JP2011228263A - 電気化学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、電気化学素子の内部ショートを防止することにより、長期的に品質が安定した電気化学素子素子を提供することである。
【解決手段】 電気化学素子の内部ショートを防止するため、最大孔径が1μm以下で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とするポーラスフィルムのセパレータ105を使用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、小型の表面実装型非水電解質電池および電気二重層キャパシタなどの電気化学素子に関するものである。
近年、電気化学素子のニーズとして、小型化、薄型化に対する要求が強くなっている。これは、電気化学素子が搭載される電子機器が小型化しているためである。また、実装する際にリフローハンダ付け法(ハンダクリームを塗布した電気化学素子を実装基板上に配置し、回路基板ごと加熱しハンダ付けを行う方法)が多用されており、電気化学素子に、リフローハンダ付けの温度に耐え得る耐熱性が求められるようになった。
従来の電気化学素子は、電池缶をかしめて封口するため、コイン形状をしていた。コイン形状をしているため、実装面積を有効に活用することができず、省スペース化を阻害する要因となっていた。また、リフローハンダ付けを行うには端子等をケースにあらかじめ溶接しておく必要があり、部品点数の増加および製造工数の増加という点でコストアップとなっていた。
この問題を解消するため、実装面積を有効に活用できる略四角形状の電気化学素子が検討されるようになった。略四角形状の電気化学素子は、コイン形状の電気化学素子と異なり、缶(ケース)をかしめて(クリンプして)、封口することが出来ない。このため、凹状容器と封口板とを溶接することにより密閉した電気化学素子が開発された(例えば、特許文献1)。
特開2004‐227959号公報
前記電気化学素子では凹状容器の中に有機溶媒を含む電解液が収納されている。前記電気化学素子は、金属の封口板と凹状容器の開口部に位置する金属リングを溶接し、封口されている。封口板や金属リングの材質はセラミックスとの熱膨張を合わせるため、コバール(Co:17重量%、Ni:29重量%、Fe:残部、からなる合金)等が用いられている。また、溶接時の接合材としてニッケルめっきが、封口板と金属リングの対向する面に施されている場合が多い。電気化学素子を構成する場合、封口板と金属リングは負極活物質と接続されることが多いため、通常還元側の電位に維持され、溶解することがないと思われていた。しかし、電気化学素子の長期の使用においては、封口板や金属リング、または、接合材の金属が溶け出し、電気化学素子の機能に障害を起こす場合があることが判明した。
具体的には、溶け出したニッケルが、セパレータの負極側の面で析出し、針状の結晶をつくり、場合によってはセパレータを貫通し、ショートを起こすという課題があった。なお、本発明のショートとは、電気化学素子の容器内部で起こるものを指す。以降、内部ショートと表記する。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電気化学素子の内部ショートを防止することにより、長期的に品質が安定した電気化学素子を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び第二の電極を分離するセパレータと、電解液と、前記第一の電極と第二の電極と前記セパレータとを収納する容器と、前記容器を封口する封口板とからなる電気化学素子であって、前記セパレータの最大孔径が1μm以下であることを特徴とする電気化学素子である。
この構成によれば、前記セパレータの最大孔径が1μm以下であることで、電気化学素子内に溶け出したニッケルが、セパレータ上で析出しても、セパレータを貫通することがなく、内部ショートを防止できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気化学素子であって、前記セパレータがポーラスフィルムであることを特徴とする。
この構成によれば、不織布のセパレータに比べ、セパレータの孔径を制御しやすくなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電気化学素子であって、前記セパレータの主成分がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなることを特徴とする電気化学素子である。
この構成によれば、リフローでの加熱温度に耐えることができる。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)はポーラスフィルムへの加工および耐熱性において有利である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の電気化学素子であって、前記セパレータを複数枚有することを特徴とすることを特徴とする電気化学素子である。
