[実施例1の構成]
実施例1のユニットは、車両用、具体的には自動車の油圧ユニットである(以下、油圧ユニット1という。)。油圧ユニット1は、4輪自動車のブレーキシステムに適用され、自動ブレーキ制御やアンチロックブレーキ制御等を実行可能に設けられた油圧式ブレーキ制御装置のユニットであり、タンデム型のマスタシリンダと各輪のホイルシリンダとの間に配置されている。ブレーキシステムはX配管形式であり、p系統及びs系統のブレーキ配管が設けられている。なお、ハウジングの外面に複数の開口部(配管接続口)を含む流体機器のユニットであればよく、各種の油圧機器だけでなく、例えば空気圧機器のユニットに本発明を適用してもよい。また、流体機器に対して電子的な制御機器やその他の機器が一体化されたユニットであってもよい。
図1は、保護テープ(図2参照)をハウジング2に貼付していない状態の油圧ユニット1を示す。図1に示すように、油圧ユニット1は、ハウジング2にモータ3が一体に組み付けられた液圧ユニットHUに対し、電子制御ユニット4が一体に組み付けられた機電一体型の液圧制御ユニットである。液圧ユニットHUと電子制御ユニット4の一体化によって、ハーネスやコネクタ等の結合箇所を少なくして自動車の搭載スペースを削減するとともに、電気的な接続部分を減らして信頼性の向上を図っている。以下、この液圧制御ユニットを単に油圧ユニット1という。ハウジング2は略直方体形状のブロックであり、アルミ系金属材料を切削加工することで成形されている。なお、材料や加工方法は適当なものを選択可能である。ハウジング2の内部には、作動油としてのブレーキ液が流通する油路(油圧回路)やリザーバ等の容積室、及びポンプや電磁弁(ソレノイドバルブ)の弁体等を収容する収容室が設けられている。モータ3は、ポンプを駆動する動力源であり、有底円筒状のモータケース3a内に収容されている。電子制御ユニット4は、電子回路基板を備えており、油圧ユニット1の各アクチュエータの作動、例えばモータ3の駆動や電磁弁の開閉を制御する。電子制御ユニット4には、制御用の信号及び電源を供給するための入力部(コネクタ5)が備えられている。
以下、説明のため、直交座標系を設定し、モータ3の回転軸が延びる方向にy軸を設け、電子制御ユニット4に対してモータ3の側を正方向とする。鉛直方向にz軸を設け、鉛直上方を正方向とする。y軸及びz軸に直交する方向(配管接続口22a〜22dが並ぶ方向)にx軸を設け、電子制御ユニット4におけるコネクタ5の側を負方向とする。ハウジング2は、上記容積室や収容室が形成された本体部2aと、ブレーキ配管を油圧ユニット1に接続するためのポートが形成されたポート部2bとを有している。なお、ポート部2bにも収容室等を形成してもよい。本体部2aは、y軸方向寸法が比較的小さい略直方体形状である。本体部2aのy軸正方向側の面200にはモータケース3aがボルト締結され、ハウジング2にモータ3が一体に支持されている。ハウジング2のy軸負方向側の面には電子制御ユニット4の各ケースが取り付けられ、ハウジング2に電子制御ユニット4が一体に支持されている。本体部2aのz軸負方向側の面には係止用の支持ボルト6が突出して設けられており、この支持ボルト6を用いて油圧ユニット1が車両に設置される。
ポート部2bは、本体部2aのz軸正方向側に本体部2aと一体に設けられている。ポート部2bは、z軸方向寸法が本体部2aよりも小さく、かつy軸方向寸法が本体部2aよりも大きく設けられ、本体部2aのy軸正方向側の面200からy軸正方向側に若干突出した面202を有する略直方体形状である。ポート部2bには、複数のブレーキ配管がそれぞれ接続されるポートである配管接続口21,22が複数設けられており、これらの配管接続口21,22を介して、ブレーキ配管とハウジング2内の油路とが接続される。ポート部2bのy軸正方向側の面202には、複数(本実施例1では2つ)の配管接続口21a,21bがハウジング2の外部に臨んで(露出して)開口している。配管接続口21a,21bは、マスタシリンダに接続されるp系統及びs系統のブレーキ配管をそれぞれ接続するためのポートであり、モータ3の軸を挟んで略対称にx軸方向に並んで設けられている。ポート部2bのz軸正方向側の面201には、複数(本実施例1では4つ)の配管接続口22a〜22dがハウジング2の外部に臨んで(露出して)開口している。配管接続口22a〜22dは、各輪のホイルシリンダにそれぞれ接続されるブレーキ配管を接続するためのポートであり、面201におけるy軸負方向側の領域に、x軸方向に略一直線上に互いに略等間隔で並んで設けられている。x軸方向において、配管接続口21aは配管接続口22a,22bの間に位置し、配管接続口21bは配管接続口22c,22dの間に位置している。
配管接続口22a,22bはp系統のブレーキ配管(配管接続口21a)に対応し、例えば右前輪と左後輪のホイルシリンダに接続されるブレーキ配管がそれぞれ接続される。配管接続口22c,22dはs系統のブレーキ配管(配管接続口21b)に対応し、例えば左前輪と右後輪のホイルシリンダに接続されるブレーキ配管がそれぞれ接続される。例えば通常ブレーキ時には、マスタシリンダからブレーキ液がp系統及びs系統のブレーキ配管に供給され、配管接続口21a,21bから油圧ユニット1内の油路を通った後、配管接続口22a〜22dを介して4輪のホイルシリンダへ配分される。このように、ハウジング2には、マスタシリンダに接続するブレーキ配管の接続口のグループ21(21a,21b)と、ホイルシリンダに接続するブレーキ配管の接続口のグループ22(22a〜22d)とが存在し、複数(本実施例1では6つ)の配管接続口が複数(本実施例1では2つ)にグループ化されている。なお、ハウジングの外面に設けられる配管接続口の開口の数や配置は、本実施例1のものに限られない。例えば、X配管形式に限らず前後配管形式でもよい。また、マスタシリンダに接続する配管接続口21(21a,21b)を、ホイルシリンダに接続する配管接続口22(22a〜22d)と同じ面201に開口するように配置してもよい。また、複数の配管接続口をグループ化する際、接続対象別に分類するのではなく、レイアウト上近接しているかにより、また、ある基準位置を境に対称に領域を分けた場合に同一領域内に含まれるか否かや、配管接続作業上の手順が近接しているか否か等により分類してもよく、特に限定されない。本実施例1では、ホイルシリンダに接続する配管接続口22(22a〜22d)を1つのグループとしたが、これを例えば2つずつに分けて2グループとしてもよい。
図2は、保護テープ10をハウジング2に貼付した状態の油圧ユニット1を示す。保護テープ10は、異物の混入等から油圧ユニット1を保護するためのテープであり、ハウジング2の外面に貼付され、ハウジング2における複数の配管接続口21,22の開口を被う封止シールである。保護テープ10は、透明なシート状のテープ本体と、そのテープ本体の一面にコートされた粘着層とを備えている。保護テープ10は、ハウジング2に貼付される前の状態では台紙に貼られた状態であり、保護テープ10の粘着層の上に(台紙の)剥離層が重なり合って設けられる。保護テープ10の材料としては、各種の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどを適用することができるが、透明性、コスト、リサイクル性を考慮すると、ポリエチレンが有利である。また、粘着層としては、ゴム系、アクリル系、あるいはシリコン系のポリマーをベースにした公知の粘着剤を用いることができる。保護テープは、第1テープ10aと第2テープ10b,10cを有している。第1テープ10aは、1つの油圧ユニット1に対して1枚設けられており、ハウジング2(ポート部2b)の鉛直上方の外面201に貼られ、1枚で少なくとも2つの配管接続口(本実施例1では4つの接続口22a〜22dの全て)の開口を同時に被って封止する。なお、配管接続口22a〜22dを複数にグループ化した場合には、配管接続口の各グループ(例えば接続口22a,22bのグループと接続口22c,22dのグループ)の開口を同時に被って封止することになる。
