JP2011235840A - 船舶の電気推進システムの推進制御装置 - Google Patents

船舶の電気推進システムの推進制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電気推進システムの共通の給電路に接続された蓄電池が有効に働いているか否かに関わらず電気推進装置の回生動作により電路電圧が異常に上昇することを抑制して、給電路に接続された全ての機器または装置が過電圧に晒されることを防止する。
【解決手段】発電装置DGとこの発電装置により充電される蓄電池Bからなるハイブリッド電源10から、船舶の推進機PRを駆動する推進電動機Mとこの推進電動機へ供給される電力を変換制御して前記推進電動機を可変速制御する電力変換器INVとからなる電気推進装置20および船舶の各種の補助機器30に共通に給電するように構成し、前記電気推進装置を制御する推進制御装置50に、電気推進装置から前記ハイブリッド電源への回生電圧が所定の制限電圧を超えないように制御する電圧制限手段を設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、電気推進装置を備える船舶の電気推進システムにおける回生動作の制御を行う推進制御装置に関する。
電気推進装置を備えた船舶の電気推進システムは、特許文献1および2に示されるように、ディーゼルエンジン等の原動機で駆動される発電装置とこの発電装置によって充電される蓄電池とで構成されたハイブリッド電源を備える。このハイブリッド電源から船舶の推進機を駆動する電気推進装置および船舶内の各種の補助機器に給電して船舶を運航する。
電気推進装置は、推進機を駆動する推進電動機とハイブリッド電源からこの推進電動機へ供給される電力を変換制御して推進電動機を可変速制御する電力変換器とで構成される。
このような船舶の電気推進システムにおいては、電力変換器により推進電動機の減速操作や停止操作、または前進から後進への運航切り替え操作をするときに、電気推進装置が減速、制動動作をするのに伴って推進電動機が発生する回生電力を電力変換器がハイブリッド電源側に回生する動作をし、推進電動機からの回生電力をハイブリッド電源の蓄電池に充電して回収することにより、制動力を得ている。
このとき、蓄電池の電圧VBは蓄電池の残存充電量と充電電流の大きさによって大きく変化する。例えば、蓄電池の残存充電量が少ない状態では、充電電流したがって回生電流が大きくなるが、この状態では、大きな回生電流(充電電流)を流しても、蓄電池の電圧の上昇は小さい。蓄電池が、満充電に近い、残存充電量が大きい状態にあるときは、大きな充電電流を流すと蓄電池電圧VBの上昇が大きくなり、電路電圧が異常上昇することになる。
また、発電装置を運転し、これにより蓄電池を充電しながら電気推進装置を駆動するようにしたハイブリッド運航モードにおいては、電気推進装置が回生動作を発生した場合、蓄電池に発電機装置からの充電電流と電気推進装置からの回生電力による充電電流が重畳されるため、蓄電池電圧の上昇が大きくなり、ハイブリッド電源の給電電路に接続された発電装置、電気推進装置、補助機器などの各機器が、規定電圧を超えた過電圧に晒されることになる。
さらに、何らかの事情によってハイブリッド電源から蓄電池を切り離して発電装置からの電力のみで運航する必要が生じ場合にも、電気推進装置の容量の約1/10の容量しか有しない補助機器によっては、電気推進装置からの回生電力を十分に消費・吸収することが困難になることから、回生動作を伴う船舶の減速操作や前後進切り替え操作時に電気推進装置からハイブリッド電源への回生電力の電圧、すなわちハイブリッド電源の給電路電圧の異常上昇が起こる。
このように給電路電圧が上昇したとき、この給電路に接続された各種の機器や装置が過電圧保護装置を備えている場合は、この過電圧保護装置が働き、機器または装置への給電が遮断されて、これらの機器または装置の運転が停止されることになる。また、過電圧保護装置を備えていない機器や装置では、過電圧により内部素子が障害を起こし、運転停止に至る恐れがある。また、給電路に接続された蓄電池は過電圧に対する耐性が低くいため、過電圧によって焼損し、電源喪失に至る恐れがある。
電気推進システムを備える船舶においては、運航中にこのような過電圧のために蓄電池が損傷したり、電気推進装置およびこれに付属する機器や装置が不用意に運航を停止したりすると、極めて危険な状態となる。
すなわち、高波、強風の悪天候で電気推進装置の運転が停止すると、船舶は転覆の危険を伴い、また、危険回避のために進路変更中に電気推進装置が停止すると、船舶は衝突、座礁の危険に至ることがある。このため、電気推進装置をはじめとする船舶内の各機器の不用意な停止および蓄電池の損傷は、船舶の安全上、回避すべき極めて重要な問題である。
特開2007−062676号公報 特開2008−067525号公報
この発明は、前記のような船舶の電気推進システムにおける問題点に解決するため、電気推進システムの共通の給電路に接続された蓄電池が有効に働いているか否かに関わらず電気推進装置の回生動作により電路電圧が異常に上昇することを抑制して、給電路に接続された全ての機器または装置が過電圧に晒されることを防止することにより、電気推進装置が不用意に運転停止に至ることを防止して船舶の運航の安全性を向上することのできる電気推進システムの推進制御装置を提供することを課題とするものである。
前記の課題を解決するため、この発明は、発電装置とこの発電装置により充電される蓄電池からなるハイブリッド電源と、船舶の推進機を駆動する推進電動機とこの推進電動機へ供給される電力を変換制御して前記推進電動機を可変速制御する電力変換器からなる電気推進装置とを備え、前記ハイブリッド電源から前記電気推進装置および船舶の各種の補助機器に共通の給電路を介して給電するように構成した船舶の電気推進システムにおいて、前記電気推進装置を操作指令に従って制御する推進制御装置に、前記電気推進装置から前記ハイブリッド電源へ回生する電力の電圧が、予め設定した所定の制限電圧を超えないように制御する電圧制限手段を設けたことを特徴とするものである。