この構成によれば、セパレータを複数枚有することにより、内部ショートを防止できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の電気化学素子であって、前記セパレータは、前記凹状の容器内部に設けられた段差上に載置されることを特徴とする電気化学素子である。
この構成によれば、セパレータが所定の位置に保持され、内部ショートを防止できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電気化学素子であって、前記セパレータは、前記段差によりできた開口部の面積より大きく、かつ収縮しても、前記段差より下に入らない形状である。
この構成によれば、セパレータが所定の位置に保持され、内部ショートを防止できる。
本発明の提供する電気化学素子は、電気化学素子内に溶け出したニッケルが、セパレータ上で析出しても、セパレータを貫通することがなく、内部ショートを防止できる。これにより、長期的に品質が安定した電気化学素子を提供することができる。
第1実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。 第2実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の電気化学素子を電気二重層キャパシタに具体化した第1実施形態を、 本発明の代表的な構造について図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の直方体である本発明の電気二重層キャパシタの断面図である。
凹状容器101はセラミックス製である。凹状容器101は、グリーンシートを積層した後、タングステンを凹状容器にプリントし焼成した。タングステンをプリントしたグリーンシートの積層体を焼成することにより、接続端子A103、接続端子B104を具備した凹状容器101が得られた。次に、コバール(Co:17重量%、Ni:29重量%、Fe:残部、からなる合金)製の金属リング109を凹状容器の上端にロウ付けした。さらに、接続端子A103、接続端子B104の表面には、ニッケルめっき、金めっきを施した。また、金属リング109の上部にはリンを含有したニッケルめっきを施し、ニッケルめっき層(接合材とはニッケルめっき層のことである)1081を形成した。酸化防止のため、ニッケルめっき層(接合材)1081の表面に金めっきを施しても良い。
また、凹状容器101縁部に位置する金属層(金属リング109とニッケルめっき層(接合材)1081)の厚さを負極活物質107とセパレータ105の合計の厚さより薄くした。もし、金属層の厚さが負極活物質107とセパレータ105の合計の厚さより厚くなってしまうと金属層と正極活物質106が接触し、非水電解質電池または電気二重層キャパシタとして機能しなくなってしまう可能性がある。
接続端子B104は、凹状容器101の外側底面から金属リング109まで延設されており、接続端子B104と金属リング109とは電気的に接続された。接続端子A、接続端子Bは凹状容器101の外側の底面に達しているが、容器側面部で止まっていても、ハンダとの濡れにより、基板とのハンダ付けが可能である。凹状容器101の内側底面には、タングステンからなる集電体が設けられた。集電体は、凹状容器壁面を貫通し接続端子A103に電気的に接続された。OLE_LINK1グリーンシートにタングステンをプリントすることにより、集電体と接続端子が一体的に形成された。凹状容器101の内側に位置する集電体には、腐食防止のため、アルミニウムなどの弁作用金属で被覆することが好ましい。集電体と正極活物質106OLE_LINK1は炭素を含有する導電性接着剤1111で接着した。集電体と正極活物質106は特に接着する必要はなく上に載せるだけでもよい。
封口板102の容器側の部分にはリンを含むニッケルめっきを施し、ニッケルめっき層1082が形成された。封口板102と負極活物質107は、あらかじめ炭素を含有する導電性接着剤1112で接着された。発電要素は、正極および負極からなる一対の電極と、セパレータ105と、電解液からなる。
本発明のセパレーターは、ポーラスフィルムであり、最大孔径は1μm以下が好ましい。セパレータの最大孔径が1μm以下であることで、電気化学素子内に溶け出したニッケルが、セパレータ上で析出しても、セパレータを貫通することがなく、内部ショートを防止できる。なお材質は、ポーラスフィルムが良い。不織布のセパレータに比べ、セパレータの孔径を制御しやすくなる。また、製造しやすく、リフローでの加熱温度に耐えることができる耐熱性の高いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が最適である。しかし、ロール圧延したポーラスフィルム等のセパレータにおいては耐熱性があるものの、抵抗溶接法を利用したシーム溶接時や電気化学素子のリフローハンダ付け実装といった200℃以上の熱が加わった場合、圧延方向に縮んでしまう。また、厚さにおいては、十分な強度を保つためとハンドリングを必要とするため20μm以上が好ましい。
内部ショートを防止する上においては、凹状の容器101の内側に段差110を設け、段差上にセパレータを配置することが有効である。
