JP2011239604A - 高分子アクチュエータ素子の製造方法 - Google Patents

高分子アクチュエータ素子の製造方法 Download PDF

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順彦 佐々木
Isao Takahashi
高橋  功
Masafumi Okuyama
昌文 奥山
Satoshi Mitani
諭 三谷
Takuji Sugino
卓司 杉野
Kinshi Azumi
欣志 安積
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Abstract

【課題】 高アスペクト比のカーボンナノチューブを硝酸処理して分散性を向上させ、硝酸処理されたカーボンナノチューブを電極層に用いて特性を向上させた高分子アクチュエータ素子の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 イオン液体及びベースポリマーを有する電解質層の厚さ方向の両面に、イオン液体とカーボンナノチューブとを有する電極層を形成し、電極層間に電圧を付与すると変形する高分子アクチュエータ素子の製造方法において、アスペクト比が104以上のカーボンナノチューブを硝酸に混合して硝酸処理液を作製し、硝酸処理液の温度を40℃〜70℃の範囲に設定するとともに、硝酸処理液に対し超音波の印加及び攪拌を行う工程、硝酸処理されたカーボンナノチューブとイオン液体とを含有して成る電極層を電解質層の両面に形成する工程、を有することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、硝酸処理されたカーボンナノチューブとイオン液体とを有する電極層を備えた高分子アクチュエータ素子の製造方法に関する。
下記特許文献1にはアスペクト比が104以上の非常にアスペクト比が大きいカーボンナノチューブ(以下、高アスペクト比のカーボンナノチューブと称する)を用いた導電性薄膜等に関する発明が開示されている。
このように、高アスペクト比のカーボンナノチューブは、電気伝導性に優れ、イオン液体を有する高分子アクチュエータ素子の電極層に好ましく使用することができる。そして特許文献1に記載されているように、ベースポリマーを含むことなく、イオン液体とカーボンナノチューブとでシート状の導電膜を形成できるとしている。
特開2009−33944公報
アクチュエータ特性の更なる向上を図るべく、例えば、電極層に含まれる高アスペクト比のカーボンナノチューブの添加量を多くすると、高アスペクト比のカーボンナノチューブが、電極層間に挟まれたイオン液体とベースポリマーを有する電解質層(イオン伝導層)を突き抜けて上下電極層間をショートさせる恐れがあった。
また、カーボンナノチューブの分散性が低下した状態では、アクチュエータ特性の更なる向上を図ることができず、また、電極層表面に凹凸が形成されたり、電極層にクラックが生じる問題があった。
このため、アクチュエータ特性をより効果的に向上させるためには、カーボンナノチューブの分散性を向上させることが重要であった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、特に、高アスペクト比のカーボンナノチューブを硝酸処理して分散性を向上させ、硝酸処理されたカーボンナノチューブを電極層に用いてアクチュエータ特性を向上させた高分子アクチュエータ素子の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、イオン液体及びベースポリマーを含む電解質層と、前記電解質層の厚さ方向の両面に配置される少なくともイオン液体及びカーボンナノチューブを含む電極層とを有し、前記電極層間に電圧を付与すると変形する高分子アクチュエータ素子の製造方法において、前記電極層を以下の工程にて形成することを特徴するものである。
アスペクト比が104以上のカーボンナノチューブを硝酸(水溶液)に混合した硝酸処理液を作製し、前記硝酸処理液の温度を40℃〜70℃の範囲に設定するとともに、前記硝酸処理液に対し超音波の印加及び攪拌を行う工程、
硝酸処理された前記カーボンナノチューブと前記イオン液体とを含有して成る前記電極層を形成する工程。
