JP2011239686A - ペプチド及びペプチド誘導体の製造方法 - Google Patents

ペプチド及びペプチド誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ペプチド又はその誘導体どうしをペプチド結合で連結させることができる酵素合成法を開発すること。
【解決手段】本発明は、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体の合成方法を提供する。本発明の合成方法は、(1)アミノ酸と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、これらの誘導体とからなるグループから選択される第1の基質と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、その誘導体とからなるグループから選択される第2の基質と、アミノアシルtRNAシンセターゼとを含む反応混合液を用意するステップと、(2)前記反応混合液をインキュベーションするステップとを含む。本発明は、前記アミノアシルtRNAシンセターゼを含む触媒組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペプチド又はその誘導体の合成方法と、該方法に用いられる触媒組成物とに関し、具体的には、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体の合成方法と、該方法に用いられるアミノアシルtRNAシンセターゼを含む触媒組成物とに関する。
酵素反応は反応特異性が高いので、有害な異性体の生成を回避することができる。そこで、医薬品や機能性食品の分野で有用なペプチド及びペプチド誘導体の製造に利用できる酵素の開発が進められている。
酵素を用いるペプチド製造方法としては、プロテアーゼやペプチダーゼの逆反応を利用する方法や、エステラーゼを用いる方法が知られている(非特許文献1及び2)。本発明の発明者らは、最近、L−アミノ酸α−リガーゼを用いる画期的な酵素合成法を開示した(特許文献1ないし3)。今堀らは、アミノアシルtRNAシンセターゼを用いて、アミノ酸又はアミノ酸誘導体を連結して、2個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体を合成する方法を開示した(特許文献4ないし6)。しかし、これらはアミノ酸又はペプチドにアミノ酸を連結させることができるが、ペプチドどうしを連結させるものではない。
M.Bergmannら、J.Bio.Chem.,119,707(1937) K.Yokozekiら、J.Biotechnol.,115,211(2005)
国際公開第WO2006/101023号公報 国際公開第WO2008/038613号公報 国際公開第WO2009/028253号公報 特開昭58−146539号公報 特開昭59−106298号公報 特開昭62−228296号公報
そこで、ペプチド又はその誘導体どうしをペプチド結合で連結させることができる酵素合成法を開発する必要がある。
本発明は、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体の合成方法を提供する。本発明の合成方法は、(1)アミノ酸と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、これらの誘導体とからなるグループから選択される第1の基質と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、その誘導体とからなるグループから選択される第2の基質と、アミノアシルtRNAシンセターゼとを含む反応混合液を用意するステップと、(2)前記反応混合液をインキュベーションするステップとを含む。
本発明の合成方法において、第1の基質のアミノ酸か、ペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸かは、前記アミノアシルtRNAシンセターゼがtRNAと連結するアミノ酸と同じ場合がある。
本発明の合成方法において、前記アミノアシルtRNAシンセターゼは、
(a)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにエンコードされるタンパク質と、(b)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに1個若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加されたヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(c)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(d)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と、(e)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(f)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(g)特異的結合タグペプチドが前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質に連結した融合タンパク質と、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質とからなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質を含む場合がある。
本発明は触媒組成物を提供する。本発明の触媒組成物は、アミノ酸と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、これらの誘導体とからなるグループから選択される第1の基質と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、その誘導体とからなるグループから選択される第2の基質との間でペプチド結合を形成させて、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体を合成するための触媒組成物であって、アミノアシルtRNAシンセターゼを含む。