第2テープ10b,10cは、1つの油圧ユニット1に対して2枚設けられており、ハウジング2(ポート部2b)の側部の外面202に貼られ、1枚で1つの配管接続口(接続口21a,21bのいずれか)を被って封止する。第2テープ10bは、少なくとも一部分に粘着層が設けられて外面202に貼付され、配管接続口21aの開口を被って封止する透明な本体部Aと、少なくとも一部分に粘着層が設けられずに本体部Aに接続され、作業者が把持するための把持部Bとを有している。第2テープ10bは角が丸い長方形状に形成されている。第2テープ10bの幅(z軸方向寸法)は、配管接続口21aの直径よりも大きく、かつ外面202のz軸方向寸法よりも若干小さく設けられている。本体部Aの長さ(x軸方向寸法)は、外面202のx軸負方向側の縁から配管接続口21aの内周面までの最大距離よりも大きく設けられている。把持部Bは、第2テープ10bをその台紙から引き剥したりハウジング2に貼り付けたりハウジング2から引き剥がしたりする際、作業者により把持されることで、これらの作業を容易にする。第2テープ10bをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、把持部Bはハウジング2からx軸負方向に突出する。第2テープ10cも同様に設けられている。なお、第2テープ10b,10cを一体化し、1枚のテープとしてもよい。この場合、マスタシリンダに接続する配管接続口のグループ(接続口21a,21b)の開口を同時に被って封止することになる。また、第1、第2テープ10a〜10cを一体化し、1枚のテープ10としてもよい。この場合、配管接続口の各グループ(接続口21a,21bのグループと接続口22a〜22dのグループ)の開口を同時に被って封止することになる。この場合、保護テープ10は、ハウジング2において外面201から外面202にわたる領域を被うことが可能な形状とし、両面201,202の境界領域、つまり両面201,202が交差する縁の部分で折れ曲がるように、保護テープ10が貼られることになる。
図3は、第1テープ10aの平面図である。第1テープ10aは、少なくとも一部分に粘着層が設けられてハウジング2の外面201に貼付され、配管接続口22a〜22dの開口を被う本体部11と、少なくとも一部分に粘着層が設けられずに本体部11に接続され、作業者が把持するための把持部12,13と、本体部11を配管接続口22a〜22dの開口ごと又は配管接続口22a〜22dのグループごとに分割し剥がすための分割部14と、を有している。本体部11は、第1テープ10aが外面201に貼付された状態で、ハウジング2の外面201において配管接続口22a〜22dの開口をそれぞれ被うことが可能な形状に設けられた複数の(本実施例1では4つの)封止部11a〜11dと、封止部11a〜11d同士を接続する複数の(本実施例1では3つの)連結部110とを有している。
封止部11a〜11dは、その全領域に粘着層が設けられており、それぞれ配管接続口22a〜22dの開口周囲の外面201に密着することで配管接続口22a〜22dの内外を封止可能に設けられている。具体的には、各封止部11a〜11dは矩形状であり、その幅(y軸方向寸法)は、配管接続口22a〜22dの直径よりも大きく、かつ外面201のy軸負方向側の縁から配管接続口22a〜22dの内周面までの最大距離よりも大きく設けられている。また、各封止部11a〜11dの長さ(x軸方向寸法)は、配管接続口22a〜22dの直径よりも大きく設けられている。本体部11のx軸負方向端及びx軸正方向端に配置された封止部11a,11dのx軸方向寸法は、他の封止部11b,11cよりもそれぞれ大きく設けられている。x軸負方向端の封止部11aのx軸方向寸法は、外面201のx軸負方向側の縁から配管接続口22aの内周面までの最大距離よりも大きく設けられており、x軸正方向端の封止部11dのx軸方向寸法も同様である。連結部110は、それぞれ、封止部11a,11bの間、封止部11b,11cの間、及び封止部11c,11dの間に、封止部11a〜11dと一体に設けられている。各連結部110の全領域には粘着層が設けられている。連結部110の長さ(x軸方向寸法)は、各封止部11a〜11dの長さ(x軸方向寸法)の数分の1であり、連結部110の幅(y軸方向寸法)は、後述する切込み部15が設けられた部分を除き、各封止部11a〜11dの幅(y軸方向寸法)と同様である。なお、封止部11a〜11dに粘着層を設ける領域は、配管接続口22a〜22dの開口周囲を被うことができる領域であれば、少なくとも開口を被って封止することができるため、必ず全領域に設ける必要はない。同様の理由で、粘着層を連結部110に設けなくてもよい。本実施例1では、封止部11a〜11dの全領域及び連結部110に粘着層を設けているため、本体部11における粘着層の形成工程が比較的容易であり、またハウジング2に対する本体部11の粘着力を向上することが可能である。分割部14は、隣接する封止部11a〜11dの間(連結部110)にそれぞれ設けられており、第1テープ10aがハウジング2に貼付された状態で、隣接する配管接続口22a〜22dの開口間の位置で本体部11を(封止部11a〜11dごとに)分割し剥がすための構成(後述する切り込み部15及びスリット部16)を有している。
本体部11には、封止部11a〜11dをそれぞれ取り囲む領域が四角形の輪郭(「口」)の形状に半透明ないし不透明に塗り潰されることで、印mが4つ設けられている。これらの印mは、本体部11を外面201に貼付する際に各封止部11a〜11dと配管接続口22a〜22dの各開口との対応を表示し、作業者がこの印m内に配管接続口22a〜22dの各開口が位置するように本体部11を貼付するよう絵的に教えることで、貼付作業を容易化している。すなわち、作業者は、これらの印を目印として、第1テープ10aをハウジングの外面201の所定位置に貼ることができる。ここで、第1テープ10aのテープ本体が透明であり、封止部11a〜11dも透明であるため、作業者が(各封止部11a〜11dを通して配管接続口22a〜22dを視認することで、)各封止部11a〜11dを配管接続口22a〜22dの各開口に対して位置決めすることが容易となっている。また、これらの印mは、本体部11を外面201から剥がす際の分割単位となる領域(封止部11a〜11d)をそれぞれ表示しており、作業者は、これらの印mを目印として、本体部11が正確に(すなわち実際の切れ目が連結部110を逸脱して封止部11a〜11d内まで達することなく)分割して剥がされたか否か、を確認することができる。なお、印mの形状は円形等でもよい。また、印mに囲まれた領域内に"REMOVE BEFORE ASSEMBLY"(「組立てに際して引き剥がす」)といった表記をテープ上に記載し、作業者に対して注意を促すこととしてもよい。さらに、印mを省略することとしてもよい。
把持部は、本体部11の周縁部位に配置され、本体部11から突出するように設けられており、貼付用把持部12と剥がし用把持部13とを有している。貼付用把持部12は、本体部11のx軸負方向端に設けられた貼付用把持部12aと、本体部11のx軸正方向端に設けられた貼付用把持部12bとを有している。第1テープ10aをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、貼付用把持部12a,12bはハウジング2からx軸方向に突出する。貼付用把持部12a,12bの全領域には粘着層が設けられていない。貼付用把持部12a,12bは、第1テープ10aをその台紙から引き剥がす際、及び第1テープ10aをハウジング2に貼り付ける際、作業者により把持されることで、これらの作業を容易にする。貼付用把持部12aは、封止部11aのx軸負方向側の縁からx軸負方向側に向かって延び、x軸負方向側に向かうにつれて徐々にy軸方向幅が狭くなる略台形状に設けられている。貼付用把持部12bも同様の形状である。なお、貼付用把持部の形状は任意であり、また貼付用把持部を省略することとしてもよい。この場合、作業者は、剥がし用把持部13を把持することで上記作業を行うことが可能である。本実施例1では、貼付用把持部12を別途設けたことで、上記作業をより円滑化できる。
