JP2011215433A - 感放射線性樹脂組成物、重合体及び化合物 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物、重合体及び化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜で基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、段差のある基板上であっても、良好なパターン形状を有し、パターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能であり、かつ、良好な感度を有し、焦点余裕度及び露光余裕度にも優れた新規な感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】感放射線性樹脂組成物は、下記式(1)で表される構造単位を有する感放射線性樹脂組成物であり、感放射線性酸発生体を含有することが好ましい。
Figure 2011215433

【選択図】なし

Description

本発明は、イオンインプランテーション等に好適な感放射線性樹脂組成物、この組成物等に好適に用いられる重合体及び化合物に関する。
集積回路素子等の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、リソグラフィーによる加工サイズの微細化が進んでいる。最近では、波長200nm以下の超短波長レーザー、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)を用い、200nm程度以下のレベルにおける微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。このようなArFエキシマレーザーによる照射に適した感放射線性樹脂組成物としては、酸の作用によりその構造の一部が解離する酸解離性官能基(以下、単に「酸解離性基」ともいう。)を有する成分と放射線の照射により酸を発生する成分である光酸発生剤とを含有し、これらの成分の化学増幅効果を利用した化学増幅型の感放射線性組成物が数多く提案されている。
例えば、ノルボルナン環誘導体を有する単量体由来の構造単位を含む特定の樹脂を含有するレジスト組成物(特開2002−201232号公報、特開2002−145955号公報参照)や、狭分散性の(メタ)アクリル酸と特定のモノシクロヘキサン、ビシクロヘプタンカルボラクトン等とのエステルが構造単位の(メタ)アクリル酸共重合体を含有する感放射線性樹脂組成物(特開2003−84436号公報参照)等が知られている。また、酸解離性基を有する(メタ)アクリル酸系重合体と酸発生剤とからなる感放射線性樹脂組成物に、フェノール性化合物を含有させることにより、露光部分の溶解性及び酸発生剤からの酸発生効率を高めた感放射線性樹脂組成物が知られている(特開2003−322963号公報参照)。
ところが、微細加工技術の進展に伴い、入射光と基板面からの反射光との干渉によって生じる定在波によりパターン形状の悪化や膜厚が変動した際のパターン幅の大きな変動等を招来するおそれがある。かかる定在波の影響を抑えるため、従来では反射防止膜を形成して対応していたが、反射防止膜を形成できない場合には十分な加工精度で解像できないという不都合がある。
特にイオンインプランテーション技術を利用する場合には、反射防止膜を形成することが出来ないことがあり、上述した定在波の影響が大きくなる傾向にある。
上記反射防止膜が形成できない場合において、例えば、組成物が形成するレジスト膜の膜厚が適当な範囲内になるよう形成する方法が提案されている。例えば、レジスト膜の膜厚を0.6μm以上2.0μm以下の範囲とすることにより、反射防止膜を形成することなく、イオンインプランテーション工程を行うのに十分なイオンの遮断性及びレジストパターンの耐破壊性を確保する技術が提案されている(特開2005−316136号公報参照)。この他、定在波の影響を抑えるべく、例えば、波長200nm以下のレーザーを吸収するユニットを樹脂中に取り入れた樹脂組成物が提案されている(特開2008−197606号公報参照)。
しかし近年、パターンの微細化に伴い、膜厚を0.5μm以下でのインプランテーション工程用のパターニングの必要性が生じてきた。このような薄膜では、基板に反射防止膜を形成しない場合、基板からの反射によりパターンの矩形性や、露光余裕、焦点深度といった基本性能を十分に確保することが難しい。また、基板に段差がある場合、複数の膜厚条件下でのリソグラフィーが必要となり、基板からの反射の程度が変わるためパターンのCDに差が生じやすい。上記イオンインプランテーション技術において、良好なパターン形状、感度、焦点余裕度及び露光余裕度という性能を併せ持った技術は未だ開発されておらず、すべての要素を高次元でバランス良く満たす感放射線性樹脂組成物が求められている。
特開2002−201232号公報 特開2002−145955号公報 特開2003−84436号公報 特開2003−322963号公報 特開2005−316136号公報 特開2008−197606号公報
本発明は、かかる不都合に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄膜で基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、段差のある基板上であっても、良好なパターン形状を有し、パターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能であり、かつ、良好な感度を有し、焦点余裕度及び露光余裕度にも優れた感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]下記式(1)で表される構造単位を有する重合体を含有する感放射線性樹脂組成物である。
Figure 2011215433
(式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。X及びYは、それぞれ独立して、単結合又は非芳香族系の2価の連結基である。Zは、S又はSOである。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基であり、R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成してもよい。)
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]成分として上記式(1)で表される構造単位(以下、単に「構造単位(1)」ともいう。)を有する重合体(以下、単に「重合体[A]」ともいう。)を含有する。重合体[A]は、ArFエキシマレーザーの波長領域に吸収を有する構造単位(1)が組み込まれているため、反射防止膜を形成することなく、上述の定在波の影響を抑えることができる。また、重合体[A]を含有する塗膜の消衰係数を適当な範囲に制御することができるので、当該感放射線性樹脂組成物は、良好な感度を有する上に、露光余裕度、焦点余裕度も同時に満足する。すなわち、当該感放射線性樹脂組成物によれば、薄膜で基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、段差のある基板上であっても、良好なパターン形状を有し、パターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能である。
当該感放射線性樹脂組成物は、重合体[A]において、上記Xがカルボニル基であることが好ましい。重合体[A]の上記Xにカルボニル基を配置することで、NとS又はSOを含む構造を重合体[A]に導入しやすくなる。
当該感放射線性樹脂組成物は、重合体[A]において、上記R及びRは互いに結合して、それらの間にあるN、Y、Zと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成することが好ましい。上記R及びRに嵩高い置換基を配置することで、重合体[A]は剛直な構造となるため、感放射線性樹脂組成物としての上記効果をさらに高めることができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、[B]感放射線性酸発生体(以下、単に酸発生体[B]ともいう。)をさらに含有することが好ましい。
本発明の重合体[A]は、下記式(1)で表される構造単位を含んでいることを特徴とする。
Figure 2011215433
(式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。X及びYは、それぞれ独立して、単結合又は非芳香族系の2価の連結基である。Zは、S又はSOである。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基であり、R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成してもよい。)
