JP2011237112A - 熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱交換性を損なうことがなく、耐食性を高めることができ、しかも、製造コストを抑えることができる熱交換器などを提供する。
【解決手段】熱交換器1は、プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13からなるコア部を主要構成要素として備える。プレート11は、矩形状に形成され、その複数枚がその厚み方向に所定間隔を隔てて平行に配置される。コルゲートフィン12は、プレート11間に設けられ、サイドバー13は、プレート11の1組の対辺に相当する両縁部に設けられる。プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13の表面には、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換媒体が流通する流路を備え、この流路を構成する流路構成部材がステンレス鋼から構成された熱交換器及びその製造方法に関する。
熱交換器は、化学プラントや重電機器、燃料電池、鉄道車両、航空機、産業機械などの各種分野で使用されている。熱交換器を構成する材料は、その設置場所や、流路内を流通する熱交換媒体の性質及び温度といった使用環境に応じて選択されており、例えば、軽量であることが求められる場合にはアルミニウムから構成され、耐食性に優れていることが求められる場合にはステンレス鋼から構成される。
また、熱交換器をアルミニウムから構成した場合で、耐食性を高める必要がある場合には、例えば、特開2008−190771号公報に開示されているように、表面に10μm以上の厚さの無電解ニッケルめっき層を形成すれば、耐食性を向上させることができる。
特開2008−190771号公報
ところで、厳しい使用環境の下で熱交換器を使用する場合、熱交換器をステンレス鋼から構成したとしても、SUS304やSUS316、SUS310Sといったごく一般的なステンレス鋼では、耐食性が不十分なときがある。また、アルミニウムからなる熱交換器の表面に無電解ニッケルめっき層を形成したとしても、同様に、耐食性が要求レベルに達しないことが多い。そして、このようなときには、SUS304やSUS316、SUS310Sよりも耐食性に優れたステンレス鋼や特殊合金を採用する必要がある。
しかしながら、このような、SUS304やSUS316、SUS310Sよりも耐食性に優れたステンレス鋼や特殊合金は、価格が高く、また、市場での流通性があまりなく、入手困難である。このため、熱交換器の製造コストが高くなるという問題や、製造納期が長くなるという問題を生じていた。
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、熱交換性を損なうことがなく、耐食性を高めることができ、しかも、製造コストを抑えることができる熱交換器及びその製造方法の提供をその目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、
熱交換媒体が流通する流路を備え、該流路を構成する流路構成部材がステンレス鋼から構成された熱交換器であって、
前記流路構成部材の、少なくとも該流路に対応した部分の表面には、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜が形成されてなることを特徴とする熱交換器に係る。
上述のように、この熱交換器は、ステンレス鋼製の流路構成部材の、少なくとも流路に対応した部分の表面に、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を形成したものである。
二酸化チタン及び二酸化ジルコニウムは、ステンレス鋼に比べて熱伝導率が低く、このような被膜を熱交換器に形成すると、熱交換性が大きく低下すると思われる。しかしながら、本願発明者らが鋭意研究を重ねたところ、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる被膜を形成したとしても、その膜厚が0.2μm以上5μm以下であれば、熱交換性を低下させずに、耐食性を向上させることができると認識するに至った。
このため、本発明では、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を形成するようにしている。尚、膜厚が0.2μm未満であると、耐食性をさほど向上させることができず、一方、膜厚が5μmを超えると、熱交換性が大きく低下し、熱交換性と耐食性を両立させることができない。
