JP2011242366A - 成膜装置における膜厚測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺フィルム状の基材aを成膜処理部4を経由して搬送しつつ、成膜処理部4で基材aの表面に膜を形成する成膜装置における膜厚測定方法であって、基材aが導電性であっても膜厚を正確に測定できるようにした方法を提供する。
【解決手段】成膜処理部4の下流側の基材搬送路の部分に、基材表面に対向する第1の光学式変位計10と基材裏面に対向する第2の光学式変位計10とを互いの光軸が同一直線上に位置するように配置する。そして、第1と第2の両光学式変位計10,10の計測距離に基づいて、基材表面に形成された膜の膜厚を算出する。好ましくは、基材aの未成膜部分で計測された両光学式変位計10,10の計測距離の合計値と、基材aの成膜部分で計測された両光学式変位計10,10の計測距離の合計値との差で膜厚を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、長尺フィルム状の基材を成膜処理部を経由して搬送しつつ、成膜処理部で基材の表面に膜を形成する成膜装置における膜厚測定方法に関する。
従来、基材の表面に導電性の膜を形成する成膜装置における膜厚測定方法として、高周波を膜に印加して渦電流を発生させ、ブリッジ回路でインピーダンス変化を測定して、膜厚を算出する渦電流方式(例えば、特許文献1参照)や、抵抗測定ローラーを用いて、膜の抵抗から膜厚を算出する抵抗方式(例えば、特許文献2参照)が知られている。
然し、これらの方法は、基材が金属製フィルム等の導電性のものである場合には適用できない。即ち、渦電流方式では、基材に膜よりも大きな渦電流が発生し、膜で発生した渦電流によるインピーダンス変化量が基材で発生する渦電流によるインピーダンス変化量よりも小さくなり、正確な膜厚測定を行うことが困難になる。また、抵抗方式でも、成膜したことによる抵抗変化量が小さくなるため、正確な膜厚測定を行うことが困難になる。
また、従来、成膜処理部に水晶振動子を配置して、成膜材料を水晶振動子にも付着させ、水晶振動子の共振周波数の変化から水晶振動子上の膜厚を算出し、この膜厚を基材上の膜圧に換算する膜厚測定方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。これによれば、基材が導電性であっても膜厚を測定できる。
然し、この方法では、水晶振動子への成膜が進むことによって膜厚変化量と共振周波数変化量との関係に狂いを生じて、膜厚の測定誤差を生ずるため、水晶振動子を頻繁に交換することが必要になる。その結果、交換による作業時間の増加とラニングコストの上昇を招き、生産性が低下する不具合がある。
特開平9−324261号公報 特開平10−26644号公報 特開2008−122200号公報
本発明は、以上の点に鑑み、基材が導電性であっても膜厚を正確に測定でき、且つ、測定器具の交換が不要な生産性に優れた成膜装置における膜厚測定方法を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、長尺フィルム状の基材を成膜処理部を経由して搬送しつつ、成膜処理部で基材の表面に膜を形成する成膜装置における膜厚測定方法であって、成膜処理部の下流側の基材搬送路の部分に、基材表面に対向する第1の光学式変位計と基材裏面に対向する第2の光学式変位計とを互いの光軸が同一直線上に位置するように配置し、第1と第2の両光学式変位計の計測距離に基づいて、基材表面に形成された膜の膜厚を算出することを特徴とする。
ここで、第1の光学式変位計の計測距離は、該変位計から基材表面に形成した膜表面までの距離に等しく、第2の光学式変位計の計測距離は、該変位計から基材裏面までの距離に等しいから、第1と第2の両光学式変位計間の距離から両光学式変位計の計測距離の合計値を減算した値は、基材の厚さに膜厚を加算した値になる。従って、例えば、両光学式変位計間の距離と基材の厚さとを予め調べておけば、両光学式変位計の計測距離に基づいて膜厚を算出することができる。
