JP2011223792A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】よりシンプルな構成にて、より高回転化、あるいはより高出力化することができる回転電機を提供する。
【解決手段】電機子巻線20a〜20fが複数配置された固定子と、略円筒状の回転子と、回転子に設けられた界磁巻線CK1、CK2とを備え、回転子の外周面は複数の切欠溝にて偶数個の回転子磁極10a〜10dに分離されており、各回転子磁極には永久磁石Mが隣り合う回転子磁極とは磁界の方向が反対になるように外周面の近傍に埋め込まれており、界磁巻線は各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回され、回転子の回転方向は、一方の方向にのみ設定され、あるいは一方の方向の使用頻度のほうが逆方向の使用頻度よりも高く、永久磁石は円周方向に対して回転子磁極の中央部に埋め込まれていることなく逆方向の側に偏った位置(距離DF>距離DB)に埋め込まれている。
【選択図】図4

Description

本発明は、回転磁界を発生させる電機子巻線を有する固定子と、永久磁石と界磁巻線(または界磁部材)とを有する回転子と、を備えた回転電機に関する。
回転電機の種類の一つとして磁石界磁型回転電機が有り、この磁石界磁型の回転電機の基本構造の例を図1(A)〜(B)に示す。
図1(A)〜(B)に示す回転電機では、固定子20の電機子磁極20a〜20f(図1は、電機子磁極が6個の例を示している)のそれぞれに回転磁界を発生させる複数の電機子巻線(CU1、CU2、CV1、CV2、CW1、CW2)を備え、回転子10の回転子磁極10a〜10d(図1は、回転子磁極が4個の例を示している)のそれぞれに永久磁石Mを備えている。そして回転子10は固定子20の回転磁界にて、永久磁石Mに働く磁石界磁トルクと、回転子10の回転子鉄芯11に働くリラクタンストルクによって回転する。なお、図1(A)は回転電機の固定子20と回転子10の斜視図を示し、図1(B)は回転電機の断面図(回転軸ZSに沿って切断したA−A断面図(左図)と、回転軸ZSに直交する方向に切断したB−B断面図(右図))を示している。
図1に示す磁石界磁型の回転電機は、回転子10に永久磁石Mを設けることで回転子10の界磁に電力が不要であるため高効率であるという利点がある。しかし、回転子10に設けた永久磁石Mによる磁界の強さが固定されているため、電機子巻線(CU1、CU2、CV1、CV2、CW1、CW2)に発生する誘起電圧により、最高回転数及びトルク出力が制限される。
そこで、回転子10に界磁巻線CK1、CK2を設けて永久磁石Mの磁界を弱めて電機子巻線に発生する誘起電圧を低減することで高回転化を実現することや、永久磁石Mの磁界を強めて高出力化を実現することができる種々の回転電機が提案されている。
例えば特許文献1に記載された従来技術には、界磁巻線を備えて高回転化するとともに、運転状況(回転速度等)に応じて電機子巻線への電流位相を可変としており、高回転域ではリラクタンストルクを増大させるために電機子巻線への電流位相を進め、磁石界磁トルクとリラクタンストルクの合成トルクが最大となるように制御するハイブリッド励磁回転電機が開示されている。
また特許文献2に記載された従来技術には、界磁巻線を備えて高回転化するとともに、界磁巻線にダイオードを接続し、回転子に設けた永久磁石の磁界を妨げる方向の電流のみが界磁巻線に流れるように構成した永久磁石形電動機が開示されている。
また特許文献3に記載された従来技術には、界磁巻線を備えて高回転化するとともに、電機子への駆動電流に高調波の電流波形を重畳して界磁性能を高めた電動機を有する精紡機が開示されている。
特開2007−124775号公報 特開2000−139047号公報 特開平7−95790号公報
図1の例に示すような磁石界磁型の回転電機では、磁石界磁トルクを最大にするための電機子巻線への電流位相と、リラクタンストルクを最大にするための電機子巻線への電流位相には電気角で45°の開き(リラクタンストルクを最大にする電流位相の方が45°進んでいる)があり、磁石界磁トルクとリラクタンストルクの両者を同時に最大とする電機子巻線への通電は簡単にはできない。
特許文献1に記載された従来技術では、磁石界磁トルクとリラクタンストルクの合成トルクが増大するように電機子巻線への電流位相を進めているが、磁石界磁トルクのピークとリラクタンストルクのピークは電気角で45°の開きがあり、このピークの間隔の中で適切な電気角の位置としている。このため、磁石界磁トルクのピークの位置とリラクタンストルクのピークの位置とを近づけることに比べれば最良とは言い難い。また、電機子巻線への電流位相を進めているため、永久磁石が減磁する可能性がある。
また特許文献2に記載された従来技術では、より高回転化するために界磁巻線にダイオードを接続しているが、ダイオードの許容電流値以下となるように界磁巻線を複数回巻回しており、界磁巻線の製造に手間とコストがかかり、生産性が良いとは言い難い。
また、特許文献3に記載された従来技術では、界磁性能の自由度を高めて低速から高速までのトルク制御ができるが、電機子巻線へ電流を供給する駆動インバータ回路が複雑化して高価になるとともに、界磁巻線への電流の方向や量を調節できるものではない。なお、特許文献1と特許文献2に記載された従来技術では、界磁巻線に流れる電流の方向や量を調節しようとした場合、スリップリング等を介して外部電源にて流れる方向と量を調整した電流を供給してやる必要があり、外部電源のコストがかさむ。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、よりシンプルな構成にて、より高回転化、あるいはより高出力化することができる回転電機を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る回転電機は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁巻線と、を備えた回転電機である。
