JP5725848B2 - タービン - Google Patents
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Description
一方、反動タービンは、静翼の形状は動翼と同様であって、この静翼を通過した蒸気から受ける衝撃力と、動翼を通過する際に生じる蒸気の膨張に対する反動力とによって動翼が回転するものである。
このため、動翼や静翼の先端部の隙間から蒸気がリークすることを防止する手段として、シールフィンが従来用いられている。以下、例えば動翼の先端部にシールフィンを用いる場合について詳述する。
同図に示すように、蒸気タービン800のケーシング801には、動翼802の先端部であるシュラウドカバー803に向かって微小隙間H100を形成するようにシールフィン804が設けられている。このように構成することにより、動翼とケーシングとの間の隙間を最小限に抑え、蒸気のリークを抑えようとしている。
また、径方向最外側において、複数の溝の溝深さ、および複数の羽根の羽根高さがゼロとなるように設定されているので、段差面の端縁部からシールフィンに至る間の距離を一定にすることができる。このため、剥離渦の渦形状を安定させることができ、より効率よくダウンフローを発生させることが可能になる。
さらに、蒸気の周方向成分が、複数の溝や複数の羽根に衝突することによって回転力に変換され、ブレードと構造体とをさらに効率よく相対回転させることが可能になる。
よって、さらに高性能なタービンを提供することが可能になる。
(蒸気タービン)
次に、この発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る蒸気タービンを示す概略構成図である。
蒸気タービン1は、ケーシング10と、ケーシング10に流入する蒸気Sの量と圧力を調整する調整弁20と、ケーシング10の内方に回転自在に設けられ、動力を図示しない発電機等の機械に伝達する軸体30と、ケーシング10に保持された静翼40と、軸体30に設けられた動翼50と、軸体30を軸回りに回転可能に支持する軸受部60とを主たる構成としている。
軸受部60は、ジャーナル軸受装置61およびスラスト軸受装置62を備えており、軸体30を回転可能に支持している。
これら複数の静翼40からなる環状静翼群は、回転軸方向(以下、単に軸方向という)に間隔をあけて6つ形成されており、蒸気Sの圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して、下流側に隣接する動翼50側に案内するようになっている。
ここで、本実施形態では、軸体30、および仕切板外輪11が本発明における「構造体」となっている。また、静翼40、ハブシュラウド41、チップシュラウド51、および動翼50が本発明における「ブレード」となっている。そして、静翼40およびハブシュラウド41を「ブレード」とした場合は軸体30を「構造体」とし、一方、動翼50およびチップシュラウド51を「ブレード」とした場合は仕切板外輪11を「構造体」とする。なお、以下の説明においては、仕切板外輪11を「構造体」とし、動翼50を「ブレード」として説明する。
図2、図3に示すように、動翼50の先端部となるチップシュラウド51は、ケーシング10の径方向において仕切板外輪11と隙間Kを介して対向して配置されている。チップシュラウド51は、段差面53(53A〜53C)を有して仕切板外輪11側に突出する、ステップ部52(52A〜52C)を形成したものである。
各シールフィン12(12A〜12C)は、それぞれ対応するステップ部52(52A〜52C)との間に、微小隙間H(H1〜H3)を径方向に形成するように、下流側に向かうに従ってその長さが短くなるように形成されている。
すなわち、3つのキャビティC(C1〜C3)のうち、最上流側に位置する第1のキャビティC1は、環状溝111の底面111aと、上流側の内側面111bと、第1のシールフィン12Aと、チップシュラウド51の1段目のステップ部52Aとにより囲まれて形成される。
さらに、第2のキャビティC2よりも後流側の第3のキャビティC3は、環状溝111の底面111aと、第2のシールフィン12B、および第3のシールフィン12Cと、チップシュラウド51の2段目のステップ部52B、および3段目のステップ部52Cとにより囲まれて形成される。
次に、図1、図2、図4、図5に基づいて、蒸気タービン1の動作について説明する。
図4は、静翼と動翼との間の蒸気の挙動説明図である。
図1、図2、図4に示すように、調整弁20(図1参照)を開状態とすると、不図示のボイラから蒸気Sがケーシング10の内部空間に流入する。ケーシング10の内部空間に流入した蒸気Sは、各段における環状静翼群と環状動翼群とを順次通過する。この際には、圧力エネルギーが静翼40によって速度エネルギーに変換され、静翼40を経た蒸気Sのうちの大部分が同一の段を構成する動翼50間に流入し、動翼50により蒸気Sの速度・圧力エネルギーが回転エネルギーに変換されて、軸体30に回転が付与される。
φ<90°
となる。このため、相対流速Wも周方向成分を含んでいる。
このとき、段差面53Aには、複数の溝71が軸方向平面視で径方向に沿うように形成されているので、段差面53Aに衝突して形成される主渦Y1の流れ方向は、蒸気Sの相対流速Wよりも軸方向側に案内される。この結果、蒸気Sの相対流速W’が相対流速Wよりも軸方向に傾く(図4における破線参照)。
図5は、剥離渦の縮流効果について説明する図であって、図2における第1のシールフィンの先端部周辺を拡大した部分拡大断面図である。
