JP2011228634A - 電気化学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造過程において集電体シート切断工程を簡略することができ、かつ信頼性の高い、小型の表面実装可能な電気化学素子を提供することにある。
【解決手段】第一の電極107と、第二の電極106と、前記第一の電極107及び第二の電極106を分離するセパレータ105と、電解液と、前記第一の電極107と第二の電極106と前記セパレータ105とを収納する容器101と、前記容器101を封口する封口板102と、前記第一の電極107または前記第二の電極106と前記封口板102との間に配置された集電体シート1112とからなる電気化学素子であって、前記集電体シート1112の一部を、前記封口板102と前記容器101とともに溶接する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、小型の表面実装可能な非水電解質電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学素子に関する。
非水電解質電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学素子は、時計機能のバックアップ電源、半導体のメモリのバックアップ電源、マイクロコンピュータやICメモリ等の電子装置の予備電源、ソーラ時計の電池、モータ駆動用の電源等として使用されている。近年、半導体メモリは不揮発化、時計機能素子の低消費電力化により、電気化学素子は、容量、電流とも大型化の需要は低い傾向にある。むしろ、小型化、薄型化やリフローハンダ付けにより基板上への実装化の要求が強く望まれている。このため、小型、薄型の略四角形状の電気化学素子が提案されたが、略四角形状の電気化学素子は、丸い形状の電気化学素子と違い、かしめて(クリンプして)封口することができなかった。そこで、略四角形状の容器に正極負極からなる対電極、セパレータ、電解質を収納し、封口板をその上に載置し、抵抗溶接法を用いたシーム溶接を行っていた。この抵抗溶接法を用いたシーム溶接を行う場合、負極に用いる電極活物質を予め封口板に接着しておき、該封口板を上から容器内に押し込み、容器に封口板を押し当てた状態で溶接を行うこととなる。このため、溶接前に、電極活物質を封口板に接着しておく接着作業工程があった。この電極活物質と封口板との接着が不完全であれば、電極活物質が封口板から剥離してしまい、内部抵抗の上昇など動作不良の原因となっていた。
この問題点を解決するため、前記封口板にて封口される容器の開口側の配置される電極活物質に集電体シートの少なくとも一部分を接続し、前記容器の開口部まで延出形成し、前記集電体シートの延出した一部分を介在させて溶接することが提案されていた(例えば、特許文献1)。
特開2008−211094号公報
ところで、抵抗溶接法を用いたシーム溶接を行う場合、前記集電体シートの延出した一部分を介在させて溶接すると、延出した前記集電体シートが電気化学素子の外部にはみ出し、その後の工程ではみ出した部分を切断する必要があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、シート切断工程を簡略することができ、かつ信頼性の高い、小型の表面実装可能な電気化学素子を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
請求項1に記載の発明では、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び第二の電極を分離するセパレータと、電解液と、前記第一の電極と第二の電極と前記セパレータとを収納する容器と、前記容器を封口する封口板と、前記第一の電極または前記第二の電極と前記封口板との間に配置された集電体シートとからなる電気化学素子であって、前記集電体シートの一部が、前記封口板と前記容器とともに溶接されていることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、短時間で高強度に溶接ができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電気化学素子であって、前記封口板の外周は、前記容器端部の内周より大きく外周より小さいことを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、はみ出した集電体シートのはみ出し位置や量が確認し易くなり、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の電気化学素子であって、前記容器の端部には金属リングが形成され、前記封口板と前記容器は前記金属リングを介して接続されることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の電気化学素子であって、前記金属リングはコバールで形成され、ニッケルめっきが施されていることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、金属リングのニッケルめっきが、ロウ材の役割を果たすことによって、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電気化学素子であって、前記集電体シートを含む箇所の溶接部はレーザー溶接により溶接されていることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、短時間で高強度に溶接ができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の電気化学素子であって、前記集電体シートを含む箇所以外の溶接は抵抗溶接により溶接されていることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、電解液が入った状態でも安定して溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