JP2011214836A - 熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(B面)にピラミッド、プリズム、レンチキュラーのようなレンズ形状(微細凹凸形状)が賦型された熱可塑性樹脂プラスチックを連続成型する際、熱可塑性樹脂シート中の熱可塑性樹脂の炭化物、ホコリ、虫、等の異物や、気泡、傷、賦型不良等の欠陥を精度よく検出する方法が望まれている。
【解決手段】
本発明は前記目的を達成するための第1の実施形態として、片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(A面)に凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートを連続成型する際、B面から散乱光を照射しA面上部位置で透過光をCCDカメラを使い検知することにより欠陥を検出する熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法を提供する。
【選択図】図1
片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(B面)にピラミッド、プリズム、レンチキュラーのようなレンズ形状(微細凹凸形状)が賦型された熱可塑性樹脂プラスチックを連続成型する際、熱可塑性樹脂シート中の熱可塑性樹脂の炭化物、ホコリ、虫、等の異物や、気泡、傷、賦型不良等の欠陥を精度よく検出する方法が望まれている。
【解決手段】
本発明は前記目的を達成するための第1の実施形態として、片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(A面)に凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートを連続成型する際、B面から散乱光を照射しA面上部位置で透過光をCCDカメラを使い検知することにより欠陥を検出する熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法及びその欠陥検査方法を用いる熱可塑性樹脂シートの製造方法に関する。
熱可塑性樹脂は重量、加工のし易さなどの観点から、木材、金属、ガラス等の代替材料として広く使用されている。特にシート材は、従来、木材、金属等が利用されていた屋根材、外壁材などの外装材料、天板、内壁材などの内装材料、屋外の看板などの材料として、広く使用されている。この中でも透明熱可塑性樹脂成形品およびそのシート材はガラスに代わる材料として利用されている。中でもポリカーボネート樹脂およびそのシート材料は耐熱性、耐衝撃性、透明性に優れているため、透光性材料として採光部材などの建材用途、自動車窓用の耐衝撃透明材用途、フラットパネル表示装置や電子情報機器の光学部材などに広く使用されている。
このような熱可塑性樹脂シートの表面は、光沢のある平滑なもの以外に、微細な不規則な凹凸パターンを有するものや、2次元的、3次元的に規則性のある凹凸パターンを有するものが挙げられ、押出成形時に転写ロールを利用して連続的に賦型することが一般的である。
片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(B面)にピラミッド、プリズム、レンチキュラーのようなレンズ形状(微細凹凸形状)が賦型された熱可塑性樹脂プラスチックを連続成型する際、熱可塑性樹脂シート中の熱可塑性樹脂の炭化物、ホコリ、虫、等の異物や、気泡、傷、賦型不良等の欠陥を精度よく検出する方法が望まれている。
シート表面の微細凹凸形状は、微細凹凸形状に基づく設計性能が充分に発現するよう、外周面上に該凹凸形状の反転形状が形成された金属製ロールに、溶融して軟化状態の熱可塑性樹脂シートを導き、該ロールの凹凸パターンをシートに転写することにより賦型される。このようにして成形された熱可塑性樹脂シートを光学部材として使用するためには、微細な欠陥のあるシートを除く必要がある。より効率的には製造ラインで微細な欠陥のあるシートを除くことが好ましい。
特許文献1には両面とも鏡面の透明樹脂シートの製造方法において、透明樹脂シート上方に設置した光源により光を照射し、該透明樹脂シートの裏側に設置した白板に写る影を該透明樹脂シート越しに検出することによって、透明樹脂シートの外観上の欠点を検出する透明樹脂シートの検査方法およびかかる検査方法により得られる透明樹脂シートの製造方法が開示されている。
しかしながら、この方法ではシートにレンズ形状が賦型された樹脂シートに適応したときに精度良く検出するのは、不十分である。
片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(B面)にピラミッド、プリズム、レンチキュラーのようなレンズ形状(微細凹凸形状)が賦型された熱可塑性樹脂プラスチックを連続成型する際、熱可塑性樹脂シート中の熱可塑性樹脂の炭化物、ホコリ、虫、等の異物や、気泡、傷、賦型不良等の欠陥を精度よく検出する方法が望まれている。
しかしながら、近年の液晶フラットパネルディスプレイの光源ユニット部材に用いられる、高輝度で高輝度均整度を達成するために必須となる微細で、高度な寸法精度再現性を有する表面凹凸形状(例えば、数十ミクロンから数百ミクロン単位のマイクロレンズアレイ)を有する欠陥のない熱可塑性樹脂シートの押出機による連続生産は、特許文献1記載されている方法では、達成不可能である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上記の課題を解決し、本来の設計性能を充分に発揮する微細な凹凸形状付熱可塑樹脂シートの欠陥検査方法の提供を目的とする。またこのような欠陥検査方法を用いる熱可塑性樹脂シートの製造方法の提供を目的とする。