そして、本発明によれば、基材及び膜が光を反射するものである限り、基材が導電性であっても、膜厚を正確に測定できる。特に、本発明では、両光学式変位計を互いの光軸が同一直線上に位置するように配置しているため、搬送中に基材がその厚さ方向に振動して、一方の光学式変位計の計測距離が増加或いは減少しても、他方の光学式変位計の計測距離がその分減少或いは増加し、両光学式変位計の計測距離の合計値は変化しない。従って、基材の振動の影響を受けることなく、膜厚を正確に測定できる。また、測定機器たる光学式変位計は故障しない限り交換不要であり、交換による作業時間の増加やラニングコストの上昇を招くことがなく、生産性に優れる。
また、本発明においては、膜が形成されていない基材の未成膜部分で計測された両光学式変位計の計測距離の合計値と、膜が形成された基材の成膜部分で計測された両光学式変位計の計測距離の合計値との差で膜厚を求めることが望ましい。これによれば、両光学式変位計間の距離と基材の厚さとを予め調べなくても膜厚を算出でき、生産性が一層向上する。
本発明方法の実施に用いる成膜装置を示す模式的断面図。 第1と第2の光学式変位計の配置部の拡大図。 第1の試験の結果を示すグラフ。 第2の試験の結果を示すグラフ。
図1は、長尺フィルム状の基材aの表面に膜b(図2参照)を形成する巻取り式真空成膜装置を示している。尚、基材aの材料は、例えば、銅であり、膜bの材料は、例えば、リチウムであり、リチウム二次電池やリチウムキャパシタの素材となる製品が製造される。但し、基材a及び膜bの材料はこれに限定されるものではない。
巻取り式真空成膜装置は、油拡散ポンプ等の真空ポンプ(図示省略)に接続される複数の排気口1a,1b,1cを有する真空チャンバ1を備えている。真空チャンバ1内は、仕切り板1dにより上下2室に仕切られている。下室は、冷却ドラム2とこれに対向する成膜ユニット3とを収納した成膜処理部4になっている。
冷却ドラム2は、その内部に流す冷却媒体により周面が冷却されるようになっている。また、成膜ユニット3は、ルツボ3aに収納した成膜材料を抵抗加熱、EB(電子線)加熱、誘導加熱等で加熱して蒸発させる蒸着方式のものである。尚、成膜ユニット3として、スパッタ方式等の蒸着方式以外のものを用いることも可能である。
上室には、基材aを巻出す巻出しローラ5と、基材aを巻取る巻取りローラ6と、巻出しローラ5から巻出された基材aを冷却ドラム2に導く複数のガイドローラ7と、冷却ドラム2の周面に巻回した状態で成膜処理部4を経由した基材aを巻取りドラム6に導く複数のガイドローラ8とが配置されている。そして、巻出しローラ5から巻取りローラ6に成膜処理部4を経由して基材aを搬送しつつ、成膜処理部4で基材aの表面に成膜ユニット3から蒸発した成膜材料を蒸着させて膜bを形成するようにしている。
また、上室には、更に、巻出しローラ5と冷却ドラム2との間で基材aにクリーニング処理を施す第1プラズマ発生ユニット9と、冷却ドラム2と巻取りローラ6との間で基材bに除電処理を施す第2プラズマ発生ユニット9とが配置されている。
ところで、成膜に際しては、膜bの膜厚を測定し、膜厚が所要値になるように基材aの搬送速度をフィードバック制御する必要がある。そこで、成膜処理部4の下流側の基材搬送路の部分、例えば、巻取りローラ6の近傍に位置する一対のガイドローラ8,8間に、基材aの表面に対向する第1の光学式変位計10と、基材aの裏面に対向する第2の光学式変位計10とを配置し、両光学式変位計10,10の計測距離に基づいて膜厚を算出している。
第1の光学式変位計10と第2の光学式変位計10とは、互いの光軸が同一直線上に位置するように配置される。尚、各光学式変位計10,10は、レーザーダイオード等の光源からの光を被測定物に照射し、被測定物からの拡散反射光を集光レンズでイメージセンサに光スポットとして集光させ、光スポットの位置から被測定物までの距離を計測する、特開平10−332335号公報や特開2001−50711号公報等で従来公知のものである。上記光軸は、被測定物たる基材aに対する照射光の光軸を意味する。
