JP2011227162A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベルトニップ方式の定着装置において、ニップ部の下流側に配設され、張架された定着ベルトを内側から押圧する分離ローラの形状を、両端から中央に向かって増径する多段クラウン形状とする。具体的には、分離ローラは、軸方向中央を頂点とする第1クラウン量の第1双曲線を軸中心に回転させた形状を有する中央部と、軸方向中央を頂点とし、第1クラウン量以下の第2クラウン量の第2双曲線を軸中心に回転させた形状を有する両端部と、第1双曲線と第2双曲線を連結する連結線を軸中心に回転させた形状を有する中間部と、で構成され、中間部の平均斜度が中央部及び両端部の平均斜度より大きくなっている。
【選択図】図3
Description
しかしながら、ニップ部の両端が所定の圧力となるように分離ローラの両端を大きな押圧荷重で付勢すると、分離ローラが撓んで軸方向中央の圧力が小さくなる。この場合、通紙される用紙先端側の幅方向中央においてトナー層中に気泡が発生しやすくなり、この気泡に起因して水が滴ったような光沢ムラ等が発生して画像品質が劣化してしまう(図6参照)。
特許文献1,2には、定着ローラに加圧ローラを圧接させるローラニップ方式の定着装置において、加圧ローラを正クラウン形状としてニップ部の圧力分布を均一化することが開示されている。
特に、分離ローラは、通紙された用紙が定着ローラから剥離しやすいように小径とされているため、両端が所定の押圧荷重で付勢されたときの撓み量が加圧ローラに比較して大きい。そのため、分離ローラの両端の押圧荷重とクラウン量をバランスさせること自体容易ではなく、光沢ムラの防止と紙シワの防止を両立させることは極めて困難となっている。
前記ニップ部の下流側に配設され、張架された前記定着ベルトを内側から押圧する分離ローラは、
両端から中央に向かって増径するクラウン形状を有し、
軸方向中央を頂点とする第1クラウン量の第1双曲線を軸中心に回転させた形状を有する中央部と、
軸方向中央を頂点とし、前記第1クラウン量以下の第2クラウン量の第2双曲線を軸中心に回転させた形状を有する両端部と、
前記第1双曲線と前記第2双曲線を連結する連結線を軸中心に回転させた形状を有する中間部と、で構成され、
前記中間部の平均斜度が、前記中央部及び前記両端部の平均斜度より大きいことを特徴とする。
前記第1クラウン量が前記第2クラウン量よりも大きいこと特徴とする。
本実施形態では、本発明に係る画像形成装置を、コピーやプリンタなどの機能を有するデジタル複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に適用した例について説明する。なお、本発明に係る画像形成装置は、デジタル複合機に限定されるものではなく、用紙に画像形成する画像形成装置であれば、ファクシミリ装置、コピー又はプリンタ単体の装置などであってもよい。
画像形成装置1は、原稿に形成されているカラー画像を読み取って取得された画像データ、又は、ネットワークを介して外部の情報機器(例えばパーソナルコンピュータ)から入力された画像データに基づいて、用紙に色を重ね合わせて画像を形成する。画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体ドラム23(23Y,23M,23C,23K)を連装し、一回の手順で各色トナー像を順次転写し、用紙にカラー画像を形成するタンデム方式を採用している。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11、原稿画像走査装置12等で構成されている。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。原稿画像走査装置12は、搬送された原稿dを光走査し、CCD(Charge Coupled Device)により光電変換して原稿画像を読み取る。ここで、画像には、図形や写真等のイメージデータの他、文字や記号等のテキストデータ等も含まれる。
なお、自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となっている。読み取られた原稿画像のデータは画像形成部20内部の画像メモリ(図示略)に記憶され、順次出力用画像データとして読み出される。
クリーニング装置25は、1次転写後に感光体ドラム23の表面に残存するトナーを除去する。クリーニング装置27は、2次転写後に中間転写ベルト26aに残存するトナーを除去する。
そして、画像形成部20において、中間転写ベルト26aのトナー像が用紙の一方の面に一括して2次転写され、定着装置60により定着処理が施される。画像形成された用紙は、排紙ローラ104を備えた排紙装置33により機外の排紙トレイ33aに排紙される。