容器内部に正負極電極、セパレータ105、電解液を収納し、封口板102で蓋をした後、抵抗溶接の原理を利用したパラレルシーム溶接機により、封口板102の向かい合う2辺ずつ溶接を行った。この方法により信頼性の高い封口が得られた。金属リング上のニッケルめっき層(接合材)1081と封口板のニッケルめっき層(接合材)1082とが溶融して、接合部を形成する。接合部はリンを含んだニッケル合金からなる。接合部により、金属リングと凹状容器とが接合された。
(第2実施形態)
以下、本発明の電気化学素子を電気二重層キャパシタに具体化した第2実施形態を、 図2を用いて説明する。図2は、第2実施形態の電気二重層キャパシタの断面図である。
内部ショートを防止する上においては、凹状の容器101の内側に段差110を設け、段差上にセパレータを配置することが有効である。図2に示したように、凹状の容器101側面の壁より金属リング109の厚さを薄くして段差110を作り、段差上にセパレータを配置した。これにより内部ショートを大幅に減らすことができた。また、凹状の容器の側面の壁に段差を設けることも有効である。
溶接時の熱衝撃によるクラックの発生を防止するためには、溶接温度を下げることが重要である。溶接温度を下げるためには、金属リング109および封口板102の接合される面に、ロウ材としてリンを含むニッケルめっき層を設けることが効果的である。
ニッケルの融点は1453℃であるが、ニッケルにリンを添加することにより融点を低下させることができる。また、溶接面に金を存在させることでも溶接温度を下げることができる。リンを含むニッケルめっき層は、金属リング109および封口板102の両方に配置されていれば、溶接温度を下げる信頼性の高い溶接が可能となる。
リンを含有するニッケルめっき層を形成する方法は、電解めっき、無電解めっきを用いることができる。無電解めっきにおいては還元剤としている用いる次亜リン酸ナトリウムからリンを含有させることができる。電解めっきにおいては、亜リン酸、リン酸を含むニッケルめっき浴からリンを含有するニッケルめっき層が成膜可能である。
なお、リンを含むニッケルめっき層の生成方法は限定されないが、無電解めっきにより形成することが好ましい。無電解ニッケルめっき層をSEMのEDXにより観察した結果、表面にリンが多く分布することがわかった。リンが多量に含まれる層は、めっき初期に生じ、析出反応が進行してもこの層は常にめっき表面の上部に位置するためと考えられる。すなわち、無電解めっきでは、表面に多くリンを含有するため、ニッケルめっき層の表面の融点を、内部より低くすることができる。これにより、金属リング109および封口板102に施されたニッケルめっき中のリン濃度が異なっても双方容易に融解し、信頼性の高い溶接が可能となる。
リンを含むニッケル化合物NiPの場合、融点は約965℃である。めっき終了後の膜は、X線回折を行うとアモルファスに近い微結晶であるため、リンは粒界近傍に偏析していることが考えられる。そのため、リンを含むニッケルめっき膜の融点は、965℃以下に下げられるものと考えられる。
ニッケルめっき層に含まれるリンは5〜12重量%が好ましい。ニッケル中に含まれるリンが多いほど溶接温度を下げることができる。ニッケルの融点を低下させるためには、ニッケルめっき層に5%以上のリンを含有することが好ましい。しかし、ニッケル中に含まれるリンの量が多すぎると、溶接によって、接合部中にNiPが多く生成することとなる。接合部に10重量%以上リンが残るとNiPが多く生成し、組成が不均一となり接合部の強度が低下する。このため、接合部に含まれるリンの含有量は10重量%以下となることが好ましい。溶接時の熱で昇華することによりリンが減少することを考慮すると、ニッケルめっき層(接合材)1081、ニッケルめっき層(接合材)1082に含まれるリンの含有量は、12重量%以下であることが好ましい。ニッケルめっき層に含まれるリンの含有量が12重量%であれば、溶接熱によりリンが昇華するため、接合部に含まれるリンの含有量は10重量%以下となる。
凹状容器101は、コストおよび成形性を考慮するとアルミナが良好である。製法としては、アルミナのグリーンシートと導体印刷により積層し、焼成することも可能である。
前記開口部に形成した金属は、ニッケルめっき層(接合材)1081を上部に形成した金属リング109であってもいいし、または、金属リングのないニッケルめっき層(接合材)1081だけでもかまわない。溶接時の凹状容器101への熱の影響を考慮すれば、金属リング109を形成した方が有利である。
金属リング109の材質は、凹状容器101に熱膨張係数の近いものが望まれる。たとえば、凹状容器101が熱膨張係数6.8×10−6/℃のアルミナを用いる場合、金属リングとしては熱膨張係数5.2×10−6/℃のコバールを用いることが望ましい。また、封口板102も溶接後の信頼性を高めるため、金属リングと同じコバールを用いることが望ましい。リフローハンダ付けにより電気化学素子が加熱されても、金属リングと封口板とが剥離することを防ぐためである。
