JP2011244594A - かご形回転子、かご形回転子の製造方法 - Google Patents

かご形回転子、かご形回転子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コアの径方向に並ぶ複数の鋳造導体バーを異なる素材から形成することが可能な複数重(例えば二重)かご形回転子を提供する。
【解決手段】コア3の径方向に相互に連通しないように形成した外層側導体バー用スロット3A内,内層側導体バー用スロット3B内にそれぞれ種類の異なる金属または合金を用いた鋳造により外層側導体バー5A,内層側導体バー5Bを形成するとともに、同一材料から形成した同一半径上の外層側導体バー5A,内層側導体バー5Bをそれぞれ導体バー5A,5Bと同じ材料を用いた鋳造により形成した外層側エンドリング6A,内層側エンドリング6Bで接続した。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転子、特にかご形回転子、及びその製造方向に関するものである。
従来より、電動機や発電機等の回転機器に適用される回転子として、回転軸の軸方向に薄板状の鋼板を複数枚積層したコアと、かご形電気伝導体(「かご形導体」とも称される)とを備えたものが知られている。かご形導体としては、コアを構成する各鋼板の外周縁ないし外周縁近傍に形成され回転軸の軸方向に連通する複数のスロットにそれぞれ例えば銅や黄銅からなる導体バーを挿入し、各導体バーの端部を、コアの長手方向(回転軸の軸方向)両端部に配置したエンドリング(短絡環)に電気的に接続したもの(以下、「導体バー挿入タイプ」と称する)や、鋼板を積層した状態で回転軸の軸方向に連通するスロットに例えばアルミニウム等の金属を鋳込む(ダイキャスト)ことにより、回転軸の軸方向に延伸する導体バーと、導体バーの両端に形成されるエンドリングとを一体に製造したもの(以下、「鋳造タイプ」と称する)が挙げられる(特許文献1参照)。
導体バー挿入タイプのかご形導体では、直径が例えば5mm〜10mm程度であるスロット内に細長く硬質の導体バーを連続して挿入する作業には高い精度が要求され、また、挿入作業の途中で導体バーの一部がスロットに不意に引っ掛かって噛み込んだ場合には、導体バーが抜き挿し不能な状態になり、廃棄せざるを得ないという不具合があった。一方、鋳造タイプのかご形導体であれば、鋼板のスロット(微小孔)に導体バーを挿入する手間を省略することができる。
ところで、適切なトルク特性を得るために、導体バーをコアの径方向に二重に配置したいわゆる二重かご形回転子も知られている。二重かご形回転子の具体例としては、外側(回転軸から半径方向に遠い側)のスロット内に相対的に高抵抗の素材からなる導体バーを挿入して配置し、内側(回転軸から半径方向に近い側)のスロット内に相対的に低抵抗の素材からなる導体バーを挿入して配置することにより、始動時の電流を小さくして始動トルクを大きく設定した導入バー挿入タイプのものが挙げられる。なお、下記特許文献2には、導体バーをコアの径方向に三重(三層)状に配置した導入バー挿入タイプのかご形回転子が開示されている。
特開平8−275473号公報 特開平6−205570号公報
ところで、上記特許文献2の図2に明示されているように、径方向に形成した複数のスロットは径方向に延びる連通孔を介して相互につながっている。したがって、鋳造タイプのかご形回転子において、このようなスロットに特定の金属(例えばアルミニウム)または合金を鋳込んだ場合、当然のことながら、各スロット内には同一素材の溶融金属が流れ込み、径方向に並ぶ導体バーの素材が同一のものになってしまい、異なる種類の金属での鋳造ができないという問題があった。