剥がし用把持部13は、本体部11のy軸負方向側の辺に4つ設けられ、剥がし用把持部13a〜13dが、x軸負方向側からx軸正方向側に向かってこの順に並んで設けられている。剥がし用把持部13a〜13dは、それぞれ封止部11a〜11dに対応して設けられ、封止部11a〜11dに接続している。第1テープ10aをハウジング2の適所に貼り付けた状態で、剥がし用把持部13a〜13dはハウジング2からy軸負方向に突出する。剥がし用把持部13の全領域には粘着層が設けられていない。剥がし用把持部13a〜13dは、ハウジング2から本体部11を(封止部11a〜11dごとに)分割し引き剥がす際、作業者によりそれぞれ把持されることで、この作業を容易にする。剥がし用把持部13a〜13dのx軸方向幅は、それぞれ対応する封止部11a〜11dのx軸方向幅と略同じ大きさに設けられている。剥がし用把持部13aは、幅(x軸方向寸法)が略一定のまま封止部11aのy軸負方向側の辺からy軸負方向側に向かって延びる略長方形状に設けられており、そのy軸方向長さは本体部11(封止部11a)の2〜3倍である。他の剥がし用把持部13b〜13dも同様の形状である。剥がし用把持部13a〜13dのy軸方向長さは、作業者が把持して引き剥がし易い大きさであり、かつスペース的に邪魔にならない大きさが好ましい。例えば、ハウジング2の外面201(のz軸方向位置で電子制御ユニット4の側へ延びる剥がし用把持部13a〜13d)と電子制御ユニット4のz軸正方向端部との間のz軸方向隙間が(指が入らない程度に)小さいような場合には、剥がし用把持部13a〜13dは、電子制御ユニット4よりも外側まで延在するy軸方向長さとすることが好ましい。
各把持部12,13の先端部には、半透明ないし不透明な塗り潰し領域rが設けられており、作業者に絵的に把持部分(又は各把持部12,13を把持すべきこと)を教える。また、剥がし用把持部13a〜13dには、それぞれ"PULL"(「引っ張る」)の文字が表示されており、作業者に対し、この剥がし用把持部13a〜13dを把持して引っ張り、引き剥がし作業を行うべきことを教える。また、第1テープ10aの表側から見て判読可能なように文字"PULL"を記載しているため、第1テープ10aの表裏を判別し易くなっている。なお、文字"PULL"に限らず、絵的に各種情報、例えば作業者の引き剥がし方向を示す矢印や三角形状、その他作業上の注意事項等を把持部13に記載することとしてもよい。第1テープ10aにおける上記各種の表記は、第1テープ10aの表裏いずれかの面に印刷することによって行うことができる。本実施例1では、テープ本体が透明であるため、各表記の部分を半透明ないしは不透明にしているが、それとは逆に、各表記の部分を透明にし、その周囲の部分を半透明あるいは不透明にすることとしてもよい。この場合も、封止部11a〜11dを透明にしておくことが好ましい。
図4は、図3のA部分の拡大図であり、第1テープ10aの分割部14を示す。分割部14は、作業者が剥がし用把持部13を把持してハウジング2に貼付された第1テープ10aを引き剥がす際、本体部11を分割して封止部11a〜11dごとに選択的に剥がすことを可能にするための構造(切り込みないしスリットの配置構造)であり、連結部110(ないし封止部11a〜11dと連結部110との境界)に形成されている。分割部14は、切り込み部15とスリット部16を有している。
切り込み部15は、本体部11における(剥がし用把持部13が接続された側である)y軸負方向側の辺からy軸正方向側に向かって、所定のy軸方向位置まで切り込まれることで形成された切込み部である。具体的には、切り込み部15は、連結部110に形成され、連結部110のy軸負方向側端に開口する。切り込み部15は、第1切込み部としての凹部15aと、第2切込み部としての第1スリット15bとを有している。なお、「スリット」とは、「細長い隙間」ないし「切れ目」を意味するものとする。凹部15aは、本体部11(封止部11a〜11d)における剥がし用把持部13(13a〜13d)との接続部位に連続して、剥がし用把持部13の側(y軸負方向側)から連結部110を略三角形状に切り欠くように形成されている。凹部15aは、1つの剥がし用把持部13cのx軸正方向側の辺130に連続する縁150と、この把持部13cに隣接する他の剥がし用把持部13dのx軸負方向側の辺131に連続する縁151とから構成されている。縁150は、封止部11cにおける剥がし用把持部13cとの接続位置からy軸正方向側かつ連結部110のx軸方向略中央に向かって斜めに延びる略直線状に形成されている。同様に、縁151は、封止部11dにおける剥がし用把持部13dとの接続位置からy軸正方向側かつ連結部110のx軸方向略中央に向かって斜めに延びる略直線状である。縁150,151と剥がし用把持部13の辺130,131とのそれぞれの接続部分は、滑らかな曲線状に形成されている。すなわち、剥がし用把持部13は滑らかに凹部15aと連続するように設けられている。縁150と縁151は、連結部110のx軸方向略中央で一致(合流)する。両縁150,151のなす角度は直角よりも僅かに小さく設けられている。
連結部110のx軸方向略中央には、両縁150,151の一致点からy軸正方向に切り込まれ略直線状に延びる第1スリット15bが形成されており、y軸負方向側で凹部15aに開口している。第1スリット15bのx軸負方向側の縁152は凹部15aの縁150に連続し、第1スリット15bのx軸正方向側の縁152は凹部15aの縁151に連続している。言い換えると、切り込み部15は、本体部11における剥がし用把持部13との接続部位から(剥がし用把持部13の辺130,131に対して)斜めに延びる縁150,151と、縁150,151にそれぞれ接続し、剥がし用把持部13の辺130,131に対して略平行に延びる縁152,153とが、連結部110のx軸方向略中央の線に関して略対称に設けられることで形成されている。第1スリット15bのy軸方向長さは、凹部15aのy軸方向深さと同程度かそれ以上の寸法に設けられている。切り込み部15(凹部15aと第1スリット15b)のy軸方向長さは、本体部11のy軸方向寸法の1/4強に設けられている。
スリット部16は、隣り合う封止部11a〜11d間、具体的には連結部110と封止部11a〜11dとの境界に、略直線状に切り込まれることで形成されている。スリット部16は、第1スリット15bの左右位置に、具体的には連結部110のx軸方向略中央の線を挟んでx軸方向略対称位置に、第2スリット16aと第3スリット16bをそれぞれ単一の切れ目として有している。第2スリット16aは、封止部11cと連結部110との境界部位(封止部11cを取り囲む印m上)においてy軸方向に延びて形成され、その軸線が、切り込み部(第1スリット15b)の軸線からx軸負方向側へ所定距離(連結部110のx軸方向幅の略半分)だけオフセットするとともに、剥がし用把持部13cの辺130からx軸正方向側へ僅かにオフセットした位置に設けられている。第3スリット16bは、連結部110と封止部11dとの境界部位(封止部11dを取り囲む印m上)においてy軸方向に延びて形成され、その軸線が、切り込み部(第1スリット15b)の軸線からx軸正方向側へ所定距離(連結部110のx軸方向幅の略半分)だけオフセットするとともに、剥がし用把持部13dの辺131からx軸負方向側へ僅かにオフセットした位置に設けられている。第2、第3スリット16a,16bは、本体部11のy軸正方向側にもy軸負方向側にも開口しない。第2、第3スリット16a,16bのy軸方向長さは、本体部11(封止部11a〜11d)のy軸方向寸法の70%程度に設けられている。第2、第3スリット16a,16bのy軸正方向端β2は、本体部11のy軸正方向側の辺からy軸負方向側に所定距離だけ離れた略同位置に設けられている。第2、第3スリット16a,16bのy軸負方向端β1は、ともに第1スリット15bのy軸正方向端α2と略同じy軸方向位置に設けられており、これらの端α2、β1はx軸方向から見て略重なっている。第1スリット15b(のy軸負方向端α1)は、第2、第3スリット16a,16b(のy軸負方向端β1)よりもy軸負方向側、すなわち剥がし用把持部13寄りに形成されている。