項7に記載の発明では、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電気化学素子であって、前記封口板の端部が溶接されていることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電気化学素子であって、前記集電体シートは、対向する2辺の一部が溶接されていることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、集電体シートの位置ズレが生じないため、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項9に記載の発明では、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電気化学素子であって、前記集電体シートの厚みは5〜10μmであることを特徴とする電気化学素子とした。
この構成によれば、溶接不良が生じないため、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
請求項10に記載の発明では、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び第二の電極を分離するセパレータと、電解液とを容器に収納する収納工程と、集電体シートの一部を前記容器の縁部からはみ出して設置する集電体シート設置工程と、前記集電体シートの一部が前記容器の縁部からはみ出した状態で、封口板と前記容器とを溶接する溶接工程と、からなる電気化学素子の製造方法とした。
本発明の製造方法によれば、集電体シートを溶接時の熱で溶解し、溶接とともに切断することができる。これにより、はみ出した集電体シートを後から切断するという製造工程を簡略することができた。
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の電気化学素子の製造方法であって、前記溶接工程は、前記封口板の端部近傍であって前記集電体シートが前記封口板端部と前記容器の間にある箇所をレーザー溶接する工程と、前記封口板の端部近傍であって前記集電体シートが前記封口板端部と前記容器の間にない箇所を抵抗溶接する工程と、からなることを特徴とする電気化学素子の製造方法とした。
本発明の製造方法によれば、集電体シートをレーザー溶接時の熱で溶解し、溶接とともに切断することができる。これにより、はみ出した集電体シートを後から切断するという製造工程を簡略することができた。
本発明の提案する電気化学素子は、集電体シートを溶接時の熱で溶解し、溶接とともに切断することができ、はみ出した集電体シートを後から切断するという製造工程を簡略することができる。さらに、短時間で高強度に溶接ができ、電解液が入った状態でも安定して溶接することができるため、電気化学素子の特性に影響がなく、品質も安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
第1実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。 第1実施形態の電気二重層キャパシタの製造方法を説明するための断面図である。 第2実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。 第2実施形態の電気二重層キャパシタの製造方法を説明するための断面図である。 第3実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。 本発明の電気二重層キャパシタのレーザー溶接位置を説明するための断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の電気化学素子を電気二重層キャパシタに具体化した第1実施形態を、図1、図2及び図6に従って説明する。
図1は、直方体形状の電気化学素子としての電気二重層キャパシタの断面図を示す。図1において、電気二重層キャパシタは、上方が開放した凹状の容器101を有するとともに、その容器101に溶接されその開口部を封口する封口板102を有している。封口板102にて封口された容器101内には、第1の電極活物質としての正極活物質106、セパレータ105、第2の電極活物質としての負極活物質107等からなる要素が配設されるようになっている。略四角形状の電気化学素子は、表面実装での場所占有率を下げることにおいて効果がある。
凹状の容器101はアルミナ製で、グリーンシートにタングステンプリントし、コバール(Co:17、Ni:29、Fe:残の比率の合金)製の金属リング109を載せ焼成した。さらに、接続端子A103、接続端子B104には、ニッケル、金めっきを施し、金属リング109の上部には接合材1081(ろう材)となるニッケルおよび金めっきを施した。 金属リング109は、図1左側の側面を通るタングステン層により、接続端子B104に電気的に接続した。この金属リング109は、容器101の端部に形成されている。また、この金属リングはコバールで形成され、ニッケルめっきが施されている。この構成によれば、金属リングのニッケルめっきが、ロウ材の役割を果たすことによって、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。
接続端子A103、及びB104は凹状の容器の下の面に達しているが、容器側面部で止まっていても、ハンダとの濡れにより、基板とのハンダ付けが可能である。
凹状の容器の内側底面全面には、集電体として配線に用いたタングステンと金属層を設け、凹状の容器壁面を貫通し接続端子A103に電気的に接続した。集電体と正極活物質106は炭素を含有する導電性接着剤1111で接着した。
負極集電体シート1112は、図2の左右方向の2辺にはみ出すように設置し、前後方向には、はみ出さない形状とした。
第1実施形態において、ニッケルよりなる厚み5μmの負極集電体シート1112を使用した。