本発明は前記目的を達成するための第1の実施形態として、片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(A面)に凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートを連続成型する際、B面から散乱光を照射しA面上部位置で透過光をCCDカメラを使い検知することにより欠陥を検出する熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法を提供する。
また、第2の実施形態として、前記第1の実施形態において、前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートの光線透過率が40〜99%であることを特徴とする熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法を提供する。
第3の実施形態として、前記第1、2の実施形態において、前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートの厚みが0.05〜5mmであることを特徴とする熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法を提供する。第4の実施形態として、前記第1、2、3の実施形態において、前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートのA面のRaが0.001〜20μmであることを特徴とする熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法を提供する。第5の実施形態として、前記第1〜4の実施形態において、前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートのB面に賦型された形状の頂部と頂部の間隔(ピッチ)が10〜300μmであることを特徴とする熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法を提供する。
このようにして製造された熱可塑性樹脂シートは、シートに大きな欠陥がないため、特に、光学シートとして優れた性能を発揮する。
以上説明したように、本発明によれば、本来の設計性能を充分に発揮する大きな欠陥の無い熱可塑性樹脂シートを効率よく製造することが出来る。
1:ダイ
2:第1ロール
3:第2ロール
4:表面賦型ロール
5a:巻取りロールa
5b:巻取りロールb
2:第1ロール
3:第2ロール
4:表面賦型ロール
5a:巻取りロールa
5b:巻取りロールb
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は機能性を発揮するための精密な凹凸形状を少なくとも片面に備える凹凸パターン付き熱可塑樹脂シートの欠陥検査方法に関する。
本発明の熱可塑性樹脂シート(本発明では「シート」と「フィルム」とは同義で用い、共に厚みが0.05〜5mmの樹脂成形体を指す。以下、統一して「シート」と記す。)の製造方法は、従来、シートの製造に用いられている熱可塑性樹脂のいずれにも適用できる。
<工程と装置の基本構成>
本発明の凹凸パターン付き熱可塑樹脂シートの製造方法は、押出機から押し出されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、第1ロール及び第2ロールの2本のロールの間隙を通過させ、圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を得る工程と、前記圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、そのまま第2ロールに、次いで3本目の第3ロールに順に外接させて移送する工程、散乱光を照射する装置、欠陥を検知するためのCCDカメラ及びデータ処理装置、欠陥のある場所に印をつける装置、続いてシート状溶融熱可塑性樹脂を巻取りロールにより巻き取るか又は所定の長さに切断する工程を有する製造方法を好ましく採用することができる。
本発明の凹凸パターン付き熱可塑樹脂シートの製造方法は、押出機から押し出されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、第1ロール及び第2ロールの2本のロールの間隙を通過させ、圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を得る工程と、前記圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、そのまま第2ロールに、次いで3本目の第3ロールに順に外接させて移送する工程、散乱光を照射する装置、欠陥を検知するためのCCDカメラ及びデータ処理装置、欠陥のある場所に印をつける装置、続いてシート状溶融熱可塑性樹脂を巻取りロールにより巻き取るか又は所定の長さに切断する工程を有する製造方法を好ましく採用することができる。
本発明に用いる押出機としては、単軸タイプ、二軸タイプ、二軸以上の多軸タイプの何れを用いてもよい。重合時のオリゴマーや成形時に発生する低分子化合物および成形機内に溶存している酸素・水分等を取り除く為にベントを設けることが好ましい。尚、ベントの真空度としては500ヘクトパスカル以下が好ましく、より好ましくは200ヘクトパスカル以下である。尚、厚み精度や微細な凹凸形状の賦形の観点から溶融混練した材料を定量的に吐出する為にギアポンプを設けることが好ましい。