前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において磁界の方向が反対になるようにN極またはS極が外周側となるように永久磁石が外周面の近傍に埋め込まれており、前記界磁巻線は、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回されている。
そして前記回転子の回転方向は、一方の方向にのみ設定され、あるいは一方の方向の使用頻度のほうが逆方向の使用頻度よりも高く、各回転子磁極において、円周方向における永久磁石と界磁巻線との間の回転子磁極上の距離は、一方の方向の側の距離の方が、逆方向の側の距離よりも大きくなるように、前記永久磁石は、埋め込まれている回転子磁極において円周方向に対して中央部に埋め込まれていることなく逆方向の側に偏った位置に埋め込まれている。
この第1の発明によれば、後述する第1の実施の形態にて説明しているように、電機子巻線への電流位相を進めることなく、リラクタンストルクのピークとなる電気角度の位置を磁石界磁トルクのピークとなる電気角度の位置に近づけることが可能となる。
これにより、複雑な構成を必要とすることなく、より適切に高出力化を実現することができる。
次に、本発明の第2の発明は、回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁巻線と、を備えた回転電機である。
前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、前記界磁巻線は、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回されている。
そして各界磁巻線には、前記電機子巻線への通電の切換周期に同期させて当該界磁巻線を短絡または開放に切換可能なスイッチング回路が接続されている。
この第2の発明によれば、後述する第2の実施の形態にて説明しているように、スイッチング回路を用いて、電機子巻線への通電の切換周期に対して適切なタイミングで界磁巻線を環状に短絡、または開放する。
これにより、界磁巻線にダイオードを接続することなく、界磁巻線に発生する電流の方向を所望する方向に設定することができる。更に、適切なタイミングで界磁巻線を環状に短絡、または開放するとともに短絡期間を適切に制御することで、界磁巻線に発生する電流の方向だけでなく、電流の量も調整することができるので、界磁性能の自由度を高めることが可能である。
このように、よりシンプルな構成にて、回転電機をより高回転化、あるいはより高出力化することができる。
次に、本発明の第3の発明は、回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁巻線と、を備えた回転電機である。
前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において磁界の方向が反対になるようにN極またはS極が外周側となるように永久磁石が外周面の近傍に埋め込まれている。
そして各切欠溝は、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回された前記界磁巻線にて占有されており、あるいは各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回された前記界磁巻線と前記切欠溝に充填されたかご型導電体にて形成されたかご型巻線にて占有されており、前記電機子巻線への通電の切換に伴って前記界磁巻線に発生する電流は、前記界磁巻線にダイオードが接続されることなく、前記回転子の回転軸に直交する前記切欠溝の断面積の大きさと、当該切欠溝を占有している前記界磁巻線、あるいは当該切欠溝を占有している前記界磁巻線及び前記かご型巻線と、で調整されている。
この第3の発明によれば、後述する第3の実施の形態にて説明しているように、切欠溝を占有するように界磁巻線、あるいは界磁巻線とかご型巻線とを設け、更に、切欠溝の大きさを調整することで、切欠溝内に位置している界磁巻線及びかご型巻線に発生する電流の方向を所望する方向に設定することができる。
これにより、界磁巻線にダイオードを接続する必要がない。また、非常にシンプルな構成にてより高回転化、あるいはより高出力化することができる。
次に、本発明の第4の発明は、回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁部材と、を備えた回転電機である。
前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において磁界の方向が反対になるようにN極またはS極が外周側となるように永久磁石が外周面の近傍に埋め込まれている。
そして前記界磁部材は、前記切欠溝に収容可能な断面形状を有する環状の導電体にて一体成形されており、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極の周囲を囲むように設けられている。
この第4の発明によれば、発生する電流に対して必要となる断面積を有する界磁部材(界磁巻線)を容易に作成可能であり、切欠溝をより効率的に占有することができる。また、回転子への組み付けも容易であり、より生産性の良い界磁巻線(界磁部材)を実現することができる。
