JP2011222412A - リチウム−空気電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】放電モードにおけるエネルギ密度および出力の低下を抑制させるのに有利なリチウム−空気電池システムを提供する。
【解決手段】リチウム−空気電池システムは、電池1の放電モードにおいて放電生成物の濃度が増加した電解液部12の電解液を電解液部12の外部に取り出すと共に、電解液部12の電解液よりも放電生成物の濃度が少ない電解液を電池1の電解液部12に補充させる電解液調整機構2をもつ。
【選択図】図1

Description

本発明は負極活物質としてリチウムを用いると共に正極活物質として酸素を用いるリチウム−空気電池システムに関する。リチウム−空気電池はリチウム−酸素電池も含む意味である。
近年、負極活物質としてリチウムを用いると共に、正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム−空気電池システムが着目されている。このシステムは、非常に高いエネルギ密度が期待できる。これに関する技術として、非特許文献1,2および特許文献1,2が知られている。非特許文献1は、電解液にポリアクリロニトリル(PAN):エチレンカーボネイト(EC):プロピレンカーボネイト(PC):LiPF6 = 12:40:40:8 wt%系高分子ゲル電解液を用いるLi-空気二次電池を開示している。非特許文献2は、電解質として、プロピレンカーボネイト(PC)を用いるLi-空気二次電池を開示している。特許文献1は、電解質として、疎水性常温溶融塩を用いるLi-空気二次電池を開示している。特許文献2は、リチウム保護膜を備えるLi-空気二次電池を開示している。このものによれば、リチウム保護膜は、Li1-x(M, Al, Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 の組成よりなる水不透過性のNASICON型高リチウムイオン伝導性ガラスセラミックと、そのガラスセラミックと負極の金属リチウムとの反応を防止する為に設けられたリチウムリン酸窒化物(LiPON)等の反応防止層とを有する。これにより正極および負極におけるリチウムイオンの伝導性を確保しつつ、水と金属リチウムを分離し、水溶液系電解液の利用を可能にしている。
K.M. Abraham et al., "A Polymer Electrolyte-Based Rechargeable Lithium/Oxygen Battery", J. Electrochem. Soc., vol. 143(1), p1-5(1996) Takeshi Ogasawara et al., "Rechargeable Li2O2 Electrode for Lithium Batteries", J. Am. Chem. Soc., vol. 128(4), p1390-1393(2006)
特開2005-190880 特表2007-513464
上記したリチウム−空気2次電池は、基本的には、図1に示した様なセル構造をもつ。負極及び正極では、
負極: Li ⇔ Li+ + e- 反応式 (1) 正極: x O2 + y Li+ + y e- ⇔ Li2O and/or Li2O2 反応式 (2)
上記した電極反応により、充電および放電が可能である。この場合、負極の金属リチウムは水と激しく反応する。このため従来、電解液として、非水系の電解液が用いられている。非特許文献1では、ポリアクリロニトリル(PAN)系ポリマーゲル電解液が用いられている。非特許文献2では、プロピレンカーボネイト(PC)系の有機溶媒電解液が用いられている。特許文献1では、疎水性常温溶融塩(イオン液体)が用いられている。しかしながら、これらの電解液は、空気中の水分を吸収する為、電解液中に混入した水分と負極の金属リチウムとが反応するおそれがある。
また、正極では、充電および放電に伴う酸素の供給・放出を行なう為に、一般的には、カーボンや金属からなる多孔質のガス拡散電極が用いられる。この場合、放電反応により生成する放電生成物(Li2OかLi2O2、あるいは両方)をガス拡散電極中の細孔内に保持する必要があるが、ガス拡散電極における細孔容積は限られている。また、細孔中への放電生成物の保持は、ガスのスムーズな供給を阻害する事や細孔内からの放電生成物の脱落が発生する可能性があると言ったおそれがある。
これらの問題を解決する為の技術として、近年、特許文献2に係る技術が知られている。このものによれば、図2に示すように、金属リチウムを有する負極に隣接するように、電解液と負極との間に、Li1-x(M, Al, Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 の組成よりなる水不透過性のNASICON型のリチウムイオン伝導性をもつガラスセラミックの層が設けられている。更に、そのガラスセラミックと負極の金属リチウムとの反応を防止する為に、リチウムリン酸窒化物(LiPON)等の反応防止層が設けられている。反応防止層およびガラスセラミックスの層とでリチウム保護膜が形成されている。これにより負極と正極との間においてリチウムイオンの伝導性を確保しつつ、電解液の水と金属リチウムとを分離させている。この場合、電解液として、HCl、LiCl、LiOHと言った水溶液系電解液が使用可能である利点が示されている。LiOHを含む水溶液系電解液が用いられる場合、リチウム−空気2次電池の正極反応は、反応式 (3)の電極反応となる。
正極: 1/4 O2 + 1/2 H2O + Li+ + e- ⇔ LiOH 反応式 (3)
この場合、放電時には放電生成物(水酸化リチウム,LiOH)が形成される。充電時には放電生成物(LiOH)が消費される。放電生成物(LiOH)は水酸化物であり、水に可溶であり、電解液中に溶解して、電解液中に保持することが可能である。その為、上記した非水系電解液が用いられる場合のように、放電生成物をガス拡散電極の細孔内へ保持する必要が低減される利点が生ずる。更には、非水系電解液中と比べて、水溶液中における正極側の酸素の電極反応は、素早く起こり、過電圧の低下抑制や触媒量の低減といった利点も期待できる。
しかしながら、水に対する放電生成物(LiOH)の溶解度には限度がある。このため放電が長時間にわたり継続されると、電解液における放電生成物(LiOH)の濃度が過剰に高くなり、電池のエネルギ密度および出力の低下を引き起こすおそれがある。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、放電モードにおいてエネルギ密度および出力の低下を抑制させるのに有利なリチウム−空気電池システムを提供することを課題とする。
本発明に係るリチウム−空気電池システムは、(i)負極活物質としてリチウムを用いる負極と、正極活物質として酸素を用いる正極と、負極および正極の間に存在する電解液を有する電解液部とを含む電池と、(ii)電池の放電モードにおいて、放電生成物の濃度が増加した電解液部の電解液を電解液部の外部に取り出すと共に、電解液部の電解液よりも放電生成物の濃度が少ない電解液を電池の電解液部に補充させる電解液調整機構とを具備する。
電池の放電モードの時間経過につれて、電解液部の電解液では、放電生成物の濃度が増加する。放電モードにおいて、電解液調整機構は、放電生成物の濃度が増加した電解液部の電解液を電解液部の外部に取り出す。更に、電解液調整機構は、電解液部の電解液よりも放電生成物の濃度が少ない電解液を電池の電解液部に補充させる。このため放電モードにおいて、電解液部の電解液の体積が確保されつつ、電池の電解液の濃度が過剰になることが抑制される。この結果、放電モードの時間が長くなったとしても、電解液部の電解液の液面や体積が確保されつつ、電解液において放電生成物の濃度が過剰に増加することが抑制される。従って、放電モードにおいて、電解液における放電生成物の濃度の増加に起因してエネルギ密度および出力が低下することが抑制される。