また、流路構成部材を構成するステンレス鋼は、どのようなものであっても良いが、例えば、SUS304やSUS316、SUS310Sといったステンレス鋼を採用すれば、価格や市場での流通性の面で有利であり、好ましい。
このように、本発明に係る熱交換器によれば、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を形成することで、熱交換性を損なうことなく、耐食性を高めることができるので、市場での流通性が良く、安価なステンレス鋼から流路構成部材を構成したとしても、物性に優れた高級なステンレス鋼や特殊合金と同等若しくはそれ以上の耐食性を確保することができる。これにより、熱交換器の製造コストを抑えたり、製造納期を短くすることができる。
尚、前記被膜は、前記流路構成部材を処理溶液中に浸漬させる湿式成膜法によって形成されたものであることが好ましい。前記被膜を形成する手法は、何ら限定されるものでないが、例えば、無電解めっきやゾルゲル法、液相析出法などの湿式成膜法を用いれば、複雑な形状をした部分にも均一に被膜を形成することができる。
また、前記被膜は、少なくとも前記流路構成部材が組み立てられた後に形成されたものであることが好ましい。流路構成部材の組み立て前に表面処理を施して被膜を形成すると、形成した被膜が組み立て時に剥がれる恐れがある。したがって、組み立て後に被膜を形成すれば、このような問題が生じるのを確実に防止することができる。
更に、前記被膜は、合計膜厚が0.2μm以上5μm以下となるように少なくとも2層形成され、上層となる被膜は、下層となる被膜が70℃以上500℃以下に加熱されてクラックが生じせしめられてから形成されたものであることが好ましい。湿式成膜法によって被膜を形成した場合、形成した被膜が乾燥して被膜中の水分が蒸発すると、被膜が収縮してクラックが入る。このため、被膜を1層しか形成していない場合には、このクラック部分から流路構成部材の腐食が進行する。また、流路構成部材の腐食によって、熱交換性が悪化したり、強度不足を招いて熱交換器が破損する。
そこで、上述のように、形成した被膜を加熱して、一旦クラックを生じさせた後、被膜を重ねて形成すれば、上層の被膜を形成する際に下層の被膜のクラック部分を埋めることができ、流路構成部材の表面が露出するのを防止することができる。また、上層の被膜を形成した後、下層の被膜及び上層の被膜のそれぞれにクラックが生じたとしても、下層の被膜に生じたクラックと上層の被膜に生じたクラックとが重なる領域はわずかであり、被膜を1層しか形成していない場合に比べ、流路構成部材の表面が露出する領域を小さくすることができる。したがって、複数層の被膜を形成すれば、耐食性を更に高めることができる。
ここで、被膜の加熱温度を70℃以上500℃以下としているのは、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、形成した被膜を常温に放置してもクラックは入らず、70℃以上に加熱したときにクラックが入るとの認識を得たからである。また、500℃を超える温度まで加熱すると、この加熱時に生じたクラック部分から腐食が進行するため、却って好ましくないからである。
尚、上記のような熱交換器は、前記流路構成部材の、少なくとも該流路に対応した部分の表面に、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を形成する成膜工程を含む製造方法により製造することができる。この場合において、前記成膜工程では、前記流路構成部材を処理溶液中に浸漬させる湿式成膜法によって前記被膜を形成することが好ましく、少なくとも前記流路構成部材を組み立てる組立工程を実施した後、前記成膜工程を実施することが好ましい。また、前記成膜工程では、合計膜厚が0.2μm以上5μm以下となるように前記被膜を少なくとも2層形成し、下層となる被膜上に上層となる被膜を形成する際には、下層となる被膜を形成した後、該被膜を70℃以上500℃以下に加熱してクラックを生じさせてから、上層となる被膜を形成することが好ましい。
また、ステンレス鋼の腐食とは、ステンレス鋼の成分であるクロムなどがステンレス鋼の表面に析出してその酸化物が生成されることを言う。
以上のように、本発明に係る熱交換器及びその製造方法によれば、熱交換性を損なうことなく、耐食性を高めることができる。また、製造コストを抑えたり、製造納期を短くすることができる。
