JP2011241406A - 環境対応型ガソリン組成物及びその製造方法 - Google Patents

環境対応型ガソリン組成物及びその製造方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

【課題】オレフィン分を5.0容量%以下、硫黄分を10質量ppm以下、好ましくは1質量ppm以下に低減しながら、十分な実用性能を確保した環境対応型ガソリン組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 レフィン分が5.0容量%以下、アロマ分が20容量%以上40容量%以下、イソパラフィン分が40容量%以上80容量%以下、リード蒸気圧が65kPa以下、及び硫黄分が10質量ppm以下であり、かつ含酸素化合物の含有量が0〜15容量%である環境対応型ガソリン組成物が提供され、及び特定のナフサ留分を骨格異性化して得た異性化ガソリン基材と従来のガソリン基材とをブレンドすることからなる環境対応型ガソリン組成物の製造方法が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、環境への影響に配慮しつつ十分な運転特性を確保した環境対応型ガソリン組成物及びその製造方法に関する。
地球温暖化ガスの一つと考えられている二酸化炭素の排出量を削減するために、ガソリンのリサーチ法オクタン価(RON)を高めることが有効であることが報告されている。一方、石油化学製品の海外需要増加により石油化学製品の生産量が増大し、石油化学原料の一つである芳香族基材製造装置の接触改質ガソリン製造装置の稼動が上がり、これに伴い副産物である重質芳香族基材が余剰化している。この重質芳香族基材は硫黄分をほとんど含まずRONが高い利点があるが、沸点が高いためガソリン混合後の揮発性を一定範囲にする為には一定比率以上の低硫黄軽質基材を混合することが必要である。
JIS K 2202には、RONが96.0以上の1号自動車ガソリンと89.0以上の2号自動車ガソリンが規定されており、前者は高性能なプレミアムガソリンとして、後者はレギュラーガソリンとして市販されている。従来、プレミアムガソリンは、接触改質ガソリン基材、メチル‐t‐ブチルエーテル(MTBE)のような100以上のRONをもつ基材、アルキレートガソリン基材、接触分解ガソリン軽質分のような93以上のRONをもつ基材を中心に、各種の基材を配合して製造されている。また、レギュラーガソリンは、接触分解ガソリン基材を中心に、アロマ留分やRONの低い脱硫直留ナフサ等が添加され製造されている。
また、一般的に接触分解ガソリンや各種の分解ガソリンなどの分解ナフサ留分には多くのオレフィン類が含まれており、RONの向上に大きく寄与している(非特許文献1参照)。これまでは、RONが比較的低いパラフィン類は、ガソリン基材としては好まれず削減される方向であった。
その反面、RONが高い化合物として広く使用されているオレフィン化合物は、光化学的に不安定であること、貯蔵安定性に問題があることから、スラッジ分などの固体状化合物を析出させてしまう欠点が問題視されている。
また、オレフィン分のうち比較的低分子の物については、RONは高いものの蒸気圧も高い傾向があるが、夏季ガソリン基材としては比較的沸点が低く、蒸気圧の低い基材が必要とされる傾向にある。
これに対して、アルキレートガソリンを多く使用してオレフィン分やアロマ分を削減したガソリン組成物に関する開示がある(特許文献1参照)が、これらRONの高い基材を低減させているためRONが不十分であり、かつ蒸留性状を調整するため軽質分を多く添加させる必要からリード蒸気圧(RVP)が65kPaを超えており、依然として環境に配慮したガソリンと言えるレベルでは無かった。
また、オレフィン含有量を削減し含酸素化合物を添加することでRONを高めたガソリン組成物を製造する方法も開示されている(特許文献2参照)が、オレフィン分が6〜15容量%と依然として多く、含酸素化合物にRONを依存しているため、燃費の悪い含酸素化合物を多く含むガソリン組成物となってしまい、環境負荷を低減した燃料とは言えなかった。
同様に、含酸素化合物を添加することでRONを高めたガソリン組成物を製造する方法も開示されている(特許文献3参照)が、含酸素化合物以外のガソリン構成基材の製造方法に関する開示が無く、現実的に製造し、実施できる技術とは言えなかった。
以上の状況を考慮しつつガソリン製造の実態に目を向けると、重質な石油留分を分解することによって製造される分解ガソリン基材は、他のガソリン基材に比べて経済的に製造できるという利点がある一方、硫黄分を多く含んでいる。その結果、上述のようにして製造されるガソリン中の硫黄分の大部分は、分解ガソリン基材に由来している。分解ガソリン基材に含まれる硫黄分は、高圧水素と触媒の共存下で水素化精製するという公知技術を用いて容易に低減できる。しかし、その場合は、接触分解ガソリン基材中に多く含まれ、高いRONをもつオレフィン分が水素化されて当該基材のRONが低下してしまうため、それを配合して十分な運転性能を有するガソリンを得ることは難しいという問題点があった。
レギュラーガソリンで使用されている直留ナフサは、原油の蒸留から得られるため経済的に製造することができるが、RONが低いため多く用いることは難しい。
