JP2011220522A - 漏れ流れを減少させるためのロータ及びアセンブリ - Google Patents

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Abstract

【課題】漏れ流れを減少させるためのロータ及びアセンブリを提供する。
【解決手段】蒸気タービン等の回転機械では、一連の静止及び回転部品を加圧流体が通過する。流体の漏れ流れを最小限に抑えることにより、機械の動作及び効率を向上させる。少なくとも1つのロータランド240には、流体が通過するときに渦を発生させる溝245が形成されている。この渦は、流体の軸方向流れに逆らっており、これが漏れ流れを減少させる。少なくとも1つのロータランド240上に形成された溝245の形状を、少なくとも1つのその他のロータランド240上に形成された溝245の形状とは異なるように構成することができる。
【選択図】図2

Description

本発明の1つ以上の態様は、例えば回転機械の、漏れ流れを減少させるためのロータ及びアセンブリに関する。
蒸気タービン及びガスタービン等の回転機械は、発電用途及び機械駆動用途に使用される。これらの機械は一般的に、複数のタービン及び/又は圧縮段を含む。運転時、加圧流体が、一連の静止部品及び回転部品を通過する。流体漏れを最小限に抑えることにより、回転機械の動作及び効率は改善される。
例えば蒸気タービンでは、蒸気が大気中に漏れるのを防止、或いは最小限に抑えるために、エンドパッキンシールを使用する。HP/IP(高圧/中圧)段からの漏れ流れを使用して、エンドパッキンを封止する。一例として、1000MWの機械は、蒸気の大気中への漏れ出しを防止するために、6つのエンドパッキンシールを使用していることを示す、6流LP段(6−flow LP stage)を有する。
蒸気タービンに広く用いられている従来のエンドパッキンシールアセンブリを、図1に示す。従来のエンドパッキンシールアセンブリ100は、傾斜歯120がステータ110上に形成され、スクエア歯140がロータ130上に形成された、「傾斜スクエア歯」タイプである。図1において、ロータ130の回転方向は、矢印170で示すように頁内を出入りする方向で、軸方向は矢印150で示すように水平であり、半径方向は矢印160で示すように頁上で垂直である。なお、蒸気等の流体は、ブロック矢印180で示すように右から左へと軸方向に移動することとする。ステータ歯120及びロータ歯140は、相対的に高圧側(右)から相対的に低圧側(左)への蒸気の漏れ流れを封止する。
漏れ流れが捕捉されないエネルギーということ、即ち無駄になるということは理解されよう。漏れ流れを減少させることができれば、これと同じ蒸気を使用してより多くの出力を生成できる。
米国特許出願公開第2009/0160135A1号
このように、エンドパッキンの封止における蒸気使用のいかなる削減も、タービンの全体的な性能を改善する。
本発明の非限定的な態様は、回転機械のロータに関する。ロータは、軸方向に相互に離間した複数のロータランドを有する。少なくとも1つのロータランドには、溝が形成されており、この溝は、流体の軸方向の流れに逆らうように、ロータ上を流体が流れるときに渦を発生させる形状を有している。
本発明の別の非限定的な態様は、回転機械用のアセンブリに関する。アセンブリは、ステータ及びロータを含む。ステータは、軸方向に相互に離間した複数の歯を含み、ロータは軸方向に相互に離間した複数のロータランドを含む。少なくとも1つのロータランドには溝が形成されており、この溝は、流体の軸方向の流れに逆らうように、ロータ上を流体が流れるときに渦を発生させる形状を有している。
これより、下記の図面に関連して本発明をより詳細に説明する。
蒸気タービンの従来のエンドパッキンシールアセンブリを示す図である。 回転機械のアセンブリの実施例を示す図である。 ステータ歯に整合するロータランドの一例を示す図である。 いずれのステータ歯にも整合しないロータランドの一例を示す図である。 ロータランド上に形成された例示的な溝形状を示す図である。 ロータランド上に形成された例示的な溝形状を示す図である。 ロータランド上に形成された例示的な溝形状を示す図である。 ステータ歯と対応のロータランドとの整合の例を示す図である。 ステータ歯と対応のロータランドとの整合の例を示す図である。 ステータ歯と対応のロータランドとの整合の例を示す図である。 回転機械のアセンブリの非限定的な実施例を示す図である。 回転機械のアセンブリの非限定的な実施例を示す図である。 回転機械のアセンブリの非限定的な実施例を示す図である。 回転機械のアセンブリの非限定的な実施例を示す図である。
