JP2011214958A - 光ファイバ電流センサおよび電流測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流測定値の温度依存性を低減させるとともに、測定に用いる光に含まれる雑音成分の影響を抑制する。
【解決手段】光ファイバ電流センサは、センサファイバ11と、センサファイバ11からの出射光を偏波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離する偏光分離素子13と、偏光分離素子13によって分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号P1および第2信号P2に変換する受光素子151A,151Bと、センサファイバ11からの出射光を光電気変換により第3信号P3に変換する受光素子151Cと、第1信号P1の直流成分と交流成分の比S1、第2信号P2の直流成分と交流成分の比S2、および第3信号P3の直流成分と交流成分の比S3を、1:−k:k−1(但しk>0)の割合で加算する手段(符号反転部153,可変利得部154,加算部155)と、を具備する。
【選択図】図1
【解決手段】光ファイバ電流センサは、センサファイバ11と、センサファイバ11からの出射光を偏波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離する偏光分離素子13と、偏光分離素子13によって分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号P1および第2信号P2に変換する受光素子151A,151Bと、センサファイバ11からの出射光を光電気変換により第3信号P3に変換する受光素子151Cと、第1信号P1の直流成分と交流成分の比S1、第2信号P2の直流成分と交流成分の比S2、および第3信号P3の直流成分と交流成分の比S3を、1:−k:k−1(但しk>0)の割合で加算する手段(符号反転部153,可変利得部154,加算部155)と、を具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバ中を伝搬する光の偏波面が磁界により回転するファラデー効果を利用して電流を測定する光ファイバ電流センサおよび電流測定方法に関する。
近年、電力設備の監視等を行う電流測定装置として、光ファイバをセンサに用いた光ファイバ電流センサが注目されている。
この光ファイバ電流センサでは、磁性媒質中を伝搬する光の偏波面がその伝搬方向における磁界の大きさに比例して回転するファラデー効果を利用して、電流を測定する。光ファイバも磁性媒質の一種であり、センサとして用いる光ファイバに直線偏光を入射して被測定電流が流れる導体、即ち磁界発生源の近くに置くと、ファラデー効果によって光ファイバ中の直線偏光に偏波面の回転(ファラデー回転)が与えられる。この時、電流に比例した磁界が発生しているので、ファラデー効果による偏波面の回転角度(ファラデー回転角)は、被測定電流の大きさに比例することになる。そこで、このファラデー回転角を測定することで、電流の大きさを求めることができる。これが光ファイバ電流センサの原理である。
この光ファイバ電流センサでは、磁性媒質中を伝搬する光の偏波面がその伝搬方向における磁界の大きさに比例して回転するファラデー効果を利用して、電流を測定する。光ファイバも磁性媒質の一種であり、センサとして用いる光ファイバに直線偏光を入射して被測定電流が流れる導体、即ち磁界発生源の近くに置くと、ファラデー効果によって光ファイバ中の直線偏光に偏波面の回転(ファラデー回転)が与えられる。この時、電流に比例した磁界が発生しているので、ファラデー効果による偏波面の回転角度(ファラデー回転角)は、被測定電流の大きさに比例することになる。そこで、このファラデー回転角を測定することで、電流の大きさを求めることができる。これが光ファイバ電流センサの原理である。
ファラデー回転角を測定するためには、光ファイバから出力された光をフォトダイオード等で受光して電気信号に変換し、得られた電気信号に所定の信号処理を行うという手法を採る。ところが、光ファイバ電流センサが設置された場所の環境温度が変化すると、ファラデー回転角を測定する際の動作点である光学バイアスが変動したり、光ファイバにおけるファラデー効果の感度を与える物性値であるベルデ定数が変動したりしてしまう。そしてこれらの影響を受けて、上記の信号処理により求められるファラデー回転角が誤差を持つようになり、結果として電流の測定値に温度依存性が発生して正しい測定を行うことができなくなるという問題が生じてしまう。
