JP2011235422A - 剥離ヘア除去装置及び剥離ヘア除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エナメルヘア除去装置1は、コンビーフ缶6を搬送するマグネットコンベア11と、エナメルヘア63を吸引するための吸引用流路213を有し、コンビーフ缶6からエナメルヘア63を掻き取るセグメント式ロールブラシ2と、吸引用流路213と連通し、エナメルヘア63を吸引して排出する吸引用ダクト5とを備え、コンビーフ缶6からエナメルヘア63を除去する構成としてある。
【選択図】 図2
Description
なお、本明細書では、缶から剥離した糸状やヘア状の物体を、その材質などにかかわらず、剥離ヘアと総称する。
次に、コンビーフ缶やコンビーフ缶のエナメルヘアなどについて説明する。
印刷膜の塗布された金属板は、製缶工程において、まず、打ち抜き加工によって、所定の形状に切断される。この打ち抜かれた金属板は、平板状である。
次に、打ち抜かれた金属板は、印刷面に、スコアカッターを回転させながら押し込むことにより、四本のスコアが形成される。各スコアは、線状の溝であり、たとえば、溝の断面は、逆さにしたほぼ三角形状であり、また、溝の幅は約0.1mmである。
さらに、スコアのエッジ部(溝の斜面の上側縁部)やスコアの中央部(溝の斜面の下側縁部)に沿って、印刷膜にひび割れなどが発生する場合がある。かかる場合は特に、また、ひび割れなどが発生していない場合であっても、スコア加工後の曲げ加工や搬送時のシュートとのこすれなどにより、スコアの印刷膜が糸状に剥離し、数mm〜約30mmの長さのエナメルヘアが発生する。
次に、コンビーフ缶のエナメルヘアを除去するための、従来例にかかるエナメルヘア除去装置について、図面を参照して説明する。
図5は、従来例にかかるエナメルヘア除去装置の要部の概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はD−D拡大断面図を示している。
図5において、剥離ヘア除去装置としてのエナメルヘア除去装置101は、マグネットコンベア11、一対のチャンネルブラシ102、及び、一対の吸引用ダクト105などを備えている。
なお、エナメルヘア除去工程におけるコンビーフ缶6は、缶胴及び上蓋からなる空缶(コンビーフを充填した後に、底蓋が取り付けられる。)であり、缶胴のほぼ中段部に、上下それぞれ二本のスコア62によって、巻き取り部61が形成されている。
たとえば、特許文献1には、公転するとともに自転し、かつ、缶内に進退可能なブラシを備え、絞り缶(DR缶)のフランジ先端の塗膜ヘア(エナメルヘア)を除去する缶塗膜ヘア除去装置の技術が開示されている。この缶塗膜ヘア除去装置は、ブラシの移動範囲を覆うように塵埃飛散防止用カバーを備えており、除去された塗膜ヘアを吸引し、装置外へ排除する。
たとえば、特許文献2には、熱可塑性樹脂粒子を塗料中に分散させることにより、蓋の成形加工時や開缶時にエナメルヘアの発生を抑制する金属製缶蓋被覆用塗料の技術が開示されている。
また、特許文献3には、塗膜の厚さを鋼板表面凹凸の半分以下にすることにより、フランジ曲げ加工の際、端面にエナメルヘアを発生させることのないフランジ曲げ加工用塗装鋼板の技術が開示されている。
また、特許文献4には、フランジエッジ部に塗料を塗布することにより、エナメルヘアの脱落を防止する金属缶のフランジエッジ部の加工方法の技術が開示されている。
さらに、特許文献5には、フランジ部後端を加工する際、しわ押さえを解放することにより、絞り成形におけるカップ上端部のエナメルヘアの発生を防止する有機被覆金属材の絞り成形法の技術が開示されている。
また、上述したように、スコアカッターの切れ味が悪くなると、エナメルヘアが発生しやすくなるため、スコアカッターの交換及び再研磨を頻繁に行う必要があり、再研磨の費用の削減や生産性の向上などを図ることができないといった問題があった。
また、特許文献2〜5の技術において、エナメルヘアの発生を抑制するために、塗膜の密着性の向上、金属の表面処理改善、加工での工夫などがなされてきたが、エナメルヘアの発生を十分に抑制することができず、上記の課題を解決することは困難であった。
図1は、本発明の一実施形態にかかるエナメルヘア除去装置の要部の概略平面図を示している。
また、図2は、図1のA−A拡大断面図を示している。
図1、2において、本実施形態の剥離ヘア除去装置は、エナメルヘア除去装置1であり、コンビーフ缶6を搬送するマグネットコンベア11と、エナメルヘア63を吸引するための吸引用流路213を有し、コンビーフ缶6からエナメルヘア63を掻き取るセグメント式ロールブラシ2と、吸引用流路213と連通し、エナメルヘア63を吸引して排出する吸引用ダクト5とを備えた構成としてある。