本発明の触媒組成物において、第1の基質のアミノ酸か、ペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸かは、前記アミノアシルtRNAシンセターゼがtRNAと連結するアミノ酸と同じ場合がある。
本発明の触媒組成物において、前記アミノアシルtRNAシンセターゼは、
(a)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにエンコードされるタンパク質と、(b)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに1個若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加されたヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(c)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(d)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と、(e)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(f)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(g)特異的結合タグペプチドが前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質に連結した融合タンパク質と、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質とからなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質を含む場合がある。
本明細書において「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合で連結した化合物である。アミノ酸又はペプチドが、メチル基を含むアルキル基、リン酸基、糖鎖、及び/又は、エステル結合その他の共有結合による修飾を含む場合には、それぞれ、アミノ酸又はペプチドの誘導体という。
本発明のタンパク質、すなわち、アミノアシルtRNAシンセターゼは、金属イオン、補酵素、アロステリックリガンドその他の原子、イオン、原子団か、他のタンパク質か、糖、脂質、核酸等の生体高分子か、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニル、ポリエステルその他の合成高分子かを共有結合又は非共有結合により結合又は会合している場合がある。また、本発明のタンパク質、すなわち、アミノアシルtRNAシンセターゼは、水に不溶性のポリマーその他の固体支持体に不動化される場合がある。
本明細書でアミノ酸を表す場合、アスパラギン、グルタミン等の化合物名で表す場合と、Asn、Gln等の慣用の3文字表記で表す場合とがある。化合物名で表す場合には、アミノ酸のα炭素に関する立体配置を示す接頭辞(又はD−)を用いて表す。慣用の3文字表記で表す場合には、該3文字表記は特に断りのない限りL体のアミノ酸を表す。本明細書において、アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基とが少なくとも1個の炭素原子を介して結合した化合物であって、ペプチド結合により重合することが可能ないずれかの化合物を指す。本明細書におけるアミノ酸は、グリシン、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシンからなる20種類のアミノ酸(以下、「リボソームタンパク質合成反応の基質となる20種類のアミノ酸の単体」という。)と、これらの立体異性体であるD−アミノ酸とを含むが、これらに限定されない、いずれかの天然又は非天然のアミノ酸を含む場合がある。
本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列をエンコードするヌクレオチド配列からなるDNAを、無生物発現系か、宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系かで発現させることにより産生される。前記宿主生物は、大腸菌、枯草菌等のような原核生物と、酵母、菌類、植物、動物等のような真核生物とを含む。本発明の宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系は、細胞や組織のような生物の一部か、生物の個体全体かの場合がある。本発明の酵素タンパク質は、活性を有することを条件として、無生物発現系又は宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系の他の成分が混在する状態で、本発明のペプチド又はその誘導体の合成方法に使用される場合がある。本発明の酵素タンパク質を前記宿主生物及び発現ベクターを使用する発現系で発現させる場合には、前記タンパク質を発現する宿主生物、例えば本発明の形質転換体が生きた状態で本発明の製造に用いられる場合がある。このとき、本発明のペプチド又はその誘導体の合成は、休止菌体反応系や発酵法によって行うことができる。あるいは、前記タンパク質は、精製された状態で本発明のペプチド又はその誘導体の合成方法に使用されてもよい。
配列番号1のヌクレオチド酸配列と、配列番号2のアミノ酸配列とは、それぞれ、ストレプトミセス・アヴェルミチリス菌(Streptomyces avermitilis)MA−4680株のValS遺伝子のヌクレオチド配列と、カルボキシル末端にヒスチジンタグペプチドが連結した融合タンパク質として発現される発現ベクターのインサートのヌクレオチド配列とである。配列番号3及び4に列挙されるヌクレオチド配列は、それぞれストレプトミセス・アヴェルミチリス菌MA−4680株からValS遺伝子をPCR法で増幅するための順方向及び逆方向プライマーである。配列番号5は、配列番号1のヌクレオチドにエンコードされるタンパク質のアミノ酸配列で、GenBankアクセッション番号BAC73163として登録されている。配列番号6は、本発明のタンパク質のカルボキシル末端にヒスチジンタグが連結された融合タンパク質のアミノ酸配列である。
