JP2011227082A - ハイブリッド車輌用パワートレインの調査システム - Google Patents

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Abstract

【課題】テストベンチで様々な構造または様々な要素技術を比較する。
【解決手段】熱機関と駆動用電気モータとを備えたハイブリッド車輌用のパワートレインの調査システムは、第1の電気モータ(M1)と、熱機関の作動をリアルタイムに模擬し、かつ機関の制御手段を模擬するシミュレーション手段(S1,S2)と、シミュレーション手段から得られた機関速度を第1の電気モータの回転軸上に機械的に再現する手段(PTRI,M2)と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車輌用機関の分析及び設計の分野に関する。本発明は特に、熱機関と駆動用電気モータとを備えたハイブリッド車両の、エンジンテストベンチ型の、パワートレインの調査システムに関する。
ハイブリッド車輌のパワートレインは、基本的に熱機関と電気モータとからなる。電気モータの役割は、車輌のハイブリッド化の程度(「発進/停車」、「マイルドハイブリッド」、「フルハイブリッド」等)に応じて差はあるが、駆動への寄与に関し多少なりとも重要である。
通常、ハイブリッド車輌用パワートレインのテストを実施可能な実験手段を「ハイブリッド用パワートレインベンチ」と呼ぶ。ハイブリッド用パワートレインベンチに搭載される熱機関及び電気モータは、実際に車輌に搭載される可能性が高い。従って、熱機関及び電気モータは1対1のスケールの機関である。
このテストベンチは、費用及び固定資産の観点から、かなりの投資を必要とする。さらに、テストベンチを実現するためには、ハイブリッド車輌用パワートレインの構造及び構成要素が完全に固定されていることが前提条件である。つまり、このようなテストベンチで様々な構造または様々な要素技術を比較することはできない。
Fodorean D.,Miraoui, A., Dimensionnement rapide des machines synchrones a aimants permanents (MSAP), Techniques de l'lngenieur, D 3 554-1-22
本発明の目的は、「ハイブリッド用パワートレインベンチ」の欠点を解消するのを可能にする、ハイブリッド車輌用の、エンジンテストベンチ型の、パワートレイン調査システムである。この目的は、第1の電気モータを熱機関を模擬するソフトウェア手段と組み合わせたシステムによって実現される。
従って、本発明によるシステムは、第1の電気モータ(M1)と、熱機関の作動をリアルタイムに模擬し、かつ熱機関の制御手段を模擬するシミュレーション手段(S1,S2)と、シミュレーション手段から得られた機関速度を第1の電気モータの回転軸上に機械的に再現する手段(PTRI,M2)と、を有している。
本発明によれば、機関速度を再現する手段は、第1の電気モータの回転軸に固定された第2の回転軸を備えた第2の電気モータ(M2)と、シミュレーション手段と第1及び第2の電気モータとの間のリアルタイムのインタフェース手段(PTRI)と、を有することができる。
本発明によれば、インタフェース手段(PTRI)は、第1の電気モータ(M1)に対する所望のトルク要求を第1の電気モータ(M1)に送信する手段と、第1の電気モータ(M1)から実際に与えられたトルクの測定値を車輌トランスミッションシミュレータ(S3)に送信する手段と、車輌トランスミッションシミュレータ(S3)からの回転速度要求を第2の電気モータ(M2)に送信する手段と、とを有することができる。
一実施態様によれば、インタフェース手段(PTRI)は、第1の電気モータ(M1)に接続された第1の電子制御手段(OND1)と、第2の電気モータ(M2)に接続された第2の電子制御手段(OND3)と、を有している。電子制御手段は少なくとも1つのインバータを有していてよい。
一実施態様によれば、リアルタイムのシミュレーション手段はコンピュータを有し、コンピュータは、リアルタイムオペレーティングシステムと、リアルタイムタスクスーパーバイザと、熱機関、熱機関の制御手段、車輌のトランスミッション及び車輌の動特性の作動をリアルタイムに模擬するソフトウェアモジュール(S1〜S4)と、を有している。
