JP2011237669A - 赤外線用結像レンズおよび撮像装置 - Google Patents

赤外線用結像レンズおよび撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な結像性能を有し、加工性に優れた赤外線用結像レンズを提供する。
【解決手段】物体側より順に、第1レンズG1と第2レンズG2とで構成する。第1レンズG1および第2レンズG2は、いずれも物体側に凸面を向けた正メニスカス形状とする。第1レンズG1および第2レンズG2は、少なくとも一方がカルコゲナイドガラスからなり、かつ、1以上の回折光学面を有する。第1レンズG1および第2レンズG2では、全ての面が非球面であることが望ましい。カルコゲナイドガラスは、3μm以上13μm以下の波長範囲において60%以上の透過率を有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば3μm以上13μm以下の赤外波長域での使用に適した赤外線用結像レンズおよび撮像装置に関する。
従来より、2枚または3枚という少ないレンズ枚数で良好な光学性能を得るために、非球面や回折光学面を用いることが有効であることが知られている。特に、回折光学面は通常の屈折系のレンズ面とは異なる色分散特性を持たせることができるため、色収差補正に有利であることが知られている。例えば特許文献1および2には、非球面および回折光学面を用いた2枚または3枚構成の赤外線用レンズの発明が開示されている。また、特許文献3から5には、非球面および回折光学面を用いた2枚または3枚構成の可視域用の撮像レンズの発明が開示されている。
特開2003−295052号公報 特開2000−75203号公報 特開2000−089107号公報 特開2005−301048号公報 特開2007−333883号公報
しかしながら、特許文献1および2の赤外線用レンズは、構成材料としてゲルマニウムまたは硫化亜鉛を用いている。そのため、良好な光学性能を得るために非球面を採用した場合、モールド成形によってレンズを作製することが極めて困難であった。したがって、研削によりレンズ作製を行う必要があることから、製造容易性や量産性の面での改善が求められていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、全体構成が簡素でありながら、赤外線領域における良好な結像性能を有し、加工性に優れた赤外線用結像レンズおよび撮像装置を提供することにある。
本発明の赤外線用結像レンズは、物体側より順に配置された第1レンズと第2レンズとによって構成されたものである。ここで第1レンズおよび第2レンズは、いずれも物体側に凸面を向けた正メニスカス形状を有し、少なくとも一方がカルコゲナイドガラスからなり、かつ、1以上の回折光学面を有するものである。ここでのカルコゲナイドガラスとは、3μm以上13μm以下の波長範囲において60%以上の透過率を有するものをいう。
本発明の赤外線用結像レンズでは、2枚構成という簡素な全体構成でありながら、赤外線に対して良好な結像性能が発揮される。第1レンズおよび第2レンズのうちの少なくとも一方が所定のカルコゲナイドガラスからなるので、作製時においてモールド成形を採用することが可能となる。
本発明の赤外線用結像レンズでは、さらに以下の条件式(1)〜(7)を適宜選択的に満たすことが望ましい。ただし、fは全系の焦点距離、n1は第1レンズの設計基準波長に対する屈折率、Fno.は全系のF値、R1は第1レンズの物体側の面の光軸上の曲率半径、f1は第1レンズの焦点距離、f2は第2レンズの焦点距離、R3は第2レンズの物体側の面の光軸上の曲率半径をそれぞれ示す。
0.5<f×(n1−1)/(Fno.×R1)<4.5 ……(1)
1.0<f1/f<7.0 ……(2)
0.3<R1/f<3.0 ……(3)
0.9<f2/f<3.0 ……(4)
0.3<R3/f ……(5)
2≦n1≦3 ……(6)
2≦n2≦3 ……(7)
本発明の撮像装置は、上記本発明の赤外線用結像レンズと、この赤外線用結像レンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子とを備えるようにしたものである。
本発明の赤外線用結像レンズによれば、少なくとも一方が所定のカルコゲナイドガラスからなる2枚のレンズのみによって構成し、非球面および回折光学面を効果的に用いて構成の最適化を図るようにしたので、優れた加工性を確保しつつ良好な結像性能を得ることができる。特に、カルコゲナイドガラスからなるレンズに回折光学面を形成するようにした場合には、上記の効果をいっそう向上させることができる。
また、本発明の撮像装置によれば、上記本発明の良好な結像性能の赤外線用結像レンズを用いるようにしたので、赤外波長域での高い撮像性能を得ることができる。
