恐れはない。したがって、比表面積は、150〜300m2/gのものがより好ましい。
無機酸化物担体の細孔容積は、0.3〜1.5cm3/gのものが好ましい。細孔容積が0.3cm3/g以上であれば、原料油中のバナジウム等の金属不純物の蓄積及びコークの析出により触媒細孔が閉塞される恐れはなく、一方細孔容積が1.5cm3/g以下であれば、実用に耐え得る十分な触媒強度が確保される。このようなことから細孔容積は、0.5〜1.2cm3/gのものがより好ましい。
無機酸化物担体の平均細孔径が、8〜30nmのものが好ましく、9〜25nmのものがより好ましく、10〜20nmであることが特に好ましい。
上記のような細孔径であれば、反応物である重質油の分子の大きさに適した細孔径であるため、反応物が十分に触媒細孔内部の反応活性点に拡散できる。
無機酸化物担体にニッケルとバナジウムを担持する方法としては、ニッケル化合物とバナジウム化合物と有機酸から得られる有機酸錯体を用いる方法が好ましい。有機酸塩を用いて得られる水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に浸漬し、焼成してニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を得ることができる。ここでニッケル化合物としては塩基性炭酸ニッケルが好ましく、バナジウム化合物としてはバナジン酸アンモニウムが好ましい。
ここで有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、蓚酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが好ましく、これらの中から選択される一種又は、二種以上を組合せて用いることができる。この中でもクエン酸やリンゴ酸が安定な錯体を形成するため好ましい。
この場合、有機酸の配合量は、バナジウム塩の1.3〜2.6倍(質量比)で添加することが望ましい。有機酸の配合量がバナジウム塩の1.3倍(質量比)以上であれば、安定な水溶性塩を得ることができる。一方、有機酸がバナジウム塩の2.6倍以下であれば、アルミナの性状の安定を確保する観点で望ましい。
ここで有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、蓚酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが好ましく、これらの中から選択される一種又は、二種以上を組合せて用いることができる。この中でもクエン酸やリンゴ酸が安定な錯体を形成するため好ましい。
この場合、有機酸の配合量は、バナジウム塩の1.3〜2.6倍(質量比)で添加することが望ましい。有機酸の配合量がバナジウム塩の1.3倍(質量比)以上であれば、安定な水溶性塩を得ることができる。一方、有機酸がバナジウム塩の2.6倍以下であれば、アルミナの性状の安定を確保する観点で望ましい。
〔担持金属等〕
本発明は、前記無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属(いわゆる、活性金属)、並びに第15族の原子を担持する。これによって水素化処理活性を高めることができる。
周期表第6族等各族の金属や原子は、一種を単独に用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
前記周期表第6族金属としては、クロム、モリブデン、タングステン、第9族金属としてはコバルト、ロジウム、第10族金属としては、ニッケル、パラジウム、白金、第15族原子としては、リン、アンチモンなどが挙げられる。特に、第6族金属がモリブデン、第9族金属がコバルト、第10族金属がニッケル、第15族原子がリンであることが好ましい。
これらの金属の含有量(担持量)は、水素化処理触媒全量基準で、第6族金属が、8〜20質量%、特に10〜15質量%、第9族もしくは第10族の金属が1〜10質量%、特に2〜5質量%、第15族原子が、1〜10質量%、特に3〜6質量%、であることが好ましい。
金属の含有量が上記の範囲であれば、安定な錯体を形成できて、良好な水素化処理活性を得ることができる。
本発明は、前記無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属(いわゆる、活性金属)、並びに第15族の原子を担持する。これによって水素化処理活性を高めることができる。