[実施例1の作用]
以下、油圧ユニット1の作用を説明する。
(保護テープの作用)
一般に、多くの流体機器はユニット化され、そのハウジングには、配管接続のための配管接続口が複数設けられている。このような流体機器においては、配管接続口の開口が外部に露出しているため、それらの配管接続口の開口を一時的に(ユニット組立後、保管や搬送等の間その他の、配管接続の作業が終わるまでの間)被うことによって、配管接続口の内部に外部から異物が侵入することを抑制することが必要である。例えば、車両用の(すなわち自動車に搭載し又は組み付けるための)油圧ユニットは、自動車に搭載されるまでは独立した一つの製品であり、搭載時の配管接続作業までは、配管接続口を何らかの形で被い保護しなければならない。特に、ブレーキ機器の場合、異物の侵入を抑制する必要性が高い。ここで、配管接続口を被い保護するための方法として、例えば各配管接続口を1つずつ(ねじ込み式やはめ込み式の)栓で蓋をする場合には、栓の取付けや取外しを行う脱着作業が面倒であって時間がかかり、またコスト高を招く等の問題がある。また、複数の栓を連結手段によって一体にして、複数の配管接続口に対しそれらを一体的に脱着するような場合も、コスト高になってしまう。
これに対し、本実施例1では、保護テープ10をハウジング2の外面201,202に貼り、複数の配管接続口22a〜22dの少なくとも2つの開口を同時に被う。よって、配管接続口22a〜22dの開口を専ら栓で保護する場合に比べ、保護テープ10を貼り付け又は引き剥がすことによって開口を閉じ又は開くことができるため、その作業は容易である。また、1つのテープ(第1テープ10a)によって複数の開口を同時に保護することができるし、1つのテープによってハウジング2における全ての開口を保護することも容易に可能である。よって、コスト高を抑えることができ、しかも、配管接続口22a〜22dの開口部への封止部材の取付けや取外しの各作業が容易である。保護テープ10(第1テープ10aの本体部11及び第2テープ10b,10cの本体部A)は透明である。よって、ハウジング2の外面201,202における各テープの位置合わせが容易である。また、テープ上に各種の表記を設ける際も有利である。なお、テープ(本体部)の輪郭に応じて、テープの貼付け位置を特定することができる場合等には、テープ(本体部)を半透明にしたり、不透明にしたりしてもよい。
(分割部を設けたことによる作用)
本実施例1では、配管接続口22a〜22dの開口ごと、及び/又は配管接続口22a〜22dのグループごとに、保護テープ10(第1テープ10a)を分割し剥がすための、分割部14を設けた。分割部14は、それに沿って各封止部11a〜11dを切り取ることができるような(切り込み)加工部分である。配管接続口22a〜22dごと、具体的には各配管接続口22a〜22dに対応して貼付される各封止部11a〜11dを連結する連結部110ごとに分割部14を配置することで、1つのテープ10aを分割して剥がすことが可能とし、このテープ10aで配管接続口22a〜22dの開口を封止している。よって、貼付された第1テープ10aを各配管接続口22a〜22dの開口に対応する部分(封止部11a〜11d)ごとに分割して剥がすことができる。なお、本実施例1では、分割部14を封止部11a〜11dの外の領域(連結部110)に設けたが、各配管接続口22a〜22dの開口に重ならない範囲で、封止部11a〜11dの内の領域に設けることとしてもよい。したがって、一時的に閉じた複数の配管接続口22a〜22dを、個別に開いたり、グループごとに開いたりできる。こうした分割部14があれば、配管接続すべき開口に対応する部分のテープ領域(封止部11a〜11d)を順次剥がし、その間、他のテープ領域(封止部11a〜11d)を選択的に塞いだままとすることができ、これにより、配管接続を終えてない開口を配管接続の直前まで保護することができる。よって、より確実に異物の侵入を抑制することができる。
(分割部の構成による作用)
従来のテープ分割構造は、分割位置に点線状の切り取り線(ミシン目など)を配置していた。このため、引き剥がし時にこの切り取り線に対して斜め方向からテープを引っ張ると、生じる切れ目が上記切り取り線を逸脱して他の部位にまで切り込んでしまい、意図しない部位(塞いだままとしておくべき配管接続口の開口部)のテープが剥がれてしまう場合があった。よって、テープ本来の封止機能が損なわれるおそれがあった。また、切り取り線から逸脱してテープが切れることで、意図しない部位(テープを除去しておくべき部位)でハウジング外面に貼り付いたまま残ったテープ部位は、対応する引き剥がし部(本実施例1の剥がし用把持部13に相当)とは独立して切り離されるため、引き剥がし部を用いてテープを剥がす通常の作業とは別に、上記残ったテープ部位を剥がす作業が追加的に必要となる場合がある。これらのことから、従来のテープ分割構造では、テープ引き剥がし時の方向性に注意が求められ、これにより引き剥がし時の作業性を悪化させていた。また、従来のテープ分割構造は、切り取り線を一直線状に設けていたため、テープ切り取り形状の自由度が低かった。なお、テープの素材として、特定の方向にのみ切れ目が出来やすいという意味で異方性を有する素材を用いることも考えられる。しかし、このような素材を用いた場合であっても、引き剥がし時に所定の分割方向(切り取り線)に対して斜め方向からテープが引っ張られると、切れ目が分割位置からオフセットした部位(塞いだままとしておくべき配管接続口の開口部)に発生するおそれは依然として残り、また、高コスト化するおそれもある。また、切り取り形状の自由度が低くなり、特に、配管接続口の任意のグループごとに分割して切り取ることが容易でなくなるおそれがある。これに対し、本実施例1では、テープの素材として異方性を有しない通常の(低コストの)素材を用いて高コスト化を抑制しつつ、分割部14に切り込み部15とスリット部16とを設けることで、切り取り形状の自由度及び引き剥がし時の作業性を向上することが可能である。以下、具体的に説明する。