この発明において、前記電圧制限手段は、前記ハイブリッド電源の蓄電池が断路され発電装置の発生電力で運転している状態においても、前記電気推進装置の電圧制限動作を行うことができる。
前記電圧制御手段は、前記電気推進装置で回生動作が行われたときに前記電力変換器のハイブリッド電源側の入力端の電圧を制限する動作を行うようにするのがよい。
回生動作の検出は、電気推進装置への設定指令速度と実際の速度とを比較することにより、あるいは、前記電気推進装置の電力変換器の受電端に流れる電流の極性を判別することにより行うことができる。
この発明においては、船舶の推進機を駆動する推進電動機およびこの推進電動機を可変速制御する電力変換器からなる電気推進装置へハイブリッド電源から給電するようにした船舶の電気推進システムにおいて、前記電力変換器からハイブリッド電源側へ回生される電力の電圧が予め設定された所定の制限電圧を超えないように制御する電圧制御手段を推進制御装置に設けているので、ハイブリッド電源の蓄電池の充電状態に関わらず、回生動作が行われてもハイブリッド電源の給電路の電圧が、常に制限電圧を超えない電圧に保たれるので、この給電路に接続された機器または装置に加わる電圧が過電圧となることがなく、したがって、各機器または装置が、過電圧保護装置により不用意に給電を遮断されて運転を停止することも、過電圧により故障をすることもないので、船舶の運航の安全性を高めることができる。
また、ハイブリッド電源の蓄電池が断路されて発電装置のみで運転する場合においても、電気推進装置からハイブリッド電源への回生電力の電圧を所定の制限電圧以下に制限することができるので、電気推進システムを構成するすべての機器および装置が、電気推進装置が回生動作を行っても過電圧に晒されないようになる。
なお、電圧制限動作中は回生電流が制限されるので制動力が低下し、運行性能の低下をもたらすが、これよりも、過電圧により電気推進システムを構成する機器または装置が故障を発生することを防止して電気推進船舶の運航の安全性を向上することの方が優先されるべきことである。
この発明の実施の形態を示す電気推進システムの構成図である。 この発明の第1の実施例を示す電気推進システムの構成図である。 この発明の第2の実施例を示す電気推進システムの構成図である。 この発明の第3の実施例を示す電気推進システムの構成図である。 蓄電池の一般的な充電特性を示す線図である。 この発明における蓄電池の充電動作の説明図である。 この発明の動作説明に使用する給電系統図である。 この発明の動作説明に使用する電気推進システムの推進特性図である。 この発明の第1の運転動作の説明図である。 この発明の第2の運転動作の説明図である。
図1は、この発明の実施の形態を示す電気推進システムの構成図である。
図1において、10は、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池のような蓄電池Bと、この蓄電池を充電する発電装置DGとで構成したハイブリッド電源である。発電装置DGは、交流発電機Gと、この発電機Gを駆動するディーゼル機関DE等の原動機と、発電機Gの出力の交流電力を直流電力に変換して出力する整流装置RCとを備える。20は、船舶のプロペラ等からなる推進機PRを駆動する交流の推進電動機Mと、ハイブリッド電源10からこの推進電動機Mへ供給される直流電力を交流電力に変換制御し、推進電動機Mを可変速制御するインバータとして構成された電力変換器INVとで構成した電気推進装置である。30は、ハイブリッド電源10の給電路MLを介して給電されるに船舶内の各種の補助機器である。40は、発電装置DGの出力を制御する発電制御装置、50は、電気推進装置20の出力を制御する推進制御装置である。蓄電池B,発電装置DG,電気推進装置20および補助機器30は、ハイブリッド電源10の給電路MLに共通にそれぞれ遮断器S1〜S4を介して接続され、電気推進システムを構成する。
発電制御装置40には、運転指令スイッチCSGから運転停止指令信号OGが、電流設定器VR3から電流設定信号IRが、そして電圧設定器VR4から電圧設定信号VRが加えられ、さらに、電流検出器SHGおよび電圧検出器VDGにより検出された発電装置DGの出力電流IGおよび出力電圧VGに基づいて、発電機界磁FGに供給する界磁電流IFを制御して発電機Gの整流装置RCを介して出力される出力電圧VGを電圧設定器VR4で設定された電圧に保つ制御を行う。この発電制御装置40は、この他に、電流検出器SHBおよび電圧検出器VDBにより検出した蓄電池Bの出力電流IBおよび端子電圧VDB、ならびに電流検出器SHAXおよび電圧検出器VDAXにより検出した補助機器30の入力電流IAXおよび入力電圧VAXが入力されており、蓄電池Bの電流制御も行う。
推進制御装置50には、電気推進装置20に対する操作指令器CSMから停止、前進、後進を示す運航指令信号OMが、速度設定器VR1から速度設定信号NSが、そして制限電圧設定器VR2から制限電圧設定信号VLが加えられる。また、電力変換器INVのハイブリッド電源10の給電路MLに接続された入力端P、Nに接続された電圧検出器VDMおよび電流検出器SHMにより電力変換器INVの入力端PNに加わる電圧V3および推進装置に流れる電流IMが検出され、推進制御装置50に加えられる。そして速度検出器TDにより検出された推進電動機Mの回転速度nが推進制御装置50に帰還される。