本発明によれば、高アスペクト比のカーボンナノチューブに対して、硝酸処理反応を適切に促進でき、各カーボンナノチューブ間でのバンドルを効果的に解すことができる。よってカーボンナノチューブの分散性を高めることができ、効果的に比表面積の大きい電極層を形成することができ、電極層の電気的特性、機械的特性の向上を図ることができる。また硝酸処理により分散性を高めたカーボンナノチューブを用いることができることで、電極層の表面を平坦面で形成しやすく、また電極層にクラックが発生するのを適切に抑制することができる。また本発明では、電極層を、硝酸処理されたカーボンナノチューブとイオン液体とで形成でき、電解質層に使用されたベースポリマーを含有することが必須ではない。これにより、効果的に、イオン伝導の向上を図ることができる。以上により、アクチュエータ特性に優れた(特に変位を大きくできる)高分子アクチュエータ素子を簡単且つ適切に製造することができる。
本発明では、前記イオン液体、前記カーボンナノチューブ及びベースポリマーを含有してなる前記電極層を形成することもできる。このように、ベースポリマーである例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)を添加した場合でも電極層の形状が変形せず、正常に素子化することができる。
また本発明では、50℃〜60℃の温度範囲に設定することが好ましい。
また本発明では、60W/l〜140W/lの強さの超音波を印加することが好ましい。100W/l〜140W/lの強さの超音波を印加することがより好ましい。これにより、各カーボンナノチューブ間でのバンドルを効果的に解すことができるとともに、硝酸処理液の温度制御を容易にできる。
また本発明では、攪拌子の攪拌回転数を、400rpm〜1000rpmの範囲内に設定することが好ましい。攪拌子の攪拌回転数を、400rpm〜600rpmの範囲内に設定することがより好ましい。これにより、硝酸処理液中でのカーボンナノチューブの沈降を抑制でき、且つ安定した攪拌を行うことが可能である。
また本発明では、カーボンナノチューブとともにカーボンナノホーンを添加して、前記電極層を形成することができる。このように本発明では、カーボンナノチューブのみならず、カーボンナノホーンも含有することで、電極層の電気特性をより効果的に向上させることができ、アクチュエータ特性の更なる向上を図ることが可能になる。
また本発明では、アスペクト比が104以上で且つ長さが50μm以上のカーボンナノチューブを硝酸処理することが好ましい。これにより、電極層の比表面積をより効果的に大きくでき、電気特性に優れた電極層を形成することが可能になる。
また本発明では、硝酸処理時間を8時間〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
本発明によれば、高アスペクト比のカーボンナノチューブに対して、硝酸処理反応を適切に促進でき、各カーボンナノチューブ間でのバンドルを効果的に解すことができる。よって、カーボンナノチューブの分散性を高めることができ、比表面積の大きい電極層を形成することができ、電極層の電気的特性、機械的特性の向上を図ることができる。また硝酸処理により分散性を高めたカーボンナノチューブを用いることができることで、電極層の表面を平坦面で形成しやすく、また電極層にクラックが発生するのを適切に抑制することができる。
また本発明では、電極層を、硝酸処理されたカーボンナノチューブとイオン液体とで形成でき、電解質層に使用されたベースポリマーを含有することが必須ではない。これにより、効果的に、イオン伝導の向上を図ることができる。あるいは、ベースポリマーである例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)を添加した場合でも電極層の形状が変形せず、正常に素子化することができる。以上により、アクチュエータ特性に優れた(特に変位を大きくできる)高分子アクチュエータ素子を簡単且つ適切に製造することができる。
