以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
まず図1および図2に基づき、炊飯器の基本的な構成を説明する。これらの各図において、炊飯器の外郭をなす本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3とにより形成され、外枠3の下方にある底部開口を覆う底板4が設けられている。その際、上枠2や底板4は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成される一方で、外枠3は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠2の上面内周部から垂下され、この上枠2と一体化したPPなどの合成樹脂で形成されるほぼ筒状の鍋収容部6と、この鍋収容部6の下面開口を覆って設けられ、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂で形成される内枠8とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体9が形成される。
前記鍋収容体9内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成される。なお、鍋収容部6の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
前記内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって発熱体13が発熱し、炊飯時と保温時に鍋11ひいては鍋11内の被炊飯物を加熱するようになっている。
また、内枠8の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、温度検出手段としてサーミスタ式の鍋温度センサ17が配置され、この鍋温度センサ17の検出温度に応じて加熱コイル16の加熱量を調節し、鍋11を一定温度に保持する構成になっている。
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ18が円環状に配置される。このコードヒータ18は電熱式ヒータからなり、鍋収容体9の上端に載置して取付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング19上に保持されると共に、コードヒータ18を上から覆うようにしてヒータリング19に取付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板20を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板20は、炊飯器本体1と後述する蓋体31との隙間に対向して位置する。そして、金属板20の上面に鍋11のフランジ部14下面が載置し、これにより鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体9内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体9の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ18と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ18が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部(フランジ部14)は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
蓋体31は、その上面外殻をなす外観部品としての外蓋32と、蓋体31の内面である下面を形成する外蓋カバー33とにより構成される、外蓋カバー33には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板34が設けられ、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ35が設けられる。蓋ヒータ35は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
前記上枠2の後方には、蓋体31と連結するヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、正面から見て左右方向に一対の孔(図示せず)が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成したヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー33の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体1と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー33と外枠2にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン46を押すと、蓋体31と本体1との係合が解除され、ヒンジバネ40によって蓋体31が自動的に開く構成となっている。
蓋開ボタン46周辺において、蓋体31には係止手段に相当するクランプ44が配置される。このクランプ44は、蓋体31の内部に設けた軸としてのクランプシャフト45を中心として、外蓋カバー33に対し回転自在に軸支される。蓋開閉手段に相当する蓋開ボタン46は、使用者が操作できるように蓋体31の前方上面から露出状態に配設される。蓋体31の内部には、クランプ44の基端部を蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段(図示せず)が設けられ、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げる力が作用するようになっている。
図7〜図9にも示すように、クランプ44は、蓋開ボタン46に当接する基端部44Aに対して、反対側の先端部には、本体1の内方に延出する略L字状の係合部44Cが形成される。クランプ44はステンレスなどの金属部品で形成されており、それによりクランプ44を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受け50との係合を得られる。また、前記クランプ44の係合部44Cは、蓋体31の中央から左右の略均等位置に設けられ、本体1の略前後方向に揺動する。
一方、上枠2に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、該上枠2の前方には受け手段に相当するクランプ受け50が配設され、蓋体31を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段の付勢力により、クランプ44がクランプシャフト45を中心軸として回転し、当該クランプ受け50に係合することで、蓋体31を本体1に対し閉状態に保持するようになっている。クランプ受け50はステンレスなどの金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受け50を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ44との係合を得られる。反対に蓋体31を開く場合には、蓋開ボタン46を押動操作し、クランプ44の基端部44Aを下方に押下げてクランプ44を逆方向に回転させると、クランプ44とクランプ受け50との係合を解除できる。上枠2のクランプ受け下方部は、クランプ44がクランプシャフト45を軸として回転動作する際に、ぶつからない深さを有することが必要である。また、クランプ44とクランプ受け50下方部の隙間は、通常時のクランプ44とクランプ受け50の係合量よりも大となる寸法関係としておく。更に、外蓋カバー33と上枠2の隙間よりも大となる寸法関係としておく。