船舶の運航指令は、推進制御装置50に設けられた操作指令器CSMを停止および前進、後進の指令位置に切替えることにより発令され、前進および後進の速度は、速度設定器VR1から指令される。推進制御装置50は、基本的には、これらの入力信号に基づいて、速度検出器TDにより検出された推進電動機Mの実際の回転速度(船体速度)nが、速度設定器VR1で設定された速度設定値NSと一致するように制御信号を形成してこれを電力変換器INVに与える。これに応じて、電力変換器INVが、ハイブリッド電源10から推進電動機Mに供給される電力の変換および供給の制御を行うことにより、推進機PRを駆動する推進電動機Mの回転速度nを設定速度NSに制御し、船舶を指令された速度で運航することができる。
蓄電池Bの充電量が少ない状態では、発電装置DGを運転し、この発電装置DGで発電される電力で、蓄電池Bを充電するとともに、発電装置DGから電気推進装置20および船内の補助機器30に給電し、船舶の運航を行う。
船舶の運航中に、減速、停止または前・後進切替え等の減速を伴う操作が行われると、電気推進装置20の推進電動機Mに作用する船舶等の慣性力により回生電力が発生し、この回生電力が電力変換器INVからハイブリッド電源10の給電路MLに回生され、主として蓄電池Bに充電して回収することにより、船体に制動力を加えられ、減速が速められる。
このような電気推進システムにおいては、発電装置DGで蓄電池Bを充電しながら電気推進装置20および補助機器30に給電して運航するモード(ハイブリッド運航モード)、蓄電池Bだけから電気推進装置20および補助機器30に給電して運航するモード(蓄電池運航モード)、および何らかの理由で蓄電池Bが給電路MLから断路された状態で発電装置DGのみから電気推進装置20および補助機器30に給電して運航するモード(発電装置運航モード)がある。
このような電気推進システムの各運航モードにおいて、推進制御装置50は、この発明にしたがって、減速、停止、または前進・後進切り替え指令に基づいて電気推進装置20に回生動作が発生したとき、これを検知して、制限電圧設定器VR2に設定された制限電圧設定値VLに基づき、電圧制限手段が動作し、電力変換器INVのハイブリッド電源側の入力端PNの電圧V3が設定された制限電圧VLを越えないように電力変換器INVの電圧制限動作を行う。
次に、この発明で使用する推進制御装置における電圧制限手段の具体的な実施例について説明する。
図2にこの発明の第1の実施例を示す。
電気推進システムの基本的構成は、図1に示すシステムと同じであるので、異なる点について説明する。
推進制御装置50は、速度指令部51と速度制御部52を有する。速度指令部51は、速度設定器VR1に設定された速度設定値NSを予め定めた運転パターンに基づく時間変化率で変化する速度指令信号NSSに変換して、速度指令信号NSSと推進電動機Mの速度検出器TDから帰還される実際速度信号nとの偏差を演算する加算器aを介して速度制御部52に加える。
この実施例においては、さらに、電気推進装置20が回生動作を開始したことを検出するために速度判別器53が設けられている。速度判別器53は、速度設定器VR1に設定された速度設定値NSと速度検出器TDから帰還される推進電動機Mの速度実際値nとを比較してNS<nとなったことを検出する。電気推進装置10では速度実際値nが速度設定値NSより大きくなると減速制御が行われ、回生動作が開始されるので、NS<nを検出することにより、電気推進装置10の回生動作開始を検知することができる。このため、速度判別器53は、NS<nとなったときに、出力接点53aをオンにして、制限電圧設定器VR2に設定された制限電圧設定値VLを速度制御部52に与えるように動作する。
このように、速度判別器53が、実際速度nが設定速度NSより大きくなったことにより回生動作の開始を検知して、速度制御部52に制限電圧設定値VLが与えられると、速度制御部52は、電圧制限動作を開始する。すなわち、電圧検出器VDMにより検出した電力変換器INVの入力端PNの電圧VMと、制限電圧設定値VLとを比較して、入力端電圧VMが制限電圧設定値VLを越えないように、電力変換器INVの回生動作を制御する。これにより、ハイブリッド電源10の蓄電池Bの充電状態に関係なく、電気推進装置20の電力変換器INVからハイブリッド電源10へ回生される電力が制御され、電力変換器INVの入力端PNの電圧V3、したがってハイブリッド電源10の給電路MLの電圧が設定された制限電圧VLを越えることなくこの電圧以下に制限されるようになる。
このため、船舶の減速運転により電気推進装置20がハイブリッド電源10へ電力回生を行う際に、蓄電池Bの充電状態に関係なく、常に給電路MLの電圧V3を設定された制限電圧以下に保つことができるので、制限電圧VLを電気システムの規定電圧100%Vに設定しておくことにより、給電路MLに接続された蓄電池B、発電装置DG,電気推進装置20および補助機器30等の全ての機器を100%V以上の過電圧に晒すことがなくなり、船舶の運航の安全を確保することができる。
図3は、この発明に使用する推進制御装置50の電圧制限手段の第2の実施例を示すものである。
この実施例2においては、電圧制限手段の回生動作検知手段として、実施例1における速度判別器53の代わりに、電流検出器SHMにより検出される電気推進装置20の入力電流IMの極性を判別する電流判別器54が設けられる。電気推進装置20に流れる電流IMは、ハイブリッド電源10から推進電動機Mを駆動する、いわゆる力行時にはハイブリッド電源10側から電気推進装置20側へ正極性の電流が流れ、回生動作時には電気推進装置20側からハイブリッド電源10側へ反対方向に負極性の電流が流れる。