本発明の一実施形態に係る熱交換器の概略構成を示した斜視図である。 本実施形態に係る熱交換器の概略構成を示した分解斜視図である。 2層の被膜を形成する手順を示した説明図である。 1層目の被膜に生じたクラックが2層目の被膜を形成する際に埋められる様子を説明するための断面図である。 高温大気暴露試験の試験結果を示した図である。 熱伝達係数の測定結果を示した図である。 試験片の成分測定点を示した平面図である。 試験片の成分測定結果を示した図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
図1及び図2に示すように、本例の熱交換器1は、プレートフィン型の熱交換器で、プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13からなるコア部を主要構成要素として備えており、このコア部を流通する高温(例えば、500℃〜800℃)の熱交換媒体と低温の熱交換媒体との間で熱交換を行わせる。
前記プレート11は、矩形状に形成され、その複数枚がその厚み方向に所定間隔を隔てて平行に配置されており、高温の熱交換媒体が流通する空間11aと、低温の熱交換媒体が流通する空間11bとを隔てるとともに、これらの空間11a,11bを前記厚み方向に交互に形成する。また、前記コルゲートフィン12は、プレート11間に設けられ、前記サイドバー13は、プレート11の1組の対辺に相当する両縁部に設けられる。
そして、これらプレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13によって、熱交換媒体の流通する複数の流路14が形成される。したがって、プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13は流路構成部材に相当する。尚、前記コルゲートフィン12及びサイドバー13は、流路14内を流通する高温の熱交換媒体の流通方向と、同じく流路14内を流通する低温の熱交換媒体の流通方向とが互いに直交するように配置される。
また、前記プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13は、例えば、SUS304やSUS316、SUS310Sといった、市場での流通性や価格面で有利なステンレス鋼から構成され、ろう付けにより一体的に接合されている。更に、前記プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13(前記コア部)の表面には、二酸化チタン(TiO)又は二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる被膜が形成されており、これによって、流路14を構成するプレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13の耐食性が高められている。
二酸化チタン及び二酸化ジルコニウムは、ステンレス鋼に比べて熱伝導率が低く、このような被膜を前記コア部に形成すると、熱交換性が大きく低下すると思われる。しかしながら、本願発明者らが鋭意研究を重ねたところ、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる被膜を形成したとしても、その膜厚が0.2μm以上5μm以下であれば、熱交換性を低下させずに、耐食性を向上させることができると認識するに至った。
そこで、本例では、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を形成している。尚、膜厚が0.2μm未満であると、耐食性をさほど向上させることができず、一方、膜厚が5μmを超えると、熱交換性が大きく低下し、熱交換性と耐食性を両立させることができない。
ここで、前記被膜は、例えば、次のようにして形成することができる。即ち、まず、プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13といった部品を製造する部品製造工程を実施し、これらプレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13をろう付けにより一体的に接合して前記コア部を組み立てる組立工程を実施し、この後、前記コア部に被膜を形成する成膜工程を実施する。尚、組立工程を実施した後、成膜工程を実施しているのは、前記コア部の組み立て前に前記プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13の表面に被膜を形成すると、形成した被膜が組み立て時に剥がれる恐れがあるからである。