本発明によれば、複数の電気モータの複数の回転軸のうちの少なくとも1つは、回転軸上の実際の機械的トルクの測定が可能なトルクメータ(CP)を備えていることができる。
好ましい実施態様によれば、第1の電気モータ(M1)は縮小スケールの駆動用電気モータに相当し、機関速度を再現する手段(PTRI,M2)は、駆動用電気モータのスケーリングを考慮するソフトウェア手段を有している。第1の電気モータ(M1)は、駆動用電気モータに対して10〜20程度の縮小係数で縮小されることができる。第1の電気モータは、出力が2kW程度の電気モータであってよい。
本発明によるパワートレインの調査システムの他の特徴及び利点は、非制限的な例として与えられる実施形態についての以下の説明を、図面を参照して読むことによって明らかになろう。
ハイブリッド車輌のパワートレインを調査するための、本発明によるシステムを示す図である。
ハイブリッド車輌のパワートレインは、熱機関と電気モータとを有している。実際のハイブリッド車輌の作動時には、駆動用電気モータは、その回転軸にトルクを発生させ、熱機関によって発生したトルク及び車輌から加えられる抵抗トルクが、様々な機械的な歯車減速装置を通過した後に、さらに代数的に回転軸に付加される。
本発明による調査システムはエンジンテストベンチを構成し、標準的なサイクル条件の下で、明確にされた目的のためにハイブリッド用パワートレインの作動を再現することができる。調査システムは、主として以下の要素、すなわち、第1の電気モータ(M1)と、熱機関の作動をリアルタイムに模擬し、かつ熱機関制御手段を模擬するシミュレーション手段(S1,S2)と、シミュレーション手段から得られた機関速度を第1の電気モータの回転軸上で機械的に再現する手段(PTRI,M2)と、を有している。
第1の電気モータ:駆動用電気モータ(M1)
第1の電気モータは、パワートレインの駆動用電気モータと同じ技術(同期または非同期モータ、巻線形モータ、永久磁石モータなど)に基づくモータであることが好ましい。実際、このモータの目的は、調査対象パワートレインの電気モータの挙動を再現することである。従って、第1の電気モータはパワートレインの駆動用電気モータそのものであってよい。
一実施形態によれば、このシステムは、標準的なサイクル条件の下で、明確にされた目的のためにハイブリッド用パワートレインの作動を再現することができる、小規模出力のエンジンテストベンチを構成する。従って、パワートレインの縮小スケールの駆動用電気モータに相当する第1の電気モータが使用される。そして、寸法は縮小されているが、調査対象パワートレインの電気モータの挙動が再現される。電気モータは、パワートレインの電気モータより出力が小さいが、挙動が、少なくともその傾向に関し、パワートレインの電気モータと同じであることを特徴としている。少なくとも、モータM1の電気出力マッピング(機関速度、トルク及び損失)、温度変動、及び動特性(主要因は温度応答時間である)が、スケール係数を介して(modulo)パワートレインのこれらの諸特性を再現するときに、上記挙動は同一であると判断される。
一例によれば、ハイブリッド車輌の駆動用電気モータを模擬するテストベンチ(システム)の第1の電気モータは、出力が2kW程度であり、従って、パワートレインの電気モータに対する縮小係数は10〜20程度である。
従って、このような電気モータを構成するには、実際のハイブリッド用パワートレインの電気モータの作動をテストベンチの第1の電気モータで表現することができるように、スケーリング操作が必要である。
この電気モータのスケーリング操作は、例えば非特許文献1に記載されている、専門家に公知の計算を使用して行われる。
特に、いくつかのスケール係数は、テストベンチのモータ及びハイブリッド用パワートレインのモータの物理的限界に応じて、ユーザによって付与される。例えば、テストベンチで測定されるトルクと表現されるべきパワートレインのトルクレベルとの比や、テストベンチとパワートレインのモータの回転速度比が付与される。
さらに、いくつかの幾何学的なスケール係数(直径比、長さ比など)は、テストベンチのモータ形状と、表現されるべき実際のパワートレインのモータ形状と、が既知であるため、一定値のままである。この付与されるスケール係数との関連で、電気及び温度の領域に関連する他の変数のスケール係数を予測することができる。