周期表第6族等各族の金属や原子は、一種を単独に用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
前記周期表第6族金属としては、クロム、モリブデン、タングステン、第9族金属としてはコバルト、ロジウム、第10族金属としては、ニッケル、パラジウム、白金、第15族原子としては、リン、アンチモンなどが挙げられる。特に、第6族金属がモリブデン、第9族金属がコバルト、第10族金属がニッケル、第15族原子がリンであることが好ましい。
これらの金属の含有量(担持量)は、水素化処理触媒全量基準で、第6族金属が、8〜20質量%、特に10〜15質量%、第9族もしくは第10族の金属が1〜10質量%、特に2〜5質量%、第15族原子が、1〜10質量%、特に3〜6質量%、であることが好ましい。
金属の含有量が上記の範囲であれば、安定な錯体を形成できて、良好な水素化処理活性を得ることができる。
金属や原子の含有量については、バナジウムの含有量との関係で、さらに以下の条件を満たすことが好ましい。すなわち重質油水素化処理触媒における、バナジウムと第15族の原子の含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0とすることである(但し、Aは、第15族の原子を表わす)。
これによって、水素化処理効果を良好に保ち、活性金属のMo等への悪影響も小さく抑制できる。〔V2O5/A2O5〕(質量比)は0.6〜4.0がより好ましい。
したがって、第15族原子がリンである場合、前記担体に活性金属等を担持した本発明の重質油水素化処理触媒における、バナジウムとリンの含有量の質量比、〔V2O5/P2O5〕(質量比)が、0.5〜5.0であることが好まく、0.6〜4.0がより好ましい。
これによって、水素化処理効果を良好に保ち、活性金属のMo等への悪影響も小さく抑制できる。〔V2O5/A2O5〕(質量比)は0.6〜4.0がより好ましい。
したがって、第15族原子がリンである場合、前記担体に活性金属等を担持した本発明の重質油水素化処理触媒における、バナジウムとリンの含有量の質量比、〔V2O5/P2O5〕(質量比)が、0.5〜5.0であることが好まく、0.6〜4.0がより好ましい。
本発明の重質油水素化処理触媒は、上記の構成元素及び物性等満たすものであるとともに、さらにX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが、515.0〜516.5eVであることを要する。
Vp3/2の結合エネルギーが上記範囲であれば、バナジウムのエネルギー状態が、活性金属であるモリブデン等の第6族、第9族、第10族金属等と結合を持つことが無いため、水素化活性を低下させることはなく、重質油の水素化処理触媒として、優れた性能を示す。
Vp3/2の結合エネルギーは、515.3〜516.3eVであることがより好ましい。
Vp3/2の結合エネルギーが上記範囲であれば、バナジウムのエネルギー状態が、活性金属であるモリブデン等の第6族、第9族、第10族金属等と結合を持つことが無いため、水素化活性を低下させることはなく、重質油の水素化処理触媒として、優れた性能を示す。
Vp3/2の結合エネルギーは、515.3〜516.3eVであることがより好ましい。
〔触媒の製造方法〕
X線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが上記の範囲の水素化処理触媒を得るためには、触媒の製造方法を、以下のようにすることが必要である。すなわち、次の1及び2を満たすことが必要である。
1.ニッケルとバナジウムを、第6族、第9族、第10族金属等の活性金属や第15族原子とは別に無機酸化物担体に担持すること。
2.バナジウムの含有量と第15族原子の含有量の比〔V2O5/A2O5〕(質量比)が所定の範囲になるように原料の配合量を調整すること。
X線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが上記の範囲の水素化処理触媒を得るためには、触媒の製造方法を、以下のようにすることが必要である。すなわち、次の1及び2を満たすことが必要である。
1.ニッケルとバナジウムを、第6族、第9族、第10族金属等の活性金属や第15族原子とは別に無機酸化物担体に担持すること。