本明細書においてヌクレオチド配列の相同性は、本発明のヌクレオチド配列と、比較対象のヌクレオチド配列との間でヌクレオチド配列が一致する部分が最も多くなるように整列させて、ヌクレオチド配列が一致する部分のヌクレオチドの数を本発明のヌクレオチド配列のヌクレオチドの総数で割った商の百分率で表される。同様に、本明細書においてアミノ酸配列の相同性は、本発明のアミノ酸配列と、比較対象のアミノ酸配列との間で配列が一致するアミノ酸残基の数が最も多くなるように整列させて、配列が一致するアミノ酸残基の数の合計を本発明のアミノ酸配列のアミノ酸残基の総数で割った商の百分率で表される。本発明のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の相同性は、当業者に周知の配列整列プログラムCLUSTALWを使用することにより算出することができる。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、Sambrook、J.及びRussell、D.W.、Molecular Cloning A Laboratory Manual 3rd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に説明されるサザンブロット法で以下の実験条件で行うことを指す。比較対象のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドはアガロース電気泳動によりバンドを形成させた上で毛管現象又は電気泳動によりニトロセルロースフィルターその他の固相に不動化される。6×SSC及び0.2%SDSからなる溶液で前洗浄される。本発明のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを放射性同位元素その他の標識物質で標識したプローブと前記固相に不動化された比較対象のポリヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーション反応は6×SSC及び0.2%SDSからなる溶液中で65°C、終夜行われる。その後前記固相は1×SSC及び0.1%SDSからなる溶液中で65°C、各30分ずつ2回洗浄され、0.2×SSC及び0.1%SDSからなる溶液中で65°C、各30分ずつ2回洗浄される。最後に前記固相に残存するプローブの量が前記標識物質の定量により決定される。本明細書において「ストリンジェントな条件」でハイブリダイゼーションをするとは、比較対象のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを不動化した固相に残存するプローブの量が、本発明のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを不動化した陽性対照実験の固相に残存するプローブの量の少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%以上であることを指す。
本発明のタンパク質は、ストレプトミセス・アヴェルミチリス菌MA−4680株のValSの遺伝子産物であって、(a)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにエンコードされるタンパク質と、(b)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに1個若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加されたヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(c)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(d)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と、(e)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(f)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、(g)特異的結合タグペプチドが前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質に連結した融合タンパク質と、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質とからなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質を含む。
本発明の融合タンパク質は、特異的結合タグペプチドが前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質のアミノ末端又はカルボキシル末端に連結したものである。
本発明の特異的結合タグペプチドは、前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質を調製する際に、発現したタンパク質の検出、分離又は精製をより容易に行うことを可能にするために、他のタンパク質、多糖類、糖脂質、核酸及びこれらの誘導体、樹脂等と特異的に結合するポリペプチドである。特異的結合タグと結合するリガンドは、水溶液中に溶解した遊離状態の場合も固体支持体に不動化される場合もある。そこで、本発明の融合タンパク質は固体支持体に不動化されたリガンドに特異的に結合するため、発現系の他の成分を洗浄除去することができる。その後、遊離状態のリガンドを添加したり、pH、イオン強度その他の条件を変えることにより、固体支持体から前記融合タンパク質を分離して回収することができる。本発明の特異的結合タグは、Hisタグ、mycタグ、HAタグ、インテインタグ、MBP、GSTその他これらに類するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。本発明の特異的結合タグは、融合タンパク質が、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を保持することを条件としていかなるアミノ酸配列を有してもかまわない。