本発明の一実施の形態としての赤外線用結像レンズの第1の構成例を示すものであり、実施例1に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第2の構成例を示すものであり、実施例2に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第3の構成例を示すものであり、実施例3に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第4の構成例を示すものであり、実施例4に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第5の構成例を示すものであり、実施例5に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第6の構成例を示すものであり、実施例6に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第7の構成例を示すものであり、実施例7に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第8の構成例を示すものであり、実施例8に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第9の構成例を示すものであり、実施例9に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第10の構成例を示すものであり、実施例10に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第11の構成例を示すものであり、実施例11に対応するレンズ断面図である。 赤外線用結像レンズの第12の構成例を示すものであり、実施例12に対応するレンズ断面図である。 実施例1の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例2の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例3の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例4の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例5の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例6の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例7の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例8の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例9の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例10の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例11の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 実施例12の赤外線用結像レンズの諸収差を示す収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)はディストーションを示す。 本発明の一実施の形態に係る撮像装置(撮像システム)の一構成例を示すブロック図である。
[レンズ構成]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態としての赤外線用結像レンズの第1の構成例を示している。この構成例は、後述の第1の数値実施例(実施例1)のレンズ構成に対応している。同様にして、後述の第2から第12の数値実施例(実施例2〜12)のレンズ構成に対応する第2〜第12の構成例の断面構成を、図2〜図12に示す。図1〜図12において、符号Riは、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側(結像側)に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。
第1レンズG1および第2レンズG2は、いずれも、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状となっている。