また、導体バー挿入タイプで二重かご形回転子を構成する場合、各導体バーに用いる材料の組み合わせがある程度限定されたものであるため、トルク特性の自由度には制限があった。さらに、二重かご形回転子では、導体バーがスロットに挿入される工程で噛み込んでします可能性も一層高まることとなる。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、鋳造タイプのかご形回転子において、コアの径方向に並ぶ複数の導体バーを異なる素材から形成することが可能なかご形回転子、及びそのような効果を奏するかご形回転子の製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、回転軸の軸方向に複数の鋼板を積層してなり且つ回転軸の軸方向に連通するスロットを同心状に複数形成したコアと、各スロット内に鋳造によって形成した導体バーと、導体バーをコアの軸方向の各端面側で連結したエンドリングとを備えたかご形回転子に関するものである。そして、本発明のかご形回転子は、スロットをコアの径方向に相互に連通しないように複数形成し、これら径方向に間欠的に並ぶ各スロット内にそれぞれ種類の異なる金属または合金を用いた鋳造により導体バーを形成するとともに、同一半径上にある導体バー同士をこれら導体バーと同じ材料を用いた鋳造により形成したエンドリングで連結していることを特徴としている。
ここで、コアの径方向に間欠的に並ぶスロットの数は複数であればよく、3つ以上のスロットをコアの径方向に並べた態様を適用することもできる。また、3つ以上のスロットをコアの径方向に並べて形成した場合、すくなくとも2つ以上のスロットがコアの径方向に相互に連通しない形状であればよい。
そして、本発明の複数層(複数重)かご形回転子では、コアの径方向に相互に連通していない各スロット内にそれぞれ異なる材料の金属または合金で鋳造によって抵抗値や導電性等が相互に異なる導体バーを形成することが可能であるため、コアの径方向に並ぶ各導体バーの材料(素材)の組み合わせや配合比率(合金の場合)等の選択肢が増大し、仕様に応じた適切なトルク特性を得ることが可能になる。また、導体バー挿入タイプの場合では得られず本発明特有の効果としては、コアの径方向に並ぶスロットの形状を適宜変更した場合であっても、鋳造処理によって各スロット内を隙間無く充填するような導体バーを容易に形成することができる点を挙げられる。
また、本発明のかご形回転子では、同一半径上に複数形成される導体バー同士を、これら導体バーと共に鋳造により形成したエンドリングによって接続しているため、同一半径上にある複数の導体バーとエンドリングとの連結強度が高く、耐遠心力性も増大して高速回転にも好適に対応することができる。
また、本発明は、上述したかご形回転子の製造方法として、回転軸の軸方向に複数の鋼板を積層し、回転軸の軸方向に連通するスロットを同心状に複数有するコアを形成する工程と、これら径方向に並ぶ各スロット内に、溶融したそれぞれ種類の異なる金属または合金を注入し硬化させる鋳造法により導体バーを形成するとともに、同一半径上にある導体バー同士を当該導体バーと同じ材料を用いた鋳造法によりエンドリングを形成し、同一材料の導体バーとエンドリングを一体に連結させた状態のかご形導体を形成する工程とを経ることを特徴としている。このような方法によれば、導体バー及びエンドリングを一体に鋳造し、相互に金属種を異ならせた二重以上の複数重かご形導体を有するかご形回転子を効率良く製造することができる。
このように、本発明であれば、コアの径方向に相互に連通しない複数のスロットにそれぞれ材料や配合比率の異なる金属または合金を鋳込むことによって特性の異なる導体バーをコアの径方向に複数重(複数層)に形成したかご形回転子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る回転子の縦断面模式図。 図1のa−a線断面模式図。 図2のz領域拡大模式図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る回転子1は、図1及び図2(図1は回転子1の縦断面模式図であり、図2は図1のa−a線断面模式図であり、図3は図2のz領域拡大模式図である)に示すように、回転軸2と、回転軸2の周囲に当該回転軸2と一体回転可能に設けたコア3と、コア3に施したかご形導体4とを備えたものである。