本発明の実施形態における高分子アクチュエータ素子の部分断面図、 本発明の高分子アクチュエータ素子の電極層に使用されるカーボンナノチューブの硝酸処理工程を説明するためのチャート図、 カーボンナノチューブの改質工程に使用される超音波・攪拌装置の模式図、 (a)は、比較例(硝酸処理なし)のカーボンナノチューブの赤外線吸収スペクトル、(b)は、実施例(硝酸処理あり)のカーボンナノチューブの赤外線吸収スペクトル、 (a)は、比較例(硝酸処理なし)のカーボンナノチューブの光学顕微鏡写真、(b)は、実施例(硝酸処理あり)のカーボンナノチューブの光学顕微鏡写真、 実施例(硝酸処理あり)及び比較例(硝酸処理なし)の各カーボンナノチューブのラマン分光スペクトル。
図1は本実施形態の高分子アクチュエータ素子の部分断面図を示す。図1を用いて高分子アクチュエータ素子の構造を説明する。
図1に示すように、本実施形態における高分子アクチュエータ素子1は、電解質層(イオン伝導層)2と、電解質層2の厚さ方向(Z)の両側表面に形成される電極層3,4を備えて構成される。
本発明における実施形態の高分子アクチュエータ素子1は、イオン液体とベースポリマーを有する電解質層2と、硝酸処理されたカーボンナノチューブ及びイオン液体を有する電極層3,4とを有して構成される。
ベースポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系ポリマーや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系ポリマー等を提示できる。このうち、特に、PVdF系ポリマーを用いることが好ましい。
イオン液体には、エチルメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(EMIBF4)や、エチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)等を用いることが可能である。
高分子アクチュエータ素子1の基端部5は固定端部であり、高分子アクチュエータ素子1の基端部5は、固定支持部6,6にて固定支持されている。図1に示すように例えば、高分子アクチュエータ素子1は、片持ちで支持されている。そして両面の電極層3,4間に駆動電圧を印加すると、図1の点線に示すように、電解質層2と電極層3,4間のイオン移動などによって電極層3と電極層4の間に容積差が生じ、曲げ応力が発生して、高分子アクチュエータ素子1の自由端部である先端部7を湾曲変形させることができる。イオン移動で電極間に容積の差が生じる原理は一般に一義的ではないとされているが、代表的な原理要因の1つに、陽イオンと陰イオンのイオンサイズの差で容積に差が生じることが知られている。
図1に示す固定支持部6は、電極層3,4と電気的に接続する接続部(給電部)であることが好ましい。
本実施形態では、電極層3,4に含まれるカーボンナノチューブ(CNT)は、アスペクト比が104以上のカーボンナノチューブ(高アスペクト比のカーボンナノチューブと称する)を次に説明する方法により硝酸処理したものである。ここでアスペクト比は、カーボンナノチューブの径に対する長さ寸法の比で規定される。
高アスペクト比のカーボンナノチューブ同士が、ファンデルワールス力等でバンドルを形成し分散性が低下した状態では、その分、電極層3,4の比表面積は小さくなる。電極層3,4の比表面積は、カーボンナノチューブの比表面積で示すことができる。カーボンナノチューブ同士がバンドルを形成すれば、その部分での比表面積はバンドルが形成されない状態に比べて小さくなるから、カーボンナノチューブ全体の比表面積が減少し、すなわち、電極層3,4の比表面積が小さくなるのである。
そこで本実施形態では、バンドルを適切に解すべく高アスペクト比のカーボンナノチューブに対して図2に示す硝酸処理を行った。
図2は、カーボンナノチューブに対する硝酸処理工程を示すチャート図である。
図2(a)では、アスペクト比が104以上である高アスペクト比のカーボンナノチューブを秤量する。ただし、アスペクト比の上限は、106程度である。また、高アスペクト比のカーボンナノチューブの長さは50μm以上であることが好ましい。更に好ましくは200μm以上である。
図2(a)では、高アスペクト比のカーボンナノチューブと混合するための硝酸を秤量する。硝酸は濃度が60%以上の濃硝酸であることが好適である。高アスペクト比のカーボンナノチューブ及び濃硝酸の各量は任意に決定できるが、例えば、高アスペクト比のカーボンナノチューブを数mg〜数十mg程度とし、濃硝酸を数ml〜数十ml程度とする。
