JP2011220196A - ダンパユニット及び、高圧ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 ダンパ部材の強度を向上させ、しかも、簡単な支持構造を有するダンパユニットを提供する。
【解決手段】 ダンパユニット32は、ダンパ部材35と、支持部材36とを備えている。ここで、ダンパ部材35の周縁には、上下方向に膨らんだ形状の離間部37が形成され、また、離間部37から再び近接方向へ折り曲げられ突き合わせる態様で溶接される溶接部38が形成されている。これにより、溶接部38は、従来の「おがみ接合」ではなく、いわゆる「突き合わせ接合」となっている。また、このようなダンパ部材35を採用することで、支持部材36は、離間部37を挟み込む挟持部40及び、ハウジングの凹部に係合する組付部41とで構成した。
【選択図】 図2
【解決手段】 ダンパユニット32は、ダンパ部材35と、支持部材36とを備えている。ここで、ダンパ部材35の周縁には、上下方向に膨らんだ形状の離間部37が形成され、また、離間部37から再び近接方向へ折り曲げられ突き合わせる態様で溶接される溶接部38が形成されている。これにより、溶接部38は、従来の「おがみ接合」ではなく、いわゆる「突き合わせ接合」となっている。また、このようなダンパ部材35を採用することで、支持部材36は、離間部37を挟み込む挟持部40及び、ハウジングの凹部に係合する組付部41とで構成した。
【選択図】 図2
Description
本発明は、内燃機関(以下「エンジン」という)に用いられる高圧ポンプ及び当該高圧ポンプに用いられるダンパユニットに関する。
エンジンに用いられる高圧ポンプは、カムシャフトの回転によって往復移動するプランジャを備えている。高圧ポンプの動作は、具体的に、プランジャが上死点から下死点へ移動するときにポンプ内の燃料ギャラリから加圧室へ燃料を吸入する吸入行程、プランジャが下死点から上死点へ向かうときに一部の低圧の燃料を加圧室から燃料ギャラリへ戻す調量行程、及び、調量弁を閉じてからさらに上死点へ向かうプランジャによって加圧室の燃料が加圧される加圧行程に大別される。
ここで、プランジャが動作すると、燃料圧力による脈動が生じる。例えば、エンジンが高速回転となり、カムシャフトが高速回転となると、プランジャが高速で往復移動する。なお、ここで「高速回転」とは、「単位時間あたりの回転数が高い状態」をいう。結果として、燃料ギャラリの内部の燃料圧力の変化が極端に大きくなり、大きな脈動が生じる。なお、脈動は、エンジン回転数だけに依存して起きるものではなく、種々の要因で起こり得る。
このような脈動は、燃料ギャラリに開口する燃料インレットなどへ伝播し、異音や配管振動などを生じさせる。そこで、従来、パルセーションダンパと呼ばれるダンパ部材を燃料ギャラリに配置して脈動を減衰させるようにした高圧ポンプが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
この種のダンパ部材は、例えば、金属製のダイアフラムの周縁部を溶接して形成される。このとき、径方向に突き出す周縁部を上下方向に重ねて溶接する「おがみ接合」が一般的である。
ところで、周縁部が「おがみ接合」になっていると、2枚のダイアフラムを離間させる方向へ力が加わった場合、接合部位には微小な亀裂が存在しており、応力が集中しやすく亀裂が伸展しやすいという問題がある。そのため、従来技術では、ダンパ部材の周縁部を上下方向から挟持する構造とし、また、溶接外径部が他部材に接触しないように接合部位を保護する構造となっている。
しかしながら、上述したような挟持構造をとるにあたり、十分な荷重で挟持するために燃料ギャラリの蓋や圧入部材、弾性部材等で押圧する構成となっているため、蓋の構造が制約される。また、上下方向からダンパ部材を挟持する場合、ダンパ部材の上側の当接位置と下側の当接位置とがずれると、ダンパに作用する荷重の作用する位置がずれることでダンパ部材を破損させることになりかねない。また、接合部位を保護する構造をとると、径方向の体格が大きくなる虞がある。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ダンパ部材の強度を向上させ、簡単な支持構造を有するダンパユニットを提供することにある。