回転軸2は、外周面の所定部分に径方向に突出させたキー21を有し、コア3に形成したキー溝3aをキー21に係合することにより、回転軸2とコア3とが一体回転するように構成している(図2参照)。
コア3は、薄板状をなす複数の鋼板31(例えば珪素鋼板31)を回転軸2の軸方向に積層して構成したものである。概略円環状をなす各鋼板31は、外周縁部近傍に形成した外層側導体バー用スロット3Aと、外層側導体バー用スロット3Aよりも内周側(回転軸2側)に形成した内層側導体バー用スロット3Bと備えている。これら外層側導体バー用スロット3A及び内層側導体バー用スロット3Bは、それぞれ同一半径上に所定ピッチで複数形成されている。すなわち、本実施形態に係るかご形回転子1では、回転軸2の軸方向に複数の鋼板31を積層して、回転軸2の軸方向に連通するスロット3A、3Bを同心状に有するコア3を形成している。そして、外層側導体バー用スロット3Aと内層側導体バー用スロット3Bとは相互に連通しておらず、本実施形態では、内層側導体バー用スロット3Bの開口形状を外層側導体バー用スロット3Aの開口形状よりも大きく設定している(図3参照)。
そして、本実施形態に係る回転子1は、外層側導体バー用スロット3A内に、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金(例えばADC12等)を用いた鋳造により外層側導体バー5Aを形成し、内層側導体バー用スロット3B内に、例えば銅または銅合金(例えばC2100やC4621等)を用いた鋳造により内層側導体バー5Bを形成している。本実施形態の回転子1は、このような構成によって外層側導体バー5Aの抵抗値を内層側導体バー5Bの抵抗値よりも高くなるように設定している。
また、本実施形態に係る回転子1は、図1に示すように、周方向に複数形成した外層側導体バー5Aの端部同士を、コア3の端面側に形成した外層側エンドリング6Aによって接続し、周方向に複数形成した内層側導体バー5Bの端部同士を、コア3の端面側に形成した内層側エンドリング6Bによって接続している。外層側エンドリング6A及び内層側エンドリング6Bは、コア3の端面よりも回転軸2の軸方向に突出した形状をなしている。本実施形態の回転子1は、外層側導体バー5A及び外層側エンドリング6Aにより外層側かご形導体4Aを構成し、内層側導体バー5B及び内層側エンドリング6Bにより内層側かご形導体4Bを構成し、これら外層側かご形導体4A及び内層側かご形導体4Bからなる二重かご形導体4を有するものである。
本実施形態では、外層側導体バー5Aの鋳造時に外層側エンドリング6Aを一緒に鋳造処理で形成している。また、内層側導体バー5Bの鋳造時に内層側エンドリング6Bを一緒に鋳造処理で形成している。このように、径方向に並ぶ各スロット3A、3B内に、溶融したそれぞれ種類の異なる金属または合金を注入し硬化させる鋳造法により導体バー5A、5Bを形成するとともに、同一半径上にある導体バー5A同士、同一半径上にある導体バー5B同士をそれぞれの導体バーと同じ材料を用いた鋳造法によりエンドリング6A、6Bを形成し、同一材料の導体バー5A及びエンドリング6A、同一材料の導体バー5B及びエンドリング6Bをそれぞれ一体に連結させたかご形導体4A、4Bを二重に形成している。なお、適用する金属または合金のうち溶融点の高い金属または合金(本実施形態であれば銅または銅合金)から先に鋳込むことが好ましい。
このような二重かご形回転子1は、表皮効果により始動時には外層側導体バー用スロット3A内に形成した導体バー(外層側導体バー5A)に大きな電流が流れ、運転中には内層側導体バー用スロット3B内に形成した導体バー(内層側導体バー5B)に多くの電流が流れるが、本実施形態に係る二重かご形回転子1は、外層側導体バー5Aの抵抗値を内層側導体バー5Bの抵抗値よりも高く設定しているため、始動時の特性を改善することができるとともに、運転中の効率の向上を図ることができる。