本発明の重合体は、当該感放射線性樹脂組成物における重合体[A]として好適に用いられ、上述した感放射線性樹脂組成物としての効果を発現することができる。
当該重合体[A]は、上記Xがカルボニル基であることが好ましい。また、当該重合体[A]は、上記R及びRは互いに結合して、それらの間にあるN、Y、Zと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成することが好ましい。
本発明の化合物は、下記式(i)で表される。
Figure 2011215433
(式(i)中、Rは、水素原子又はメチル基である。X及びYは、それぞれ独立して、単結合又は非芳香族系の2価の連結基である。Zは、S又はSOである。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基であり、R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成してもよい。)
本発明の重合体は、上記式(i)で表されるので、当該感放射線性樹脂組成物における重合体[A]として好適に組み込むことができる。
当該化合物は、Xがカルボニル基であることが好ましい。また、当該化合物は、上記R及びRは互いに結合して、それらの間にあるN、Y、Zと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成することが好ましい。
なお、本明細書において、構造単位とは、重合体構造に含まれる1単位をいい、繰り返し存在していてもよい。
以上説明したように、本発明の感放射線性樹脂組成物は、薄膜で基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、段差のある基板上であっても、良好なパターン形状を有し、パターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能であり、かつ、良好な感度を有し、焦点余裕度及び露光余裕度も満足することができる。従って、当該感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー等の超短波長レーザーを用いた集積回路素子等の超微細加工に好適に用いられる。
ライン・アンド・スペースパターンの形状を模式的に示す断面図である。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、重合体[A]を含有し、さらに必要に応じて酸発生体[B]及びその他の任意成分を含有できる。以下、重合体[A]、酸発生体[B]、その他の成分の順に説明する。
(重合体[A])
重合体[A]は、上記式(1)で表される構造単位を有する。
(構造単位(1))
重合体[A]には、ArFエキシマレーザーの吸収を有する構造単位(1)が組み込まれているので、反射防止膜を形成することなく、上述の定在波の影響を抑えることができる。また、重合体[A]を含有する塗膜の消衰係数が適当な範囲に制御されているので、
良好な感度を有する上に、露光余裕度、焦点余裕度も同時に満足する。すなわち、薄膜で基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、段差のある基板上であっても、良好なパターン形状を有し、パターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能である。
上記式(1)の上記X及びYで表される非芳香族系の2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基を挙げることができる。2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、
メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、へプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基等の2価の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基、ペンテンジイル基、ヘキセンジイル基、ヘプテンジイル基、オクテンジイル基、ノネンジイル基、デケンジイル基等の2価のアルケンジイル基を挙げることができる。
2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等2価のシクロアルカンジイル基;
シクロブテンジイル基、シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロヘプテンジイル基、ノルボルネンジイル基、トリシクロデセンジイル基等の2価のアルケンジイル基等を挙げることができる。
上記2価の脂肪族炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基は、これらの水素原子又は炭素骨格を形成する構造の一部を、例えば、
エーテル基、カルボニル基、スルフィド基、イミド基、エステル基、ウレタン基、アミド基、カーボネート基等の2価の官能基で置換されていてもよい。
上記式(1)の上記R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基として、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。Rで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
上記式(1)の上記R及びRは互いに結合して、それらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成する構造としては、X、Yを除いた部分の連結構造として、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、へプタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基等が挙げられる。
上記構造単位(1)では、上記Xがカルボニル基であることが好ましい。上記Xにカルボニル基を配置することで、NとS又はSOを含む構造を重合体[A]に導入しやすくなる。
上記式(1)の上記R及びRは互いに結合して、それらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成することが好ましい。複素環構造の具体例としては、例えば、下記式(1―1)〜(1−28)で表される複素環構造が挙げられ、中でも下記式(1−14)、(1−15)で表される複素環構造が好ましい。
Figure 2011215433
上記R及びRに嵩高い置換基を配置することで、重合体[A]は剛直な構造となるため、感放射線性樹脂組成物としての上記効果をさらに高めることができる
構造単位(1)の含有率は、感放射線性樹脂組成物を構成する全構造単位に対して、1モル%以上30モル%以下が好ましく、2モル%以上20モル%以下がより好ましく、5モル%以上15モル%以下が特に好ましい。構造単位の含有率が上記範囲内にあると、レジスト膜の密着性が向上し、パターン倒れやパターン剥れを防止することができる。
重合体[A]は、後述するように、上記構造単位(1)を与える単量体と、必要に応じて他の構造単位を与える単量体をラジカル重合させることで得られる。上記構造単位(1)を与える化合物(i)の合成方法は以下の通りであり、下記のスキームに従い合成することができる。
Figure 2011215433
(メタ)アクリル酸クロリドとアミンをトリエチルアミンなどの有機アミン類存在下、テトラヒドロフランなどの溶媒中で攪拌することにより、化合物(i)及び有機アミンの塩酸塩が得られる。反応溶液を分液洗浄や蒸留、再結晶など適切に処理することにより、化合物(i)を単離することができる。また、酸クロリドを用いない方法として、(メタ)アクリル酸無水物を用いるアミンのアミド化反応を用いることもできる。
(構造単位(2))
本発明の感放射線性樹脂組成物がポジ型である場合、上記重合体[A]は、下記式(2)で表される構造単位(2)を有することが好ましい。
Figure 2011215433
(式中、Rの定義は上記式(1)と同じであり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はR及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成する。)
構造単位(2)は、酸の存在下で−CRが解離して(メタ)アクリル酸構造を生成する基を有する単位であり、この構造単位を組み込むことにより重合体[A]を含有する感放射線性樹脂組成物のレジストとしての解像性能が向上する。
上記式(2)中、R、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基及びR、R及びRで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基は、上記式(1)と同様である。R及びRが互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基、アダマンタンジイル基等が挙げられる。
