JP2011219373A - ヘチマ及び一酸化窒素産生物質を含有する飲食物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヘチマ及び/又はその加工物と一酸化窒素(NO)産生物質とを併用することにより、それらの相乗的な生理的効果によって、生体細胞の水透過機能を亢進させて、ドライマウス、ドライアイ、ドライスキンなどのドライシンドロームの症状を改善する。特に、肌の潤いの改善効果に優れている。一酸化窒素(NO)産生物質としては、シトルリン、アルギニン、アルギニノコハク酸、又はこれらの塩であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
[1]ヘチマ及び/又はその加工物と、一酸化窒素(NO)産生物質とを含有する飲食物。
[2]前記ヘチマが、食用へちま(Luffa aegyptiaca)、又はへちま(Luffa cylindrica)である[1]記載の飲食物。
[3]前記一酸化窒素(NO)産生物質が、シトルリン、アルギニン、アルギニノコハク酸、又はこれらの塩である[1]又は[2]記載の飲食物。
[4]前記ヘチマ及び/又はその加工物を0.25〜62質量%含有し、前記一酸化窒素(NO)産生物質を0.5〜38質量%含有する[1]〜[3]のいずれか1つに記載の飲食物。
[5]ドライシンドロームの改善のために用いられる[1]〜[4]のいずれか1つに記載の飲食物。
[6]ドライシンドロームの改善が肌の潤いの改善である[5]記載の飲食物。
食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物と、シトルリンとを経口的に併用摂取し、あるいは一定時間口腔内に留まるようにして唾液の分泌経路に直接作用させることにより、ドライマウス改善効果を得ることができる。経口的に摂取する場合の摂取量は、大人1日あたり食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物を、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で100〜5000mg程度、且つ、シトルリンを200〜3000mg程度とすることが好ましい。もっとも、飴、トローチ、チューアブル錠、マウスウォッシュ等の口腔用外用剤に製したものを一定時間口腔内に留まるようにして唾液の分泌経路に直接作用させるようにしてもよい。その適用量は、飴、トローチ、チューアブル錠等の場合には、その組成物に食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物を、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で0.25〜62質量%程度含有させ、且つ、シトルリンを0.5〜38質量%程度含有させて適用することが好ましい。また、マウスウォッシュ等の場合には、その組成物に食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物を、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で0.005〜35質量%程度含有させ、且つ、シトルリンを0.01〜20質量%程度含有させて適用することが好ましい。
食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物と、シトルリンとを経口的に併用摂取し、あるいは眼用外用剤として点眼投与することにより、涙液の分泌が促進され、ドライアイの改善効果を得ることができる。経口的に摂取する場合の摂取量は、大人1日あたり食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物を、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で100〜5000mg程度、且つ、シトルリンを200〜3000mg程度とすることが好ましい。点眼剤等の眼用外用剤として点眼投与する場合の適用量は、1日1〜6回程度の使用で1回の使用に際して、食用へちまの可食部の抽出物であって眼用外用剤に適する形態に製したものを、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で100〜5000mg程度、且つ、シトルリンを0.005〜10mg程度を適用することが好ましい。
