JP2004361196A - 光ファイバ電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】全光ファイバ型の光学系として構成し、信頼性の高い、低コストで、小型な光ファイバ電流センサを実現する。
【解決手段】電流導体10を周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバ8の両入射端又は一方の入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子27を設け、その円偏光をセンシングファイバ8に透過させて又は透過後に反射させて得られた出力光の偏光面の回転角から上記導体10に流れる電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子27として、一端から固有偏光軸に対して45゜方向に直線偏光が入射され、出射端から円偏光が得られるようにファイバ長が調整された偏波面保存光ファイバ20を設け、この偏波面保存光ファイバ20を温度補償パッケージ21に収納する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はファラディ効果を利用した光ファイバ電流センサ、特に全光ファイバ型の光学系として構成する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ電流センサは、一般に光ファイバをセンサ材料とし、サニャック干渉型又は反射型の光学系を用いて直流電流を測定する。光ファイバ電流センサは、光学計測の利点に加えて、光ファイバがセンサとなることで、大口径の領域を流れる電流や強い磁場中を流れる電流の計測が可能となる長所を有する。
【0003】
その検出原理は、光ファイバを電流による発生磁界中に発生磁界と同方向に置くと、その内部を通過する光の偏光面が磁界の強度に応じて回転するファラディ効果が生ずる。このため直線偏光を入射光とし、出力光の偏光面の回転角を計測すれば電流値を測定することができる。
【0004】
サニャック干渉型の光ファイバ電流センサでは、透過光の右回り円偏光成分と左回り円偏光成分が異なる位相変化を受けて、両円偏光に2θの位相差が発生するファラディ効果を利用し、この位相差2θを、光ファイバジャイロと同一の光学系で、干渉強度として検出する。
【0005】
反射型の光ファイバ電流センサでは、光ファイバの端部に反射部を設けて入射光を反射させ、光ファイバの内部に2回光を通過させて、検出感度を高めた構成とする。
【0006】
従来のサニャック干渉型の光ファイバ電流センサは、図5に示すように構成されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
すなわち、図5において、光源1から出た光は、第一の光カプラ2を透過し、偏光子3で直線偏光となった後に、第二の光カプラ4で2つに分離される。
【0008】
この第二の光カプラ4で反射した光は、位相変調器(PZT)5にて波型の変調を受けた後に、ダミーファイバ(遅延ファイバ)6を経て、直線偏光から円偏光に変更する偏光変換素子7に入る。偏光変換素子7は、図6に示すように、光ファイバ出射光を平行光にする2個のレンズ71、73と、そのレンズ間に挿入したバルク型のλ/4板72から構成されている。この偏光変換素子7に入射した光は、レンズ71を通った後にλ/4板72で円偏光となり、被測定電流の流れる導体10に巻き付けられた光ファイバより成るセンシングファイバ8へ入射する。
【0009】
また、センシングファイバ8を出射した光は、偏光変換素子7と同様に構成された偏光変換素子9のλ/4板で再び直線偏光となった後、第二の光カプラ4を透過するが、この時に偏光子3から出た後に、第二の光カプラ4にて透過した逆回りの光と再結合する。そして、この結合した光は、偏光子3を通り、第一の光カプラ2で分岐された後に、検出器11で検出される。
【0010】
上記において、光源1には波長λのSLDを用い、APC駆動により発光量を一定に保持する。直線偏光を得る目的で、偏光子3にはファイバ偏光子が採用され、変調強度の不足を補う目的でダミーファイバ6が用いられている。センシングファイバ8には、低複屈折性の石英光ファイバが用いられ、またセンシングファイバ以外の光伝送系の光ファイバには偏波面保存光ファイバが用いられている。
【0011】
信号処理回路では、位相変調器5を基本波f(22kHz)で駆動して透過光を位相変調することで、基本波S1、第2調波S2、第4調波S4の情報を取り出す。基本波S1はsin2θに比例しているので、被測定電流に比例した出力となる。一方、S2/S4が一定になるようにPZT駆動電圧を制御することで、位相変調の振幅を一定に保持する。
【0012】
【非特許文献1】
平成12年電気学会電力・エネルギー部門大会、第567の論文「光ファイバ直流CTの開発」、曽根、市ノ瀬
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光ファイバ電流センサにおいては、直線偏光から円偏光に変更する偏光変換素子7、9が、光ファイバ出射光を平行光にする2個のレンズ71、73と、その間に挿入したバルク型のλ/4板から構成されている。