このような問題に対して、信号処理方法を改良して電流測定値の温度依存性を低減させた光ファイバ電流センサが、本発明者により特許文献1として提案されている。具体的には、特許文献1の光ファイバ電流センサでは、光ファイバの出射光を偏光分離した2つの偏光成分から得られる第1信号と第2信号について、それぞれの直流成分と交流成分の比S1とS2を求め、この比S1とS2に異なる係数を乗じた上で両者の差分値を算出するという信号処理を行っている。この差分値の温度依存性はS1とS2に乗じる係数によって異なるので、当該係数を適宜設定することで、電流測定値の温度依存性を低減させることが可能である。
ここで、光ファイバへ入射される光には、光源の出力強度変動(ゆらぎ)等に起因する雑音成分が含まれていることがある。このような場合に、特許文献1で提案された光ファイバ電流センサのように、第1信号と第2信号のそれぞれから求まる比S1,S2(いずれも雑音成分を有している)に異なる係数を乗じて差分値を計算すると、この計算で雑音成分は相殺されないため、電流の測定結果が雑音の影響を受け、測定精度が劣化してしまうという問題がある。一方、温度依存性が改善されていない従来の光ファイバ電流センサでは、比S1,S2に異なる係数を乗じることなく差分値を計算するので、雑音成分は相殺され、電流の測定結果は雑音の影響を受けない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファラデー効果を利用して電流を測定する光ファイバ電流センサおよび電流測定方法において、電流測定値の温度依存性を低減させるとともに、測定に用いる光に含まれる雑音成分の影響を抑制することにある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、センサファイバに直線偏光を伝搬させ、該センサファイバの近傍に設置された導体を流れる被測定電流により生じる磁界によって前記直線偏光に付与されるファラデー回転角を検出することで、前記被測定電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、前記センサファイバと、前記センサファイバからの出射光を偏波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離する偏光分離手段と、前記偏光分離手段によって分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変換する第1および第2の光電気変換手段と、前記センサファイバからの出射光を光電気変換により第3信号に変換する第3の光電気変換手段と、前記第1信号の直流成分と交流成分の比、前記第2信号の直流成分と交流成分の比、および前記第3信号の直流成分と交流成分の比を、1:−k:k−1(但しk>0)の割合で加算する演算手段と、を具備し、前記演算手段の加算結果に基づいて前記ファラデー回転角を求めることを特徴とする。
この発明において、第1信号の直流成分と交流成分の比S1、第2信号の直流成分と交流成分の比S2、および第3信号の直流成分と交流成分の比S3を、1:−k:k−1の割合で加算し、その加算結果に基づいてファラデー回転角を求めるようにした。ここで、第1信号と第2信号による値S1−k・S2は温度に応じて変化する特性を有し、その変化の仕方はkの値によって異なる。したがって、kの値を適宜設定することにより、得られるファラデー回転角の温度依存性、即ち電流測定値の温度依存性を低減させることができる。また、比S1,S2,S3にそれぞれ含まれる雑音成分をNと表すと、第1信号と第2信号による値S1−k・S2には雑音成分(1−k)・Nが含まれているが、この値S1−k・S2に第3信号による値(k−1)・S3が加算されることにより、雑音成分(k−1)・Nも加算され、その結果、雑音成分が相殺される。したがって、雑音成分の影響を抑制することができる。
また、本発明は、上記光ファイバ電流センサにおいて、前記値kは、前記第1信号の直流成分と交流成分の比および前記第2信号の直流成分と交流成分の比を1:−kの割合で加算した値が、温度変化に対して1次で変化する成分を持たないように設定されたことを特徴とする。
この発明において、第1信号と第2信号による値S1−k・S2は、温度変化に対して変化しない成分、温度変化に対して1次で変化する成分、温度変化に対して2次で変化する成分、…からなっており、温度変化による値S1−k・S2の変化量が小さい領域では1次の成分がその温度依存性を支配する。この発明によれば、値S1−k・S2の温度変化に対して1次で変化する成分をゼロとするようにkの値を設定しているので、電流測定値の温度依存性を低減させることができる。
また、本発明は、上記光ファイバ電流センサにおいて、前記値kは、光学バイアスの温度依存係数と前記センサファイバにおけるファラデー回転角の温度依存係数との差を和で除した値に設定されたことを特徴とする。