上記式(2)における下記式で表される基としては、t−ブチル基、t−アミル基等の分岐状アルキル基;及び
Figure 2011215433
(式中、R、R及びRの定義は上記式(3)と同じである。)
下記式で表される脂環構造を有する基等が挙げられる。
Figure 2011215433
上記構造単位(2)としては、下記式(2−1)〜(2−20)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2011215433
(式中、Rの定義は上記式(1)と同じである。)
これらの中でも、下記式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、(2−6)、(2−8)、(2−9)、(2−11)、(2−12)、(2−13)、(2−14)、(2−15)で表される構造単位がより好ましく、下記式(2−2)、(2−11)で表される構造単位が特に好ましい。これらは1種単独でも、2種以上が含まれていてもよい。
上記重合体[A]において、構造単位(2)の含有率は、重合体[A]を構成する全構造単位に対し、5モル%以上80モル%以下であることが好ましく、10モル%以上75モル%以下であることがより好ましく、20モル%以上70モル%以下であることが特に好ましい。構造単位(2)の含有率が上記範囲にあると、レジスト解像度に優れると共にレジスト膜の密着性の低下、パターン倒れ及びパターン剥れを防止することができる。
(構造単位(3))
上記重合体[A]は、構造単位(3)として、ラクトン構造及び環状カーボネート構造を含む構造単位をさらに有することが好ましい。構造単位(3)の具体例としては、例えば、下記式で表されるラクトン構造を含む構造単位及び環状カーボネート構造を含む構造単位等が挙げられる。
Figure 2011215433
(式中、Rの定義は上記式(1)と同じであり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又はメトキシ基であり、Aは単結合又はメチレン基であり、Bはメチレン基又は酸素原子であり、A及びBはそれぞれ0〜2の整数である。)
上記構造単位(3)としては、下記式(3−1)〜(3−10)で表される構造単位がより好ましく、下記式(3−6)で表される構造単位が特に好ましい。
Figure 2011215433
(式中、Rの定義は上記式(1)と同じである。)
上記重合体[A]において、構造単位(3)の含有率は、重合体[A]を構成する全構造単位に対して、構造単位(3)の総量が、10モル%以上60以下モル%であることが好ましく、20モル%以上50モル%以下であることがより好ましく、30モル%以上45モル%以下であることが特に好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、LWR(LINE WIDTH ROUGHNESS)抑制能、低PEB(POST EXPOSURE BAKE)の温度依存性等を向上させることができる。一方、70モル%を超えると、レジストとしての現像性やLWR抑制能が低下するおそれがある。
(その他の構造単位)
また、重合体[A]は、親水性官能基を有する構造単位(以下、「構造単位(4)」ともいう)を含有してもよい。構造単位(4)としては、下記式(4−1)〜(4−17)で表される官能基を有する構造単位及びメタクリル酸又はアクリル酸由来の構造単位が好ましいものとして挙げられ、中でも下記式(4−17)で表される官能基を有する構造単位がより好ましいものとして挙げられる。
Figure 2011215433
(式中、Rの定義は上記式(1)と同じである。)
構造単位(4)は、当該感放射線性樹脂組成物の感放射線特性がネガ型である場合に、重合体[A]に特に好ましく含有されるが、当該感放射線性樹脂組成物の感放射線特性がポジ型である場合であっても、重合体[A]は構造単位(4)を好ましく含有することができる。構造単位(4)を含有することにより、得られるレジストパターンの基板密着性が優れたものとなる。構造単位(4)の含有量は、重合体[A]を構成する全構造単位に対して、ネガ型感放射線性樹脂組成物に用いる場合には30モル%以上90モル%以下であることが好ましく、ポジ型感放射線性樹脂組成物に用いる場合には30モル%以下であることが好ましい。
さらに、重合体[A]は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[4.4.0]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルエステル等のアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含んでいてもよい。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、ベースポリマーとして重合体[A]を含有する。当該ベースポリマーは、重合体[A]単独であってもよく、重合体[A]と他の重合体との混合物であってもよい。他の重合体としては、構造単位(1)を含まず、上述した他の構造単位(構造単位(2)、構造単位(3)、構造単位(4)及びその他の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種)を適宜含有する重合体を好ましく用いることができる。また、他の重合体は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物に用いられるベースポリマーでは、重合体[A]と必要に応じて含有させる他の重合体とを合わせた全重合体の全構造単位における構造単位(1)の含有率が、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
ポジ型感放射線性樹脂組成物に用いられるベースポリマーでは、重合体[A]と必要に応じて含有させる他の重合体とを合わせた全重合体の全構造単位における構造単位(2)の含有率が、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。構造単位(2)が20質量%以上であると、ベースポリマーは、アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の重合体であって、露光により発生する酸の存在下でアルカリ可溶性となる性質を有する。なお、本明細書において「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、当該感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、当該レジスト被膜の代わりに重合体[A]のみを用いた被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
ネガ型感放射線性樹脂組成物に用いられるベースポリマーはアルカリ可溶性の重合体であり、重合体[A]と他の重合体とを合わせた全重合体の全構造単位における構造単位(4)の含有率が、40質量%以下であることが好ましい。
なお、他の重合体の含有割合は、ベースポリマー中、99質量%未満が好ましく、より好ましくは95質量%未満である。
(重合体[A]の製造方法)
上記重合体[A]は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、(1)単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(2)単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;(3)各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常、30℃以上150℃以下であり、40℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上140℃以下がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分以上8時間以下であり、45分以上6時間以下が好ましく、1時間以上5時間以下がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分以上12時間以下であり、45分以上12時間以下が好ましく、1時間以上10時間以下がより好ましい。
重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、なかでもジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。ラジカル開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
重合反応により得られた樹脂は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、樹脂を回収することもできる。