ステータの歯とロータの歯を区別し易くするために、以下、ロータ歯をロータ「ランド」と称する。したがって、特に明記しない限り、「歯」は通常、ステータを指し、「ランド」は通常、ロータを指す。
流れ漏れには、2つの主な推進力−即ち、有効間隙及び軸流速度がある。有効間隙は一般的に、流体流れへの抵抗に関連する−即ち、間隙が小さいほど、流体流れへの抵抗が大きくなる。軸流速度は、どんな速さで蒸気が軸方向に流れて右の高圧側から左の低圧側へと出て行くかに関連する−即ち、軸流速度成分が速いほど、より多くの漏れ流れが生じる。このように、これらの推進力の1つ又は両方が減少すると、漏れ流れが減少し、効率が高くなる。
漏れ流れを減少させる一方法は、ステータとロータの間の間隙を縮小することである。回転機械用のアセンブリにおいて、最良の封止位置は、ステータ歯がロータランド上にあるとき、即ち、歯とこれに対応するランドが垂直に、即ち半径方向に整合しているときである。ここで、物理的に最小の間隙(又は単に「最小間隙」)が得られる。最悪の位置は、ランドが2つの歯の間にあるときである。この最小間隙を縮小して流れる蒸気を減少させることによって、流れ漏れを減少させることができる。これには、ステータ及びロータの形成時に、非常に小さな許容誤差が必要であるが、この分野には大きな進歩がなされている。
漏れ流れに対する別の手段は、タービンの運転時に流体の流れに動的に逆らうことである。上述のように、最も懸念されるのは、軸方向の漏れ流れである。この軸方向流れに対するいかなる抵抗も、有効間隙を減少させる。しかし、図1の従来のエンドパッキンシールアセンブリ100では、流体が最小間隙を一旦通過すると、ロータランド140が軸方向の流れに逆らうことはない。実際、流体は、望ましくない軸方向に流れるように案内される。
図2は、従来のエンドパッキンシールアセンブリの1つ以上の欠点を解決する、例えば回転機械用のアセンブリの非限定的な実施例を示す。アセンブリ200は、蒸気タービン向けのエンドパッキンシールアセンブリ、或いは多様な種類の回転機械用のアセンブリであってもよい。図示のように、アセンブリ200は、各々が先端225を有して軸方向に相互に離間した複数の傾斜歯220を備える、ステータ210を含む。ステータ歯のピッチは「Ps」で示される。アセンブリ200は、これもまた軸方向に離間した複数のランド240を備えるロータ230を含み、ロータランド240のピッチは「Pr」で示されている。軸方向、半径方向、及び回転方向は、それぞれ250、260、及び270で示す。特に明記又は図示されない限り、残りの図面の方向は図2と同じものと考える。この特定の実施例において、ステータ歯220の数は、ロータランド240よりも多い。しかしこれは必要条件ではない。
図1の従来のシールアセンブリ100とは異なり、アセンブリ200は、溝245が形成された少なくとも1つのロータランド240を含む。図3に示すように、溝245は深さ「d」を有し、ロータランド240は高さ「h」を有する。溝245及びランド240の深さ及び高さはいずれも、特に限定されない。非限定的な例として、深さdは20から40ミルの範囲であり、高さhは125ミルである。全ての間隙において、溝245(「スロット」とも称する)は、流体の軸方向流れに逆らう渦を発生させる、渦発生器として機能する。
図3も、歯220がランド240と整合しているときに歯220とランド240との間の間隙「c」が最小になることを示している。最小間隙は、ステータ歯220の先端225の半径方向高さとロータランド240の半径方向高さとの差として定義される。最小間隙において、溝245によって生じた渦は、空気力学的に流体の流れに逆らう。溝245の効果は、少なくとも部分的には、溝245によって生じた渦に起因して、流体の流れがロータランド240全体の圧力比の損失増加に直面することである。圧力比の損失によって、流れの速度が減少する。
流体の速度を減少させることに加えて、最小間隙において、渦は流体の軸流速度成分も変化させることが、シミュレーションから明らかになっている。換言すれば、流体の流れの軸方向成分は、回転方向の接線に沿って流れるように、及び/又は半径方向に流れるように変化する。