この発明によれば、kの値をこのように設定することで、第1信号と第2信号による値S1−k・S2の温度変化に対して1次で変化する成分がゼロとなるので、電流測定値の温度依存性を低減させることができる。
また、本発明は、センサファイバに直線偏光を伝搬させ、該センサファイバの近傍に設置された導体を流れる被測定電流により生じる磁界によって前記直線偏光に付与されるファラデー回転角を検出することで、前記被測定電流を測定する電流測定方法において、前記センサファイバからの出射光を偏波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離する過程と、前記分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変換する過程と、前記センサファイバからの出射光を光電気変換により第3信号に変換する過程と、前記第1信号の直流成分と交流成分の比、前記第2信号の直流成分と交流成分の比、および前記第3信号の直流成分と交流成分の比を、1:−k:k−1(但しk>0)の割合で加算する過程と、前記加算結果に基づいて前記ファラデー回転角を求める過程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、ファラデー効果を利用して電流を測定する光ファイバ電流センサおよび電流測定方法において、電流測定値の温度依存性を低減させることができるとともに、測定に用いる光に含まれる雑音成分の影響を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による反射型の光ファイバ電流センサの構成図を示している。
同図において、光ファイバ電流センサは、センサファイバ11と、光サーキュレータ12と、偏光分離素子13と、ファラデー回転子14と、信号処理部15とを含んで構成される。また、信号処理部15は、受光素子151A,151B,151Cと、バンドパスフィルタBPF1,BPF2,BPF3と、ローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3と、除算部152A,152B,152Cと、符号反転部153B,153Cと、可変利得部154B,154Cと、加算部155A,155Bとから構成される。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による反射型の光ファイバ電流センサの構成図を示している。
同図において、光ファイバ電流センサは、センサファイバ11と、光サーキュレータ12と、偏光分離素子13と、ファラデー回転子14と、信号処理部15とを含んで構成される。また、信号処理部15は、受光素子151A,151B,151Cと、バンドパスフィルタBPF1,BPF2,BPF3と、ローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3と、除算部152A,152B,152Cと、符号反転部153B,153Cと、可変利得部154B,154Cと、加算部155A,155Bとから構成される。
センサファイバ11は、測定しようとしている被測定電流Iが流れる送電線等の導体100の周囲を周回するようにして配置される。このセンサファイバ11として、好適にはファラデー効果の大きさを決めるベルデ定数が大きい特性を持った光ファイバである、鉛ガラスファイバを用いることができる。センサファイバ11の一端にはファラデー回転子14が取り付けられ、他端には誘電体薄膜によるハーフミラー111が形成されている。ファラデー回転子14と偏光分離素子13、偏光分離素子13と光サーキュレータ12はそれぞれ光ファイバで接続され、光サーキュレータ12は、光源21から送光ファイバ22を通じて供給される光がセンサファイバ11側へ透過する向きに接続される。信号処理部15は入力部として3つの受光素子151A,151B,151Cを有し、受光素子151Aは受光ファイバ16Aにより光サーキュレータ12のセンサファイバ11側からの透過光が出力される端子に接続され、受光素子151Bは受光ファイバ16Bにより偏光分離素子13に接続され、受光素子151Cはセンサファイバ11のハーフミラー111に接続される。
このように構成された光ファイバ電流センサに対して、光源21から発せられた光が送光ファイバ22および光サーキュレータ12を介して偏光分離素子13へ入射される。この光は、偏光分離素子13によって電界の振動方向が一方向(偏光分離素子13の主軸方向)にそろった直線偏光に変換されて、ファラデー回転子14へ入射される。ファラデー回転子14は、永久磁石とこの永久磁石によって磁気飽和させられた強磁性体結晶である強磁性ガーネットとからなり、強磁性ガーネットを通過する光に片道22.5度のファラデー回転を付与する。ファラデー回転子14を通過した直線偏光は、センサファイバ11へ入射され、センサファイバ11の周回部分において、導体100を流れる被測定電流Iの周囲に生じた磁界によってファラデー回転を受け、その偏波面が磁界の大きさに比例したファラデー回転角だけ回転する。