上記重合体[A]のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、特に限定されないが、1,000以上100,000以下であることが好ましく、1,000以上30,000以下であることがより好ましく、1,000以上20,000以下であることが特に好ましい。重合体[A]のMwが1,000未満であると、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向がある。一方、上記重合体[A]のMwが100,000を超えると、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。
また、上記重合体[A]のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1.0以上5.0以下であり、1.0以上3.0以下であることが好ましく、1.0以上2.0以下であることがより好ましい。
本明細書のMw及びMnとは、GPCカラム(東ソー社、G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した値をいう。
(感放射線性酸発生体[B])
酸発生体[B]は、放射線によって酸を発生するものである。放射線とは、電離性を有する高いエネルギーを持った電磁波や粒子線をいう。この電磁波としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線等を含む概念である。
酸発生体[B]の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、後述するような化合物である酸発生剤の形態でも、重合体[A]又は上述の他の重合体の一部として組み込まれた酸発生基の形態でも、これらの両方の形態でもよい。
上記酸発生剤[B]としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらの酸発生剤[B]のうちスルホニウム化合物が好ましい。
オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩(テトラヒドロチオフェニウム塩を含む。)、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。これらのオニウム塩化合物のうち、スルホニウム塩が好ましい。
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート及びトリフェニルスルホニウムノナフルオロ−N−ブタンスルホネートが好ましく、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネートがより好ましい。
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−N−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。これらのテトラヒドロチオフェニウム塩のうち、1−(4ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート及び1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等が挙げられる。これらのヨードニウム塩のうち、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートが好ましい。
スルホンイミド化合物としては、例えば、n−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、n−(ノナフルオロ−N−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、n−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、n−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、n−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、n−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。これらのスルホンイミド化合物のうち、n−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが好ましい。
上記酸発生剤[B]は、1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。酸発生剤[B]の使用量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、重合体[A]100質量部に対して、通常、1質量部以上20質量部以下、好ましくは2質量部以上15質量部以下、より好ましくは5質量部以上10質量部以下である。上記範囲において、感度及び現像性の向上、放射線に対する透明性の向上、矩形のレジストパターンを得られ易いといったがある。
(酸拡散制御体[C])
酸拡散制御体[C]は、露光により酸発生体[B]から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御する。酸拡散制御体[C]は、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。酸拡散制御体[C]の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、後述するような化合物である酸拡散制御剤の形態でも、重合体[A]又は上述の他の重合体の一部として組み込まれた酸拡散制御構造単位の形態でも、これらの両方の形態でもよい。
酸拡散制御剤[C]としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記式で表される化合物(以下、「含窒素化合物(イ)」ともいう。)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ロ)」ともいう。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(ハ)」ともいう。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
Figure 2011215433
(式中、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状或いは環状のアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基である。)
含窒素化合物(イ)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
含窒素化合物(ロ)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N',N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4’−アミノフェニル)プロパン、2−(3’−アミノフェニル)−2−(4’−アミノフェニル)プロパン、2−(4’−アミノフェニル)−2−(3’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4’−アミノフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1’−(4’’−アミノフェニル)−1’−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1’−(4’’−アミノフェニル)−1’−メチルエチル]ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
含窒素化合物(ハ)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−N−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルジ−N−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−N−ノニルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができ、中でもN−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンが好ましい。
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−N−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;