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との隙間を塞ぐために、当該内蓋56の外側全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキン57を備えている。そして、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、これにより外蓋カバー33内面に内蓋組立体55が着脱可能に設けられる。また、環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。
その他、前記放熱板34には、蓋体31に装着される内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ35による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ60が設けられる。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口ユニット61が設けられる。
ここで図3を参照しながら、内蓋組立体55の要部構成を説明すると、前記内蓋56は、何れも鍋11の内部と連通する複数の孔すなわち連通孔62,63を備えている。また、これらの連通孔62,63に対応して、調圧手段としての調圧部58,64がそれぞれ別個に設けられる。調圧部58,64は、内蓋56を外蓋カバー33の下側に取付けたときに、何れも蒸気口ユニット61の入口側に臨んで設けられ、当該蒸気口ユニット61と蓋体31の内部で連通する。そして、これらの調圧部58,64が連通孔62,63を開放または閉止して、鍋11内の圧力を調整するようになっている。
連通孔62を開閉する調圧部58の構成をより詳しく説明する。第1調圧手段としての調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー組立体66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とを備えて構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で形成される。
調圧弁ホルダー組立体66は、第1ホルダー68と、第2ホルダー69と、減圧支持部材に相当する第1調圧パッキン71と、第2調圧パッキン72とにより構成される。第1調圧パッキン71には、鍋11内の加圧時にボール状の調圧弁65の下方に当接する調圧孔70が設けられる。この調圧孔70は、鍋11と蓋体31外部とを連通させる為のもので、鍋11内の蒸気が調圧孔70を通過すると、蒸気口ユニット61から外気へ放出されるようになっている。また、第1ホルダー68と第2ホルダー69には、互いを嵌合する為の凸状の係合部(図示せず)と凹状の被係合部76がそれぞれ設けられている。これらの第1ホルダー68と第2ホルダー69は、前記第1調圧パッキン71を保持する保持部材として、内蓋56に設けた連通孔62に装着される。第1ホルダー68は全体がキャップ状に形成され、その中央部に貫通孔68Aを有し、貫通孔68Aの周辺部68Bと第2ホルダー69の上端部69Aとにより、第1調圧パッキン71の基部を挟持するようになっている。また、第2ホルダー69は筒状で、その下側には内蓋56の連通孔58周辺の下面に当接するフランジ69Bが形成されると共に、フランジ69Bの上方外周には、リング状の前記第2調圧パッキン72を嵌合させる凹溝69Cが形成される。
調圧弁ホルダー組立体66の組立は、まず第2ホルダー69の凹溝69Cに第2調圧パッキン72を嵌め込んだものを、内蓋56に設けた連通孔62に差込み、第2ホルダー69の上端部69Aを覆うようにして、第1調圧パッキン71を弁支持体73に載置する。その状態から第1調圧パッキン71を挟む様にして、第1ホルダー68を上方から被せ、前記係合部と被係合部76とを互いに嵌合させて、第2ホルダー69に第1ホルダー68を取付ける。調圧弁ホルダー組立体66を組立てた状態では、鍋11内部に第2ホルダー69の内側面が直接対向し、第2ホルダー69の上側に配置された第1調圧パッキン71は、鍋11内から直接圧力を受けずに済む構造になっている。
この様に組立てた調圧弁ホルダー組立体66で調圧弁65を保持し、上方から調圧弁カバー67を被せることで調圧部58を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立66と調圧弁カバー67との取付けは爪嵌合であり、調圧弁カバー67に形成した爪67aを、第1ホルダー68に形成した孔または溝(図示せず)に貫通させ、第2ホルダー69の前記被係合部76に係合させることで、調圧部58として係合構造をより強固なものとしている。したがって、ここでは調圧弁カバー67を取り付ける際、その爪67aによる嵌合は、第1ホルダー68を貫通して第2ホルダー69の被係合部76に対して行われ、鍋11の内部に対向する第2ホルダー69は、第1ホルダー68と調圧弁カバー67の両方に強固に嵌合される。
調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔70から放出する蒸気を蒸気口ユニット61に導く複数の孔77が設けられている。また内蓋56は、調圧弁ホルダー組立体66と調圧弁カバー67とで挟持されるので、内蓋56の連通孔62は露出しない。
図3に示すように、調圧弁65は調圧弁ホルダーとしての第2ホルダー69で保持される。第2ホルダー69は、調圧弁65の下方に位置して、鍋11内部と蓋体31外部とを連通する調圧孔78を設けている。つまり、この調圧弁78を通過すると、前記調圧孔70と蒸気口ユニット61を経て、鍋11内の蒸気が外気へ放出されることになる。調圧弁65は調圧孔78を塞ぐように保持されることから、調圧孔78の開口面積と調圧弁23の重量により、鍋11内の圧力を調整できる。
第2ホルダー69と同じく、調圧弁65を保持する保持手段としての第1調圧パッキン71は、ゴムのような弾性を有する部材を使用する。第1調圧パッキン71を弾性部材とすることで、調圧弁65により調圧孔78を塞いだ時に、調圧弁65が第2ホルダー69に当接して弾性変形し、第1調圧パッキン71のシール性を向上させて、鍋11内からの蒸気リークを防止することが可能になる。また、調圧弁65が調圧孔78を塞ぐことで、鍋11内で発生した蒸気の通路を閉鎖し、蒸気が大気中に放出する量を減らすことができる。
79は、内蓋56の下面側より露出する第2ホルダー69の底面に設けられる着脱自在な弁座ホルダーである。この弁座ホルダー79には一乃至複数の孔79a(図6を参照)が形成されており、これにより孔79aから調圧孔78に至る第1蒸気通路孔80が第2ホルダー69により形成される。
一方、第2調圧手段としての調圧部64は、鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると開弁して、鍋11の内圧を下げるもので、これは連通孔63の下側から取付けられる第2弁座ホルダーとしての安全弁ホルダー81と、連通孔63の上側から取付けられるドーム状の安全弁カバー82と、これらの安全弁ホルダー81と安全弁カバー82の内部に上下動可能に設けられる弁体83と、弁体83を下方に付勢する安全弁バネ84とにより構成される。そして、弁体83の先端には弾性体85が設けられる一方で、この弾性体85に対向して安全弁ホルダー81には、第2蒸気通路孔としての開放孔86が形成されており、安全弁バネ84の弾性反発力を利用して、弾性体85が開放孔86を常時塞ぐようになっている。このときの安全弁バネ84の荷重は、前記調圧弁65の動作圧力値よりも高く、通常は鍋11内の圧力上昇によって、弁体83よりも先に調圧弁65が開弁するように設定される。