そこで、電流判別器54により電気推進装置20に流れる電流IMの方向、すなわち極性を監視し、電流IMが、IM<0となることを検知することにより電気推進装置20の回生動作開始を検知することができる。電流判別器54は、推進装置電流IMがIM<0になったことを検知すると、出力接点54aをオフからオンにして、制限電圧設定器VR2に設定された制限電圧設定値VLを速度制御部52に入力する。これにより、速度制御部52は、減速指令などにより電気推進装置20で回生動作が開始されると、電力変換器INVの入力端PNの電圧V3が制限電圧VLを超えないように電圧制限動作をする。
これにより、電気推進装置20で回生動作が行われても、電力変換器INVのハイブリッド電源10側の入力端電圧V3、したがって給電路MLの電圧が制限電圧VL以下に保たれるため、この給電路MLに接続された蓄電池B、発電装置DGおよび補助機器30等の全ての機器は、規定電圧(100%V)以上の過電圧にさらされることが防止される。
図4に、この発明に使用する推進制御装置50の電圧制限手段の第3の実施例を示す。
この実施例3の装置は、推進制御装置50において、電気推進装置20の回生動作を検知することなく電圧制限動作を行うようにするものである。
このため、この実施例3では、制限電圧設定器VR2に設定された制限電圧設定値VLが直接速度制御部52に入力される。そして、制限電圧設定器VR2に設定される制限電圧設定値VLは、ハイブリッド電源10の規定電圧(100%V)より若干高い電圧100+α%Vに設定する。ここで、αは例えば規定電圧の5%程度の電圧(5%V)に選定する。ハイブリッド電源10の給電路MLの電圧が100+α%Vまで上昇してもこれに接続された機器に支障が生じないようにする。
このような実施例3においては、ハイブリッド電源10から電気推進装置20へ駆動電流を供給して力行運転を行う場合は、電気推進装置20の電力変換器INVの入力端PNの電圧V3は、ハイブリッド電源10の蓄電池Bまたは発電装置DGの規定の出力電圧に規制されるので、100%V以上の電圧になることはない。しかし、船舶の減速運転にともなって電気推進装置20が回生動作を始めると、電気推進装置20側から、ハイブリッド電源10側へ、回生電流が流れ、蓄電池Bに充電されるため、電力変換器INVの入力端電圧V3は100%V以上の電圧に上昇する。
このように、電気推進装置20の回生動作にともなって、電力変換器INVの入力端電圧V3が100%V以上の電圧に上昇して設定された制限電圧VLを超えると、推進制御装置50の速度制御部52が電力変換器INVを制御して入力端電圧V3がVLを越えないように電圧制限動作を行うので、電力変換器INVの入力端電圧V3は、100+α%V(105%V)以下に保たれる。このため、給電路MLに接続された機器が過電圧により支障をきたすことはない。
このようなこの発明の電気推進システムおける運航モードには、蓄電池Bのみからの給電により運航を行う蓄電池運航モード、発電装置DGで蓄電池Bを充電しながら運航を行うハイブリッド運航モードと、さらに、何らかの理由で蓄電池を断路状態にして発電装置DGのみから給電して運航を行う発電装置運航モードがある。
蓄電池Bのみで運航する蓄電池運航モードでは、発電装置DGの出力端電圧V2など電路MLの電圧は、蓄電池Bが満充電状態では蓄電池電圧VBが高いので高くなり、蓄電池Bの残存充電量が少ない状態では低くなる。
また、発電機装置DGで蓄電池Bを充電しながらのハイブリッド運航モードにおいては、充電初期の蓄電池Bの残存充電量の少ない状態では発電装置DGの出力端電圧V2など給電路電圧が低く、満充電に近い状態では発電装置DGの出力端電圧V2など給電路電圧が高くなる。
このように、電気推進装置20は様々給電路電圧の下で運転され、かつ、減速、または、停止操作のときには、電力変換器INVの回生動作によって推進電動機Mの回生電力が蓄電池Bに充電電流として回生されることにより、蓄電池電圧VBが大きく変化する。
推進電動機Mの回生電力は、船体慣性エネルギと推進電動機慣性エネルギの合成で示され、かつ、回生電力は推進電動機Mおよび船体に制動力として作用するから、制動時間したがって回生時間は、船体質量が大きいほど、そして回転速度が高いほど長くなり、さらに、海流や風などの気象条件にも左右される。
一方、回生電流は充電電流として蓄電池Bに流れ込むが、回生電流が一定であっても蓄電池電圧VBは蓄電池Bの充電状態によって大きく変化する。
蓄電池Bの充電状態と充電電流と電圧の関係を示す特性図の一例を図5に、また、回生動作時の蓄電池の充電特性の一例を図6示す。
蓄電池Bの充電は、通常の場合、図5に特性線Aに示すような3段定電流充電法が用いられる。図5は、縦軸に蓄電池電圧VB(%V)をとり、横軸に充電電流IB(C)をとって充電電流−電圧特性を示すものである。Q1〜Q12は、蓄電池の充電量(%Q)を示すパラメータ線である。蓄電池電圧VBは定格電圧Vに対する比(%)で示し、充電電流IBはC=充電電流(A)/蓄電池充電容量(Ah)として表されるCレートで示している。Cレートは、充電容量が10Ahの電池を、10Aの電流で充電すると1C、5Aの電流で充電すると0.5Cと表わされる。そして、充電量Qも定格の充電量Qに対する比(%)で示している。このような表示は以下においても同じである。
図5に示すように、1段目の充電は、0.3Cの充電電流で充電を行う。これにより蓄電池の充電量QがQ1〜Q5のように上昇し、蓄電池電圧VBがC1〜C5点の電圧に上昇する。
充電電圧VBが80%V以上のVS2となるC5点に達したら、充電電流を0.15Cに下げて2段目の充電を行う。これにより、蓄電池の充電量QがQ6〜Q7へ増加し、蓄電池電圧VBはC6〜C7点の電圧へ上昇する。
蓄電池電圧VBがほぼ90%VとなるC7点の電圧VS3に到達したところで、充電電流を0.05Cに低減して、3段目の充電に移行する。3段目の充電により、蓄電池充電量QがQ8〜Q10(100%Q(満充電))に至り、蓄電池電圧VBはC8〜C10(100%V)点の電圧に上昇したところで充電を完了する。