本発明によれば、電池の放電モードの時間が長くなったとしても、電解液部の電解液の体積が確保されつつ、電解液部の電解液において放電生成物の濃度が過剰に増加することが抑制される。従って、放電モードにおいて、電解液における放電生成物の濃度の増加に起因してエネルギ密度および出力が低下することが抑制される。
非水系電解液を有する電池の断面図である。 水溶液系電解液を有する電池の断面図である。 実施形態1に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態2に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態3に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態3に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態4に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態4に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態5に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態5に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態6に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態7に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態7に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態8に係るシステムの概念を示す図である。 実施形態9に係るシステムの概念を示す図である。
リチウム−空気電池システムの電池は、リチウムを有するか又はリチウムが供給される負極と、酸素が供給される正極と、負極および正極の間に存在する電解液を有する電解液部とを含む。電解液の支持電解質としては、Li水酸化物、Li塩化物、Li硫化物、Li硝酸物、Liリンフッ化物、Li過塩素酸物、Liフッ化ホウ素等のLi塩が挙げられる。更に、同様なK塩、Na塩等や塩酸、硫酸等を例示することが可能であり、水溶液又は非水溶液中でイオン乖離し、イオン導電性を与え、且つ、電極反応を阻害しないものであれば良い。電池は、放電モードおよび充電モードを実施可能な二次電池であることが好ましい。電解液部は、電解質を水に溶解させた水溶液系電解液を保持することが好ましい。あるいは、電解液部は、正極側の水溶液系電解液と負極側の非水系電解液とをリチウム伝導性をもつ固体電解質膜で仕切る方式でも良い。
電解液調整機構は、電池の放電モードにおいて放電生成物の濃度が増加した電解液部の電解液を電解液部の外部に取り出すと共に、電解液部の電解液よりも放電生成物の濃度が少ない電解液を電池の電解液部に補充させる。これにより電池の電解液の濃度が過剰に高くなることを抑制しつつ、電解液の不足を抑制できる。好ましくは、電解液調整機構は、放電モードにおいて電池の外部に取り出された電解液を希釈させた後、放電モードにおいて電池の電解液部に供給させる。
充電モードでは、電解液に含まれている放電生成物が消費されてその濃度が低下して電解液が次第に希釈化され、電解液のイオン導電率が低下するおそれがある。そこで、電解液調整機構は、放電モードにおいて電池の電解液部の外部に取り出された高濃度の電解液を、充電モードにおいて、電池の電解液部に供給させて電解液部の電解液の低濃度化を抑制させることが好ましい。このため充電モードにおいて、電解液のイオン導電率が過剰に低下することが抑制される。
好ましくは、電解液調整機構は、(i)放電モードにおいて放電生成物の濃度が増加した電解液部の電解液を電池の外部に取り出す電解液取出部と、(ii)電解液取出部で取り出された電解液を、放電生成物の濃度が高い高濃度電解液と、放電生成物の濃度が高濃度電解液よりも低い低濃度電解液とに分離させる分離機構と、(iii)分離機構で分離された低濃度電解液または低濃度電解液で希釈させた電解液を放電モードにおいて電池の電解液部に供給させる電解液供給部とをもつ。この場合、放電モードにおいて電解液の濃度が過剰になることが抑制される。
好ましくは、電解液調整機構は、(i)放電モードにおいて放電生成物の濃度が増加した電解液部の電解液を電池の外部に取り出す電解液取出部と、(ii)電解液取出部で取り出された電解液を、放電生成物の濃度が高い高濃度電解液と、放電生成物の濃度が高濃度電解液よりも低い低濃度電解液とに分離させる分離機構と、(iii)分離機構で分離された高濃度電解液または高濃度電解液を混入させた電解液を充電モードにおいてリチウム−空気電池の電解液部に供給させる電解液供給部とをもつ。このため電池の放電モードの時間が長くなったとしても、電解液部の電解液において放電生成物の濃度が過剰に増加することが抑制され,放電モードが良好に実施される。よってエネルギ密度が低下することが抑制される。更に、分離機構で分離された高濃度電解液または高濃度電解液を混入させた電解液を、電解液供給部は充電モードにおいて電池の電解液部に供給させ、電解液のイオン導電率の過剰低下を抑制させる。
好ましくは、電解液調整機構は、電池の電解液部に連通すると共に電解液を貯留可能なバッファタンクを有する。好ましくは、バッファタンクは、放電モードにおいて、放電生成物の濃度が増加した電解液部の電解液を取り出して一時的に貯留する。好ましくは、バッファタンクは、充電モードにおいて、放電生成物の濃度が電解液部の電解液よりも増加している高濃度電解液またはこれを含む電解液を電池の電解液部に供給させ、電解液部における電解液の過剰希釈を抑制する。
好ましくは、バッファタンクは、バッファタンク内の電解液の温度を調整する温度調整部を有する。この場合、温度調整によりバッファタンク内の電解液における放電生成物の濃度を調整できる。バッファタンク内の電解液を冷却させれば、電解液に含まれる放電生成物の溶解限度が低下するため、放電生成物を沈殿させて電解液を希釈できる。バッファタンク内の電解液を加熱させれば、電解液に含まれる放電生成物の溶解限度が増加するため、放電生成物を溶解させて電解液の濃度を高くできる。更に電池の起動性も向上できる。
好ましくは、バッファタンクは、バッファタンク内の電解液における放電生成物の濃度に関する物理量を測定するセンサを有する。好ましくは、センサからの信号に基づいて、バッファタンク内の電解液における放電生成物の濃度を適切領域に維持させる制御装置100が設けられている。
好ましくは、電解液調整機構は、分離機構で分離された高濃度電解液を溜める高濃度タンクと、分離機構で分離された低濃度電解液を溜める低濃度タンクとを有する。好ましくは、充電モードにおいて、高濃度タンクの高濃度電解液を電池の電解液部に直接または希釈させて供給させる。従って充電モードにおいて電解液のイオン導電率の過剰低下が抑制される。
(実施形態1)
図3は本発明の実施形態1の概念を示す。本実施形態は、放電モードおよび充電モードにおいて電解液を循環させるタイプをもつ濃縮型リチウム−空気電池(リチウム−酸素電池)システムを示す。システムは、リチウム−空気電池で形成されている電池1をもつ。電池1は、負極活物質としてリチウムを用いる負極10と、正極活物質として空気つまり酸素が供給されるガス拡散性をもつ正極11と、負極10および正極11の間に存在する水溶液系の電解液を有する電解液部12とを含む。電池1は、放電モードおよび充電モードを実施可能な二次電池である。
図3に示すように、電解液部12に隣接するように、水不透過性のNASICON型をもつリチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックの層14が設けられている。ガラスセラミックスは、例えば、Li1-x(M, Al, Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3の組成より形成できる。更に、そのガラスセラミックと金属リチウムとの反応を防止する為に、リチウムリン酸窒化物(LiPON)等の反応防止層15が層14と負極10との間に設けられている。層14および反応防止層15からなるリチウム保護膜16を形成する。これにより負極10と正極11との間においてリチウムイオンの伝導性を確保しつつ、電解液部12と金属リチウムとを分離させている。