上述した目的を達成するためになされた請求項1に記載のダンパユニットは、例えば、自動車の燃料を加圧して吐出する高圧ポンプに用いられる。ダンパユニットは、ダンパ部材と、支持部材とを備えている。
ダンパ部材は、ダイアフラムの周縁に、離間部及び溶接部を有する。ここで離間部は、ダイアフラムが上下方向に離間する部分である。また、溶接部は、離間部から近接方向へ折り曲げられて、突き合わせる態様で溶接される部分である。つまり、上下のダイアフラムが離間する部分を作り近接方向へ折り曲げることによって、ダイアフラムの周端縁を突き合わせるようにしたのである。この突き合わせられた部位が、接合部位となる。したがって、溶接部は、接合部位を含む周辺部分となっている。このような溶接部は、従来の「おがみ接合」ではなく、いわゆる「突き合わせ接合」となり、引っ張り応力に対する強度が大きくなる。したがって、たとえダイアフラムに対し離間する方向の荷重が作用したとしても、接合部位が破損しにくい。その結果、ダンパ部材の強度を向上させることができる。
そして、このようなダンパ部材を燃料ギャラリ内部に支持するのが、支持部材である。支持部材は、挟持部及び組付部を有する。挟持部は、ダンパ部材の離間部を挟み込む。また、組付部は、ハウジングに形成された燃料ギャラリの内壁に組み付けられる。たとえば組付部は、燃料ギャラリの内壁へ向かって突出する突出部であることが考えられる。
従来は、「おがみ接合」となっている周縁部を挟持するために、たとえば円筒形状の支持部材で上下方向から挟み込む構成となっており、蓋などを取り付けることによって周縁部を押圧する構成となっていた。
これに対し、本発明では、ダンパ部材の周縁を「突き合わせ接合」としたことで、支持部材は、離間部を挟み込む挟持部と、燃料ギャラリに対する組付部とで構成した。結果として、簡単な支持構造を有するダンパユニットが実現される。
挟持部は、請求項2に示すように、離間部に上下方向及び径方向に当接する金属製の部材であることが考えられる。このような挟持部は、たとえばプレス加工で形成されるクリップであるという具合である。このようにすれば、挟持部が簡単な構成で実現される。このとき、請求項3に示すように、溶接部の接合部位を回避する態様で挟持部が離間部に当接するようにするとよい。このようにすれば、接合部位が破損することを確実に防止できる。
このような金属製の挟持部を採用する場合、たとえば請求項4に示すように、組付部は、挟持部とともに、一枚の板状部材を折り曲げて形成することが考えられる。このようにすれば、組付部が簡単な構成で実現される。
一方、挟持部は、請求項5に示すように、離間部をモールドする樹脂製の部材であることが考えられる。このような挟持部は、離間部の全周をモールドするものとしてもよいし、あるいは、数ヶ所だけをモールドするものとしてもよい。このようにすれば、挟持部が簡単な構成で実現される。また、接合部位を適切に保護することができ、接合部位が破損することを確実に防止できる。
このような樹脂製の挟持部を採用する場合、たとえば請求項6に示すように、組付部を、挟持部から突出する金属製の部材とすることが考えられる。このようにすれば、組付部が簡単な構成で実現される。
組み付けという観点からは、ダンパユニットがサブアッセンブリとしてハウジングの燃料ギャラリに組み付けられるのが好ましい。そこで、請求項7に示すように、支持部材は、径方向に弾性変形することで組付部が燃料ギャラリの側壁に設けられた組付用凹部に係合することにより、ダンパ部材を燃料ギャラリ内部に支持することとしてもよい。このようにすれば、蓋で支持部材を押圧する構成と比べ、組み付け作業も容易となる。
以上は、ダンパユニットの発明として説明してきたが、本発明は、請求項8に示すような、ダンパユニットを備える高圧ポンプの発明としても実現できる。このような高圧ポンプにおいても、上述したダンパユニットと同様の効果が奏される。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。本形態の高圧ポンプは、車両に搭載されて用いられ、燃料タンクから低圧ポンプにて汲み上げられ燃料インレットから供給される燃料を加圧し、インジェクタの接続される燃料レールへ供給するものである。なお、燃料インレットの上流側には、低圧ポンプからの配管が接続される。