同図に示すように、剥離渦Y2は、第1のシールフィン12Aとチップシュラウド51との間の微小隙間H1の直前位置で、径方向内向きの慣性力を有している。したがって、微小隙間H1を通って下流側へ漏れる蒸気Sは、剥離渦Y2の慣性力で押さえ込まれることにより、図5に1点鎖線で示すように径方向への幅が縮められる。このように、剥離渦Y2は、蒸気Sを径方向内向きに押し縮めることでその漏れ流れを低減させる効果、すなわち縮流効果を有している。
L/H1≒2・・・(1)
を満たすように設定されていることが望ましい。このように設定することで、剥離渦Y2のダウンフローにおける径方向内側に向く速度成分の最大位置が、シールフィン12Aの先端(内端縁)に一致しやすくなる。このような場合、ダウンフローが微小隙間H1の直前をより良好に通過するため、漏れ流れに対する縮流効果が最大になると考えられる。
したがって、上述の第1実施形態によれば、チップシュラウド51のステップ部52に形成されている段差面53(53A〜53C)のうち、最上流側に位置する段差面53Aに複数の溝71を形成し、これら溝71によって周方向成分を含む方向に向かって流れる主渦Y1を軸方向に向かって案内することができ、主渦Y1の流れ方向における軸方向成分を大きく設定することができる。このため、剥離渦Y2の流れ方向における軸方向成分も大きく設定することができ、剥離渦Y2によるダウンフローを効率よく発生させることが可能になる。よって、簡素な構造で微小隙間H1を通る蒸気Sの漏れ流れを効率よく低減することができ、高性能な蒸気タービン1を提供することができる。
さらに、蒸気Sの周方向成分が、複数の溝71に衝突することによって回転力に変換され、軸体30をさらに効率よく回転させることが可能になる。
次に、この発明の第2実施形態を、図1、図4、図5を援用し、図6に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の実施形態についても同様)。
図6は、第2実施形態を説明するための説明図であって、図3(図2のA矢視図)に対応している。
より詳しくは、各溝171は、軸方向断面略三角形状に形成されており、溝深さが径方向外側に向かうに従って、漸次浅くなるように設定されている点では、前述の第1実施形態の溝71と同様であるが、各溝171が軸方向平面視で径方向に対して交差するように形成されている点が前述の第1実施形態の溝71と異なる。すなわち、各溝171は、径方向外側に向かうに従って、静翼40から流出した蒸気Sの周方向成分の方向とは反対側に向かって傾斜している。
すなわち、静翼40から流出した蒸気Sの絶対流速Cz(図4参照)のうち、周方向成分をCθとし、チップシュラウド51の段差面53Aに衝突して主渦Y1を形成する蒸気S’の流速WL(図5参照)において、流れ方向の周方向成分をWLθとし、動翼50の回転速度をV(図4参照)としたとき、各溝171の傾斜角度は、
Cθ=V+WLθ=0・・・(2)
を満たすように設定される。
しかしながら、これに限られるものではなく、2段目のステップ部52Bの段差面53Bや3段目のステップ部52Cの段差面53Cにも複数の溝71,171を形成してもよい。
次に、この発明の第3実施形態を、図7、図8に基づいて説明する。
図7は、第3実施形態におけるチップシュラウドの上流側の概略構成図、図8は、図7のB矢視図である。
図7、図8に示すように、この第3実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態では1段目のステップ部52Aの段差面53Aに複数の溝71が形成されているのに対し、第3実施形態では1段目のステップ部52Aの段差面253Aに複数の羽根271が周方向に沿って並列配置されている点にある。
次に、この発明の第4実施形態を、図9に基づいて説明する。
図9は、第4実施形態におけるチップシュラウド周縁を示す概略構成図である。
図9に示すように、この第4実施形態と第1実施形態との相違点は、1段目のステップ部52の段差面53Aに形成された複数の溝371の形状にある。
すなわち、各溝371には、径方向外側に向かうに従って溝深さD2が浅くなるように第1弧状部371aが形成されている。さらに、各溝371の第1弧状部371aの先端には、上流側に向かって膨出するように第2弧状部371bが形成されている。
したがって、上述の第4実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、剥離渦Y2によるダウンフローを大きくすることができる。このため、微小隙間H1を通る蒸気Sの漏れ流れをさらに効率よく低減することができ、さらに高性能な蒸気タービン1を提供することができる。
次に、この発明の第5実施形態を、図10、図11に基づいて説明する。
図10は、第5実施形態におけるチップシュラウドの上流側の概略構成図、図11は、図10のC矢視図である。
図10、図11に示すように、この第5実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態のチップシュラウド51には、段差面53Aに複数の溝71が形成されているのに対し、第5実施形態では、チップシュラウド51に溝71が形成されておらず、3つのキャビティC(C1〜C3)のうち、最上流側に位置する第1のキャビティC1に、ターニングベーン471が設けられている点にある。
この場合、ターニングベーン471やチップシュラウド51等の熱伸び等を考慮し、舌片部474と動翼50とが接触しないように舌片部474を形成する。