更に図3に示すように、システムは、電解液の濃度を調整できる電解液調整機構2をもつ。電解液調整機構2は、放電モードにおいて、支持電解質でもある放電生成物(LiOH)の濃度が増加した電解液部12の電解液を電解液取出部20により電解液部12の外部に取り出す機能と、電解液部12の電解液よりも放電生成物の濃度が少ない電解液を電池1の電解液部12に補充させて電解液の必要量を確保する機能とを有する。電解液取出部20は、電解液部12の電解液を電解液部12の外部に取り出す機能を有すれば、何でも良い。電解液供給部27は、電解液部12から取り出した電解液よりも低い濃度の電解液を電解液部12に供給できる機能を有すれば、何でも良い。
このように放電モードにおいて、放電に伴い電解液部12において高い濃度となった電解液を電解液部12から取り出すため、電池1の放電モードの時間が長くなったとしても、電解液部12の電解液において放電生成物の濃度が過剰に増加することが抑制される。従って、電池システムにおいて、電解液における放電生成物の濃度の増加に起因して電池1のエネルギ密度および出力が低下することが抑制される。更に放電モードでは、電解液調整機構2は、電解液部12の電解液よりも放電生成物の濃度が少ない電解液を電池1の電解液部12に補充させ、電解液部12における電解液の必要体積および液面の液位を確保させる。これにより電解液部12において電解液が不足することなく、放電モードが良好に実施され、電池1のエネルギ密度および出力が低下することが抑制される。る。
これに対して充電モードでは、電池1の電解液部12の電解液における放電生成物が消費されるため、その濃度が低下して電解液が過剰に希釈化されるおそれがある。この場合、電解液のイオン導電率が過剰に低下し、充電効率が低下するおそれがある。そこで、充電モードにおいて、電解液調整機構2の電解液取出部20は、電解液部20の低濃度化した電解液を外部に取り出す。そして、放電モードにおいて電池1の電解液部12の外部に既に取り出された高濃度の電解液またはこれを含む電解液を、電池1の電解液部12に供給させる。このため充電モードにおいて、電解液部12のイオン導電率が過剰に低下することが抑制され、充電モードを良好に実行できる。従って電解液調整機構2は、放電モードにおいて濃度が適正化された電解液(放電モードにおいて電解液部12から取り出される高濃度電解液よりも濃度が低い電解液)を電池1の電解液部12に供給できる機能と、充電モードにおいて高濃度電解液を電池1の電解液部12に供給できる機能を有することが好ましい。
(実施形態2)
図4は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。電解液調整機構2は、搬送機能をもつ電解液取出部20と、分離機構24と、搬送機能をもつ電解液供給部27とを有する。電解液取出部20は、放電モードにおいて、放電生成物の濃度が過剰に増加した電池1の電解液部12の電解液を電池1の電解液部12から分離機構24(外部)に取り出す。電解液供給部27は、放電モードにおいて、濃度が低くされた電解液を電池1の電解液部12に供給する。分離機構24は、電解液取出部20が電解液部12から取り出した電解液を、応生成物の濃度が高い高濃度電解液と、放電生成物(電解質)の濃度が高濃度電解液よりも低い低濃度電解液(例えば水)とに分離させる機能をもつ。このような本実施形態では、電池1の放電モードの時間が長くなったとしても、電解液部12の電解液において放電生成物の濃度が過剰に増加することが抑制される。しかも電解液部12の電解液の必要体積が確保される。従って、システムにおいて、電解液における放電生成物の濃度の増加に起因してエネルギ密度が低下することが抑制される。
また電解液の濃度が低下しがちな充電モードにおいては、電解液供給部27は、分離機構24で分離された高濃度電解液または高濃度電解液を混入させた電解液を電池1の電解液部12に供給させる。このように充電モードにおいて、電解液調整機構2の電解液供給部27は、放電モードにおいて電池1の電解液部12の外部に取り出された電解液を電池1の電解液部12に供給させる。このため充電モードにおいて、電解液のイオン導電率が過剰に低下することが抑制され、充電モードが良好に実施される。なお電池1の充電および放電に伴い、電解液における水の消費および生成も起こり得る。この場合、電池1の電解液部12の電解液の液面レベルは変動し、電池1の性能に影響を与えるおそれがある。また、電流密度の変化等により、電池1内の温度は変動が起こるおそれがある。
そこで電池1の電解液部12には、電解液の液面のレベルに関する物理量を検知する液面レベルセンサ18と、電解液の温度に関する物理量を検知する温度センサ19とのうちの一方または双方が設けられていることが好ましい。この場合、制御装置100は、放電モードおよび/または充電モードにおいて、必要に応じて、電池1の電解液の液面レベルおよび/または温度をセンシングし、電解液取出部20および電解液供給部27の単位時間当たりの搬送流量と電解液流速を調整し、これにより電解液部12における電解液の液面レベルや電解液の温度を制御することが好ましい。例えば、液面レベルが過剰に低いときには、電解液取出部20の取出量を減少させたり、電解液供給部27の供給量を増加させたりする。液面レベルが過剰に高いときには、電解液取出部20の取出量を増加させたり、電解液供給部27の供給量を減少させたりする。温度が過剰に低いときには、電解液取出部20の取出量を減少させたりする。温度が過剰に高いときには、電解液取出部20の取出量を増加させたり、電解液供給部27の供給量を増加させたりする。取出量および供給量は単位時間あたりの量である。但し、場合によっては、電池の放電および充電が定形化されており、液面レベルの変動が予想できる場合には、液面レベルセンサ18を廃止することもできる。同様に温度が予想できる場合には、温度センサ19を廃止することもできる。
(実施形態3)
図5および図6は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。電解液調整機構2は、電解液取出部20と、分離機構24と、電解液供給部27と、バッファタンク3とを有する。バッファタンク3は電池の外部に設けられており、電解液取出部20および電解液供給部27により電池1の電解液部12に連通すると共に、電解液を貯留可能である。バッファタンク3は、支持電解質であるLiOHを含む電解液の濃度を管理する為のタンクであり、電池1の外部に設置されている。分離機構24は、電池1から取り出された電解液をLiOH濃縮液(高濃度電解液)と水(低濃度電解液)とに分離する為のものであり、逆浸透膜フィルター、または、蒸留塔で形成されていることが好ましい。逆浸透膜フィルターは多数の細孔をもち、分子またはイオンの径の差を利用して細孔を透過させる分子またはイオンと、細孔を透過させない分子またはイオンを選別させる。蒸留塔は、電解液を加熱させることにより、LiOHを高濃度に含む高濃度電解液と水蒸気とに分離させるものである。水蒸気は凝縮して液相状の水(低濃度電解液に相当)となる。
更に図5に示すように、濃縮タンク4および水タンク5が設けられている。濃縮タンク4は、分離機構24で濃縮されたスラリー状のLiOH濃縮液(高濃度電解液)を保存しておく為のものである。更に、水タンク5は、電解液から分離機構24で分離された水(低濃度電解液)を保存し、バッファタンク3における電解液を適切な濃度に希釈する為の水を供給する為のものである。
図5および図6に示すように、電解液取出部20は、電池1の電解液部12とバッファタンク3とを連通させる第1連通路21と、第1連通路21に設けられた第1搬送源として機能する第1ポンプ22とを有する。第1連通路21の端部21eは電解液部12の下部に設けられていることが好ましい。電解液部12の下部に電解液が濃縮され易いためである。電解液供給部27は、電池1の電解液部12とバッファタンク3とを連通させる第2連通路28と、第2連通路28に設けられた第2搬送源として機能する第2ポンプ29とを有する。第2連通路28の端部28eは、端部21eと離間するように電解液部12の上部に設けることができる。但しこれに限定されない。