図1に示すように、高圧ポンプ1は、本体部10及び、燃料供給部30、調量弁部50、プランジャ部70、吐出弁部90を備えている。
本体部10は、外郭を構成するハウジング11を有する。このハウジング11の一部(図1中では上部)に、燃料供給部30が形成されている。
また、プランジャ部70は、燃料供給部30のちょうど反対側(図1中の下部)に設けられている。そして、プランジャ部70と燃料供給部30との中間付近に、燃料を加圧可能な加圧室12が形成されている。
さらにまた、燃料供給部30及びプランジャ部70の配列方向に直交する方向に、調量弁部50(図1中の左部)及び吐出弁部90(図1中の右部)が設けられている。
また、プランジャ部70は、燃料供給部30のちょうど反対側(図1中の下部)に設けられている。そして、プランジャ部70と燃料供給部30との中間付近に、燃料を加圧可能な加圧室12が形成されている。
さらにまた、燃料供給部30及びプランジャ部70の配列方向に直交する方向に、調量弁部50(図1中の左部)及び吐出弁部90(図1中の右部)が設けられている。
次に、燃料供給部30、及び、調量弁部50、プランジャ部70、吐出弁部90の構成について、詳細に説明する。
燃料供給部30は、燃料ギャラリ31を有する。燃料ギャラリ31は、ハウジング11の凹部13と蓋部14とによって囲まれた空間である。この燃料ギャラリ31には、ダンパユニット32が配設されている。ダンパユニット32は、2枚の金属製のダイアフラム33,34を接合してなる円形状のダンパ部材35と、周縁に設けられる複数の支持部材36とで構成されている。
次に、プランジャ部70について説明する。
図1に示すように、プランジャ部70は、プランジャ71、オイルシールホルダ72、スプリングシート73、及び、プランジャスプリング74などを備えている。
図1に示すように、プランジャ部70は、プランジャ71、オイルシールホルダ72、スプリングシート73、及び、プランジャスプリング74などを備えている。
プランジャ71は、ハウジング11の内部に形成されたシリンダ16に支持される大径部711と、大径部711よりも外径の小さな小径部712とを有している。小径部712は、オイルシールホルダ72に、その周囲を囲まれている。これら大径部711及び小径部712は、一体となっており、軸方向に往復移動する。
オイルシールホルダ72は、シリンダ16の端部に配置されており、プランジャ71の小径部712の外周に位置する基部721と、ハウジング11に圧入される圧入部722とを有している。
基部721は、その内部に、リング状のシール723を有している。シール723は、内周のテフロンリング(「テフロン」は登録商標)と、外周のOリングとからなる。このシール723により、プランジャ71の小径部712周囲の燃料油膜の厚さが調整され、エンジンへの燃料のリークが抑制される。
また、基部721は、その先端部分に、オイルシール725を有している。このオイルシール725によって、プランジャ71の小径部712の周囲のオイル油膜の厚さが規制され、オイルのリークが抑制される。
圧入部722は、基部721の周囲に円筒状に張り出す部分であり、円筒部分は縦断面コ字状となっている。一方、ハウジング11には、圧入部722に対応する凹部17が形成されている。これにより、オイルシールホルダ72は、圧入部722が凹部17の径外方向の内壁に圧接する態様で圧入される。
スプリングシート73は、プランジャ71の端部に配設されている。プランジャ71の端部は、図示しないタペットに当接する。タペットは、図示しないカムシャフトに取り付けられたカムにその外面を当接させ、カムシャフトの回転により、カムプロファイルに応じて軸方向に往復移動する。これにより、プランジャ71が軸方向に往復移動することになる。
プランジャスプリング74は、スプリングシート73に一端を係止され、他端をオイルシールホルダ72の圧入部722の深部に係止されている。これにより、プランジャスプリング74は、プランジャ71の戻しバネとして機能し、プランジャ71をタペットに当接させるよう付勢する。
かかる構成により、カムシャフトの回転に応じたプランジャ71の往復移動が実現される。このとき、プランジャ71の大径部711によって、加圧室12の容積変化が作り出される。