安全弁ホルダー81の外側面には、係合部としての凹部81Aが設けられる。この凹部81Aに、安全弁カバー82の被係合部としての凸部82Aが係合する構造となっている。ここでは、安全弁ホルダー81を回転させることで、安全弁カバー82と係合するようになっている。また、前記第2ホルダー69の下部側面に係合部としての凸部(図示せず)を設け、当該凸部が安全弁ホルダー81の下部側面に形成した被係合部としての凸部間の溝に収まる構造となっている。この場合、安全弁ホルダー81の下部側面に凹部を形成し、そこに第2ホルダー69の凸部が入り込む構造としてもよい。これらの各部材の係合構造に関し、凹部および凸部の関係を逆にしてもよく、お互いに回転方向の規制があればその構造は特に限定しない。
次に、蒸気口ユニット61に関係する構成について、図4や図5を併せて参照しながら説明する。蒸気口ユニット61は、鍋11内部から発生した蒸気を器外すなわち炊飯器の外部に排出するもので、外蓋32と連結して外部がシールされる有底状の蒸気口91と、蒸気口91の上部開口を覆う蒸気口キャップ92と、蒸気口キャップ92に嵌着され、蒸気口91と蒸気口キャップ92との間をシールするための弾性部材からなる蒸気口パッキン93とにより構成される。蒸気口キャップ92には、蒸気口ユニット61内に滞留した蒸気を器外に排出する蒸気排出口92aを設けておく。こうすることで、鍋11内の内圧が蒸気圧のまま保たれる。
蒸気口91には、鍋11内からの蒸気が通過する筒状の蒸気通過部94が設けられており、図4に示す状態から蒸気口キャップ92を外すと、蓋体31の上面部において蒸気通過部94が露出するようになっている(図5参照)。95は、露出した蒸気通過部94にその一端が着脱自在に接続する管状の蒸気通路手段であり、この蒸気通路手段95は、例えば蛇腹形状のような自在な形状であってもよいし、本体1や蓋体31の外郭に沿った形状であってもよい。また、蒸気通路手段94の別な一端には、本体1や蓋体31とは別ユニットの独立した蒸気回収手段96が着脱自在に接続される。これにより、鍋11内から発生した蒸気は、蒸気口91の蒸気通過部94から蒸気通路手段95を経由して、蒸気回収手段96に集められることになる。
蒸気通路手段95には、当該蒸気通路手段95を通過する蒸気を冷却するための蒸気通路冷却手段97が設けられる。この蒸気通路冷却手段97は、具体的には蒸気通路手段95の外部に冷却用の部材を巻付けてもよいし、或いは回転するファンを備えた送風装置によって、蒸気通路手段95に冷風を送り込む構成としてもよい。
蒸気回収手段96には、集まった蒸気を冷却する蒸気回収手段冷却手段98が設けられる。このときの蒸気回収手段96は、蒸気通路手段95を通して回収した蒸気を収容する蒸気収容部99と、この蒸気収容部99の冷却部である蒸気回収手段冷却手段98を着脱自在として構成する。蒸気回収手段冷却手段98は、蒸気収容部99に冷風を送り込む送風装置や、蒸気収容部99を冷却する冷却用の部材などの冷却器を有する構成とする。こうすることで、蒸気通過部94を通過する蒸気が蒸気通路冷却手段97である程度冷やされた後、蒸気収容部99に集まった蒸気がさらに蒸気回収手段冷却手段98で冷却されることにより、蒸気収容部99内で蒸気が確実に液化される。よって、鍋11から発生する蒸気が器外に排出されるのを確実に抑制できる。
調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度即ち鍋11の内圧を調節する動作源として、蓋体31内の外蓋カバー33には、調圧部58内にある調圧弁65を動かすソレノイド101が設けられる。ソレノイド101の非通電状態では、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁65を調圧孔70から退避する一方、ソレノイド101の通電状態では、その先端部を退避させ、調圧弁65を調圧孔70に自重で転動させ、調圧孔70を塞いで鍋11内に圧力を投入する。
ここで、上記図1〜図5の他に、図6もさらに参照しながら、前記調圧部58の操作手段について説明する。蓋体31の内部には、電磁力により内部からプランジャー151を出没させて、調圧部58内にある調圧弁65を動かす調圧用ソレノイド101が設けられる。また、外蓋カバー33に向けてプランジャー151と共に可動する調圧フレーム152や、蓋体31内部を水密状態に保持する可撓性の調圧パッキン153も、同様に蓋体31内の外蓋カバー33に設けられる。調圧パッキン153は、調圧部58に臨んで外蓋カバー33に設けた取付け孔の周縁に嵌合する凹字状の取付部153Aが形成される。そして、これらの調圧用ソレノイド101や調圧フレーム152は、外蓋カバー33により蓋体31内に形成された調圧収容部154に収容配置される。
調圧フレーム152は、調圧弁65に向けて突出した調圧弁操作手段としての調圧操作部161と、調圧用ソレノイド101を囲うようにして設けたフレーム部162と、調圧操作部161の略反対側に設けられた規制手段としてのクランプ動作規制部163とを備えて構成される。ソレノイド101のプランジャー151ひいては調圧フレーム152は、鍋11内を非加圧状態とするために、調圧弁65を押すように常時位置している。このときの調圧フレーム152の位置を、第1フレーム位置とする。特に調圧弁65を操作する調圧フレーム152の部分を、前記調圧操作部161としている。こうすることで、蓋体31を開けようとする場合には、鍋11内を外気と連通させ、負圧の影響を受けずにスムーズな蓋開動作を得ることができる。
一方、炊飯を開始すると、調圧用ソレノイド101のプランジャー151が第2のフレーム位置である後退位置に移動する。このとき、調圧フレーム152の調圧操作部161は調圧弁65に対する押しを解除し、調圧弁65は調圧孔70を閉塞する。また、調圧フレーム152のクランプ動作規制部163はクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置され、クランプ44がクランプ受け50から係合解除する方向に動くのを規制する。従ってこの場合は、蓋開ボタン46によりクランプ44を押し込もうとしても、クランプ44はその動きを規制されて、クランプ受け50との係合を解除できない。
逆に、調圧用ソレノイド101のプランジャー151が、第1のフレーム位置である進出位置にあるときには、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aから離れ、クランプ44の動作は規制されなくなる。そのため、この場合は蓋開ボタン46を押動操作すると、クランプ44がクランプ受け50から離脱して、蓋体31が開くようになっている。なお、クランプ動作規制部163はクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込まなくても、クランプ44の動作を規制する位置や形状を有していれば、どのようなものでも構わない。