図2を参照して、基材aの厚さをta、膜bの膜厚をtb、両光学式変位計10,10間の距離をL0,第1の光学式変位計10の計測距離(第1の光学式変位計10から膜bの表面までの距離)をL1、第2の光学式変位計10の計測距離(第2の光学式変位計10から基材aの裏面までの距離)をL2とすると、次式、
ta+tb=L0−(L1+L2)…(1)
が成立する。L0とtaは予め調べることができるから、両光学式変位計10,10の計測距離L1,L2に基づいて膜厚tbを(1)式から算出できる。
但し、L0とtaを予め調べることは面倒である。そこで、本実施形態では、成膜開始前に冷却ドラム2と巻取りローラ6との間に存在する基材aの部分、即ち、膜bが形成されていない基材aの未成膜部分に対し両光学式変位計10,10による計測を行っている。
未成膜部分で計測された第1の光学式変位計10の計測距離(第1の光学式変位計10から基材aの表面までの距離)をL1´、第2の光学式変位計10の計測距離(第2の光学式変位計10から基材aの裏面までの距離)をL2´とすると、次式、
ta=L0−(L1´+L2´)…(2)
が成立する。(2)式を(1)式に代入して整理すると、次式、
tb=(L1´+L2´)−(L1+L2)…(3)
が成立する。即ち、基材aの未成膜部分で計測された両光学式変位計10,10の計測距離の合計値L1´+L2´と、膜bが形成された基材aの成膜部分で計測された両光学式変位計10,10の計測距離の合計値L1+L2との差で膜厚tbを求めることができる。これによれば、L0とtaを予め調べる必要がなく、生産性が向上する。
また、基材a及び膜bが光を反射するものである限り、基材aが導電性であっても、膜厚tbを正確に測定できる。そして、測定機器たる両光学式変位計10,10は故障しない限り交換不要であり、交換による作業時間の増加やラニングコストの上昇を招くことがなく、生産性に優れる。尚、両光学式変位計10,10による計測に際しては、計測時のノイズを除去するため、例えば、メディアンフィルター処理を行うことが望ましい。
ところで、基材搬送中に基材aはその厚さ方向に振動し易く、この振動によって各光学式変位計10,10の計測距離L1,L2が変動して、膜厚tbの測定誤差を生ずることが懸念される。然し、本実施形態では、両光学式変位計10,10を互いの光軸が同一直線上に位置するように配置しているため、基材aが振動して、第1の光学式変位計10の計測距離L1が増加或いは減少しても、第2の光学式変位計10の計測距離L2がその分減少或いは増加し、両光学式変位計10,10の計測距離の合計値L1+L2は変化しない。従って、基材aの振動の影響を受けることなく、膜厚tbを正確に測定できる。
尚、基材aの振動による測定誤差を防止するために、成膜処理部4の下流側の何れか一つのガイドローラ8の周面に巻回される基材aの部分の表面に対向するように光学式変位計を配置して、膜厚tbを計測することも考えられる。然し、このものでは、ガイドローラ8の振動や偏心で基材aがガイドローラ8の径方向に動いてしまうため、測定誤差を防止することはできない。本実施形態の如く、基材aの表面に対向する第1の光学式変位計10と基材aの裏面に対向する第2の光学式変位計10とを互いの光軸が同一直線上に位置するように配置することが測定誤差を防止する上で必要である。
以上の効果を確かめるため実施形態の成膜装置を用いて以下の第1乃至第3の試験を行った。尚、各試験では、第1と第2の各光学式変位計10,10として、キーエンス(株)製のレーザー変位計SI−F01を使用した。
第1の試験では、厚さ30μm、幅200mmの銅箔を巻出しローラ5と巻取りローラ6との間に張力29.6Nで通紙し、巻出しローラ5から巻取りローラ6に銅製フィルムを正転搬送しつつ、銅製フィルムの表面に厚さ10±1.0μmのポリエステルテープを大気圧下で貼り付けた。次に、真空チャンバ1を真空引きした状態で、銅製フィルムを巻取りローラ6から巻出しローラ5に逆転搬送しつつ、第1と第2の両光学式変位計10,10による計測を行った。計測時の条件として、平均回数1回、サンプリング周期200msec、メディアンを31回と設定した。これは、第2と第3の試験でも同様である。