バッファタンク3(殊に下部が好ましい)および分離機構24は、第3連通路30により連通されている。第3連通路30には、バッファタンク3の電解液を分離機構24の入口24iに搬送させる第3搬送源としての第3ポンプ31が設けられている。濃縮タンク4およびバッファタンク3は、第4連通路40で連通されている。ここで、濃縮タンク4の下部は比重差等により電解液が高濃度化しやすいため、濃縮タンク4の下部およびバッファタンク3の上部が第4連通路40で連通されていることが好ましい。第4連通路40には、濃縮タンク4の濃縮液をバッファタンク3に搬送させる第4搬送源としての第4ポンプ41が設けられている。
図5に示すように、水タンク5およびバッファタンク3は第5連通路50で連通されている。第5連通路50には、水タンク5の水をバッファタンク3に搬送させる第5搬送源としての第5ポンプ51が設けられている。分離機構24の濃縮液用の出口24pおよび濃縮タンク4は、第6連通路42で連通されている。第6連通路42は、重力を利用して分離機構24の高濃度電解液(濃縮LiOHスラリー)を濃縮タンク4に搬送させるが、必要に応じてポンプを搬送源として設けることができる。分離機構24の水用出口24kおよび水タンク5は第7連通路43で連通されている。第7連通路43は重力を利用して分離機構24の低濃度電解液(水)を水タンク5に搬送させるが、必要に応じてポンプを搬送源として設けることができる。
このシステムにおいては、電池1の電解液部12の電解液に用いる支持電解質も、放電生成物であるLiOHと同時に循環され、分離機構24により、濃縮分離され、高濃度電解液として濃縮タンク4に貯蔵される。その結果として、支持電解質の濃度の低下を引き起こす。このようなことを考慮すると、支持電解質としては、放電生成物(LiOH)と同じまたは同系の電解質を用いることが好ましい。従って電解液は、支持電解質でもある放電生成物を水に溶解して形成できる。
本実施形態に係るシステムの動作について更に説明を加える。図5は放電モードを示す。放電モードにおいては電池1の放電反応の進行に伴い、電池1の電解液部12の電解液においてLiOHは次第に増加するため、電解液部12の電解液に含まれるLiOHの濃度が次第に高くなる。この場合、電池1の放電効率が次第に低下し、電池1のエネルギ密度および出力が次第に低下するおそれがある。そこで、放電モードにおいて、第1ポンプ22の駆動により、電池1の電解液部12の電解液は、第1連通路21を介してバッファタンク3に取り出される。更にバッファタンク3の電解液は、第3ポンプ31の駆動により第3連通路30を介して入口24iから分離機構24に移動される。分離機構24において電解液は、LiOHを高濃度で含有する高濃度電解液と、水(低濃度電解液に相当)とに分離される。分離された水は第7連通路43を介して水タンク5に移動して貯蔵される。分離された高濃度電解液は、第6連通路42を介して濃縮タンク4に移動して貯蔵される。このように放電モードが継続すると、バッファタンク3におれる電解液および濃縮タンク4における高濃度電解液について、LiOHの濃度が次第に高くなる。
更に放電モードでは、第5ポンプ51が駆動するため、水タンク5の水(低濃度電解液)は、第5連通路50を介してバッファタンク3に供給される。これによりバッファタンク3内の高濃度の電解液が水により希釈される。希釈された電解液は、第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。このようにして放電モードでは、電池1の電解液部12における電解液の必要体積および液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に高くなることが抑制される。従って、放電モードを長時間にわたり良好に実施できる。このように放電モードでは、第1ポンプ22、第2ポンプ29が連続的にまたは必要に応じて駆動して、電池1の電解液は電解液取出部20の第1ポンプ22により外部に取り出されると共に、低い濃度の電解液が電解液供給部27の第2ポンプ29により電池1に補充される。このように放電モードにおいて電解液は電解液部12およびバッファタンク3を継続的に循環することが好ましい。更に図5に示す放電モードでは第3ポンプ31、第5ポンプ51が連続してまたは必要に応じて駆動する。なお、放電モードでは第4ポンプ41は一般的には停止されている。但し、放電モードといえども、バッファタンク3の電解液が過剰に低濃度化したとき等においては、必要に応じて駆動し、高濃度電解液をバッファタンク3に供給できる。
図6は充電モードを示す。充電モードでは、電池1の充電反応の進行に伴い、電池1の電解液部12の電解液におけるLiOH濃度は、充電時間と共に次第に減少するため、電池1の電解液部12の電解液のイオン導電率が次第に低下し、充電効率が低下するおそれがある。そこで充電モードでは、電池1の低濃度化した電解液は、第1ポンプ22の駆動により、第1連通路21を介してバッファタンク3に取り出される。ここで、前回の放電モードにおいて濃縮タンク4には高濃度電解液が既に貯蔵されている。従って、充電モードでは、第4ポンプ41が駆動するため、濃縮タンク4の高濃度電解液は第4連通路40を介してバッファタンク3に供給される。これによりバッファタンク3内の低濃度の電解液が高濃度電解液と混合して濃度が高くなる。濃度が高くなったバッファタンク3の電解液は、第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に低くなることが抑制される。従って、電解液部12における電解液のイオン導電率の低下が抑制され、充電モードを長時間にわたり良好に実施できる。
このように充電モードでは、第1ポンプ22および第2ポンプ29が連続してまたは必要に応じて駆動して、電池1の電解液は電解液取出部20の第1ポンプ22により外部に取り出されると共に、高い濃度の電解液が電解液供給部27の第2ポンプ29により電池1に補充される。このように放電モードにおいて電解液は電解液部12およびバッファタンク3を循環することが好ましい。更に充電モードでは、第4ポンプ41が連続してまたは必要に応じて駆動するが、第3ポンプ31および第5ポンプ51は一般的には停止されているが必要に応じて駆動できる。例えば、充電モードといえども、バッファタンク3の電解液の濃度およびpHが過剰に高くなったときには、第5ポンプ51により水タンク5の水をバッファタンク3に供給できる。これにより電池1の層14を強アルカリから保護できる。上記した放電モードおよび充電モードを良好に実施させるためには、第1ポンプ22および第2ポンプ29を連続的に駆動させ、電解液部12およびバッファタンク3において電解液を循環させることが好ましい。電池1の充電および放電の進行に伴い、水の消費と生成も起こるので、電解液部12の液面レベルは変動する。また、電流密度の変化等により、電池1内の温度は変動が起こるので、図5および図6に示すように、液面レベルセンサ18及び温度センサ19を電池1に設けることが好ましい。この場合、制御装置100は、電池1内部の状況を常時または必要に応じてセンシングし、第1ポンプ22及び第2ポンプ29の単位時間あたりの搬送流量と流速を可変させ、電解液の循環量を調整し、電池1の電解液の液面レベルや電解液温度を制御することが好ましい。場合によっては、センサ18,19を廃止することもできる。
(実施形態4)
