JP2011230408A - 炭素繊維強化複合材料、その製造方法及びそれを用いたエレベータかご - Google Patents

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悠平 粟野
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Abstract

【課題】成形時の樹脂のハンドリング性に優れ、成形後の高い難燃性及び機械的強度を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料性を提供すること。
【解決手段】積層された炭素繊維基材に熱硬化性樹脂と水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン及び赤燐からなる群から選択される少なくとも1種の無機充填剤とを含有する熱硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させてなる炭素繊維強化複合材料であって、炭素繊維強化複合材料全体における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率が10体積%以上120体積%以下であり且つ炭素繊維基材の積層厚み方向に上層、中層及び下層に3等分したときに、上層における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率が、中層及び下層それぞれにおける熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率の2倍以上であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機、産業機器用構造部材等に用いられる炭素繊維強化複合材料、その製造方法及びそれを用いたエレベータかごに関する。
炭素繊維と樹脂硬化物とからなる炭素繊維強化複合材料は、一般的に熱硬化性樹脂を炭素繊維に含浸させ、半硬化したプリプレグを積層して任意の形状とし、硬化させることにより作製される。形状の自由度が高く、軽くて機械的強度が高いという利点を活かして、ゴルフクラブ、テニスラケット等のスポーツ用品をはじめ、航空機や自動車などの構造材料、コンクリート構造物の補強としての建築材料などに使用されている。
近年、一部の建築材料や構造材料において、使用材料に難燃性を求められることが増加しており、炭素繊維強化複合材料の難燃性を向上させることが重要となってきている。
炭素繊維強化複合材料の難燃化には、その構成材料である樹脂の難燃化が必須である。樹脂の難燃化には、一般的に難燃剤を配合する手法が多用されている。配合する難燃剤の種類としては、臭素化合物などのハロゲン系難燃剤や、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。
また、難燃剤を添加せずに熱硬化性樹脂の難燃性を向上させる方法として、従来の熱硬
化性樹脂と比べて芳香環含有量が高く、難燃性が優れているベンゾオキサジン樹脂を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2008−214547号公報
しかしながら、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にハロゲン化水素などの有害物質を発生し、人体や自然環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、その使用が制限されつつある。またリン系難燃剤や窒素系難燃剤はUL94規格のV0相当の難燃性を得るために、多量の添加が必要となるため、樹脂硬化物の機械的強度が大幅に低下するといった問題がある。また無機系難燃剤もV0相当の難燃性を得るためには、リン系難燃剤と同様に多量の添加が必要であるため、硬化前の樹脂粘度が非常に高くなり、成形時の樹脂のハンドリング性に悪い上に、樹脂硬化物の機械的強度が低下するといった欠点がある。
また、ベンゾオキサジン樹脂は、炭素繊維と組み合わせてプリプレグにする成形過程において、樹脂の硬化前の粘度が高いため、炭素繊維への樹脂の含浸性が低いことや、プリプレグを積層した際にプリプレグ同士を接着するために必要なタック(粘着性)が低いなど、成形時の樹脂のハンドリング性に課題があり、炭素繊維強化複合材料に適した樹脂とはいえない。
従って、本発明は、上記の従来技術における問題を解決し、成形時の樹脂のハンドリング性に優れ、成形後の高い難燃性及び機械的強度を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明は、積層された炭素繊維基材に熱硬化性樹脂と水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン及び赤燐からなる群から選択される少なくとも1種の無機充填剤とを含有する熱硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させてなる炭素繊維強化複合材料であって、炭素繊維強化複合材料全体における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率が10体積%以上120体積%以下であり且つ炭素繊維基材の積層厚み方向に上層、中層及び下層に3等分したときに、上層における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率が、中層及び下層それぞれにおける熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率の2倍以上であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料である。
本発明によれば、成形時の樹脂のハンドリング性に優れ、成形後の高い難燃性及び機械的強度を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料性を提供することができる。
本発明の炭素繊維強化複合材料の積層厚み方向の模式断面図である。 本発明の炭素繊維強化複合材料の製造方法の概観図である。 本発明の炭素繊維強化複合材料を構成部材として使用したエレベータかごを備えるエレベータ装置の斜視図である。
実施の形態1.