センサファイバ11を伝搬する光は、その一部がさらにハーフミラー111で反射されて再び周回部分を通りファラデー回転を受け、ファラデー回転子14へ入射される。ファラデー回転子14を再び通過することでさらに22.5度のファラデー回転が与えられるので、このファラデー回転子14により、往復で合計45度のファラデー回転が与えられることになる。即ち、この光ファイバ電流センサでは、光学バイアスが45度に設定されている。ファラデー回転子14を通過した光は、再び偏光分離素子13へと導かれ、偏光方向の互いに直交(偏光分離素子13の主軸方向とそれに垂直な方向)する2つの偏光成分に分離される。分離された一方の光は光サーキュレータ12と受光ファイバ16Aを介して受光素子151Aによって受光され、その光強度に比例した電気信号P1に変換される。また、もう一方の光は受光ファイバ16Bを介して受光素子151Bによって受光され、その光強度に比例した電気信号P2に変換される。
また、センサファイバ11を伝搬する光の一部は、ハーフミラー111を透過して受光素子151Cによって受光され、その光強度に比例した電気信号P3に変換される。
また、センサファイバ11を伝搬する光の一部は、ハーフミラー111を透過して受光素子151Cによって受光され、その光強度に比例した電気信号P3に変換される。
ここで、本光ファイバ電流センサで測定する被測定電流Iは、交流電流(交流成分のみ)であるとする。このとき、センサファイバ11中の光が感じるファラデー効果もこの交流電流を反映したものとなり、上記の電気信号P1とP2は、ともに直流成分と交流成分とを含むことになる(図2参照)。電気信号P3についても同様である。
受光素子151Aからの電気信号P1は、バンドパスフィルタBPF1とローパスフィルタLPF1へ入力される。バンドパスフィルタBPF1は電気信号P1に含まれる交流成分を抽出して除算部152Aへ出力し、ローパスフィルタLPF1は電気信号P1に含まれる直流成分を抽出して除算部152Aへ出力する。除算部152Aは、入力された交流成分を直流成分で除算することにより得られる交流成分と直流成分との比を表す信号S1を、加算部155Aへ出力する。
また、受光素子151Bからの電気信号P2は、バンドパスフィルタBPF2とローパスフィルタLPF2へ入力される。バンドパスフィルタBPF2とローパスフィルタLPF2は、上記と同様に、それぞれ電気信号P2に含まれる交流成分および直流成分を抽出して除算部152Bへ出力する。除算部152Bは、入力された交流成分を直流成分で除算することにより得られる交流成分と直流成分との比を表す信号S2を、符号反転部153Bへ出力する。符号反転部153Bは、信号S2の符号を反転して可変利得部154Bへ出力し、可変利得部154Bは、この入力された信号にゲインkを乗ずることにより得られる信号S2’を加算部155Aへ出力する。
加算部155Aは、入力された上記2つの信号S1とS2’とを加算し、加算結果の信号S12を加算部155Bへ出力する。
加算部155Aは、入力された上記2つの信号S1とS2’とを加算し、加算結果の信号S12を加算部155Bへ出力する。
同様に、受光素子151Cからの電気信号P3は、バンドパスフィルタBPF3とローパスフィルタLPF3へ入力される。バンドパスフィルタBPF3とローパスフィルタLPF3は、上記と同様に、それぞれ電気信号P3に含まれる交流成分および直流成分を抽出して除算部152Cへ出力する。除算部152Cは、入力された交流成分を直流成分で除算することにより得られる交流成分と直流成分との比を表す信号S3を、符号反転部153Cへ出力する。符号反転部153Cは、信号S3の符号を反転して可変利得部154Cへ出力し、可変利得部154Cは、この入力された信号にゲインmを乗ずることにより得られる信号S3’を加算部155Bへ出力する。
加算部155Bは、入力された上記2つの信号S12とS3’とを加算し、加算結果の信号Sを出力する。
加算部155Bは、入力された上記2つの信号S12とS3’とを加算し、加算結果の信号Sを出力する。
次に、信号処理部15の詳細な動作原理を数式を用いて説明する。