【0014】
すなわち、従来の偏光変換素子は空間伝搬型の構成であり、このため次のような課題があった。
【0015】
(1) レンズ系の焦点合わせが複雑、困難であり、素子が高価になる。
【0016】
(2) レンズ系を使用すると振動、温度変化により光軸がずれる可能性があり、信頼性が低い。
【0017】
(3) 素子が大きくなるため、センサの小型化が難しい。
【0018】
(4) λ/4波長板の波長精度を確保するためには高価になる。空間伝搬させるためには無反射コーティングがセンサ性能を維持するために必要になり、高価になる。
【0019】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、全光ファイバ型の光学系として光ファイバ電流センサを構成し、信頼性の高い、低コストで、小型な光ファイバ電流センサを実現することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0021】
請求項1の発明に係る光ファイバ電流センサは、電流導体を周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバの両入射端又は一方の入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子を設け、その円偏光をセンシングファイバに透過させて又は透過後に反射させて得られた出力光の偏光面の回転角から上記導体に流れる電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子として、一端から固有偏光軸に対して45゜方向に直線偏光が入射され、出射端から円偏光が得られるようにファイバ長が調整された偏波面保存光ファイバを設けたことを特徴とする。
【0022】
この請求項1の発明には、次の二つの形態が含まれる。第一は、電流導体を周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバの両入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子を設け、その円偏光をセンシングファイバに透過させて得られた出力光の干渉強度から上記導体に流れる電流を測定するサニャック干渉型の光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子として、センシングファイバの両入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバを設けた形態である。具体的には、光源からの直線偏光を光カプラで右回り光(CW)と左回り光(CCW)に分岐し、偏光変換素子で円偏光に変換して、電流導体に周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバを透過させ、両円偏光に生じる位相差から上記導体に流れる電流を測定するサニャック干渉型の光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子として、センシングファイバの両入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバを設けた形態である。
【0023】
第二は、電流導体を周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバの一端の入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子を設け、その円偏光をセンシングファイバに透過させ、他端で反射させて、再びセンシングファイバに透過させて得られた出力光の干渉強度から、上記導体に流れる電流を測定する反射型の光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子として、センシングファイバの一端に、直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバを設けた形態である。
【0024】
本発明の請求項1に係る光ファイバ電流センサは、偏光変換素子を含め全光ファイバ型の光学系で構成されているため、従来の偏光変換素子をレンズ及びλ/4板で空間伝搬型として構成した場合に比べ、次のような利点がある。
【0025】
(1) 偏光変換素子にレンズ系が存在しないため、その焦点合わせの必要がなく、素子が安価になる。
【0026】
(2) 偏光変換素子にレンズ系が存在しないため、振動、温度変化により光軸がずれる可能性が少なく、より高い信頼性を確保し得る。この温度変化に対する高い信頼性は、本発明の偏光変換素子としての偏波面保存光ファイバを温度補償パッケージに収納することで、更に高められる。
【0027】
(3) 偏光変換素子にレンズ系が存在しないため、素子全体を小さく構成して、センサの小型化を図ることができる。