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る回転電機であって、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に設けられている各界磁部材は、一体成形された界磁部材が複数積層されて構成されている。
この第5の発明によれば、図9(C)の例に示すように、切欠溝を占有する形状の界磁部材を容易に実現することができる。
磁石界磁型の回転電機の基本構造を説明する斜視図、及び断面図である。 電機子巻線と駆動回路との接続、及び駆動電圧の波形の例を説明する図である。 従来の回転電機の例を説明する図である。 第1の実施の形態の構成と効果を説明する図である。 第1の実施の形態の、他の例を説明する図である。 第2の実施の形態の構成と効果を説明する図である。 第2の実施の形態の、他の例を説明する図である。 第3の実施の形態の構成と効果を説明する図である。 第4の実施の形態の構成を説明する図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1(A)〜(B)は、本発明の回転電機の第1〜第4の実施の形態における特徴を比較するための、磁石界磁型の回転電機の基本構造の例を示している。図1(A)は回転子10と固定子20の斜視図を示しており、図1(B)は回転電機の断面図(回転軸ZSに沿って切断したA−A断面図(左図)と、回転軸ZSに直交する方向に切断したB−B断面図(右図))を示している。
●[磁石界磁型の回転電機の基本構造(図1)]
図1(A)及び(B)に示すように、基本構造の回転電機は、固定子20、回転子10、ケース31、32、及び軸受33、34にて構成されている。
固定子20は、薄板状の磁性体を回転軸ZS方向に複数積層した電機子鉄芯21にて円筒状に形成されており、内周面の側には、複数の電機子磁極20a〜20fが形成されている。なお、本実施の形態では6個の電機子磁極20a〜20fを備えた固定子20の例を説明するが、電機子磁極の数は6個に限定されるものではない。
各電機子磁極には、回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線(CU1、CV1、CW1、CU2、CV2、CW2)が巻回されており、各電機子巻線が円周上に複数配置されている。そして固定子20はケース31、32にて固定されている。
回転子10は、固定子20の内周面に近接する径の外周面を備え、薄板状の磁性体を回転軸ZS方向に複数積層した回転子鉄芯11にて円筒状に形成され、固定子20に収容されている。また回転子10の回転軸部材であるシャフトSFは回転子鉄芯11に圧入され、軸受33、34を介してケース31、32にて回転可能に支持されている。
また回転子10の外周面は、回転軸ZS方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極10a〜10dに分離されている。なお、本実施の形態では4つの切欠溝にて4個の回転子磁極10a〜10dを有する回転子10の例を説明するが、回転子磁極の数は4個に限定されるものではない。
各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において(回転子の中心に向かう方向に対して)磁界の方向が反対になるように、外周面の近傍に永久磁石Mが埋め込まれている(各回転子磁極には回転軸ZS方向の孔部が形成されており、当該孔部に永久磁石Mが挿通されている)。従って、N極が外周側となるように永久磁石Mが埋め込まれた回転子磁極の隣に位置する回転子磁極では、S極が外周側となるように永久磁石Mが埋め込まれている。
なお、図1(A)〜(B)に示す基本構造の回転電機では、永久磁石Mは、各回転子磁極の円周方向における中央に配置されている。
また、永久磁石Mによって発生している磁界を減少させる界磁巻線が各切欠溝に配置されるように、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極には、界磁巻線CK1、CK2が巻回されている。図1に示す例では、1つおきの回転子磁極に界磁巻線CK1、CK2が巻回された例を示しており、当該2つの界磁巻線CK1、CK2にて、4つの切欠溝に界磁巻線を配置させているが、図8(A)の例に示すように4個の回転子磁極10a〜10dの全てに界磁巻線CK1〜CK4を巻回して4つの切欠溝に界磁巻線を配置させるように構成してもよい。
●[回転電機の駆動回路と駆動信号(図2)]
図2(A)に、図1に示した基本構造の回転電機における各電機子巻線と、各電機子巻線を駆動する駆動回路Iv1(駆動インバータ回路)と、界磁巻線CK1、CK2の接続状態の例を示す。また、図2(B)に、6個の電機子巻線への駆動信号を示す。なお、駆動回路Iv1、6個の電機子巻線と駆動回路との接続方法、及び駆動信号、駆動回路Iv1を制御する制御回路は周知であるので説明を省略する。
なお、第1〜第4の実施の形態にて説明する回転電機は4極6スロット(4個の回転子磁極10a〜10dと、6個の電機子磁極20a〜20f)の例で、電機子を3相駆動しているので、図2に示すように、30°周期で電機子への駆動信号が切換る。
そして以降に説明する第1〜第4の実施の形態では、この30°の回転角度を基準としている。
●[第1の実施の形態(図3〜図5)]
次に図3〜図5を用いて第1の実施の形態の回転電機について説明する。第1の実施の形態の回転電機は、図1に示す基本構造の回転電機に対して、回転子磁極10a〜10dに埋め込む永久磁石Mの位置をより適切な位置とすることで、リラクタンストルクのピークとなる位置を、磁石界磁トルクのピークとなる位置に、より近づけるものである。
なお、第1の実施の形態にて説明する回転電機は、例えば電機自動車の駆動モータのように、一方の方向の回転のみ、あるいは一方の方向の回転のほうが逆方向の回転に対して使用頻度が非常に大きい場合に有効である(効果の有る回転方向が決まっている)。
