JP2011234635A - 小豆風味に優れた餡、餡製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】渋みや雑味がないことによって餡本来の味を落とすことがないとともに、原料である小豆の風味に優れた餡(生餡、こし餡、粒餡)、羊羹などの餡製品を製造する方法を提供する。
【課題の解決手段】小豆風味に優れた餡、餡製品の製造方法は、小豆を原料とする生餡の製造工程における1回目の煮熟工程で発生した煮熟液を濃縮する際に得られる蒸留液を、生餡、こし餡、粒餡の製造工程における適宜工程、あるいは羊羹などの餡製品の製造工程における適宜工程で使用するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、小豆風味に優れた餡、餡製品の製造方法に関する。ここで、餡とは生餡、こし餡、粒餡をいい、餡製品とは生餡、こし餡、粒餡を用いた羊羹などの製品をいう。
こし餡や粒餡は、豆類、一般には風味に優れた小豆を原料とする生餡から製造される。従来の一般的な生餡の製造方法は、小豆に同量〜倍量の水道水を加え煮熟した(第1煮熟工程)後、すぐに煮熟液(渋切水)を除去し(第1渋切工程)、再び小豆に水道水を加えて煮熟し(第2煮熟工程)、同様に渋切を行って煮熟液(渋切水)を除去し(第2渋切工程)、小豆を潰して種皮と餡粒子とに分け(製餡工程)、餡粒子を水道水に晒した(晒し工程)後、沈殿した餡粒子を脱水して(脱水工程)生餡とする、というものである。そして、こし餡は、生餡に砂糖と水道水を加えて煮詰めて製造されるのが一般的である。
また、従来の一般的な粒餡の製造方法は、生餡と同様に2回の煮熟工程と渋切工程を行った後、煮た小豆(煮豆)に水道水を加えてさらに煮熟し(第3煮熟工程)、次いで煮豆と煮熟液とに分け(第1分離工程)、煮熟液に砂糖などを加えて煮詰め(第1煮詰工程)、煮詰めた煮熟液に分けておいた煮豆を戻して一晩密漬けし(密漬工程)、再び煮豆を取り出して(第2分離工程)、密漬けに用いた煮熟液を煮詰めた(第2煮詰工程)後、取り出しておいた小豆を煮詰めた煮熟液に戻した(煮豆投入工程)うえ、再度煮詰めて(第3煮詰工程)粒餡とする、というものである。
上述した生餡あるいは粒餡の製造工程中、各渋切工程における煮熟液の除去は、煮熟によって小豆の種皮部分に多く含まれるタンニン等(特にポリフェノール類)が煮熟液中に溶解し、生餡あるいは粒餡にした際、渋い、青臭い、雑味を感じる等、品質に悪影響を及ぼすためである。
その一方で、煮熟液中には、小豆の風味も溶け出すため、渋切工程を施して製造した従来の一般的な生餡あるいは粒餡は、小豆風味に乏しいものとなっている。このため、この生餡から製造したこし餡や、これらこし餡や粒餡を用いた餡製品も小豆風味に乏しいものとなっている。
従来においても、小豆風味に優れた生餡の製造方法として、煮熟工程で流出する渋味や苦味成分であるポリフェノールの含有量を小豆固形分1g中に3.6〜8.1mgとすることにより、風味の低下を極力抑えることが提案され、また、前記ポリフェノールの含有量を前記範囲内に収めるために、第1煮熟工程では98℃に達するまで煮熟し、渋切り後、第2煮熟工程では90℃以上で30〜180分煮熟して得た煮豆を使用することが提案されている(特許文献1)。また、生餡の製造工程中の第2煮熟工程を前記条件で行なって、その際生じた煮汁(煮熟液)、あるいは、煮汁(煮熟液)の濃縮物や乾燥物の7.5〜25%を、前記生餡を乾燥して得た乾燥餡に添加して、こし餡あるいは粒餡を製造することも提案されている(特許文献1)。
また、従来、小豆風味に優れた生餡の製造方法として、生餡の第1または第2の煮熟工程で生じた煮汁(煮熟液)を、その製造工程中の適宜工程、例えば晒し工程あるいは脱水工程において添加して行なう生餡の製造方法が提案されている(特許文献2)。
特開2002−325546号公報 特開2004−173548号公報