【0028】
(4) 偏光変換素子にレンズ系が存在しないため、無反射コーティングの必要がなく、またλ/4波長板と同程度の波長精度を容易に、且つ安価に確保することができる。
【0029】
よって、本発明によれば、全光ファイバ型の光学系として光ファイバ電流センサを構成したので、信頼性の高い、低コストで、小型な光ファイバ電流センサを実現することができる。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1記載の光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子としての偏波面保存光ファイバを温度補償パッケージに収納したことを特徴とする。
【0031】
この温度補償パッケージは、例えば負の線膨張係数を有する材料で構成するか、2種の材料を伸縮の向きが逆になるように組み合わせて構成することで、作製することができる。負の線膨張係数を有する材料としては、例えば液晶ポリマー、結晶化ガラス、結晶化セラミックス等を使用することができる。
【0032】
この請求項2の発明によれば、例えば偏波面保存光ファイバの一端から該光ファイバの固有偏光軸に対して45゜方向に直線偏光を入射し、出射端から円偏光が得られるように偏波面保存光ファイバ長を調整した後、温度補償パッケージに収納した構成であるので、周囲環境温度の変化に対し安定した電流検知性能を確保することができる。
【0033】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の光ファイバ電流センサにおいて、上記センシングファイバにスパンファイバを用いたことを特徴とする。
【0034】
スパンファイバ(ねじりファイバ)は、複屈折率をゼロに近づけた偏波分散が小さいファイバで、円偏光を安定に伝搬できる特徴があるのでセンシングファイバとして適する。センシングファイバとしては、市販のシングルモード光ファイバを高温でアニールして複屈折を低減し、センサに適用することも可能であるが、アニール処理が必要で、十分な性能が得られない問題がある。そこで、円偏光を安定に伝搬させるため、本発明(請求項3)のように、センシングファイバにはスパンファイバ(ねじりファイバ)を使用するのが良い。
【0035】
請求項4の発明は、請求項2又は3記載の光ファイバ電流センサにおいて、上記直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバの結合長をL、全使用温度範囲における温度補償パッケージの伸縮幅をΔlとしたとき、Δl≦L/40の関係が維持されるように、上記結合長Lを伸縮補償誤差に対して十分長くした偏波面保存光ファイバを使用したことを特徴とする。
【0036】
λ/4板を光ファイバで構成するには、直交する2偏光間にλ/4波長相当の伝搬時間差を与える必要がある。一方、結合長Lとは、直交する2偏光間に、λ相当の伝搬時間差を与える光ファイバ長である。従って、λ/4光ファイバ長が変化すると、円偏光は直線偏光になってしまう。そこで、全使用温度範囲におけるパッケージの伸縮幅Δlは、L/4の10%以下である必要があり、本発明(請求項4)では、Δl≦L/40の範囲に限定し、円偏光の適正な伝搬関係を確保する。
【0037】
このように温度補償パッケージの伸縮補償誤差に対して偏波面保存光ファイバの結合長を十分長く設計しておけば、温度変化により光ファイバが多少伸縮しても直交する偏波間の位相差に与える影響は十分小さく、出射側円偏光の状態を安定に保つことができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0039】
図1に本発明の実施形態に係るサニャック干渉型の光ファイバ電流センサの構成を示す。この光ファイバ電流センサの基本構成と動作原理は、偏光変換素子7、9の代わりに偏光変換素子27、29が用いられている点、及びセンシングファイバ8にスパンファイバ(ねじりファイバ)が用いられている点を除き、図5と同様であり、電流導体10を周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバ8の両入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子27、29を設け、その円偏光をセンシングファイバ8に透過させて得られた出力光の偏光面の回転角から上記導体10に流れる電流を測定する構成となっている。
【0040】
すなわち、図1において、光源1から出た光は、第一の光カプラ2を透過し、偏光子3で直線偏光となった後に、第二の光カプラ4で2つに分離される。この第二の光カプラ4で反射した光は、位相変調器(PZT)5にて波型の変調を受けた後に、ダミーファイバ(遅延ファイバ)6を経て、直線偏光から円偏光に変更する偏光変換素子27に入り、ここで直線偏光から円偏光となり、被測定電流の流れる導体10に巻き付けられた光ファイバ(スパンファイバ)より成るセンシングファイバ8へ入射する。また、センシングファイバ8を出射した光は、偏光変換素子27と同様に構成された偏光変換素子29で再び直線偏光となった後、第二の光カプラ4を透過し、この時に偏光子3から出た後に、第二の光カプラ4にて透過した逆回りの光と再結合する。そして、この結合した光は、偏光子3を通り、第一の光カプラ2で分岐された後に、検出器11で検出される。