また別な例として、外蓋カバー33内における調圧フレーム152の可動部下方に、図示しない圧力検出手段を配置し、弾性部材である例えばバネによって、圧力検出弁を下方へ付勢するように構成してもよい。この場合、圧力検出弁の上部がクランプ動作規制手段を押し上げるように構成する。また、圧力検出弁とクランプ動作規制手段との間には、鍋11内部の圧力状態に応じた圧力検出弁の上下動に合わせて、クランプ動作規制手段を上下動させるパッキンを設ける。圧力検出弁は例えばカバーとホルダーで保持されるようにし、圧力検出弁の下方とカバーとの間に備えた前記ばねにより、当該圧力検出弁が常時下方に付勢される。また、これらの圧力検出ユニットと内蓋56との間をシールするパッキンを設けるのが好ましい。
そしてこの例では、鍋11の内圧が所定値に到達すると、圧力検出弁は上方に移動する。これは圧力検出弁の下方で鍋11からの圧力を直接受ける面積と内圧力の割合が、ばねの付勢力よりも高くなったときに生じる。ばねの付勢力に抗して圧力検出弁が上部に移動すると、クランプ動作規制手段も上方へ移動する。上方へ移動突出したクランプ動作規制手段は、フレームの動作を妨げる位置、すなわち前記第2のフレーム位置から第1のフレーム位置への復帰を防止する第3のフレーム位置となる。この時、調圧弁65は調圧孔70を開放したまま、且つフレーム152がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むように配置される。
図7は、通常の蓋体31を閉じた状態のクランプ44周辺を示しており、また図8は、蓋体31と本体1との間に異物が介在した状態のクランプ44周辺を示している。これらの各図において、クランプシャフト45の中心を通る垂線と、クランプ受け50に係止するクランプ44の係合部44Cの先端44Dとの間の最短距離を、それぞれ係合量T(=T1,T2)とする。なお、この係合量Tは、クランプシャフト45の中心ではなく、クランプ受け50の先端50Aを通る垂線を基準としてもよい。図7に示す係合量T1に対して、図8に示す係合量T2は小さくなっている。
図8に示すように、蓋体31の下方に対向する上枠2の上面に米粒などの異物が介在したまま、本体1に対して蓋体31を閉めると、蓋31と本体1との隙間が通常の異物が介在しない場合よりも大きくなる。このとき、クランプ44の係止部たる係合部44Cは、クランプ受け50に対して通常よりも係合量Tが不足する。クランプ44の姿勢は通常に対して回転し、本体1側に傾くこととなる。クランプ44の傾きが所定以上の場合は、クランプ受け50との係合量Tも所定量以下(=T2)となる。この場合、別な図9に示すように、クランプ受け50の先端50Aの位置を、クランプ44の係合部44Cにおける先端44Dの位置よりも後方としておけば、クランプ44とクランプ受け50との係止は起こらない。また、クランプ受け50の先端50Aの位置を、クランプシャフト45の中心よりも後方にすることで、蓋体31が受ける蒸気圧によってクランプ44がクランプ受け50から解除しようとする回転を防止できる。
図10に示すように、クランプ44の係合部44Cは、垂下部44Bにつながる根元44Eから先端に向かうに従い高くなるように形成する。これにより、クランプ44の姿勢が通常に対して回転し、本体1側に傾くことになっても、クランプ受け50に対してクランプ44の係合部44Cの先端44Dを確実に係合することができる。またクランプ44の係合部44Cは、クランプシャフト45よりも後方でクランプ受け50に係止するので、蓋体31が受ける蒸気圧によってクランプ44がクランプ受け50から解除しようとする回転を防止できる。
クランプ受け50は、その受け面の先端50Aが根元50Bよりも低く位置するように形成する。これは、鍋11内が大気圧以上となった時に、蓋体31と共にクランプ44が上方に持ち上げられてクランプ受け50が変形しても、クランプ44の係合部44Cの先端44Dがクランプ受け50の根元50Bに確実に係合できるようにすることを目的としている。
次に、上記炊飯器の補強構造について、図11〜図16を参照しながら詳しく説明する。図11は蓋体31における内部構造を示し、蓋体31のベース材である外蓋カバー33には、左右に分割した対をなす蓋補強手段としての蓋補強板111,112が配置される。この蓋補強板111,112は蓋体31の強度を補うためのものであって、合成樹脂製の外蓋カバー33よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、外蓋カバー33の両側面に沿って、蓋体31の前後方向に延びた直線状の形状をなす。また蓋補強板111,112は、例えばネジ113などの止着部材によって外蓋カバー33に固定される構造を有する。
蓋補強板111,112の前側には、前記クランプシャフト45が貫通する孔114が設けられ、この孔114にクランプシャフト45の各端部を貫通させることで、クランプシャフト45が蓋補強板111,112と連結される。また、蓋補強板111,112の後側には、ヒンジ軸としてのヒンジシャフト41が貫通する孔115が設けられ、この孔115にヒンジシャフト41の各端部を貫通させることで、クランプシャフト45のみならずヒンジシャフト41も蓋補強板111,112と連結される。ヒンジシャフト41やクランプシャフト45は、何れも蓋体31ひいては炊飯器の左右方向に配置された金属製の部材であり、これらの部材と蓋補強板111,112との組合わせにより、効果的な補強がなされる。
図12および図13は、上枠2における補強構造を示している。これらの各図において、上枠2の下面には、本体補強手段である枠板としてのクランプ補強板121が設けられる。この枠板は、鍋11が受ける加圧力に耐えるように全面を受けてもよいし、鍋11からの加圧力が低い場合には、蓋体31と連結するクランプ44とヒンジ部38の周辺にのみ設けてもよい。ここでのクランプ補強板121は、合成樹脂製の上枠2よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、上枠2の前面に沿って左右方向に延びて配設される。
図14および図15は、クランプ補強板121の取付け状態を示す図であるが、クランプ補強板121は、クランプ受け50を形成するカバー部材50Bにネジ122などの止着部材を螺着することで、上枠2の下側に固定される。鍋11内の加圧時には蓋体31と共にクランプ44が上方に持ち上げられるため、クランプ44と係合するクランプ受け50は補強のために、枠板或いはクランプ補強板121と連結する構造とする。
図16は、ヒンジ部38に対する補強構造を示す図である。ここでは本体補強手段として、ヒンジ部38の底部を補強するヒンジ補強板131と、ヒンジシャフト41と上枠2との取付けを補強するシャフト補強板132がそれぞれ設けられる。ヒンジ補強板131およびシャフト補強板132は、共に上枠2よりも高い剛性を有する例えば金属材料で構成され、上枠2の後面に沿って左右方向に延びて配設される。ヒンジ補強板131は、例えばネジ133などの止着部材によって上枠2に固定され、同様にシャフト補強板132も、別なネジ134などの止着部材によって上枠2に固定される。特にシャフト補強板132は、ヒンジシャフト41の外面形状に対応したU字状の受け部135を形成しており、鍋11内の加圧時などにおいて、ヒンジシャフト41が受け部135に当接することにより、ヒンジシャフト41から上枠2に加わる力を緩和できる。また、枠板をクランプ補強板121とヒンジ補強板131に分割する時は、分割された蓋補強板111,112と略直交する位置関係でそれぞれの部材を配置する。これは、加圧力に対して効果的に補強を行なうためである。
141は、蓋体31を本体1に閉じた状態で、鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段141は、減圧駆動源としての減圧ポンプ142と、この減圧ポンプ142から内蓋56に設けた孔(図示せず)に至る管状の経路(図示せず)と、この経路を開閉する電磁弁143(図17参照)により構成される。なお、この実施例では減圧ポンプ142が蓋体31の後部に設けられているが、本体1の後部に設けてもよい。