また、凹状容器101の内側底面に形成される集電体は、タングステンが好ましいが、それ以外にも、パラジウム、銀、白金または金を用いることができる。また、集電体をアルミニウム、チタンなどの弁作用金属や炭素などで被覆することが好ましい。これは、耐電圧の高い弁作用金属で被覆することにより、プラス側の電位がかかったときに集電体が溶解しないようにするためである。アルミニウムを用いる場合は、蒸着、溶射や常温溶融塩からのめっき(ブチルピジウムクロリド浴、イミダゾリウムクロリド浴)を利用できる。さらに、電極と集電体との導通をよくするため、炭素を含有する導電性接着剤を用いることが有効である。また、耐電圧の低い材料を集電体に用いる場合は、集電体表面に炭素を含有する導電性接着剤を全面に塗りつけ焼付け硬化させることが有効である。
接続端子A103、接続端子B104の実装基板と接する部分については、ハンダ付け性を向上させるため、ニッケル、金、スズ、ハンダの層を表面に設けることが好ましい。
接合部の溶接は、抵抗溶接法を利用したシーム溶接が利用できる。封口板102と凹状容器101をスポット溶接し仮止めしたあと、封口板102の対向する二辺に対向するローラー型の電極を押し付け、電流を流すことで、封口板102と金属リング109の対抗する面に配置されたニッケルめっき層が融け、抵抗溶接の原理により溶接できる。封口板102の四辺を溶接することにより封止することができる。ローラー電極を回転させながら電流をパルス状に流すため溶接後はシーム状になる。
電気化学素子内で溶出した接合材が、セパレータの負極側の面で析出し、針状の結晶をつくり、セパレータを貫通し、ショートを起こすという致命的障害を引き起こすという課題があったが、ポーラスフィルムのセパレータは、これを防止できる。
一般に、電気化学素子を構成する場合、封口板と金属リングは負極活物質と接続されることが多いため、通常還元側の電位に維持され、溶解することがないと思われていた。しかし、電気化学素子の長期の使用においては、封口板や金属リング、または、接合材の金属が溶け出し、電気化学素子の機能に障害を起こすことが判明した。我々の実験では、溶出する金属としてニッケルが多く観察された。また、微量ではあるが、鉄などのニッケルより卑な金属の析出も認められた。ニッケルは、封口板や金属リング材質のコバール、接合材として使うニッケルめっきに多く含まれる。セパレータの種類によっては、溶け出したニッケルが、セパレータの負極側の面で析出し、針状の結晶をつくり、セパレータを貫通し、ショートを起こすという致命的障害を引き起こすという課題があった。
内部ショートを防止する上において、凹状の容器101の内側に段差110を設け、段差上にセパレータを配置することが有効である。図2に示したように、凹状の容器101側面の壁より金属リング109の厚さを薄くして段差110を作り、段差上にセパレータを配置した。これによりセパレータが所定の位置に保持され、内部ショートを大幅に減らすことができた。また、凹状の容器の側面の壁に段差を設けることも有効である。段差の大きさは、加熱によるセパレータの収縮を考慮し、大きさを決める必要がある。また、セパレータは段差によりできた開口部の面積より大きく、かつ収縮しても、段差より下に入らない形状であるにすることにより、セパレータが所定の位置に保持され、内部ショートを防止できる。
本発明の電気化学素子の形状は基本的に自由である。従来のコイン型電気化学素子は、デットスペースができ無駄であった。本発明の電気二重層キャパシタは四角い設計も可能であり、端子の出っ張りが無いため効率的に基板上に配置することができる。
(実施例1)
図1に示した収納容器を用いて実施例1の電気二重層キャパシタを作製した。凹状容器101はアルミナ製で、サイズは3.2×2.5×0.9mmの大きさである。凹状のへこみは深さが0.4mm、大きさは2.4×1.7mmとした。接続端子A、接続端子B、集電体はタングステン層の表面に金めっきを施して形成した。封口板102は、厚さ0.1mmのコバール板にリンを3重量%含有したニッケルめっき層を約5μmの厚さで形成したものを用いた。凹状容器101の金属リング109には、リンを3重量%含有したニッケルめっき層を約5μmの厚さで形成したものを用いた。
活物質は活性炭(比表面積2260m/g)に導電剤としてカーボンブラックを加え、テフロン(登録商標)バインダーを結着剤としてシート化したものを用いた。電解液としては、(CH)(CNBFをプロピレンカーボネートに1mol/L溶かした溶液を用いた。このシートを切断し、正極活物質106、負極活物質107とした。セパレータ105は主成分がポリテトラフルオロエチレンPTFE)製で最大孔径が0.1μm、膜厚が55μmのものを1枚用いた。
凹状容器101の底面に導電性接着剤1111で正極活物質106を接着した。封口板102にも負極活物質107を導電性接着剤1112で接着した。それぞれを250℃で乾燥させた。同様に乾燥させたセパレータ105を凹状容器内の正極活物質106の上に設置し、凹状容器101に電解液を滴下した。その後、凹状容器101の開口部に封口板102を乗せ、凹状容器の上端に設けられた金属リング109と封口板102とを抵抗溶接した。金属リングと封口板との溶接は、継ぎ目の無いパラレルシーム溶接を行った。このような方法で電気二重層キャパシタを20個作製した。