図7及び図8は実施形態4を示す。本実施形態は図5及び図6に示す実施形態3と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。以下、異なる部位を中心として説明する。図7および図8に示すように、バッファタンク3は、バッファタンク3内の電解液の温度を調整する温度調整部35を有する。放電につれて電池1の電解液部12が昇温する傾向がある。放電モードでは電池1の電解液の温度は、一般的には、バッファタンク3の電解液の温度よりも高い。このため電池1の電解液がバッファタンク3に取り出されると、バッファタンク3の電解液が温度調整部35により冷却される。このように冷却された電解液が電解液部12に供給されるため、放電が長時間にわたっても、 電解液部12の過熱が抑制される。更に、温度調整部35によりバッファタンク3を冷却すると、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の沈殿化を促進させることができる。沈殿化により、バッファタンク3内の電解液の上澄液におけるLiOHの濃度を低下させることができる。あるいは、システムの起動時には温度調整部35によりバッファタンク3の電解液を加熱させ、加熱させた電解液を電解液部12に供給させれば、電池1の起動性を高めることができる。更に、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の沈殿物を溶解させることができる。この場合、沈殿物の溶解により、バッファタンク3内の電解液におけるLiOHの濃度を高めることができる。温度調整部35としては、ラジエータ等の熱交換器、電気ヒータ、燃焼ヒータなどを適宜採用できる。
さて、前述したように、バッファタンク3内の電解液中のLiOH濃度は、放電時間の経過と共に増加する。バッファタンク3内の電解液中のLiOH濃度は、充電時間の経過と共に低下する。そこで、バッファタンク3は、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の濃度に関する物理量を測定する濃度センサ33を有することが好ましい。濃度センサ33からの信号に基づいて、制御装置100は、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の濃度を放電モードの適切領域または充電モードの適切領域に維持させる。濃度センサ33は例えばpHセンサで形成でき、バッファタンク3の電解液の濃度(pH)を常時または必要に応じて監視する。
この場合、放電モードおよび/または充電モードにおいて、バッファタンク3内の電解液の濃度(pH)が過剰に低いときには、前記実施形態と同様に、制御装置100は、第4ポンプ41を駆動させて濃縮タンク4の高濃度電解液を第4連通路40を介してバッファタンク3に供給させる。これに対して、放電モードおよび/または充電モードにおいて、バッファタンク3内の濃度(pH)が過剰に高いときには、制御装置100は、第5ポンプ51を駆動させて水タンク5から第5連通路50を介して水(低濃度電解液)をバッファタンク3に供給させる。これによりバッファタンク3の電解液の濃度およびpHが調整される。このように放電モードにおいても、充電モードにおいても、バッファタンク3内の電解液の濃度(pH)はモードに適した適切領域に維持される。従って放電モードおよび/または充電モードにおいて、バッファタンク3から電池1に供給される電解液の濃度(pH)は適切な領域となる。
ところで、前述したように水不透過性のNASICON型をもつリチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックの層14が電池1において設けられている。参考文献によれば、このガラスセラミックは、条件によっては、強いアルカリ性をもつ電解液と接触することによりセラミックスが変質するおそれがあるとも言われている(参考文献:Satoshi Hasegawa et al., "Study on lithium/air secondary batteries Stability of NASICON-type lithium ion conducting glass ceramics with water", Journal of Power Sources, vol. 189(1), p371-377(2009))。
例えば、Li1+x+yAlxTi2-xP3-ySiyO12 (LATP)がガラスセラミックスの層14として用いられている場合、電池1の電解液については、pH >12 (0.01M 以上)のLiOH濃度にしないことが好ましいと考えられている。このため、電池1の電解液のLiOH濃度が高くなり、濃度センサ33で検知した電解液のpH値(濃度に相当)が所定値(例えばpH >12よりも増加したら、第1ポンプ22の駆動により電解液部12の高濃度の電解液を電池1の電解液部12の外部に速やかに取り出すと共に、第2ポンプ29の駆動によりバッファタンク3の低濃度の電解液を電解液部12に供給させることが好ましい。これにより強アルカリによってガラスセラミックスの層14が変質することが抑制される。電解液部12のpH値が所定値未満であれば、層14の変質が抑えられるため、第1ポンプ22を停止させることもできる。
本実施形態によれば、前述したように、分離機構24に送られたLiOHを含有する電解液は、水(低濃度電解液)と高濃度電解液とに分離され、それぞれ、水タンク5と濃縮タンク4に貯蔵される。そして、水タンク5の水を第5ポンプ51を用いて、バッファタンク3内に供給し、バッファタンク3内のLiOH濃度を低下させるように希釈させる。これによりバッファタンク3の電解液をpH12以下の所定のpH値に希釈させる。このように希釈した電解液を第2ポンプ29によりバッファタンク3から電池1の電解液部12に供給させる。この場合、LiOHを希釈し過ぎると、電解液部12の電解液のイオン導電率が過剰に低下するおそれがある。このため、制御装置100は、バッファタンク3の電解液のLiOH濃度をバッファタンク3の濃度センサ33(例えばpHセンサ)で常時または必要に応じて監視し、バッファタンク3の電解液の濃度が所定値未満(例えば、pH10相当未満=0.0001 M以下)のLiOH濃度にしないように制御することが好ましい。即ち、バッファタンク3の電解液の濃度が過剰に低下したら、第4ポンプ41を駆動させて濃縮タンク4の高濃度電解液(濃縮LiOHスラリー)をバッファタンク3に供給させることが好ましい。
(実施形態5)
図9及び図10は実施形態5を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。前記した実施形態と共通の機能を有する部位には、共通の名称および符号を用いる。水タンクは廃止されており、分離機構24で分離された水は、水タンクではなく、第7連通路43を介してバッファタンク3に供給される。更にポンプおよび連通路の数も節約されている。
図9は放電モードを示す。放電モードにおいて電解液部12の電解液に含まれるLiOHの濃度が高くなると、第1ポンプ22の駆動により、電池1の電解液部12の電解液は第1連通路21を介してバッファタンク3に取り出される。更にバッファタンク3の電解液は、第3ポンプ31の駆動により第3連通路30を介して入口24iから分離機構24に移動される。そして、分離機構24において電解液は、LiOHを高濃度で含有する高濃度電解液(濃縮LiOH)と水(低濃度電解液に相当)とに分離される。分離された水は、第7連通路43を介して重力によりバッファタンク3に移動してバッファタンク3の電解液を希釈させる。このように重力を利用するため、分離機構24はバッファタンク3よりも高い位置に設置することが好ましい。但し、第7連通路43に必要に応じて水搬送用のポンプを設けても良い。
バッファタンク3の電解液は、水で希釈されて適切な濃度とされた後、第2ポンプ29の駆動により電池1の電解液部12に供給される。これにより電解液部12の液位が確保されると共に、電解液部12の電解液の高濃度化が抑制される。従って、放電モードを長時間にわたり良好に実施でき、エネルギ密度の低下および出力低下が抑制される。なお、分離機構24で分離された高濃度電解液(濃縮LiOHスラリ)は、第6連通路42を介して重力により濃縮タンク4に移動して貯蔵される。このように重力を利用するため、分離機構24は濃縮タンク4よりも高い位置に設置することが好ましい。なお、放電モードが継続すると、濃縮タンク4における高濃度電解液について、LiOHの濃度が次第に高くなる。必要に応じて第6連通路42にポンプを設けても良い。このように放電モードでは、第1ポンプ22および第2ポンプ29が連続的にまたは必要に応じて駆動するため、電池1の電解液は電解液取出部20の第1ポンプ22により外部に取り出されると共に、低い濃度の電解液が電解液供給部27の第2ポンプ29により電池1に補充される。このように電解液は電解液部12およびバッファタンク3を循環することが好ましい。更に、放電モードでは第3ポンプ31が駆動する。放電モードでは第4ポンプ41は一般的には停止されているが、バッファタンクの電解液の濃度が過剰に低くなったときには駆動し、濃縮タンク4の高濃度電解液をバッファタンク3に供給させることにしても良い。