食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物と、シトルリンとを経口的に併用摂取し、あるいは皮膚外用剤として皮膚に塗布することにより、肌の潤いを増大させて、ドライスキン改善効果を得ることができる。経口的に摂取する場合の摂取量は、大人1日あたり食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物を、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で100〜5000mg程度、且つ、シトルリンを200〜3000mg程度とすることが好ましい。また、軟膏剤、クリーム剤、ジェル、パック、化粧水、化粧料等の皮膚用外用剤に製したものを一定時間適用箇所に留まるようにして皮膚に直接作用させるようにしてもよく、その場合の適用量は、食用へちまの可食部の凍結乾燥物又はその抽出物を、食用へちまの可食部の乾燥固形物換算で単位面積あたり一回1.0〜50 mg/cm2程度、且つ、シトルリンを2.5〜30 mg/cm2程度を適用することが好ましい。
食用へちまの摂取が肌の潤いにどのような効果を及ぼすかを調べた。
(1)試験サンプルの調製
肌評価試験を行うための試験サンプルとして、食用へちま凍結乾燥物(食用へちま可食部、沖縄産)を乳鉢で粉砕して、その0.5g又は1.Ogとデキストリンとを混合し、それぞれ計3gの粉末状組成物を調製した。また、デキストリン3gをプラセボとした。表1には各試験サンプルの配合と肌評価試験の試験群との関係を示す。
健康な男女13名のボランティアを、食用へちま低用量(0.5g)群4名、食用へちま高用量(1.Og)群5名、プラセボ群4名に群分けし、試験サンプル又はデキストリン(プラセボ群)を、1日1回、5日間、水と共に服用してもらい、肌水分合量への効果を調べた。試験は単盲検並行群間比較にて行った。また、肌水分合量の測定は、試験開始前と試験終了後に、肌水分含量測定器(「Triplesense」株式会社モリテックス製)で前腕部の肌水分合量(100段階評価)を測定することにより行い、試験前の水分値を100とした時の摂取後の肌水分合量の変化率(%)として評価した。その結果を図1Aに示す。また、図1Bには、その結果を、プラセボ摂取後の肌水分合量の変化率を1とした肌水分改善度(倍)として示す。
デキストリン(プラセボ群)、又は食用へちま凍結乾燥物(0.5g又は1.0g)を5日間摂取することにより、それぞれ78.4%、97.0%、104.1%の肌水分合量の変化率であった。また、プラセボ群と比較して、食用へちま低用量(0.5g)群において1.2倍、食用へちま高用量(1.Og)群において1.3倍の肌水分改善度であった。以上により、食用へちま凍結乾燥物を摂取することにより、肌水分が改善され、肌の潤いの改善効果が期待できることが明らかとなった。
シトルリンの摂取が肌の潤いにどのような効果を及ぼすかを調べた。
(1)試験サンプルの調製
肌評価試験を行うための試験サンプルとして、シトルリン(協和発酵バイオ株式会社製)の0.4g、0.8g又は1.6gとデキストリシとを混合し、それぞれ計3gの粉末状組成物を調製した。また、デキストリン3gをプラセボとした。表2には各試験サンプルの配合と肌評価試験の試験群との関係を示す。
健康な男女13名のボランティアを、シトルリン低用量(0.4g)群4名、シトルリン中用量(0.8g)群3名、シトルリン高用量(1.6g)群3名、プラセポ群3名に群分けし、試験サンプル又はデキストリン(プラセボ群)を、1日1回、5日間、水と共に服用してもらい、肌水分合量への効果を調べた。試験は単盲検並行群間比較にて行った。また、肌水分合量の測定は、試験開始前と試験終了後に、肌水分含量測定器(「Triplesense」株式会社モリテックス製)で前腕部の肌水分合量(100段階評価)を測定することにより行い、試験前の水分値を100とした時の摂取後の肌水分合量の変化率(%)として評価した。その結果を図2Aに示す。また、図2Bには、その結果を、プラセボ摂取後の肌水分合量の変化率を1とした肌水分改善度(倍)として示す。