図3は従来の回転電機(図1に示す基本構造の回転電機)の構造と、各界磁(永久磁石M、界磁巻線CK1、CK2、電機子磁極)によるそれぞれの磁束を示しており、図4(A)は第1の実施の形態の回転電機の構造と、各界磁(永久磁石M、界磁巻線CK1、CK2、電機子磁極)によるそれぞれの磁束を示している。
なお、図3及び図4(A)に示す第1の実施の形態の回転電機では、使用頻度の高い回転方向が左回りである場合の例を示している。
図3に示す従来の回転電機では、各回転子磁極10a〜10dに埋め込まれている永久磁石Mが、円周方向に対して中央部に埋め込まれている。従って図3に示すように、円周方向における永久磁石Mと界磁巻線CK1、CK2との回転方向(正転方向)の側の距離DFと、回転方向と反対(逆転方向)の側の距離DBが同じである。
そして電機子磁極20a〜20fの位置に対して、回転子磁極10a〜10dが図3に示す位置である場合、電機子磁極20aと20dをN極となるように励磁し、電機子磁極20bと20eをS極となるように励磁する。
この場合、回転子磁極10bと10dの永久磁石Mの磁石磁束(図3中に点線矢印で示す)が磁石界磁トルクに、界磁巻線CK1、CK2の界磁巻線磁束(図3中に実線矢印で示す)が巻線界磁トルクに、電機子磁極20a、20b、20d、20eの電機子磁束(図3中に一点鎖線矢印で示す)がリラクタンストルクに、それぞれ関与している。
図3から明らかなように、磁石磁束(点線矢印)と界磁巻線磁束(実線矢印)の磁束は同じ電流位相(同じ方向に向かう)であるが、電機子磁束(一点鎖線矢印)の磁束は位相が異なる(向かう方向が違う)。このため、リラクタンストルクを増大するように電機子巻線への電流位相を進めると、磁石界磁トルクと巻線界磁トルクが低下するため、最良の性能を得ることはできない。また、電機子磁束が磁石磁束を妨げる方向に向かうため、永久磁石Mが減磁する可能性があり、好ましくない。
そこで図4(A)に示す第1の実施の形態の回転電機では、円周方向における永久磁石と界磁巻線との回転方向の側の距離DFの方が、回転方向と反対の側の距離DBよりも大きくなるように(距離DF>距離DB)、円周方向において永久磁石を回転方向に対して逆方向の側に偏った位置となるように埋め込まれている。
そして電機子磁極20a〜20fの位置に対して、回転子磁極10a〜10dが図4(A)に示す位置である場合、電機子磁極20aと20dをN極となるように励磁し、電機子磁極20bと20eをS極となるように励磁する。
この場合、回転子磁極10bと10dの永久磁石Mの磁石磁束(図4(A)中に点線矢印で示す)が磁石界磁トルクに、界磁巻線CK1、CK2の界磁巻線磁束(図4(A)中に実線矢印で示す)が巻線界磁トルクに、電機子磁極20a、20b、20d、20eの電機子磁束(図4(A)中に一点鎖線矢印で示す)がリラクタンストルクに、それぞれ関与している。
図4(A)に示すように、第1の実施の形態の回転電機では、回転子磁極10b、10dにおける距離DFの側に発生した電機子磁束(一点鎖線矢印)と界磁巻線磁束(実線矢印)は、反対側(距離DBの側)の磁路の幅が狭いため、大半の磁束がそこに流れ込むことができず、結果として間近の隣の回転子磁極(この場合、回転子磁極10a、10c)の永久磁石Mに流れ込み、磁石磁束(点線矢印)と界磁巻線磁束(実線矢印)と電機子磁束(一点鎖線矢印)が全て同じ方向の磁束となる。
従って、リラクタンストルクも、磁石界磁トルクや巻線界磁トルクと同じ電流位相で発生することとなり、全てのトルクのピークが同じ電流位相となる。しかも電機子磁束は、磁石磁束を増大する側に働くため、永久磁石Mを減磁する心配はない。
図4(B)は、磁場解析によるトルクのシミュレーション結果であり、横軸は電流位相を示し、縦軸はトルクを示している。
図示省略するが図3に示す従来の回転電機では、磁石界磁トルクのピーク(電流位相0°でピーク)に対して、リラクタンストルクのピークは電流位相で45°進んだ位置である。
これに対して図4(B)に示す第1の実施の形態の回転電機では、磁石界磁トルク(T1)のピーク(電流位相0°でピーク)に対して、巻線界磁トルクとリラクタンストルクの一部合成トルク(T2)のピークがほぼ電流位相0°の位置となる。従って、磁石界磁トルク(T1)と、巻線界磁トルクとリラクタンストルクの合成トルク(T2)との全体合成トルク(T1+T2)のピークは、ほぼ電流位相0°の位置となる。
各トルクのピークの開きが45°であり、合成トルクの最大となるように電流位相を調整した従来と比較して、第1の実施の形態では、各ピークの位置をほぼ電流位相0°の位置としているので、合成トルクのピークはほぼ最良であり、ほぼ理想的な電流位相で回転電機を運転することができる。
このように、よりシンプルな構成にて、より高出力化することができる。また、電流位相を進める必要がないので、永久磁石Mの減磁の心配もない。
なお、図5(A)に示すように、回転子磁極10a〜10dに対して永久磁石Mが外周側に露出(永久磁石Mの外周側の面が、回転子の外周面と一致)するように構成してもよい。また、図5(B)に示すように、永久磁石Mが外周側に露出するとともに、回転方向の反対側にも露出するように構成してもよい(この場合、距離DB=ゼロ)。
なお、第1の実施の形態において、界磁巻線CK1、CK2への給電方法は、後述する図6に示すスリップリングSR1、SR2を用いて外部電源から給電してもよいし、図8(C)に示すように、界磁巻線に発生する電流の流れる方向を一方に固定するようにダイオードD1、D2を接続してもよい。
図5(C)の左図の例では、界磁巻線を環状に短絡させずに、界磁巻線CK1の手前側を切り離し、向かって左側の端部をダイオードD1のカソードに接続し、向かって右側の端部をダイオードD1のアノードに接続している(界磁巻線CK2も同様)。