こうして、表現されるべきパワートレインモータの挙動は、特に電流、トルク及び熱的動特性に関し、ベンチモータの挙動と同一になるように、少なくともその傾向が同一になるように再現される。
リアルタイムシミュレーション手段
本発明によるシステムは、熱機関の作動と、熱機関制御手段と、車輌のトランスミッションと、車輌の動特性と、をリアルタイムに模擬する手段を有している。
リアルタイムシミュレーションは、1対1のスケールで、実際の熱機関のトルクと車輌の抵抗トルクとを推定することができる。
このシミュレーションは、リアルタイムオペレーティングシステムと、リアルタイムタスクスーパーバイザと、リアルタイムシミュレーションソフトウェアと、を有するPCタイプのコンピュータによって行うことができる。
一実施形態によれば、以下の特徴を有する4Uインダストリアルラックの形態のPCを使用することができる:
−Q6700プロセッサ搭載のPCIE9650−R11 IEIマザーボード;クアッドコアプロセッサ;作動周波数:2.66GHz
−複数のモデルを最大周波数10kHzで実行するのを可能にするリアルタイムオペレーティングシステム及びリアルタイムスーパーバイザ。
このコンピュータは、複数のソフトウェアモジュールによって、複数の高周波数リアルタイムモデルを実行することができる。
PCに搭載される1対1スケールのリアルタイムシミュレーションソフトウェアモジュールは以下の通りである:
S1.熱機関シミュレータ
入力は、噴射燃料流量、機関回転速度などの制御信号である。主な出力は、伝動軸に供給されるトルクである。このシミュレータは検討対象熱機関の物理方程式を使用し、様々な気体の燃焼と循環をモデル化する。
S2.熱機関制御手段シミュレータ
入力は、パワートレイン及び機関の測定値(速度、温度、空燃比、流量)、熱機関のトルク設定値、及び測定されない量の推定値である。出力は、下位のアクチュエータ(スロットル、噴射、前進、及びターボ/EGRのアクチュエータ)に送信される設定値である。このシミュレータは熱機関の制御手順を再現する。
テストベンチは、いわゆる「動的な」実際のテストベンチに使用される以下のシミュレータをさらに有している。
S3.車輌トランスミッションシミュレータ
入力は、熱機関のトルク、電気モータのトルク及び車輪速度である。出力は、車輪に伝達されるトルク及び車輌速度である。
S4.車輌動特性シミュレータ
入力は複数の車輪における総トルクである。出力は、車輪の回転速度である。このシミュレータは、模擬される熱機関及び実際の電気モータから供給されるトルクに従って車輌の応答を再現する。
S5.「運転者」シミュレータ
入力は車輌速度及び所望の速度である。出力はペダル位置であり、従って、総トルク要求の設定値である。このシミュレータは、ペダルに対する運転者の動作と、運転サイクルに従うための、可能性のあるギアシフトレバーと、を再現する。
S6.エネルギースーパーバイザ
このスーパーバイザは、必要とされる電力を熱機関と電気モータとの間で分配することを可能にするやりかたを定める。スーパーバイザは、パワートレインアクチュエータに供給される設定値を生成及び調整し、ハイブリッド構成によってもたらされる自由度を飽和させる。単一軸の平行ハイブリッドシステム(ボックスより上流側の電気機械)の場合、エネルギースーパーバイザの主要機能の1つは、熱機関及び電気モータのトルク設定値の和が運転者から要求される総トルクに等しくなるように、これらのトルク設定値を定めることである。一般に、入力は、所望のトルク要求、パワートレインの測定値(特に車輌速度、温度など)、及び推定値(特にSOC)である。出力は、アクチュエータに送信される設定値(機関/クラッチのトルク、歯車比、DC/DCコンバータの場合の変換比設定値など)である。
上述の各要素のシミュレーションはリアルタイムであり、電気モータと同時に、かつ整合的に作動し、実際の要素とソフトウェア要素の両方で構成された集合体は、100%実物のハイブリッド用パワートレインと同じように作動することができる。
作動時に、検討対象の車輌が標準的な走行サイクル(自由に選択可能)に従うことが望まれるときに、テストベンチの構成ソフトウェアモジュールによって交換される情報は以下のとおりである。