オレフィンに代わるRONの高い化合物として、イソパラフィン分が挙げられる。イソパラフィン分を優先的に製造してRONを向上させる方法として、炭化水素の骨格異性化技術が知られている(非特許文献2参照)。しかしながら、このような骨格異性化反応も、適切な触媒やプロセスを使用しなければ十分な効果は得られず、また、ブレンド基材を最終的に適切な組み合わせをしない限り、満足できるガソリン製品を得ることは難しい。また、一般的に異性化油はその原料となるナフサ留分と比較すると沸点が軽くなるため、異性化油をあまり多用すると製品ガソリンのRVPが高くなってしまう欠点もあった。
異性化反応と同様にイソパラフィン分を選択的に製造する方法として、アルキレーション反応を用いるプロセスがある。アルキレーション反応は、硫酸などの酸触媒を使用して、主に炭素数4のオレフィンとイソパラフィンとを反応させて炭素数8のイソパラフィン(i‐C8)を製造する反応であり、既に多くの装置が世界中で稼動している(非特許文献3参照)。しかし、その反応の特徴ゆえ、生成物として炭素数8の多分岐イソパラフィンが多く得られるものの、炭素数が8より少ない多分岐のイソパラフィンを得ることは難しかった。アルキレートガソリンは高沸点成分で構成されているため蒸留性状の制約から、また、原料として比較的高価な炭素数4の化合物を使用しなければならないため供給量やコストの制約から、あまり大量には製造すること、及び使用することができなかった。
特開2004−277457号公報 特開2004−292510号公報 特開2005−29763号公報
日石レビュー、「ガソリン品質の市場調査結果」、第40巻第3号p26〜52、1998年8月発行 石油学会編、「石油精製プロセス」、p235〜245、講談社サイエンティフィック、1998年発行 石油学会編、「石油精製プロセス」、p209〜216、講談社サイエンティフィック、1998年発行
オレフィン分が5.0容量%以下、硫黄分が10質量ppm以下と低く、かつ、RONが高く十分な実用性能を確保した環境対応型ガソリン及びその製造方法は未だ確立されていない。このような状況下で、本発明は、オレフィン分を5.0容量%以下、硫黄分を10質量ppm以下、好ましくは1質量ppm以下に低減し、かつ、特定のガソリン成分を含有することにより、十分な運転特性を確保した環境対応型ガソリン組成物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、低沸点成分の異性化油と高沸点成分のアロマ分を適切に組み合わせたガソリンは運転性、加速性とも良好であり、加えてRONが高いため燃費が改善されて環境負荷が低減されることを見出した。さらに、環境負荷の少ないイソパラフィン類、特に炭素数6の二分岐以上のイソパラフィンを比較的多く含有するガソリン組成物は、オレフィン分を多く使用しなくても、蒸留性状とリード蒸気圧(RVP)の良好なバランスを保持しながら、高いRON、低硫黄の環境対応型ガソリンを得ることができることを見出した。例えば、炭素数6で二分岐イソパラフィンである2,3‐ジメチルブタンは、RONが103、RVPが51kPa、沸点が58℃であり、ガソリン基材として理想的な性状を有しており、このような化合物が多く含まれるガソリンほど、環境負荷の少ないガソリンであると言える。このように、本発明者らは、高いRONを有し、かつRVPも低く蒸留性状も好ましい特定化合物を見出し、その含有量を制御することで、高いRONを維持したまま硫黄分を低減した環境対応型ガソリン組成物が得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、オレフィン分が5.0容量%以下、アロマ分が20容量%以上40容量%以下、イソパラフィン分が40容量%以上80容量%以下、リード蒸気圧(RVP)が65kPa以下、及び硫黄分が10質量ppm以下であり、かつ、含酸素化合物の含有量が0〜15容量%である環境対応型ガソリン組成物である。
該ガソリン組成物は、50容量%留出温度が98℃以下、炭素数6のイソパラフィン(i‐C6)の含有量が10容量%以上、2,3‐ジメチルブタンの含有量が1.5容量%以上、(炭素数6のイソパラフィン)/(炭素数6のノルマルパラフィン(n‐C6))容量比(i‐C6/n‐C6容量比)が5.0以上、及び(炭素数6のイソパラフィン)/(炭素数6のオレフィン(C6=))容量比(i‐C6/C6=容量比)が2.2以上であることが好ましく、さらに硫黄分が1質量ppm以下、炭素数8のイソパラフィンが20容量%以下であることが好ましい。
また、本発明は、
(1)10容量%留出温度が25〜60℃、かつ90容量%留出温度が55〜80℃であるナフサ留分の一部または全量を、水素加圧下、固体酸触媒を用いて骨格異性化して異性化生成油を得る異性化工程、及び
(2)前記(1)の異性化工程で得られた異性化生成油を異性化ガソリン基材として他のガソリン基材と混合するブレンド工程
を含む、前記の環境対応型ガソリン組成物の製造方法である。
さらに、本発明の環境対応型ガソリン組成物の製造方法は、異性化工程で得られた異性化生成油を高オクタン価化合物と低オクタン価化合物とに分離し、得られた高オクタン価化合物を異性化ガソリン基材として用い、さらに、低オクタン価化合物を再度異性化工程に送って処理することが好ましく、また、異性化反応の原料油に用いるナフサ留分としては、原油を蒸留し脱硫して得られた脱硫直留ナフサを用いることが好ましい。