続いて、図2(b)では、図3に示す容器10内に高アスペクト比のカーボンナノチューブ11と濃硝酸(水溶液)12とを混合して硝酸処理液18を作製する。容器10は例えばガラスで形成されている。図3は、超音波・攪拌装置13の模式図である。図3に示すようにSUS等で形成された収納部14内に容器10を設置する。容器10は収納部14内にて支持部17により支持される。また図3に示すように、収納部14内には例えば水(液体)15が入れられている。そして図2(c)の工程では、容器10に入れられた硝酸処理液18を40℃〜70℃の温度範囲内に設定し、更に、超音波を印加する。超音波は、水15を伝って容器10内の硝酸処理液18に伝達される。また容器10内の底面には、マグネチックスターラ(攪拌子)16を配置している。そして、マグネチックスターラ16を回転させて、容器10内の硝酸処理液18をスターラ攪拌する。
このように、本実施形態では、容器10内に、アスペクト比が104以上の高アスペクト比のカーボンナノチューブ11を濃硝酸12に混合した硝酸処理液18を入れ、40℃〜70℃の低温に設定して、硝酸処理液18に超音波を印加しながらマグネチックスターラ16を用いて攪拌している。
これにより、高アスペクト比のカーボンナノチューブ11に対し、硝酸処反応を適切に促進することができる。硝酸処理による反応(化学修飾)が適切に生じているか否かは、例えばESCA(X線光電子分光)により酸素元素の濃度が増えたことを確認し、あるいは赤外線吸収スペクトルで−COOHや−COに起因すると考えられるスペクトルを得ることで判断することが可能である。
また本実施形態では、硝酸処理液18の温度を40℃〜70℃の低温に設定しているが、高温で還流させるような処理方法を採用すると、各カーボンナノチューブが非常に短く分断されやすく、また、バンドルを適切に解すことができない。
本実施形態でも硝酸処理後のカーボンナノチューブのアスペクト比は硝酸処理前よりも短くなりやすいが(図5(b)参照)、本実施形態では、硝酸処理後のカーボンナノチューブのアスペクト比を3000程度以下(長さを50μm程度以下)に調整でき、且つ、各カーボンナノチューブ間のバンドルを適切に解すことができるのである。
本実施形態では、低温で、超音波の印加及びスターラ攪拌により、上記したように、硝酸処理による反応を適切に促進することができ、各カーボンナノチューブ間のバンドルを適切に解すことができる。また、バンドル解放については、ラマン分光のRBMシグナルに基づいて確認することが可能である。
本実施形態では、硝酸処理液18の温度を50℃〜60℃の範囲内に設定することがより好ましい。これにより、より効果的に、硝酸による反応を促進でき、バンドルの解れを十分にできる。
また、図2(c)の工程において、超音波を、60W/l〜140W/lの強さで印加することが好ましい。また、100W/l〜140W/lの強さの超音波を印加することがより好ましい。これにより、各カーボンナノチューブ間でのバンドルを効果的に解すことができるとともに、硝酸処理液18の温度制御を容易にできる。
また、図2(c)の工程において、図3に示すマグネチックスターラ(攪拌子)16の攪拌回転数(マグネチックスターラの長さを15mmとした)を、400rpm〜1000rpmの範囲内に設定することが好ましい。また、マグネチックスターラ(攪拌子)16の攪拌回転数を、400rpm〜600rpmの範囲内に設定することがより好ましい。これにより、硝酸処理液18中でのカーボンナノチューブの沈降を抑制でき、且つ安定した攪拌を行うことが可能である。
また図2(c)工程では、高アスペクト比のカーボンナノチューブに対する硝酸処理時間を8時間〜24時間程度行う。本実施形態では、硝酸処理時間を約24時間以内とし、あまり時間をかけずに、高アスペクト比のカーボンナノチューブを攪拌・超音波で分散させながら低温でゆっくりと硝酸処理するのである。
次に図2(d)の工程では、濃硝酸と等モルの水酸化ナトリウムを添加して中和処理を行う。
次に、図2(e)の工程ではカーボンナノチューブを有する溶液をろ過し、更にカーボンナノチューブを洗浄する。例えば洗浄は、カーボンナノチューブを純水中に入れて超音波分散させ、あるいは攪拌し、ろ過→洗浄の作業を複数回繰り返す。