熱可塑性樹脂シート表面に紫外線吸収や帯電防止等機能を付与することを目的として多層化する場合には多層の押出装置を設けることができる。多層化に際しては、フィードブロック方式およびマルチマニホールド方式の何れを用いてもよい。尚、多層用に用いる押出機は前述のものを好適に用いることができる。
Tダイとしては、チョークバー方式を用いることが、連続生産時における安定性を確保する上で必須となる。尚、厚み精度の観点からネジ式ベンディングリップやヒートボルト式ベンディングリップを用いることが好ましい。オンライン厚み測定機やバンクモニター等からフィードバックされるヒートボルト式ベンディングリップ付きの自動Tダイを用いることも可能である。
<ロール配置>
前記実施形態を本発明の図1を例に、本発明のロールの配置について説明する。図2は押出機のダイ(1)から押し出されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、第1ロール(2)及び第2ロール(3)の2本のロールの間隙を通過させ、圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を得る工程と前記圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、そのまま第2ロール(3)に、次いで3本目の第3ロール(4)に順に外接させて移送する工程と、続いて表面賦型されたシート状溶融熱可塑性樹脂を第3ロール(4)から剥離、移送するための巻取りロール(5a、5b)を有する製造方法を示している。
前記実施形態を本発明の図1を例に、本発明のロールの配置について説明する。図2は押出機のダイ(1)から押し出されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、第1ロール(2)及び第2ロール(3)の2本のロールの間隙を通過させ、圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を得る工程と前記圧延されたシート状溶融熱可塑性樹脂を、そのまま第2ロール(3)に、次いで3本目の第3ロール(4)に順に外接させて移送する工程と、続いて表面賦型されたシート状溶融熱可塑性樹脂を第3ロール(4)から剥離、移送するための巻取りロール(5a、5b)を有する製造方法を示している。
第1ロール(2)は、シートの厚みを決める為の重要なロールであるので、表面加工されたロールではなく鏡面ロールが好ましく用いられる。また、線圧の影響を受け厚み精度が不十分な場合は太鼓型のクラウニングロールを用いることができる。第2ロール(3)は平滑面を作成するための鏡面ロール、マット、エンボスなどを転写する為のエンボスロール、さらに必要に応じて第3ロールでの厳密な賦型を必要としないレベルの凹凸形状やシリンドリカルな光学要素を賦型するためのロールのうち、いずれか一つが選択される。第2ロール(3)は鏡面、マット、エンボス形状が賦型されるように表面加工されたロールであり本ロールの表面には転写により熱可塑性シート表面にRaが0.001〜20μmのパターンを賦型するめための反転形状が彫刻されている(この面をB面とする)。
RaとはJIS B 0601−2001で規定されている算術平均粗さとする。
RaとはJIS B 0601−2001で規定されている算術平均粗さとする。
第3ロール(4)は微細な凹凸形状がシートに賦型されるように表面加工された凹凸形状賦型ロールであり、本ロールの表面には転写により、熱可塑性樹脂シート表面に、賦型された形状と形状の間隔(ピッチ)が300μm以下の凹凸パターンを賦型するための反転形状が彫刻されている(この面をA面とする)。
また、成型ロールの空間的な配置としては、垂直配置・水平配置・斜め配置・多角配置の何れを用いても良い。垂直配置に関しては、上中ロール間隙および下中ロール間隙のいずれから成形を行っても良い。
<ロールの温度>
図1の実施形態を選択する場合、第1〜第3ロールの温度は調節可能である。本発明で使用する熱可塑性樹脂樹脂によって選択される。一般に、第1〜第3ロールはシートを成型すると同時に、熱可塑性樹脂を冷却することを目的としている為、各ロールの温度はダイからの熱可塑性樹脂の吐出温度より小さく設定される。
図1の実施形態を選択する場合、第1〜第3ロールの温度は調節可能である。本発明で使用する熱可塑性樹脂樹脂によって選択される。一般に、第1〜第3ロールはシートを成型すると同時に、熱可塑性樹脂を冷却することを目的としている為、各ロールの温度はダイからの熱可塑性樹脂の吐出温度より小さく設定される。
吐出温度は押出機温度やダイの温度等によって調節される。本発明の場合、ダイの温度設定(Td)は好ましくは、成型を行う際に主体となる熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とすると、Tg+100℃〜Tg+150℃、更に好ましくはTg+110℃〜Tg+140℃である。この温度よりも低い場合は、熱可塑性樹脂の円滑な吐出が困難となる。逆に高い場合は、成形品にフローマークの発生や皺が入り易くなり好ましくない。
<ロールの形状、材質>
本発明において、第1ロール、第2ロール、第3ロール、さらには第4ロールであるテイクオフロールは、シートを形成する熱可塑性樹脂を成型可能な温度まで調整できるまで加熱、冷却しても変形等を生じない材料であればよく、通常は金属がよく用いられる。これらのロールは、それぞれ独立して熱媒、ヒーター等で任意の温度に調節可能であり、また、ロールの回転数もそれぞれ独立して、調整可能である必要がある。