蓄電池の各充電状態において、例えば、1段目の蓄電池充電量Q2(20%Q)〜Q5(50%Q)の状態において過大な充電電流1Cを流した場合には、蓄電池電圧VBはB1〜B7点の範囲で上昇するが100%Vは超えない。
蓄電池充電量Q7(70%Q)の状態での2段目の充電で、充電電流1Cを流した場合には、蓄電池電圧VBは100%Vになる。
さらに、蓄電池充電量がQ7以上の状態で充電電流1Cを流したとすれば、蓄電池電圧VBは100%Vを超えてOB8、OB9、OB10点の電圧になるから、蓄電池電圧VBは規定の100%Vを超えることになる。
図6は、図5を基にして作成した発電装置DGによる通常充電動作と、電気推進装置20の回生動作による充電動作を示している。
図6に示すように、蓄電池Bが3段定電流充電法によって充電されると、蓄電池電圧VBは充電特性線CにしたがってC2点の電圧からC5〜C7〜C10点の電圧に上昇する。
このとき、3段定電流充電による充電電流より大きな充電電流1Cを流したとすれば、蓄電池電圧VBは特性線BB上のB2B〜B5B〜B7B〜B10B点の電圧になり、B7B点以上では規定電圧の100%Vを超える。
回生動作における回生電流を規定の蓄電池電流1Cと同じ電流値と仮定すれば、電力変換器INVのハイブリッド電源側の入力端電圧V3(図1参照)は特性線B上のOB10点の電圧まで上昇し、蓄電池電圧VBは電路抵抗×回生電流によって生じる電圧降下分だけ低い特性線BBで示す電圧になる。
しかし、この発明では、前記したように、回生動作時の電力変換器の入力端電圧V3の上限値を、特性線Eで示すように通常充電動作時の最大電圧のC10点の電圧である100%Vに電圧制限しているので、蓄電池電圧VBは、特性線Eより電路抵抗で生じる電圧降下分だけ低い特性線D上の電圧になるから、100%Vを越えることはないのである。
なお、図6において、特性線Fは、電圧制限動作中の回生電流、したがって蓄電池Bの充電電流の変化を示すものである。
次に、前記の電気推進システムの各運航モードにおける回生動作による蓄電池の充電動作の詳細を説明する。
(1)蓄電池運航モード
蓄電池運航モードは、蓄電池のみで運航するモードである。
この運航モードでは、ハイブリッド電源10の発電装置DGの運転が停止される。このときは、図1における遮断器S2を遮断(オフ)して、発電装置DGを給電路MLから切り離し、遮断器S1、S3およびS4を投入(オン)して、蓄電池B、電気推進装置20および補助機器30を給電路MLに接続し、蓄電池Bから電気推進装置20および船内の補助機器30に給電して、船舶の運航が行われる。
この状態における電気推進装置20の通常の力行運転では、図7の給電回路に示すように、蓄電池Bから電池放電電流IBDが補助機器30および電気推進装置20に供給される。補助機器30に供給電流IAXが流れるので、電気推進装置20には、蓄電池Bから出力される電池放電電流IBDから補助機器30への供給電流IAXを差し引いた駆動電流IMB=IBD−IAXが供給される。補助機器30への供給電流IAXは電気推進装置20の駆動電流IMBの10%程度となる。
ここでは発電装置DGの出力電流IGが0Aであるから、船舶の減速動作に伴って電気推進装置20に発生する回生電流IMBBは、図7に示すように電路の抵抗R3−R2−R1を介して蓄電池Bへ充電電流IBCB=IMBB−IAXとして流れるとともに補助機器30にも供給電流IAXとして分流する。このときの電気推進システムの蓄電池Bの端子電圧VBおよび補機機器30への分岐点電圧V1、発電装置DGの出力端電圧V2ならびに電気推進装置20のハイブリッド電源側の入力端電圧V3は、次のような関係となる。
V2=V3−(IMBB×R3) ・・・(1)
V1=V2−(IMBB×R2) ・・・(2)
VB=V1−(IMBB−IAX)×R1 ・・・(3)
したがって、電気推進システムの給電路の各部の電圧は、V3>V2>V1>VBの関係になる。
上記(1)〜(3)式より、回生電流IMBBは(4)式のように表わすことができる。
IMBB=(V3−VB+IAX×R1)÷(R1+R2+R3) …(4)
そして、(4)式より、蓄電池Bへの充電電流IBCB(=IMBB−IAX)は(5)式のように表わすことができる。
IBCB=(V3−VB−IAX×(R2+R3))÷(R1+R2+R3)
…(5)
ここで、例えば力行電流100%Aと同程度の大きな回生電流IMBBが流れ、この回生電流IMBBに対し補助機器30への供給電流IAXが十分に小さく、(5)式において「IAX×(R2+R3)」の項が「V3−VB」の項に対して十分に小さいと見なすことができる場合、また、回生電流IMBBによる蓄電池Bの充電電流IBCBは、(6)式のように表わすことができる。
IBCB=(V3−VB)÷(R1+R2+R3) ・・・(6)
また、蓄電池Bの端子電圧VBは(7)式のように表わすことができる。
VB=eB+(IBCB×RB) ・・・(7)
ただし、(7)式においてeBは蓄電池Bの内部起電圧、RBは蓄電池Bの内部抵抗である。
(6)、(7)式から明らかなように、充電電流IBCBは、電力変換器INVの入力端電圧V3と蓄電池内部起電圧eBとの差電圧によって決まり、蓄電池Bには、
IBCB=IMBB−IAX ・・・(8)
の充電電流が流れるから、電力変換器INVの入力端電圧V3をこの発明にしたがって制限電圧VL以下に制限することによって回生電流IMBBが制限され、充電電流IBCBも制限されることになる。
また、電路の他の部分の電圧V2、V1,VBはV3より低いから、V3を所定の制限電圧以下の電圧に制限すれば電路電圧が過電圧になることはない。
(2)ハイブリッド運航モード