しかしながら、これら従来提案された方法では、生餡を製造する第1煮熟工程における煮熟液を使用する場合には、小豆風味はほぼ満足できるものの、渋みや雑味が残るため、味覚的には劣るものとなっている。一方、第2煮熟工程における煮熟液を使用する場合には、渋みや雑味は感じられないが、小豆風味は不十分なものとなってしまう。このように、従来においては、小豆風味と餡本来の味を両立させた、生餡、こし餡、粒餡、餡製品の製造方法は未だ確立されていないものである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、小豆を原料とする餡本来の味を落とすことなく、小豆風味に優れたこし餡、粒餡、餡製品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者は、生餡の製造工程における、第1煮熟工程で生じる小豆風味に優れた煮熟液に着目し、この煮熟液から渋みや雑味等の味覚を損なうポリフェノールの量を減らせれば、餡本来の味を落とすことなく、小豆風味を増進させる液体になることに想到し、鋭意研究、実験を重ねた結果、前記煮熟液を濃縮したときに得られる蒸留液は、十分な小豆風味を有するとともに、渋みや雑味がないことを見いだし、本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、本発明の請求項1に係る餡の製造方法は、小豆を原料とする生餡の製造工程における1回目の煮熟工程(第1煮熟工程)で発生した煮熟液の蒸留液を、小豆を原料とする餡の製造工程における適宜工程で使用することを特徴とする。ここで、餡の製造工程とは、従来行なわれていた一般的な製造工程であり、具体的には、上述したように、餡によって異なる。
本発明の請求項2に係る餡の製造方法は、請求項1記載の餡がこし餡であり、こし餡の製造工程における適宜工程で前記蒸留液を使用することを特徴とする。前記製造工程には、こし餡の前提となる生餡の製造工程をも含むものである。具体的には、上述した一般的なこし餡の製造方法における適宜な工程、例えば、生餡の製造工程における晒し工程の水道水として前記蒸留液を用いたり、生餡に砂糖とともに前記蒸留液を加えて煮詰めるものである。また、生餡の製造工程における2回目の煮熟工程(第2煮熟工程)の煮熟液の代わりに前記蒸留液を使用して、こし餡を製造してもよい。
また、本発明の請求項3に係る餡の製造方法は、請求項1記載の餡が粒餡であり、粒餡の製造工程における適宜工程で前記蒸留液を使用することを特徴とする。ここで、粒餡の製造工程とは、従来行なわれていた一般的な製造工程であり、上述した一般的な粒餡の製造方法における適宜な工程、例えば、第3煮熟工程における水道水として前記蒸留液を用いたり、この第3煮熟工程後の第1煮詰工程において、煮豆を取り除いた煮熟液に砂糖とともに蒸留液を加えて煮詰めるものである。
さらに、請求項4に係る発明は、請求項1記載の蒸留液を、餡製品の製造工程における適宜工程で使用することを特徴とする餡製品の製造方法に関する。具体的には、例えば餡製品たる羊羹の製造工程において、砂糖及び寒天に、従来使用されている水道水に替えて前記蒸留液を加え、この中に生餡、こし餡、粒餡のいずれかの餡を入れて、加熱撹拌し、型に入れて冷却するものである。
なお、前記蒸留液は、煮熟液を濃縮液としてBrix10%以上になるまで濃縮したときに発生する蒸留液であると好適である。また、2回目の煮熟工程で発生した煮熟液から得た蒸留液は、小豆風味には劣るものであるが、これを本発明における前記蒸留液に加えることは、蒸留液の量の確保には有効である。
前記蒸留液を得るための煮熟液の煮熟条件には限定されるものではないが、好ましくは、澱粉粒が少ない沸騰後15〜30分間の煮熟液がよく、糖度計(屈折率による糖度計)による固形濃度として0.5〜2.0Brixが好適である。
また、前記蒸留液を得る方法については限定されない。例えば、常圧濃縮、真空濃縮、膜分離などの単独又は組み合わせた方法を挙げることができるが、エネルギー効率、コスト面からみると、遠心式薄膜真空蒸発法が好適である。
さらに、濃縮条件に関しては、加熱温度、蒸発蒸気温度、雰囲気圧力、コンデンサー温度は特に限定されないが、この濃縮条件によって蒸留液添加による小豆風味の向上に差がでる。具体的には、蒸気温度が高くコンデンサー温度が高いと焦げたような重たい匂いと小豆の味とは異なる感じの蒸留液となる一方、コンデンサー温度が低くなると軽い匂いが混ざり、蒸気温度が低くなると重い匂いは抑えられ、味もコク味を感じる蒸留液となる。またさらに、濃縮条件は蒸留液の回収率や回収速度にも影響するものであり、遠心式薄膜真空蒸発法においては、真空度12.3kPa、蒸発蒸気温度30〜50℃、コンデンサー温度10〜20℃の条件が好ましい。