そして、内蓋組立体55を蓋体31の下面に装着した状態で蓋体31を閉じると、鍋11内と減圧ポンプ142が連通する。この状態から減圧ポンプ142を起動させると、鍋11内の空気が減圧ポンプ142を通って本体1の外部に排出され、密閉した鍋11内の圧力が低下する。また、鍋11内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、電磁弁143が前記経路を閉塞して、鍋11内を減圧状態に保つことができる。さらに、スローリークにより鍋11内の圧力が上昇した場合にも、経路を開放した状態で減圧ポンプ142を起動させ、鍋11内を大気圧よりも低い状態に維持している。
再度図1に戻り、前記本体1の前部には操作パネル191が設けられている。この操作パネル191の内側には、時間や選択した炊飯コースを表示するLCD192や、他にいずれも図示しないが、現在の行程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、炊飯コースを選択させたりする操作スイッチ193(図17参照)などを配置した基板が配設される。操作パネル191には、ボタン名などを表示するための操作部が配置される。この操作部は、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル191を蓋体31の正面側に設けてもよい。
171は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段171は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器172に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン173から発する風を放熱器172に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
冷却ファン173は、加熱制御手段171に取付けられた放熱器172の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体1の底部若しくは側部には、冷却ファン173から発し、加熱制御手段111に取付けられた放熱器172から熱を奪って温かくなった風を、本体1の外部へ排出するための孔174が複数設けられている。加熱制御手段171は製品内部すなわち本体1内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体1の底部若しくは側部に設けた孔174も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段171や冷却ファン173と、温かな風を排出する孔174は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
次に制御系統について、図17を参照しながら説明する。同図において、171は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ17および蓋温度センサ60からの各温度情報や、操作スイッチ193からの操作信号などを受け付けて、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ18と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ35とを各々制御すると共に、前述した減圧ポンプ142や、電磁弁143や、蓋体31の内部に設けたソレノイド101や、LCD192を含む表示手段128を各々制御するものである。特に本実施例の加熱制御手段171は、鍋温度センサ17の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ60の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ35が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段171は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋11内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段178と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段179と、操作スイッチ193からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段178を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段181を備えている。
182は、加熱制御手段171からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段171の出力側には、加熱制御手段171からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ35を駆動させる蓋ヒータ駆動手段183と、コードヒータ18をオンにするコードヒータ駆動手段184と、ソレノイド101をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段185と、減圧ポンプ142を駆動させるポンプ駆動手段186と、電磁弁143をオンまたはオフにする電磁弁駆動手段187と、表示手段128を駆動させる表示駆動手段189が各々設けられる。前記炊飯制御手段178による炊飯時、および保温制御手段179による保温時には、鍋温度センサ17と蓋温度センサ60からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ18による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ35による蓋体31への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段178による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段179による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ17の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ18による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
特に前記コードヒータ18による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ18を発熱させて、蓋体31と本体1との隙間の空間に金属板20から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ18により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
さらに、本実施例における加熱制御手段171は、予約炊飯制御手段181による予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの期間や、炊飯制御手段178が実質的な炊飯を開始するまでのひたし行程の期間や、保温制御手段179により前述した保温が安定する状態と判断した後で、鍋11内が大気圧より低くなるように、減圧ポンプ142や減圧状態保持用の電磁弁143を動作させる減圧制御手段190としての機能をも備えている。