次に、図2(g)の工程では、カーボンナノチューブに対して予備乾燥を行う。例えば図2(g)に記載されているように、50℃で2時間の予備乾燥を行う。
続いて、図2(h)の工程では、カーボンナノチューブに対して乾燥を行う。例えば図2(h)に記載されているように、80℃で48時間の真空乾燥を行う。
図2の工程により硝酸処理後のカーボンナノチューブはバンドルが適切に解け、分散性に優れた状態となっている。
次に、図2の工程を経た硝酸処理後のカーボンナノチューブとイオン液体とを含有してなる電極層3,4を形成する。本実施形態では、図2の硝酸処理後のカーボンナノチューブのアスペクト比を、数100程度から最大で3000程度に調整でき(このとき長さは数μmから最大で50μm程度)、このため、電解質層2と異なってベースポリマーを含有せずとも、カーボンナノチューブとイオン液体とでゲル状にできる。ただし、ベースポリマーを含有することもできる。このとき、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を添加した場合でも電極層3,4の形状が変形せず、正常に素子化することができる。
なお硝酸処理後のカーボンナノチューブ、イオン液体及び溶媒を含む導電性インクを例えばキャスト法で所定形状に成形し、溶媒を蒸発させてシート状の電極層3,4を形成できる。
そして、電解質層2の両面に電極層3,4を重ね合わせ熱圧着等により各層を接合する。
上記により本実施形態では、高アスペクト比のカーボンナノチューブに対して、硝酸処理反応を適切に促進でき、各カーボンナノチューブ間でのバンドルを効果的に解すことができる。よってカーボンナノチューブの分散性を高めることができ、効果的に比表面積の大きい電極層3,4を形成することができ、電極層3,4の電気的特性、機械的特性の向上を図ることができる。
また、硝酸処理により分散性を高めたカーボンナノチューブを用いることができるため、電極層3,4の表面の平坦性を向上でき、また電極層3,4にクラックが生じる不具合も抑制できる。また上記したように本実施形態では、硝酸処理されたカーボンナノチューブとイオン液体とで電極層3,4を構成することができ、電解質層2に使用されるベースポリマー(例えば変性PVdF)を含有することが必須ではない。これによりイオン伝導の向上を図ることができる。
以上によりアクチュエータ特性に優れた(特に変位を大きくできる)高分子アクチュエータ素子1を簡単且つ適切に製造することが可能である。
本実施形態では、硝酸処理されたカーボンナノチューブと共にカーボンナノホーン(CNH)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)を添加して電極層3,4を形成することができる。カーボンナノホーンもカーボンナノチューブと同様に硝酸処理することが可能である。これにより、カーボンナノチューブとカーボンナノホーンを合わせた広い比表面積を有する電極層3,4を形成することが可能になる。
以下の表1に示す条件(実施例1,2)により、高アスペクト比のカーボンナノチューブを硝酸処理した。なお実施例1及び実施例2では、高アスペクト比のカーボンナノチューブに対する硝酸処理の条件は同じである。
Figure 2011239604
表1に示す硝酸処理前の高アスペクト比のカーボンナノチューブは、アスペクト比が104以上で且つ長さが50μm以上であった。
表1の条件による硝酸処理後のカーボンナノチューブの元素分析をESCA(X線光電子分光)により測定した。その実験結果が以下の表2に示されている。
Figure 2011239604
表2に示す「未処理」とは硝酸処理していないカーボンナノチューブ(すなわち表1に示す硝酸処理前のカーボンナノチューブ)を指している。
表2に示すように、硝酸処理後のカーボンナノチューブは、硝酸処理していないカーボンナノチューブに比べて酸素元素の含有量が多くなることがわかった。
次に、硝酸処理後のカーボンナノチューブにおける酸素元素の含有のされ方を赤外線吸収スペクトルで測定した。その実験結果を図4に示す。
図4(a)は、硝酸処理していないカーボンナノチューブの赤外線吸収スペクトルの実験結果、図4(b)は、硝酸処理後のカーボンナノチューブの実験結果を示す。