ロータランド240とステータ歯220との間の整合がないとき、即ちランド240が2つの歯220の間にあるときでさえも(図4参照)、溝245は依然として、流体流れに逆らって流体の流れの軸流速度成分を変化させることによって、漏れ流れを減少させる渦を発生させる。しかし、整合がないとき、軸流速度成分の変化は、漏れ流れの減少のより大きな要因になる。
ロータランド240がステータ歯220に対してどのような位置にあるかにかかわらず、各溝245によって、流体の流路を複雑にする渦が生じ、有効間隙が縮小し、流体の流れの軸流速度成分が変化する。つまり、各溝は、流体がロータ上を通過するときに流体の軸方向流れに逆らう渦を発生させる。
物理的に間隙が小さいと、通常は流体漏れの量が少なくなる。しかし、間隙の増大に伴って、漏れは急激に増加する。実験から、溝にランドのない封止アセンブリ(例えば図1)と比較して、溝にランドのある封止アセンブリ(例えば図2)の方が漏れ流れを減少できることがわかっている。シミュレーションから、様々な間隙において、漏れ流れの減少が8%を超えることがわかっているが、これは大幅な削減を表している。シミュレーションからは、溝の形状がこの削減量に影響することもわかっている。
図2に、溝245が全てのランド240上に形成された実施例を示す。これは好適であるものの、厳密に必要なわけではない。少なくとも1つのロータランド上に形成された溝を有することは、漏れ流れの削減に寄与するはずである。
また、図2、3、及び4は、幅広の「U」字形状を有するものとして溝245を示しているが、溝形状はこれに限定されず、長方形、正方形、曲線、半円形、台形、三角形等の形状も考えられる。長方形の溝の一例を、図5に示す。図6に示すように、溝形状がランドの中心について対称であることも、厳密に必要なことではない。この図では、ロータランドの軸方向幅620の中心を示す中心線610が引かれている。見てとれるように、溝(この例では台形)は中心線610について左右対称ではない。更に、溝の底部が厳密に水平である必要はない。図7に見てとれるように、溝の底部が傾斜していてもよい。図示していないが、溝が不規則的な形状を有してもよい。
これらの例は全て、渦の発生を促すいずれの形状も考えられることを示すべく提示されている。機械加工目的において、幾つかの形状がその他の形状よりも好ましいことはわかる。また、全ての溝が同じ形状である必要もない。幾つかの溝を長方形とし、また幾つかの溝をU字型とし、その他の溝を半円形とする等して、混ざり合った渦を発生させることができる。実際、幾つかのロータランドが溝を全く有していなくてもよい。繰り返しになるが、溝の機械加工を容易にするには、形状の数を最小化することが好ましいであろう。
図2に戻って、幾つかのランド240は、少なくとも1つのステータ歯220と垂直に(即ち、半径方向に)整合し、最小間隙を有しているが、その他のランド240は、2つの歯220の間にあることに留意されたい。ここで、整合とは単に、図8、9、及び10に示すように、ステータ歯220の先端225がロータランド240の軸方向幅620のいずれかの部分で垂直に重なっていることを指す。図8において、先端225は、ロータランド240の軸方向幅620の中心線610とほぼ整合している。図9では、ステータ歯先端225が中心線610の下流側でロータランド240に重なり、図10では、歯先端225が上流側でランド240に重なっている。
また、図2に示すように、ロータランドのピッチPrがステータのピッチPsと同じではないことが見てとれる。実験から、ロータピッチPrは、ステータ歯とロータランドとの間の所与の間隙「c」に対して、程度の異なる効果を有することがわかっている。このように、非限定的な実施例において、ロータピッチPrを、個別の最小間隙の設計に合わせて最適化することができる。
図2に示す実施例において、ロータランドの半径方向高さは全て、ほぼ等しい。しかし、多くの蒸気タービンにおいて、タービンの半径方向高さは、その軸方向長さの少なくとも一部に従って異なり得る。図11は、「階段状」シールを示した、アセンブリの非限定的な変形例を示す。この例において、少なくとも1つのロータランド240の半径方向高さは、その他のロータランド240の高さと異なる。図示していないが、ランド240の半径方向高さは、単調に増加又は減少する必要がないことに留意されたい。
上述の図面では、傾斜歯を備えるステータを示している。しかし、これは厳密な必要条件ではない。図12に示すような、歯が実質的に傾斜を有していないステータも考えられる。別の非限定的な変形例において、ロータピッチPrが異なっていてもよい。図2では、ロータピッチPrを一定のものとしている。しかし、これは厳密に必要なわけではない。図13において、2つの異なるロータピッチPr1及びPr2を示す。当然ながら、2つよりも多いことも考えられる。これらの非限定的な実施例は、ロータランドを一定の間隔及び/又は不規則な間隔で形成してもよいことを実証している。