【0041】
上記偏光変換素子27、29の構成を図2に示す。図示するように、偏光変換素子27、29は、一端から固有偏光軸に対して45゜方向に直線偏光が入射され、出射端から円偏光が得られるようにファイバ長が調整された偏波面保存光ファイバ20(図3)を偏光変換素子本体とし、これを温度補償パッケージ21に収納したものから構成されている。温度補償パッケージ21には、光カプラ4側の伝送光ファイバ(偏波面保存光ファイバ)22及びセンシングファイバ8(スパンファイバ23)が、両者が同軸的に対向して位置するように、ホルダ24にて固定されている。偏光変換素子本体としての偏波面保存光ファイバ20は、これら光カプラ4側の伝送光ファイバ22及びセンシングファイバ8との接続点(図2中に、接続1、接続2として示す。)を含め、温度補償パッケージ21内に収納される。この温度補償パッケージ21自体とホルダ24には、温度変化に対して互いに伸縮の向きが逆になる材料が用いられている。
【0042】
かかる偏光変換素子27、29は次のようにして作製する。図3のように、偏光変換素子本体としての偏波面保存光ファイバ20に関し、その固有偏光軸に対して45゜方位に直線偏光を入射したとき、出射光が円偏光になるように偏波面保存光ファイバ20の光ファイバ長を調節する。この偏波面保存光ファイバ20の一端に、直線偏光を伝搬する偏波面保存光ファイバ(伝送光ファイバ22)の固有偏光軸を45゜ずらして接続し、もう一端に、センシングファイバ8としてのスパンファイバ(ねじりファイバ)23を接続する。そして、これらの接続点(接続1、接続2)が温度補償パッケージ21内に収納されるように配置し、光ファイバ全体の両端を、図2のように2種材料A、Bで構成した温度補償パッケージ21に、つまりホルダ24(材料A)を介して温度補償パッケージ21(材料B)に接着剤で固定する。このとき光ファイバに若干のプレテンションを加える。
【0043】
上記構成の偏光変換素子27、29を、図5のλ/4板を用いた偏光変換素子7、9の位置に差し換えた光学系で電流センサを構成する。
【0044】
温度補償パッケージ21に光ファイバを固定する際には、プレテンションを加える必要があるため、偏波面保存光ファイバ20からの出射光が円偏光になるよう、光ファイバ長とプレテンション歪を調整する必要がある。上記直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバ20の結合長をL、全使用温度範囲における温度補償パッケージ21の伸縮幅をΔlとしたとき、Δl≦L/40の関係が維持されるようにする。その理由として、λ/4板を光ファイバで構成するには、直交する2偏光間にλ/4波長相当の伝搬時間差を与える必要がある。一方、結合長Lとは、直交する2偏光間に、λ相当の伝搬時間差を与える光ファイバ長である。従って、λ/4光ファイバ長が変化すると、円偏光は直線偏光になってしまう。そこで、全使用温度範囲におけるパッケージの伸縮幅Δlは、L/4の10%以下に抑える必要があるためである。このように温度補償パッケージの伸縮補償誤差に対して偏波面保存光ファイバ20の結合長Lを十分長くしておけば、温度変化により光ファイバが多少伸縮しても直交する偏波間の位相差に与える影響は十分小さく、出射側円偏光の状態を安定に保つことができる。
【0045】
このような温度補償パッケージの構成としては、上記した2種の材料(ホルダ24の材料A、温度補償パッケージ本体の材料B)を伸縮の向きが逆になるように組み合わせる構成の他、温度補償パッケージを負の線膨張係数を有する材料で構成してもよい。
【0046】
上記のようにセンシングファイバの両入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバ20を、偏光変換素子27、29として設けた光ファイバ電流センサの測定原理は、次の通りである。光源1からの直線偏光を光カプラ4で右回り光(CW)と左回り光(CCW)に分岐し、偏光変換素子27、29で円偏光に変換して、電流導体10に周回させたセンシングファイバ8を透過させる。磁界方向に対して右回り光(CW)と左回り光(CCW)は観測位置が逆であるから、ファラディ効果による位相変化θは、それぞれ、進みθと遅れθになる。この結果、光カプラ4で再び結合された光は、2θの位相差を受けた干渉光となる。この干渉強度を測定して位相差θを求めることで、磁界の発生源である電流を測定する。
【0047】