次に、上記構成における炊飯器の動作について説明する。鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作スイッチ193の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段178による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段178は、実質的な炊飯を開始する前に、鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、鍋温度センサ17による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ18で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。このひたし中は、減圧手段141の減圧ポンプ142と電磁弁143が作動すると共に、鍋11内が大気圧以下のときには、調圧用ソレノイド101が通電(オン)状態になって、調圧用ソレノイド101のプランジャー151が後退位置に移動する。これにより、調圧操作部161が調圧弁65から離れて、調圧弁65が第1調圧パッキン71の調圧孔70を塞ぎ、鍋11内の密閉が確保される。また、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ44の回動が規制され、蓋開ボタン46を押動操作しようとしても、クランプ44とクランプ受け50との係合がロックされ、蓋体31が開かないようになる。
また、ひたし行程が開始すると、減圧制御手段190は実質的な炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCD192に表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。その後、減圧制御手段190は減圧ポンプ142の駆動を停止させ、且つ電磁弁143により経路を閉じて鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、一定時間が経過すると、減圧制御手段190は再び減圧ポンプ142を駆動させると共に、電磁弁143により経路を開放させて、鍋11内から空気を排出する。このような動作を繰り返すことで、減圧ポンプ142と電磁弁143が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
こうして、ひたし時には鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁65が第1調圧パッキン71に載置され、当該第1調圧パッキン71の調圧孔70を塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、ひたし時に密閉状態で鍋11内を減圧することができ、鍋11内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段178は実質的な炊飯動作を開始すると共に、減圧制御手段190による鍋11への減圧制御は中断し、減圧選択スイッチはオフになると共に、LCD192による減圧状態である旨の表示も停止する。併せて、減圧ポンプ142および電磁弁143は、その後の保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。
炊飯行程に移行すると、炊飯制御手段178は加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段178はソレノイド101をオフ状態にして、調圧弁65を調圧孔70から退避させる。これにより鍋11はほぼ大気圧に維持される。
なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ60からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ17と蓋温度センサ60とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段171は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ17または蓋温度センサ60が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段178は蓋ヒータ35による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ60の検知温度により管理される。そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段178による炊飯行程を終了し、保温制御手段179により保温行程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ60の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ35を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段179による保温に移行する。
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ35により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ18でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ17や蓋温度センサ60が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
前述したように、鍋11内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしが続けて行なわれるが、むらしの途中までは鍋11内を大気圧以上にするために、炊飯制御手段178は減圧手段141の作動を停止させつつ、調圧用ソレノイド101をオン状態にし、調圧孔70を調圧弁65で閉止する。これにより、炊飯加熱の継続中は、鍋11内と外部との連通が遮断され、鍋11内の圧力が上昇する。このとき、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ44とクランプ受け50との係合がロックされ、蓋体31を開けることはできない。
その後、鍋11内が所定の圧力に到達したことを検知すると、調圧用ソレノイド101がオン状態からオフ状態に切り換わるため、調圧操作部161が調圧弁65を押す方向に調圧フレーム152が移動し、調圧孔70が開放して鍋11内の圧力が大気圧に近づく。
むらしに移行すると、その後の保温開始直後に蓋体31が開けられることを考慮して、鍋11内を徐々に大気圧に戻す動作が行なわれる。そして保温制御手段179は、むらしの途中で調圧用ソレノイド101を先にオン状態からオフ状態に切り換えて、調圧弁65を調圧孔70から退避させ、調圧孔70を開放して鍋11内を大気圧に戻す。
実質的な炊飯であるむらしが終了して保温工程に移行した直後は、鍋11内が調圧孔70を通して外部と連通し、大気圧に維持される。それと共に、クランプ動作規制部163がクランプ44の基端部44Aの下方から離れた位置にあるので、蓋体31を自由に開閉することができる。