本発明のタンパク質の第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性は、アミノ酸と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、これらの誘導体とからなるグループから選択される第1の基質と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、その誘導体とからなるグループから選択される第2の基質と、本発明のタンパク質と、ATP、適当な2価イオン及び緩衝液とを含む反応混合液をインキュベーションすることにより生成した反応産物を定量することにより評価される場合がある。第1の基質と第2の基質との両方が少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドの場合もある。したがって、第1及び第2の基質は、ペプチド結合形成に影響がないことを条件として、メトキシ基のような官能基、ビオチンその他の特異的結合パートナーや、蛍光その他の発色団、X線その他の電磁放射線の透過特性に特徴のある原子団、ESR等の生物物理学的な測定用のプローブ原子団等によって修飾されていてもかまわないし、ガラス、ラテックス、シリコン、プラスチック等の固体や、糖鎖その他のポリマーに共有結合によって連結されていてもかまわない。メトキシ基のような官能基、ビオチンその他の特異的結合パートナーや、蛍光その他の発色団、X線その他の電磁放射線の透過特性に特徴のある原子団、ESR等の生物物理学的な測定用のプローブ原子団等による修飾は、本発明のタンパク質の第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を完全に阻害しないことを条件として、アミノ酸のいずれの原子に結合するものであってもかまわない。
本発明の合成方法で生成されたペプチド又はその誘導体の解析は、LC−ESI−MS、HPLC等のような当業者に周知の分析機器の使用により実施される場合がある。
本発明の合成方法においては、本発明の組成物に加えて、pH調整のための緩衝液成分を含む反応混合液を用いて実施される場合がある。好ましくは前記緩衝液成分としてTris−HClが使用され、pHは8.0〜9.0に調整される場合がある。
本発明の合成方法のステップ(2)において反応混合液が所定の反応時間及び反応温度でインキュベーションされる。本発明の合成方法において、本発明の組成物、基質及び/又はATPの反応液中における濃度、反応液量、反応時間、反応温度、pHその他の反応条件は、ペプチド又はペプチド誘導体の目標とする製造量及び収率と、製造に要する時間、費用、設備等と、その他の条件との関係で当業者により決定される場合がある。
本発明の製造方法で取得されるペプチド又はペプチド誘導体は、遠心分離、カラムクロマトグラフィー、凍結乾燥等のような当業者に周知の操作の組合せにより回収される場合がある。また、本発明の製造方法で取得されるペプチド又はペプチド誘導体は、LC−ESI−MS、MALDI−ROF−MS、NMR、HPLC等のような当業者に周知の分析技術を使用して、重合度、構造等を評価される場合がある。
本明細書において「組換えベクター」とは、本発明のタンパク質を宿主生物において発現させるために使用される、前記タンパク質をエンコードするポリヌクレオチドが組み込まれたベクターである。
本明細書において「ベクター」とは、本発明のタンパク質をエンコードするポリヌクレオチドを組み込み宿主生物へ導入することにより、本発明のタンパク質を該宿主生物において複製及び発現させるために用いられる遺伝因子であり、プラスミド、ウイルス、ファージ、コスミド等を含むがこれらに限定されない。好ましくは、前記ベクターはプラスミドの場合がある。さらに好ましくは、前記ベクターは、pET−21a(+)プラスミドの場合がある。
本発明の組換えベクターは、制限酵素、DNA連結酵素等を使用する当業者に周知の遺伝子工学手法を用いて本発明のタンパク質をエンコードするポリヌクレオチドといずれかのベクターとを連結することにより作製される場合がある。
本明細書において「形質転換体」とは、本発明のタンパク質をエンコードするポリヌクレオチドが組み込まれた組換えベクターが導入され、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を発現することができるようになった生物である。
本明細書において「宿主生物」とは、形質転換体の作製において、本発明のタンパク質をエンコードするポリヌクレオチドが組み込まれた組換えベクターが導入される生物である。前記宿主生物は、大腸菌、枯草菌等のような原核生物と、酵母、菌類、植物、動物等のような真核生物とを含む。前記宿主生物は大腸菌の場合がある。
本発明の形質転換体は、本発明の組換えベクターをいずれかの適切な宿主生物に導入することにより作製される。組換えベクターの導入は、電気刺激で細胞膜に空隙を作るエレクトロポレーション法、カルシウムイオン処理と併せて行うヒートショック法等を含む当業者に周知のさまざまな手法により実施される場合がある。
Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物の質量範囲440−450m/zでのイオン交換クロマトグラフィの溶出パターンの波形図。 Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物のイオン交換クロマトグラフィの溶出時間6.96分の質量分析結果を示すスペクトル図。 1.25mMのAsp−Valと、1.25mMの(Asp−Val)とを含む標準サンプル(実線)と、Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物(破線)とをHPLC分析した結果のクロマトグラム。