第1レンズG1および第2レンズG2における4つの面のうち、少なくとも1つの面は回折光学面となっており、主に軸上色収差が良好に補正されるようになっている。1つの面のみを回折光学面とする場合、第1レンズG1および第2レンズG2のうち、事実上の絞りとして機能するいずれか一方のレンズに回折光学面を設けるようにすると、より効果的に収差補正がなされるので好ましい。例えば長焦点の光学系を構成する場合には、より物体側に位置する第1レンズG1がより強い正の屈折力を有することが望ましいうえ、周辺画角での主光線が光軸に対してより小さな角度をなすほうが像面湾曲の補正に有利である。このため、本実施の形態では、第1レンズG1を絞りとして機能させ、その像側の面を回折光学面としている。ただし、回折光学面を、第1レンズG1および第2レンズG2の双方に設けるようにすれば、より分散性の大きな波長域においても軸上色収差の十分な補正が可能となる。なお、第1レンズG1の物体側の面を回折光学面としてもよいが、温度や湿度などの周囲環境の変化や、清掃作業時における物理的な接触による劣化などが懸念される。このため、第1レンズG1の像側の面を回折光学面とするほうが好ましい。
回折光学面は、例えば非球面を基本形状として、通過光線に対して光軸Z1からの距離に応じて適当な光路差(位相差)を生じさせるような段差状の加工が施されたものである。例えば光軸方向から見て輪帯状に段差加工を施す。この場合、凹面を回折光学面とすることで、加工性の点で有利となる。
また、第1レンズG1および第2レンズG2では、1以上の面が非球面とされている。良好な結像性能を得るためには全ての面が非球面であることが好ましい。
この赤外線用結像レンズは、例えば3μm以上13μm以下の波長域(特に好ましくは10μm帯近傍)において使用されるものである。この波長域において良好な光学性能を得るために、第1レンズG1および第2レンズG2のうち、少なくとも一方の構成材料はカルコゲナイドガラスである。特に、回折光学面を有するレンズがカルコゲナイドガラスによって構成されているとよい。単結晶金属のゲルマニウムと比べ、非球面や回折格子を形成する際に優れた加工性が得られるからである。カルコゲナイドガラスとは、O(酸素)にかわりS(硫黄)、Se(セレン)、Te(テルル)という、一般的にカルコゲン元素と呼ばれる互いに性質の似通った一連の元素の少なくとも1つを主成分として含むガラスであり、特にGe(ゲルマニウム),Sb(アンチモン),Se(セレン)などを含む3成分もしくは4成分を組み合わせて、3μm以上13μm以下の波長域で60%以上の透過率が得られる光学特性を有するものをいう。
この赤外線用結像レンズは、以下の条件式(1)から(7)を適宜選択的に満足するように構成されていることが望ましい。式中、fは全系の焦点距離、n1は第1レンズG1の設計基準波長に対する屈折率、Fno.は全系のF値、R1は第1レンズG1の物体側の面の光軸上の曲率半径、f1は第1レンズG1の焦点距離、f2は第2レンズG2の焦点距離、R3は第2レンズG2の物体側の面の光軸上の曲率半径、n2は第2レンズG2の設計基準波長に対する屈折率である。
0.5<f×(n1−1)/(Fno.×R1)<4.5 ……(1)
1.0<f1/f<7.0 ……(2)
0.3<R1/f<3.0 ……(3)
0.9<f2/f<3.0 ……(4)
0.3<R3/f ……(5)
2≦n1≦3 ……(6)
2≦n2≦3 ……(7)
この赤外線用結像レンズは、例えば監視用の赤外線用カメラに適したものである。この赤外線用結像レンズの像側には、搭載される赤外線用カメラの撮影部の構成に応じた部材が配置される。例えば、この赤外線用結像レンズの結像面(撮像面)には、赤外線用の撮像素子100が配置される。撮像素子100は、この赤外線用結像レンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力するものである。少なくとも、この赤外線用結像レンズと撮像素子100とで、本実施の形態における撮像装置が構成される。赤外線用の撮像素子100としては例えば、熱型の赤外線センサや量子型の赤外線センサを用いることができる。熱型の赤外線センサとしては例えば、ボロメータ、マイクロボロメータがある。量子型の赤外線センサとしては例えば、HgCdTeやInSbのような光導電セルを用いたものがある。最終レンズ(第2レンズG2)と撮像素子100との間には、レンズを装着する撮影カメラ側の構成に応じて、種々の光学部材GCが配置されていても良い。例えば撮像面保護用のカバーガラスや各種フィルタなどの平板状の光学部材が配置されていても良い。また、被写体以外からの熱放射の影響を低減するためのコールドシールドが配置されていてもよい。また、撮像用のシャッタ機構が設けられていてもよい。
[撮像装置への適用例]
図25は、本発明の撮像装置を適用した撮像システムの構成例を示している。この撮像システムは、赤外線カメラ110と演算・表示装置120とを備えている。赤外線カメラ110と演算・表示装置120とは、コード115により電気的に接続されている。なお、赤外線カメラ110と演算・表示装置120とは、コード115により直接的に接続されていなくとも、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されていても良い。