このエナメルヘア除去装置1は、マグネットコンベア11によって搬送されるコンビーフ缶6から、セグメント式ロールブラシ2によってエナメルヘア63を掻き取り、吸引用ダクト5によって除去する。
なお、本実施形態のコンビーフ缶6は、上述した従来例のものとほぼ同様としてある。
搬送手段としてのマグネットコンベア11は、上述した従来例のものとほぼ同様であり、逆さにしたコンビーフ缶6の上蓋を磁力により吸引した状態で搬送する。この際、ほぼ角形缶であるコンビーフ缶6は、長手方向の側面が搬送方向と平行となる向きで搬送される。
また、マグネットコンベア11の両側には、一対のガイドレール12が対向するように設けられており、コンビーフ缶6の向きが変わらないようにガイドする。さらに、本実施形態のガイドレール12は、セグメント式ロールブラシ2などと対応する部分に、後述するヘア除去用部材4が設けられている。
図3は、本発明の一実施形態にかかるエナメルヘア除去装置の回転ブラシを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はB−B断面図を示しており、(c)はC−C断面図を示している。
図3において、回転ブラシは、セグメント式ロールブラシ2としてあり、マグネットコンベア11の両側に対向して配設される。図示の例ではブラシロール21を2個つなげて使用している。すなわち、エナメルヘア除去装置1は、搬送手段がマグネットコンベア11であり、該マグネットコンベア11の両側に、セグメント式ロールブラシ2を配設した構成としてある。これにより、コンビーフ缶6の両側から効率よくエナメルヘア63を除去することができる。また、エナメルヘア除去装置1の全体的な構造を単純化することができ、製造原価のコストダウンを図ることができる。
ブラシ台211は、周面中央部に、回転中心軸に沿った長穴状の三つの開口部214が、周方向に対して等間隔で位置するように形成されている。すなわち、ブラシ台211は、両端部付近の外周面に、全周にわたってブラシ212が植毛されており、また、中央側の外周面には、回転中心軸に沿った直線状の三箇所に(周方向に対して等間隔で位置するように)ブラシ212が植毛されている。
さらに、隣接するブラシ台211どうしは、上記の凹凸を介して係合しているので、それぞれの開口部214の位相を容易に設定することができる。本実施形態では、隣接するブラシ台211の開口部214の位相を一致させているが、これに限定されるものではない。上記の位相を所定の角度、例えば60度異なるようにしてもよい。
なお、ブラシ台211やブラシ212は、通常、樹脂製である。
また、シャフト23は、ブラシロール21の開口部214と対応する位置の直径が、ブラシ台211の内径(たとえば、20mm)より小さく(たとえば、14mm)なっており、この部分の外周面とブラシ台211の内周面との間に、筒状スペース215が形成される。さらに、シャフト23は、通常、金属製である。
なお、上記の筒状スペース215は、ブラシ台211に中ぐり加工を行うことによって形成されてもよい。
本実施形態では、スプロケット33は、図示してないが、チェーンなどを介してマグネットコンベア11の駆動軸などと連結されている。これにより、エナメルヘア除去装置1は、専用のモータ(図示せず)などを設ける必要が無いので、製造原価などのコストダウンを図ることができる。
このようにすると、セグメント式ロールブラシ2は、コンビーフ缶6に対して、ブラシ212によるエナメルヘア63の掻き取り、及び、吸引用流路213によるエナメルヘア63の吸引を交互に行うことができる。これにより、吸引用流路213は、一群のブラシ212が掻き取ったエナメルヘア63を迅速に吸引し排出することができるので、掻き取ったエナメルヘア63がブラシ212に絡まるといった不具合を防止することができる。また、ブラシ212は、エナメルヘア63が絡まっていない状態で、吸引用流路213の吸引により一部が突き出たエナメルヘア63と当接するので、掻き取り性能を向上させることができる。したがって、セグメント式ロールブラシ2は、効果的にエナメルヘア63を除去することができる。
また、本実施形態では、三つの開口部214を形成しているが、この理由は、四つ以上の開口部214を形成すると、ブラシ台211の機械的強度が弱くなり、掻き取り効率が低下したりするからである。さらに、一つ又は二つの開口部214を形成すると、エナメルヘア63を迅速に吸引しづらくなり、エナメルヘア63がブラシ212に絡まりやすくなるからである。