デキストリン(プラセボ群)、又はシトルリン(0.4g、0.8g、又は1.6g)を5日間摂取することにより、それぞれ80.5%、96.3%、83.2%、85.7%の肌水分合量の変化率であった。また、プラセボ群と比較して、シトルリン低用量(0.4g)群において1.2倍、シトルリン中用量(0.8g)群において0.9倍、シトルリン高用量(1.6g)群において1.0倍の肌水分改善度であった。以上により、シトルリン低用量(0.4g)群において肌水分が改善され、肌の潤いの改善効果が期待できることが明らかとなったが、シトルリン中用量(0.8g)群又はシトルリン高用量(1.6g)群では、さらなる改善が見られずむしろプラセボ群と同様に改善効果を示さなかった。したがって、シトルリンによる肌の潤いの改善効果はシトルリンの低用量域において既にプラトーに達していると考えられた。
食用へちまとシトルリンとの併用摂取が肌の潤いにどのような効果を及ぼすかを調べた。
(1)試験サンプルの調製
肌評価試験を行うための試験サンプルとして、上記食用へちま凍結乾燥物、シトルリン、デキストリンを下記表3に示される配合で混合して、それぞれ計3gの粉末状組成物を調製した。また、デキストリン3gをプラセボとした。表3には各試験サンプルの配合と肌評価試験の試験群との関係を示す。
健康な男女17名のボランティアを、シトルリン群4名、食用へちま群4名、食用へちま+シトルリン群5名、プラセボ群4名に群分けし、試験サンプル又はデキストリン(プラセボ群)を、1日1回、5日間、水と共に服用してもらい、肌水分合量への効果を調べた。試験は単盲検並行群間比較にて行った。また、肌水分合量の測定は、試験開始前と試験終了後に、肌水分含量測定器(「Triplesense」株式会社モリテックス製)で前腕部の肌水分合量(100段階評価)を測定することにより行い、試験前の水分値を100とした時の摂取後の肌水分合量の変化率(%)として評価した。その結果を図3Aに示す。また、図3Bには、その結果を、プラセボ摂取後の肌水分合量の変化率を1とした肌水分改善度(倍)として示す。
デキストリン(プラセボ群)、又はシトルリン(0.4g)、食用へちま凍結乾燥物(0.5g)、「食用へちま凍結乾燥物(0.5g)+シトルリン(0.4g)」を5日間摂取することにより、それぞれ82.3%、105.3%、101.4%、136.4%の肌水分合量の変化率であった。また、プラセボ群と比較して、シトルリン群において1.28倍、食用へちま群において1.23倍、食用へちま+シトルリン群において1.66倍の肌水分改善度であった。なお、一般にへちまに含まれるシトルリン量は0.057質量%程度であり、上記食用へちま凍結乾燥物による効果はシトルリンによるものではないことは明らかであった。
一酸化窒素産生物質によるNO刺激が、生体細胞の水透過機能にどのような影響を与えるかを、培養細胞を用いて調べた。そのための培養細胞としてはMDCK I細胞を用いた。MDCK I(Madin-Darby Canine Kidney)細胞はイヌ腎由来細胞であり、プレート上で細胞が単層シート状になる。そしてこれに刺激が加わることにより、一部細胞がアーチ状に盛り上がり、培養プレートと単層細胞の隙間に細胞内外の塩や水が流れ込み溜まった”ドーム”を形成することが知られていた(図4にはそのドーム形成の顕微鏡写真とその概念図を示す。)。したがって、このようなドーム形成が促進されれば、細胞の水透過機能の亢進を評価できると考えた。具体的には以下のようにして試験を行った。
DSファーマバイオメディカル株式会社より購入したイヌ腎臓由来のMDCK I細胞を、常法に従い、10% FBSを含むMEM 培地(GIBCO製)で37℃の5%CO2環境で培養した。なお、その培地には100 U/mlペニシリンと100 mg/mlストレプトマイシンを添加した。
24穴培養プレートに2.5 X 105 cells/wellの細胞密度で上記MDCK I細胞を播種し、コンフルエントに達したことを確認した。NO刺激のための一酸化窒素産生物質としては、NO産生剤であるNOC18(株式会社同仁化学研究所製)を用いた。このNOC18を10 mM NaOHに溶解し終濃度0, 0.05, 0.1, 0.2 ,0.5 mMとなるように、上記コンフルエントに達した細胞に添加した。37℃の5% CO2環境で20時間インキュベートした後、位相差顕微鏡(40倍)により観察し、一辺50 mmの正方形を超える大きさのものを一視野あたりのドーム形成数(number of domes/field)として計数した。図5にはその結果をグラフで示す。