負極集電体シート1112の材質は、ニッケル、銅、アルミニウム等を選択できる。溶接時に金属リングや封口板の材料であるコバールと相性のよいニッケルを選択することがより好ましい。
負極集電体シート1112の厚さは、20μm以下が好ましい。より好ましい厚さとしては5〜10μmがよい。負極集電体シート1112が10μm以上だとシートのない部分の隙間が大きくなり、溶接のとき、溶接不良となる場合がある。逆に負極集電体シート1112が5μm以下だと強度が弱くハンドリングが難しかったり、溶接のとき、切れて導通がなくなる場合がある。
封口板102の大きさは、金属リング109より小さなものとした。少なくとも負極集電体シート1112がはみ出している部分については金属リング109より小さくする必要がある。封口板102の外周は、容器101の端部の内周より大きく外周より小さい。この構成によれば、はみ出した負極集電体シート1112のはみ出し位置や量が確認し易くなり、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。また、封口板102の容器側の部分には、接合材1082(ろう材)となるニッケルめっきを施した。
負極活物質107は、5μmの厚さのニッケルよりなる負極集電体シート1112上に形成したものを用いた。負極集電体シート1112は負極活物質107より大きいものを用い凹状の容器の外側にはみ出すようにした。図2では、負極集電体シート1112の大部分が凹状の容器の外側にはみ出しているが、はみ出しは負極集電体シートの一部でもかまわない。
図2に示すような順番で、容器内部に正負極電極、セパレータ105、電解液を収納した。
次に図6に示したように、封口板102で蓋をした後、負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出した状態で、レーザー溶接により、封口板102の向かい合う2辺の溶接を行った。レーザー溶接で溶接することにより、短時間で高強度に溶接ができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。また、対向する2辺の一部が溶接されていることで、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。レーザー溶接は、封口板102の端部近傍を狙い、溶接と同時に負極集電体シート1112が溶解して、切断できる位置を狙って溶接した。封口版102の端部が溶接されることにより、負極集電体シート1112が切断しやすくなり、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。レーザー溶接は、負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出した部分の辺を溶接するものであり、パルスによるシーム溶接でもいいし、連続照射の方式であってもかまわない。また、封口板102と凹状の容器101をスポット溶接し仮止めしたあと、レーザー溶接を行うことも工程を安定させることに有効である。これにより、負極集電体シート1112は縁部が封口板102と容器101とともに溶接された。この構成によれば、短時間で高強度に溶接ができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。また溶接と同時に、負極集電体シート1112のはみ出した部分を切断でき、はみ出した負極集電体シート1112を後から切断するという製造工程を簡略することができた。
負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出していない2辺は、抵抗溶接の原理を利用したパラレルシーム溶接機(抵抗溶接)により、溶接を行った。これにより、封口板102と容器101は金属リング109を介して接続された。この構成によれば、より確実に高強度に溶接することができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができた。また、負極集電体シート1112を含む箇所以外の溶接をパラレルシーム溶接機(抵抗溶接)により溶接することで、電解液が入った状態でも安定して溶接することができた。
(第2実施形態)
次に、本発明の電気化学素子を電気二重層キャパシタに具体化した第2実施形態を、図3及び図4に従って説明する。図3(a)は、第2実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。(b)は、(a)の一部を拡大した図である。
本実施形態は、凹状の容器101内に収容される正極活物質とセパレータ及び負極活物質等の構成が相違する。従って、説明の便宜上、共通部分は符号を同一にし、詳細な説明は省略し、その相違する点について詳細に説明する。
図3において、凹状の容器101内に収容される正極活物質106とセパレータ105及び負極活物質107は、折り曲げ可能なシート状であって、正極活物質106、セパレータ105及び負極活物質107が、それぞれシート状に形成されている。シート状の正極活物質106は、シート状のセパレータ105を介して、同じくシート状に形成された負極活物質107が積層されている。
そして、シート状の正極活物質106であって、セパレータ105と反対側の面には、正極集電体シート1113が貼り合わされている。正極集電体シート1113は、正極活物質106が貼り合わされており、シートの長手方向の一側にはみ出している。
一方、シート状の負極活物質107であって、セパレータ105と反対側の面には、負極集電体シート1112が貼り合わされている。負極集電体シート1112は、負極活物質107が貼り合わされており、シートの長手方向の一側にはみ出している。
このように、構成された、シートの層を、凹状の容器101に収容できるように、捲回した。この捲回は、一側面に負極集電体シート1112が、他側面に正極集電体シート1113が現れるように、中心部をはさみ、図4に示すように、シート巻き込み捲回した。