ピペラジン、1−(2’−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ [2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(ハ)及び含窒素複素環化合物が好ましい。酸拡散制御剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。酸拡散制御剤である場合の酸拡散制御体の配合量は、重合体[A]100重量部に対して、通常、15重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記範囲内であれば、レジストとしての感度、露光部の現像性、パターン形状及び寸法忠実度について望ましい性能が得られる。
(溶媒[D])
本発明の感放射線性樹脂組成物は通常、溶媒[D]を含有する。用いられる溶媒は、少なくとも重合体[A]、酸発生体[B]、及び所望により後述の添加剤[E]を溶解可能な溶媒であれば、特に限定されるものではない。このような溶媒[D]として、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等を使用することができる。
これらの中で、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はケトン類を用いることが好ましく、シクロヘキサノンを用いることが好ましい。他には、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類、γ−ブチロラクトン等が好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(添加剤[E])
本発明の感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分の添加剤[E]として、フッ素含有樹脂、脂環式骨格含有化合物、界面活性剤、増感剤、架橋剤等を含有することができる。各添加剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
(フッ素含有樹脂)
フッ素含有樹脂は、特に液浸露光においてレジスト膜表面に撥水性を発現させる作用を示す。また、レジスト膜から液浸液への成分の溶出を抑制する効果を奏し、さらに高速スキャンにより液浸露光を行ったとしても液滴を残さない為、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制する効果がある。
フッ素含有樹脂の構造としては、例えば、
フッ素含有樹脂は現像液に不溶で、酸の作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂;
フッ素含有樹脂は現像液に可溶で、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂;
フッ素含有樹脂は現像液に不溶で、アルカリの作用によりアルカリ可溶性となるフッ素含有樹脂;
フッ素含有樹脂は現像液に可溶であり、アルカリの作用によりアルカリ可溶性が増大するフッ素含有樹脂等を挙げることができる。
フッ素含有樹脂としては、フッ素含有構造単位を有する重合体が好ましい。フッ素含有構造単位を与える単量体としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロN−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
フッ素含有樹脂としては、例えば、上記フッ素含有構造単位と、重合体[A]を構成する構造単位とを有する共重合体等が好ましい。これらのフッ素含有樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。
(脂環式骨格含有化合物)
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。脂環式骨格含有化合物としては、例えば、
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等を挙げることができる。これらの脂環式骨格含有化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、当該組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を有する成分である。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNO.75、同NO.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(増感剤)
増感剤は、酸発生体[B]に吸収される放射線のエネルギー以外のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを例えば電子やラジカルのような形で酸発生体[B]に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(架橋剤)
本感放射線性樹脂組成物をネガ型として用いる場合は、上述のように重合体[A]をアルカリ可溶性とすると共に、添加剤[E]として架橋剤を配合させるとよい。この架橋剤は、酸の存在下で、重合体[A]を架橋しうる化合物である。このような架橋剤としてはグリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンゾイロキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基、イソプロペニル基等の架橋性官能基を有する化合物を挙げることができる。
このような架橋性置換基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等を挙げることができる。
添加剤[E]としては、染料、顔料、接着助剤等を用いることもできる。例えば、染料或いは顔料を用いることによって、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。また、接着助剤を配合することによって、基板との接着性を改善することができる。他の添加剤としては、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
なお、添加剤[E]は、以上説明した各種添加剤1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(感放射線性樹脂組成物の調製)
当該感放射線性樹脂組成物は、ポジ型の感放射線特性を有することができる。当該感放射線性樹脂組成物がポジ型の感放射線特性を有することで、当該感放射線性樹脂組成物は、感放射線照射によって結合が切れやすくなり、その結果、パターニング性の高いポジ型の感放射線特性を発揮することができる。ポジ型感放射線性組成物は、例えば、有機溶媒中で、重合体[A]成分、[B]成分及び任意成分を所定の割合で混合することにより、調製することができる。ポジ型感放射線性組成物は、適当な有機溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。
(フォトレジストパターンの形成方法)
本発明の感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型レジストとして有用である。ポジ型の化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生体から発生した酸の作用によって、樹脂成分、主に、重合体[A]中の酸解離性基が解離してカルボキシル基に代表される極性基を生じる。その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、この露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のフォトレジストパターンが得られる。
また、ネガ型の場合、架橋剤等を含有させることで、露光により酸発生体から発生した酸の作用によって、アルカリ溶解性の樹脂成分と架橋剤の架橋反応が容易に起こる。その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、未露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去されレジストパターンが得られる。
以下、ポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いたフォトレジストパターンの形成方法について詳述する。
フォトレジストパターン形成方法は、例えば、以下に示すような手順に従って行うことが一般的である。(1)感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にフォトレジスト膜を形成した後(工程(1))、(2)形成されたフォトレジスト膜に(必要に応じて液浸媒体を介し)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射して露光し(工程(2))、基板(露光されたフォトレジスト膜)を加熱し(工程(3))、次いで(4)現像すれば(工程(4))、フォトレジストパターンを形成することができる。