本発明において、第1ロール、第2ロール、第3ロール、さらには第4ロールであるテイクオフロールは、シートを形成する熱可塑性樹脂を成型可能な温度まで調整できるまで加熱、冷却しても変形等を生じない材料であればよく、通常は金属がよく用いられる。これらのロールは、それぞれ独立して熱媒、ヒーター等で任意の温度に調節可能であり、また、ロールの回転数もそれぞれ独立して、調整可能である必要がある。
巻取りロールは、樹脂材料の凹凸形状を損なうことがなく、また、ローラのスリップも生じにくい材料であればどのような材料で構成されていても良い。例えば、表面をJIS K6301で規定するゴム硬度で60〜90度の材料などを採用することが出来る。ローラ表面がこのようなゴム硬度の巻取りロールを使用すれば、樹脂材料の凹凸形状を損なうことがなく、また、ローラのスリップも生じ難く効率よくシートが製造できる。巻取りロールの表面形状は、第1、第2、第3ロールで賦型された表面形状を変形させることなく、スリップなどの走行障害もなく巻取りが出来れば、どのような形状でも構わない。ロールの回転数は、それぞれの巻取りロール、第1〜3ロールと独立で調整可能である。巻取りロールの温度調整は通常必要ないが、可能であっても構わない。
<欠陥検出器>
本発明における欠陥検出器の光源は蛍光灯、LED、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプのいずれを用いても良い。前述の光源を拡散光にするため、光源とシートのB面の間に表面にマット、エンボス形状が賦型されたプラスチック板やガラス板または乳半のプラスチック板、スリガラス板を設置する。
本発明における欠陥検出器の光源は蛍光灯、LED、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプのいずれを用いても良い。前述の光源を拡散光にするため、光源とシートのB面の間に表面にマット、エンボス形状が賦型されたプラスチック板やガラス板または乳半のプラスチック板、スリガラス板を設置する。
光源はシートと垂直に設置され、その延長線上のA面の上部位置、すなわち、A面から垂直上に300〜800mmの位置に検出器であるCCDカメラを設置するのが好ましい。CCDカメラは視野を考慮しシート幅全体が検出可能なように1台以上設置され、画像処理用のコンピューターに接続されている。画像処理の分解能は流れ方向、幅方向ともに65μm以上が好ましい。さらに欠陥のある位置に印をつけるための画像処理用のコンピューターと連動したラベラーまたは印字装置を取り付けるのが好ましい。
つづいて、本発明で製造される光学シートについて説明する。
<光学シートの熱可塑性樹脂>
本発明に係る光学シートを構成する熱可塑性樹脂は、透明なものであり且つ光学シートの主な構成要素として適度な強度を有するものであれば特に制限されない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリ(p−メチルスチレン)などのスチレン系樹脂;MS樹脂(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体);ノルボルネン系樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;これらのうち2種以上の混合樹脂などを用いることができる。好適にはポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂またはノルボルネン系樹脂を用いる。中でもポリカーボネート樹脂は、透明性や耐熱性、加工性に優れており、且つそれらのバランスがよいので光学シート用の樹脂として特に好ましい。
<光学シートの熱可塑性樹脂>
本発明に係る光学シートを構成する熱可塑性樹脂は、透明なものであり且つ光学シートの主な構成要素として適度な強度を有するものであれば特に制限されない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリ(p−メチルスチレン)などのスチレン系樹脂;MS樹脂(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体);ノルボルネン系樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;これらのうち2種以上の混合樹脂などを用いることができる。好適にはポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂またはノルボルネン系樹脂を用いる。中でもポリカーボネート樹脂は、透明性や耐熱性、加工性に優れており、且つそれらのバランスがよいので光学シート用の樹脂として特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法で反応させて得られるものである。二価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは単独または2種以上を混合して使用できる。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂としては、界面重縮合法(一般名称;ホスゲン法)によって得られたポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。尚、押出機やニーダー等によって樹脂を溶融処理していないポリカーボネート樹脂を用い、直接シート押出を行うことが、熱履歴によるシートの着色を低減できる点でより好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は粘度平均分子量で表して通常15,000〜40,000、好ましくは18,000〜35,000である。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10−4M0.83