図4(b)に示す硝酸処理後のカーボンナノチューブの赤外線吸収スペクトルには、−COOHや−COに起因すると考えられる1250cm-1と3000cm-1に吸収が認められた。
次に、硝酸処理後のカーボンナノチューブ(実施例)の分散性を評価した。エタノールを分散媒として超音波分散を行った。そして、硝酸処理後のカーボンナノチューブの分散状態と、2日間、放置した後でのカーボンナノチューブの沈降状態とを比較した。同様に、硝酸処理していないカーボンナノチューブ(比較例)についても上記と同様の分散性を評価した。比較例では、2日間の放置で、カーボンナノチューブの沈降が見られたが、実施例では、カーボンナノチューブの沈降がほとんど見られず安定して分散していることがわかった。
次に硝酸処理していない比較例及び硝酸処理後の実施例の各カーボンナノチューブをカバーガラスに塗布し、光学顕微鏡で観察した。なお、条件は、約40ppm濃度カーボンナノチューブのエタノール溶液を使用し、3回超音波分散を行った後、カバーガラスに滴下・乾燥させた。その実験結果が図5に示されている。
図5(a)は比較例の実験結果、図5(b)は実施例の実験結果である。図5に示すように、硝酸処理された実施例のカーボンナノチューブは、硝酸処理していない比較例のカーボンナノチューブに比べて小片化されていることがわかった。また比較例では多数のカーボンナノチューブが凝集し(バンドルの形成)、分散性が悪いのに対し、実施例では各カーボンナノチューブが適切に分散していることがわかった。実施例における硝酸処理後のカーボンナノチューブではアスペクト比が数100程度で、長さが数μm程度であった。
続いて、硝酸処理後のカーボンナノチューブ(実施例)を、ラマン分光スペクトルにより測定した。
実施例では、硝酸処理を8時間行った試料と、硝酸処理を24時間行った試料の2種類を用意した。また硝酸処理していないカーボンナノチューブ(比較例)もラマン分光スペクトルにより測定した。その実験結果が図6に示されている。
図6に示すように、硝酸処理後の実施例のカーボンナノチューブに見られるRBMピークは、硝酸処理していない比較例のカーボンナノチューブのRBMピークから約30cm-1ほど高周波側にシフトしていることがわかった。このシフトは硝酸処理によるバンドルの解れに起因するものであると考えられる(参考資料;Nanodispersion of Single-Walled Carbon nanotubes Using Dichloroethane Journal of Nanoscience and Nanotechnology Vol.5,1055-1059,2005)
次に、表1に示す実施例1の条件により電極層を形成した。また硝酸処理していないカーボンナノチューブを用い、その他は実施例1と同様の条件により比較例の電極層を形成した。
そして、実施例1の電極層及び比較例の電極層に対し、CV(静電容量の電圧依存性)測定を実施した。大きな静電容量は、比表面積が大きいことに対応している。
CV測定条件としては、充放電電流を100mA/g(電極当たり)、充電電圧2V、掃引速度1〜5mV/sとし、二極式で測定した。
その測定結果によれば、実施例1では20.9F/gの静電容量、比較例では12.7F/gの静電容量を得ることができ、実施例1の電極層のほうが比較例の電極層に比べて比表面積を大きくできることがわかった。
次に、表1に示す実施例1の電極層、及び電解質層を形成した。電極層には、硝酸処理後のカーボンナノチューブを15mg使用した。
表1に示す条件により形成された電極層及び電極層を表1に示すプレス条件により熱圧着し、図1に示す高分子アクチュエータ素子(実施例)を得た。なお、比較例として、硝酸処理していないカーボンナノチューブを含む電極層を用いて形成された高分子アクチュエータ素子も形成した。そして実施例及び比較例の各高分子アクチュエータ素子の電極層間に電圧を印加して、変位量及びピーク電流を測定した。その実験結果が表3に示されている。
Figure 2011239604
表3に示すように、実施例の高分子アクチュエータ素子は、比較例の高分子アクチュエータ素子に比べて変位量及びピーク電流が非常に大きくなることがわかった。このように実施例1において変位量及びピーク電流が大きくなるのは、電極層に含まれる硝酸処理されたカーボンナノチューブのバンドルが適切に解けて分散性が向上し比表面積が大きい電極層を形成できたことに起因すると考えられる。