また図5(C)の右図の例は、4つの回転子磁極のそれぞれに界磁巻線を設けた場合において、各界磁巻線に接続するダイオードの向きを示している。この場合、一方の隣のダイオードとはカソードが向き合い、他方の隣のダイオードとはアノードが向き合うように接続される。
なお、界磁巻線にダイオードを接続して界磁電流の流れる方向を一方にすることは周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
●[第2の実施の形態(図6、図7)]
次に図6、図7を用いて第2の実施の形態の回転電機について説明する。
従来の回転電機では、界磁巻線にダイオードを接続して(特開2000−139047号公報等)界磁巻線に流れる電流の方向を一方の方向にするものが存在したが、界磁性能に自由度が無く、回転電機の運転状況で界磁巻線に流れる電流の方向を変更することができない(高回転化する場合の電流の方向と、低回転時における高出力化の電流の方向は異なる)。
また、従来の回転電機では、スリップリングを介して外部電源から界磁巻線に所望する電流を流すものも存在したが、外部電源や外部電源とスリップリングの間に入れる制御回路等、装置が複雑化し、高価となる。
また、従来の回転電機には、電機子巻線の駆動電流に高調波の電流波形を重畳させるものも存在するが(特開平7−95790号公報等)、電機子巻線に駆動電流を供給するインバータ回路が複雑化し、高価となる。また、界磁巻線に流れる電流の方向を自由に変更できるものではない。
そこで、第2の実施の形態の回転電機では、界磁巻線CK1、CK2を環状に短絡することなくスイッチング回路SW1、SW2にて任意のタイミングで短絡または開放とする構成を備える。そして、短絡または開放のタイミングを調整することで、界磁巻線CK1、CK2に発生する誘導電流のレベルを制御し、界磁巻線CK1、CK2にダイオードを接続(図6(A)中のダイオードD1、D2参照)することなく、界磁巻線に流れる誘導電流の方向、及び電流の量を調整可能とするものである。なお、界磁巻線は1巻きの巻線であり、単数あるいは複数の界磁巻線が回転子磁極に設けられている。
図6(A)に示すように、界磁巻線CK1の一方の端部はスリップリングSR1の一方に接続され、界磁巻線CK1の他方の端部はスリップリングSR1の他方に接続されている。同様に、界磁巻線CK2の一方の端部はスリップリングSR2の一方に接続され、界磁巻線CK2の他方の端部はスリップリングSR2の他方に接続されている。
スリップリングSR1のそれぞれにはブラシB1を介してスイッチング回路SW1が接続されている。同様にスリップリングSR2のそれぞれにはブラシB2を介してスイッチング回路SW2が接続されている。この構成により、スイッチング回路SW1(スイッチング回路SW2)をON/OFFすることで、界磁巻線CK1(界磁巻線CK2)を短絡/開放することができる。
なお、第1〜第4の実施の形態にて説明する回転電機は4極6スロット(4個の回転子磁極と、6個の電機子磁極)で、電機子を3相駆動しているので、図2に示すように、30°周期で電機子への駆動信号が切換る。そして、界磁巻線のスイッチング回路SW1(またはSW2)の切換は、電機子への駆動信号の切換に同期して行うので、30°毎に切換る。そして30°毎に切換たスイッチング回路による界磁巻線に発生する電流も30°毎の発生を繰り返す。
次に図6(B)及び(C)を用いて、スイッチング回路SW1のON/OFFタイミングと、当該タイミングにおける界磁巻線CK1に発生する誘導電流について説明する。なお、図6(B)において横軸は[(回転)角度(°)]を示し、縦軸はON/OFFを示し、図6(C)において横軸は[(回転)角度(°)]を示し、縦軸は界磁電流(A)(すなわち誘導電流)を示している。またスイッチング回路SW2による界磁巻線CK2に発生する誘導電流も同様であるので、スイッチング回路SW2の側の説明は省略する。
以下の説明では「n」を整数として説明する。なお、スイッチング回路SW1、SW2の制御回路については説明を省略する。
図6(B)における作動パターンP1aは、回転角度が「30n+0」°毎にスイッチング回路SW1を「OFF」に駆動し、回転角度が「30n+1」°毎にスイッチング回路SW1を「ON」に駆動するパターンである。
この作動パターンP1aにより、図6(C)のグラフの「P1a」に示す結果が得られる(この結果が30°毎に繰り返される)。
作動パターンP1aでは、界磁電流(誘導電流)が常に「正」となるので、ダイオードを用いることなく、界磁電流の流れる方向を一方の方向のみにすることができる。
図6(B)における作動パターンP1bは、回転角度が「30n+10」°毎にスイッチング回路SW1を「OFF」に駆動し、回転角度が「30n+11」°毎にスイッチング回路SW1を「ON」に駆動するパターンである。
この作動パターンP1bにより、図6(C)のグラフの「P1b」に示す結果が得られる(この結果が30°毎に繰り返される)。
また図6(B)における作動パターンP1cは、回転角度が「30n+20」°毎にスイッチング回路SW1を「OFF」に駆動し、回転角度が「30n+21」°毎にスイッチング回路SW1を「ON」に駆動するパターンである。
この作動パターンP1cにより、図6(C)のグラフの「P1c」に示す結果が得られる(この結果が30°毎に繰り返される)。
作動パターンP1b、P1cでは、界磁電流(誘導電流)が「負」の場合と「正」の場合の双方が有るので、界磁電流の流れる方向を一方の方向のみにするにはダイオードが必要となるので、好ましい作動パターンではない。
図6(B)における作動パターンP1dは、回転角度が「30n+29」°毎にスイッチング回路SW1を「OFF」に駆動し、回転角度が「30n+0」°毎にスイッチング回路SW1を「ON」に駆動するパターンである。