また、本形態では特に、プランジャ71の小径部712の周囲に、可変容積室75が形成されている。ここでは、ハウジング11のシリンダ16、及び、プランジャ71の大径部711の基端面(小径部712との段差面)、小径部712の外周壁、オイルシールホルダ72のシール723に囲まれた領域が、可変容積室75である。シール723が燃料のリークを抑制することは上述したが、シール723は、可変容積室75を液密にシールし、可変容積室75からエンジンへの燃料のリークを防止する。
可変容積室75は、圧入部722の径内方向において凹部17との間に形成される円筒状の円筒通路727、及び、凹部17の深部に形成される環状の環状通路728、ハウジング11内部に形成された容積側通路18(図中に破線で示す通路)を経由して、燃料ギャラリ31の底部に接続されている。
次に、調量弁部50について説明する。
調量弁部50は、図1に示すように、ハウジング11によって形成される筒部51、筒部51の開口を覆う弁部カバー52、及び、コネクタ53等を備えている。
筒部51は、略円筒状に形成され、内部が燃料通路55となっている。燃料通路55には、略円筒状のシートボディ56が配置されている。シートボディ56は、その内部に、バルブ57を摺動可能に支持している。バルブ57は加圧室12側へリフトするのであるが、このバルブ57のリフト量を規制するのが、ストッパ61である。また、燃料通路55は、加圧側通路58を介して、燃料ギャラリ31と連通している。
調量弁部50は、図1に示すように、ハウジング11によって形成される筒部51、筒部51の開口を覆う弁部カバー52、及び、コネクタ53等を備えている。
筒部51は、略円筒状に形成され、内部が燃料通路55となっている。燃料通路55には、略円筒状のシートボディ56が配置されている。シートボディ56は、その内部に、バルブ57を摺動可能に支持している。バルブ57は加圧室12側へリフトするのであるが、このバルブ57のリフト量を規制するのが、ストッパ61である。また、燃料通路55は、加圧側通路58を介して、燃料ギャラリ31と連通している。
また、バルブ57には、ニードル59が当接している。このニードル59は、上述した弁部カバー52を貫通し、コネクタ53の内部まで延びている。コネクタ53は、コイル531と当該コイル531へ通電するための端子532とを有している。コイル531の内側には、所定位置に保持される固定コア533、可動コア534、及び、固定コア533と可動コア534との間に介在するスプリング535が配置されている。ここで、可動コア534に固定されるのが、上述したニードル59である。つまり、可動コア534とニードル59とは一体になっている。
かかる構成により、コネクタ53の端子532を介して通電が行われると、コイル531にて発生する磁束によって固定コア533と可動コア534との間に磁気吸引力が発生する。その結果、可動コア534が固定コア533側へ移動し、これに伴ってニードル59が、加圧室12から離れる方向へ移動する。このときは、バルブ57の移動がニードル59にて規制されない。したがって、バルブ57がシートボディ56に着座可能となり、バルブ57の着座により、燃料通路55と加圧室12とが遮断される。
一方、コネクタ53の端子532を介した通電が行われないと、磁気吸引力は発生しないため、スプリング535によって、可動コア534が加圧室12側へ移動する。これにより、ニードル59が加圧室12に近づく方向へ移動する。その結果、ニードル59によってバルブ57の移動が規制され、バルブ57が加圧室12側に保持される。このときは、バルブ57がシートボディ56から離座することとなり、燃料通路55と加圧室12とが連通する。
次に、吐出弁部90について説明する。
吐出弁部90は、図1に示すように、ハウジング11にて形成される円筒状の収容部91を有している。この収容部91にて形成される収容室911に、吐出弁92、スプリング93、及び、係止部94が収容されている。また、収容室911の開口部分が、吐出口95となっている。吐出口95とは反対側の収容室911の深部には、弁座が形成されている。