(但しc=0.7、[η]は極限粘度)。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10−4M0.83
(但しc=0.7、[η]は極限粘度)。
本発明のポリカーボネート樹脂には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために、さらにリン含有熱安定剤を使用することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられる。
具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクダデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオキソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニルホスホナイト、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられ、なかでもトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニルホスホナイトが好ましい。
これらの熱安定剤は、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の使用量は、該共重合ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂ブレンド物100重量部に対して0.001〜0.15重量部が好ましい。
さらに本発明のポリカーボネート樹脂には、微細な凹凸形状賦型ロールからの離型性を改良する目的等で脂肪酸エステル化合物を配合することができる。
かかる脂肪酸エステルとしては、炭素数1〜20の一価または多価アルコールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルや全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる脂肪酸エステルの使用量は、該共重合ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂ブレンド物100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂光拡散板には、上記成分以外に目的及び効果を損なわない範囲で他の成分、例えば、トリアゾール系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤、オレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩や、高級アルコールのリン酸エステル類、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、脂肪酸多価アルコールエステル、アルキルアミンもポリオキシエチレン付加物などの帯電防止剤、ブルーイング剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェニレンエーテル等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤等の添加剤を必要に応じてその発現量配合してもよい。
<熱可塑性樹脂シートの用途分野>
本発明の熱可塑性シートは、内装材や採光シート、屋内外のディスプレイ用照明シートなどの建材用途にも用いることができるが、特にフラットパネルディスプレイの各種光学シートに用いるのが最適であり、液晶表示装置のバックライトを構成する光を拡散したり、特定の方向に集光したりするためのレンズ付光学シート、直下型バックライトに用いられるマイクロレンズ付拡散板、あるいはエッジライト型バックライトに用いられ画面全体が均一な輝度に偏向拡散させるための導光板やさらに視野角方向に集光を行うマイクロレンズ付導光板などに最適に用いることができる。
本発明の熱可塑性シートは、内装材や採光シート、屋内外のディスプレイ用照明シートなどの建材用途にも用いることができるが、特にフラットパネルディスプレイの各種光学シートに用いるのが最適であり、液晶表示装置のバックライトを構成する光を拡散したり、特定の方向に集光したりするためのレンズ付光学シート、直下型バックライトに用いられるマイクロレンズ付拡散板、あるいはエッジライト型バックライトに用いられ画面全体が均一な輝度に偏向拡散させるための導光板やさらに視野角方向に集光を行うマイクロレンズ付導光板などに最適に用いることができる。
シートの厚みは、0.05〜5mm程度であれば特に制限はないが、特にフラットパネルディスプレイの光学シートとして用いる場合、パネル自体の軽量化や薄肉化が望まれており、シート厚は4mm以下とすることが好ましい。また、各種光学シートは透明樹脂のみで構成されていてもよいが、光拡散性を調整するために、光拡散性粒子の光散乱作用に基づく光拡散層を設けてもよい。光拡散層は、シート全体、凹凸形状を賦型された厚さの層のみ、凹凸形状を賦型されている厚さの層以外の全体、出光面表層のみ、入光面表層のみあるいは、中間層に均一、あるいはランダムに配置させてよい。