この作動パターンP1dにより、図6(C)のグラフの「P1d」に示す結果が得られる(この結果が30°毎に繰り返される)。
作動パターンP1dでは、界磁電流(誘導電流)が常に「負」となるので、ダイオードを用いることなく、界磁電流の流れる方向を一方の方向のみ(作動パターンP1aとは逆の方向)にすることができる。
なお、図6(C)に示すグラフにおいて、「正」の界磁電流は永久磁石Mの磁界を減少させる方向の電流を示しており(高回転化に寄与する)、「負」の界磁電流は永久磁石Mの磁界を増加させる方向の電流を示している(高出力化に寄与する)。また図6(C)に示すグラフでは、開放時期にて界磁電流がゼロとなり、ゼロとなった地点から再び界磁電流が変化しており、開放時期により平行移動したような特性を示している。
以上より、電機子巻線への通電の切換(この場合、30°毎に切換)によって発生する誘導電流を、作動パターンP1a、またはP1dのパターンにて電機子巻線への通電の切換周期に同期させて界磁巻線を短絡または開放することで、ダイオードを用いることなく界磁巻線に流れる電流の方向を、一方の方向、または逆方向に、任意に変更することができる。
以上では、第2の実施の形態において、界磁巻線に流れる電流の「方向」を任意に調整できることを説明したが、次に図7を用いて、界磁巻線に流れる電流の「量」を調整する方法について説明する。
図7(A)に示す作動パターンP2aは、図6(B)の作動パターンP1dである。従って、この場合、図7(B)のグラフの「P2a」は、図6(C)のグラフ「P1d」と同じであり、界磁電流(誘導電流)が常に「負」となる。
この作動パターンP2aに対して、図4(A)における作動パターンP2bは、ON期間を29°から19°へと短くしたパターンであり、回転角度が「30n+19」°毎にスイッチング回路SW1を「OFF」に駆動し、回転角度が「30n+0」°毎にスイッチング回路SW1を「ON」に駆動するパターンである。
この作動パターンP2bにより、図7(B)のグラフ「P2b」に示す結果が得られ、界磁電流の「量」をグラフ「P2a」よりも減少させることができる(この結果が30°毎に繰り返される)。
図7(A)における作動パターンP2cは、作動パターンP2aに対してON期間を29°から9°へと短くしたパターンであり、回転角度が「30n+9」°毎にスイッチング回路SW1を「OFF」に駆動し、回転角度が「30n+0」°毎にスイッチング回路SW1を「ON」に駆動するパターンである。
この作動パターンP2cにより、図7(B)のグラフ「P2c」に示す結果が得られ、界磁電流の「量」をグラフ「P2b」よりも更に減少させることができる(この結果が30°毎に繰り返される)。
以上より、電機子巻線への通電の切換周期に同期させてスイッチング回路による短絡期間を制御することで、電機子巻線への通電の切換(この場合、30°毎に切換)によって発生する誘導電流の「量」を、所望する量へと無段階に減少させることができる。
なお同様にして、図6(B)における作動パターンP1aに対して、ON期間を変更することで、「正」の界磁電流(誘導電流)の「量」を、所望する量へと無段階に減少させることができる。
以上、第2の実施の形態では、界磁巻線にスイッチング回路を接続するというシンプルな構成にて、電機子巻線への通電の切換周期に同期させて界磁巻線を短絡/開放に制御することで、界磁巻線に流れる電流の「方向」と「量」を調整可能である。
例えば、高出力よりも高回転を所望する場合は「正」の界磁電流が流れるように調整し、高回転よりも高出力を所望する場合は「負」の界磁電流が流れるように調整すればよい。また、所望する高回転あるいは高出力の程度に応じて電流の量を調整すればよい。
なお、第2の実施の形態では、永久磁石Mを省略してもよい。
●[第3の実施の形態(図8)]
次に図8(A)〜(C)を用いて第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、回転子磁極を分離している切欠溝を、界磁巻線(あるいは界磁巻線とかご型巻線)にて占有(充填)するように構成し、回転子の回転軸に直交する切欠溝の断面面積(すなわち、界磁巻線とかご型巻線の断面面積)を調整することで、発生する界磁電流を調整するものである。
図8(A)〜(C)にて説明する例では、界磁巻線CK1〜CK4と、かご型巻線CCとを備え、界磁巻線CK1〜CK4(及びかごCC)に発生する誘導電流のレベルを制御し、ダイオードを用いることなく、誘導電流の流れる方向を一方のみにすることができる。なお、特開2000−139047号公報では、1本のコイル線を複数回巻回してダイオードを介して短絡して界磁巻線を構成しているが、第3の実施の形態では、巻回数が1回の巻線を複数用いて界磁巻線として使用している。
図8(A)の左図に示すように、界磁巻線CK1〜CK4(界磁部材)は、4個の回転子磁極10a〜10dのそれぞれに巻回されている(設けられている)。そして円筒状の回転子鉄芯11における端面(上面と底面)、及び切欠溝には、導電体で構成された、かご型巻線CCが設けられている。この場合、かご型巻線CCはアルミダイキャスト等にて切欠溝に充填されている。なお、図8(A)の左図からかご型巻線CCのみを抽出した図が図8(A)の右図である。
なお、第3の実施の形態の説明では、界磁巻線とかご型巻線にて切欠溝を充填する例を説明するが、界磁巻線は単数でも複数でもよく、界磁巻線のみで切欠溝を充填するようにしてもよい。
また、第3の実施の形態では、各界磁巻線の巻回数は1回であり、単数あるいは複数の界磁巻線を、対応する回転子磁極に巻回している。複数の界磁巻線を用いた場合、発生した電流が各界磁巻線に分散されるので、断面積が小さく許容電流が低い界磁巻線であっても、適切に複数用いることで所望する許容電流まで耐えられる界磁巻線として使用することができる。