図2は、受光素子151A,151Bで得られる電気信号P1およびP2(受光される光の光強度)の特性を表すグラフである。このグラフにおいて、横軸はセンサファイバ11へ入射された直線偏光が受けるファラデー回転角θであり、縦軸は上記各電気信号の信号強度Pである。2つの受光素子151Aと151Bそれぞれに到達する光の光強度は、上述の説明のとおり、センサファイバ11において与えられるファラデー回転角θと、ファラデー回転子14により与えられるファラデー回転角、即ち光学バイアスの値とによって決まる。一般に光学バイアスがその設定値45度からδだけ誤差を有している場合を考慮すると、θの関数として電気信号P1(θ)およびP2(θ)が次式(1a)と(1b)により与えられる。
P1(θ)=1+sin(2δ+2θ) (1a)
P2(θ)=1−sin(2δ+2θ) (1b)
図2は、受光素子151A,151Bで得られる電気信号P1およびP2(受光される光の光強度)の特性を表すグラフである。このグラフにおいて、横軸はセンサファイバ11へ入射された直線偏光が受けるファラデー回転角θであり、縦軸は上記各電気信号の信号強度Pである。2つの受光素子151Aと151Bそれぞれに到達する光の光強度は、上述の説明のとおり、センサファイバ11において与えられるファラデー回転角θと、ファラデー回転子14により与えられるファラデー回転角、即ち光学バイアスの値とによって決まる。一般に光学バイアスがその設定値45度からδだけ誤差を有している場合を考慮すると、θの関数として電気信号P1(θ)およびP2(θ)が次式(1a)と(1b)により与えられる。
P1(θ)=1+sin(2δ+2θ) (1a)
P2(θ)=1−sin(2δ+2θ) (1b)
ここで、被測定電流Iは交流成分のみからなる交流電流であるので、この被測定電流Iによってセンサファイバ11中の直線偏光に付与されるファラデー回転は、角度0度の周りに当該交流電流の周波数で振動するものとなる。この振動の振幅をφとする。また、図中に、この交流の被測定電流Iによって生じるファラデー回転角の時間的変化を曲線Cで表す。
曲線Cに沿ってファラデー回転角が−φ→0→φのように時間変化すると、受光素子151Aで得られる電気信号P1は、順次、次のように変化する。
P1(−φ)=1+sin(2δ−2φ)
→P1(0)=1+sin(2δ)
→P1(φ)=1+sin(2δ+2φ)
こうして、交流の被測定電流Iに対応して得られる電気信号P1は、図中に曲線P1で示すように、被測定電流Iと同じ周波数で振動する信号となる。この信号は、直流成分の大きさP1(0)=1+sin(2δ)を有し、交流成分の振幅{P1(φ)−P1(−φ)}/2={sin(2δ+2φ)−sin(2δ−2φ)}/2を有する。光学バイアスの誤差δとセンサファイバ11によるファラデー回転の振幅φが十分小さい(δ,φ≪1)領域では、被測定電流Iを測定した時の電気信号P1の直流成分P1DCと交流成分P1ACは、それぞれ次の式(2a),(2b)で表すことができる。
P1DC=P1(0)≒1+2δ (2a)
P1AC={P1(φ)−P1(−φ)}/2≒2φ (2b)
上記の式(2a)と式(2b)が、それぞれバンドパスフィルタBPF1,ローパスフィルタLPF1から出力される信号である。
P1(−φ)=1+sin(2δ−2φ)
→P1(0)=1+sin(2δ)
→P1(φ)=1+sin(2δ+2φ)
こうして、交流の被測定電流Iに対応して得られる電気信号P1は、図中に曲線P1で示すように、被測定電流Iと同じ周波数で振動する信号となる。この信号は、直流成分の大きさP1(0)=1+sin(2δ)を有し、交流成分の振幅{P1(φ)−P1(−φ)}/2={sin(2δ+2φ)−sin(2δ−2φ)}/2を有する。光学バイアスの誤差δとセンサファイバ11によるファラデー回転の振幅φが十分小さい(δ,φ≪1)領域では、被測定電流Iを測定した時の電気信号P1の直流成分P1DCと交流成分P1ACは、それぞれ次の式(2a),(2b)で表すことができる。
P1DC=P1(0)≒1+2δ (2a)
P1AC={P1(φ)−P1(−φ)}/2≒2φ (2b)
上記の式(2a)と式(2b)が、それぞれバンドパスフィルタBPF1,ローパスフィルタLPF1から出力される信号である。
また同様に、曲線Cに沿ってファラデー回転角が−φ→0→φのように時間変化したとき、受光素子151Bで得られる電気信号P2は、順次、次のように変化する。
P2(−φ)=1−sin(2δ−2φ)
→P2(0)=1−sin(2δ)
→P2(φ)=1−sin(2δ+2φ)
こうして、交流の被測定電流Iに対応して得られる電気信号P2は、図中に曲線P2で示すように、被測定電流Iと同じ周波数で振動する信号となる。この信号は、直流成分の大きさP2(0)=1−sin(2δ)を有し、交流成分の振幅{P2(−φ)−P2(φ)}/2={sin(2δ+2φ)−sin(2δ−2φ)}/2を有する。同様にδ,φ≪1が成り立つ領域では、被測定電流Iを測定した時の電気信号P2の直流成分P2DCと交流成分P2ACは、それぞれ次の式(3a),(3b)で表すことができる。