光拡散層を設ける場合の厚さは、光学シートの厚みに応じて適宜調整することができ特に制限されないが、通常は0.001mm以上とする。0.001mm未満であると光拡散作用が十分に発揮できない。
<光拡散性粒子>
光拡散性粒子の材質としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、これらの共重合体などの合成樹脂;ガラス;スメクタイト、カオリナイトなどの粘土化合物;シリカ、アルミナなどの無機酸化物;などが挙げられる。これらの材質のうち、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シリカが特に好適である。
光拡散性粒子の材質としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、これらの共重合体などの合成樹脂;ガラス;スメクタイト、カオリナイトなどの粘土化合物;シリカ、アルミナなどの無機酸化物;などが挙げられる。これらの材質のうち、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シリカが特に好適である。
光拡散層の光拡散性微粒子の配合量は、形成する光拡散層の厚さ、光拡散性微粒子のサイズやシートを構成する熱可塑性樹脂との屈折率差などにより、適宜調整する必要があるが、通常は光学シートを構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、20質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上、10質量部以下である。使用量が0.005質量部未満であると、光学シート全体を光拡散層とした場合でも光拡散効果が充分に発揮できない恐れがある。逆に、使用量が20質量部を超えると、光学シートの押出成形が困難になることや、透過する光量が減少し、輝度が低下するためシートの欠陥が精度よく検知されない。従って、シートの光線透過率は40%以上が好ましく、より好ましくは45〜100%である。
特に、光拡散剤としてラジカル重合により得られる有機微粒子を用いる場合には、微粒子の原料モノマーとして、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなどのスチレン類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのマレイミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル類;N−ビニルピロリドン;の1種、或いはこれらのうち2種以上を混合して用いることができる。
また、光拡散剤としてラジカル重合により得られる架橋有機微粒子を用いる場合には、上記組成に加え、架橋微粒子の原料モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビスヒドロキシエチルビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;ジビニロキシエトキシ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどのラジカル重合性架橋剤;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどの多官能エポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの多官能イソシアネート化合物;N−メチロールメラミン、N−メチロールベンゾグアナミンなどの多官能メチロール化合物;の1種、或いはこれらのうち2種以上を混合して用いることができる。
本発明に係る有機微粒子の屈折率は、光拡散層を構成する熱可塑性樹脂の屈折率とは異なるものとする。同一の屈折率を有する有機微粒子を用いると光は屈折されず、輝度の均整度を十分に高めることはできない。しかしその一方で、樹脂の屈折率は種類により異なるので、有機微粒子を構成する樹脂と熱可塑性樹脂との種類を異なるものにすればよい。また、粒子の選択として、架橋性の粒子と、そうでない粒子を混合して使用することも出来る。
本発明の有機微粒子または熱可塑性樹脂の少なくとも一方へは、さらに酸化防止剤を配合してもよい。酸化防止剤は加熱成形時における酸化や劣化による有機微粒子の着色を抑制することができるので、本発明の光学シートを適用した光源ユニットの輝度をより確実に発揮せしめることができる。
酸化防止剤としては従来公知のものを用いることができる。例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]やオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトやトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンなどのリン系酸化防止剤;芳香環を有するものとして、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など、芳香環を有さないものとして、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などの硫黄系酸化防止剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物などのラクトン系酸化防止剤;還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物などのヒドロキシルアミン系酸化防止剤;3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどのビタミンE系酸化防止剤などを使用できる。酸化防止剤の使用量は適宜調整すればよいが、通常、有機微粒子全体に対して0.005質量%以上、0.3質量%以下程度添加すればよい。