図8(B)は、回転軸ZSに直交する面にて図8(A)に示す回転子鉄芯11を切断した断面図である。なお、断面積Kは界磁巻線とかご型巻線にて占有されている(充填されている)。
図8(B)に示す切欠溝の断面積Kを、ある一定の値にした場合(このときの断面積を基準面積Sとする)をパターンP3aとすると、図8(C)のグラフ「P3a」に示す結果が得られた(この結果が30°毎に繰り返される)。
また、切欠溝の断面積Kを基準面積Sの6.25倍にした場合をパターンP3bとすると、図8(C)のグラフ「P3b」に示す結果が得られた(この結果が30°毎に繰り返される)。
パターンP3a、P3bでは、界磁電流(誘導電流)が「負」の場合と「正」の場合の双方が有るので、界磁電流の流れる方向を一方の方向のみにするにはダイオードが必要であるので、好ましいパターンではない。
これに対して切欠溝の断面積Kを基準面積Sの100倍にした場合をパターンP3cとすると、図8(C)のグラフ「P3c」に示す結果が得られた(この結果が30°毎に繰り返される)。
パターンP3cでは、界磁電流(誘導電流)が常に「正」となるので、ダイオードを用いることなく、界磁電流の流れる方向を一方の方向のみにすることができる。
以上より、切欠溝の断面積(及び界磁巻線とかご型巻線の断面積)の大きさを変更することで、電機子巻線への通電の切換(この場合、30°毎に切換)によって発生する誘導電流の流れる方向を、ダイオードを用いることなく、一方の方向のみにすることができる。
この場合、「正」の界磁電流とすることができるので、永久磁石Mの磁界を減少させる方向の電流を流すことができるので、高回転化に寄与することができる。
なお、切欠溝の断面積K(及び界磁巻線とかご型巻線の断面積)の設定にて、界磁巻線に「負」の界磁電流のみが流れるように構成(高出力化に寄与する)することも可能である。例えばこの場合は、高回転化が可能となるように永久磁石Mの磁界の力を予め小さくしておき、低回転時には界磁巻線にて永久磁石Mの磁界を増加させるように構成すればよい。
なお、界磁巻線やかご型巻線の材質として、より抵抗値の低いものを用いることで、回転電機の特性をより向上させることができる。
●[第4の実施の形態(図9)]
次に図9(A)及び(B)を用いて第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、界磁巻線に流れる電流の量をより簡単に増加できるとともに、界磁巻線の組み付けをより容易にする(生産性を向上させる)ものである。
図9(A)は、界磁巻線の断面積を増加させる従来の方法である。断面が円形の界磁巻線では、界磁巻線の断面積を大きくするために界磁巻線の径を大きくすると、切欠溝との隙間が大きくなってしまうので、比較的細い界磁巻線(1巻きの短絡した巻線)を複数本にして回転子磁極に巻回していた(嵌め込んでいた)。しかし、界磁巻線と切欠溝との隙間を小さくすることはできるが、巻線の数が増えるので、組み付けに手間がかかる。
そこで図9(B)に示す本実施の形態では、巻線を用いることなく、切欠溝(回転軸ZSに直交する断面が、中心角90°の扇形の切欠溝)に収容可能な断面形状(厚さTw、幅Ttの矩形であり、切欠溝の面に対向する界磁部材の面が隙間なく接触する形状)を有する環状の導電体にて形成した界磁部材CKA、CKBを、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に組み付ける(嵌め込む)。例えば界磁部材CKAは、抵抗値の低い所定厚さ(Tw)の銅板から打ち抜きにより一体成形されている(あるいはアルミダイカストで一体成形されている)。
これにより、界磁部材CKA、CKBと切欠溝との隙間をほぼ無くすことが可能である。しかも、界磁部材CKA、CKBの製造は、上述したように打ち抜きにて可能であり、更に界磁部材を取り付けるべき回転子磁極に対して1個の界磁部材を嵌め込むだけでよいので、組み付けも容易である。
なお、図9(C)の例に示すように、一体成形した界磁部材を複数積層して新たな界磁部材CKA、CKBとしてもよい。この場合、図9(C)に示すように、より簡単に切欠溝を充填できる。
本発明の回転電機は、本実施の形態で説明した構成、構造、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
第1〜第4の実施の形態にて説明した回転電機は4極6スロット(4個の回転子磁極と、6個の電機子磁極)で、電機子を3相駆動している例にて説明したので、図2に示すように、30°周期で電機子への駆動信号が切換り、界磁巻線のスイッチング回路SW1(またはSW2)の切換も30°毎に切換り、界磁巻線に発生する電流も30°毎の発生を繰り返す例を説明したが、回転子磁極の数、電機子磁極の数、電機子への駆動信号の切換周期は、これらに限定されるものではない。
また、第1〜第4の実施の形態にて説明した構成を、どのように組み合わせてもよい。例えば第1の実施の形態の構成と第2の実施の形態の構成と第4の実施の形態を組み合わせてもよい。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
例えば本実施の形態にて説明した回転電機を電気自動車の駆動用モータに適用すれば、より高回転化、より高出力化することができるので便利である。また図9(B)に示す界磁部材CKA、CKBを用いれば、回転電機の生産性をより向上させることができる。
10 回転子
10a〜10d 回転子磁極
11 回転子鉄芯
20 固定子
20a〜20f 電機子磁極
21 電機子鉄芯
31、32 ケース
33、34 軸受
B1、B2 ブラシ
CC かご型巻線