この運航モードでは、遮断器S1〜S4を投入(オン)し、蓄電池B、発電装置DG、電気推進装置20および補助機器30が給電路MLに接続される。発電装置DGを立ち上げ、その発電電力により蓄電池Bを充電しながら、電気推進装置20および船内補助機器30へも給電して船舶を運航する。蓄電池Bの充電は、前記した定電流充電法または定電圧充電法の2つの方法によって行われる。このような充電しながらの運航のときに電気推進装置20で回生動作が起きた場合は、次に示すように、前記の蓄電池運航モードとは異なる動作となる。
(2−1)定電流充電航走中に回生動作が発生した場合
発電装置DGの出力電流IGは、図7に点線で示すように各部へ流れる。
通常、発電装置DGは電気推進装置20の電力変換器INVへ推進機駆動電流IMGを供給し、また、補助機器30および蓄電池Bへ電流IBGを供給する。蓄電池Bには、この電流IBGから補助機器30への電流IAXを差し引いた電流(IBG−IAX)が充電電流IBCとして流れる。
定電流充電は充電電流IBCを一定電流として蓄電池を充電する方法であるから、発電装置DGを制御する発電制御装置40の電流設定器VR3(図1参照)に設定した所定の充電電流設定値IRと、蓄電池電流検出器SHBで検出した蓄電池電流実際値IBCとを比較して蓄電池電流IBCが設定電流IRになるように、発電制御装置40で発電装置DGの発電機Gを制御する。
定電流充電を行いながら航走しているときに回生動作が発生すると、蓄電池Bおよび補助機器30の側には発電装置DGからの電流IBGと電力変換器INVからの回生電流IMBBが加算して供給されるので、蓄電池BにはIBCB=IMBB+IBG−IAXの充電電流が流れる(図7参照)。
充電電流IBCBは電流検出器SHBで検出されるから、発電制御装置40の定電流充電制御手段は実際の充電電流IBCが設定した電流設定値IRより大きくなったと判断し、発電機出力電流を減少させる方向に動作する。
例えば、回生動作により回生動作前の充電電流IBCよりも小さい充電電流分IMBB−IAXが蓄電池Bに流れ込むとすれば、発電制御装置40は発電装置DGから蓄電池Bへの供給電流をIBC−(IMBB−IAX)に抑制し、蓄電池Bには回生動作による充電電流分と合わせて回生動作前の充電電流IBCと同じ大きさの充電電流が供給されるようにする。
また、回生動作により回生動作前の充電電流IBCと同じ大きさの充電電流分IMBB−IAXが蓄電池Bに流れ込むとすれば、発電制御装置40は発電装置DGから蓄電池Bへの供給電流を0Aに抑制することになり、この結果、蓄電池Bには電気推進装置20からの回生動作による充電電流分IMBB−IAXのみが供給されることになる。
また、さらに回生動作により回生動作前の充電電流IBCよりも大きい充電電流分IMBB−IAXが蓄電池Bに流れ込むとすれば、発電制御装置40の定電流充電制御手段の制御動作は発電機電圧VGを下げる方向に飽和して発電機電圧VGが0Vにクランプされる結果、整流装置RCがブロック状態になり、発電機出力電流IGは0Aにホールドされた状態となる。なお、回生動作が無くなれば、上記のような整流装置RCがブロックした動作状態は元の動作状態に戻る。
このように、定電流充電航走中に回生動作が発生したときは、そのときの回生電流の大きさにもよるが、回生電流が例えば力行電流100%Aと同程度の大きい電流であって、回生動作により回生動作前の充電電流IBCよりも大きい充電電流分IMBB−IAXが蓄電池Bに流れ込むようなときには、上記のように整流装置RCがブロック状態になり、発電装置DGからの充電電流は0Aになって、蓄電池Bには電気推進装置20からの回生電流による充電電流のみが流れるから、電力変換器INVの入力端電圧V3を所定電圧以上にならないように制限すれば発電装置DGの出力端電圧V2など電路電圧が過電圧になることはなく、また、蓄電池Bに過大な充電電流が供給されることもない。
(2−2)定電圧充電航走中に回生動作が発生した場合
定電圧充電は充電電圧VBを一定にして蓄電池を充電する方法であるから、図1における発電制御装置40の電圧設定器VR4に所定の充電電圧設定値VRを設定することにより、蓄電池電圧検出器VDBで検出された蓄電池電圧実際値VBが、この電圧設定値VRになるように発電制御装置40が発電機Gを制御し、蓄電池電圧VBが一定に保たれるようにする。これによって蓄電池Bは、発電装置DGによって一定電圧で充電される。
定電圧充電を行いながら航走しているときに、回生動作が発生すると、蓄電池Bには発電装置DGからの供給電流IBGと電力変換器INVからの回生電流IMBBが加算して供給されるので、蓄電池BにはIBCB=IMBB+IBG−IAXの充電電流が流れる(図7参照)。
通常の定電圧充電動作は、発電装置電圧V2とVBの電圧差によって充電電流IBCを供給するが、蓄電池電圧VBは回生動作による回生電流IMBBが加算されることにより上昇するので、蓄電池検出電圧VBが蓄電池充電電圧設定値VRより高くなるため、発電制御装置40は発電機Gの電圧を下げるよう制御する。
そして、このときの回生電流が大きい電流であるときは、発電制御装置40の定電圧充電制御手段の制御動作は発電機電圧VGを下げる方向に飽和して発電機電圧VGが0Vにクランプされる結果、整流装置RCがブロック状態になり、発電機出力電流IGは0Aにホールドされた状態となる。なお、回生動作が無くなれば、上記のような整流装置RCがブロックした動作状態は元の動作状態に戻る。
このように、定電圧充電航走中に回生動作が起きたときは、そのときの回生電流の大きさにもよるが、回生電流が例えば力行電流100%Aと同程度の大きい電流であるときは、上記のように整流装置RCがブロック状態になり、発電装置DGからの充電電流が0Aになって、蓄電池Bには電気推進装置20からの回生電流による充電電流のみが流れるから、電力変換器INVの入力端電圧V3を所定電圧以下になるように制限すれば電路電圧が過電圧になることはなく、また、蓄電池に過大な充電電流が供給されることもなくなるのである。