<光学シート上の凹凸形状>
本発明の光学シートの少なくとも一方の表面(A面)にはRaが20μm以下の表面粗さのマット、エンボス、鏡面が賦型されており、もう一方の表面(B面)には複数の微細な凹凸形状が賦型されている。
本発明の光学シートの少なくとも一方の表面(A面)にはRaが20μm以下の表面粗さのマット、エンボス、鏡面が賦型されており、もう一方の表面(B面)には複数の微細な凹凸形状が賦型されている。
微細な凹凸形状の具体的な寸法として、頂部と頂部の間隔(ピッチ)が300μm以下である。光学特性の発現と凹凸形状の賦型再現性の点からはさらに、10〜200μmが好ましい。このような微細な凹凸形状は光学特性を種々調整するうえでは望ましい寸法であったが、これまでの押出成形による方法では、このような微細な凹凸形状を再現性良くシート表面に賦型することが困難であり、本発明の製造方法を採択することにより可能となったのである。
微細な凸形状を有する光学シートとしては、液晶パネルのバックライトに用いられる光拡散板、マイクロレンズシート、導光板などがあり、線状光源である冷陰極管や点光源であるLEDからの特定の視野角方向に均一な輝度分布を発現させるために用いることができる。また、微細な凹形状を有する光学シートは、同じく液晶パネルのバックライトに用いられる光拡散性の入光面を有する光拡散板や、光入射面に対し垂直方向に均一に出光させるための切り込み構造を有する導光板などがある。
微細な凹凸形状としては、切断球凹凸形状、切断楕円体凹凸形状、円錐凹凸形状、切断円錐凹凸形状、三角錐凹凸形状、切断三角錐凹凸形状、四角錐凹凸形状、切断四角錐凹凸形状、多角錐凹凸形状、切断多角錐凹凸形状など、底面積より凸部最高部の面積が小さく、あるいは底面積より凹部最深部の面積が小さく、いずれも底面から最高部や最深部にかけて順次に細くなっている形状である限り特に制約はなく、目的とする光学特性に応じて形状を設計することができる。
各々の凹凸形状は必ずしも同じ形状である必要はなく、底面積や底面から最高部または最深部までの高低差が異なっていてもよい。これら一つの凹凸形状、あるいは異なる凹凸形状が、あるルールに基づき規則性をもって賦型されていてもよいし、ランダムに賦型されていても構わず、それぞれの光学設計に基づき微細な凹凸形状を有する光学要素が正確に表面賦型されればよい。
シートの表面積に占める賦型された凹凸形状の総底面積は、設計した光学性能により異なるが、5%〜100%が好ましく、本発明の製法の特徴を充分発揮でき、光学性能をより高めるためには50%〜100%がより好ましい。
<光学シートの光学要素以外の機能付与>
本発明の光学シートは、紫外線吸収剤・帯電防止剤・滑剤・近赤外線吸収剤を本発明の主旨を損なわない範囲で用いることができるが、特に、光源側に設定される面において、紫外線吸収剤を含む層、帯電防止剤を含む層、或いは紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層の両方が形成されていていることが好ましい。
本発明の光学シートは、紫外線吸収剤・帯電防止剤・滑剤・近赤外線吸収剤を本発明の主旨を損なわない範囲で用いることができるが、特に、光源側に設定される面において、紫外線吸収剤を含む層、帯電防止剤を含む層、或いは紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層の両方が形成されていていることが好ましい。
また、光拡散層の少なくとも片面側に光拡散作用以外の作用を有する層が形成されていてもよい。ここで「片面側」としたのは、異なる機能を有する層が光拡散層の上に直接形成されている場合に限られず、例えば紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層など複数の層が光拡散層の片面に積層されていてもよいことを意図したものである。これら異なる機能を有する層は、発光体から発せられる紫外線を低減して光学シートの着色を抑制したり、また、帯電を抑制して粉塵の付着による輝度低下を抑制したり電子デバイスの寿命を延ばしたりするといった機能を本発明の光学シートに付与するものである。当然、様々な光源装置の設置環境や部材の保存環境における機能の保持、延命の観点から両面にあっても構わない。