前記成膜工程では、前記コア部を処理溶液中に浸漬させる湿式成膜法によって被膜を形成する。これは、複雑な形状をした部分や、前記流路14の奥の方にも被膜を均一に形成することができるからである。湿式成膜法としては、例えば、無電解めっきやゾルゲル法、液相析出法などがある。
また、前記成膜工程では、前記被膜を合計膜厚が0.2μm以上5μm以下となるように2層以上形成する。具体的には、まず、図3(a)に示すように、前記コア部(母材)30の表面に1層目の被膜31を形成し、ついで、図3(b)に示すように、このコア部30を70℃以上500℃以下に加熱して被膜31を乾燥させる。
ここで、前記コア部30を加熱して被膜31を乾燥させているのは、被膜31にクラック32を生じさせるためである(図3(b)参照)。湿式成膜法によって被膜31を形成すると、形成した被膜31が乾燥する際、被膜31中の水分が蒸発することにより被膜31が収縮してクラック32が入る。このため、被膜31を1層しか形成していない場合には、このクラック32部分から腐食が進行してしまうし、この腐食によって熱交換性が悪化したり、強度不足を招いてコア部30が破損する。
そこで、本例では、形成した被膜31を加熱して、一旦クラック32を生じさせた後、被膜33を重ねて形成している。即ち、コア部30を加熱して被膜31を乾燥させた後(図3(b)参照)、図3(c)に示すように、前記コア部30の表面(被膜31上)に2層目の被膜33を形成している。その際、図4に示すように、1層目の被膜31に生じたクラック32の両側面と前記コア部30の表面から被膜31aが成長するため、このクラック32部分を埋めることができる。
この後、前記コア部30を70℃以上500℃以下に加熱して被膜33を乾燥させる。このとき、2層目の被膜33には、図3(d)に示すように、1層目の被膜31と同様、クラック34が生じる。2層目の被膜33にクラック34が生じても、1層目の被膜31,31aによって前記コア部30の表面が露出するのを防止することができる。また、2層目の被膜33を乾燥させる際に、1層目の被膜31及び2層目の被膜33のそれぞれにクラック32,34が生じたとしても、1層目の被膜31に生じたクラック32と2層目の被膜33に生じたクラック34とが重なる領域はわずかであり、被膜31を1層しか形成していない場合に比べ、前記コア部30の表面が露出する領域を小さくすることができる。したがって、複数層の被膜31,33を形成すれば、耐食性を更に高めることができる。
尚、前記被膜31を加熱する際、その加熱温度を70℃以上500℃以下としているのは、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、形成した被膜31,33を常温で放置してもクラック32,34は入らず、70℃以上に加熱したときにクラック32,34が入るとの認識を得たからである。一方、500℃を超える温度まで加熱すると、この加熱時に生じたクラック32,34部分から腐食が進行するため、却って好ましくないからである。また、被膜31,33を乾燥させる際に、前記コア部30を加熱する時間としては、例えば、30分以上であることが好ましく、このようにすれば、確実に被膜31,33を乾燥させることができる。
また、3層以上の被膜を形成する場合には、以降、同様の処理(湿式成膜法による成膜処理と成膜された被膜の乾燥処理)を繰り返して所定層の被膜を形成する。
このようにして、合計膜厚が0.2μm以上5μm以下となるように2層以上の被膜を前記コア部の表面に形成する。この後、被膜が形成された前記コア部に、熱交換器1を構成するその他の部品が組み付けられて当該熱交換器1が完成する。これにより、本例の熱交換器1が得られる。
以上詳述したように、本例の熱交換器1によれば、高温の熱交換媒体が前記空間11a内の流路14を流通し、低温の熱交換媒体が前記空間11b内の流路14を流通することで、高温の熱交換媒体と低温の熱交換媒体との間で熱交換が行われるが、上述のように、前記コア部の表面には、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜が形成されており、熱交換性が損なわれることなく、耐食性が高められている。
したがって、市場での流通性が良く、安価なステンレス鋼からコア部を構成したとしても、物性に優れた高級なステンレス鋼や特殊合金と同等若しくはそれ以上の耐食性を確保することができる。これにより、熱交換器1の製造コストを抑えたり、製造納期を短くすることができる。