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、実施の形態1に係る炭素繊維強化複合材料の積層厚み方向の模式断面図である。図1において、炭素繊維強化複合材料10は、炭素繊維11が織り込まれた炭素繊維基材と、熱硬化性樹脂の硬化物からなるマトリックス樹脂12と、マトリックス樹脂12に分散された無機充填剤13とから構成されており、熱硬化性樹脂に対して無機充填剤13が10体積%以上120体積%以下の範囲で充填されている。炭素繊維強化複合材料10全体における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率が10体積%未満であると、十分な難燃性を得ることができず、一方、120体積%を超えると、成形前の樹脂のハンドリング性が悪くなる上に、機械的強度が低下する。好ましい無機充填剤13の体積充填率は20体積%以上80体積%以下である。更に、この炭素繊維強化複合材料10では、熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率が炭素繊維基材の積層厚み方向に変化する構成となっている。具体的には、炭素繊維基材の積層厚み方向に炭素繊維強化複合材料10を上層14、中層15及び下層16に3等分したときに、上層14における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率が、中層15及び下層16それぞれにおける熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率の2倍以上となっている。2倍以上であれば優れた難燃性が得られるが、成形時の樹脂流動性の点も考慮すると、2倍以上10倍以下とすることが好ましい。
通常、無機充填剤を用いて炭素繊維強化複合材料に難燃性を付与するには、その多量の添加が必要であるため、炭素繊維強化複合材料の機械的強度は低下するが、本実施の形態の炭素繊維強化複合材料10では、上層14における無機充填剤13の体積充填率を高めることで、難燃性を付与するのに必要な無機充填剤13の総添加量を減らすことが可能になり、高い難燃性及び機械的強度を同時に達成している。
本実施の形態に用いる炭素繊維基材としては、フィラメント数が1,000以上24,000以下の範囲にあるもので、繊物重量(目付け)が55g/m以上550g/m以下のものが好ましい。炭素繊維11の織り方は、平織が強度の異方性がない点で好ましいが、一方向に引き揃えた繊維、綾織を用いることもできる。
後述する手法を用いて、無機充填剤13の体積充填率が炭素繊維基材の積層厚み方向に対して変化した炭素繊維強化複合材料10を得るが、燃焼面が積層厚み方向の上層14と仮定すると、炭素繊維基材の積層厚み方向の上層14側により多くの無機充填剤13を偏在させることで、高い難燃性を付与することが可能となる。後述する手法では、炭素繊維11が密に織り込まれたものほど、上層14に多くの無機充填剤13を偏在させることができるものの、熱硬化性樹脂の含浸性が低下するため、炭素繊維基材としては、10,000以上24,000以下のフィラメント数及び150g/m以上400g/m以下の繊物重量を有するものが望ましい。
本実施の形態に用いる無機充填剤13としては、分解反応による吸熱機能またはラジカル捕捉機能を有するものであればよく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、赤燐等が挙げられる。これらの中でも、保管安定性が優れるという点から、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましい。これらの無機充填剤13は、熱硬化性樹脂との相溶性を向上させるために表面処理を施したものであってもよい。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン及び赤燐からなる群から選択される少なくとも1種の無機充填剤13の添加量は、熱硬化性樹脂に対して10体積%以上120体積%以下であることが必要であり、熱硬化性樹脂と混合した際の粘度増加と、得られる炭素繊維強化複合材料10の機械的強度及び難燃性とのバランスから、20体積%以上80体積%以下であることが好ましい。また、後述する手法では、無機充填剤13の粒径は大きいほど、上層14に多くの無機充填剤13が偏在しやすくなる傾向があるものの、無機充填剤13の総表面積が減少して難燃化効果が低くなることがあるため、使用する炭素繊維基材のフィラメント数や繊物重量にもよるが、無機充填剤13としては、0.8μm以上80μm以下の平均粒径を有するものが好ましく、大粒径化による偏在効果と小粒径化により難燃化効果とのバランスから、4μm以上50μm以下のものがより好ましい。
成形前の樹脂のハンドリング性をより改善し、難燃性及び機械的強度をより向上させるため、10,000以上24,000以下のフィラメント数及び150g/m以上400g/m以下の繊物重量を有する炭素繊維基材と4μm以上50μm以下の平均粒径を有する無機充填剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