吐出弁部90は、図1に示すように、ハウジング11にて形成される円筒状の収容部91を有している。この収容部91にて形成される収容室911に、吐出弁92、スプリング93、及び、係止部94が収容されている。また、収容室911の開口部分が、吐出口95となっている。吐出口95とは反対側の収容室911の深部には、弁座が形成されている。
吐出弁92は、スプリング93の付勢力と図示しない燃料レール側からの圧力とにより、弁座に当接する。これにより、吐出弁92は、加圧室12の燃料の圧力が低いうちは、燃料の吐出を停止する。一方、加圧室12の燃料の圧力が大きくなってスプリング93の付勢力と燃料レール側からの圧力とに打ち勝つと、吐出弁92が吐出口95の方向へ移動する。これにより、収容室911へ流入した燃料は、吐出口95から吐出される。
以上が高圧ポンプ1の構成であるが、本形態では、上述のダンパユニット32の構成に特徴を有している。そこで次に、ダンパユニット32の構成について、詳細に説明する。ダンパユニット32がダンパ部材35と支持部材36とで構成されることは既に述べた。
ダンパ部材35は、図2に示すように、周縁に向かうに従いダイアフラム33,34が一度近接したのち離間し、その周縁に、上下方向に膨らんだ形状の離間部37を有している。また、離間部37から再び近接方向へ折り曲げられ突き合わせる態様で溶接される溶接部38を有している。溶接部38は、ダイアフラム33,34が相互に接合された接合部位39を含む周辺部分である。
ここでダイアフラム33,34の構造について、図3を参照し、詳細に説明しておく。
ダイアフラム33,34は、作動部33a,34a、凹溝部33b,34b、凸縁部33c,34c及び溶接部33d,34dを有している。ダイアフラム33,34は、腐食性物質に侵されない弾性率の高い金属板のプレス加工により形成されている。
ダイアフラム33,34は、作動部33a,34a、凹溝部33b,34b、凸縁部33c,34c及び溶接部33d,34dを有している。ダイアフラム33,34は、腐食性物質に侵されない弾性率の高い金属板のプレス加工により形成されている。
作動領域となる作動部33a,34aは、中央部分の略円板状の円板部分及びこの円板部分の周囲に形成される曲面部分を有し、略ドーム状に形成されている。
凹溝部33b,34bは、縦断面が密閉空間300側に凹む円弧状に形成され、作動部33a,34aの外周側に環状に設けられている。
凸縁部33c,34cは、縦断面が密閉空間300の外側に突出する円弧状に形成され、凹溝部33b,34bの外周側に環状に設けられている。
凸縁部33c,34cは、縦断面が密閉空間300の外側に突出する円弧状に形成され、凹溝部33b,34bの外周側に環状に設けられている。
溶接部33d,34dは、凸縁部33c,34cの外周側から互いに近接するように延び、端部を突き合わせる態様で溶接されている。これにより、接合部位39が形成されることになる。
このとき、凸縁部33c,34cが上記離間部37を形成し、溶接部33d,34dが上記溶接部38を形成することになる(図2参照)。このとき、溶接により形成される密閉空間300には、エンジン作動に必要な最低燃料圧力以上で燃料に発生するベーパ発生を抑制する圧力に対応できる封入圧力、例えば300kPaの気体が封入される。
なお、作動部33a,34aの曲面部分の曲率半径をR1、凹溝部33b,34bの曲率半径をR2、凸縁部33c,34cの曲率半径をR3とすると、R1>R2>R3となっている。
また、溶接された後の作動部33a,34aの高さをH1、凹溝部33b,34bの高さをH2、凸縁部33c,34cの高さをH3とすると、H1>H3>H2となっている。ここでH2>0となるように形成されている。これにより、凹溝部33b,34bは、軸方向に弾性変形可能である。
支持部材36は、断面略「コ」字状の挟持部40と、ハウジング11の形成する燃料ギャラリ31の組付用凹部31aに係合する組付部41を備えている。
この支持部材36は、図4に示すように、ダンパ部材35の周方向に等間隔で複数(本形態では5つ)設けられている。ここで、組付部41は、挟持部40とともに、一枚の板状金属部材を折り曲げることで形成されている。このとき、一つの支持部材36の周方向の両側が挟持部40となっており、挟持部40に挟まれた部分が組付部41となっている。なお、支持部材36は、板状金属部材を折り曲げることで形成されることから、弾性変形可能となっている。