以下の実施例によって本発明について詳細な説明を行なうが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
ValS遺伝子のクローニング、発現及びタンパク質精製
ストレプトミセス・アヴェルミチリス菌(Streptomyces avermitilis)MA−4680株は独立行政法人製品評価技術基盤機構のNBRC(NITE Biological Resource Center)から購入され、NBRC No.707培地を用いて、30°C、150rpmで2日間培養された。前記菌体から染色体DNAが常法により抽出された。順方向及び逆方向プライマー(配列番号3及び4)を用いて、ストレプトミセス・アヴェルミチリス菌のバリルtRNAシンセターゼ(ValS)のオープン・リーディング・フレーム部分が増幅された。ValSのオープン・リーディング・フレーム部分の染色体DNAのヌクレオチド配列が配列番号1に列挙される。PCR反応の温度条件は、94°C、4分間を1回、94°C、30秒間及び68°C、3分間を30回繰り返し、最後に68°C、4分間であった。
前記PCR反応の増幅産物は、順方向プライマー中のNdeIと、逆方向プライマー中のEcoRIとで切断され、pET−21a(+)ベクターに連結された。こうして、ValSのカルボキシル末端にヒスチジンタグペプチドが連結した融合タンパク質を大腸菌で発現するプラスミドコンストラクトpETValSが作成された。配列番号5は、配列番号1のヌクレオチド配列からなるValSの染色体DNAにエンコードされるValSのアミノ酸配列である。配列番号6は、配列番号2のヌクレオチド配列からなるValSとヒスチジンタグとの融合タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号5及び6のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸は異なるが、これは、PCR反応の順方向プライマーにNdeI切断部位を導入したために、染色体DNAのヌクレオチド配列と、ベクターに組み込まれたValSのヌクレオチド配列とがヌクレオチド1個だけ違うからである。
発現コンストラクトpETValSが形質転換された大腸菌BL21(DE3)のコロニーは、50μg/mLのアンピシリンが添加されたLB寒天培地で選択された。単一コロニー由来の大腸菌は50μg/mLのアンピシリンが添加されたLB液体培地3mL中で、30°C、終夜、120rpmの旋回培養により前培養され、その1mLが100mLのアンピシリン添加LB液体培地に接種されて、さらに37°C、2時間、120rpmの旋回培養が行われた後、IPTG(イソプロピルチオ−β−D−チオガラクトピラノシド)が最終濃度10μMとなるように添加され、25°C、終夜旋回培養された。
IPTG誘導された大腸菌からのValSタンパク質の精製は常法に従って行われた。簡潔に述べると、前記大腸菌の菌体は結合バッファー(50mM Tris−HCl(pH8.0)、500mM NaCl及び20mM イミダゾール)に懸濁され、懸濁液が調製された。前記懸濁液は酵素処理及び超音波処理が施され、HisTrap HP 1mLカラム(GE Healthcare)に適用された。その後、溶出バッファー(50mM Tris−HCl(pH8.0)、500mM NaCl及び500mM イミダゾール)を用いて溶出された。溶出された分画は、脱塩カラムPD−10(GE Healthcare)を用いて脱塩処理が施された後、分注された(以下、「精製酵素標品」という。)。精製酵素標品は、−80°Cにて凍結保存された。
ValSによるペプチド合成反応の基質特異性の検討
(1)合成反応条件
前記精製酵素標品のペプチド合成反応には、第1及び第2の基質それぞれ20mMと、30mMのMgSOと、30mMのATPと、前記精製酵素標品0.1mg/mLと、50mMのTris−HCl(pH8.0)とからなる反応混合液500μLが30°Cでインキュベーションされた。
2)LC−ESI−MS分析条件
前記反応混合液は、孔径0.45μmのフィルター(Millex−LG、ミリポア)で濾過された後、5μLがLC−ESI−MS装置に適用された。前記LC−ESI−MS装置は、Inertsil ODS−3(GLサイエンス)カラムが装着された、Finnigan LCQ DECA XP MAX(Thermo Electron社)が用いられた。前記カラムは35°Cに保温された。溶離液として、50mMギ酸(A液)及びアセトニトリル(B液)が用いられた。溶出条件は、常に毎分1mLの流速で、最初2分間はA液のみ、その後7分間かけてA液100%からB液100%へと移行され、その後6分間はB液のみで溶出された。その後0.1分間でB液100%からA液100%へと移行され、5分間A液のみで溶出された。
(3)HPLC分析条件
前記反応反応混合液中の反応産物は、FDAA(N−(2,4−ジニトロ−5−フルオロフェニル)L−アラニンアミド)で誘導体化された。すなわち、前記濾過後の反応混合液100μLに、0.5%FDAAのアセトン溶液50μLと、0.5MのNaHCO40μLとが混合され、40°C、60分間静置して誘導体化反応が行われた。その後1NHCl40μLが添加されて反応が停止され、メタノール770μLで希釈された後、孔径0.20μmのフィルター(DISMIC−13HP、ADVANTEC)で濾過されてから、10μLがHPLC装置に適用された。前記HPLC装置は、WHC−18Aカラムが装着された、HITACHI L−7000シリーズ(日立)が用いられた。溶離液としては、A液(アセトニトリル100mL、メタノール100mL、50mMKHPO(pH2.7);残余:総量2000mL)と、B液(アセトニトリル700mL、メタノール100mL、50mMKHPO(pH2.7);残余:総量2000mL)と、C液(アセトニトリル600mL、テトラヒドロフラン200mL、水;残余:総量1000mL)が調製された。溶出条件は、最初24分間は、A液100%から、A液55%B液45%へと移行され、その後同じ組成で6分間溶出され、20分間でA液55%B液45%からB液100%に移行された。その後5分間でB液100%からC液100%へ移行された。そして、2分間C液100%で溶出された後、0.1分間でC液100%からA液100%へと移行され、18分間A液のみで溶出された。HPLCの分析結果は誘導体化された反応産物の蛍光が340nmで検出された。