(実施例2)
セパレータ105は主成分がポリテトラフルオロエチレンPTFE)製で最大孔径が1μm、膜厚が80μmのものを1枚用い、実施例1と同様に電気二重層キャパシタを20個作製した。
(実施例3)
セパレータ105は主成分がポリテトラフルオロエチレンPTFE)製で最大孔径が1μm、膜厚が20μmのものを2枚用い、実施例1と同様に電気二重層キャパシタを20個作製した。
(比較例1)
セパレータ105は主成分がポリテトラフルオロエチレンPTFE)製で最大孔径が5μm、膜厚が80μmのものを1枚用い、実施例1と同様に電気二重層キャパシタを20個作製した。
(比較例2)
セパレータ105はアクリルバインダーにより結着したガラス繊維セパレータで最大孔径が12.4μm、膜厚が210μmのものを1枚用い、実施例1と同様に電気二重層キャパシタを20個作製した。
それぞれの電気二重層キャパシタについて、70℃、2.6V電圧を印加した状態で所定の日数保管し、内部ショートの発生個数を測定した。一般に70℃、10日保存は1年に相当すると考えられている。この測定結果を表1に示した。
Figure 2011228263
実施例1のセパレータにポリテトラフルオロエチレンPTFE)を主成分とするポーラスフィルムを用いた。セパレータの膜厚は55μmで最大孔径は0.1μmと小さめのものを1枚用いた。100日の保存後、常温保存で10年相当であってもショートは発生せず、良好な信頼性を示した。
実施例2のセパレータには、同様にポリテトラフルオロエチレンPTFE)を主成分とするポーラスフィルムを用いた。セパレータの膜厚は80μmで最大孔径は1.0μmのものを1枚用いた。100日の保存後、常温保存で10年相当でショートの発生は、一個であった。電気化学素子を搭載する機器の製品寿命は概ね3から6年程度であることが多いため、実使用上は問題のない信頼性である。
実施例3のセパレータにポリテトラフルオロエチレンPTFE)を主成分とするポーラスフィルムを用いた。セパレータの膜厚は20μmで最大孔径は1μmのものを2枚用いた。実施例1と同様に100日の保存後、常温保存で10年相当であってもショートは発生せず、良好な信頼性を示した。
比較例1のセパレータには、同様にポリテトラフルオロエチレンPTFE)を主成分とするポーラスフィルムを1枚用いた。セパレータの膜厚は80μmで最大孔径は5.0μmのものを用いた。60日、100日の保存後、ショートの発生があり、長期の使用に耐えられないことがわかった。このことから、セパレータの最大孔径は1μm以下とすることが望ましいと言える。
比較例2のセパレータには、アクリルバインダーにより結着したガラス繊維セパレータを1枚用いた。セパレータの膜厚は210μmで最大孔径は12.4μmのものを用いた。セパレータが厚いにもかかわらず、ショートの発生があり、短期間の使用にも耐えられないことがわかった。
本実施例においては、電気二重層キャパシタについてのみ説明したが、非水二次電池に応用した場合も保存において同様の効果が期待できる。ただし、リチウム系の電池の場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とリチウムが反応するため、他の材質のポーラスフィルムを用いることが望ましい。
101 凹状の容器
102 封口板
103 接続端子A
104 接続端子B
105 セパレータ
106 正極活物質
107 負極活物質
1081 接合材
1082 接合材
109 金属リング
110 段差
1111 導電性接着剤
1112 導電性接着剤

Claims (6)

  1. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極を分離するセパレータと、電解液と、前記第一の電極と第二の電極と前記セパレータとを収納する容器と、前記容器を封口する封口板とからなる電気化学素子であって、
    前記セパレータの最大孔径が1μm以下であることを特徴とする電気化学素子。
  2. 前記セパレータがポーラスフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
  3. 前記セパレータの主成分がポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学素子。
  4. 前記セパレータを複数枚有することを特徴とする請求項1または3に記載の電気化学素子。
  5. 前記セパレータは、前記凹状の容器内部に設けられた段差上に載置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気化学素子。
  6. 前記セパレータは、前記段差によりできた開口部の面積より大きく、かつ収縮しても、前記段差より下に入らない形状であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学素子。
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