次に、この発明の第6実施形態を、図12、図13に基づいて説明する。
図12は、第6実施形態におけるチップシュラウドの上流側の概略構成図、図13は、図12のD矢視図である。
図12、図13に示すように、この第6実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態のチップシュラウド51には、段差面53Aに複数の溝71が形成されているのに対し、第6実施形態では、チップシュラウド51に代わって環状溝111の上流側の内側面111bに複数の羽根571が設けられている点にある。
さらに、羽根571は、軸方向断面略三角形状に形成されており、羽根高さT2が径方向外側に向かうに従って漸次低くなるように設定されており、最外側で羽根高さT2がゼロになるように形成されている。すなわち、環状溝111の上流側の内側面111bは、羽根571に対応する部位が径方向外側に向かうに従って徐々に下流側に向かうように形成している。
なお、上述の第6実施形態では、環状溝111の上流側の内側面111bに複数の羽根571が設けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、羽根571に代わって複数の溝を形成してもよい。この場合、複数の溝を、軸方向断面略三角形状となるように形成することが望ましい。
例えば、上述の実施形態では、ケーシング10に設けられた仕切板外輪11を構造体とした。しかしながら、これに限られるものではなく、仕切板外輪11を設けずに、ケーシング10自体を直接本発明の構造体として、構成してもよい。すなわち、この構造体は、動翼50を囲繞するとともに、流体が動翼間を通過するように流路を規定するものであれば、どのような部材であってもよい。
そして、シールフィン12とステップ部52とは必ずしも1:1で対応させる必要はなく、これらの数については任意に設計することができる。
また、上述の実施形態では、最終段の動翼50や静翼40に本発明を適用したが、他の段の動翼50や静翼40に本発明を適用してもよい。
さらに、上述の実施形態では、本発明を蒸気タービン1に適用したが、ガスタービンにも本発明を適用することができ、さらには、回転翼のある全てのものに本発明を適用することができる。
10 ケーシング
11 仕切板外輪(構造体)
12(12A〜12C) シールフィン
30 軸体(構造体)
40 静翼(ブレード)
41 ハブシュラウド
50 動翼(ブレード)
51 チップシュラウド
52(52A〜52C) ステップ部
53(53A〜53C) 段差面
71,171,371 溝
111 環状溝
111b 内側面
271,571 羽根
471 ターニングベーン
472 案内板
D1,D2 溝深さ
H,H1〜H3 微小隙間
K 隙間
T1,T2 羽根高さ
Y1 主渦
Y2 剥離渦
Claims (3)
- ブレードと、
前記ブレードの先端部側に隙間を介して設けられると共に、前記ブレードに対して相対回転する構造体とを備えたタービンにおいて、
前記ブレードの前記先端部には、上流側に面する少なくとも1つの段差面を有して前記構造体側に突出するステップ部が設けられ、
前記構造体には、前記ステップ部に向かって延出し、このステップ部との間に微小隙間を形成するシールフィンが設けられ、
前記シールフィンの上流側には、周方向成分を含む方向に向かって流れる主渦を軸方向に向かって案内する主渦案内手段が設けられ、
前記主渦案内手段は、前記段差面のうちの少なくとも最上流側に位置する段差面に設けられ、周方向に沿って並列配置された複数の溝、および複数の羽根の何れか一方であって、
前記複数の溝、および前記複数の羽根は、径方向に沿うように形成され、
前記複数の溝の溝深さ、および前記複数の羽根の羽根高さは、径方向外側に向かうに従って漸次小さくなるように設定されており、
かつ、径方向最外側において、前記複数の溝の溝深さ、および前記複数の羽根の羽根高さがゼロとなるように設定されていることを特徴とするタービン。 - ブレードと、
前記ブレードの先端部側に隙間を介して設けられると共に、前記ブレードに対して相対回転する構造体とを備えたタービンにおいて、
前記ブレードの前記先端部には、上流側に面する少なくとも1つの段差面を有して前記構造体側に突出するステップ部が設けられ、
前記構造体には、前記ステップ部に向かって延出し、このステップ部との間に微小隙間を形成するシールフィンが設けられ、
前記シールフィンの上流側には、周方向成分を含む方向に向かって流れる主渦を軸方向に向かって案内する主渦案内手段が設けられ、
前記構造体には、前記ブレードの前記先端部に対応する位置に、前記隙間を確保する環状溝が形成されており、
前記主渦案内手段は、前記環状溝の上流側の内側面に設けられ、周方向に沿って並列配置された複数の溝、および複数の羽根の何れか一方であって、
前記複数の溝、および前記複数の羽根は、径方向に沿うように形成され、
前記複数の溝の溝深さ、および前記複数の羽根の羽根高さは、径方向外側に向かうに従って漸次小さくなるように設定されており、
かつ、径方向最外側において、前記複数の溝の溝深さ、および前記複数の羽根の羽根高さがゼロとなるように設定されていることを特徴とするタービン。 - 前記複数の溝、および前記複数の羽根は、径方向外側に向かうに従って前記主渦の周方向成分の方向とは反対側に傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタービン。
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