CK1〜CK4 界磁巻線
CKA、CKB 界磁部材
CU1、CU2、CV1、CV2、CW1、CW2 電機子巻線
M 永久磁石
SF シャフト
SR1、SR2 スリップリング
SW1、SW2 スイッチング回路
ZS 回転軸

Claims (5)

  1. 回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、
    前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、
    前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁巻線と、
    を備えた回転電機において、
    前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、
    各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において磁界の方向が反対になるようにN極またはS極が外周側となるように永久磁石が外周面の近傍に埋め込まれており、
    前記界磁巻線は、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回されており、
    前記回転子の回転方向は、一方の方向にのみ設定され、あるいは一方の方向の使用頻度のほうが逆方向の使用頻度よりも高く、
    各回転子磁極において、円周方向における永久磁石と界磁巻線との間の回転子磁極上の距離は、一方の方向の側の距離の方が、逆方向の側の距離よりも大きくなるように、前記永久磁石は、埋め込まれている回転子磁極において円周方向に対して中央部に埋め込まれていることなく逆方向の側に偏った位置に埋め込まれている、
    回転電機。
  2. 回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、
    前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、
    前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁巻線と、
    を備えた回転電機において、
    前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、
    前記界磁巻線は、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回されており、
    各界磁巻線には、前記電機子巻線への通電の切換周期に同期させて当該界磁巻線を短絡または開放に切換可能なスイッチング回路が接続されている、
    回転電機。
  3. 回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、
    前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、
    前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁巻線と、
    を備えた回転電機において、
    前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、
    各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において磁界の方向が反対になるようにN極またはS極が外周側となるように永久磁石が外周面の近傍に埋め込まれており、
    各切欠溝は、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回された前記界磁巻線にて占有されており、あるいは各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に巻回された前記界磁巻線と前記切欠溝に充填されたかご型導電体にて形成されたかご型巻線にて占有されており、
    前記電機子巻線への通電の切換に伴って前記界磁巻線に発生する電流は、前記界磁巻線にダイオードが接続されることなく、前記回転子の回転軸に直交する前記切欠溝の断面積の大きさと、当該切欠溝を占有している前記界磁巻線、あるいは当該切欠溝を占有している前記界磁巻線及び前記かご型巻線と、で調整されている、
    回転電機。
  4. 回転磁界を発生させる巻線である電機子巻線が円周上に複数配置された固定子と、
    前記固定子内で回転可能に支持された略円筒状の回転子と、
    前記回転子に設けられて前記電機子巻線への通電の切換に伴って電流を発生する界磁部材と、
    を備えた回転電機において、
    前記回転子の外周面は、回転軸方向に設けられた複数の切欠溝にて、円周方向において偶数個の回転子磁極に分離されており、
    各回転子磁極には、隣り合う回転子磁極とは回転子の径方向において磁界の方向が反対になるようにN極またはS極が外周側となるように永久磁石が外周面の近傍に埋め込まれており、
    前記界磁部材は、前記切欠溝に収容可能な断面形状を有する環状の導電体にて一体成形されており、各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極の周囲を囲むように設けられている、
    回転電機。
  5. 請求項4に記載の回転電機であって、
    各回転子磁極あるいは1つおきの回転子磁極に設けられている各界磁部材は、一体成形された界磁部材が複数積層されて構成されている、
    回転電機。

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