このように、本実施形態に係る二重かご形回転子1は、相互に連通していない外層側導体バー用スロット3A及び内層側導体バー用スロット3Bの内部にそれぞれ異なる材料の金属または合金で鋳造によって相互に抵抗値や導電性の異なる外層側導体バー5A及び内層側導体バー5Bを形成しているため、各導体バー(外層側導体バー5A、内層側導体バー5B)の組み合わせや配合比率(合金の場合)等の選択肢が増大し、仕様に応じた適切なトルク特性を得ることが可能になる。
さらに、本実施形態のかご形回転子1では、周方向に複数形成される外層側導体バー5A同士を、これら外層側導体バー5Aと共に鋳造により形成した外層側エンドリング6Aによって接続しているため、これら外層側導体バー5A及び外層側エンドリング6Aを一体成形することができ、外層側かご形導体4A全体の強度が向上する。同様に、周方向に複数形成される内層側導体バー5B同士を、これら内層側導体バー5Bと共に鋳造により形成した内層側エンドリング6Bによって接続しているため、これら内層側導体バー5B及び内層側エンドリング6Bを一体成形することができ、内層側かご形導体4B全体の強度向上を実現している。そして、二重のかご形導体4A,4Bをそれぞれ一体成形した回転子1は、耐遠心力性も増大し、高速回転にも好適に対応することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、径方向に並ぶ各スロットの形状や数、或いは径方向に並ぶスロット同士の離間寸法は適宜変更することができる。また、同一半径上に並ぶスロット同士の周方向に沿った離間寸法も適宜変更することが可能である。
また、上述した実施形態では、外層側導体バー及び外層側エンドリング(すなわち外層側かご形導体)をアルミニウムまたはアルミニウム合金により形成し、内層側導体バー及び内層側エンドリング(すなわち内層側かご形導体)を銅または銅合金により形成した態様を例示したが、仕様に応じて、外層側かご形導体を銅または銅合金により形成し、内層側かご形導体をアルミニウムまたはアルミニウム合金により形成した態様を採用したり、これら上述した材料以外の金属または合金の組み合わせで各かご形導体を形成することができる。また、合金を適用する場合、その配合比率も適宜に設定することができる。
また、径方向に3つ以上のスロットを並べ、各スロット内にそれぞれ異なる金属または合金を用いた鋳造により相互に特性の異なるかご形導体を複数重(複数層)状に備えたかご形回転子を構成してもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…かご形回転子
2…回転軸
3…コア
31…鋼板
3A…外層側導体バー用スロット
3B…内層側導体バー用スロット
4…かご形導体
5A…外層側導体バー
5B…内層側導体バー
6A…外層側エンドリング
6B…内層側エンドリング

Claims (2)

  1. 回転軸の軸方向に複数の鋼板を積層してなり且つ回転軸の軸方向に連通するスロットを同心状に複数形成したコアと、各スロット内に鋳造によって形成した導体バーと、導体バーを前記コアの軸方向の各端面側で連結したエンドリングとを備えたかご形回転子であって、
    前記スロットを前記コアの径方向に相互に連通しないように複数形成し、これら径方向に並ぶ各スロット内にそれぞれ種類の異なる金属または合金を用いた鋳造により前記導体バーを形成するとともに、同一半径上にある導体バー同士を当該導体バーと同じ材料を用いた鋳造により形成したエンドリングで連結していることを特徴とするかご形回転子。
  2. 請求項1に記載のかご形回転子の製造方法であって、
    回転軸の軸方向に複数の鋼板を積層し、回転軸の軸方向に連通するスロットを同心状に複数有するコアを形成する工程と、
    これら径方向に並ぶ各スロット内に、溶融したそれぞれ種類の異なる金属または合金を注入し硬化させる鋳造法により前記導体バーを形成するとともに、同一半径上にある導体バー同士を当該導体バーと同じ材料を用いた鋳造法によりエンドリングを形成し、同一材料の導体バーとエンドリングを一体に連結させた状態のかご形導体を形成する工程とを有することを特徴とするかご形回転子の製造方法。
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