発明者らが着目したガソリン成分は炭素数が6でかつ分岐状の脂肪族飽和炭化水素であり、とりわけ2,3‐ジメチルブタンは、RONが103と高く、37.8℃におけるRVPが51kPa、沸点が58℃であり、ガソリン基材には最適な性能を有している。しかも、従来から広く用いられている分解反応等では、2,3‐ジメチルブタンのような多分岐状イソパラフィンを多く得ることは難しかったが、固体酸触媒存在下でナフサに異性化反応を施すことにより可能となった。さらにこれにより、本発明の環境対応型ガソリン組成物に対して、従来のガソリン組成物では考えられない性状、すなわち、オレフィン分を5.0容量%以下、かつ硫黄分を10質量ppm以下、さらには1質量ppm以下まで減じても、満足するRON、蒸留性状およびRVPを付与することが可能となった。本発明により、かかる格別の性状を有する環境対応型ガソリン組成物が提供できる。
なお、本発明から得られるガソリン組成物については、イソパラフィン分(分岐状の脂肪族飽和炭化水素)の含有量が多いことから、ガソリンエンジン用燃料としてはもちろんのこと、これに加えて燃料電池用の燃料としてもエネルギー効率の高い性能を有しており、共用ガソリンとしても使用することができる。
〔環境対応型ガソリン組成物〕
環境対応型ガソリン組成物に含まれる炭化水素化合物のうち、芳香環を有するものをアロマ、アロマ以外で不飽和結合を有するものをオレフィン、非芳香環を有するものをナフテン、それ以外をパラフィンとする。また、パラフィンの内、直鎖状のものをノルマルパラフィン、分岐を有するものをイソパラフィンと分類する。
本発明の環境対応型ガソリン組成物を、以下に詳しく説明する。
〔硫黄分〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物の硫黄分は10質量ppm以下、好ましくは5質量ppm以下、より好ましくは1質量ppm以下である。ガソリン中の硫黄分は、排気ガス中で硫黄酸化物となり、エンジン排ガスを浄化する窒素酸化物除去触媒を被毒して触媒活性を低下させる。被毒した窒素酸化物除去触媒は、還元雰囲気下で再生されて活性を回復するが、このとき還元雰囲気を形成するために燃料が使用され、その分燃費が悪化する原因となっている。したがって、ガソリン中の硫黄分が少ないほど燃費は向上する。さらに、ガソリン車両の燃料タンク液面計に銀が一部使用されていることから、硫黄化合物等による燃料系統の腐食を防止するため、銀板腐食が1以下であることが望ましい。
〔オレフィン含有量〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物のオレフィン分は、光安定性及び貯蔵安定性の観点から少ない方が好ましく、5.0容量%以下、より好ましくは3.0容量%以下、さらに好ましくは1.0容量%以下である。
〔パラフィン含有量〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物のイソパラフィンの含有量は40容量%以上80容量%以下、好ましくは45容量%以上80容量%以下、さらに好ましくは50容量%以上80容量%以下であり、ノルマルパラフィンの含有量は9.0容量%以下が好ましく、より好ましくは8.0容量%以下、さらに好ましくは7.0容量%以下である。ここで、イソパラフィンの含有量が40容量%以下の場合やノルマルパラフィンの含有量が9.0容量%を超える場合、従来通りの蒸留性状、蒸気圧及びオクタン価を維持するために、環境に悪影響を与える可能性があるオレフィン分を多く含む基材多く使用せざるを得ない結果となってしまうので好ましくない。
〔炭素数6のイソパラフィン含有量〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物は、i‐C6の含有量が10容量%以上であることが好ましく、より好ましくは11容量%以上、さらに好ましくは14容量%以上であり、2,3‐ジメチルブタンの含有量が1.5容量%以上であることが好ましく、より好ましくは2.2容量%以上、さらに好ましくは2.5容量%以上であり、i‐C6/n‐C6比(容量)は5.0以上が好ましく、さらに好ましくは6.0以上であり、特に好ましくは9.0以上である。これらは、RON維持の観点から多い方が好ましい。また、i‐C6/C6=比(容量)は、光安定性及び貯蔵安定性の観点から2.2以上が好ましく、さらに好ましくは2.5以上であり、特に好ましくは2.8以上である。
ここで、i‐C6の含有量が10容量%以上、かつ、2,3‐ジメチルブタンの含有量が1.5容量%以上、i‐C6/n‐C6比が5.0以上、i‐C6/C6=比が2.2以上のガソリン組成物でない場合、前記と同様、従来通りの蒸留性状、蒸気圧及びオクタン価を維持するために、環境に悪影響を与える可能性があるオレフィン分を多く含む基材多く使用せざるを得ない結果となってしまうので好ましくない。
〔炭素数8のイソパラフィン含有量〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物は、炭素数8のイソパラフィン(イソオクタン又はi‐C8)は20容量%以下が好ましく、さらには18容量%以下であり、特に好ましくは16容量%以下である。i‐C8のうち、トリメチルペンタン類のように分岐数の多いイソパラフィンはRONが高いものの、他の分岐数の少ないイソオクタン類はRONが比較的低く、しかも、i‐C8は全体的に沸点が100℃を超えるものがほとんどであるため、あまり多く使用しない方が好ましい。