図10は充電モードを示す。充電モードにおいては、前述したように、電池1の電解液部12の電解液におけるLiOH濃度は、充電時間と共に次第に減少するため、電池1の電解液部12の電解液のイオン導電率が次第に低下し、充電効率が低下するおそれがある。そこで、充電モードでは、電池1の電解液部12の低濃度化した電解液は、第1ポンプ22の駆動により第1連通路21を介してバッファタンク3に取り出される。ここで、先回の放電モードにおいて濃縮タンク4に高濃度電解液が既に貯蔵されている。従って、充電モードでは、第4ポンプ41が駆動し、濃縮タンク4の高濃度電解液は第4連通路40を介してバッファタンク3に供給される。これによりバッファタンク3内の低濃度の電解液が高濃度電解液と混合して濃度が高くなる。濃度が高くなった電解液は、第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充され、電解液部12の電解液の体積および液位が確保される。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に低くなることが抑制される。従って、充電モードが継続するときであっても、電解液部12における電解液のイオン導電率の低下が抑制され、充電モードを長時間にわたり良好に実施できる。このように充電モードでは、第1ポンプ22、第2ポンプ29、第4ポンプ41が連続的にまたは必要に応じて駆動するため、電池1の電解液は電解液取出部20の第1ポンプ22により外部に取り出されると共に、濃度が高くなった電解液が電解液供給部27の第2ポンプ29により電池1に補充されるように循環する。なお、充電モードでは第3ポンプ31は一般的には停止されているが、必要に応じて駆動できる。
本実施形態においても、図10に示すように、制御装置100は、バッファタンク3の電解液のLiOH濃度をバッファタンク3の濃度センサ33(例えばpHセンサ)で常時または必要に応じて監視し、バッファタンク3の電解液のpH値(濃度)が所定値を強アルカリ側に超えないような、かつ、所定値未満とならないような、LiOHの濃度範囲を制御することが好ましい。即ち、バッファタンク3の電解液のpH値が過剰に高めとなり、濃度が過剰に上昇したら、第3ポンプ31を駆動させて分離機構24で水を生成させ、その水をバッファタンク3に供給させることが好ましい。この場合、強アルカリによってガラスセラミックスの層14が損傷することが抑制される。また、バッファタンク3の電解液のpH値が過剰に低めとなり、濃度が過剰に低下したら、第4ポンプ41を駆動させて濃縮タンク4の高濃度電解液(濃縮LiOHスラリー)をバッファタンク3に供給させることが好ましい。
更に、図9および図10に示すように、バッファタンク3は、バッファタンク3内の電解液の温度を調整する温度調整部35を有する。放電モードでは一般的に電池1の電解液の温度はバッファタンク3の電解液の温度よりも高い。このため電池1の電解液がバッファタンク3に取り出されると、バッファタンク3の電解液が昇温される。そこで温度調整部35によりバッファタンク3を冷却すると、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の沈殿化を促進させることができる。沈殿化により、バッファタンク3内の電解液の上澄液におけるLiOHの濃度を低下させることができる。あるいは、温度調整部35によりバッファタンク3が加熱されると、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の沈殿物を溶解させることができる。この場合、沈殿物の溶解により、バッファタンク3内の電解液におけるLiOHの濃度を高めることができる。温度調整部35としては、ラジエータ等の熱交換器、電気ヒータ、燃焼ヒータなどの公知のものを適宜採用できる。
(実施形態6)
図11は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態5と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。バッファタンク3は、バッファタンク3内の電解液の温度を調整する温度調整部35および濃度センサ33を有していない。電解液部12における電解液の液位及び温度の変化を予測できるため、電池1には、液面レベルセンサ18、温度センサ19も設けられていない。
(実施形態7)
図12および図13は実施形態7を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。図12に示すように、第1連通路21は三方弁26および第1分岐路27を介してバッファタンク3の入口3iに連通しており、切替弁として機能する三方弁26および第2分岐路25を介して分離機構24の入口24iに連通している。第1連通路21には、冷却機能をもつ熱交換器等の温度調整部35Eが設けられている。放電モードにおいて、電解液部12が過剰に昇温されているとき、電解液部12の電解液を第1連通路21を介してバッファタンク3に取り出すとき、第1連通路21を流れる電解液を温度調整部35Eで冷却できる。但し、条件によっては、温度調整部35Eを廃止することもできる。
第1ポンプ22が駆動するとき、三方弁26の第3ポート26cが閉鎖し、第1ポート26aおよび第2ポート26bが連通していれば、電池1の電解液部12の電解液は、第1連通路21および第1分岐路27を介して入口3iからバッファタンク3に供給される。第1ポンプ22が駆動するとき、三方弁26の第2ポート26bが閉鎖し、第1ポート26aおよび第3ポート26cが連通していれば、電池1の電解液部12の電解液は、第1連通路21および第2分岐路25を介して分離機構24に供給される。従って、放電モードおいて、電池1の電解液部12の電解液の濃度が過剰になっているときには、電解液部12の電解液を第1連通路21および第2分岐路25を介して直接的に分離機構24に供給させて、高濃度電解液と水とに分離させることができる。
図12は放電モードを示す。前述したように、放電モードにおいては電池1の放電反応の進行に伴い、電解液部12の電解質に含まれるLiOHの濃度が次第に高くなる。そこで、第1ポンプ22の駆動により電池1の電解液は、バッファタンク3に移動することなく、第1連通路21および第2分岐路25を介して入口24iから分離機構24に移動される。分離機構24において電解液は、LiOHを高濃度で含有する高濃度電解液と水(低濃度電解液に相当)とに分離される。分離された水は第7連通路43を介して水タンク5に移動して貯蔵される。分離された高濃度電解液は第6連通路42を介して濃縮タンク4に移動して貯蔵される。放電モードが継続すると、濃縮タンク4における高濃度電解液のLiOHの濃度が次第に高くなる。
更に放電モードでは、図12から理解できるように、第5ポンプ51が駆動するため、水タンク5の水は第5連通路50を介してバッファタンク3に供給される。これによりバッファタンク3内の高濃度の電解液が水により希釈される。希釈された電解液は第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に高くなることが抑制される。従って、放電モードを長時間にわたり良好に実施できる。バッファタンク3の電解液の流量が所定値よりも低下したら、三方弁26の第1ポート26aおよび第2ポート26bを開放させて電解液部12の電解液を第1分岐路27を介してバッファタンク3に供給させることが好ましい。