(4)結果
以下の表1に、少なくとも一方の基質はアミノ酸で、もう一方の基質は、アミノ酸か、アミノ酸誘導体か、ジペプチドかの場合についてのValSによるペプチド合成反応産物のLC−MS分析の結果が要約された。ここでAla−NH及びPro−NHは、それぞれアラニン及びプロリンのカルボキシル基がアミノ基の置換された誘導体を表す。
Figure 2011239686
表1において、アミノ酸が「−(ハイフン)」で連結されているジペプチド及びトリペプチドは、左側から右側への記載の順番で連結されていることを示す。アミノ酸が「+(プラス)」で連結されているジペプチド及びトリペプチドは、連結の順番が特定されていないことを示す。例えば、Val+Pro−Proは、Val−Pro−Proか、Pro−Pro−Valかであることを示す。また、Val×3はValのトリペプチドを、Val×4はValのテトラペプチドを示す。「検出されず」とは、基質が結合した化合物を検出できなかったことをいう。
表1から明らかなとおり、前記精製酵素標品は、アラニン又はバリンを基質として含む反応混合液では、アラニン又はバリンをアミノ末端とするペプチドを合成することができた。ここでバリンだけが基質の場合には、バリン2個からなるジペプチドは形成されたが、3個以上のバリンからなるペプチドは検出されなかった。アラニンと、アラニン又はバリンとのペプチド結合は検出されなかった。アラニン及びチロシンが基質に用いられた場合には、アラニンのカルボキシル基とチロシンのアミノ基との間でペプチド結合が形成された。また、バリン及びチロシンが基質に用いられた場合には、アラニンとチロシンとの間でペプチド結合が形成された。しかし、前記ペプチド結合において、バリンのカルボキシル基とチロシンのアミノ基との間か、チロシンのカルボキシル基とバリンのアミノ基との間かは特定することができなかった。Ala−NH及びPro−NHは、いずれもアラニン又はバリンのカルボキシル基との間でペプチド結合が形成された。アラニン又はバリンと、ジペプチドとの組み合わせでは、該ジペプチドはアラニン又はバリンのカルボキシル基との間でペプチド結合が形成された。ただし、バリンと、バリン2個のジペプチド(Val−Val)とを基質とする反応では、バリン3個のトリペプチドと、バリン4個のテトラペプチドとが形成された。また、アラニン又はバリンと、プロリン2個のジペプチドとが基質に用いられた場合には、アラニン又はバリンと、プロリン2個のジペプチドとの間でペプチド結合が形成された。しかし、前記ペプチド結合において、アラニン又はバリンのカルボキシル基と、プロリン2個のジペプチドのアミノ基との間か、プロリン2個のジペプチドのカルボキシル基と、アラニン又はバリンのアミノ基との間かは特定することができなかった。今回の酵素標品ValSは、バリンに対応するtRNAをバリンでアミノアシル化する活性がある。そこで、ペプチド結合反応においても、カルボキシル末端がバリンとなるペプチドについてはValSが基質として認識すると考えられる。
そこで、カルボキシル末端がバリンとなるジペプチドとして、Val−Valと、Asp−Valと、Asn−Valとが用意された。その実験の結果が図1ないし3と、以下の表2とに示される。
Figure 2011239686
表2において、Val×4はValのテトラペプチドを示す。(Asp−Val)は、ジペプチドのアスパラギニルバリン2分子がペプチド結合で連結したテトラペプチドを示す。「検出されず」とは、基質が結合した化合物を検出できなかったことをいう。
図1は、Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物の質量範囲440−450m/zでのイオン交換クロマトグラフィの溶出パターンの波形図である。図2は、Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物のイオン交換クロマトグラフィの溶出時間6.96分の質量分析結果を示すスペクトル図である。図3は、1.25mMのAsp−Valと、1.25mMの(Asp−Val)とを含む標準サンプル(実線)と、Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物(破線)とをHPLC分析した結果のクロマトグラムである。
図1及び2から明らかなとおり、Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物は、イオン交換クロマトグラフィでは溶出時間6.96分に主要なピークが検出され、その質量は447.2であった。これは、(Asp−Val)にプロトン付加した分子量の理論値447.4に非常に近い。また、図3から明らかなとおり、Asp−Valのみを基質として含む反応混合液の反応産物はほとんどが基質のAsp−Valのままであったが、(Asp−Val)に対応する溶出時間にピークが認められた。ピークの面積と標準サンプルの量とから、本実施例の実験では、40mMのAsp−Valを基質として20時間の反応で生成されたテトラペプチド(Asp−Val)は31.2μMであった。
表2から明らかなとおり、Asp−Valと同様に、Val−Valについても1個のジペプチド分子がペプチド結合で連結したテトラペプチドが生成された。しかし、Asn−Valについてはテトラペプチドは検出されなかった。
以上の結果から、ValSは、バリン及びアラニンと、バリンをカルボキシル末端に含むジペプチドの一部とをカルボキシル基側の基質として認識し、また、一部のアミノ酸誘導体と、ジペプチドとをアミノ基側の基質として認識して、縮重合によるペプチド結合を形成する反応を触媒することが証明された。ValSは、バリンに対応するtRNAをバリンでアミノアシル化する活性がある。そこで、ペプチド結合反応においても、バリンは基質として優占的にValSに認識されるので、バリン単体だけでなく、カルボキシル末端がバリンとなるペプチドについてもValSは基質として認識してペプチド結合反応を行うと考えられる。