NO消去剤によりNOを消去した際のドーム形成への影響を調べた。具体的には、NOと選択的に反応してNO2を生成し、NOを消去する試薬であるCarboxy-PTIO(2-(4-Carboxyphenyl)-4, 4, 5, 5-tetramethylimidazoline-1-oxyl-3-oxide)(株式会社同仁化学研究所製)を、上記コンフルエントに達した細胞に終濃度0.1, 0.2, 0.4 mMで添加した後、NOC18を終濃度0.2 mMとなるように添加し、37℃の5% CO2環境で20時間インキュベートした。そして上記と同様にしてドーム形成数を計数した。図6にはその結果をグラフで示す。
NO産生剤であるNOC18をMDCK I 細胞に添加することで、濃度依存的にドーム形成数の増加が見られた(図5)。NOC18によるNOをCarboxy-PTIO により消去した結果、Carboxy-PTIO濃度依存的にドーム形成が抑制された(図6)。したがって、MDCK I単層細胞のドーム形成が、NO刺激により亢進していることが明らかとなった。
食用へちま及びNO産生剤がMDCK I細胞のドーム形成にどのような効果を及ぼすかを調べた。
(1)食用へちま抽出物の調製
食用へちま凍結乾燥物(食用へちま可食部、沖縄産)の10.8gについて、ミルミキサーで粉砕後、80%エタノール200mLで2時間攪拌抽出を行った。得られた抽出液についてグラスフィルターによるろ過を行い、そのろ液についてエバポレーターによりエタノールを除去し、残留した水溶液18mLにさらに水32mLを加えた。この水溶液について、酢酸エチル100mLを用いて2回液液分配を行い、酢酸エチル相を回収して濃縮した結果、脂溶性物質146.9mgを得た。これを食用へちま抽出物として下記の試験に供した。なお、通常、酢酸エチルなどの有機溶媒ではたんぱく質は抽出されず、得られた抽出物には一酸化窒素合成酵素(NOS)などが含有していることは考え難かった。また、混入していたとしても有機溶媒による処理により変性し、失活していると考えられた。
上記試験例4と同様にして、MDCK I細胞のドーム形成実験を行った。すなわち、24穴培養プレートにMDCK I細胞を2.5 X 105cells/wellの細胞密度となるように播種し、24時間後コンフルエントに達したことを確認した。その後培地を、NOC18を0.2 mM含有する培地、あるいは上記へちま抽出物を1 mg/mL含有する培地、又はNOC18の0.2 mMと上記へちま抽出物の1 mg/mLとを同時に含有する培地に交換した。なお、上記食用へちま抽出物はDMSOに溶解させた後、食用へちま抽出物が1 mg/mLとなり、培地中のDMSO量が培地1mLにつき1%となるように揃えて培地に加えた。37℃, 5% CO2環境下でインキュベートし、21時間後、位相差顕微鏡による観察(X 40)の後、一辺50 mmの正方形を超える大きさのものを一視野あたりのドーム(number of domes/field)として計数した。図7にはその顕微鏡写真を示し、図8にはそのドーム形成数の結果を示す。
図7,8に示されるように、何も添加しないコントロールではドームが形成しなかったのに対して、NOC18を0.2 mM含有する培地では、一視野あたり18個のドームが形成し、へちま抽出物を1 mg/mL含有する培地では、一視野あたり51個のドームが形成していた。更に、NOC18の0.2 mMとへちま抽出物の1 mg/mLとを同時に含有する培地では、一視野あたり123個のドームが形成し、相乗的にドーム形成が亢進していた。
Claims (6)
- ヘチマ及び/又はその加工物と、一酸化窒素(NO)産生物質とを含有する飲食物。
- 前記ヘチマが、食用へちま(Luffa aegyptiaca)、又はへちま(Luffa cylindrica)である請求項1記載の飲食物。
- 前記一酸化窒素(NO)産生物質が、シトルリン、アルギニン、アルギニノコハク酸、又はこれらの塩である請求項1又は2記載の飲食物。
- 前記ヘチマ及び/又はその加工物を0.25〜62質量%含有し、前記一酸化窒素(NO)産生物質を0.5〜38質量%含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の飲食物。
- ドライシンドロームの改善のために用いられる請求項1〜4のいずれか1つに記載の飲食物。
- ドライシンドロームの改善が肌の潤いの改善である請求項5記載の飲食物。
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