2.バナジウムの含有量と第15族原子の含有量の比〔V2O5/A2O5〕(質量比)が所定の範囲になるように原料の配合量を調整すること。
水素化処理触媒の具体的な製造方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
塩基性炭酸ニッケル、バナジン酸アンモニウム及び有機酸を用いて得られる水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に浸漬し、焼成してニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を得、次いで当該無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子の水溶液を担持し、乾燥して重質油水素化処理触媒を得る。
ここで、水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に浸漬する条件としては、ポアフィリング法により、室温で0.5〜2時間保持することが好ましく、また焼成温度は300〜500℃であることが好ましい。
また、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持する場合もポアフィリング法により、室温で0.5〜2時間保持して行うことが好ましい。この場合、分子量200〜500のポリエチレングリコールの存在下で担持すれば、上記水素化処理活性金属成分が均一に担持され、良好な水素化処理活性を付与することができる。
塩基性炭酸ニッケル、バナジン酸アンモニウム及び有機酸を用いて得られる水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に浸漬し、焼成してニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を得、次いで当該無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子の水溶液を担持し、乾燥して重質油水素化処理触媒を得る。
ここで、水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に浸漬する条件としては、ポアフィリング法により、室温で0.5〜2時間保持することが好ましく、また焼成温度は300〜500℃であることが好ましい。
また、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持する場合もポアフィリング法により、室温で0.5〜2時間保持して行うことが好ましい。この場合、分子量200〜500のポリエチレングリコールの存在下で担持すれば、上記水素化処理活性金属成分が均一に担持され、良好な水素化処理活性を付与することができる。
〔重質油〕
本発明の水素化処理に用いられる重質油としては、常圧残油、減圧残油、減圧軽油、脱蝋減圧残油、アスファルテン油、タールサンド油などが挙げられる。また、もちろんこれらを一旦予備的に水素化処理した留分やその残油であってもよい。
本発明の水素化処理に用いられる重質油としては、常圧残油、減圧残油、減圧軽油、脱蝋減圧残油、アスファルテン油、タールサンド油などが挙げられる。また、もちろんこれらを一旦予備的に水素化処理した留分やその残油であってもよい。
〔水素化処理触媒〕
本発明の水素化処理触媒は、重質油の各種水素化処理触媒、例えば脱金属触媒、脱硫触媒、脱窒素触媒、分解触媒などとして用いられる。中でも、バナジウムが高濃度に蓄積される脱硫・脱メタル触媒として好適である。
本発明の水素化処理触媒は、重質油の各種水素化処理触媒、例えば脱金属触媒、脱硫触媒、脱窒素触媒、分解触媒などとして用いられる。中でも、バナジウムが高濃度に蓄積される脱硫・脱メタル触媒として好適である。
〔水素化処理方法〕
本発明の触媒を用いる水素化処理方法は、特に制限はなく、公知の方法で行えばよい。
例えば、
1.予備硫化処理
水素化処理を行う前に触媒の活性化若しくは安定化処理として予備硫化処理を行うことが好ましい。この予備硫化処理は、予備硫化剤として、硫化水素、二硫化炭素、チオフェン、ジメチルジスルフィド等を使用し、通常、200〜400℃の温度範囲で行う。
2.水素化処理
水素化処理の反応条件は、対象となる原料油の種類や、水素化処理の種類により異なるが、通常以下に示す条件の範囲の中から、適宜選択して設定すればよい。