図2に示すように、定着装置60はベルトニップ方式の定着装置であり、定着ローラ61、加圧ユニット62、外部加熱ユニット63、クリーニングユニット64、リフレッシュローラ65等を備えて構成されている。
定着ローラ61は、例えば外径φ80の中空状のAl製芯金611に、シリコーンゴムからなる1.5mm厚の弾性層612が形成され、その上に50μm厚のPFAチューブからなる離型層613が形成された構成を有し、加熱源としてのハロゲンヒータ614が内蔵されている。なお、弾性層612上に離型材をコーティングして離型層613を形成するようにしてもよい。
定着ベルト625は、例えば70μm厚のポリイミド基材に、シリコーンゴムからなる180μm厚の弾性層が形成され、その上に50μm厚のPFAチューブからなる離型層が形成された構成を有する無端ベルトである。
本実施形態では、この分離ローラ621のクラウン形状を改良することにより、紙シワの発生と光沢ムラの発生を効率的に防止している。
固定押圧部材627の表面は、固定押圧部材627と定着ベルト625間の摺動抵抗を低減するために、例えば耐熱性樹脂からなる70μm厚の摺動シート628で被覆されている。摺動シート628は、固定押圧部材627の摺動面に沿うようにステー626に取り付けられている。
定着ベルト625が分離ローラ621と固定押圧部材627によって定着ローラ61に圧接されることにより、幅広のニップ部(例えばニップ幅:20mm)が形成される。
潤滑剤供給部材629は、ステー626に取り付けられ、例えばアラミド繊維等のフェルトからなるオイル含浸部材の上にPTFE多孔質体からなるオイル規制膜が袋状に形成された構成を有する。潤滑剤供給部材629は、オイル含浸部材から供給される潤滑剤を、オイル規制膜を介してインレットローラ622に塗布する。潤滑剤としては、例えば粘度100〜1000csのジメチルシリコンオイル、又は粘度100〜1000csのメチルフェニルシリコンオイル等のシリコンオイルが用いられる。
インレットローラ622のベルト搬送方向上流側に配設されたステアリングローラ623は、例えば一端を上下に移動させて、回転軸を揺動させることにより定着ベルト625の偏り(蛇行)を補正する。
図3に示すように、分離ローラ621は、両端L,Rから中央Cに向かって増径するクラウン形状を有し、平均斜度θ1で幅160mmの緩やかな傾斜の中央部P1、平均斜度θ3で幅30mmの急傾斜の中間部P3、平均斜度θ2で幅80mmの緩やかな傾斜の両端部P2に区画される。
ここで、平均斜度θは、tanθ=各領域における外径差/軸方向の幅(中央部P1については軸方向の幅/2)で規定されるもので、外形を規定する曲線の形状に左右されない。
第1双曲線L1及び第2双曲線L2は軸方向中央Cから両端L,Rに向けて接線の傾きが大きくなるので、中央部P1及び両端部P2の長さにかかわらず、中央部P1の平均斜度θ1の方が両端部P2の平均斜度θ2よりも小さくなる。
分離ローラ621において、第1双曲線L1のクラウン量を例えば0.8mmとした場合、この双曲線を軸中心に回転させたときの回転体は、最大外径が中央Cで20.8mm、最小外径が両端L,Rで20mmとなり、この回転体の一部が中央部P1となる。
また、中間部P3の平均斜度θ3は、中央部P1の平均斜度θ1及び両端部P2の平均斜度θ2より大きくなっている。すなわち、分離ローラ621は、緩やかな傾斜の両端部P2と中央部P1の間に急傾斜の中間部P3を形成した2段クラウン形状となっている。
なお、分離ローラ621は、従来の分離ローラに比較して複雑な形状を有することとなるが、旋盤加工等により比較的容易に所望の形状を実現できる。
分離ローラ621によれば、中央部P1の外径が太くなっているために、両端が大きな押圧荷重で付勢されたときのニップ部の軸方向中央における圧力低下が抑制される。また、両端部P2の外径が、中央部P1より明らかに細くなっているために、ニップ部の軸方向両端における圧力が保持される。
したがって、分離ローラ621を備えた定着装置60によれば、ニップ部の両端で所定値以上の圧力を保持しつつ、ニップ部の軸方向の圧力分布が均一化されるので、紙シワの発生と光沢ムラの発生を効率的に防止することができる。また、定着装置60を備えた画像形成装置1よれば、紙シワが発生することなく、高品質の画像形成が実現される。
図4は、実施例1に係る分離ローラ621の外形プロファイルを示す図である。
図4に示すように、実施例1では、中央部P1を形成する第1双曲線L1及び両端部P2を形成する第2双曲線L2を、クラウン量が同じで、頂点座標が異なる2つの双曲線で構成している。具体的には、クラウン量が0.74mmの双曲線を第2双曲線L2とし、この第2双曲線L2に補正値として0.06mmを加算した双曲線を第1双曲線L1としている。また、第2双曲線L2を0〜0.06mmで線形補完した曲線を連結線L3としている。