前記蒸留液の回収量は限定されないが、好ましくは、煮熟液の濃縮液が10Brix以上30Brix以下の範囲までの回収量である。例えば、煮熟液の固形濃度が約1Brixの場合90〜95重量%の回収率で、濃縮液の固形濃度は10〜25Brixとなる。この範囲の回収率の蒸留液が最も望ましい。
一方、濃縮液が30Brixを超える蒸留液回収を行うと、蒸留液に焦げ臭が出てきてしまい好ましくなく、10Brixに満たない蒸留液回収では水道水の使用量低減化にはあまり貢献できない。
本発明によれば、小豆風味に優れるとともに、渋みや雑味のない餡本来の味を備えた小豆を原料とする餡、餡製品を得ることができるという効果を奏する。
粒餡の官能評価を示す比較表。 こし餡の官能評価を示す比較表。 羊羹の官能評価を示す比較表。 餡饅頭の官能評価を示す比較表。
以下、本発明の好適な実施形態について、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。はじめに、蒸留液の採取法について説明する。
小豆300kgを水道水洗いし、汚れや異物を除去した後、水道水450kgを加え、二重釜で20分間煮熟を行った(第1煮熟工程)。すぐに渋切を行い(第1渋切工程)、約250kgの煮熟液を採取した。さらに450kgの水道水を加え20分間煮熟を行った(第2煮熟工程)。すぐに渋切を行い(第2渋切工程)、約230kgの煮熟液と煮小豆640kgを得た。第1渋切工程で得た煮熟液をろ過した後、この煮熟液を遠心式薄膜真空蒸発装置(大川原製作所製)を用いて加熱温度110℃、蒸発温度50℃、真空度12.3kPa、蒸発量250kg/hの濃縮条件で、190kgの蒸留液と9kgの濃縮液を得た。
このようにして得た蒸留液(以下便宜上、蒸留液Aという)と、煮熟液及び濃縮液の固形濃度Brix、pH、ポリフェノール量(mg/ml)は、それぞれ次の通りであった。なお、蒸留液Aの固形濃度Brixとポリフェノール量については、数値が小さく正確な値は測定できなかった。
蒸留液Aは、固形濃度Brixが0.1以下、pHが6.87、 ポリフェノール量が0.10以下。
煮熟液は、固形濃度Brixが1.0、pHが6.31、 ポリフェノール量が1.57。
濃縮液は、固形濃度Brixが23.0、pHが5.74、 ポリフェノール量が42.57。
小豆300kgを水道水で洗い、汚れや異物を除去した後、水道水600kgを加え、二重釜で25分間煮熟を行った(第1煮熟工程)。すぐに渋切を行い(第1渋切工程)、約460kgの煮熟液を採取した。さらに600kgの水道水を加え25分間煮熟を行った(第2煮熟工程)。すぐに渋切を行い(第2渋切工程)、さらに約580kgの煮熟液と煮小豆645kgを得た。1回目と2回目で得た煮熟液をろ過した後、この煮熟液を遠心式薄膜真空蒸発装置(大川原製作所製)を用いて加熱温度110℃、蒸発温度50℃、真空度12.3kPa、蒸発量250kg/hの濃縮条件で1000kgの蒸留液と25kgの濃縮液を得た。
このようにして得た蒸留液(以下便宜上、蒸留液Bという)と、煮熟液及び濃縮液の固形濃度Brix、pH、ポリフェノール量(mg/ml)は、それぞれ次の通りであった。なお、蒸留液Bの固形濃度Brixとポリフェノール量についても、数値が小さく正確な値は測定できなかった。
蒸留液Bは、固形濃度Brixが0.1以下、pHが6.90、 ポリフェノール量が0.10以下。
煮熟液は、固形濃度Brixが0.5、pHが6.41、 ポリフェノール量が0.78。
濃縮液は、固形濃度Brixが19.2、pHが5.80、 ポリフェノール量が35.45。
小豆300kgを水道水で洗い、汚れや異物を除去した後、水道水450kgを加え、二重釜で20分間煮熟を行った(第1煮熟工程)。すぐに渋切を行い(第1渋切工程)、約250kgの煮熟液を採取した。さらに450kgの水道水を加え20分間煮熟を行った(第2煮熟工程)。すぐに渋切を行い(第2渋切工程)、さらに約230kgの煮熟液と煮小豆640kgを得た。第1渋切り工程で得た煮熟液をろ過した後、この煮熟液を遠心式薄膜真空蒸発装置(大川原製作所製)を用いて加熱温度120℃、蒸発温度55℃、真空度14.0kPa、蒸発量255kg/hの濃縮条件で238kgの蒸留液と11kgの濃縮液を得た。