図12および図13に示すように、バッファタンク3は、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の濃度に関する物理量を測定する濃度センサ33を有する。濃度センサ33からの信号に基づいて、制御装置100は、バッファタンク3内の電解液におけるLiOH(放電生成物)の濃度を放電モードの適切領域に維持させる。濃度センサ33は例えばpHセンサで形成でき、バッファタンク3の電解液のpHを常時または必要に応じて監視する。この場合、放電モードにおいてバッファタンク3内の電解液の濃度(pH)が過剰に低いときには、制御装置100は、第4ポンプ41を駆動させて濃縮タンク4の高濃度電解液を第4連通路40を介してバッファタンク3に供給させる。これに対して、放電モードにおいてバッファタンク3内の濃度(pH)が過剰に高いときには、制御装置100は、第5ポンプ51を駆動させて濃縮タンク4から第5連通路50を介して水(低濃度電解液)をバッファタンク3に供給させる。これによりバッファタンク3の電解液の濃度およびpHが調整される。同様に、充電モードにおいてバッファタンク3内の電解液の濃度(pH)が過剰に低いときには、制御装置100は、第4ポンプ41を駆動させて濃縮タンク4の高濃度電解液を第4連通路40を介してバッファタンク3に供給させる。これに対して、充電モードにおいてバッファタンク3内の濃度(pH)が過剰に高いときには、制御装置100は、第5ポンプ51を駆動させて濃縮タンク4から第5連通路50を介して水(低濃度電解液)をバッファタンク3に供給させる。このように放電モードにおいても、充電モードにおいても、バッファタンク3内の電解液の濃度(pH)は適切領域に維持される。従ってバッファタンク3から電池1に供給される電解液の濃度(pH)は適切な領域となる。放電モードでは、第3ポンプ31は停止されているが、必要に応じて駆動させても良い。
図13は充電モードを示す。前述したように、電池1の充電反応の進行に伴い、電池1の電解液部12の電解液におけるLiOH濃度は、充電時間と共に次第に減少するため、電解液部12の電解液のイオン導電率が次第に低下し、充電効率が低下するおそれがある。そこで、充電モードでは、三方弁26の第1ポート26aおよび第2ポート26bを連通させると共に第3ポート26cを閉鎖させる。第1ポンプ22の駆動により電解液部12の低濃度化した電解液は、第1連通路21および三方弁26を介して入口3iからバッファタンク3に移動される。更に充電モードでは、第4ポンプ41が駆動するため、濃縮タンク4の高濃度電解液は第4連通路40を介してバッファタンク3に供給される。これによりバッファタンク3内の低濃度の電解液は高濃度電解液と混合し、高濃度となる。高濃度とされた電解液は、第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充され、電解液部12の電解液の体積および液面の液位が確保される。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に低くなることが抑制される。従って、電解液部12における電解液のイオン導電率の低下が抑制され、充電モードを長時間にわたり良好に実施できる。なお充電モードでは、第5ポンプ51は一般的には停止されているが、バッファタンク3の電解液の濃度が過剰に高くなったときには、必要に応じて駆動し、水タンク5の水をバッファタンク3に供給させても良い。電池1の充放電に伴い、水の消費と生成も起こるので、電解液の液面レベルは変動する。また、電流密度の変化等により、電池1内の温度は変動が起こるので、図12および図13に示すように、液面レベルセンサ18及び温度センサ19を電池1に設けることが好ましい。この場合、電池1内部の状況を常時または必要に応じてセンシングし、第1ポンプ22及び第2ポンプ29の単位時間あたりの搬送流量と流速を可変させ、電池1の電解液の液面レベルや電解液温度を制御することが好ましい。
(実施形態8)
図14は実施形態8を示す。本実施形態は上記した各実施形態と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。電解液調整機構2は、電解液取出部20と、分離機構を兼用するバッファタンク3と、電解液供給部27と、バッファタンク3とを有する。バッファタンク3は、電解液取出部20および電解液供給部27により電池1の電解液部12に連通すると共に、電解液を貯留可能である。電解液取出部20は、電池1の電解液部12とバッファタンク3とを連通させる第1連通路21と、第1連通路21に設けられた第1搬送源として機能する第1ポンプ22とを有する。電解液供給部27は、電池1の電解液部12とバッファタンク3とを連通させる第2連通路28と、第2連通路28に設けられた第2搬送源として機能する第2ポンプ29とを有する。
放電モードにおいては電池1の放電反応の進行に伴い、電解液部12の電解液に含まれるLiOHの濃度が次第に高くなる。そこで、第1ポンプ22の駆動により、電池1の電解液は、第1連通路21を介してバッファタンク3に移動される。バッファタンク3は電池1の外部に配置されているため、電解液部12よりも低温である。このためバッファタンク3に供給された電解液は、冷却され、放電生成物(電解質)の沈殿物を発生させると共に、沈殿化に伴い希釈化される。希釈化された電解液の上済液は、第2ポンプ29の駆動により、第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。放電モードにおいては、ポンプ22,29は連続的にまたは必要に応じて駆動する。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に高くなることが抑制される。従って、放電モードを長時間にわたり良好に実施できる。
充電モードにおいては、前述したように、電池1の充電反応の進行に伴い、電池1の電解液部12の電解液におけるLiOH濃度は、充電時間と共に次第に減少するため、電解液部12の電解液のイオン導電率が次第に低下し、充電効率が低下するおそれがある。バッファタンク3には前回の放電モードにおける高濃度の電解液が供給されている。そこで、充電モードでは、バッファタンク3の濃縮された電解液は、第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。充電モードにおいては、ポンプ22,29は連続的にまたは必要に応じて駆動する。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に低下することが抑制される。従って、放電モードを長時間にわたり良好に実施できる。
(実施形態9)
図15は実施形態9を示す。本実施形態は上記した実施形態8と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。図15に示すように、バッファタンク3は、バッファタンク3の電解液の温度を調整する温度調整部35を有することが好ましい。温度調整部35としては、ラジエータ、ヒータなどを適宜採用できる。図15に示すように、電池1の電解液部12の電解液の液面の液位を検知する液面レベルセンサ18、温度を検知する温度センサ19が設けられている。この場合、放電モードにおいて、制御装置100は、電池1の電解液の濃度が飽和濃度となる直前において、つまり、電解液12の温度が過剰に高いときには、第1ポンプ22を駆動させて電解液部12の電解液を第1連通路21を介して電池1の外部のバッファタンク3に取り出すとともに温度調整部35でバッファタンク3を冷却させる。温度調整部35によりバッファタンク3の電解液は冷却されると、沈殿物を発生させる。沈殿化に伴い、バッファタンク3の電解液は希釈化される。希釈化されて冷却された電解液の上済液は、第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。このようにして放電モードにおいてポンプ22および29を連続的にまたは必要に応じて駆動させ、電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液における温度およびLiOHの濃度が過剰に高くなることが抑制される。従って、放電モードを長時間にわたり良好に実施でき、電池1のエネルギ密度および出力が確保される。