工程(1)では、感放射線性樹脂組成物、又はこれを溶媒に溶解させて得られた組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、基板(シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等)上に塗布することにより、フォトレジスト膜を形成する。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように樹脂組成物溶液を塗布した後、プレベーク(PB)することにより塗膜中の溶媒を気化させ、レジスト膜を形成する。
工程(2)では、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜に(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)、放射線を照射し、露光させる。なお、この際には、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射する。放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選択して照射する。これらの中でも、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザーがより好ましい。
工程(3)は、ポストエクスポージャーベーク(PEB)と呼ばれ、工程(2)でフォトレジスト膜の露光された部分において、酸発生体から発生した酸が重合体を脱保護する工程である。露光された部分(露光部)と露光されていない部分(未露光部)のアルカリ現像液に対する溶解性に差が生じる。PEBは、通常50℃から180℃の範囲で適宜選択して実施される。
工程(4)では、露光されたフォトレジスト膜を、現像液で現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成する。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
また、液浸露光を行う場合は、工程(2)の前に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を保護するために、液浸液不溶性の液浸用保護膜をレジスト膜上に設けてもよい。液浸用保護膜としては、工程(4)の前に溶媒により剥離する、溶媒剥離型保護膜(例えば、特開2006−227632号公報参照)、工程(4)の現像と同時に剥離する、現像液剥離型保護膜(例えば、WO2005−069076号公報、WO2006−035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
(レジストパターン)
このようにして得られるレジストパターンは、トップロスが防止されて矩形性が良好であり、LWR及びパターン倒れも抑制されているので、リソグラフィー技術を応用した微細加工に好適である。
なお、感放射線性樹脂組成物を含有するレジスト膜を形成した際の消衰係数kは、0.02以上0.09以下が好ましく、0.02以上0.08以下がより好ましく、0.03以上0.08以下が特に好ましい。消衰係数が小さい場合、入射光と基板面からの反射光による干渉の影響を受けるため、反射防止膜を形成する必要がある。すなわち、レジスト膜の膜厚を厚くする必要がある。消衰係数が大きい場合、薄膜であっても反射防止膜を形成する必要はないが、焦点余裕度及び露光余裕度において要求値を満足しない。なお、本明細書において消衰係数とは、ArFレーザーがレジスト膜に入射したとき、当該レジスト膜がどれくらいの光を吸収するのかを示す定数のことをいう。
構造単位(1)を有する単量体を用いた重合体は、他のArFレーザー用感放射線性樹脂と比べてArFレーザーの短波長帯の吸収率が高い。ゆえに、0.5μm以下といった薄膜で基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、良好な感度を有し、良好なパターン形状及び、段差のある基板上でもパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成することができる。一方で、従来のKrFレーザー用感放射線性樹脂等はArFレーザーに対して吸収の程度が大きすぎるため、該樹脂を用いた感放射線性樹脂組成物では好適にリソグラフィーすることができない。
(イオンインプランテーション方法)
本発明の感放射線性樹脂組成物を用いたイオンインプランテーション方法は、本発明の感放射線性組成物を用いて基板上にレジスト層を形成し、上記レジスト層に対して選択的に露光処理を行い、アルカリ現像してレジストパターンを形成した後、該レジストパターンをマスクとして、イオンインプランテーションを行うものである。
イオン注入に用いるイオン源としては、例えば、ホウ素、りん、砒素、アルゴンなどのイオンが挙げられる。また、イオン注入すべき固体又はイオン注入すべき薄膜の構成成分は、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミニウム等が挙げられる。なお、イオン注入時のイオン加速エネルギーは、10keV以上200keV以下であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、表中も含めこれらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。実施例及び比較例における各測定及び評価は、以下の要領で行った。
H−NMR分析)
化合物AのH−NMR分析は、日本電子社製の核磁気共鳴装置(JNM−ECX400)を使用し、測定した。
(化合物(i)の調製)
(実施例1:化合物(M−6)の合成)
温度計及びリフラックスコンデンサを備えた500mlの三つ口フラスコに(+)−2,10−カンファースルタム15.0g(69.7mmol)、3−クロロプロピオニルクロリド13.3g(104.5mmol)、アセトニトリル300mlを加え、10時間還流させた。その後、室温まで冷却後、炭酸カリウムを19.2g(139.4mmol)を加え、さらに4時間還流させたのち室温まで冷却し反応終了とした。反応液と塩をろ過により分離し、反応液を250mlまで濃縮後、−78℃まで冷却して結晶を析出させた後、ろ過を行い、得られた結晶をヘキサン:イソプロピルアルコール=5:1(重量比)の溶液50gで洗浄し、化合物(M−6)を得た(11.01g、収率73%)。
NMR分析の結果、化合物(M−6)のケミカルシフトは以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)Δ 6.86(1H)、6.49(1H)、5.85(1H)、3.95(1H)、3.48(2H)、2.13(2H)、1.91(3H)、1.40(2H)1.17(3H)、0.97(3H)
(実施例2:化合物(M−7)の合成)
アクリロイルクロライド24.4g(269.3mmol)をテトラヒドロフラン150mlに溶解した溶液を準備した。温度計及び滴下漏斗を備えた1000mlの三つ口フラスコにチアゾリジン20.0g(224.4mmol)、トリエチルアミン34.1g(336.6mmol)、テトラヒドロフラン350mlを加え、氷浴中、15分攪拌を行った。そこへ、滴下漏斗を用い、あらかじめ準備しておいたアクリロイルクロライド溶液を40分かけて滴下した。滴下終了後、さらに氷浴中で10分攪拌したのち、水200ml、酢酸エチル200mlを加え、反応終了とした。反応終了後、分液漏斗に反応溶液を投入し、さらに酢酸エチル500mlを加え、激しく攪拌した後、油層を分取した。分取した油層を200mlの水で1回、200mlの飽和食塩水で1回洗浄したのち、油層を分取し、そこへ硫酸マグネシウムを加え乾燥を行った。油層を乾燥後、低沸点成分を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより化合物(M−7)を単離した(25.0g、収率78%)。
NMR分析の結果、化合物(M−7)のケミカルシフトは以下の通りであった。
H−NMR(CDCl)Δ 6.45(2H)、5.74(1H)、4.63(2H)、3.93(1H)、3.84(1H)、3.11(1H)、3.02(1H)
(重合体[A]の調製)
(実施例3:重合体(A−1)の合成)
単量体(M−1)21.03g(50モル%)、単量体(M−5)22.23g(40モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.88gを投入して単量体溶液を準備した。一方、単量体(M−6)6.74g(10モル%)を予め50gの2−ブタノンを投入しておいた500mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、1000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を200gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末(37.5g、収率75%)を得た。この白色粉末を重合体(A−1)とした。この重合体は、Mwが7100であり、Mw/Mn=1.51であった。