E1.運転者は、「運転者」シミュレータ(S5)によって模擬され、アクセル及びブレーキペダルを多少急速に押し下げる。この目的は、模擬される車輌速度を、標準的なサイクル(CN)での速度プロファイル(0)に最も良好に従わせることである。ペダルに対する作用は、車輌に対する所望のトルク要求(1)と解釈される。この要求はエネルギースーパーバイザ(S6)に送信される。
E2.実際に車輌に適用されるトルクの測定値(1’)、すなわち、熱機関シミュレータ(S1)によって生成されるトルク(5)と、駆動モータ(M1)によって生成されるトルク(2b’)と、の代数和が、車輌トランスミッションシミュレータによって算出される(S3)。結果として得られるトルク(Cr)はモデルS4に供給される。一般に、このトルク(Cr)は、特に、熱機関及び電気モータによってトルクを生成させるために実行する様々な要素(後述)を考慮すると、要求されたトルク(Cd)とは異なっている。
E3.この段階からは、情報の一部が模擬され、情報の残りの部分はテストベンチ上で行われる様々な測定から得られる。この情報はリアルタイムインタフェースプラットフォーム(PTRI)に集約される。
a.熱機関に対する所望トルク要求(2a)は、熱機関シミュレータ(S1)及び熱機関制御手段シミュレータ(S2)に送信される。熱機関制御手段シミュレータ(S2)は、この要求と、熱機関シミュレータ(S1)から得られる、模擬された熱機関に対する情報と、を考慮する。熱機関制御手段シミュレータ(S2)は、例えば、熱機関シミュレータ(S1)が所望のトルクを生成するように、噴射すべき燃料の量を求める。熱機関シミュレータ(S1)は、生成されるトルクを算出する。
b.電気モータに対する所望トルク要求(2b)はリアルタイムインタフェースプラットフォーム(PTRI)に送信され、リアルタイムインタフェースプラットフォームは、必要な場合スケーリング操作を行った後で、要求をインバータOND1に送る。それによって、このトルクを物理的に存在する電気モータ(M1)によって生成することができる。
c.電気モータ(M1)によって実際に供給されるトルク(2b’)は、トルクメータ(CP)によって測定され、必要な場合スケーリングを行った後で、リアルタイムインタフェースプラットフォーム(PTRI)によって車輌トランスミッションシミュレータ(S3)に送られる。
E4.車輌動特性シミュレータ(S4)は車輌の実際の速度(3)を算出する。その値はサイクルで生じるべき速度と比較される。この速度は、以前のトルクに起因して生じるが、車輌の様々な摩擦及び空気力学的抵抗にも起因して生じる。
E5.選択された歯車比に応じて、様々なトランスミッション要素の回転速度、特に駆動モータ(M1)の回転速度は、車輌速度に一致する。電気モータのこの回転速度(4)は、車輌トランスミッションシミュレータ(S3)によって模擬される。
E6.この回転速度(4)は、インバータOND3を介して、ジェネレータ(M2)を制御するリアルタイムインタフェースプラットフォーム(PTRI)に送信され、それによって、駆動モータ(M1)の軸が所望の回転速度で回転する。
シミュレーションから得られる回転速度を機械的に再現する手段
一実施形態によれば、シミュレーション手段から得られる回転速度を第1の電気モータの回転軸上で機械的に再現する手段は、第1の電気モータの回転軸に固定された第2の回転軸を備えた第2の電気モータと、シミュレーション手段と第1及び第2の電気モータとの間のリアルタイムインタフェース手段(PTRI)と、を有している。
リアルタイムインタフェース手段(PTRI)
インタフェース手段は、ソフトウェア及び電子部品に基づくリアルタイムプラットフォームである。インタフェース手段は、第1の電気モータ(M1)に対する所望トルク要求を第1の電気モータ(M1)に送信する手段と、電気モータ(M1)によって実際に生成されたトルクの測定値を車輌トランスミッションシミュレータ(S3)に送信する手段と、車輌トランスミッションシミュレータ(S3)からの回転速度要求を第2の電気モータ(M2)に送信する手段と、を有している。
このリアルタイムプラットフォームは、ソフトウェアモジュールがテストベンチのすべての電子部品及び機械部品とインタフェースをとることを可能にする。