このようにして得た蒸留液(以下便宜上、蒸留液Cという)と、煮熟液及び濃縮液の固形濃度Brix、pH、ポリフェノール量(mg/ml)は、それぞれ次の通りであった。なお、蒸留液Cの固形濃度Brixとポリフェノール量については、数値が小さく正確な値は測定できなかった。
蒸留液Cは、固形濃度Brixが0.1以下、pHが6.86、 ポリフェノール量が0.10以下。
煮熟液は、固形濃度Brixが1.0、pHが6.31、 ポリフェノール量が1.57。
濃縮液は、固形濃度Brixが8.0、pHが5.92、 ポリフェノール量が14.78。
続いて、上述の蒸留液A,B,Cを使用した実施例について説明するが、各蒸留液A,B,Cの濃縮度合いは、上述のようにA>B>Cであり、また、10人のパネラーによる小豆風味の官能評価はA>B>Cであった。
実施例1(粒餡の製造方法)
20kgの水道水で水洗した小豆15kgに水道水30kgを加え、沸騰状態で30分間煮熟を行った(煮熟工程)後、渋切を行う(渋切工程)作業を2回繰り返し、煮豆31kgに蒸留液A20kgを加え加熱を行った(第3煮熟工程)後、煮熟液から煮豆を除き(分離工程)、この煮熟液に砂糖30kgを溶解した60Brixの糖液に該煮豆を戻し、一晩蜜漬けを行った(密漬工程)後、加熱を行い(煮詰工程)、70Brixの粒餡65kgを得た。
実施例2(粒餡の製造方法)
20kgの水道水で水洗した小豆15kgに蒸留液A30kgを加え、沸騰状態で30分間煮熟を行い、さらに火を弱めて45分間煮熟を続け、加熱を止めそのまま30分間蒸らし煮豆を得た(煮熟工程)。その後渋切工程を行わずに、煮熟液から煮豆を除き(分離工程)、この煮熟液に砂糖30kgを溶解した60Brixの糖液に該煮豆を戻し、一晩蜜漬けを行った(密漬工程)後、加熱を行い(煮詰工程)、70Brixの粒餡65kgを得た。
比較例1(粒餡の製造方法)
20kgの水道水で水洗した小豆15kgに水道水30kgを加え、沸騰状態で30分間煮熟を行った(煮熟工程)後、渋切を行う(渋切工程)作業を2回繰り返し、煮豆31kgに水道水20kgを加え加熱を行った(第3煮熟工程)後、煮熟液から煮豆を除き(分離工程)、煮熟液に砂糖30kgを加え60Brixの糖液とした中に分離した煮豆を戻し、以後実施例1,2と同様に密漬工程、煮詰工程を行い、70Brixの粒餡65kgを得た。
実施例1,2と比較例1の粒餡を10人のパネラーで、餡の艶、味、香り、小豆風味の各評価項目で官能評価を行った。評価は各項目とも10点満点とし、比較例1の各項目を5点と配点し、比較例1に対して比較評価した。その結果は図1の表に示す通りであり、実施例1,2の粒餡は、その味、香り、小豆風味がともによく、特に実施例2の粒餡は非常によいものであった。実施例2は、蒸留液Aを使用して、渋切工程を行なわずに煮熟工程を行なったものであるが、餡の味や香りに何ら問題はなく、かえって優れていることが確認された。また、同量の粒餡を作るのに要した水道水量は、比較例1が100kgに対し、実施例1では80kg、実施例2では20kgであった。
実施例3(生餡の製造方法)
小豆300kgを水道水で水洗いし、汚れや異物を除去した後、水道水450kgを加え、二重釜で20分間煮熟を行った(煮熟工程)。すぐに渋切を行い(渋切工程)、約250kgの煮熟液を採取した。さらに450kgの水道水を加え20分間煮熟を行った(第2煮熟工程)。すぐに渋切を行い(渋切工程)、さらに約230kgの煮熟液と煮小豆640kgを得た。煮小豆を磨り潰し、蒸留液B1000kgで水晒しを行い(晒し工程)、沈殿した餡粒子を脱水し(脱水工程)、水分68重量%の生餡510kgを得た。
比較例2(生餡の製造方法)
実施例3と同様の方法で得た煮小豆640kgを水道水1000kgで水晒しを行い(晒し工程)、沈殿した餡粒子を脱水し(脱水工程)、水分68重量%の生餡510kgを得た。
実施例4(こし餡の製造方法)
実施例3の生餡510kgに砂糖554kg、水道水832kgを加え、加熱及び攪拌しながら58Brixこし餡を得た。
実施例5(こし餡の製造方法)
実施例3の生餡510kgに砂糖554kg、蒸留液A832kgを加え、加熱及び攪拌しながら58Brixこし餡を得た。即ち、この実施例5は前記実施例4の水道水の代わりに蒸留液Aを用いたものである。