〔アロマ含有量〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物において、アロマ分は20容量%以上40容量%以下であり、好ましくは21容量%以上38容量%以下、より好ましくは22容量%以上35容量%以下である。環境保全(排気ガス性状)や低温運転性維持の観点からアロマ分は少ない方が好ましいが、RONを維持するため及び燃費悪化防止の点から20容量%以上が好ましい。また、アロマ分が40容量%を超えると燃焼室デポジットが増加し、点火プラグのくすぶりが発生したり、排ガス中のベンゼン濃度が高くなる恐れがある。また、ベンゼン含有量は1.0容量%以下、さらには0.1容量%以下が好ましい。
〔密度〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物において、本発明のガソリン組成物の密度は、0.70g/cm3以上0.78g/cm3以下が好ましいが、より好ましくは0.71g/cm3以上0.76g/cm3以下、さらに好ましくは0.71g/cm3以上0.74g/cm3以下である。密度が0.70g/cm3未満では、出力が低下するとともにガソリン消費量が多大となる。一方、0.78g/cm3を越えると熱効率が悪くなるため、やはり出力が低下する。
〔蒸留性状〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物において、50%留出温度は75℃以上98℃以下であることが好ましく、より好ましくは75℃以上96℃以下、さらに好ましくは75℃以上92℃以下である。50%留出温度が75℃に満たない場合は、燃費の観点から好ましくなく、98℃を超える場合は、常温運転性の観点から好ましくない。10%留出温度は25℃以上60℃以下であることが好ましく、より好ましくは26℃以上50℃以下、さらに好ましくは27℃以上40℃以下である。90%留出温度は140℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは145℃以上195℃以下、さらに好ましくは150℃以上190℃以下である。
〔RVP〕
本発明による環境対応型ガソリン組成物において、RVPは65kPa以下が好ましく、より好ましくは62kPa以下である。RVPが高いと蒸発損失の増加、ベーパーロックの懸念、危険性の増加などの問題が起こりやすい。
〔環境対応型ガソリン組成物の製造方法〕
本発明の環境対応型ガソリン組成物の製造方法を、以下に詳しく説明する。
〔ナフサ留分〕
本発明において、異性化反応の原料となるナフサ留分は、少なくとも60〜70℃、さらには35〜80℃の沸点成分を含む留分であることが好ましい。ナフサ留分の蒸留性状は、10容量%留出温度が25〜60℃、90容量%留出温度が55〜80℃であり、好ましくは95容量%留出温度が60〜85℃である。場合によっては、この留分の一部を蒸留分離して使用することもできる。また、この軽質留分のアロマ含有量は、0〜1.0容量%が好ましい。必要に応じて、ベンゼンなどのアロマ分をスルフォラン抽出法に代表される溶剤抽出法などにより除去する。
ナフサ留分は特に限定されるものではないが、具体的には原油の常圧蒸留装置から留出する直留ナフサ、アロマ分を抽出した際に生成する抽出ラフィネートのナフサ留分、熱分解装置や接触分解装置等の各種分解装置から生成する分解ナフサ、さらには天然ガス、バイオガスなどに由来する一酸化炭素と水素の合成ガスからのFT(Fischer Tropsch)合成反応およびその分解反応から得られるGTLナフサなどが挙げられ、以上の中では直留ナフサまたは抽出ラフィネートのナフサ留分が好ましい。なお、これらナフサには硫黄分等の不純物が多く含まれる場合があるので、必要に応じて水素化処理や脱硫処理を行なう。ここでは直留ナフサを脱硫処理して得られたものを脱硫直留ナフサ(留分)と称する。
〔脱硫直留ナフサ留分〕
本発明の環境対応型ガソリン組成物の原料である脱硫直留ナフサを製造するプロセスは、原料油、蒸留装置、運転条件を特に限定するものでなく、公知の任意の製造工程を採用できる。
例えば、原油の常圧蒸留工程から得られた直留ナフサ留分を水素存在下、ニッケルやモリブデンなどを含む触媒を用いて脱硫処理することで得られる。反応条件を反応温度250〜400℃、反応圧力1.0〜8.0MPa、LHSV0.5〜5h-1とすることにより、チオフェン類やスルフィド類が水素化脱硫される。前記の反応条件の中でも特に好ましい反応条件としては、例えば、反応温度250〜350℃、反応圧力2.0〜4.0MPa、LHSV1.0〜4.0h-1である。
〔異性化工程〕
上記ナフサ留分、例えば脱硫直留ナフサ留分を水素雰囲気下で固体酸触媒を用いて異性化処理し、異性化ガソリン基材を製造する。この異性化処理によりノルマルパラフィンがイソパラフィンに変換される。異性化方法は特に限定されないが、触媒として周期律表第VIII族の元素を含有する固体酸触媒が挙げられる。固体酸としては、ゼオライト、ヘテロポリ酸、アルミナに塩素を担持した塩素化アルミナ、ジルコニアと硫酸分を含む硫酸ジルコニア類やジルコニアとタングステンの酸化物成分を含むタングステン酸ジルコニア類などに代表される固体超強酸等を使用することができる。上記固体酸触媒は1種のみで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において異性化工程で使用する固体酸触媒は、周期律表第VIII族の元素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する固体酸触媒が好ましい。周期律表第VIII族の元素としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。このうち、白金、パラジウム、及びルテニウムが好ましく、特に白金を好ましく用いることができる。