第1の試験の結果を図3に示す。尚、図3は、テープが貼り付けられていない銅箔の部分で計測された第1と第2の両光学式変位計10,10の計測距離の合計値が零になるように零点調整した後の両光学式変位計10,10の計測距離の合計値を変位として示している。図3を見ると、両光学式変位計10,10の配置部にテープを貼り付けた銅箔の部分が搬送されたところで、変位が0前後から−10μmに変化している。この10μmの変化量はテープの厚さに由来しており、この結果から膜厚を測定できることが分かる。
第2の試験では、厚さ30μm、幅200mmの銅箔を巻出しローラ5と巻取りローラ6との間に張力29.6Nで通紙し、真空チャンバ1内を3.6×10−3Paまで真空引きした。次に、成膜材料たるリチウムを入れたルツボ3aを抵抗加熱法で電源出力3.79kWで加熱し、銅箔を速度を変えながら搬送しつつ銅箔の表面にリチウム膜を成膜すると共に、第1と第2の両光学式変位計10,10による計測を行った。
第2の試験の結果を図4に示す。尚、図4は、銅箔の未成膜部分で計測された第1と第2の両光学式変位計10,10の計測距離の合計値が零になるように零点調整した後の両光学式変位計10,10の計測距離の合計値を変位として示している。図4を見ると、銅箔の搬送速度の変化に伴い変位も変化している。これは、搬送速度の違いによって成膜されたリチウム膜の膜厚が変化するためである。搬送速度と膜厚から想定されるダイナミックレートはおよそ10μm・m/minで一定であることから、リチウム膜を成膜しながら膜厚を測定できることが分かる。
尚、第1と第2の試験では、フィルム状基材として厚さ30μmの銅箔を使用しているが、基材の厚さは30μmに限らず10μm〜200μmであっても、また、銅箔以外の基材であっても、第1と第2の両光学式変位計10,10により基材上の膜厚を測定できる。
第3の試験では、厚さ50μm、幅200mmのポリイミドフィルムに5mm×10mmに切り出した(100)シリコンウエハーを貼り付けた後、ポリイミドフィルムを巻出しローラ5と巻取りローラ6との間に張力49Nで通紙し、真空チャンバ1内を1.3×10−3Paまで真空引きした。次に、ルツボ3aに入れたアルミをEB出力6.0kWで加熱し、ポリイミドフィルムを搬送速度5.0m/minで搬送しつつウエハーの表面にアルミ膜を成膜すると共に、第1と第2の両光学式変位計10,10による計測を行い、更に、成膜後にウエハー上のアルミ膜の膜厚を触針段差計で測定した。そして、触針段差計による測定後に、ポリイミドフィルムを巻き戻して、再度上記の条件で成膜することを繰り返した。第3の試験の結果を下記表1に示す。
表1
Figure 2011242366
表1から、光学式変位計10,10により膜厚を正確に測定出来ることが分かる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、巻取り式真空成膜装置における膜厚測定方法に本発明を適用したものであるが、成膜装置は、基材に大気圧下で成膜するものであってもよい。また、巻取り式以外の成膜装置であっても、長尺フィルム状の基材を搬送しつつ基材の表面に成膜する成膜装置における膜厚測定方法として本発明は広く適用できる。
a…基材、b…膜、4…成膜処理部、10…第1の光学式変位計、10…第2の光学式変位計。

Claims (2)

  1. 長尺フィルム状の基材を成膜処理部を経由して搬送しつつ、成膜処理部で基材の表面に膜を形成する成膜装置における膜厚測定方法であって、
    成膜処理部の下流側の基材搬送路の部分に、基材表面に対向する第1の光学式変位計と基材裏面に対向する第2の光学式変位計とを互いの光軸が同一直線上に位置するように配置し、
    第1と第2の両光学式変位計の計測距離に基づいて、基材表面に形成された膜の膜厚を算出することを特徴とする成膜装置における膜厚測定方法。
  2. 膜が形成されていない基材の未成膜部分で計測された前記両光学式変位計の計測距離の合計値と、膜が形成された基材の成膜部分で計測された両光学式変位計の計測距離の合計値との差で膜厚を求めることを特徴とする請求項1記載の成膜装置における膜厚測定方法。
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