比較例3(こし餡の製造方法)
比較例2の生餡510kgに砂糖554kg、水道水832kgを加え、加熱及び攪拌しながら58Brixこし餡を得た。即ち、この比較例3と前記実施例4は、使用する生餡が相違するだけである。
前記実施例4,5と比較例3の各こし餡を、実施例1,2及び比較例1と同様の方法で評価した。その結果は図2に示す通りであり、実施例4,5はこし餡の味、香り、小豆風味に優れたものであり、特に実施例5はより優れたものであった。さらに使用した水道水量は、比較例3が2732kgに対して、実施例4は1732kgで約63%であり、実施例5は900kgで約33%であった。また、実施例3と比較例2の生餡について同様に評価したところ、それぞれ実施例4と比較例3の評価結果と同様であり、実施例3の生餡の方が味、香り、小豆風味に優れたものであった。
実施例6(羊羹の製造方法)
実施例4のこし餡46kgと砂糖70kgを、水道水75kgに寒天750gを入れて加熱溶解した中に入れ、加熱攪拌を行い糖度70Brixとした後、型に流し込んで冷却を行って羊羹を得た。
実施例7(羊羹の製造方法)
比較例3のこし餡46kgと砂糖70kgを、蒸留液A75kgに寒天750gを入れて加熱溶解した中に入れ、加熱攪拌を行い糖度70Brixとした後、型に流し込んで冷却を行って羊羹を得た。
実施例8(羊羹の製造方法)
比較例3のこし餡46kgと砂糖70kgを、蒸留液C75kgに寒天750gを入れて加熱溶解した中に入れ、加熱攪拌を行い糖度70Brixとした後、型に流し込んで冷却を行って羊羹を得た。
これら各実施例では、使用するこし餡と寒天の溶解液が相違するものである。
比較例4(羊羹の製造方法)
比較例3のこし餡46kgと砂糖70kgを、水道水75kgに寒天750gを入れて加熱溶解した中に入れ、加熱攪拌を行い糖度70Brixとした後、型に流し込んで冷却を行って羊羹を得た。
これら各羊羹を10人のパネラーを用いて図3の各項目に付いて上述と同様の官能評価を行った。この結果から分かるように各実施例6,7,8は、比較例4よりも羊羹の味、香り、小豆風味に優れたものであり、特に寒天の溶解液に蒸留液Aを使用した実施例7はより優れたものであった。実施例8は、寒天の溶解液に蒸留液Cを使用したものであるが、蒸留液Aよりも濃縮度合いが少ないため、実施例7よりは評価が低く、実施例6と同等であった。さらに使用水道水量に関しては、比較例4と実施例6が75kgに対し、各実施例7,8は蒸留液を用いたため新たに水道水を使用することはなかった。
参考例(粒餡を用いた餡饅頭)
実施例2の粒餡を用いて、従来の常法により餡饅頭を作り、1日常温で保存したもの(参考例1)を、コンビニエンスストアのカウンター用の蒸し器に入れて、4時間を経過させた餡饅頭(参考例1a)と、比較例1の粒餡を用いて、従来の常法により餡饅頭を作り、1日常温で保存したもの(参考比較例1)を、コンビニエンスストアのカウンター用の蒸し器に入れて、4時間を経過させた餡饅頭(参考比較例1a)について、10人のパネラーによる官能評価を行った。
図4に示す結果から分かるように実施例2の粒餡を用いた餡饅頭(参考例1,1a)は蒸し器という過酷な条件下でもその味、香り及び餡の小豆風味を維持していたのに対し、比較例1の粒餡を用いた餡饅頭(参考比較例1,1a)は時間経過によりその味、香り及び餡の小豆風味が低下した。これによって、本発明に係る餡を用いた加工製品においても、優れた小豆風味と餡加工製品としての味が両立することが確認された。

Claims (4)

  1. 小豆を原料とする生餡の製造工程における1回目の煮熟工程で発生した煮熟液から得た蒸留液を、小豆を原料とする餡の製造工程における適宜工程で使用することを特徴とする餡の製造方法。
  2. 請求項1記載の餡がこし餡であることを特徴とする餡の製造方法。
  3. 請求項1記載の餡が粒餡であることを特徴とする餡の製造方法。
  4. 請求項1記載の蒸留液を、小豆を原料とする餡製品の製造工程における適宜工程で使用することを特徴とする餡製品の製造方法。
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