水素化処理の反応温度は200〜500℃、反応圧力は1.4〜24.5MPaの範囲が好適である。
反応形式としては、固定床、移動床、沸騰床、懸濁床等の種々のプロセスを用いることができるが、経済性の観点から、固定床による流通方式が好適である。流通方式の場合は、LHSV(液空間速度)は0.1〜45(1/hr)とすることが好ましい。
水素ガスと原料油の供給割合(水素/原料油比)については、50〜2,000Nm3/klの範囲の中で選定するのが好ましい。
本発明の触媒を用いる水素化処理方法は、特に制限はなく、公知の方法で行えばよい。
例えば、
1.予備硫化処理
水素化処理を行う前に触媒の活性化若しくは安定化処理として予備硫化処理を行うことが好ましい。この予備硫化処理は、予備硫化剤として、硫化水素、二硫化炭素、チオフェン、ジメチルジスルフィド等を使用し、通常、200〜400℃の温度範囲で行う。
2.水素化処理
水素化処理の反応条件は、対象となる原料油の種類や、水素化処理の種類により異なるが、通常以下に示す条件の範囲の中から、適宜選択して設定すればよい。
水素化処理の反応温度は200〜500℃、反応圧力は1.4〜24.5MPaの範囲が好適である。
反応形式としては、固定床、移動床、沸騰床、懸濁床等の種々のプロセスを用いることができるが、経済性の観点から、固定床による流通方式が好適である。流通方式の場合は、LHSV(液空間速度)は0.1〜45(1/hr)とすることが好ましい。
水素ガスと原料油の供給割合(水素/原料油比)については、50〜2,000Nm3/klの範囲の中で選定するのが好ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、水素化処理触媒のX線光電子分光法によるVp3/2の結合エネルギーは、以下の方法で測定した。
測定装置
X線光電子分光分析装置「Q20000」(アルバックファイ社製)
測定条件
X線 線源 :Al−Kα(モノクロ)
出力 :25W
分析面積 :100μ□
検出器角度 :45度
分解能 :passE
なお、水素化処理触媒のX線光電子分光法によるVp3/2の結合エネルギーは、以下の方法で測定した。
測定装置
X線光電子分光分析装置「Q20000」(アルバックファイ社製)
測定条件
X線 線源 :Al−Kα(モノクロ)
出力 :25W
分析面積 :100μ□
検出器角度 :45度
分解能 :passE
実施例1
バナジン酸アンモニウム1.67g、塩基性炭酸ニッケル0.91g及びクエン酸2.1gを採取し、これに純水50ccを加えて、80℃で攪拌しながら溶解し、さらに水分量をアルミナ担体の吸水量まで濃縮した後に室温まで冷却した。得られたニッケル・バナジウム水溶液をアルミナ担体に含浸して、450℃で3時間焼成してニッケル・バナジウム担体を得た。
このニッケル・バナジウム担体に炭酸ニッケル63.2g、酸化モリブデン150g、正リン酸溶液17.9g、リンゴ酸25gを純水500ccに80℃で溶解して得られたニッケル・モリブデン・リン水溶液を担持して、120℃で乾燥し、重質油水素化処理触媒A(触媒A)を得た。
触媒Aのニッケル(但し、最初に担持したニッケル分は除く)、モリブデン及びリンの含有量は、それぞれ触媒全量基準で、3質量%、14質量%及び1質量%(担持金属組成3−14−1質量%)であった。触媒Aの組成、物性を表1に示す。
バナジン酸アンモニウム1.67g、塩基性炭酸ニッケル0.91g及びクエン酸2.1gを採取し、これに純水50ccを加えて、80℃で攪拌しながら溶解し、さらに水分量をアルミナ担体の吸水量まで濃縮した後に室温まで冷却した。得られたニッケル・バナジウム水溶液をアルミナ担体に含浸して、450℃で3時間焼成してニッケル・バナジウム担体を得た。
このニッケル・バナジウム担体に炭酸ニッケル63.2g、酸化モリブデン150g、正リン酸溶液17.9g、リンゴ酸25gを純水500ccに80℃で溶解して得られたニッケル・モリブデン・リン水溶液を担持して、120℃で乾燥し、重質油水素化処理触媒A(触媒A)を得た。
触媒Aのニッケル(但し、最初に担持したニッケル分は除く)、モリブデン及びリンの含有量は、それぞれ触媒全量基準で、3質量%、14質量%及び1質量%(担持金属組成3−14−1質量%)であった。触媒Aの組成、物性を表1に示す。
実施例2