図14は、アセンブリのまた別の非限定的な実施例を示す。この実施例において、ロータランド240の軸方向幅620は、ステータピッチPsよりも大きい。各ロータランド240がステータピッチよりも幅広のとき、全てのロータランド240は少なくとも1つのステータ歯220と整合することになる。しかし、図14では、いずれのランド240とも整合していない少なくとも1つのステータ220があることが見てとれる。
図示していないが、溝形状が異なるのと同様に、ロータランドの軸方向幅も異なっていてもよい。蒸気タービンのアセンブリについて説明したが、1つ以上の態様を多様な種類の回転機械に適用できることを、強調しておく。
本明細書では、最適な態様を含めた例を用いて本発明を開示し、これによってまた、当業者が、任意の装置又はシステムを作製及び使用すること、並びにこれに付随する任意の方法を実施することができる。本発明の特許請求の範囲は、請求項に明示されているが、当業者に想到可能なその他の例も含み得る。こうしたその他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、或いは請求項の文言と殆ど変わらない等価の構成要素を有する場合、特許請求の範囲に含まれることを意図している。
200 アセンブリ
210 ステータ
220 ステータ歯
225 歯先端
230 ロータ
240 ロータランド
245 溝

Claims (10)

  1. 回転機械用のロータ(230)であって、
    軸方向に相互に離間した複数のロータランド(240)を有し、
    少なくとも1つの前記ロータランド(240)に溝(245)が形成されており、
    前記溝(245)は、流体の軸方向流れに逆らうように、前記流体が前記ロータ(230)上を流れるときに渦を発生させる形状を有する、ロータ(230)。
  2. 少なくとも1つの前記ロータランド(240)上に形成された前記溝(245)の形状が、少なくとも1つのその他の前記ロータランド(240)上に形成された前記溝(245)の形状とは異なる、請求項1に記載のロータ(230)。
  3. 1つの前記ロータランド(240)の半径方向高さが少なくとも1つのその他の前記ロータランド(240)の半径方向高さとは異なる、請求項1に記載のロータ(230)。
  4. 回転機械用のアセンブリ(200)であって、
    軸方向に相互に離間した複数の歯(220)を備えるステータ(210)と、
    軸方向に相互に離間した複数のロータランド(240)を備えるロータ(230)と、を有し、
    少なくとも1つの前記ロータランド(240)に溝(245)が形成されており、
    前記溝(245)は、流体の軸方向流れに逆らうように、前記流体が前記ロータ(230)上を流れるときに渦を発生させる形状を有する、アセンブリ(200)。
  5. 1つの前記ロータランド(240)上に形成された前記溝(245)の形状が、少なくとも1つのその他の前記ロータランド(240)上に形成された前記溝(245)の形状とは異なる、請求項4に記載のアセンブリ(200)。
  6. 前記ロータランド(240)のピッチが、前記ロータランド(240)と前記ステータ歯(220)との間の最小間隙に基づいて調節される、請求項4に記載のアセンブリ(200)。
  7. 1つの前記ロータランド(240)の半径方向高さが、少なくとも1つのその他の前記ロータランド(240)の半径方向高さとは異なる、請求項4に記載のアセンブリ(200)。
  8. 少なくとも1つの前記ロータランド(240)が対応する前記ステータ歯(220)と整合し、前記対応する前記ステータ歯(220)の先端(225)が前記ロータランド(240)の軸方向幅と垂直に重なるようになっている、請求項4に記載のアセンブリ(200)。
  9. 少なくとも1つの前記ロータランド(240)がいずれの前記ステータ歯(220)とも整合しない、請求項8に記載のアセンブリ(200)。
  10. 少なくとも1つの前記ステータ歯(220)がいずれの前記ロータランド(240)とも整合しない、請求項8に記載のアセンブリ(200)。
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