周期律表第VIII族の元素の割合(当該元素含有量の平均値)は、当該元素として、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特には0.1〜3質量%である。周期律表第VIII族の元素の含有量が少なすぎると、触媒性能向上効果が低く好ましくない。この元素の含有量が多すぎると、触媒の比表面積や細孔容積の低下を引き起こすため好ましくない。
異性化工程で使用する触媒に用いるゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナ、固体超強酸については、特に限定されないが、酸性度が高いものが好ましい。具体的には、ゼオライトとしては、A型、L型、X型、Y型、ZSM‐5型(MFI型)、ベータ型、ペンタシル型ゼオライト、モルデナイト、フェリエライト、などが用いられるが、特にベータ型が好ましい。また、各種ゼオライトにおいて、陽イオンは、プロトンの他、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などのアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属が好ましいが、遷移金属でも良い。遷移金属としては、具体的には、銀(Ag)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が挙げられる。これら触媒の形状は、粉末状、ペレット状、タブレット状、又はビーズ状であることが好ましい。
ヘテロポリ酸とは、2種類以上の無機系オキシ酸が互いに縮合している酸を意味する。本発明に用いられるヘテロポリ酸はKeggin型、Dawson型、Anderson型など特定の構造に限定されるものではないが、安定性、合成の容易さの点からKeggin型構造のものが好ましい。具体的には一般式H3AB12O40で表される化合物である。これらの化合物の中心元素(A原子)はリン(P)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、チタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)より成る群から選択できる。これらの酸の配位元素(B原子)としてはモリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)および鉄(Fe)の様なイオンが使用できる。中でも、A原子としてはPが好ましく、B原子としてはWまたはMoが好ましい。
塩素化アルミナは、アルミナ担体に無機塩素化合物あるいは有機塩素化合物を担持することにより得ることができる。無機塩素化合物としては、塩化水素、塩化アンモニウム、過塩素酸、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、等が挙げられ、有機塩素化合物としては、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。触媒中の塩素含有量としては、塩素元素として0.5〜20.0質量%、より好ましくは1.0〜15.0質量%、更に好ましくは3.0〜10.0質量%である。塩素量が少なすぎると異性化反応に必要な酸強度が不十分なため効果的な異性化活性が得られず、一方、塩素量が多すぎると反応系内および生成油中に塩素化合物が多量に存在してしまい、配管などの腐食を起こしたり生成油の安定性を悪化させたりするため好ましくない。
硫酸ジルコニア類は、チタン、ジルコニウムおよびハフニウム(Hf)から選ばれるIV族金属成分の1種と硫酸分を含むものである。IV族金属成分としてはジルコニウムが好ましい。ジルコニウム元素として20〜72質量%、特には30〜60質量%含むことが好ましい。また、触媒中に占める硫酸分の割合は、硫黄元素として0.7〜7質量%、好ましくは1〜6質量%、特には2〜5質量%である。
タングステン酸ジルコニア類は、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種とタングステンおよびモリブデンから選ばれるVI族金属成分の1種とを金属成分として含むものである。IV族金属成分としてはジルコニウムが好ましく、VI族金属成分としてはタングステンが好ましい。触媒中にIV族金属成分を金属元素として10〜72質量%、特には20〜60質量%含むことが好ましい。また、触媒中にVI族金属成分を金属元素として2〜30質量%、特に5〜25質量%、さらには10〜20質量%含むことが好ましい。
硫酸ジルコニア類及びタングステン酸ジルコニア類等のジルコニア部分は、実質的に正方晶ジルコニアからなることが好ましい。
ゼオライト触媒、ヘテロポリ酸触媒及び固体超強酸触媒を使用する場合、触媒中のアルミナ含有量はアルミニウム元素として2〜40%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは8〜25質量%である。