保温制御手段179は、炊飯行程が終了すると保温経過時間の計時を開始し、この保温経過時間が予め設定した時間に達すると、減圧制御手段190により鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ142や電磁弁143を再び作動制御する。それと共に、鍋11内を密閉状態にするために、調圧用ソレノイド101をオン状態にする。なお、こうした動作は、保温工程の所定時間後ではなく、保温工程で鍋11内が所定温度に到達したのを鍋温度センサ17が検出したときに、行なわれるようにしてもよい。
その後、減圧制御手段190は減圧ポンプ142の駆動を停止させ、且つ電磁弁143により経路を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、一定時間が経過すると、減圧制御手段190は再び減圧ポンプ142を駆動させると共に、電磁弁143により経路を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ142と電磁弁143が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
ところで本実施例では、前記第2ホルダー69に形成した調圧孔78の径と調圧弁65の自重との関係が、0.4kgf/cm2(1平方センチメートルあたり0.4kg重量の力が作用する圧力)となるように設定される。そうすることで、調圧弁65が調圧孔78を閉じたときに、鍋11内は1.4気圧(1気圧=1013ヘクトパスカル)までの炊飯を可能とする。つまり、ここでの調圧部58は、調圧弁65による単位面積あたりの荷重によって鍋11内の圧力を制御する構成を有しているといえる。
そして炊飯を開始して、所定の工程が始まると、前記プランジャー151が第2のフレーム位置に移動し、調圧弁65が調圧孔78を閉じる。この状態で加熱コイル16による鍋11への炊飯加熱を低減させ、蓋温度センサ60からの検出温度によって、鍋11の内圧が1.05気圧となるように加熱を行なう。1.4気圧下において沸点は110℃となることから、1.05気圧で炊飯を行っても蒸気は発生しない。このように、鍋11内を加圧状態として炊飯する場合には、沸点が100℃以上となることから、炊飯中に鍋11の内部温度が100℃となるように加熱制御を行なっても、鍋11内は沸点以下となることから蒸気の発生はない。したがって、調圧孔78を開放しない限り、器外への蒸気は発生しない。なお、鍋11の内圧は、蓋温度センサ60からの検出温度を加熱制御手段171が圧力に換算して検出することができる。
またここでは、所定の炊飯コースが選択された時にのみ、炊飯工程中に調圧部58による荷重の半分以下の荷重(0.2kgf/cm2以下)が鍋11内から働くように、加熱制御手段171が加熱コイル16を制御するのが好ましい。それにより、調圧弁65を閉状態に維持したまま炊飯加熱を低減させ、蒸気の発生を効果的に抑えることが可能になる。また、鍋11内からの荷重を必要に応じて減らすことにより、炊飯器としての補強構造を極小化することができ、製品サイズの小型化並びに部品点数の増加を抑制できる。
このように本実施例では、内釜としての鍋11と、鍋11を加熱する加熱手段としての加熱コイル16と、鍋11を覆う蓋体31とを設けた炊飯器において、蓋体31に設けられており、鍋11内から発生する蒸気を器外に排出する排出部としての蒸気口91と、この蒸気口91と回収手段である蒸気回収手段96とを連結する通路手段としての蒸気通路手段95を有し、蒸気通路手段95には、その蒸気通路手段95を通過する蒸気を冷却する第1冷却手段としての蒸気通路冷却手段97が設けられ、蒸気回収手段96には、その蒸気回収手段96で回収した蒸気を冷却する第2冷却手段としての蒸気回収手段冷却手段98が設けられ、蒸気通路手段95は蓋体31と着脱自在に構成され、蒸気回収手段96は蒸気通路手段95と着脱自在に構成され、蒸気の収容部である蒸気収容部99と、この蒸気収容部99に対し着脱自在な蒸気回収手段冷却手段98とを有している。
この場合、鍋11内から発生する蒸気は、蒸気口91から蒸気通路手段95を通過する際に蒸気通路冷却手段97で冷却され、さらに蒸気回収手段96に達すると別な蒸気回収手段冷却手段98で冷却されることになり、冷却用の水の準備を行わなくても、蒸気を確実に液化し回収させて、器外への蒸気排出を抑制でき、使い勝手が向上する。また、蒸気通路手段95や蒸気回収手段96はそれぞれ単独に取り外しが可能であり、また蒸気回収手段96の蒸気収容部99と蒸気回収手段冷却手段98もそれぞれ単独に取り外しできることから、蒸気が通過する経路でありながら、清掃性を向上させることができる。
また本実施例では、鍋11内などの圧力を調整する調整手段としての調圧部58を備え、この調圧部58は、弁体をなす調圧弁65と、この調圧弁65を載置して保持する保持手段としての第1調圧パッキン71を有し、所定の工程が開始したら調圧弁65を閉状態にするように構成され、第1調圧パッキン71はそれ自体が弾性部材として有している。
近年では、炊飯器の収納場所や使用環境の衛生保持のため、蒸気の少ない、或いは蒸気の出ない炊飯器が求められており、それに応えて蒸気の強制吸排気や専用の蒸気通路を設けようとすると、大掛かりな設計変更を余儀なくされる。しかし本実施例によれば、保持手段たる第1調圧パッキン71として弾性部材を使用することで、調圧弁65と第1調圧パッキン71との間のシール性が向上する。そのため、調圧弁65が閉状態である場合に、調圧部58を通しての蒸気リークを減らして、炊飯器の外部に蒸気が発生するのを低減でき、容易な組み立て方式であり、安価でコンパクトな構造でありながら、炊飯器としての性能を向上することができる。
また、ここでの調圧部58は、第1調圧パッキン71を保持するホルダーとしての第1ホルダー68および第2ホルダー69と、調圧弁65を覆うカバーとしての調圧弁カバー67を備え、この調圧弁カバー67は、第1ホルダーを貫通して第2ホルダー69の被係合部76に係合する爪67aを有している。
この場合、従来は炊飯時の調圧(加圧・減圧)を繰り返したり、鍋11内が減圧状態で長時間保温を繰り返したりすると、調圧部58の嵌め合せが緩み、調圧部58の密閉性が低下するおそれがあったが、本実施例では、第2ホルダー69が第1ホルダー68のみならず調圧弁カバー67にも係合することで、調圧部58としてより強固な係合構造を実現でき、例えば鍋11内を減圧させたときに、第2ホルダー69が鍋11の内側に引き込まれるのを防止して、調圧弁65と第1調圧パッキン71との間のシール性の低下を防ぐことができる。その結果、従来の問題を改善して、調圧部58の密閉性の維持に優れた炊飯器を提供できる。
また、本実施例における調圧部58は、調圧弁65による単位面積あたりの荷重で鍋11内の圧力を制御する構成を有し、所定の調理コースが選択された時にのみ、調理工程中に調圧部58による荷重の所定量(例えば半分)以下の荷重が鍋11内から働くように、加熱コイル16を制御する制御手段としての加熱制御手段171を備えている。
これにより、所定の調理コースが選択された時にのみ、鍋11内からの荷重が調圧部58による荷重の例えば半分以下となるように、加熱コイル16を制御して炊飯などの調理を行なうことから、調圧弁65を閉状態に維持したまま炊飯加熱を低減させ、蒸気の発生を効果的に抑えることが可能になる。また、鍋11内からの荷重を必要に応じて減らすことにより、炊飯器としての補強構造を極小化することができ、製品サイズの小型化並びに部品点数の増加を抑制できる。