第1の電気モータ(M1)が縮小スケールの駆動用電気モータに相当する実施形態では、リアルタイムインタフェース手段(PTRI)はさらに、このスケーリングを考慮するソフトウェア手段を有している。
このプラットフォームは、第1の電気モータと第2の電気モータとに接続されている。プラットフォームは、場合により、選択的なフィルタリングによってトルク、機関速度、モータのロータ位置、電圧及び電流の測定に対するノイズを排除しつつ、テストベンチで行われる様々な測定を集約する。プラットフォームは、駆動用電気モータに関するトルク要求をこの電気モータに送信する。プラットフォームはまた、駆動用電気モータが作動すべき速度を測定された速度値と比較する。そしてプラットフォームは、第1の電気モータの回転軸が所望の回転速度値で作動するように、必要なトルクをジェネレータ(テストベンチの第2の電気モータ)に要求する。
このプラットフォームはまた、CANリンクによってコンピュータに接続されている。プラットフォームはコンピュータから、駆動用電気モータによって生成すべきトルクに関する情報を(CANリンクによって)受信し、かつ駆動用電気モータが作動すべき速度に関する情報を(CANリンクによって)受信する。
一例によれば、リアルタイムインタフェースプラットフォームはACEbox制御システム(IFP、フランス)である。
第2の電気モータ:ジェネレータ(M2)
本発明によるシステム内では、実際の熱機関のトルク及び車輌の抵抗トルクは、リアルタイムシミュレーションから得られる数値である(物理的なトルクではない)。第2の電気モータを使用して、駆動用電気モータ(テストベンチの第1の電気モータ)の軸に対するトルクの寄与を縮小スケールで再現することができる。この第2のモータはテストベンチの第1の電気モータに接続されている。この第2の電気モータをジェネレータと呼ぶ。例えば、第1のモータより出力が10%程度大きい電気モータを使用することが可能である。
第1の電気モータの回転軸と第2の電気モータの回転軸は互いに固定されている。
一実施形態によれば、2本の軸は、セミリジッド継手(例えば機械的なベロー)によって互いに固定されている。
他の実施形態によれば、2つの電気モータに共通の単一の回転軸が使用される。
従って、この第2の電気モータ(ジェネレータ)の機能は、場合によっては縮小スケールで、実際のトルクに変換することであり、トルク値は、モータ及び車輌の1対1スケールのリアルタイムシミュレーションから得られる。
従って、実際のハイブリッド用パワートレインの電気モータの回転速度は、シミュレートされた車輌速度から算出される。この回転速度は、様々な機械的な歯車減速装置を通過した後に得られる。その後回転速度は、必要に応じてスケーリングされて、駆動モータの軸に直接取り付けられた第2の電気モータによって、低出力テストベンチ上で再現されることができる。駆動用電気モータは、車輌に対してパワートレインによってもたらされる効果、すなわち、車輌速度によって表される効果を「生じさせる」。
接続性:電気構造
2つの電気モータを制御するパワーエレクトロニクスは4つのインバータからなっている。各インバータの機能は以下のとおりである。
−インバータOND1は駆動用電気モータM1を制御する。インバータOND1は、一方では駆動用電気モータM1に接続され、他方ではCANリンクとアナログチャネルを介して、リアルタイムインタフェースプラットフォームに接続されている。
−インバータOND2は、2つの機能、すなわち、電気エネルギー源(電池またはスーパーキャパシタ)のエミュレーションと、駆動用電気モータM1がジェネレータとして働くときのネットワークへの電流の再流入と、を実現する。
−インバータOND3は、熱機関をエミュレートしかつ車輌の挙動をエミュレートする第2の電気モータM2を制御する。インバータOND3は、一方では第2のモータM2に接続され、他方ではCANリンクとアナログチャネルを介して、リアルタイムインタフェースプラットフォームに接続されている。
−インバータOND4は、第2の電気モータM2の制動時に配電網(例えば、EDF(登録商標))に電流を再流入させることができる。
配電網とインバータOND2との間に単巻変圧器を挿入して、インバータOND2がインバータOND1の連続バス電圧を300Vから400Vの間で調整できるようにすることが好ましい。これによって、インバータOND2はバッテリ電圧の変動をエミュレートすることができる。