P2DC=P2(0)≒1−2δ (3a)
P2AC=−{P2(−φ)−P2(φ)}/2≒−2φ (3b)
但し、交流成分P2ACの負号は交流成分P2ACと位相が反転していることを考慮したものである。上記の式(3a)と式(3b)が、それぞれバンドパスフィルタBPF2,ローパスフィルタLPF2から出力される信号である。
P2(−φ)=1−sin(2δ−2φ)
→P2(0)=1−sin(2δ)
→P2(φ)=1−sin(2δ+2φ)
こうして、交流の被測定電流Iに対応して得られる電気信号P2は、図中に曲線P2で示すように、被測定電流Iと同じ周波数で振動する信号となる。この信号は、直流成分の大きさP2(0)=1−sin(2δ)を有し、交流成分の振幅{P2(−φ)−P2(φ)}/2={sin(2δ+2φ)−sin(2δ−2φ)}/2を有する。同様にδ,φ≪1が成り立つ領域では、被測定電流Iを測定した時の電気信号P2の直流成分P2DCと交流成分P2ACは、それぞれ次の式(3a),(3b)で表すことができる。
P2DC=P2(0)≒1−2δ (3a)
P2AC=−{P2(−φ)−P2(φ)}/2≒−2φ (3b)
但し、交流成分P2ACの負号は交流成分P2ACと位相が反転していることを考慮したものである。上記の式(3a)と式(3b)が、それぞれバンドパスフィルタBPF2,ローパスフィルタLPF2から出力される信号である。
ここで、センサファイバ11において付与されるファラデー回転の大きさは、センサファイバ11のベルデ定数が温度依存性を有することに起因して、環境温度の変化に応じて変化する。また、ファラデー回転子14による光学バイアスも、強磁性ガーネットのベルデ定数が温度依存性を有することに起因して、環境温度の変化に応じて変化する。これを考慮して、センサファイバ11によるファラデー回転の振幅φと光学バイアスの誤差δが次式(4a),(4b)で表される温度依存性を有するものと仮定する。
δ=αT/2 (4a)
φ=(1+βT)φ0 (4b)
但し、αとβはそれぞれの温度依存係数(既知の定数)、Tは基準温度(例えば20℃)からの温度変化量、φ0はその基準温度におけるファラデー回転角の振幅である。
δ=αT/2 (4a)
φ=(1+βT)φ0 (4b)
但し、αとβはそれぞれの温度依存係数(既知の定数)、Tは基準温度(例えば20℃)からの温度変化量、φ0はその基準温度におけるファラデー回転角の振幅である。
以上の式(2a),(2b),(3a),(3b),(4a),(4b)より、除算部152A,152Bからそれぞれ出力される信号S1とS2は、それぞれ次式(5a),(5b)で表される。
上記の式(5a),(5b)において、Nrは光源21の出力強度変動(ゆらぎ)等に起因する雑音成分を表している。
一方、受光素子151Cで得られる電気信号P3(受光される光の光強度)は、受光素子151Cへ入射される光の偏光方向によらず一定である。よって、電気信号P3の交流成分を直流成分で除した信号である除算部152Cからの出力信号S3は、次式(5c)のように雑音成分Nrのみとなる。
S3=Nr (5c)
S3=Nr (5c)
したがって、式(5a),(5b),(5c)より、加算部155Bの出力信号Sは次式(6)のように表すことができる。
この式(6)によれば、雑音成分Nrに関係する右辺第3項がゼロとなるように可変利得部154Cのゲインmを決めることで、加算部155Bから得られる出力信号Sを、雑音の影響を受けないものとすることが可能である。このようなゲインmは、次式(7)で与えられる。
m=1−k (7)
m=1−k (7)
式(7)の条件が満たされているとき、上記の式(6)は次式(8)のように書き下すことができる。
式(8)の分子において、δ,φ≪1の近似の下では温度変化Tの1次の項が2次の項よりも支配的である。そこで、温度変化Tの1次の項がゼロとなるように可変利得部154Bのゲインkを決めることで、加算部155Bから得られる出力信号Sの温度依存性を低減することが可能である。このようなゲインkは、式(8)より次式(9)のように求められ、このゲインkに対応して、上式(7)のゲインmが次式(10)のように求められる。
したがって、本光ファイバ電流センサの可変利得部154Bには、上式(9)で与えられるゲインkを設定し、可変利得部154Cには、上式(10)で与えられるゲインmを設定する。このときの加算部155Bの出力信号Sは、次の式(11)のように表される。
上式(11)から、測定により得られる加算部155Bの出力信号Sを用いて、ファラデー回転角φ0を求めることができる。そしてこのファラデー回転角φ0から、次式φ0=V・Iにより被測定電流Iの値が求まる。但し、Vは上記と同じ基準温度におけるセンサファイバ11のベルデ定数である。