また、本実施形態のエナメルヘア除去装置1は、セグメント式ロールブラシ2のブラシ212がコンビーフ缶6と当接する位置(水平方向の位置)から、所定の角度θ(本実施形態では、角度θは約45°)だけセグメント式ロールブラシ2の回転方向へ離れた位置に、ブラシ212と当接するヘア除去用部材4が設けられている(図2参照)。ヘア除去用部材4は、通常、金属製の丸棒(細長い板状部材や角棒などであってもよい。)と、この丸棒を覆う摩擦抵抗の高い有機材(たとえば、ゴムチューブ)とを有する構成としてある。これにより、ヘア除去用部材4とブラシ212とが当接すると、後述するように、コンビーフ缶6と一部がつながっているエナメルヘア63が挟まれた状態となり、コンビーフ缶6から効果的に引き千切ることができ、エナメルヘア63の除去率をさらに向上させることができる。
また、角度θを約45°としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、35°〜55°としてもよく、ほぼ同様の効果を得ることができる。
吸引用ダクト5は、上板51、下板52、一対の側板53、及び、背板54などを有するほぼ直方体状であり、背板54に複数の吸引口55が設けられている。また、吸引口55は、集塵機(図示せず)の吸い込み口と連通しており、セグメント式ロールブラシ2によって掻き取られたエナメルヘア63は、吸引用ダクト5によって左右方向にそれぞれ吸引され(図4参照)、吸引口55から集塵機に排出される。
なお、吸引口55の位置は、上記に限定されるものではなく、たとえば、セグメント式ロールブラシ2に対してコンビーフ缶6と反対側であって、かつ、下側に設けてもよく、ほぼ同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、缶をコンビーフ缶6としてある。
コンビーフ缶6は、上述したように、缶胴に四本のスコア62が設けられており、エナメルヘア対策が取りにくい仕様であるが、吸引用流路213を有し、回転するセグメント式ロールブラシ2により、効果的にエナメルヘア63を除去することができる。
なお、本実施形態では、コンビーフ缶6の長手方向の側面に対して、エナメルヘア除去装置1を適用しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、コンビーフ缶6の向きを90°変えて搬送し、短手方向の側面に対しても、エナメルヘア除去装置1を適用する構成としてもよい。
図4は、本発明の一実施形態にかかるエナメルヘア除去装置の動作を説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
図4において、コンビーフ缶6は、マグネットコンベア11によって搬送されており、セグメント式ロールブラシ2は、通常、毎秒数回転の回転数で回転している。
ここで、マグネットコンベア11は、コンビーフ缶6を磁力で吸引した状態で搬送し、セグメント式ロールブラシ2は、コンビーフ缶6の長手方向の側面に、上側から下側にブラシ212が当接する方向に回転する。この際、コンビーフ缶6は、ブラシ212の回転によりマグネットコンベア11に押し付けられるので、搬送を確実に行うことができる。また、掻き取られたエナメルヘア63は、下方に移動するので、コンビーフ缶6の内部へ侵入するといった不具合を防止することができる。
また、図示してないが、第二群のブラシ212bにおいては、第二群のブラシ212bに付着しているエナメルヘア63は、ここでほぼ確実に吸引口55に吸引される。
また、第一群のブラシ212aと第二群のブラシ212bに囲まれた空間のエアーは、第二の開口部214b、筒状スペース215、及び、第三の開口部214cを経て、吸引口55に吸引される。これにより、開口したコンビーフ缶6の上方エアーを吸引するので、舞い上がったエナメルヘア63があったとしても吸引し、コンビーフ缶6内に落下するといった不具合を防止することができる。
また、エナメルヘア除去装置1は、スコア62及びスコア62の近傍で、剥離直前になっているエナメルヘア63(密着性が弱くなった剥離しそうな部分をも含む。)を掻き取って除去するため、この工程の後工程において、エナメルヘア63の発生を効果的に防止することができる。
さらに、掻き取られたエナメルヘア63は、吸引用流路213及び吸引用ダクト5を介して迅速に回収されるので、ブラシ212にエナメルヘア63が絡まったままの状態となるといった不具合を回避することができる。
なお、回転ブラシとして、セグメント式ロールブラシ2を用いる構成としてあるが、回転ブラシの構造は、上記に限定されるものではなく、様々な構造のブラシ(回転させることの可能なブラシ)を用いることができる。