担持金属組成3−14−1質量%を3−14−4質量%とした以外は実施例1と同様の方法で触媒Bを得た。触媒Bの組成、物性を表1に示す。
担持金属組成3−14−1質量%を3−14−4質量%とした以外は実施例1と同様の方法で触媒Bを得た。触媒Bの組成、物性を表1に示す。
比較例1
ニッケル・バナジウム担体に替えてアルミナ担体を用いた以外は、実施例1と同様の方法で触媒Cを得た。
得られた触媒Cの担持金属組成はで3−14−1質量%であった(但し、最初に担持したニッケル分は除く)。触媒Cの組成、物性を表1に示す。
ニッケル・バナジウム担体に替えてアルミナ担体を用いた以外は、実施例1と同様の方法で触媒Cを得た。
得られた触媒Cの担持金属組成はで3−14−1質量%であった(但し、最初に担持したニッケル分は除く)。触媒Cの組成、物性を表1に示す。
比較例2
ニッケル・モリブデン・リン水溶液に替えて、炭酸ニッケル63.2g、酸化モリブデン150g、リンゴ酸120gを純水500ccに80℃で溶解して得られたニッケル・モリブデン水溶液を担持したこと以外は、実施例1と同様の方法で、触媒Dを得た。
得られた触媒Dの担持金属組成はで3−14質量%であった(但し、最初に担持したニッケル分は除く)。触媒Dの組成、物性を表1に示す。
ニッケル・モリブデン・リン水溶液に替えて、炭酸ニッケル63.2g、酸化モリブデン150g、リンゴ酸120gを純水500ccに80℃で溶解して得られたニッケル・モリブデン水溶液を担持したこと以外は、実施例1と同様の方法で、触媒Dを得た。
得られた触媒Dの担持金属組成はで3−14質量%であった(但し、最初に担持したニッケル分は除く)。触媒Dの組成、物性を表1に示す。
比較例3
炭酸ニッケル35g、酸化モリブデン93.5g、正リン酸溶液86.9gを純水500ccに80℃で溶解して得られたニッケル・モリブデン・リン水溶液を担持したこと以外は、実施例1と同様の方法で、触媒Eを得た。得られた触媒Eの担持金属組成はで3−14−8質量%であった(但し、最初に担持したニッケル分は除く) 。触媒Eの組成、物性を表1に示す。
炭酸ニッケル35g、酸化モリブデン93.5g、正リン酸溶液86.9gを純水500ccに80℃で溶解して得られたニッケル・モリブデン・リン水溶液を担持したこと以外は、実施例1と同様の方法で、触媒Eを得た。得られた触媒Eの担持金属組成はで3−14−8質量%であった(但し、最初に担持したニッケル分は除く) 。触媒Eの組成、物性を表1に示す。
実施例3、4、比較例4〜6
下記の評価方法で、重質油水素化処理反応における触媒A〜Eの性能を評価した。
〔評価方法〕
前処理として、下記の反応装置に、評価触媒を充填し該触媒にLGO(直留軽油)に、硫化剤であるジメチルジスルフィドを添加した原料油(原料油中の硫黄濃度は2.5質量%に調整)を、水素ガスとともに250℃で24時間流通して、予備硫化した。
次いで、表2に示す性状を有する常圧残油を用い、下記の反応装置、反応条件で重質油水素化処理を行い、生成油の硫黄分と生成油(V+Ni)分を測定した。
結果を表3に示した。
下記の評価方法で、重質油水素化処理反応における触媒A〜Eの性能を評価した。
〔評価方法〕
前処理として、下記の反応装置に、評価触媒を充填し該触媒にLGO(直留軽油)に、硫化剤であるジメチルジスルフィドを添加した原料油(原料油中の硫黄濃度は2.5質量%に調整)を、水素ガスとともに250℃で24時間流通して、予備硫化した。
次いで、表2に示す性状を有する常圧残油を用い、下記の反応装置、反応条件で重質油水素化処理を行い、生成油の硫黄分と生成油(V+Ni)分を測定した。
結果を表3に示した。
反応装置
水素化処理装置:触媒充填量50ccの高圧固定床流通式反応装置
反応条件
反応温度:250℃
水素分圧: 13.2MPa
液空間速度: 0.2(1/hr)
水素/オイル比: 700Nm3/kl
水素化処理装置:触媒充填量50ccの高圧固定床流通式反応装置
反応条件
反応温度:250℃
水素分圧: 13.2MPa
液空間速度: 0.2(1/hr)
水素/オイル比: 700Nm3/kl
表3より、本発明の重質油水素化処理触媒用いた重質油水素化処理では、生成油の硫黄分及び(V+Ni)分が少なく、水素化分解活性が高いことが分かる(実施例3,4)。これに対し、本発明の重質油水素化処理触媒に該当しない触媒を用いた重質油水素化処理では、生成油の硫黄分及び(V+Ni)分が多く、水素化分解活性が不充分であることが分かる(比較4〜6)。