本発明は反射型の構成にも適用することができる。図4に反射型の光ファイバ電流センサについての実施形態を示す。これは、電流導体10に周回させた光ファイバ(スパンファイバ)よりなるセンシングファイバ8の一端の入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子27を設け、その円偏光をセンシングファイバ8に透過させ、他端で反射させて再びセンシングファイバ8に透過させ、得られた出力光の偏光面の回転角から、上記導体10に流れる電流を測定する構成となっている。なお、図1と同じ構成要素には、同一番号を付して説明を省略する。ただし、この反射型の光ファイバ電流センサにおいては、偏光子3と位相変調器5との間にデポライザ(偏光解消子)12が設けられている。デポライザは、直交した2偏光間に光源の可干渉距離を超える差(伝搬時間差)を与え、2偏光の相関を解消するためのデバイスである。偏光を解消すると言っても、偏波面を消失させるものではなく、偏光方向を回転方向に等確率にするものである。
【0048】
上記実施形態では、センシングファイバとしてスパンファイバを用いたが、センシングファイバには低複屈折特性を有するシングルモード光ファイバや鉛ガラス光ファイバを用いることもできる。
【0049】
また上記実施形態では、温度補償パッケージ21自体とホルダ24の材料が、互いに伸縮の向きが逆になる2種の材料の組み合わせとなるように構成したが、温度補償パッケージ21を負の線膨張係数を有する材料で構成することもできる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電流導体を周回させたセンシングファイバの両入射端又は一方の入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子を設けたサニャック干渉型又は反射型の光ファイバ電流センサにおいて、上記偏光変換素子として、一端から光ファイバの固有偏光軸に対して45゜方向に直線偏光を入射し、出射端から円偏光が得られるように光ファイバ長を調整した偏波面保存光ファイバを設け、好ましくは、この偏波面保存光ファイバを温度補償パッケージに収納し、この素子を光ファイバ電流センサに組み込んだ構成としたので、次のような優れた効果が得られる。すなわち、本発明の光ファイバ電流センサは、全光ファイバ型の光学系により構成されるので、レンズとλ/4板から成る空間伝搬型の偏光変換素子を用いた従来の光ファイバ電流センサに比べ、振動、温度変化など外部環境の変化に対して安定である。また、従来のレンズ系の空間光軸合わせが不要であり、レンズ等の部品コストが削減できるので製造コストを下げることができ、小型化及び量産化も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るサニャック干渉型の光ファイバ電流センサを示す構成図である。
【図2】本発明の光ファイバ電流センサにおける偏光変換素子として機能する温度補償パッケージの断面図である。
【図3】図2の温度補償パッケージの構成要素である偏波面保存光ファイバの入出射光の偏光状態を説明する図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る反射型の光ファイバ電流センサを示す構成図である。
【図5】従来のサニャック干渉型の光ファイバ電流センサを示す構成図である。
【図6】従来の光ファイバ電流センサにおける偏光変換素子の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 第一の光カプラ
3 偏光子
4 第二の光カプラ
5 位相変調器
6 ダミーファイバ
8 センシングファイバ
10 導体
11 受光器
20 偏波面保存光ファイバ
21 温度補償パッケージ
22 伝送光ファイバ(偏波面保存光ファイバ)
23 スパンファイバ
24 ホルダ
27 偏光変換素子
29 偏光変換素子

Claims (4)

  1. 電流導体を周回させた光ファイバよりなるセンシングファイバの両入射端又は一方の入射端に、直線偏光から円偏光に変換する偏光変換素子を設け、その円偏光をセンシングファイバに透過させて又は透過後に反射させて得られた出力光の偏光面の回転角から上記導体に流れる電流を測定する光ファイバ電流センサにおいて、
    上記偏光変換素子として、一端から固有偏光軸に対して45゜方向に直線偏光が入射され、出射端から円偏光が得られるようにファイバ長が調整された偏波面保存光ファイバを設けたことを特徴とする光ファイバ電流センサ。
  2. 上記偏光変換素子としての偏波面保存光ファイバを温度補償パッケージに収納したことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ電流センサ。
  3. 上記センシングファイバにスパンファイバを用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ電流センサ。
  4. 上記直線偏光から円偏光に変換する偏波面保存光ファイバの結合長をL、全使用温度範囲における温度補償パッケージの伸縮幅をΔlとしたとき、Δl≦L/40の関係が維持されるように、上記結合長Lを伸縮補償誤差に対して十分長くした偏波面保存光ファイバを使用したことを特徴とする請求項2又は3記載の光ファイバ電流センサ。
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