図2に戻って、挟持部40の「コ」字状部分の内側に離間部37が収容されるよう挟持部40は、径方向外側から離間部37に取り付けられている。このとき、「コ」字状部分の内壁が、上下方向及び径方向から離間部37に当接する。かかる構成により、離間部37の上下方向及び径方向外側への移動が規制される。
なお、図2では接合部位39が「コ」字状部分の内壁に当接しているように見えるが、接合部位39を保護するという観点から、接合部位39が僅かに径方向内側へ凹むように溶接部38を形成してもよい。かかる構成により、接合部位39の保護が図られる。
また、挟持部40は、「コ」字状部分の先端に、爪部42,43を有している。この爪部42,43は、径方向内側から離間部37に当接する。かかる構成により、離間部37の径方向内側への移動が規制されるとともに、支持部材36が離間部37から脱落することを防止する。
一方、組付部41は、挟持部40から径方向斜め上へ突出する上突出部44及び径方向斜め下へ突出する下突出部45を有している。このような突出部44,45に対応するように、燃料ギャラリ31は、その側壁となる部分に、組付用凹部31aを有している。
そして、組み付ける場合には、最初に、ダンパ部材35の所定箇所に支持部材36を径方向外側から取り付ける。ここでは、主として挟持部40が上下方向に離間するように弾性変形し、所定位置まで押し込まれると、離間部37を挟み込む形で当接する。これにより、ダンパユニット32は、サブアッセンブリとして形成される。次に、ダンパユニット32をハウジング11の凹部13へ押し込むと、主として組付部41が弾性変形し、所定位置まで押し込まれると組付部41が組付用凹部31aに係合する。
以上詳述したように、本形態では、ダンパユニット32が、ダンパ部材35と、支持部材36とを備えている。
ここで、ダンパ部材35の周縁には、上下方向に膨らんだ形状の離間部37が形成され、また、離間部37から再び近接方向へ折り曲げられ突き合わせる態様で溶接される溶接部38が形成されている。これにより、溶接部38は、従来の「おがみ接合」ではなく、いわゆる「突き合わせ接合」となり、引っ張り応力に対する強度が大きくなる。したがって、たとえダイアフラム33,34に対し離間する方向の荷重が作用したとしても、接合部位39が破損しにくい。その結果、ダンパ部材35の強度を向上させることができる。
ここで、ダンパ部材35の周縁には、上下方向に膨らんだ形状の離間部37が形成され、また、離間部37から再び近接方向へ折り曲げられ突き合わせる態様で溶接される溶接部38が形成されている。これにより、溶接部38は、従来の「おがみ接合」ではなく、いわゆる「突き合わせ接合」となり、引っ張り応力に対する強度が大きくなる。したがって、たとえダイアフラム33,34に対し離間する方向の荷重が作用したとしても、接合部位39が破損しにくい。その結果、ダンパ部材35の強度を向上させることができる。
特に、図3に示したように、本形態のダンパ部材35は、燃料ギャラリ31内部の燃料の脈動に伴い作動部33a,34aが弾性変形するのであるが、このとき、上述したように作動部33a,34aの曲面部分の曲率半径R1が最も大きくなっている。このため、作動部33a,34aが弾性変形するとき、剛性の低い作動部33a,34aの曲面部分で最も振動が吸収される。これにより、溶接部33d,34dへの応力の作用が抑制される。
また、凸縁部33c,34cの曲率半径R3を最も小さくしたことにより、凸縁部33c,34cの剛性が最も高くなり、溶接部33d,34dの径方向の変形が抑制される。したがって、接合部位39に過大な応力が作用することを抑制できる。
さらにまた、ダンパ部材35の各部の高さがH1>H3>H2の関係を満たすことにより、燃料ギャラリ31の圧力が高くなると、凹溝部33b,34bが互いに近接して当接する。これにより、作動部33a、34aの曲面部分が大きく弾性変形することになり、凸縁部33c,34cの弾性変形が抑制される。その結果、溶接部33d,34dが径方向に変形することが抑制され、接合部位39に応力が作用することを抑制できる。