本実施の形態に用いる熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、硬化剤や触媒の添加で反応時間の調整が可能であり、保管安定性が高いという点で、ビニルエステル樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、その他二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、これらの混合比は特に限定されない。
フェノール樹脂としては、o−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール等のo−又はp−に置換基を持つ一置換フェノール類、またノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール等のフェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール類、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール等のキシレノール類等の一価フェノール類;レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(ジヒドロキシナフチル)メタン、テトラメチルビフェノール、ビフェノール、ヘキサメチルビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレンジオール類等の二価フェノール類;トリスヒドロキシフェニルメタン等の三価フェノール類を用いた樹脂が挙げられる。
ビニルエステル樹脂及びシアネート樹脂としては、任意のものを使用することができる。
上記した無機充填剤13と熱硬化性樹脂とを含有する熱硬化性樹脂組成物は、配合によっては高粘度になり、成形時のハンドリング性が低下するため、適宜、反応性希釈剤と混合し、25℃における粘度を1Pa・s以下に調整することが望ましい。
反応性希釈剤の例としては、スチレン、スチレンのα−,o−,m−,p−アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド及び(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド等のビニル化合物;シトラコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル;N−フェニルマレイミド等のモノマレイミド化合物;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。また、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の、分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用することも可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に作業性、コスト及び硬化性の観点から、スチレンが好ましい。
次に、本実施の形態に係る炭素繊維強化複合材料10の製造方法について説明する。
図2は、炭素繊維強化複合材料10の製造方法の概観図である。図2において、真空含浸装置20は、ベース(成形型)21と、このベース21の上面を覆うバギングフィルム等の密閉部材22と、この密閉部材22とベース21との間の隙間を塞いで内部を気密にする粘着性のシール材23a,23bと、一方のシール材23aを貫通し先端部が気密空間内に通じ、他端部が樹脂タンク24に接続されている注入配管25と、他方のシール材23bを貫通し先端部が気密空間内に通じ、他端部が真空ポンプ26に接続されている吸引配管27とを備えている。
この真空含浸装置20を用いて炭素繊維強化複合材料10を製造するには、先ず、ベース21上に炭素繊維基材積層体28を配置し、この炭素繊維基材積層体28の上面に剥離用のピールプライ(剥離用シート)29及び樹脂拡散用のフローメディア(樹脂拡散用シート)30を順に配置する。この炭素繊維基材積層体28は、炭素繊維基材が複数積層されたものであり、この層数により炭素繊維基材積層体28の厚みが適宜設定される。その後、炭素繊維基材積層体28上に密閉部材22で覆い、密閉部材22の縁部をシール材23a,23bでベース21に接着し、密閉部材22の内部を外気と遮断する。次に、真空ポンプ26を駆動し、密閉部材22内の空気を吸引配管27を介して吸引し、密閉部材22内を減圧する。この空気の吸引とともに、樹脂タンク24内の熱硬化性樹脂組成物31を、注入配管25を介して、減圧された密閉部材22内に注入する。炭素繊維基材積層体28は、上下方向に沿った空隙率が高く、水平方向に沿った空隙率が低い。従って、炭素繊維基材積層体に対する熱硬化性樹脂組成物の含浸速度は、上下方向が水平方向に対して著しく大きくなる。また、フローメディア30は、上下方向に沿った空隙率が高くなるように構成されている。そのため、熱硬化性樹脂組成物が、密閉部材22内に注入されると、主にフローメディア30を通じて炭素繊維基材積層体28の最上部層から内部に浸入し、ベース21に向けて含浸が進行する。このように含浸が進行する過程において、熱硬化性樹脂組成物に含有される無機充填剤13が、炭素繊維11の網目にトラップされ、フローメディア30側の炭素繊維基材(上層14)における無機充填剤13の濃度が高くなる。含浸後、所定の硬化方法にて熱硬化性樹脂を硬化させた後、ピールプライ29を剥離することでフローメディア30を炭素繊維基材積層体28から分離し、炭素繊維強化複合材料10が完成する。