以上説明したように、電気推進システムにおいて、発電装置DGによる定電流充電航走中、または定電圧充電航走中に電気推進装置20に回生動作が発生した場合であって、その回生電流が例えば力行電流100%Aと同程度の大きい電流であった場合でも、蓄電池には通常動作の充電電流と回生動作による充電電流とが加算されて流れ込むことはなく、発電装置DGから蓄電池への充電電流の供給は停止され、回生電流のみが蓄電池Bに供給されるので、この発明にしたがって電力変換器INVの入力端電圧V3を規定電圧以下に制限すれば、電路電圧が規定電圧以下に保たれるので、過電圧になることはなく、過大な充電電流が流れることもない。
(2−3)蓄電池が断路されていて発電装置のみで運航するモード
この運航モードは、図1に示す蓄電池回路に設けた断路器DSを切断した状態で、発電装置DGから電気推進装置20、および船内の各種補助機器30へ電力を供給して運航するモードである。
この運航モードで回生動作が発生した場合、発電装置DGは整流器RCのブロック作用によって回生電力の吸収ができないので、回生電力は補助機器30によって吸収されることになる。しかしながら、船内の補助機器30の容量は、全部の機器の容量を加算しても電気推進装置20の容量の1/10程度であるから電気推進装置20の回生電力を十分に吸収することができない。
このように、電気推進装置20からの回生電力を補助機器30で十分吸収できないと、電力変換器INVの入力端電圧V3を制限しなければ、この入力端電圧V3が異常に上昇し、引いては発電装置DGの出力端電圧V2など給電路MLの電圧が過電圧となる。
しかしながら、この発明においては、電力変換器INVの入力端電圧V3を予め設定した所定の制限電圧以上にならないように制限しているので、発電装置DGの出力端電圧V2など電路電圧の異常上昇が防止され、電路電圧が過電圧になることはない。
ここで、この発明の電気推進システムを搭載した船舶の具体的な運航動作を図8ないし図10を参照して説明する。
図8は電気推進システムによる船舶の推進特性の例を示すものである。また、図9は、船舶を停止状態から前進―停止指令をおこなった場合の電気推進システムにおける各部の電圧、電流および信号の時間的変化を示すタイムチャートである。図10は船舶の前進から後進への切り替え操作を行ったときの電気推進システムにおける各部の電圧、電流および信号の時間的変化を示すタイムチャートである。
ここでは図2に示す電気推進システムを例にして、まず、停止状態から前進−停止指令時の運航動作を説明する。
図9のt0時点で、推進制御装置50の速度設定器VR1に速度指令値NS(NS=100%N)を設定し、図9(a)に示すように、操作指令器CSMを前進に操作すると、速度指令部51から、図9(b)に示すように、0から100%Nまで所定の時間変化率で上昇する速度指令信号NSSが発生され、この速度指令信号NSSに従って、速度制御部52が電力変換器INVを制御することによって推進電動機Mの回転速度(したがって船体速度)nが図9(c)に示すように前進方向に100%Nに向かって上昇する。
船体が進行を始める初期状態では、推進電動機Mに流れる電流は、図8に特性線Aとして示すデッドプル状態の推進特性にしたがって流れ、図9(e)に示すように次第に増加する。
図9のt2時点で、図8に示す推進特性線A上の点1の力行電流100%Aよりやや高い電流制限レベルIMLに達する。なお、この電流制限レベルIMLは通常例えば105〜110%程度のレベルに設定される。
推進電動機Mの回転速度および船体速度nが徐々に加速するにしたがってデッドプル状態が解消されて推進負荷が減少し、図8に示す推進特性線がAから定常航走時推進特性線Bの方向へ移動する。ここで、図8における点2を通る特性線(細い点線)は、加速途中特性、すなわち、デッドプル状態の推進特性(特性線A)から定常航走時の推進特性(特性線B)へ移行する過程の推進特性を示している。
これにより、推進電動機Mの回転速度および船体速度nが、推進電動機Mの力行電流IMが制限電流IMLから解除されて減少し始める速度NUとなる、図9のt4時点に至ると、推進電動機動Mの動作点が図8の点1から点2へ移り電流制限動作が解除され、駆動電流IMが減少を始める。さらに船体速度nが加速して指令速度の100%Nに達する(図9のt5時点)と、推進電動機Mの駆動電流IMは100%Aとなり、動作点が図8における点3へ移行し、定常航走状態となる。
この定常航走状態から図9におけるt11時点で、操作指令器CSMを停止に操作して停止を指令すると、速度指令NSSは図9(b)に示すように、所定の時間変化率で減少し、t12時点で0になるが、船体速度は、船体の慣性にしたがってこれより遅れて徐々に低下し、プロペラ推進機PRに結合された推進電動機Mの回転速度は船体速度に追従して低下する(図9(c)参照)。
このときの推進電動機Mの回転速度実際値nは回転速度検出器TDで検出され、図2の加算演算器aにフィードバックされるが、速度指令NSSはすでに0になっているので回転速度実際値nが速度指令NSSより大きくなり、推進電動機Mを速やかに停止させて回転速度が0になるよう電力変換器INVが回生動作を開始する。そして、NSS<nが速度判別器53によって判別され、出力接点53aをオンにして、制限電圧設定器VR2に設定された制限電圧設定値VLを速度制御部52に与えることにより、電圧制限動作が実行されるようになる。
このとき、蓄電池Bの充電量が図5のQ7(70%Q)以上であると仮定すれば、図9(e)に示すように推進電動機Mから大きな回生電流が発生され、蓄電池Bに充電電流として供給されるので、蓄電池電圧VBは図9(d)に示すように上昇する。
t13時点で、図9(d)に示すように電力変換器INVのハイブリッド電源10側の入力端PNの電圧V3が制限電圧VLに達し、船体速度または推進電動機速度が速度NX1に達するようになる。これ以後は、速度制御部52(図2)が電圧制限動作を実行し、電力変換器INVを、入力端電圧V3が制限電圧VLを超えないよう制御するから、蓄電池Bに流れる回生電流(充電電流)IBCBは図8の特性線Dおよび図9(e)に示すように減少する。