また、H1>H3の関係により、密閉空間300からの溶接部33d,34dの受圧面積は、作動部33a,34aの受圧面積に比べて小さくなる。これにより、溶接部33d,34dに対し径外方向に作用する荷重を小さくすることができる。その結果、接合部位39に微小な亀裂が生じることを抑制することができる。
また、このようなダンパ部材35を採用したことで、本形態では、支持部材36を、離間部37を挟み込む挟持部40及び、燃料ギャラリ31の組付用凹部31aに係合する組付部41とで構成した。これによって、ダンパユニット32が簡単な構造で実現される。
また、本形態では、挟持部40が、離間部37に上下方向及び径方向に当接する金属製の部材となっている。これにより、挟持部が簡単な構成で実現できる。さらにまた、本形態では、組付部41が、挟持部40とともに、一枚の板状部材を折り曲げて形成されている。これにより、組付部41も簡単な構成で実現できる。
また、本形態では、組み付けという観点から、ダンパユニット32がサブアッセンブリとしてハウジング11の燃料ギャラリ31に組み付けられる。つまり、最初に、ダンパ部材35の所定箇所に支持部材36を径方向外側から取り付ける。次に、ダンパユニット32をハウジング11の凹部13へ押し込むと、組付部41が組付用凹部31aに係合する。これにより、蓋部14で支持部材を押圧する構成と比べ、組み付け作業も容易となる。また、蓋部14の形状に制約がなくなる。たとえば本形態では、蓋部14の中央部分を外側へ膨らめて剛性を高くし、放射音を抑制している。
なお、本形態の高圧ポンプ1が特許請求の範囲の「高圧ポンプ」を構成し、ダンパユニット32が「ダンパユニット」を構成し、ダンパ部材35が「ダンパ部材」を構成し、支持部材36が「支持部材」を構成する。また、離間部37が「離間部」を構成し、溶接部38が「溶接部」を構成し、接合部位39が「接合部位」を構成する。さらにまた、挟持部40が「挟持部」を構成し、組付部41が「組付部」を構成し、組付用凹部31aが「組付用凹部」を構成する。
以上、本発明は、上述した形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施可能である。
(イ)たとえば図5に示すようなダンパユニット320を採用してもよい。上記形態とは、支持部材360の構成が異なっている。この支持部材360は、挟持部400及び組付部410を有している。ここで、挟持部400は、上下方向に離間部37を挟み込む「ニ」字状部分を有している。この「ニ」字状部分から径方向外側へ上突出部440及び、下突出部450が形成されている。「ニ」字状部分の径方向内側には、上記形態と同様の爪部420,430が形成されている。
そして、離間部37の移動を径方向外側から規制するのが、折曲部460,470である。折曲部460,470は、互いに近接する方向へ折り曲げられ、離間部37に対し径方向外側から斜めに当接する。これを周方向に視ると、支持部材360の両側に「ニ」字状部分が形成されており、「ニ」字状部分に挟まれた部分に折曲部460,470が形成されている。
このような支持部材360を採用したダンパユニット320であっても、上記形態と同様の効果が奏される。加えて、離間部37の径方向外側には、折曲部460,470が斜めに当接する構成であるため、溶接部38の接合部位39を、より確実に保護することができる。
なお、ここでは、ダンパユニット320が「ダンパユニット」を構成し、支持部材360が「支持部材」を構成し、挟持部400が「挟持部」を構成し、組付部410が「組付部」を構成する。
(ロ)また例えば図6に示すようなダンパユニット321を採用してもよい。上記形態とは、支持部材361の構成が異なっている。この支持部材361は、挟持部401及び組付部411を有している。ここで、挟持部401は、離間部37をモールドする樹脂製の部材となっている。支持部材361は、上記形態の支持部材36と同様、たとえばダンパ部材35の複数箇所に設けられる。もっとも、ダンパ部材35の全周をモールドするようにしてもよい。このとき、組付部411は、挟持部401に埋設された埋設部451及び挟持部401から突出する上突出部441で構成されている。
このような支持部材361を採用したダンパユニット321であっても、上記形態と同様の効果が奏される。加えて、挟持部401及び組付部411が簡単な構成で実現できるとともに、接合部位39を適切に保護することができ、接合部位39が破損することを確実に防止できる。