まず、切り込み部15の作用について説明する。切り込み部15は、本体部11における剥がし用把持部13の側に切り込まれた部分(切れ目ないしスリット)であり、本体部11における剥がし用把持部13との接続部位(から延びる縁150,151)に連続して形成された第1スリット15bを有している。よって、作業者が剥がし用把持部13を把持し、これを引っ張って本体部11を剥がす際、本体部11に形成される切れ目は、第1スリット15bから始まることとなる。第1スリット15bは、隣接する封止部11a〜11dの間(連結部110)のx軸方向略中央位置に切り込まれているため、作業者が剥がし用把持部13を把持して引っ張る方向(剥がし方向)がy軸正方向で一定であれば、切れ目は、隣接する封止部11a〜11dの間のx軸方向略中央位置で、第1スリット15bの延長線(y軸方向)に沿って形成される。なお、本体部11において切り込み部15(第1スリット15b)が設けられた側(y軸負方向側)と反対側(y軸正方向側)に、切り込み部15の軸線(第1スリット15bの延長線)上に延びる第4スリットを設けることとしてもよい。第4スリットは、作業者による本体部11の剥がし方向が切り込み部15(第1スリット15b)の軸線と略一致していた場合、第1スリット15bから発生する切れ目が第4スリットと連結することで、本体部11が切り込み部15の軸線に沿って剥がされやすくし、これにより作業性を向上可能である。第4スリットとしては、複数の切り込み(ミシン目)でも単一の切り込みでもよい。なお、剥がし用把持部13の辺130,131は、凹部15aの縁150,151に滑らかに連続するのではなく、段差を有して連続することとしてもよい。また、凹部15aを省略して、本体部11の辺から直接第1スリット15bが切れ込まれるようにしてもよい。これらの場合も、切り込み部15としての第1スリット15bは、本体部11において剥がし用把持部13との接続部位(から延びる本体部11の辺)に連続して形成されていることになるため、切れ目が切り込み部15(第1スリット15b)から始まることをある程度担保できる。本実施例1では、凹部15aを設けたことで、剥がし用把持部13により引っ張られる本体部11が、第1スリット15bから外れた位置から切られるのではなく、より確実に第1スリット15b(の端部α1)から切られるようにすることができる。
すなわち、本体部11のy軸負方向側の辺において、剥がし用把持部13の接続部位と切り込み部15(第1スリット15b)の開口部位(切り込み開始部位)との間に、段差ないし角部がある場合、作業者が剥がし用把持部13を把持して引き剥がす際、この段差部分で切れ目が始まるおそれがあり、この場合、切れ目の方向をコントロールできなくなるおそれがある。これに対して、本実施例1では、切り込み部15に凹部15aを設け、剥がし用把持部13と第1スリット15bとの間を滑らかに連続させた。よって、作業者が剥がし用把持部13を把持して(y軸方向及びz軸方向に)引っ張る際、凹部15aの形成部位において連結部110が剥がし用把持部13とともに持ち上げられやすくなり、これにより第1スリット15bから切れ目が始まることが促進される。また、連結部110のy軸負方向端が凹部15aにより切り欠かれることで、剥がし用把持部13と第1スリット15bとの間の部位(連結部110)のハウジング2への粘着力が弱められることにもよっても、第1スリット15bから切れ目が始まることが促進される。このように、凹部15aは、剥がし用把持部13と第1スリット15bとがx軸方向に離れていても、第1スリット15bから切れ目が始まるようにガイドする機能を有する。なお、剥がし用把持部13のx軸方向幅は、封止部11a〜11dのx軸方向幅よりも大きくても小さくてもよい。言い換えると、剥がし用把持部13の辺130,131は、封止部11a〜11dと連結部110との境界線よりもx軸正負方向どちら側にオフセットしていてもよい。本実施例1では、剥がし用把持部13のx軸方向幅を、それぞれ対応する封止部11a〜11dのx軸方向幅と略同じとした。よって、封止部11a〜11dよりx軸方向幅を大きくした場合に比べ、作業者が隣接する剥がし用把持部13を互いに区別して把持しやすく、またテープ材料の量を削減できる。また封止部11a〜11dよりx軸方向幅を小さくした場合に比べ、剥がし用把持部13の剛性を向上しつつ、これを把持しやすくし、かつ上記のように第1スリット15bから切れ目が始まることを促進しやすい。
次に、スリット部16の作用について説明する。スリット部16は、切り込み部15よりも剥がし用把持部13から遠い位置に設けられている。言い換えると、スリット部16よりも剥がし用把持部13寄りに、切り込み部15が形成されている。よって、本体部11において剥がし用把持部13の側から切れ目が形成される際、(スリット部16よりも剥がし用把持部13寄りに形成された)切り込み部15の側から切れ目が形成される。すなわち、スリット部16よりも剥がし用把持部13寄りに切り込み部15(第1スリット15b)が形成されているため、切れ目は、まず切り込み部(第1スリット15b)から、切り込み部(第1スリット15b)に沿って形成されることとなる。切れ目は、切り込み部(第1スリット15b)から逸脱することなく第1スリット15bのy軸正方向端α2に至る。また、スリット部16は、切り込み部15の軸線に対し、軸線がオフセットして形成されている。なお、切り込み部15の軸線は、第1スリット15bが延びる方向に沿った直線(第1スリット15bと略重なるy軸方向直線)であり、第1スリット15bを湾曲させて形成した場合には、例えば第1スリット15bのy軸正方向端α2における接線で近似できる。具体的には、例えばスリット部16の第2スリット16aは、その軸線が、第1スリット15bの軸線に対し、x軸方向に所定距離だけオフセットしている。よって、作業者による本体部11の剥がし方向が、切り込み部15の軸線(y軸方向)から外れてx軸方向に、すなわち斜め又は横方向にずれていた場合、切り込み部15(第1スリット15b)のy軸正方向端α2から始まる切れ目は、切り込み部15(第1スリット15b)の軸線からx軸方向に外れて形成され、その後、スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)に接続する。スリット部16は、切り込み部15の軸線からずれた軸線を有しているからである。よって、以後、切れ目は、スリット部16を介して、スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)に沿って形成されることとなる。
このように、切り込み部15の軸線と、この切り込み部15とは別に形成した切り込み部であるスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の軸線がオフセットしていることから、作業者が剥がし用把持部13を把持して本体部11を剥がす際、その剥がし方向が一定でなくても、切れ目が分割部14の全体から逸脱することが抑制され、分割部14に沿って本体部11を剥がすことが容易となる。すなわち、剥がし方向が切り込み部15の軸線からずれていても、スリット部16により、切れ目が封止部11a〜11dまで外れて発生する事態が抑制される。言い換えると、スリット部16は、切れ目が分割部14(切り込み部15及びスリット部16)から逸脱して、配管接続口22a〜22dの開口を被う部位まで切れ込むことを抑制する。このように、逸脱抑制用切り込み部としてのスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の内側で第1テープ10aを分割して剥がすことが可能になるため、作業者の意図通りに本体部11が配管接続口22a〜22dの開口ごとに分割して剥がされやすくなって第1テープ10aの開口保護機能を向上できるとともに、作業者において引き剥がし方向に対する注意が不要となるため、作業を効率化して作業性を向上することが可能である。また、切れ目の逸脱を抑制して作業性の向上を図りつつ、切り込み部15(第1スリット15b)の軸線に沿った切込み部(上記第4スリット)を不要とし、これにより第1テープ10aの構成を簡素化できる。