固体酸触媒の比表面積は50〜1000m2/gが好ましく、より好ましくは100〜800m2/g、特には120〜500m2/gである。比表面積は通常知られているBET法によって測定できる。本発明の固体酸触媒の細孔構造は、細孔直径0.002〜0.05μmの範囲については窒素吸着法、細孔直径0.05〜10μmの範囲は水銀圧入法により測定できる。細孔直径0.002〜10μmの細孔容積は0.1cm3/g以上が好ましく、より好ましくは0.3cm3/g以上、特には0.35〜1.5cm3/gである。
固体酸触媒の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、ペレット状、タブレット状、ビーズ状などどのような形状でもかまわないが、粉体でなく、成形された形状が好ましい。例えば、押出し成形で容易に得ることができる断面が円の円柱状や、クローバ型などの異形の柱状(平均径約1.5mm、長さ約4.0mm)のペレットあるいはエクストゥルード(extrude)と呼ばれる形態の固体酸触媒を好ましく用いることができる。
異性化工程において、反応条件を反応温度100〜400℃、反応圧力0.5〜5.0MPa、H2/油比0.1〜10.0mol/mol、LHSV0.1〜10.0h-1とすることにより、アロマ分やナフテン分の一部または全量が開環、水素化され、同時にノルマルパラフィンが異性化されてイソパラフィンが増加する。イソパラフィンも分岐する位置が変わったり、分岐数の多いものに変換される。前記の反応条件の中でも特に好ましい反応条件としては、例えば、反応温度120〜300℃、反応圧力1.8〜3.2MPa、H2/油比0.3〜5.0mol/mol、LHSV1.0〜3.0h-1である。異性化生成油はそのまま異性化ガソリン基材として他のガソリン基材と混合して本発明の環境対応型ガソリン組成物を製造することができる。さらに、異性化生成油の重質分、未反応分、低オクタン価化合物等(総称して単に低オクタン価化合物という。)を、蒸留、分離膜、吸着剤等により分離した残りの留分(総称して単に高オクタン価化合物という。)は、より高いオクタン価を有しているため、異性化ガソリン基材としてより使い勝手よく用いることができる。分離した低オクタン価化合物は、異性化工程にリサイクルして再度反応させ、より高オクタン価の異性化生成油(高オクタン価化合物)に変換してもよく、また、石油化学品原料用として用いることもできる。
〔ブレンド工程〕
本発明の環境対応型ガソリン組成物は、上記のように処理して得られた本発明の異性化ガソリン基材と他のガソリン基材とを適宜の割合でブレンドすることによって製造することができる。
他のガソリン基材とは、本発明の環境対応型ガソリン組成物を調製するに際して異性化ガソリン基材とともに用いる各種基材を指し、従来のガソリン製造に用いられているガソリン基材が挙げられる。具体的には、直留ナフサ留分を水素化脱硫後、その軽質分を蒸留分離することにより得た脱硫直留軽質ナフサ留分(DSLG)、ブチレン留分とイソブタン留分をアルキル化して得たアルキレートガソリン(ALKG)、接触分解ナフサ留分(FCCG)あるいはそれを脱硫処理した脱硫接触分解ナフサ留分(DS‐FCCG)、接触分解ナフサ留分を蒸留して得た軽質留分の接触分解軽質ナフサ留分、脱硫重質ナフサを固体改質触媒により改質して得た改質ガソリン、及び改質ガソリンを蒸留して得られたベンゼン分を殆ど含有しない炭素数7を主成分とする留分(AC7)、同じく炭素数8を主成分とする留分(AC8)、あるいは炭素数9以上を主成分とする留分(AC9)、各種の石油精製工程や石油化学の工程から副生されるガソリン留分、さらに、単離されたブタン、ペンタンや、いわゆるBTXなどのアロマ化合物などが挙げられる。さらに、エタノールなどのアルコールや、アルコールからの誘導体であるエーテル類やエステル類の、いわゆる「含酸素化合物」を使用しても良い。
この含酸素化合物としては、例えば、炭素数2〜5のアルコール類、炭素数4〜8のエーテル類が好適であり、具体的には、エタノール、プロピルアルコール類、ブチルアルコール類などのアルコールや、アルコール類からの誘導体であるエーテル類やエステル類、例えば、エチルイソプロピルエーテル、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)、エチルセカンダリーブチルエーテル(ESBE)、ジイソプロピルエーテル、ターシャリーアミルエチルエーテル(TAEE)や、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。
これらの含酸素化合物は、全ガソリン組成物基準で、0〜15容量%、好ましくは3〜12容量%、より好ましくは、5〜10容量%使用される。これは、少なすぎると添加効果が少なく、また、多すぎると水分等の不純物を同伴してしまい、配管やシール材の腐食等のトラブルを引き起こすためである。例えば、エタノールは水を際限なく溶解することから、燃料中に多く含まれる場合、自動車燃料タンク内で水分が濃縮され、蓄積して悪影響を与える可能性がある。さらに、燃料油中に含酸素化合物が多い場合、例えば15容量%を超える量が含まれると、既存エンジンの空気/燃料比最適値から外れて酸素過剰気味となることから、排ガス中の窒素酸化物(NOx)量が増加してしまう欠点がある。また、含酸素化合物は他のガソリン基材と比較すると発熱量が総じて低く、燃費を下げてしまうことがあるため、あまり多く使用することは好ましくない。