一方、可変利得部154Bを設けない場合、出力信号Sは上式(8)でk=1とおいて次の式(12)のように表される。
このように、式(11)および式(12)の分子に着目すると、可変利得部154Bが設けられていない光ファイバ電流センサは、出力信号Sが温度変化に対して1次の依存性を示すのに対し、本光ファイバ電流センサはその依存性が2次である。そして、δ,φ≪1の領域では温度変化の2次の項が1次の項よりも十分に小さい。したがって、本光ファイバ電流センサは、測定で得られる出力信号Sの温度依存性を低減でき、これにより電流測定値の温度依存性を低減させることが可能である。
また、上記の式(7)が満たされるようにゲインmが設定されていることによって、本光ファイバ電流センサは、出力信号S及び当該信号から計算される電流測定値を、光源の出力強度変動(ゆらぎ)等に起因する雑音の影響を受けないものとすることが可能となる。
また、上記の式(7)が満たされるようにゲインmが設定されていることによって、本光ファイバ電流センサは、出力信号S及び当該信号から計算される電流測定値を、光源の出力強度変動(ゆらぎ)等に起因する雑音の影響を受けないものとすることが可能となる。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
11…センサファイバ 12…光サーキュレータ 13…偏光分離素子 14…ファラデー回転子 15…信号処理部 16…受光ファイバ 21…光源 22…送光ファイバ 151…受光素子 152…除算部 153…符号反転部 154…可変利得部 155…加算部
Claims (4)
- センサファイバに直線偏光を伝搬させ、該センサファイバの近傍に設置された導体を流れる被測定電流により生じる磁界によって前記直線偏光に付与されるファラデー回転角を検出することで、前記被測定電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、
前記センサファイバと、
前記センサファイバからの出射光を偏波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離する偏光分離手段と、
前記偏光分離手段によって分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変換する第1および第2の光電気変換手段と、
前記センサファイバからの出射光を光電気変換により第3信号に変換する第3の光電気変換手段と、
前記第1信号の直流成分と交流成分の比、前記第2信号の直流成分と交流成分の比、および前記第3信号の直流成分と交流成分の比を、1:−k:k−1(但しk>0)の割合で加算する演算手段と、
を具備し、前記演算手段の加算結果に基づいて前記ファラデー回転角を求めることを特徴とする光ファイバ電流センサ。 - 前記値kは、前記第1信号の直流成分と交流成分の比および前記第2信号の直流成分と交流成分の比を1:−kの割合で加算した値が、温度変化に対して1次で変化する成分を持たないように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ電流センサ。
- 前記値kは、光学バイアスの温度依存係数と前記センサファイバにおけるファラデー回転角の温度依存係数との差を和で除した値に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ電流センサ。
- センサファイバに直線偏光を伝搬させ、該センサファイバの近傍に設置された導体を流れる被測定電流により生じる磁界によって前記直線偏光に付与されるファラデー回転角を検出することで、前記被測定電流を測定する電流測定方法において、
前記センサファイバからの出射光を偏波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離する過程と、
前記分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変換する過程と、
前記センサファイバからの出射光を光電気変換により第3信号に変換する過程と、
前記第1信号の直流成分と交流成分の比、前記第2信号の直流成分と交流成分の比、および前記第3信号の直流成分と交流成分の比を、1:−k:k−1(但しk>0)の割合で加算する過程と、
前記加算結果に基づいて前記ファラデー回転角を求める過程と、
を有することを特徴とする電流測定方法。
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-
2010
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