手動電源スイッチを使用して実際のバッテリに切り替えられるようにすることも可能である。これによって、テストベンチ内の完全な電気駆動網上での作動が可能となる。
インバータOND2,OND4は、PFC(力率補正回路)モードで作動して、配電網の電圧と同相の正弦波電流を駆動及び再生の2つの作動モードで供給することができる。再生モードの場合、LC回路(誘導容量)を使用して、電流及び電圧のPWM変調による高調波にフィルタをかけることができる。
RFIフィルタは、配電網とインバータOND2,OND4との間の給電線上の、無線周波数信号の放出レベルの低下に寄与する。
インバータOND1,OND3は、対応する電気モータM1,M2の制御専用である。この2つのインバータは、任意の種類の交流機器に適合することのできるオープンプラットフォームである。
従って、トルクの下位での制御、変調周波数、及び取得を任意の種類の電気機械に適合し最適化することができる。これによって、あらゆる電気モータ技術の範囲内でテストベンチの機関を変更することができる。
テストベンチの特定の実施形態例
テストベンチの一実施形態例は、以下の機械的要素を有している。すなわち、電気モータとして、リロイソマー(Leroy-Somer)社ユニドライブ(UniDrive)シリーズ、出力1.76kWの、駆動モータである第1の電気モータM1と、同じくリロイソマー社ユニドライブシリーズ、出力2.51kWの、ジェネレータである第2の電気モータM2と、を有している。機械的サポートとして2つの金属サポート(ブラケットとも呼ばれる)を有しており、これらは各機械について1つずつ設けられ、必要なネジ及びボルトによってベースフレームに固定されたアルミニウム板にしっかりと固定されている。電気モータ間の継手として、各電気機械のそれぞれの軸を互いに固定するセミリジッド継手と、電気モータの回転軸での実際の機械トルクを測定可能なトルクメータと、を有している。
テストベンチの用途
ハイブリッド用パワートレインの事前規模選定(pre-dimensioning)
このシステムによれば、テストベンチ上で単一の機関を使用しながら、パワートレイン機関についてのいくつかの考えられる選択肢を評価することが可能になる。実際のパワートレインの静的挙動及び動的挙動の主な傾向を再現すると考えられる1組の様々なスケール係数が各選択肢に相当する。これによって、本発明によるシステムをハイブリッド用パワートレイン用の事前規模選定ツールとして使用することができる。
駆動用電気モータの制御装置の設計
これは、半分が実物で半分がソフトウェアの組立体において物理的要素が現実を最もうまく表現するという考えに基づく、このシステムの最も明らかな用途である。従って、試験は、この実際の要素に対して行われる。本実施形態の場合、実際の物理的要素は電気モータであり、テストベンチの第1の用途は、既知のハイブリッド用パワートレインの電気モータを調べることである。このパワートレインにおいて、熱機関は、そのリアルタイムモデルとともに既知であり、パワートレインの電気モータは既知である。
この場合、モータに対して試験を行うことによって、パワートレインの電気モータの制御装置を構成するようにする。ここで、モータはパワートレインのモータと同一であるが、縮小スケールであり、その使用条件はスケール係数を介して(modulo)パワートレインのモータの使用条件と同じである。ユーザは、電気モータ制御の設計者であるが、縮小スケールベンチとともに、実際のハイブリッド用パワートレインのテストベンチで得られるであろう値に相当する燃料消費値についての情報を有している。
様々な電気モータへの配電の適合
この用途は、ある与えられた電気モータ及び熱機関用の所定の配電モジュールからスタートする。この配電モジュールは、熱機関制御用及び電気モータ制御用の2つのモジュールを有し、標準的な走行サイクルで満足の行く燃料消費量を実現する。次に、電気モータをその種類内で変更することによって、できるだけ良好な配電を維持するようにする。すなわち、電気モータをその種類内で配置変更(同じ製造技術を用いるが、大きさが異なり、従って出力が異なるモータ)したにもかかわらず、依然として満足の行く燃料消費値を実現する配電を見出すこととなる。