このようにして得られる炭素繊維強化複合材料10では、炭素繊維基材の積層厚み方向に炭素繊維強化複合材料10を上層14、中層15及び下層16に3等分したときに、上層14における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率が、中層15及び下層16よりも高くなっている。上層14における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率を、中層15及び下層16それぞれにおける熱硬化性樹脂に対する無機充填剤13の体積充填率の2倍以上とするには、無機充填剤13の平均粒径、炭素繊維基材のフィラメント数及び織物重量を適宜選択すればよい。
本実施の形態に係る製造方法では、オートクレーブ(加圧炉)等の大掛かりな設備が不要で、低コストで炭素繊維強化複合材料10を成形することができる。また、炭素繊維強化複合材料10を成形する場合、フローメディア30、ピールプライ29及び炭素繊維基材積層体28への熱硬化性樹脂組成物の透過性の点で、熱硬化性樹脂組成物が低粘度である必要性があるものの、成形時の樹脂のハンドリングが容易であるだけでなく、設備の規模の制約を受けることなく短時間で成形することができ、大型成形に好適である。
図3は、本実施の形態に係る炭素繊維強化複合材料を構成部材として使用したエレベータかごを備えるエレベータ装置の斜視図である。図3において、エレベータ装置は、駆動シーブを有する巻上機40と、巻上機40により昇降路内を昇降されるかご41及び釣合おもり42と、駆動シーブに巻き掛けられ、かご41及び釣合おもり42を吊り下げるロープ43とを備えており、かご41のかご室は、床板44、側板45、天板46、背板47等のかご室パネルと、かごドア48とを有している。本実施の形態に係る炭素繊維強化複合材料は、高い難燃性及び機械的強度を兼ね備えていることから、床板44、側板45、天板46、背板47等のかご室パネル、かごドア48のパネルに好適であり、また、乗場ドアのパネルに用いることもできる。
以下、本発明の炭素繊維強化複合材料を実施例により具体的に説明する。実施例1〜4及び比較例1〜4の炭素繊維強化複合材料は、図2に示した真空含浸装置を用いて作製した。なお、評価は以下の方法に従って実施した。
<成形後の炭素繊維強化複合材料の特性>
・無機充填剤の分布確認
レーザー顕微鏡を用いて、炭素繊維強化複合材料の断面画像情報を取得し、炭素繊維基材の積層厚み方向に上層、中層及び下層に3等分したときの各層の無機充填剤と熱硬化性樹脂との占有面積比を算出した後、無機充填剤の体積充填率に換算した。上層における無機充填剤の体積充填率が、中層における無機充填剤の体積充填率の20倍以上のものには≧20、5倍以上のものには≧5、2倍以上のものには≧2、2倍未満のものは<2とした。
・機械的強度
炭素繊維強化複合材料を10mm×800mm×3mm形状の試験片に加工し、3点曲げ試験を行った。結果は実施例1における強度を1としたときの相対値とした。
・難燃性
UL−94燃焼試験で用いるメタンガスを燃焼源とした試験炎を100mm×100mmの平板に加工した炭素繊維強化複合材料の中央部に当てて10秒間当てて取り去った後、試験片の燃焼時間を記録し、試験片の燃焼が止んだらすぐに試験炎を10秒間当てて取り去り、同じく燃焼時間を記録することにより燃焼性の判定を行なった。まったく着火のないものは◎、燃焼時間が10秒以内であるものは○、20秒以内のものは△、それ以上燃焼が継続したもの又は全焼したものは×とした。
<実施例1>
寸法が500mm×1,000mmの炭素繊維平織りクロス(東レ株式会社製トレカ(登録商標)T300、フィラメント数:12,000、織物重量:200g/m)を10枚積層したものをベース上に配置し、その上にピールプライ及びフローメディアを順に配置した。これらをバギングフィルムで覆い、バギングフィルムとベースと間の隙間を粘着剤で塞ぎ完全に密閉し、密閉された空間内を真空ポンプで減圧した。その後、減圧された密閉空間内に、ビニルエステル樹脂(昭和高分子株式会社製リポキシ(登録商標)R806)100質量部に硬化剤としてのオクチル酸コバルト(化薬アクゾ株式会社製328E)1体積%及び無機充填剤としての水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製B153、平均粒径:15μm)20体積%添加した熱硬化性樹脂組成物を注入配管から注入し、炭素繊維平織りクロスに含浸させた。2時間後、樹脂が硬化していることを確認した後、バギングフィルムを除去し、炭素繊維強化複合材料を取り出した。完全硬化させるため、150℃のオーブンに5時間静置し、実施例1の炭素繊維強化複合材料を得た。
<実施例2>
水酸化アルミニウムの代わりに水酸化マグネシウム(堺化学工業株式会社製MGZ−1、平均粒径:0.8μm)を20体積%添加した以外は実施例1と同様して、実施例2の炭素繊維強化複合材料を得た。
<実施例3>
水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製B153、平均粒径:15μm)の添加量を80体積%に変えた以外は実施例1と同様して、実施例3の炭素繊維強化複合材料を得た。
<実施例4>
水酸化アルミニウムの代わりに水酸化マグネシウム(堺化学工業株式会社製MGZ−1、平均粒径:0.8μm)を80体積%添加した以外は実施例1と同様して、実施例4の炭素繊維強化複合材料を得た。