充電モードにおいては、前述したように、電池1の充電反応の進行に伴い、電池1の電解液部12の電解液におけるLiOH濃度は、充電時間と共に次第に減少する。このため、電解液部12の電解液のイオン導電率が次第に低下し、充電効率が低下するおそれがある。そこで、制御装置100は、充電モードにおいて、第1ポンプ22を駆動させて電解液部12の低い濃度の電解液を第1連通路21を介して電池1の外部のバッファタンク3に取り出す。そして、温度調整部35によりバッファタンク3の電解液は加熱されるため、沈殿物を溶解させて電解液の濃度を高める。濃度が高くなった電解液は第2ポンプ29の駆動により第2連通路28を介して電池1の電解液部12に補充される。このようにして電池1の電解液部12における電解液の液面の液位を確保しつつ、電解液部12の電解液におけるLiOHの濃度が過剰に低下することが抑制される。従って、充電モードを長時間にわたり良好に実施できる。バッファタンク3は、バッファタンク3の濃度に関する物理量を検知する濃度センサ33とを有することが好ましい。濃度センサ33は例えばpHセンサで形成でき、バッファタンク3の電解液の濃度を常時または必要に応じて監視することが好ましい。
(その他)
本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。電解液搬送用としてポンプが設けられているが、コンプレッサとしても良く、場合によっては重力で電解液や水を搬送させても良い。電解液部12の電解液に溶解される支持電解質(放電生成物)としては、リチウム水酸化物(LiOH)に限らず、リチウム塩化物(LiCl)、リチウム硫化物(LiSO4)、Li硝酸物(LiNO3)、Liリンフッ化物(LiPF6)、Li過塩素酸物(LiClO4)、Liフッ化ホウ素(LiBF4)等のLi塩や同様なK塩、Na塩等や塩酸(HCl)、硫酸 (H2SO4)等でも良い。放電生成物は、電解液のpHにより異なり、電解液に中性〜アルカリ性の溶液を用いた場合には、リチウム水酸化物(LiOH)が生成する。一方、電解液に酸性の溶液を用いた場合、放電により生成したLiOHと電解液と中和反応が同時に起こり、例えば、電解液に塩酸(HCl)を用いた場合、LiOH + HCl → LiCl + H2Oの反応が、直ちに起こり、この場合、放電生成物として、LiClが生成する。正極11には酸素を含む空気を供給させるが、空気から分離させた酸素ガスまたは高濃度酸素ガスを供給させることとしても良く、従ってリチウム−酸素電池としても良い。負極10は金属リチウムを有するか、金属リチウムを供給させるものでも良い。液面レベルセンサ18、温度センサ19,濃度センサ33、温度調整部35は必要に応じて設ければ良い。本明細書から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1](i)負極活物質として金属を用いる負極と、正極活物質として酸素を用いる正極と、前記負極および前記正極の間に存在する電解液を有する電解液部とを含む電池と、(ii)前記電池の前記放電モードにおいて、放電生成物の濃度が増加した前記電解液部の前記電解液を前記電解液部の外部に取り出すと共に、前記電解液部の前記電解液よりも前記放電生成物の濃度が少ない電解液を前記電池の前記電解液部に補充させる電解液調整機構とを具備する金属−空気電池システム。金属としては、リチウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、鉄等が例示される。電解液はこれらの金属の水酸化物、塩化物、硫化物等が挙げられる。
1は電池、10は負極、11は正極、12は電解液部、14は層、15は反応防止層、16はリチウム保護膜、2は電解液調整機構、20は電解液取出部、21は第1連通路、22は第1ポンプ、24は分離機構、27は電解液供給部、28は第2連通路、29は第2ポンプ、3はバッファタンク、30は第3連通路、31は第3ポンプ、4は濃縮タンク、40は第3連通路、41は第4ポンプ、5は水タンク、50は第5連通路、51は第5ポンプを示す。

Claims (8)

  1. 負極活物質としてリチウムを用いる負極と、正極活物質として酸素を用いる正極と、前記負極および前記正極の間に存在する電解液を有する電解液部とを含む電池と、
    前記電池の放電モードにおいて、放電生成物の濃度が増加した前記電解液部の前記電解液を前記電解液部の外部に取り出すと共に、前記電解液部の前記電解液よりも前記放電生成物の濃度が少ない電解液を前記電池の前記電解液部に補充させる電解液調整機構とを具備するリチウム−空気電池システム。
  2. 請求項1において、前記電解液調整機構は、前記放電モードにおいて前記外部に取り出された前記電解液を充電モードにおいて前記電池の前記電解液部に供給させて前記電解液部の前記電解液の低濃度化を抑制させるリチウム−空気電池システム。
  3. 請求項1または2において、前記電解液調整機構は、
    前記放電モードにおいて放電生成物の濃度が増加した前記電解液部の電解液を前記電解液部の外部に取り出す電解液取出部と、
    前記電解液取出部で取り出された前記電解液を、前記放電生成物の濃度が高い高濃度電解液と、前記放電生成物の濃度が前記高濃度電解液よりも低い低濃度電解液とに分離させる分離機構と、
    前記分離機構で分離された前記低濃度電解液または前記低濃度電解液で希釈させた電解液を前記放電モードにおいて前記電池の前記電解液部に供給させる電解液供給部とを具備するリチウム−空気電池システム。
  4. 請求項2において、前記電解液調整機構は、前記放電モードにおいて放電生成物の濃度が増加した前記電解液部の電解液を前記電解液部の外部に取り出す電解液取出部と、
    前記電解液取出部で取り出された前記電解液を、前記放電生成物の濃度が高い高濃度電解液と、前記放電生成物の濃度が前記高濃度電解液よりも低い低濃度電解液とに分離させる分離機構と、
    前記分離機構で分離された前記高濃度電解液または前記高濃度電解液を混入させた電解液を前記充電モードにおいて前記電池の前記電解液部に供給させる電解液供給部とを具備するリチウム−空気電池システム。
  5. 請求項2〜4のうちの一項において、前記電解液調整機構は、前記電池の前記電解液部に連通すると共に前記電解液を貯留可能なバッファタンクを有しており、前記バッファタンクは、
    前記放電モードにおいて、放電生成物の濃度が増加した前記電解液部の前記電解液を取り出して一時的に貯留し、
    前記充電モードにおいて、放電生成物の濃度が前記電解液部の前記電解液よりも増加している前記電解液を電池の前記電解液部に直接または希釈させて供給させ、前記電解液部における前記電解液の過剰希釈を抑制するリチウム−空気電池システム。
  6. 請求項4において、前記バッファタンクは、前記バッファタンク内の電解液の温度を調整する温度調整部を有しており、温度調整により前記バッファタンク内の電解液における放電生成物の濃度を調整させるリチウム−空気電池システム。
  7. 請求項5または6において、前記バッファタンクは、前記バッファタンク内の前記電解液における放電生成物の濃度に関する物理量を測定するセンサを有しており、前記センサからの信号に基づいて、前記バッファタンク内の前記電解液における放電生成物の濃度を適切領域に維持させる制御装置100が設けられているリチウム−空気電池システム。
  8. 請求項4〜7のうちの一項において、前記電解液調整機構は、前記分離機構で分離された高濃度電解液を溜める高濃度タンクと、前記分離機構で分離された低濃度電解液を溜める低濃度タンクとを有しており、
    前記充電モードにおいて、前記高濃度タンクの前記高濃度電解液を前記電池の前記電解液部に直接または希釈させて供給させるリチウム−空気電池システム。
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