(実施例4:重合体(A−2)の合成)
単量体(M−1)21.99g(50モル%)、単量体(M−5)26.14g(45モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)3.01gを投入して単量体溶液を準備した。一方、単量体(M−7)1.87g(5モル%)を、予め50gの2−ブタノンを投入しておいた500mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、1000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を200gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末(36.6g、収率73%)を得た。この白色粉末を重合体(A−2)とした。この重合体は、Mwが7500であり、Mw/Mn=1.57であった。
(実施例5:重合体(A−3)の合成)
単量体(M−1)11.52g(30モル%)、単量体(M−2)10.76g(20モル%)、単量体(M−4)6.40g(10モル%)、単量体(M−5)15.22g(30モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.63gを投入して単量体溶液を準備した。一方、単量体(M−6)6.15g(10モル%)を、予め50gの2−ブタノンを投入しておいた500mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、1000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を200gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末(37.7g、収率75%)を得た。この白色粉末を重合体(A−3)とした。この重合体は、Mwが6800であり、Mw/Mn=1.51であった。
(実施例6:重合体(A−4)の合成)
単量体(M−1)12.00g(30モル%)、単量体(M−2)11.14g(20モル%)、単量体(M−4)6.67g(10モル%)、単量体(M−5)18.49g(35モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.74gを投入して単量体溶液を準備した。一方、単量体(M−7)1.70g(5モル%)を、予め50gの2−ブタノンを投入しておいた500mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、1000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を200gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末(36.2g、収率72%)を得た。この白色粉末を重合体(A−4)とした。この重合体は、Mwが6700であり、Mw/Mn=1.53であった。
(合成例1:重合体(a−1)の合成)
単量体(M−1)22.1g(50モル%)、単量体(M−5)26.41g(45モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)3.04gを投入して単量体溶液を準備した。一方、単量体(M−3)1.38g(5モル%)を、予め50gの2−ブタノンを投入しておいた500mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、1000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を200gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末(35.2%、収率70%)を得た。この白色粉末を重合体(a−1)とした。この重合体は、Mwが7300であり、Mw/Mn=1.53であった。
(合成例2:重合体(a−2)の合成)
単量体(M−1)12.11g(30モル%)、単量体(M−2)11.25g(20モル%)、単量体(M−4)6.73g(10モル%)、単量体(M−5)18.67g(35モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.76gを投入して単量体溶液を準備した。一方、単量体(M−3)1.25g(5モル%)を、予め50gの2−ブタノンを投入しておいた500mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、1000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を200gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末(35.4g、収率71%)を得た。この白色粉末を重合体(a−2)とした。この重合体は、Mwが6500であり、Mw/Mn=1.51であった。
下記に、実施例、合成例及び比較例において重合体の合成に用いた単量体の構造を示す。また、表1に、実施例1〜6及び合成例1、2において用いた化合物(単量体)及びその配合処方(モル%)を示す。
Figure 2011215433
Figure 2011215433
(感放射線性樹脂組成物の調製)
上記合成例にて合成した重合体(A−1)、(A−2)以外の感放射線性樹脂組成物を構成する各成分(酸発生剤[B]、酸拡散制御剤[C]、溶媒[D]及び添加剤[E])について以下に示す。
(酸発生剤[B])
B−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−2:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート
Figure 2011215433
(酸拡散制御剤[C])
C−1:N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
(溶媒[D])
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
D−2:シクロヘキサノン
D−3:γ−ブチロラクトン
(感放射線性樹脂組成物の合成)
(実施例7)
上記重合体(A−1)100部、酸発生体[B]として(B−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−N−ブタンスルホネート8.4部、酸拡散制御剤[C]として(C−1):N−γ−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン0.9部、溶媒[D]として(D−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート950部、(D−2):シクロヘキサノン400部、及び(D−3):γ−ブチロラクトン30部を混合し均一溶液とした後、孔径0.2mmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液(組成物溶液)を調製した。
(実施例8)
上記重合体(A−2)100部、酸発生体[B]として(B−1)8.4部、酸拡散制御剤[C]として(C−1)0.9部、溶媒[D]として(D−1)950部、(D−2)400部、及び(D−3)30部を混合し均一溶液とした後、孔径0.2mmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。
(実施例9)
上記重合体(A−3)100部、酸発生体[B]として(B−2):1−(4−N−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−N−ブタンスルホネート7.3部、酸拡散制御剤[C]として(C−1)0.5部、溶媒[D]として(D−1)950部、(D−2)400部、及び(D−3)30部を混合し均一溶液とした後、孔径0.2mmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。
(実施例10)
上記重合体(A−4)100部、酸発生体[B]として(B−2)7.3部、酸拡散制御剤[C]として(C−1)0.5部、溶媒[D]として(D−1)950部、(D−2)400部、及び(D−3)30部を混合し均一溶液とした後、孔径0.2mmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。
(比較例1)