〔添加剤〕
本発明の環境対応型ガソリン組成物の好ましい態様として、必要に応じて公知の燃料添加剤を配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計量として0.1質量%以下とすることが好ましい。本発明の環境対応型ガソリン組成物で使用可能な添加剤を例示すれば、アミン系、フェノール系、アミノフェノール系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコールやそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸エステルなどのさび止め剤、キニザリン、クマリンなどの識別剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら制限されるものではない。
(異性化工程)
反応器に後述のようにして調製した白金塩素化アルミナ触媒を充填し、原料油の脱硫直留軽質ナフサ(DSLG)と300容量ppmに相当する四塩化炭素を混合して反応器に通油して異性化反応を実施して、異性化生成油Aを得た。反応条件は、反応温度:140℃、反応圧力:3.0MPa、LHSV:1.5h-1、H2/Oil:0.2mol/molとした。
なお、白金塩素化アルミナ触媒は以下のようにして調製した。ガンマアルミナを直径1.6mmのダイスにより押出し成形した。空気下での予備焼成後、HClの存在下、塩化白金酸を前記成形アルミナに担持した。このように調製した触媒前駆体を空気下で焼成後、水素流通下にて600℃で還元した。次いで、250℃の温度条件下、四塩化炭素を注入しで塩素化を行った。触媒は、外径約1.5mm、長さ約4.0mmのペレット状で、白金を0.3質量%、塩素を7.0質量%含有するものであった。
表1に原料の脱硫直留軽質ナフサと異性化生成油Aの性状を示す。オクタン価は、原料の脱硫直留軽質ナフサの64.8から異性化反応により85.3へ向上した。
Figure 2011241406
(蒸留分離工程)
次いで、得られた異性化生成油Aを、東京特殊金網株式会社製の充填物、GOODROLL TYPE D(SUS304製)を充填した塔高4200mmH、塔径42.8mmφの蒸留塔を用いて、還流比3/1〜5/1(理論段数85段)、設定圧力を0.1MPaで蒸留し、塔頂温度が25℃までの留分(ガス分)、25〜60℃の留分(軽質分、すなわち高オクタン価化合物B)、そして残りの60℃以上の留分(重質分、すなわち低オクタン価化合物C)を得た。それぞれの収率は、ガス分が5.0容量%、高オクタン価化合物Bが71.5容量%、低オクタン価化合物Cが23.5容量%であった。上記蒸留分離後の高オクタン価化合物B及び低オクタン価化合物Cの性状を、蒸留前の異性化生成油Aの性状とともに表1に示す。
次いで、上記のようにして得られた低オクタン価化合物Cを、再度反応器に通して異性化反応を実施した。その結果得られた異性化生成油Dと、上記の蒸留分離で得た軽質分の高オクタン価化合物Bとをそれぞれ得られた量の割合で混合し分離異性化ガソリン基材E(ISO‐E)を得た。
異性化工程、更には分離工程を経て得た表1に記載の各留分から、高オクタン価化合物B及び分離異性化ガソリン基材Eは、十分高いオクタン価を有しており、極めて良好なガソリン基材であると判断される。異性化生成油A及び異性化生成油Dも比較的高いオクタン価を有しており、良好なガソリン基材である。なお、高オクタン価化合物Bをガソリン基材として使用することは、利用価値の低い低オクタン価化合物Cの生産を伴う。したがって、低オクタン価化合物Cを再度異性化して得た異性化生成油Dと高オクタン価化合物Bを混合して得た分離異性化ガソリン基材Eは、良好な性状に加えて、無駄となる製品を副生しないことから特に好ましいガソリン基材と考えられる。
表2に示す性状のガソリン基材を、表3の上部に示す配合割合でブレンドして実施例1〜6及び比較例1〜4のガソリン組成物を調合した。比較例は、従来ガソリンの基材組成をもとに構成基材中の接触分解ナフサ比率を下げてオレフィン量を低減したものであり、それに対して、実施例は、比較例の基材組成をもとに異性化ガソリンを使用して多分岐イソパラフィン含有率を高めることにより、オレフィン分削減によるオクタン価低下分を補ったものである。なお、使用したガソリン基材は、次のようにして調製されたものである。
イソペンタン留分(iC5)
イソペンタンを多く含む炭素数5が主体の留分である。脱硫重質ナフサの接触改質で副生する軽質留分と脱硫軽質ナフサ留分とを蒸留分離することにより、純度95%以上の炭素数5のイソパラフィン留分を得た。
アルキレートガソリン(ALKG)
ブチレンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分を硫酸触媒により反応させて、イソパラフィン分の高い炭化水素を得た。
脱硫接触分解ナフサ留分(DS‐FCCG)
脱硫軽油あるいは脱硫重油を原料に用い、固体触媒存在下、流動床式反応装置での接触分解反応によりオレフィン分の高い接触分解ナフサ留分(FCCG)を得た後、これを収着脱硫することにより硫黄分の低い炭化水素を得た。