そして、捲回したシートの層を、セルキャパシタの正極集電体シート1113が現れている側から凹状の容器101内に収容する。このとき、図4に示すように、正極集電体シート1113はみ出し部は、折り曲げられて、導電性接着剤1111を介して凹状の容器101の接続端子A103と電気的に接続される。一方、凹状の容器101の開口側に面した、負極集電体シート1112のはみ出し部は、右側の側壁上面の上方位置から外方に突出する。
この状態から、凹状の容器101内に電解液を注入した後、封口板102を、凹状の容器101の開口部を完全に塞ぐように、当接させる。このとき、シートの層は、圧縮されて凹状の容器101内に収容される。
次に封口板102で蓋をした後、負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出した状態で、レーザー溶接機により、封口板102の向かい合う2辺の溶接を行った。レーザー溶接は、封口板102の端部近傍を狙い、溶接と同時に負極集電体シート1112が溶解して、切断できる位置を狙って溶接した。レーザー溶接は、負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出した部分の辺を溶接するものであり、パルスによるシーム溶接でもいいし、連続照射の方式であってもかまわない。これにより、負極集電体シート1112は縁部が封口板102と容器101とともに溶接された。この構成によれば、短時間で高強度に溶接ができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。また溶接と同時に、負極集電体シート1112のはみ出した部分を切断でき、はみ出した負極集電体シート1112を後から切断するという製造工程を簡略することができた。
負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出していない2辺は、抵抗溶接の原理を利用したパラレルシーム溶接機により、溶接を行った。これにより、電解液が入った状態でも安定して溶接することができた。
(第3実施形態)
次に、本発明の電気化学素子を電気二重層キャパシタに具体化した第3実施形態を、図5に従って説明する。図5は、第3実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。第2実施形態では、シートの層を捲回し凹状の容器101内に収容したが、第3実施形態では、図5に示すように折りたたんで凹状の容器101内に収容した。その後、第2実施形態と同様に、レーザー溶接で、負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出した部分の辺を溶接した。これにより、負極集電体シート1112は縁部が封口板102と容器101とともに溶接された。この構成によれば、短時間で高強度に溶接ができ、品質が安定した信頼性の高い電気化学素子を得ることができる。また溶接と同時に、負極集電体シート1112のはみ出した部分を切断でき、はみ出した負極集電体シート1112を後から切断するという製造工程を簡略することができた。
負極集電体シート1112が凹状の容器の外側にはみ出していない2辺は、抵抗溶接の原理を利用したパラレルシーム溶接機により、溶接を行った。これにより、電解液が入った状態でも安定して溶接することができた。
負極集電体シート1112の厚さは、20μm以下が好ましい。より好ましい厚さとしては5〜10μmがよい。負極集電体シート1112が10μm以上だとシートのない部分の隙間が大きくなり、溶接のとき、溶接不良となる場合がある。逆に負極集電体シート1112が5μm以下だと強度が弱くハンドリングが難しかったり、溶接のとき、切れて導通がなくなる場合がある。
また、負極集電体シート1112の材質は、ニッケル、銅、アルミニウム等を選択できる。溶接時に金属リングや封口板の材料であるコバールと相性のよいニッケルを選択することがより好ましい。
正極集電体シート1113の材質は、アルミニウム、チタン等を選択できる。比較的安価なアルミニウムを選択することがコスト的な観点でより好ましい。
凹状の容器101は耐熱樹脂、ガラス、セラミックスまたはセラミックスガラス等の耐熱材料がよい。製法としては、低融点のガラスやガラスセラミックスに導体印刷により配線を施し、積層し低温で焼成することも可能である。また、アルミナのグリーンシートと導体印刷により積層し、焼成することも可能である。
金属リング109の材質は、凹状の容器101に熱膨張係数の近いものが望まれる。
たとえば、凹状の容器101が熱膨張係数6.8×10−6/℃のアルミナを用いる場合金属リングとしては熱膨張係数5.2×10−6/℃のコバールを用いることが望ましい。
また、封口板102も溶接後の信頼性を高めるため、金属リングと同じコバールを用いることが望ましい。溶接後、機器の基板に表面実装されるとき、すなわちリフローハンダ付けのとき再び加熱されるためである。
また、配線の集電体となる部分は、耐食性の良く、厚膜法での形成が可能なタングステン、パラジウム、銀、白金または金が好ましい。また、アルミニウム、炭素を使用することもできる。凹状の容器101の底面の配線を正極側の集電体とする場合は、特に金またはタングステンが好ましい。これは、耐電圧の高い材料を用い、プラス側の電位がかかったときに溶解しないようにするためである。
更に電極と配線の導通をよくするため、炭素を含有する導電性接着剤を用いることは有効である。また、耐電圧の低い材料を用いた場合は、集電体の金属に炭素を含有する導電性接着剤を単独で全面に塗りつけ、焼付け硬化させることが有効である。アルミニウムを用いる場合は、蒸着法やスパッタリング法といった乾式製膜が利用できる。
接続端子A103、接続端子B104の部分については、基盤とハンダ付けするためにニッケル、金、スズ、ハンダの層を設けることがよい。凹状の容器101の縁部についても接合材とのなじみの良いニッケルや金などの層を設けることが好ましい。層の形成方法としては、めっき、蒸着などの気相法等もある。