また、本発明は、剥離ヘア除去方法の発明としても有効である。
本実施形態の剥離ヘア除去方法は、上述したエナメルヘア除去装置1を用いて、コンビーフ缶6からエナメルヘア63を除去する方法としてある。
すなわち、マグネットコンベア11がコンビーフ缶6を搬送し、エナメルヘア63を吸引するための吸引用流路213を有するセグメント式ロールブラシ2が、搬送されているコンビーフ缶6に当接して、コンビーフ缶6からエナメルヘア63を掻き取り、吸引用ダクト5が、掻き取られたエナメルヘア63の少なくとも一部を、セグメント式ロールブラシ2の吸引用流路213を介して吸引する方法としてある。
例えば、本発明の剥離ヘア除去装置及び剥離ヘア除去方法は、コンビーフ缶6に対して用いられる場合に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、フランジ部などから発生するエナメルヘア、塗膜ヘアや熱可塑性樹脂ヘアなど、塗装金属板や熱可塑性樹脂被覆金属板などを製缶するときに発生する剥離ヘア全般の対策として使用できるものである。
また、缶の種類も、特に限定されるものではなく、たとえば、溶接缶や半田缶などの3ピース缶、樹脂被覆金属板を絞り加工する絞り缶、あるいは、絞りしごき加工やストレッチ加工を組み合わせるシームレス缶などにも適用できる。
さらに、缶は、空缶であっても充填後の実缶であってもよい。
また、缶が円筒缶などである場合、缶を回転させる機構を有する搬送手段を用いてもよい。
2 セグメント式ロールブラシ
4 ヘア除去用部材
5 吸引用ダクト
6 コンビーフ缶
10 基台
11 マグネットコンベア
12 ガイドレール
21 ブラシロール
22 ジグザグカラー
23 シャフト
24 ベアリングホルダ
25 かさ歯車
31 かさ歯車
32 シャフト
33 スプロケット
34 ベアリングホルダ
51 上板
52 下板
53 側板
54 背板
55 吸引口
61 巻き取り部
62 スコア
63 エナメルヘア
102 チャンネルブラシ
121 チャンネル部材
122 ブラシ
105 吸引用ダクト
155 吸引口
211 ブラシ台
212 ブラシ
213 吸引用流路
214 開口部
215 筒状スペース
Claims (10)
- 缶から剥離ヘアを除去する剥離ヘア除去装置であって、
前記缶を搬送する搬送手段と、
前記剥離ヘアを吸引するための吸引用流路を有し、前記缶から前記剥離ヘアを掻き取る回転ブラシと、
前記吸引用流路と連通し、前記剥離ヘアを吸引して排出する吸引用ダクトと
を備えたことを特徴とする剥離ヘア除去装置。 - 前記回転ブラシの前記吸引用流路が、回転中心軸に対して120°間隔の三方向に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記回転ブラシのブラシが前記缶と当接する位置から、所定の角度だけ前記回転ブラシの回転方向へ離れた位置に、前記ブラシと当接するヘア除去用部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記吸引用ダクトが、前記回転ブラシの所定の領域を覆うように、バキュームガイドを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記吸引用ダクトの吸引口が、前記回転ブラシに対して前記缶と反対側に設けてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記搬送手段がコンベアであり、該コンベアの両側に、前記回転ブラシを配設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記缶は、スコアが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記缶が角形缶であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の剥離ヘア除去装置。
- 前記缶が空缶であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の剥離ヘア除去装置。
- 缶から剥離ヘアを除去する剥離ヘア除去方法であって、
搬送手段が前記缶を搬送し、
前記剥離ヘアを吸引するための吸引用流路を有する回転ブラシが、搬送されている前記缶に当接して、前記缶から前記剥離ヘアを掻き取り、
吸引用ダクトが、掻き取られた前記剥離ヘアの少なくとも一部を、前記回転ブラシの前記吸引用流路を介して吸引する
ことを特徴とする剥離ヘア除去方法。
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