今堀らによって開示されたとおり、さまざまなアミノアシルtRNAシンセターゼには、アミノ酸又はアミノ酸誘導体を基質としてペプチド又はペプチド誘導体を合成する活性がある。したがって、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体を合成する本発明の活性も、ValSだけでなく、他のさまざまなアミノアシルtRNAシンセターゼに共通して認められると考えられる。

Claims (6)

  1. (1)アミノ酸と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、これらの誘導体とからなるグループから選択される第1の基質と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、その誘導体とからなるグループから選択される第2の基質と、アミノアシルtRNAシンセターゼとを含む反応混合液を用意するステップと、
    (2)前記反応混合液をインキュベーションするステップとを含むことを特徴とする、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体の合成方法。
  2. 第1の基質のアミノ酸か、ペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸かは、前記アミノアシルtRNAシンセターゼがtRNAと連結するアミノ酸と同じであることを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
  3. 前記アミノアシルtRNAシンセターゼは、
    (a)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにエンコードされるタンパク質と、
    (b)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに1個若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加されたヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (c)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (d)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と、
    (e)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (f)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (g)特異的結合タグペプチドが前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質に連結した融合タンパク質と、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質とからなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の合成方法。
  4. アミノ酸と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、これらの誘導体とからなるグループから選択される第1の基質と、少なくとも2個のアミノ酸からなるペプチドと、その誘導体とからなるグループから選択される第2の基質との間でペプチド結合を形成させて、少なくとも3個のアミノ酸からなるペプチド又はその誘導体を合成するための触媒組成物であって、アミノアシルtRNAシンセターゼを含むことを特徴とする、触媒組成物。
  5. 第1の基質のアミノ酸か、ペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸かは、前記アミノアシルtRNAシンセターゼがtRNAと連結するアミノ酸と同じであることを特徴とする、請求項4に記載の触媒組成物。
  6. 前記アミノアシルtRNAシンセターゼは、
    (a)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにエンコードされるタンパク質と、
    (b)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドに1個若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加されたヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (c)配列番号1のヌクレオチド配列のうち第4番目から最後までのヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を示すヌクレオチド配列にエンコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (d)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と、
    (e)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (f)配列番号5のアミノ酸配列のうち第2番目から最後までのアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列からなり、かつ、第1の基質と第2の基質との間でペプチド結合を形成させる活性を有するタンパク質と、
    (g)特異的結合タグペプチドが前記(a)ないし(f)のいずれかのタンパク質に連結した融合タンパク質と、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質とからなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の触媒組成物。
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