さらに、推進電動機Mの回転速度が、電力変換器INVの入力端電圧V3が制限電圧VLから低下を始める速度NX2となる(図9のt14時点および図8の6点)。その後は、電圧制限動作が解除された状態での回生制動力にしたがって船体速度および回転速度nおよび回生電流が減少し、t15時点で停止に至る(図9(c)および(e)参照)。
仮に、回生動作中に電力変換器INVの入力端電圧V3の電圧制限動作が行われない場合には、入力端電圧V3は図9(d)のVXまで上昇する結果、発電装置DGの出力端電圧V2など給電路MLの電圧が上昇し、電気推進システムを構成する電気機器・装置の印加電圧が過電圧となり、過電圧保護機能を備えた機器・装置は運転を停止し、また、過電圧保護機能を備えない機器・装置では過電圧による障害を発生して電気推進システムに重大な支障を与えることになる。
しかし、この発明によれば、回生動作による電力変換器INVの入力端電圧V3を予め設定した制限電圧を超えないように制御することにより、電気推進システムを構成する電気機器・装置が過電圧に晒されるのを防止すようにしているため、安定動作を確保し、電気推進船舶の運航の安全性を高めることができる。
次に、前進運航中に危険回避等のために後進運航に切り替える際の動作について図10を参照して説明する。
全速前進運航中に、図10のt21時点で、操作指令器CSMを前進から後進に切り替えて後進運航を指令すると、速度指令部51(図2参照)は、速度指令信号NSSを予め定められた時間変化率で100%Nから0へ減少し、しばらく0に保持する信号を発生し、速度制御部52に与える(図10(b)参照)。これにしたがって速度制御部52は、電力変換器INVを減速制御するので、推進電動機Mの回転速度、したがって船体速度nが図10(c)に示すように低下する。
この減速動作によって電力変換器INVでは、前記した図9に示す前進−停止指令の場合と同じように回生動作が発生し、回生電流を蓄電池Bに充電して制動力を得るため、電力変換器INVの入力端電圧V3および蓄電池電圧VBが上昇する。
しかし、この場合にも、前記同様に、電力変換器INVの入力端電圧V3が、制限電圧設定器VR2で設定された制限電圧設定値VLを超えないように速度制御部52が電圧制限動作を行うので、推進電動機Mの速度または船体速度nが電力変換器INVの入力端電圧V3が制限電圧VLを越える速度NX1〜NX2(図10のt23〜t24)の範囲において制限電圧VLに保たれ、推進電動機Mの回生電流を減少させて回生制動を行う。そして、t24時点以降は、速度の低下とともに電力変換器INVの入力端電圧V3および回生電流が減少するので、t25時点で速度nおよび回生電流が0にとなる(図10(d)および(e))。
速度nが0となると、後進運航が開始され、速度指令部51は、図10(b)に示すように所定の時間変率で後進方向の設定速度、例えば−100%Nに向かって増加する速度指令信号NSSを発生する。この指令にしたがって推進電動機Mおよび船体速度nは、後進方向に、設定された速度−100%Nまで増速され、船体は後進する。
この運航モードにおいても、回生動作による減速中に、電圧制限動作により給電路MLの電圧が制限電圧以下に抑えられるため、給電路に接続された電気推進システムを構成する機器および装置を過電圧に晒すことがないので、船舶の安全な運航を行うことができる。
10 :ハイブリッド電源
B :蓄電池
DG :発電装置
20 :電気推進装置
INV:電力変換器
M :推進電動機
PR :推進機(プロペラ)
30 :補助機器
40 :発電制御装置
50 :推進制御装置
CSM:操作指令器
VR1:速度設定器
VR2:制限電圧設定器

Claims (5)

  1. 発電装置とこの発電装置により充電される蓄電池からなるハイブリッド電源と、船舶の推進機を駆動する推進電動機とこの推進電動機へ供給される電力を変換制御して前記推進電動機を可変速制御する電力変換器からなる電気推進装置とを備え、前記ハイブリッド電源から前記電気推進装置および船舶の各種の補助機器に共通の給電路を介して給電するように構成した船舶の電気推進システムにおいて、前記電気推進装置を操作指令に従って制御する推進制御装置に、前記電気推進装置から前記ハイブリッド電源へ回生する電力の電圧が、予め設定した所定の制限電圧を超えないように制御する電圧制限手段を設けたことを特徴とする船舶の電気推進システムの推進制御装置。
  2. 請求項1に記載の電気推進システムにおいて、前記電圧制限手段は、前記ハイブリッド電源の蓄電池が断路され発電装置の発生電力で運航している状態においても、前記電気推進装置の電圧制限動作を行うことを特徴とする船舶の電気推進システムの推進制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の電気推進システムにおいて、前記電圧制限手段は、前記電気推進装置で回生動作が行われたときに前記電力変換器のハイブリッド電源側の入力端の電圧を制限する動作を行うようにしたことを特徴とする船舶の電気推進システムの推進制御装置。
  4. 請求項2または3に記載の電気推進システムにおいて、電気推進装置への設定指令速度と実際の速度とをの比較することによって回生動作を検出することを特徴とする船舶の電気推進システムの推進制御装置。
  5. 請求項2または3に記載の電気推進システムにおいて、前記電気推進装置の電力変換器の受電端に流れる電流の極性を判別することにより回生動作を検出することを特徴とする船舶の電気推進システムの推進制御装置。
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