<比較例1>
水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製B153、平均粒径:15μm)の添加量を10体積%に変えた以外は実施例1と同様して、比較例1の炭素繊維強化複合材料を得た。
<比較例2>
水酸化アルミニウムの代わりに水酸化マグネシウム(堺化学工業株式会社製MGZ−1、平均粒径:0.8μm)を10体積%添加した以外は実施例1と同様して、比較例2の炭素繊維強化複合材料を得た。
<比較例3>
水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製B153、平均粒径:15μm)の添加量を150体積%に変えた以外は実施例1と同様して、比較例3の炭素繊維強化複合材料を得た。
<比較例4>
水酸化アルミニウムの代わりに水酸化マグネシウム(堺化学工業株式会社製MGZ−1、平均粒径:0.8μm)を150体積%添加した以外は実施例1と同様して、比較例2の炭素繊維強化複合材料を得た。
<比較例5>
実施例1で使用したものと同じ熱硬化性樹脂組成物を、寸法が500mm×1,000mmの炭素繊維平織りクロス(東レ株式会社製トレカ(登録商標)T300、フィラメント数:12,000、織物重量:200g/m)に1枚ずつローラーで塗布し、10枚重ねたものを150kg/cmの圧力でプレスした後、150℃のオーブンに5時間静置し、比較例5の炭素繊維強化複合材料を得た。熱硬化性樹脂組成物の塗布量は、成形体の重量から、実施例1の含浸量と同程度であることを確認した。
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた炭素繊維強化複合材料の評価結果を表1に示した。
Figure 2011230408
表1の結果より、実施例1〜4の炭素繊維強化複合材料は、上層における無機充填剤の体積充填率が、中層及び下層における無機充填剤の体積充填率の5倍以上であり、曲げ強度が0.8〜1.2と機械的強度に優れ、且つ難燃性評価結果が◎または○と難燃性が高かった。一方、比較例1〜5の炭素繊維強化複合材料は、曲げ強度が0.5以下と機械的強度が劣るか、または難燃性評価結果が△または×と難燃性が低かった。このように、本発明の炭素繊維強化複合材料は、高い難燃性及び機械的強度を兼ね備えていることが明らかである。
10 炭素繊維強化複合材料、11 炭素繊維、12 マトリックス樹脂、13 無機充填剤、14 上層、15 中層、16 下層、20 真空含浸装置、21 ベース、22 密閉部材、23a,23b シール材、24 樹脂タンク、25 注入配管、26 真空ポンプ、27 吸引配管、28 炭素繊維基材積層体、29 ピールプライ、30 フローメディア、31 熱硬化性樹脂組成物、40 巻上機、41 かご、42 釣合おもり、43 ロープ、44 床板、45 側板、46 天板、47 背板、48 かごドア。

Claims (4)

  1. 積層された炭素繊維基材に熱硬化性樹脂と水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン及び赤燐からなる群から選択される少なくとも1種の無機充填剤とを含有する熱硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させてなる炭素繊維強化複合材料であって、
    炭素繊維強化複合材料全体における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率が10体積%以上120体積%以下であり且つ炭素繊維基材の積層厚み方向に上層、中層及び下層に3等分したときに、上層における熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率が、中層及び下層それぞれにおける熱硬化性樹脂に対する無機充填剤の体積充填率の2倍以上であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
  2. 前記炭素繊維基材が、10,000以上24,000以下のフィラメント数及び150g/m以上400g/m以下の繊物重量を有する炭素繊維基材であり、前記無機充填剤が、4μm以上50μm以下の平均粒径を有する無機充填剤であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化複合材料。
  3. 10,000以上24,000以下のフィラメント数及び150g/m以上400g/m以下の繊物重量を有する炭素繊維基材を積層した積層体を密閉部材で覆って内部を減圧する工程と、熱硬化性樹脂に対し水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン及び赤燐からなる群から選択され且つ4μm以上50μm以下の平均粒径を有する少なくとも1種の無機充填剤を10体積%以上120体積%以下の範囲で添加した熱硬化性樹脂組成物を、減圧された密閉部材内に注入し、積層された炭素繊維基材の最上部層から含浸させる工程を備えることを特徴とする炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の炭素繊維強化複合材料を構成部材として使用したことを特徴とするエレベータかご。
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