また、湿式成膜法により被膜を形成しているので、入り組んだ形状の表面にも膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を均一に形成することができる。また、前記組立工程の実施後に前記成膜工程を実施しているので、コア部の組み立て時に被膜が剥がれるという問題が生じるのを確実に防止することができる。
更に、下層となる被膜を形成した後、上層となる被膜を形成する際に、下層となる被膜を加熱してクラックを生じさせてから、上層となる被膜を形成しているので、上層の被膜を形成する際に下層の被膜のクラック部分を埋めることができ、コア部の表面が露出するのを防止することができる。また、被膜を2層以上形成しておけば、下層の被膜及び上層の被膜のそれぞれにクラックが生じたとしても、下層の被膜に生じたクラックと上層の被膜に生じたクラックとが重なる領域はわずかであり、被膜を1層しか形成していない場合に比べ、コア部の表面が露出する領域を小さくすることができる。したがって、被膜を1層しか形成していない場合に比べ、耐食性を更に高めることができる。
また、被膜の加熱温度を70℃以上500℃以下としているので、被膜を確実に乾燥させてクラックを生じさせることができるとともに、この加熱時に生じたクラック部分から腐食が進行することもない。
因みに、ステンレス鋼から構成される試験片であって、二酸化チタンからなる膜厚が1μmの被膜を形成したものと、二酸化ジルコニウムからなる膜厚が1μmの被膜を形成したものと、被膜を形成していないものとの3種類の試験片を用意し、800℃での高温大気暴露試験を実施したところ、図5に示すような結果が得られた。ステンレス鋼が腐食すると、ステンレス鋼の成分であるクロムなどがステンレス鋼の表面に析出してその酸化物が生成されるため、腐食量が多いほど重量変化が大きくなる。この図5から分かるように、被膜を形成していない試験片に比べ、被膜を形成した試験片の方が重量変化が少なく、耐食性が向上している。尚、二酸化チタン被膜は、チタンフッ化アンモニウム0.1モル、ホウ酸0.2モルの40℃の混合液に試験片を24時間浸漬させて成膜した。一方、二酸化ジルコニウム被膜は、40℃の処理液に試験片を24時間浸漬させて成膜し、処理液は、ジルコンフッ化水素酸0.1モルの溶液にアルミ箔を入れたものとした。また、いずれの試験片も成膜後、100℃で1時間乾燥させた(被膜にクラックを生じさせた)。
また、ステンレス鋼から構成されるプレートフィン型の熱交換器であって、そのコア部に、二酸化チタンからなる膜厚が1μmで1層の被膜を形成したものと、二酸化チタンからなる膜厚が2μmで2層の被膜を形成したものと、被膜を形成していないものとの3種類の熱交換器を準備し、100℃の空気と常温の空気との間で熱交換させて熱交換特性を調べたところ、図6に示すような結果が得られた。図6では、横軸をレイノルズ数とし、縦軸を、被膜を形成したときに測定された熱伝達係数の、被膜を形成していないときに測定された熱伝達係数に対する比とした。この図6から分かるように、1層で1μmの被膜を形成した場合も、2層で2μmの被膜を形成した場合も、比の値が0.95〜1.05となっており、被膜を形成した場合でも、被膜を形成しなかった場合と熱伝達係数はほとんど変わらない。したがって、被膜を形成することによって熱交換性が低下することはない。尚、膜厚が1μmで1層の被膜を形成した熱交換器は、そのコア部を、チタンフッ化アンモニウム0.1モル、ホウ酸0.2モルの40℃の混合液に24時間浸漬させて成膜した後、100℃で1時間乾燥させる(被膜にクラックを生じさせる)ことにより製作した。一方、膜厚が2μmで2層の被膜を形成した熱交換器は、そのコア部を、チタンフッ化アンモニウム0.1モル、ホウ酸0.2モルの40℃の混合液に24時間浸漬させて1層目の1μmの被膜を成膜した後、100℃で1時間乾燥させ(被膜にクラックを生じさせ)、この後、同様に、コア部を、チタンフッ化アンモニウム0.1モル、ホウ酸0.2モルの40℃の混合液に24時間浸漬させて2層目の1μmの被膜(1層目1μmと2層目1μmで合計2μm)を成膜した後、100℃で1時間乾燥させる(被膜にクラックを生じさせる)ことにより製作した。