金属リング109および封口板102の接合される面には、ろう材としてニッケル及び/または金の層を設けることが有効である。金の融点は1063℃、ニッケルの融点は1453℃であるが、金とニッケルの合金にすることにより融点を1000℃以下に下げることができるためである。層の形成方法としては、めっき、蒸着などの気相法、印刷を用いた厚膜法等がある。特にめっき、印刷を用いた厚膜法がコスト的に有利である。
ただし、ろう材の層のP、B、S、N、C等の不純物元素は10%以下にする必要がある。特にめっきを用いた場合は注意が必要である。たとえば、無電解めっきにおいては還元剤の次亜リン酸ナトリウムからP、ジメチルアミンボランからBが入りやすい。また、電解めっきにおいては光沢剤の添加剤や陰イオンから入る可能性があるため注意が必要である。還元剤、添加物等の量を調整して入る不純物を10%以下とする必要がある。10%以上入ってしまうと接合面に金属間化合物が生成しクラックが入ってしまう。
封口板102側の接合材1082にニッケルを用いた場合は、凹状の容器101側の接合材1081には金を用いることが好ましい。金とニッケルの比は1:2から1:1の間がよく、合金の融点が下がることにより溶接温度が下がり接合性もよくなる。
レーザー溶接は、パルスによるシーム溶接でもいいし、連続照射の方式であってもかまわない。パルスによるシーム溶接では、パルス状にレーザーを照射するため、溶接後はシーム状になる。パルスによる個々の溶接跡が重なるようにパルス幅をコントロールしなければ、完全に封止することができない。
抵抗溶接法を利用したシーム溶接は、封口板102の対向する二辺に対向するローラー型の電極を押し付け、電流を流すことで、抵抗溶接の原理により溶接する。ローラー電極を回転させながら電流をパルス状に流すため溶接後はシーム状になる。パルスによる個々の溶接跡が重なるようにパルス幅をコントロールしなければ、完全に封止することができない。
使用するセパレータは耐熱性のある不織布であることが好ましい。たとえば、ロール圧延したポーラスフィルム等のセパレータにおいては、耐熱性があるものの、抵抗溶接法を利用したシーム溶接時の熱で圧延方向に縮んでしまう。その結果、内部ショートを起こしやすい。耐熱性のある樹脂またはガラス繊維を用いたセパレータの場合、縮みが少なく良好であった。樹脂としてはPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が良好であった。特にはガラス繊維が有効であった。また、セラミックスの多孔質体を用いることもできる。
本発明の電気化学素子の形状は基本的に自由であるが、略四角形状が端子等の出っ張りがないため効率的に基板上に配置することにおいて有利である。
また、本発明の電気化学素子は、電気二重層キャパシタを例にとり説明したが、非水電解質二次電池等へ応用できることは言うまでもない。
101 凹状の容器
102 封口板
103 接続端子A
104 接続端子B
105 セパレータ
106 正極活物質
107 負極活物質
1081 接合材
1082 接合材
109 金属リング
1111 導電性接着剤
1112 負極集電体シート
301 レーザー光
302 レーザー光源

Claims (11)

  1. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極を分離するセパレータと、電解液と、前記第一の電極と前記第二の電極と前記セパレータとを収納する容器と、前記容器を封口する封口板と、前記第一の電極または前記第二の電極と前記封口板との間に配置された集電体シートとからなる電気化学素子であって、
    前記集電体シートの一部が、前記封口板と前記容器とともに溶接されていることを特徴とする電気化学素子。
  2. 前記封口板の外周は、前記容器端部の内周より大きく外周より小さいことを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
  3. 前記容器の端部には金属リングが形成され、前記封口板と前記容器は前記金属リングを介して接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学素子。
  4. 前記金属リングはコバールで形成され、ニッケルめっきが施されていることを特徴とする請求項3に記載の電気化学素子。
  5. 前記集電体シートを含む箇所の溶接部はレーザー溶接により溶接されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  6. 前記集電体シートを含む箇所以外の溶接は抵抗溶接により溶接されていることを特徴とする請求項5に記載の電気化学素子。
  7. 前記封口板の端部が溶接されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  8. 前記集電体シートは、対向する2辺の一部が溶接されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  9. 前記集電体シートの厚みは5〜10μmであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  10. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び第二の電極を分離するセパレータと、電解液とを容器に収納する収納工程と、
    集電体シートの一部を前記容器の縁部からはみ出して設置する集電体シート設置工程と、
    前記集電体シートの一部が前記容器の縁部からはみ出した状態で、封口板と前記容器とを溶接する溶接工程と、
    からなる電気化学素子の製造方法。
  11. 前記溶接工程は、
    前記封口板の端部近傍であって前記集電体シートが前記封口板端部と前記容器の間にある箇所をレーザー溶接する工程と、
    前記封口板の端部近傍であって前記集電体シートが前記封口板端部と前記容器の間にない箇所を抵抗溶接する工程と、
    からなることを特徴とする請求項10に記載の電気化学素子の製造方法。
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