アルミナにニッケルを20質量%担持した触媒を硫化処理した後、反応温度250℃、反応圧力常圧、LHSV4h-1、H2/油比340NL/Lの条件のもと、上記接触分解ナフサ留分を通油してジエン低減処理を行った。さらに、共沈法にて調製した銅亜鉛アルミニウム複合酸化物(銅含有量35質量%、亜鉛含有量35質量%、アルミニウム含有量5質量%)の還元処理を行った後、ジエン低減処理油を、反応温度100℃、反応圧力常圧、LHSV2.0h-1、H2/油比0.06NL/Lの条件のもと20時間通油して脱硫接触分解ナフサ留分(DS‐FCCG)を得た。
改質ガソリン(AC7、AC9)
脱硫重質ナフサを固体改質触媒により移動床式反応装置を用いて反応させることにより、アロマ含量の多い炭化水素に改質して改質ガソリンを得る。改質ガソリンはそのまま使用することもできるが、ここでは蒸留分離することにより炭素数7及び炭素数9の炭化水素をそれぞれ85%以上含有する留分(AC7及びAC9)を得た。
エタノール(EtOH)
市販の発酵エタノール(99度1級、日本アルコール販売(株)製)を使用した。
エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)
イオン交換樹脂触媒(Amberlyst‐15)を用いてエタノールとイソブチレンとを反応させ、次いで蒸留法により精製し、純度95%以上のETBEを得た。
実施例1〜6、比較例1〜4のガソリン組成物の性状を表3の下部に示す。なお、ガソリン基材及び調製したガソリン組成物の性状は、次の方法により測定した。
密度はJIS K 2249の振動式密度試験方法、リード法蒸気圧(RVP)はJIS K 2258のリード法蒸気圧試験方法、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験方法によって測定した。硫黄分は、JIS K 2541の硫黄分試験方法によって測定した。銀板腐食はJIS K2513(石油製品‐銅板腐食試験方法:対応 ASTM D130)のボンベ法(ジェット燃料)で、銅板の代わりにJIS K2276(石油製品‐航空燃料油試験方法)の「14.銀板腐食試験方法」に用いる銀板を使用して評価した。アロマ分、オレフィン分、パラフィン分等の各種炭化水素化合物の成分組成はJIS K 2536のガスクロマトグラフ法による全成分試験方法により測定した。リサーチ法オクタン価(RON)はヒューレッドパッカード社製PIONA装置を用いて、ガスクロマトグラフ法によって測定した。
Figure 2011241406
Figure 2011241406
表3から、実施例1〜6の環境対応型ガソリンは比較例1〜4の従来型ガソリンと比較して、脱硫直留軽質ナフサ留分を異性化処理して得た分離異性化ガソリン基材(ISO)を用いることにより、ノルマルパラフィン含有量が少ない代わりにイソパラフィンの含有量が多く、2,3‐ジメチルブタンおよびi‐C6の含有量が多く、i‐C6/n‐C6比が高く、さらにi‐C6/C6=比が高いため、同程度までオレフィン分を低減したにもかかわらずRONが高い。すなわち、実施例1〜6の環境対応型ガソリンは、比較例1〜4と硫黄分やアロマ分が同程度であっても、良好な蒸留性状およびRVPで、かつ高いRONであり、優れた実用性能を有することがわかる。

Claims (8)

  1. レフィン分が5.0容量%以下、アロマ分が20容量%以上40容量%以下、イソパラフィン分が40容量%以上80容量%以下、リード蒸気圧が65kPa以下、及び硫黄分が10質量ppm以下であり、かつ、含酸素化合物の含有量が0〜15容量%であることを特徴とする環境対応型ガソリン組成物。
  2. 50容量%留出温度が98℃以下、炭素数6のイソパラフィンの含有量が10容量%以上、2,3‐ジメチルブタンの含有量が1.5容量%以上、(炭素数6のイソパラフィン)/(炭素数6のノルマルパラフィン)容量比が5.0以上、及び(炭素数6のイソパラフィン)/(炭素数6のオレフィン)容量比が2.2以上である、請求項1に記載の環境対応型ガソリン組成物。
  3. 硫黄分が1質量ppm以下である、請求項1又は2に記載の環境対応型ガソリン組成物。
  4. 炭素数8のイソパラフィンが20容量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の環境対応型ガソリン組成物。
  5. (1)10容量%留出温度が25〜60℃、かつ90容量%留出温度が55〜80℃であるナフサ留分の一部または全量を、水素加圧下、固体酸触媒を用いて骨格異性化して異性化生成油を得る異性化工程、及び
    (2)前記(1)の異性化工程で得られた異性化生成油を異性化ガソリン基材として他のガソリン基材と混合するブレンド工程
    を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の環境対応型ガソリン組成物の製造方法。
  6. 異性化工程で得られた異性化生成油を高オクタン価化合物と低オクタン価化合物とに分離し、得られた高オクタン価化合物を異性化ガソリン基材として用いる、請求項に記載の環境対応型ガソリン組成物の製造方法。
  7. 低オクタン価化合物を再度異性化工程に送って処理する、請求項に記載の環境対応型ガソリン組成物の製造方法。
  8. 異性化反応の原料に用いるナフサ留分が、原油を蒸留し脱硫して得られた脱硫直留ナフサである、請求項のいずれかに記載の環境対応型ガソリン組成物の製造方法。
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