次に表1に示す実施例2の高分子アクチュエータ素子を形成した。実施例2では、電極層に、硝酸処理後のカーボンナノチューブ(4mg)と、カーボンナノホーン(20mg)及び、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)(25mg)を添加した。
また硝酸処理していないカーボンナノチューブを含む電極層を備える比較例の高分子アクチュエータ素子も形成した。実施例2の高分子アクチュエータ素子及び比較例の高分子アクチュエータ素子を夫々2種類づつ形成した。
そして各高分子アクチュエータ素子の電極層間に電圧を印加し(2.5V 100mHz)、変位量及び発生力について測定した。その実験結果が以下の表4に示されている。
Figure 2011239604
表4に示すように、2種類の比較例A,Bの高分子アクチュエータ素子は変位せず駆動しなかった。
一方、2種類の実施例2−A,実施例2−Bの高分子アクチュエータ素子は、共に、駆動し、大きな変位量及び発生力を得ることができた。
1 高分子アクチュエータ素子
2 電解質層
3、4 電極層
10 容器
11 カーボンナノチューブ
12 濃硝酸(水溶液)
13 超音波・攪拌装置
16 マグネチックスターラ(攪拌子)
18 硝酸処理液

Claims (10)

  1. イオン液体及びベースポリマーを含む電解質層と、前記電解質層の厚さ方向の両面に配置される少なくともイオン液体及びカーボンナノチューブを含む電極層とを有し、前記電極層間に電圧を付与すると変形する高分子アクチュエータ素子の製造方法において、
    前記電極層を以下の工程にて形成することを特徴とする高分子アクチュエータ素子の製造方法。
    アスペクト比が104以上のカーボンナノチューブを硝酸に混合した硝酸処理液を作製し、前記硝酸処理液の温度を40℃〜70℃の範囲に設定するとともに、前記硝酸処理液に対し超音波の印加及び攪拌を行う工程、
    硝酸処理された前記カーボンナノチューブと前記イオン液体とを含有して成る前記電極層を形成する工程。
  2. 前記イオン液体、前記カーボンナノチューブ及びベースポリマーを含有してなる前記電極層を形成する請求項1記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  3. 50℃〜60℃の温度範囲に設定する請求項1又は2に記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  4. 60W/l〜140W/lの強さの超音波を印加する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  5. 100W/l〜140W/lの強さの超音波を印加する請求項4記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  6. 攪拌子の攪拌回転数を、400rpm〜1000rpmの範囲内に設定する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法
  7. 攪拌子の攪拌回転数を、400rpm〜600rpmの範囲内に設定する請求項6記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  8. カーボンナノチューブとともにカーボンナノホーンを添加して、前記電極層を形成する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  9. アスペクト比が104以上で且つ長さが50μm以上のカーボンナノチューブを硝酸処理する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
  10. 硝酸処理時間を8時間〜24時間の範囲内に設定する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ素子の製造方法。
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