なお、ここでは、ダンパユニット321が「ダンパユニット」を構成し、支持部材361が「支持部材」を構成し、挟持部401が「挟持部」を構成し、組付部411が「組付部」を構成する。
(ハ)上記形態では、作動部33a,34aの高さをH1、凹溝部33b,34bの高さをH2、凸縁部33c,34cの高さをH3としたとき、H1>H3>H2となっていた。これに対し、図7に示すように、凸縁部33c,34cの高さが作動部33a,34aの高さよりも大きくなる構成を採用してもよい。すなわち、H3>H1>H2としてもよい。このようにしても、上記と同様の性能が発揮されることが実験的に確認された。
1:高圧ポンプ、10:本体部、11:ハウジング、12:加圧室、13:凹部、14:蓋部、15:底部、16:シリンダ、17:凹部、18:容積側通路、30:燃料供給部、31:燃料ギャラリ、31a:組付用凹部、32:ダンパユニット、33,34:ダイアフラム、33a,34a:作動部、33b,34b:凹溝部、33c,34c:凸縁部、33d,34d:溶接部、35:ダンパ部材、36:支持部材、37:離間部、38:溶接部、39:接合部位、40:挟持部、41:組付部、42,43:爪部、44:上突出部、45:下突出部、50:調量弁部、51:筒部、52:弁部カバー、53:コネクタ、531:コイル、532:端子、533:固定コア、534:可動コア、535:スプリング、55:燃料通路、56:シートボディ、57:バルブ、58:加圧側通路、59:ニードル、61:ストッパ、70:プランジャ部、71:プランジャ、711:大径部、712:小径部、72:オイルシールホルダ、721:基部、722:圧入部、723:シール、725:オイルシール、727:円筒通路、728:環状通路、73:スプリングシート、74:プランジャスプリング、75:可変容積室、90:吐出弁部、91:収容部、911:収容室、92:吐出弁、93:スプリング、94:係止部、95:吐出口、320,321:ダンパユニット、360,361:支持部材、400,401:挟持部、410,411:組付部、420,430:爪部、440,442:上突出部、442:上突出部、450:下突出部、451:埋設部、460,470:折曲部、300:密閉空間
Claims (8)
- ダイアフラムの周縁に、上下方向に離間する離間部、及び、当該離間部から近接方向へ折り曲げられ突き合わせる態様で溶接される溶接部を有するダンパ部材と、
前記離間部を挟み込む挟持部、及び、ハウジングに形成された燃料ギャラリの内壁に組み付けられる組付部を有し、前記ダンパ部材を前記燃料ギャラリ内部に支持する支持部材と、
を備えることを特徴とするダンパユニット。 - 請求項1に記載のダンパユニットにおいて、
前記挟持部は、離間部に上下方向及び径方向に当接する金属製の部材であること
を特徴とするダンパユニット。 - 請求項2に記載のダンパユニットにおいて、
前記挟持部は、前記溶接部の接合部位を回避する態様で前記離間部に当接すること
を特徴とするダンパユニット。 - 請求項2又は3に記載のダンパユニットにおいて、
前記組付部は、前記挟持部とともに、一枚の板状部材を折り曲げることで形成されていること
を特徴とするダンパユニット。 - 請求項1に記載のダンパユニットにおいて、
前記挟持部は、前記離間部をモールドする樹脂製の部材であること
を特徴とするダンパユニット。 - 請求項5に記載のダンパユニットにおいて、
前記組付部は、前記挟持部から突出する金属製の部材であること
を特徴とするダンパユニット。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のダンパユニットにおいて、
前記支持部材は、径方向に弾性変形することで前記組付部が前記燃料ギャラリの側壁に設けられた組付用凹部に係合することにより、前記ダンパ部材を前記燃料ギャラリ内部に支持すること
を特徴とするダンパユニット。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のダンパユニットを備える高圧ポンプ。
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