赤外線カメラ110は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置である。赤外線カメラ110は、撮像素子100と、レンズ部101と、筐体103とを有している。レンズ部101として、本実施の形態における赤外線用結像レンズを適用可能である。なお、図では、レンズ部101のレンズ構成を概略的に示している。撮像素子100は、レンズ部101により形成された光学像を撮像して電気信号に変換する素子であり、例えば3μm〜12μmの波長帯に感度を有する赤外線用2次元センサからなる。レンズ部101により得られた像は撮像素子100により電気信号に変換され、赤外線カメラ110に接続された演算部121へ伝送される。
赤外線カメラ110は、レンズ部101として本実施の形態における赤外線用結像レンズを用いることで、小型で安価に構成可能であり、夜間の監視等にも適用可能な高解像の像を得ることができる。
演算・表示装置120は、演算部121と、表示部122とを有している。撮像素子100から伝送された画像信号は演算部121により演算処理された後、この演算処理で得られた画像が表示部122に表示される。例えば、赤外線カメラ110で撮像された被写体の像および被写体の温度分布が、演算部121での演算処理を経た後、表示部122でカラー表示される。
[作用・効果]
次に、以上のように構成された赤外線用結像レンズの作用および効果を説明する。
この赤外線用結像レンズによれば、2枚のレンズ構成で、非球面および回折光学面を効果的に用いて構成の最適化を図るようにしたので、全体構成の簡素化を図りつつ、赤外線領域における良好な結像性能を得ることができる。そのうえ、第1レンズG1および第2レンズG2のうちの少なくとも一方をカルコゲナイドガラスによって構成したので、作製時においてモールド成形を採用することが可能となり、優れた加工性を確保することができる。特に、カルコゲナイドガラスからなるレンズに回折光学面を形成するようにした場合には、上記の効果をいっそう向上させることができる。
上記条件式(1)は、良好な結像性能を発揮するための条件であり、条件式(1)の下限を下回ると全長の増大を招くうえ、像面湾曲の補正を十分に行うことが困難となる。また、上限を上回ると、光軸近傍と周辺部との曲率に大きな差が生じてしまい、十分な明るさを確保することが困難となる。
上記条件式(2)は、第1レンズG1の焦点距離f1の適切な範囲を規定している。条件式(2)の下限を下回ると、第2レンズG2のパワーが負となり、周辺部の像面湾曲が増大するうえ、コマ収差が発生しやすくなる。
一方、上限を上回ると、第2レンズG2のパワーが強くなりすぎてしまい、第2レンズG2の寸法増大を招き、像面湾曲の補正が困難となる。
上記条件式(3)は、第1レンズG1の物体側の面の曲率半径における適切な範囲を規定している。上記条件式(3)において、下限を下回ると、第1レンズG1の物体側の面の曲率が大きくなりすぎるため、中心部から周辺部へ至るまでのパワーの変化が大きくなり、加工が困難となる。条件式(3)の上限を上回ると、第1レンズG1のパワーが十分に得られず、全長の増大を招くこととなる。
上記条件式(4)は、第2レンズG2の焦点距離f2の適切な範囲を規定している。条件式(4)の下限を下回ると、第1レンズG1のパワーが緩くなり、回折光学面による倍率色収差の除去が困難となり、あるいは第1レンズG1の曲率が大きくなりすぎてしまい、その製造が困難となる。
一方、上限を上回ると、第1レンズ群G1のパワーが大きくなりすぎてしまい、球面収差の十分な補正が困難になる。
2つの正レンズが並ぶレンズ系ではペッツバール和が大きくなるので、像面湾曲を招きやすい。そこで、上記条件式(5)では、第2レンズG2の物体側の面の曲率半径における適切な範囲を規定している。上記条件式(5)において、下限を下回ると、第2レンズG2のパワーが強くなりすぎるため、像面湾曲の十分な補正が困難になる。なお、上限については、平面でなければよい。
赤外線用途の光学材料で屈折率が3を超えるものとしては、ゲルマニウム(Ge)が知られている。すなわち、条件式(6),(7)を満足するということは、第1レンズG1および第2レンズG2が、それぞれ、事実上、ゲルマニウム以外の光学材料によって構成されていることを意味する。ゲルマニウムは、10μm帯近傍において分散が極めて小さく、屈折率も4.0程度と高いため、古くから赤外線用で用いられてきた。ゲルマニウムのみで第1レンズG1および第2レンズG2を構成すれば回折光学面は全く不要となる。