更に、1層目として膜厚が0.5μmの二酸化ジルコニウムからなる被膜を形成した後、100℃で1時間乾燥させ(被膜にクラックを生じさせ)、この後、2層目として膜厚が0.5μmの二酸化ジルコニウムからなる被膜を形成した後、100℃で1時間乾燥させ(被膜にクラックを生じさせ)、合計膜厚が1μmで2層の被膜を形成したステンレス鋼製の試験片を用意し、図7に示すように、この試験片の測定点1〜測定点6について成分を測定したところ、図8に示すような結果が得られた。測定点1,2,4,6は、2層目の被膜に生じたクラック部分に設定し、測定点1,5は、1層目の被膜にクラックが生じた箇所に設定し、測定点3は、1層目にも2層目にもクラックが生じていない箇所に設定した。また、図7では、斜線を引いていない部分が2層目の被膜に生じたクラックを示し、破線で示した部分が1層目の被膜に生じたクラックを示している。この図7及び図8から分かるように、測定点1,2,4,6ではジルコニウムが検出されており、1層目の被膜によって母材表面が覆われている。また、測定点1でも測定点2,4,6とほぼ同割合のジルコニウムが検出されており、1層目の被膜に生じたクラック部分が2層目の成膜時に埋められている。更に、測定点3,5では、2層分の被膜が形成されているため、1層目しか被膜のない他の測定点と比べてジルコニウムの割合が多い。また、測定点1,2,4,6と測定点3,5とで各成分の割合が異なるのは、測定点1,2,4,6では1層目しか被膜が形成されていないのに対し、測定点3,5では1層目及び2層目の両方の被膜が形成されていることと、被膜の膜厚が薄く、母材の成分まで検出されることとの2つの理由からである。尚、1層目と2層目の被膜は、40℃の処理液に試験片を24時間浸漬させてそれぞれ成膜し、処理液は、ジルコンフッ化水素酸0.1モルの溶液にアルミ箔を入れたものとした。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
前記プレート11,コルゲートフィン12及びサイドバー13を構成するステンレス鋼は、何ら限定されるものではなく、例えば、オーステナイト系のステンレス鋼から構成しても、フェライト系のステンレス鋼から構成しても、マルテンサイト系のステンレス鋼から構成しても良い。
また、複数層の被膜を形成した方がより耐食性を高めることができるが、1層しか被膜を形成しなくても十分に耐食性を高めることができる。また、前記熱交換器1の具体的な形状や使用用途は、何ら限定されるものではない。
1 熱交換器
11 プレート
12 コルゲートフィン
13 サイドバー
14 流路
31,31a,33 被膜
32,34 クラック

Claims (8)

  1. 熱交換媒体が流通する流路を備え、該流路を構成する流路構成部材がステンレス鋼から構成された熱交換器であって、
    前記流路構成部材の、少なくとも該流路に対応した部分の表面には、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜が形成されてなることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記被膜は、前記流路構成部材を処理溶液中に浸漬させる湿式成膜法によって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記被膜は、少なくとも前記流路構成部材が組み立てられた後に形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の熱交換器。
  4. 前記被膜は、合計膜厚が0.2μm以上5μm以下となるように少なくとも2層形成され、上層となる被膜は、下層となる被膜が70℃以上500℃以下に加熱されてクラックが生じせしめられてから形成されたものであることを特徴とする請求項2又は3記載の熱交換器。
  5. 熱交換媒体が流通する流路を備え、該流路を構成する流路構成部材がステンレス鋼から構成された熱交換器を製造する方法であって、
    前記流路構成部材の、少なくとも該流路に対応した部分の表面に、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウムからなる、膜厚が0.2μm以上5μm以下の被膜を形成する成膜工程を含むことを特徴とする熱交換器の製造方法。
  6. 前記成膜工程では、前記流路構成部材を処理溶液中に浸漬させる湿式成膜法によって前記被膜を形成するようにしたことを特徴とする請求項5記載の熱交換器の製造方法。
  7. 少なくとも前記流路構成部材を組み立てる組立工程を実施した後、前記成膜工程を実施するようにしたことを特徴とする請求項6記載の熱交換器の製造方法。
  8. 前記成膜工程では、合計膜厚が0.2μm以上5μm以下となるように前記被膜を少なくとも2層形成し、下層となる被膜上に上層となる被膜を形成する際には、下層となる被膜を形成した後、該被膜を70℃以上500℃以下に加熱してクラックを生じさせてから、上層となる被膜を形成するようにしたことを特徴とする請求項6又は7記載の熱交換器の製造方法。
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