すなわち、実施例1においては、第1双曲線L1を分離ローラ621の長さ範囲で回転させた回転体の最小外径(20.06mm、シフト量:0.06mm)が、第2双曲線L2を分離ローラ621の長さ範囲で回転させた回転体の最小外径(20mm)より大きくなっている。
図5は、実施例2に係る分離ローラ621の外形プロファイルを示す図である。
図5に示すように、実施例2では、中央部P1を形成する第1双曲線L1及び両端部P2を形成する第2双曲線L2を、クラウン量が異なる2つの双曲線で構成している。具体的には、クラウン量が0.8mmの双曲線を第1双曲線L1とし、クラウン量が0.74mmの双曲線を第2双曲線L2としている。また、連結線L3は、第1双曲線L1と第2双曲線L2を滑らかに連結している。
すなわち、実施例2においては、第1双曲線L1を分離ローラ621の長さ範囲で回転させた回転体の最小外径(20mm)が、第2双曲線L2を分離ローラ621の長さ範囲で回転させた回転体の最小外径と同じで、第1双曲線L1のクラウン量(第1クラウン量)が第2双曲線L2のクラウン量(第2クラウン量)よりも大きくなっている。
比較例1では、分離ローラ621の形状を、クラウン量が0.74mmの双曲線を軸中心に回転させた正クラウン形状とした。
比較例1の分離ローラ621を備えた定着装置60を用いて、実施例1と同様の条件で用紙にトナー像を熱圧着させ、紙しわと光沢ムラの発生を観察した。その結果、紙シワは発生しなかったが、光沢ムラが発生した。比較例1に係る分離ローラ621では、ニップ部中央における圧力が著しく低下したためと考えられる(図8のクラウン量:小を参照)。
比較例2では、分離ローラ621の形状を、クラウン量が0.8mmの双曲線を軸中心に回転させた正クラウン形状とした。
比較例2の分離ローラ621を備えた定着装置60を用いて、実施例1と同様の条件で用紙にトナー像を熱圧着させ、紙しわと光沢ムラの発生を観察した。その結果、光沢ムラは発生しなかったが、紙シワが発生した。比較例2に係る分離ローラ621は中央部の外径が大きすぎて、ニップ部両端における圧力が低下したためと考えられる(図8のクラウン量:大を参照)。
例えば、上記実施形態では分離ローラ621の形状を2段クラウン形状としたが、双曲線を軸中心に回転させた部分(緩やかな傾斜部)が中間部P3に含まれるように、例えば、中間部P3を急傾斜部と緩傾斜部が交互に形成された構成とし、3段以上の多段クラウン形状としてもよい。この場合も、中間部P3の平均斜度θ3は、中央部P1の平均斜度θ1及び両端部P2の平均斜度θ2よりも大きくなる。
60 定着装置
61 定着ローラ
62 加圧ユニット
621 分離ローラ
P1 中央部
P2 両端部
P3 中間部
L1 第1双曲線
L2 第2双曲線
L3 連結線
Claims (5)
- 加熱源により所定の温度に加熱される定着ローラと、前記定着ローラに圧接される定着ベルトを備え、前記定着ローラに前記定着ベルトが圧接されることにより形成されたニップ部で、トナー像が形成された用紙を狭持搬送しながら、熱圧着により前記トナー像を前記用紙に定着させるベルトニップ方式の定着装置であって、
前記ニップ部の下流側に配設され、張架された前記定着ベルトを内側から押圧する分離ローラは、
両端から中央に向かって増径するクラウン形状を有し、
軸方向中央を頂点とする第1クラウン量の第1双曲線を軸中心に回転させた形状を有する中央部と、
軸方向中央を頂点とし、前記第1クラウン量以下の第2クラウン量の第2双曲線を軸中心に回転させた形状を有する両端部と、
前記第1双曲線と前記第2双曲線を連結する連結線を軸中心に回転させた形状を有する中間部と、で構成され、
前記中間部の平均斜度が、前記中央部及び前記両端部の平均斜度より大きいことを特徴とする定着装置。 - 前記第1双曲線を前記分離ローラの長さ範囲で回転させた回転体の最小外径が、前記第2双曲線を前記分離ローラの長さ範囲で回転させた回転体の最小外径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記第1クラウン量が前記第2クラウン量と同じであることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記第1双曲線を前記分離ローラの長さ範囲で回転させた回転体の最小外径が、前記第2双曲線を前記分離ローラの長さ範囲で回転させた回転体の最小外径と同じであり、
前記第1クラウン量が前記第2クラウン量よりも大きいこと特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 請求項1から4の何れか一項に記載の定着装置を備え、この定着装置によって用紙上に形成されたトナー像を定着させることを特徴とする画像形成装置。
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