本発明によれば、バナジウムを含む水素化処理活性の高い重質油水素化処理触媒を提供することができる。
Claims (9)
- ニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体に、周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を担持した重質油水素化処理触媒であって、該触媒のX線光電子分光法により測定したVp3/2の結合エネルギーが515.0〜516.5eVであることを特徴とする重質油水素化処理触媒。
- 前記水素化処理触媒中のバナジウムと第15族の原子(A)の含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0である請求項1に記載の重質油水素化処理触媒。
- 前記第6族金属がモリブデン、前記第9族金属がコバルト、前記第10族金属がニッケル、前記第15族原子がリンである請求項1又は2に記載の重質油水素化処理触媒。
- 前記無機酸化物担体に含まれるニッケル及びバナジウムの含有量が、担体全量基準で、ニッケルが、NiO換算で0.1〜5質量%、バナジウムがV2O5換算で1〜10質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒。
- ニッケル化合物、バナジウム化合物及び有機酸を用いて得られる水溶性ニッケル・バナジウム錯体を無機酸化物担体に担持してニッケル及びバナジウムを含む無機酸化物担体を調製し、次いで得られた無機酸化物担体に周期表第6族、第9族もしくは第10族金属、並びに第15族の原子を、それらの金属や原子含む水溶液を用いて担持することを特徴とする重質油水素化処理触媒の製造方法であって、当該水溶液中の第15族の原子(A)の含有量が、担持後の触媒中のバナジウムとAの含有量の比が、〔V2O5/A2O5〕(質量比)換算で、0.5〜5.0を満たす濃度の水溶液を用いて担持することを特徴とする重質油水素化処理触媒の製造方法。
- 前記ニッケル化合物が塩基性炭酸ニッケル、前記バナジウム化合物がバナジン酸アンモニウムである請求項5に記載の重質油水素化処理触媒の製造方法。
- 前記第6族金属がモリブデン、前記第9族金属がコバルト、前記第10族金属がニッケル、前記第15族原子がリンである請求項5または請求項6に記載の重質油水素化処理触媒の製造方法。
- 周期表第6族、第9族もしくは第10族の金属、並びに第15族原子を分子量200〜500のポリエチレングリコールの存在下で、無機酸化物担体に担持することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒もしくは請求項5〜8のいずれかに記載の重質油水素化処理触媒の製造方法によって得られた重質油水素化処理触媒の存在下で重質油を水素化処理することを特徴とする重質油の水素化処理方法。
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JP2010120902A JP2011245418A (ja) | 2010-05-26 | 2010-05-26 | 重質油水素化処理触媒及びその製造方法 |
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CN116020478A (zh) * | 2021-10-25 | 2023-04-28 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种加氢处理催化剂的级配方法 |
CN116020479A (zh) * | 2021-10-25 | 2023-04-28 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种催化剂的级配方法 |
WO2023071986A1 (zh) * | 2021-10-25 | 2023-05-04 | 中国石油化工股份有限公司 | 加氢催化剂的级配系统和应用以及加氢催化剂的级配方法 |
-
2010
- 2010-05-26 JP JP2010120902A patent/JP2011245418A/ja active Pending
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