ところが、第1レンズG1および第2レンズG2を2枚ともゲルマニウムからなる正レンズとすると、その高屈折率特性によりペッツバール和が大きくなるため像面湾曲の増大を招きかねない。その一方、第2レンズG2を強いパワーの負レンズとした場合には、第1レンズG1の径が拡大し、Fナンバーがある程度以上大きくないと球面収差の補正が困難となってしまう。これを避けるには第1レンズG1および第2レンズG2を共に非球面レンズとするのが有効であるが、ゲルマニウムは融点が非常に高いため、成型加工が事実上不可能である。そこでゲルマニウムからなるレンズに非球面を形成するとすれば切削加工となるが、2枚とも切削加工とすると量産性の面で不利であるため、少なくとも一方をゲルマニウム以外の光学材料によって構成することにより、量産性の低下が緩和される。
次に、本実施の形態に係る赤外線用結像レンズの具体的な数値実施例について説明する。以下では、複数の数値実施例を部分的にまとめて説明する。なお、各数値実施例においては、カルコゲナイドガラスとしてゲルマニウム,アンチモンおよびセレンを主成分とするものを用いた(株式会社オプトクリスタル製KG−1)。
[数値実施例1]
[表1]は、図1に示した赤外線用結像レンズの構成に対応する具体的なレンズデータを示している。[表1]に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、実施例1に係る赤外線用結像レンズについて、最も物体側の構成要素の面を1番目として、像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目(i=1〜4)の面の番号を示している。曲率半径Riの欄には、図1において付した符号Riに対応させて、物体側からi番目の面の曲率半径の値(mm)を示す。面間隔Diの欄についても、同様に物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸上の間隔(mm)を示す。niの欄には、物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との間の設計基準波長(波長10μm)に対する屈折率の値を示す。
[表1]のレンズデータにおいて、記号「AS」を付した面は、そのレンズ面が非球面形状であることを示す。また記号「DOE」を付した面は、そのレンズ面が回折光学面であることを示す。実施例1に係るズームレンズは、第1レンズG1および第2レンズG2の全ての面が非球面形状となっている。第1レンズG1の像側の面(第2面)は、非球面形状を基本形状とした回折光学面となっている。[表1]の基本レンズデータに示した曲率半径の値は、光軸近傍の曲率半径の数値を示している。
[表2]には実施例1に係るズームレンズにおける非球面データを示す。非球面データとして示した数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした“べき指数”であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−02」であれば、「1.0×10-2」であることを示す。
実施例1に係るズームレンズの非球面データとしては、以下の式(A)によって表される非球面形状の式における各係数An,kの値を記す。Zは、より詳しくは、光軸から高さhの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)を示す。
Z=P・h2/[1+{1−(k+1)・P2・h21/2]+ΣAn・hn ……(A)
(n=3以上の整数)
ただし、
Z:非球面の深さ(mm)
h:光軸からレンズ面までの距離(高さ)(mm)
P:近軸曲率=1/R
(R:近軸曲率半径)
k:円錐定数
An:非球面係数
[表3]には回折光学面のデータを示す。回折光学面は、基本形状となる巨視的なレンズ形状と、回折光学面が持つべき光路長差の付加量を光軸からの高さhの関数で示した光路差関数φ(h)とにより表される。光路差関数φ(h)は以下の式で表される。回折面によって付加される光路長の範囲は、0〜−λとする。
φ(h)=λ/(2π)×ΣC・hm、 範囲は0〜−λ
(m=2以上の整数)
C:回折面係数
λ:波長
Figure 2011237669
Figure 2011237669
Figure 2011237669
[数値実施例2〜12]
以上の実施例1に係る赤外線用結像レンズと同様にして、図2〜図12に示した赤外線用結像レンズの構成に対応する具体的なレンズデータをそれぞれ、実施例2〜12として、[表4]〜[表36]に示す。
なお、実施例3に係る赤外線用結像レンズは、第2面に加えて第3面(第2レンズG2の物体側の面)が回折光学面となっている。その他の実施例に係る赤外線用結像レンズは、実施例1と同様の面が回折光学面となっている。また、実施例3では、設計基準波長を5μmとし、それに対応する屈折率を表7に示す。
Figure 2011237669