テストベンチの駆動用電気モータのスケール係数を変えることによって、他の電気モータが検討範囲内でエミュレートされ、電気モータの規模が変化しても配電が最適な状態を維持するように配電を適合させることが可能になる。
このように、小規模なパワーベンチの他の用途は、最適な配電モジュールの開発を支援することである。この開発は、例えば電気モータの規模の変化に適合する開発である。パワートレインの電気モータの規模を選択するたびに最適な配電方式を決定することで、常に最良の作動条件に達しない様々な選択肢を評価し比較することができる
Cd,Cr トルク
CN 標準的なサイクル
CP トルクメータ
M1 第1の電気モータ
M2 第2の電気モータ
OND1,OND2,OND3,OND4 インバータ
PTRI インタフェース手段
S1 熱機関シミュレータ
S2 熱機関制御手段シミュレータ
S3 車輌トランスミッションシミュレータ
S4 車輌動特性シミュレータ
S5 運転者シミュレータ
S6 エネルギースーパーバイザ

Claims (10)

  1. 熱機関と駆動用電気モータとを備えたハイブリッド車輌用のパワートレインの調査システムであって、
    第1の電気モータ(M1)と、
    前記熱機関の作動をリアルタイムに模擬し、かつ前記熱機関の制御手段を模擬するシミュレーション手段(S1,S2)と、
    前記シミュレーション手段から得られた機関速度を前記第1の電気モータの回転軸上に機械的に再現する手段(PTRI,M2)と、を有することを特徴とする調査システム。
  2. 前記機関速度を再現する前記手段は、前記第1の電気モータの前記回転軸に固定された第2の回転軸を備えた第2の電気モータ(M2)と、前記シミュレーション手段と前記第1及び第2の電気モータとの間のリアルタイムのインタフェース手段(PTRI)と、を有する、請求項1に記載の調査システム。
  3. 前記インタフェース手段(PTRI)は、
    前記第1の電気モータ(M1)に対する所望のトルク要求を前記第1の電気モータ(M1)に送信する手段と、
    前記第1の電気モータ(M1)から実際に与えられたトルクの測定値を車輌トランスミッションシミュレータ(S3)に送信する手段と、
    前記車輌トランスミッションシミュレータ(S3)からの回転速度要求を前記第2の電気モータ(M2)に送信する手段と、を有する、請求項2に記載の調査システム。
  4. 前記インタフェース手段(PTRI)は、
    前記第1の電気モータ(M1)に接続された第1の電子制御手段(OND1)と、
    前記第2の電気モータ(M2)に接続された第2の電子制御手段(OND3)と、を有する、請求項2または3に記載の調査システム。
  5. 前記電子制御手段は少なくとも1つのインバータを有する、請求項4に記載の調査システム。
  6. 前記リアルタイムのシミュレーション手段はコンピュータを有し、
    前記コンピュータは、
    リアルタイムオペレーティングシステムと、
    リアルタイムタスクスーパーバイザと、
    前記熱機関の作動と、前記熱機関の前記制御手段と、車輌のトランスミッションと、車輌の動特性と、をリアルタイムに模擬するソフトウェアモジュール(S1〜S4)と、
    を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の調査システム。
  7. 複数の前記電気モータの複数の前記回転軸のうちの少なくとも1つは、前記回転軸上の実際の機械的トルクの測定が可能なトルクメータ(CP)を備えている、請求項1から6のいずれか1項に記載の調査システム。
  8. 前記第1の電気モータ(M1)は縮小スケールの駆動用電気モータに相当し、前記機関速度を再現する手段(PTRI,M2)は、前記駆動用電気モータのスケーリングを考慮するソフトウェア手段を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の調査システム。
  9. 前記第1の電気モータ(M1)は、前記駆動用電気モータに対して10〜20程度の縮小係数で縮小されている、請求項8に記載の調査システム。
  10. 前記第1の電気モータ(M1)は、出力が2kW程度の電気モータである、請求項9に記載の調査システム。
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