ここで、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の始端であるy軸負方向端β1は、切り込み部15(第1スリット15b)の終端であるy軸正方向端α2と略同じy軸方向位置に設けられている。よって、作業者による剥がし方向が、切り込み部15(第1スリット15b)の軸線方向(y軸方向)に対して極端にずれたとき、例えば軸線方向(y軸方向)に対して直角方向であるx軸方向(切り込み部15の軸線に対して左右方向)となった場合でも、切り込み部15(第1スリット15bの終端α2)から始まる切れ目がスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)と連結することが容易であり、これにより、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制する効果を向上している。また、設計段階でスリット部16(第2、第3スリット16a,16b)の始端β1と切り込み部15(第1スリット15b)の終端α2との位置関係を上記のように設定しておけば、仮に切り込み部15やスリット部16の長さや位置に製造誤差等のバラツキがあった場合でも、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制できる可能性を向上できる。
なお、切り込み部15の終端α2とスリット部16の始端β1とのy軸方向位置関係は上記に限らず、例えばα2がβ1に対して、y軸正方向側に位置し、又はy軸負方向側に位置してもよい。前者の場合(x軸方向から見て、切り込み部15が、ある程度の範囲内でスリット部16とオーバーラップする場合)、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制するという上記作用効果をより確実に得ることができる。しかし、この場合、分割部14(連結部110)における上記オーバーラップ部位で、x軸方向の力に対して第1テープ10a(本体部11)の剛性を担う部分は、切り込み部15とスリット部16とに挟まれた部位のみとなる。すなわち、上記剛性は、切り込み部15とスリット部16との間の部位が若干変形しつつ担うこととなる。この部位による剛性を高めるためには、この部位のx軸方向幅を増大する必要があるが、それには上限がある。これに対し、後者の場合(切り込み部15がx軸方向でスリット部16とオーバーラップしない場合)、切り込み部15とスリット部16との間の部位のx軸方向幅を上記のように増大させなくても、上記オーバーラップしない部分によって上記剛性を確保できるため、分割部14(連結部110)におけるx軸方向の剛性を向上することができる。このため、作業者が貼付用把持部12を把持して第1テープ10a(本体部11)を台紙から引き剥がしたりハウジング2に貼付したりする際にx軸方向に力が加わっても、第1テープ10a(本体部11)が分割部14において切れてしまうといった事態を抑制することができる。本実施例1では、α2とβ1を略同じy軸方向位置に設けたため、作業者による剥がし方向によらずに切れ目の逸脱を抑制する上記効果を得ることができるとともに、上記オーバーラップを抑制して、分割部14(連結部110)のx軸方向幅の増大を抑制しつつ、分割部14(連結部110)におけるx軸方向の剛性を向上することができる。なお、これらの効果を相乗的に最大化できるよう、α2とβ1のy軸方向位置関係を更に調整することとしてもよい。本実施例1では、封止部11a〜11d間に連結部110を設け、スリット部16と切り込み部15との間にx軸方向で若干の距離を設けることを容易化している。よって、上記オーバーラップさせた場合でも、両者15,16間の部位が変形する際の剛性を向上し、上記方向(x軸方向)の力に対する剛性を担保することが容易である。
なお、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を単一の切り込みにより構成するのではなく、複数の切り込みにより構成することとしてもよい。この場合であっても、分割位置に線状に切り取り線(ミシン目など)を配置した従来例とは異なり、切り込み部15に対してオフセットさせたスリット部16により、切れ目が分割部14の左右に逸脱して切れ込むことがある程度抑制される。この場合、スリット部16の複数の切り込みの長さを、通常のミシン目と比べて長く設けることが好ましい。本実施例1では、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を単一の切り込みにより構成した。よって、複数の切り込みにより構成した場合と異なり、切り込み部15からの切れ目がスリット部16(単一の切り込み)のいずれか一箇所と連結すれば、後は、切れ目がスリット部16に沿ってその先端β2まで実現されるため、切れ目を発生させて本体部11を分割する手間を大幅に削減できるとともに、切れ目の逸脱をより確実に抑制することができる。さらに、本実施例1では、単一の切れ目としてのスリット部16を、本体部11のy軸方向大部分にわたり設けた(本体部11のy軸方向寸法の70%程度)。よって、上記作用効果を向上することができる。
このように、スリット部16を単一の切れ目(切り込み部)として、本体部11のy軸方向長さの大部分にわたってスリットを設けた場合、分割部14(連結部110)において、x軸方向の力に対して第1テープ10a(本体部11)の剛性を担う部分は、スリット部16が設けられていない中実部分のみとなる。よって、上記剛性をどのように確保するかが問題となる。本実施例1では、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)を本体部11のy軸正方向側の辺まで連続的に設けてこの辺に開口させることはせず、上記辺から若干手前の部位までスリット部16を設けることとした。このため、上記辺とスリット部16(第2、第3スリット16a,16bのy軸正方向端β2)との間に、切り込み(スリット)が設けられていない中実部分が残り、この部分により、上記x軸方向の剛性を担うことができる。なお、切り込み部15の軸線(第1スリット15bの延長線)上に延びる上記第4スリットとして、本体部11のy軸正方向側の辺に開口する単一の切り込みを設けた場合には、x軸方向から見て、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)と上記第4スリットとの重なり部分を少なくすると、上記x軸方向の剛性確保の点から有利である。
上記のように、本実施例1では、分割部14(連結部110)において、y軸負方向側では、切り込み部15(の終端α2)とスリット部16(の始端β1)との位置関係を調整することで上記x軸方向の剛性を担う。y軸正方向側では、上記のようにスリット部16と本体部11のy軸正方向側の辺との間に距離を設けることで上記x軸方向の剛性を担う。このように、連結部110をy軸正負両方向側で支持する2点支持構造として、上記x軸方向の剛性を効果的に向上している。言い換えると、2点支持構造とすることで剛性を担保しつつ、これにより、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を単一の切り込みとした場合でもその切り込み範囲を大きく設けることを可能にし、切れ目の逸脱抑制効果を向上している。本実施例1では、切り込み部15(凹部15aと第1スリット15b)のy軸方向長さを、本体部11のy軸方向寸法の1/4程度までに抑制しているため、その分だけ、単一の切り込みとしてのスリット部16のy軸方向長さ(切り込み範囲)を大きくしつつ、上記2点支持する支持点間の(y軸方向)距離を大きくとって上記x軸方向の剛性を向上している。