次に、前記蒸気口ユニット61とは別に、蒸気を回収する収納ユニット201を蓋体31に配置した変形例について説明する。図18は、前記内蓋56を底面側から見た図である。また図19は、蓋体31に収納ユニット201を装着した状態を示している。収納ユニット201は、内蓋56に設けた第2の調圧部64の開放孔86に連通する構成となっており、下面を開口した容器状の収納本体202と、収納本体202の開口より外方に突出する第1接続部203と、収容本体202の胴部に形成した凹状の第2接続部204とを有する。そして、収納ユニット201の第1接続部203は調圧部64の安全弁カバー82に取り付けられ、また第2接続部204には弾性を有する環状のパッキン205が装着され、収納ユニット201が蒸気口ユニット61と同様に、蓋体31に対して着脱自在に設けられる。ここでは、鍋11内から発生する蒸気に多量のオネバ分が含まれており、それが開放孔86を通して収納ユニット201に流れ込むため、収納ユニット201が単体で簡単に清掃できるように、蓋体31から着脱できる構造にすることが望ましい。
収納ユニット201は、上下,左右の形状は問わないものの、分割可能な形状とする。その際、分割体の合わせ部には、シール用に前記パッキン205を設けることが好ましい。こうすることで、収納ユニット201の内部に至るまで、簡単に清掃を行なうことが可能になる。
この変形例では、前述した減圧手段141に代わって、鍋11内を大気圧以下にする吸引手段としてのポンプ211が蓋体31に設けられる。吸引手段としては、ここにあるポンプ式の代わりに、容器本体202内を往復動するピストン式を採用してもよい。開放孔86には鍋11内と収納ユニット201との連通を開閉自在とする調圧部64が設けられており、この調圧部64は弁体83により開放孔86を開閉することで、鍋11内と収納ユニット201との間の連通を開閉自在としている。また収納ユニット201は、前記開放孔86の接続位置とは別に、ポンプ211と接続されている。これにより、ポンプ211を駆動して収納ユニット201内を大気圧以下にすることが可能になる。また、弁体83により開放孔86を閉じることで、収納ユニット201内を大気圧以下に保持することができる。
図20は、本変形例における蒸気の流通を白抜きの矢印で示したものである。同図において、蓋体31に着脱自在に設けられる内蓋56には、前記調圧弁65や上記例では図示していない安全弁および逆止弁からなる第1連通開閉手段231と、電磁弁としての弁体83からなる第2連通開閉手段232が設けられており、第1連通開閉手段231が内蓋56に設けた第1蒸気通路孔としての連通孔62を開閉する一方で、第2連通開閉手段232が内蓋56に設けた第2蒸気通路孔としての連通孔63を開閉する構成となっている。また蓋体31の内部において、第1連通開閉手段231を通過した蒸気が蒸気口ユニット61を経由して外気に排出されるようになっており、また第2連通開閉手段232を通過した蒸気が収納ユニット201に回収される。収納ユニット201には真空ポンプ211が接続され、収納ユニット201内を真空(減圧)状態にするときにはポンプ211を駆動させて、収納ユニット201からポンプ211を通して蒸気を外気に排出し、収納ユニット201を非真空状態にするときには、収納ユニット201からポンプ211を経由させずにそのまま外気に排出する構成となっている。
上記構成において、弁体83を開放することによって、鍋11と収納ユニット201との間で圧力交換が行なわれ、鍋11内に対流が生じる。また、収納ユニット201内には鍋11から排出した蒸気が回収され、ポンプ211を動作させて収納ユニット201内を真空状態とすることにより、飽和水蒸気を液化させ、回収蒸気の小容量化を図ることが可能になる。一方、第1連通開閉手段231を通しての蒸気の流通は僅かである。
一方、収納ユニット201を持たない構造の炊飯器では、上述した減圧ポンプ142と電磁弁143との組み合わせにより、鍋11内を減圧状態にすることができるが、ここでの蒸気の流通はない。鍋11内で発生した蒸気は、第1連通開閉手段231が連通孔62を閉塞することで、鍋11から第1連通開閉手段231の間で溜め込まれ、そこには加圧状態において外部との圧力交換がない閉じた系が形成される。このとき鍋11内の水面は5〜20kPa(0.05〜0.2kgf/cm2)で押されており、鍋11内に対流は生じない。なお、蒸気口ユニット61からは、前記閉じた系で溜めきれない蒸気(約10g)が外気へ排出される。
このように本変形例では、内釜である鍋11の内外を連通する第1連通孔としての調圧孔78と、第2連通孔としての開放孔86をそれぞれ備え、調圧孔78を開閉する調圧弁65と、開放孔86を開閉する開閉弁としての弁体83とを備え、調圧孔78を通過した蒸気を排出部である蒸気口91により器外に排出すると共に、開放孔86を通過した蒸気を収納ユニット201に収納する構成とし、収納ユニット201は複数の部材に分解可能で、蓋体31に対し着脱自在に設けられている。
この場合、少なくとも2個以上の調圧孔78および開放孔86を設けることで、調圧弁65により調圧孔78を開閉させるのとは別に、弁体83により開放孔86を開閉させて、器外への蒸気排出の有無を調圧弁と開閉弁で切り替えることが可能になる。そのため、鍋11内を加圧状態にして沸点を上げ、調圧孔78および開放孔86を閉塞させることで、器外への蒸気排出を低減させることができる。また弁体83の開放時に、鍋11と収納ユニット201との間で圧力交換を行ない、鍋11内から排出した蒸気を収納ユニット201に回収することで、器外への蒸気排出を低減したまま、鍋11内で対流を起こしてご飯の食味を向上させることができ、使用性を改善した炊飯器を提供できる。さらに、鍋11内から発生する蒸気には多量のオネバ分が含まれているが、収納ユニット201を蓋体31から取り外して、その収納ユニット201自体を複数の部材に分解することができるので、収納ユニット201内部を簡単に清掃でき、その清掃性も向上する。
また、ここでの調圧部58は、調圧弁65の自重と調圧孔78の開口面積比で、調圧孔78を開閉する構成を有し、弁体83が調圧弁65よりも前に開状態となるように構成されている。
この場合、調圧弁65よりも前に、弁体83が開放孔86を開放して収納ユニット201に蒸気を排出するため、調圧孔78から蒸気口91を通して排出される蒸気量を極小化することができる。また、何らかの原因で開放孔86が塞がった場合でも、調圧孔78で鍋11内を一定圧力に調整でき、炊飯器としての安全性を向上することができる。
さらに本変形例では、収納ユニット201内を大気圧以下にする吸引手段として、ポンプ211を備えている。それにより、ポンプ211によって収納ユニット201内を大気圧以下に減圧させることで、回収した蒸気を液化させて、収納ユニット201ひいては炊飯器の小容量化を図ることが可能になる。
また本変形例では、弁体83が開状態となる前に、ポンプ211を駆動させる構成を有しており、鍋11内の蒸気が収納ユニット201に流れ込む際に、予め収納ユニット201内が大気圧以下の状態にあるため、収納ユニット201ひいては炊飯器の容量をより小型にすることができる。
その他、上記実施例や変形例に適用される提案例を、図21に基づき説明する。本図では、従来制御とここで提案する制御のそれぞれについて、鍋温度センサ17の検出温度と、鍋11に対する加熱制御と、鍋11の内圧の時間推移が示されている。
本提案例において、ひたしから炊き上げまでの各工程は、前記実施例で説明した通りの制御が加熱制御手段171により行なわれる。異なるのは、炊き上げ後のむらしで、この工程では、鍋11への加熱量を前工程よりも低減させ、鍋11への加熱を行ないように、加熱制御手段171が加熱コイル16などを制御する。その結果、むらし工程中は鍋11内の圧力が時間の経過と共に一方的に低下して、大気圧以上になることが少なくなり、炊飯器としての安全性がより向上する。また、鍋11への加熱量を低減させることで、省エネルギーにもなる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。