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[各実施例のその他の数値データ]
[表37]には、上述の各条件式に関連する値を、各実施例についてまとめたものを示す。[表37]から分かるように、すべての実施例が各条件式を満足している。
Figure 2011237669
[収差性能]
図13(A)〜(C)はそれぞれ、実施例1に係る赤外線用結像レンズの球面収差、非点収差、およびディストーション(歪曲収差)を示している。各収差図には、10μmを基準波長とした収差を示す。球面収差図には、8μmおよび12μmについての収差も示す。非点収差図において、実線はサジタル方向、破線はタンジェンシャル方向の収差を示す。FNO.はF値、ωは半画角を示す。
同様に、実施例2〜12に係る赤外線用結像レンズについての球面収差、非点収差、およびディストーションを図14〜図24の(A)〜(C)に示す。ただし、実施例3の図15(A)〜(C)では、5μmを基準波長とした収差を示し、さらに球面収差図では、4μmおよび6μmについての収差も示す。
以上の各数値データおよび各収差図から分かるように、各実施例について、良好な結像性能を得ることができている。
なお、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。また、上記実施例では、第1レンズのみ、もしくは第1レンズおよび第2レンズの双方に回折光学面を設けるようにしたが、第2レンズのみに回折光学面を設けるようにしてもよい。
GC…光学部材、G1…第1レンズ、G2…第2レンズ、Ri…物体側から第i番目のレンズ面の曲率半径、Di…物体側から第i番目と第i+1番目のレンズ面との面間隔、Z1…光軸、100…撮像素子。

Claims (9)

  1. 物体側より順に配置された第1レンズと第2レンズとによって構成され、
    前記第1レンズおよび第2レンズは、いずれも物体側に凸面を向けた正メニスカス形状を有し、少なくとも一方が3μm以上13μm以下の波長域において60%以上の透過率を有するカルコゲナイドガラスからなり、かつ、1以上の回折光学面を有する
    ことを特徴とする赤外線用結像レンズ。
  2. 以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1記載の赤外線用結像レンズ。
    0.5<f×(n1−1)/(Fno.×R1)<4.5 ……(1)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    n1:第1レンズの設計基準波長に対する屈折率
    Fno.:全系のF値
    R1:第1レンズの物体側の面の光軸上の曲率半径
    とする。
  3. 以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線用結像レンズ。
    1.0<f1/f<7.0 ……(2)
    ただし、
    f1:第1レンズの焦点距離
    とする。
  4. 以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の赤外線用結像レンズ。
    0.3<R1/f<3.0 ……(3)
  5. 以下の条件式(4)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の赤外線用結像レンズ。
    0.9<f2/f<3.0 ……(4)
    ただし、
    f2:第2レンズの焦点距離
    とする。
  6. 以下の条件式(5)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項5に記載の赤外線用結像レンズ。
    0.3<R3/f ……(5)
    ただし、
    R3:第2レンズの物体側の面の光軸上の曲率半径
    とする。
  7. 以下の条件式(6)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の赤外線用結像レンズ。
    2≦n1≦3 ……(6)
  8. 以下の条件式(7)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の赤外線用結像レンズ。
    2≦n2≦3 ……(7)
    ただし、
    n2:第2レンズの設計基準波長に対する屈折率
    とする。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の赤外線用結像レンズと、
    前記赤外線用結像レンズによって形成された光学像に応じた撮像信号を出力する撮像素子と
    を備えたことを特徴とする撮像装置。
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