なお、スリット部16(第2、第3スリット16a,16bのそれぞれ)を複数の切り込みにより構成した場合には、分割部14において上記剛性を担う中実部分が、切り込み部を連結する部分の数だけ(y軸方向に)分散して残ることになる。これによっても、上記剛性を向上することができる。この場合、上記複数の切り込みのうち1つを、本体部11のy軸負方向側の辺に開口させることとしてもよい。また、この場合、スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)の上記複数の切り込みを互いにオフセットして(例えばy軸正方向側に位置する切り込みの軸線ほど第1スリット15bの軸線からx軸方向に離間するように)配置し、切れ目の逸脱をより確実に抑制することとしてもよい。本実施例1では、スリット部16を単一の切り込みにより構成したため、切れ目の逸脱を抑制するために、上記のように複数の切り込みをx軸方向にオフセットさせて設けたり、その他の追加的な構成を設けたりする必要が少ない。よって、分割部14(連結部110)のx軸方向寸法の増大を抑制したり、構成を簡素化したりすることが可能である。
また、スリット部16は、切り込み部15(第1スリット15bの軸線)の左右位置に形成された第2、第3スリット16a,16bを有しており、これら第2、第3スリット16a,16bは、配管接続口22a〜22dの隣り合う開口間(連結部110)又はグループ間(連結部110)に延びている。このように、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)が切り込み部15(第1スリット15b)の左右位置にあることから、剥がし方向が切り込み部15の左右どちらにずれても、切れ目が分割部14を超えて(分割部14の左右に)逸脱して切れ込むことが抑制されるため、配管接続口22a〜22dの隣り合う開口ごと又はグループごとに本体部11を分割して剥がす際の作業性を、向上可能である。すなわち、スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)を、切り込み部15(第1スリット15b)の左位置又は右位置のどちらか一方に形成することも考えられる。例えば、作業者が剥し用把持部13を把持して引っ張る方向が、左右方向どちらか一方に決まっている(決めることができる)ような場合には、その方向にのみスリット部16を形成すれば上記作用効果を得ることができる。これに対し、本実施例1では、スリット部16が左右両側に設けられているため、どちらに引っ張っても上記作用効果を得ることができる。よって、引き剥がし作業の方向性を選ばなくともよく、これにより作業性をより向上することができる。
なお、連結部110のx軸方向及びy軸方向の寸法は、任意である。例えば、連結部110のx軸方向寸法をゼロとしてもよい。すなわち、連結部110を設けないこととしてもよい。また、連結部110のy軸方向寸法は、必ずしも本体部11(封止部11a〜11d)のy軸方向寸法と同じである必要はなく、本体部11よりも長くても短くてもよい。例えば、連結部110のy軸方向寸法が本体部11よりも大きく、かつ連結部110が本体部11のy軸負方向側の辺からy軸負方向側へ突出するように設けた上で、隣接する剥がし用把持部13同士を連結部110(の上記突出するy軸負方向側部分)により連結することとしてもよい。これらの場合であっても、分割部14(切り込み部15とスリット部16)を本実施例1のように設けることで、本実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、第1〜第3スリット15b,16a,16bの寸法は適宜変更可能である。例えば、スリット幅(隙間)は任意であって、略ゼロであってもよいし所定の大きさを有していてもよい。また、第1〜第3スリット15b,16a,16bの形状は任意であって、直線状でなく、例えば湾曲していてもよい。さらに、分割部14(切り込み構造)の大きさや、パターンの連続の有無も、任意である(実施例2、3参照)。また、第1、第2テープ10a,10b,10cを一体化した場合には、ホイルシリンダに接続する第1のグループの配管接続口22a〜22dと、マスタシリンダに接続する第2のグループの配管接続口とに分割して選択的に剥がすための分割部14を設けることが可能である。グループごとに分割するための分割部14は、配管接続口ごとに分割する分割部14としても機能することができる。ここで、配管接続口ごとに分割する分割部14とグループごとに分割する分割部14とを同様の構成とする他、それぞれ違えて、例えば、グループごとに分割するための分割部14のほうが、配管接続口ごとに分割するための分割部14よりも容易に切り取ることができる等の構成にすることも可能である。
[実施例1の効果]
以下、実施例1の油圧ユニットが奏する効果を列挙する。
(1)油圧ユニット1は、開口が外部に臨む複数の配管接続口22a〜22d又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22dを備えたハウジング2と、ハウジング2の外面201に貼付され、1枚で少なくとも2つの開口又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22dを同時に被い、配管接続口22a〜22dの開口ごと又は配管接続口22a〜22dのグループごとに分割し剥がすための分割部14、及び作業者が把持する把持部(剥がし用把持部13)を有する保護テープ(第1テープ10a)と、を有し、分割部14は、把持部13の側から切り込まれたメインの切り込み部15と、切り込み部15の軸線に対し軸線がオフセットして形成されたサブの切り込み部(スリット部16)からなる。
よって、作業者が把持部(剥がし用把持部13)を把持して保護テープ(第1テープ10a)を剥がす際、剥がし方向が一定でなくても、サブの切り込み部(スリット部16)により、切れ目が分割部14から逸脱することを抑制できるため、作業性の向上を図ることができる。
具体的には、油圧ユニット1は、開口が外部に臨む複数の配管接続口22a〜22dを外面201に備えたハウジング2と、ハウジング2の外面201に貼付され、1枚で配管接続口22a〜22dの少なくとも2つの開口又は複数にグループ化された配管接続口22a〜22dの開口を同時に被う保護テープ(第1テープ10a)と、を有し、保護テープ(第1テープ10a)は、ハウジング2の外面201に貼付され、配管接続口22a〜22dの開口を被う本体部11と、本体部11に接続され、作業者が把持するための把持部(剥がし用把持部13)と、本体部11を配管接続口22a〜22dの開口ごと又は配管接続口22a〜22dのグループごとに分割し剥がすための分割部14と、を有し、分割部14は、本体部11における把持部(剥がし用把持部13)が接続された側(y軸負方向側)に開口する切り込み部15と、切り込み部15の軸線に対し軸線がオフセットして形成されたスリット部16とからなる。
よって、作業者が把持部(剥がし用把持部13)を把持して本体部11を剥がす際、剥がし方向が一定でなくても、スリット部16により、切れ目が分割部14から逸脱することを抑制できるため、分割部14に沿って本体部11を剥がすことが容易となり、作業性の向上を図ることができる。
(2)スリット部16(第2、第3スリット16a,16b)は、切り込み部15(第1スリット15b)の左右位置に形成され、配管接続口22a〜22dの隣り合う開口間又はグループ間に延びている。よって、引き剥がし作業の方向性を選ばなくともよく、これにより作業性を更に向上することが可能である。
(3)スリット部16(第2スリット16a又は第3スリット16b)は単一の切れ目である。よって、切れ目を発生させて分割する手間を削減できるとともに、切れ目の逸脱をより効果的に抑制することができるため、作業性を更に向上することが可能である。