上記重合体(A−1)100部、酸発生体[B]として(B−1)8.4部、酸拡散制御剤として(C−1)0.9部、溶媒として(D−1)950部、(D−2)400部、及び(D−3)30部を混合して均一溶液とした後、孔径0.2mmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。
(比較例2)
上記重合体(A−2)100部、酸発生体[B]として(B−2)7.3部、酸拡散制御剤として(C−1)0.5部、溶媒として(D−1)950部、(D−2)400部、及び(D−3)30部を混合して均一溶液とした後、孔径0.2mmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。
実施例7〜10及び比較例1、2に用いた重合体、化合物及び配合量を、下記表2に示す。
Figure 2011215433
(評価方法)
実施例7〜10及び比較例1、2で得られた感放射線性樹脂組成物について、ArFエキシマレーザーを光源として、感度、パターン形状、パターン幅変動、消衰係数、露光余裕度、焦点余裕度について評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
(感度)
本評価を行うため、レジストパターンを備えたシリコン基板を以下のようにして作製した。まず、シリコンウエハー表面にヘキサメチルジシラザンを150℃で60秒間曝し、表面処理を施した。このシリコンウエハー上に、レジスト膜の膜厚が200nmとなるように上記感放射線性樹脂組成物溶液をスピンコートにより塗布した。その後、ホットプレートにて、110℃、60秒の条件でPBを行うことにより上記シリコンウエハーにレジスト膜を形成した。なお、このレジスト膜の膜厚は、WOOLLAM社製分光エリプソメーター(VUV−VASE:VU−303)を用いて測定した。次に、上記膜厚200nmのレジスト膜に、ニコン社製ArFエキシマレーザー露光装置(開口数0.78)を用い、マスクパターンを介して露光した。露光後、130℃、60秒でPEBを行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液によって25℃で60秒間現像した。その後、水洗、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを備えたシリコンウエハー(シリコン基板)を得た。
得られたシリコンウエハーについて、線幅150nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を、日立社製の測長SEM(S9260)にてレジストパターン上部から観察し、ラインとスペースが1対1の線幅に形成される露光量(J/m)を求めた。このときの露光量(最適露光量)(J/m)を「感度」とした。
(パターン形状)
上記感度評価におけるレジスト膜のパターン断面を、日立社製の断面観察SEM(S4800)にて観察した。図1に示すように、基板1上に形成されたパターン2の上部の線幅をL、下部の線幅をLとした。(L−L)/Lが−0.15以上+0.15以下の範囲になる場合を「○」(良好)、(L−L)/Lが−0.15より小さい場合、又は+0.15より大きい場合を「×」(不良)として評価した。(L−L)/Lが−0.15以上+0.15以下の範囲になる場合、パターン形状が矩形であることを示す。
(パターン幅変動)
膜厚180nm〜220nmの範囲で8nm毎に膜厚を変動させて形成した各レジスト膜において、膜厚200nmにおける最適露光量(J/m)を照射して解像した際の150nm1L/1Sパターンを観測した。全てのレジスト膜において観測されたパターン線幅の最大値と最小値の差が60nm以下の場合を「○」、60nmを超える場合を「×」として評価した。観測されたパターン線幅の最大値と最小値の差が60nm以下の場合、段差のある基板上でもパターン変動幅が小さいことを示す。
(消衰係数)
上記感放射線性樹脂組成物溶液を基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレートにて、110℃、60秒でPBを行い、膜厚200nmのレジスト膜を得た。得られたレジスト膜について、WOOLLAM社製の分光エリプソメーター(VUV−VASE:VU−303)を用いて、波長193nmの露光光の消衰係数kを測定した。
(露光余裕度)
線幅150nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)が得られる設計のマスクを介し露光を行い、線幅が165nmとなる時の露光量と線幅が135nmとなるときの露光量の差の絶対値を「感度」で除し、100を乗じた値を露光余裕度とした。露光余裕度が25以上であれば「○」、25未満であれば「×」として評価した。
(焦点余裕度)
上記感度評価と同様にして線幅150nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を解像する場合において、同一露光量のもとに線幅が135nm以上165nm以下に収まるようにレーザーの焦点深度を0.05μmずつ変更した。線幅が135〜165nmに収まる焦点深度の範囲が0.40μm以上であれば「○」、0.40μm以下であれば「×」として評価した。
Figure 2011215433
(評価)
表3の結果より、実施例7〜10の感放射線性樹脂組成物は、比較例1〜2の感放射線性樹脂組成物に比べて、基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、良好な感度を有し、良好なパターン形状及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能なだけでなく、焦点余裕度、露光余裕度も良好であることが明らかである。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、イオンインプランテーション工程を備えるリゾクラフィーにおけるレジスト膜を形成するための塗工液として特に好適に使用することができる。
1 基板
2 パターン
パターンの上部での線幅
パターンの下部での線幅

Claims (10)

  1. [A]下記式(1)で表される構造単位を有する重合体
    を含有する感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2011215433
    (式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。X及びYは、それぞれ独立して、単結合又は非芳香族系の2価の連結基である。Zは、S又はSOである。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基であり、R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成してもよい。)
  2. 上記Xがカルボニル基である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
  3. 上記R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. [B]感放射線性酸発生体をさらに含有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
  5. 下記式(1)で表される構造単位を有する重合体。
    Figure 2011215433
    (式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基である。X及びYは、それぞれ独立して、単結合又は非芳香族系の2価の連結基である。Zは、S又はSOである。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基であり、R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成してもよい。)
  6. 上記Xがカルボニル基である請求項5に記載の重合体。
  7. 上記R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成する請求項5又は請求項6に記載の重合体。
  8. 下記式(i)で表される化合物。
    Figure 2011215433
    (式(i)中、Rは、水素原子又はメチル基である。X及びYは、それぞれ独立して、単結合又は非芳香族系の2価の連結基である。Zは、S又はSOである。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基であり、R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成してもよい。)
  9. 上記Xがカルボニル基である請求項8に記載の化合物。
  10. 上記R及びRが互いに結合してそれらの間にあるN、Y及びZと共に炭素数(Y以外の炭素数)が2〜20の複素環構造を形成する請求項8又は請求項9に記載の化合物。
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