実施例2の油圧ユニット1は、第1テープ10aの分割部14の構成が実施例1と異なる。すなわち、実施例2の分割部14は、切り込み部15とスリット部16からなる点、スリット部16よりも剥がし用把持部13寄りに切り込み部15が形成されている点、及び、切り込み部15の軸線に対しスリット部16の軸線がオフセットして形成されている点で、実施例1の分割部14と共通する一方、切り込み部15とスリット部16からなる分割部のユニット14a〜14iが複数設けられている点、各ユニット14a〜14i間で切り込み部15とスリット部16とを接続する接続部17が設けられている点で、実施例1の分割部14と相違する。以下、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と共通する点については説明を省略する。
図5は、実施例2の第1テープ10aの分割部14を示す。分割部14は、連結部110に設けられている。なお、本体部11のy軸負方向側に一体に設けられている剥がし用把持部13については、図示を省略している。切り込み部15は、連結部110のx軸方向略中央に、比較的短く切り込まれて形成され、y軸方向に略直線状に延びるスリットであり、複数(10個)形成され、連結部110のx軸方向略中央の略同一線上に並んでいる。y軸負方向端の切り込み部15は、剥がし用把持部13の側から切り込まれ、本体部11(連結部110)のy軸負方向側の縁に開口する。なお、本体部11(連結部110)のy軸負方向側の縁を略三角形状に切り欠いて実施例1と同様の凹部15aを形成し、この凹部15aのy軸正方向端から上記切り込み部15を形成することとしてもよい。y軸正方向端の切り込み部15は、本体部11(連結部110)のy軸正方向側の縁に開口する。なお、y軸正方向端の切り込み部15を省略することとしてもよい。
スリット部16は、隣り合う封止部11a〜11d間において、各切り込み部15の左右位置に、比較的短く切り込まれて形成され、y軸方向に略直線状に延びるスリットである。実施例1と同様、連結部110と封止部11a〜11dとの境界にスリット部16を形成することとしてもよい。スリット部16は、連結部110のx軸方向略中央を挟んでx軸方向略対称位置に形成された第1スリット16aと第2スリット16bを有している。第1スリット16aの軸線は、切り込み部15の軸線からx軸負方向側へ所定距離だけオフセットした位置に設けられ、第2スリット16bの軸線は、切り込み部15の軸線からx軸正方向側へ所定距離だけオフセットした位置に設けられている。第1、第2スリット16a,16bのy軸方向長さは、切り込み部15のy軸方向長さよりも約3〜4倍長く設けられている。
本実施例2では、それぞれy軸負方向側(すなわち剥がし用把持部13寄り)に切り込み部15を有し、y軸正方向側にスリット部16(第1、第2スリット16a,16b)を有するユニット14a〜14iが複数(9個)設けられており、これら分割部のユニット14a〜14iがy軸方向に(略同一直線上に)並んで設けられている。各ユニット14a〜14iにおいて、切り込み部15は、y軸負方向側(剥がし用把持部13の側)から切り込まれている。各ユニット14a〜14iにおいて、切り込み部15(のy軸負方向側の始端α1)は、第1、第2スリット16a,16b(のy軸負方向側の始端β1)よりもy軸負方向側、すなわち剥がし用把持部13寄りに形成されている。なお、始端α1を始端β1よりもy軸正方向側に設けることとしてもよい。この場合も、切り込み部15は、全体として、第1、第2スリット16a,16bよりもy軸負方向側、すなわち剥がし用把持部13寄りに形成されることとなる。各ユニット14a〜14iにおいて、切り込み部15のy軸正方向側の終端α2は、同じユニット14a〜14 iの第1、第2スリット16a,16bの始端β1同士を結ぶ直線と略重なる位置か、この直線よりも剥がし用把持部13から離れる側(第1、第2スリット16a,16bによって挟まれる領域内に若干入り込んだ位置)に設けられている。
接続部17は、y軸方向で隣接する各ユニット14a〜14i間に比較的短く切り込まれて形成され、y軸方向に対して斜めに略直線状に延びるスリットであり、各ユニット14a〜14i間でスリット部16と切り込み部15とを接続する。接続部17は、切り込み部15の軸線に関して略対称に、第1接続部17aと第2接続部17bを有している。第1接続部17aは、あるユニット14aにおけるスリット部16の第1スリット16aのy軸正方向端β2からy軸正方向側かつx軸正方向側に向かって斜めに延びる略直線状に形成されている。第2接続部17bは、同じユニット14aにおけるスリット部16の第2スリット16bのy軸正方向端β2からy軸正方向側かつx軸負方向側に向かって斜めに延びる略直線状に形成されている。第1接続部17aと第2接続部17bはy軸正方向側で一致(合流)し、この合流点は、上記ユニット14aにy軸正方向側で隣接するユニット14bの切り込み部15のy軸負方向端α1と一致する。言い換えると、第1、第2接続部17a,17bは、それぞれ、あるユニット14aのスリット部16(第1、第2スリット16a,16b)と、そのユニット14aにy軸正方向側で隣接するユニット14bの切り込み部15とを接続する切り込みである。両接続部17a,17bのなす角度は直角よりも僅かに小さく設けられている。
本実施例2の分割部14は、各ユニット14a〜14iにおいてそれぞれ、実施例1の分割部14と同様の作用を得ることができる。さらに接続部17を形成したことで、複数のユニット14a〜14iを設けた場合でも、各ユニット14a〜14i間で切れ目をガイドして分割部14からの逸脱を抑制することができるため、本実施例2の分割部14は、全体として、実施例1の分割部14と同様の作用を得ることができる。また、実施例1に比べ、分割部14においてx軸方向の力に対する剛性を担う部分、すなわち切り込み部15とスリット部16(の始端β1側)との間の中実部分が、各ユニット14a〜14iの数だけ(y軸方向に)分散して存在することになるため、第1テープ10aのx軸方向の剛性を向上することができる。さらに、各ユニット14a〜14iの配列を変えることとしてもよく、分割部14の全体形状(発生する切れ目の軌跡)を直線状に限らず任意の形状とすることができる(実施例3参照)。これにより、テープ切り取り形状の自由度を向上できる。また、切り込み部15の終端α2を、第1、第2スリット16a,16bの始端β1同士を結ぶ直線よりも剥がし用把持部13から離れる側(第1、第2スリット16a,16bによって挟まれる領域内に若干入り込んだ位置)に設けたため、あるユニット14a〜14iにおいて、切れ目を形成する力の方向が切り込み部15の軸線方向に対して大幅にずれたとき(例えば各ユニット14a〜14iを非直線状に配列した場合等、作業者による通常の剥がし方向に対してそのユニット14a〜14iの切り込み部15の軸線がずれて配置されたとき。)であっても、切り込み部15(の終端α2)から始まる切れ目がスリット部16(第1、第2スリット16a,16b)と連結することが容易である。これにより、各ユニット14a〜14iの配列の自由度を向上しつつ、切れ目の逸脱を抑制する効果を向上している。上記のほか、実施例2の油圧ユニット1は実施例1と同様の効果を奏する。
なお、分割部14の各ユニットの数や大きさは任意である。第1、第2接続部17a,17bと第1、第2スリット16a,16b及び切り込み部15との各接続部分を、それぞれ滑らかな曲線状に形成し、これらが滑らかに連続するように設けてもよい。また、第1、第2接続部17a,17bは、それぞれ単一の切り込みではなく、複数の切り込みにより構成してもよい。この場合、第1、第2接続部17a,17bの始端β2から始まる切れ目が次の切り込み部15の始端α1に至る途中で第1、第2接続部17a,17bから外れて形成されたときでも、この切れ目が、(第1、第2接続部17a,17bに対して軸線がオフセットして配置された)次のユニットの第1、第2スリット16a,16bと連結すれば、切れ目が分割部14から逸脱することは抑制される。また、切れ目の逸脱をある程度抑制できる限り、本体部11のy軸正方向側のいくつかのユニット14h,14i等を省略してもよい。