紫外線吸収剤と帯電防止剤としては従来公知のものを使用することができる。例えば紫外線吸収剤としては、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;トリアジン系紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;環状イミノエステル型紫外線吸収剤;分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造を有するハイブリッド系紫外線吸収剤;トリフェニルシアノアクリレート系紫外線吸収剤;シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤;マロン酸エステル系紫外線吸収剤;などの低分子紫外線吸収剤や、これら低分子紫外線吸収剤が高分子に懸垂するような形で結合している高分子紫外線吸収剤(例えば、日本触媒社製のハルスハイブリッド(登録商標)など)を用いることができる。中でもトリフェニルシアノアクリレート系紫外線吸収剤;シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤;マロン酸エステル系紫外線吸収剤が可視光線領域における光の吸収が少ない為好適である。ポリカーボネート樹脂に用いる場合はシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤;マロン酸エステル系紫外線吸収剤が更に好適である。
帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸や、それらのLi、Na、Ca、Mg、Zn塩などのオレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩;高級アルコールのリン酸エステル類などのアニオン界面活性剤;第3級アミン、第4級アンモニウム塩、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、カチオン系ビニルエーテル誘導体などのカチオン界面活性剤;アルキルアミン系ベタインの両性塩、カルボン酸アラニンまたはスルホン酸アラニンの両性塩、アルキルイミダゾリンの両性塩などの両性界面活性剤;脂肪酸多価アルコールエステル、アルキル(アミン)のポリオキシエチレン付加物などの非イオン界面活性剤;ポリエーテルエステルアミドやポリエステルアミドなどのポリアミドエラストマーなどを用いることができる。また、ポリビニルベンジル型カチオン樹脂やポリアクリル酸型カチオン樹脂などの導電性樹脂も帯電防止剤として用いることができる。
紫外線吸収剤および帯電防止剤の使用量は各機能に応じて適宜調整することができるが、通常、各層を構成する樹脂100質量部に対して1〜50質量部程度である。
これら異なる機能を有する層は、シートを構成する熱可塑性樹脂と同一の樹脂中に紫外線吸収剤や帯電防止剤を均一分散させたシートを、熱圧着や接着剤で光学シート上などに接着すればよい。或いは、紫外線吸収剤などを含むペーストを光学シート上に塗布した上で乾燥または冷却してもよい。また、シートを構成する熱可塑性樹脂と、紫外線吸収剤や帯電防止剤を配合した熱可塑性樹脂を共押出成形してもよい。
これら異なる機能を有する層の厚さは各機能などに合わせて適宜調整すればよいが、通常、1〜50μm程度にすることができる。
本発明の光学シートの大きさや形状は特に制限されず、例えば、液晶ディスプレイ用の光源ユニットの大きさに合わせて使用すればよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
<実施例について>
<実施例1>
ポリカーボネート樹脂(「パンライトK−1300Y」:帝人化成社製)100部と、リン系熱安定剤(「イルガフォス168」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1部を、ベントとギアポンプ付きの押出機に供給し、図1に示す3本の冷却ロール配置からなり、第1ロールには鏡面フラットロール、第2ロールにはRa=6μmのエンボス形状が彫刻されたロール、第3ロールにはピッチ100μmのレンチキュラー形状が彫刻されたロールをそれぞれ用い、押出機出口温度265℃、第1ロール温度140℃、第2ロール温度180℃、第3ロール温度195℃の各温度条件下、かつ、第2ロールの周速度を2.0m/分、第3ロールの周速は1.975m/分、巻取りロールの周速は2.03m/分として、幅1000mm厚さ1.2mmの凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートを製造した。このシートの光線透過率は57%であった。
<実施例1>
ポリカーボネート樹脂(「パンライトK−1300Y」:帝人化成社製)100部と、リン系熱安定剤(「イルガフォス168」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1部を、ベントとギアポンプ付きの押出機に供給し、図1に示す3本の冷却ロール配置からなり、第1ロールには鏡面フラットロール、第2ロールにはRa=6μmのエンボス形状が彫刻されたロール、第3ロールにはピッチ100μmのレンチキュラー形状が彫刻されたロールをそれぞれ用い、押出機出口温度265℃、第1ロール温度140℃、第2ロール温度180℃、第3ロール温度195℃の各温度条件下、かつ、第2ロールの周速度を2.0m/分、第3ロールの周速は1.975m/分、巻取りロールの周速は2.03m/分として、幅1000mm厚さ1.2mmの凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートを製造した。このシートの光線透過率は57%であった。
上記成型ラインの第3ロールから200cm下流の位置に拡散板を取り付けた蛍光灯照明装置を設置し、散乱光とし、B面からシートへ照射した。蛍光灯と拡散板の間隔は30mm、B面と拡散板の間隔は20mmとした。
第3ロールから200cm下流の位置のA面にはシートから垂直上570mmの位置にCCDカメラ(SCD−5000A:三菱レイヨン製)を4台設置し、画像処理装置(LSC−300:三菱レイヨン製)でデータを処理した。すなわちCCDカメラと蛍光灯照射装置を結ぶ直線とシートは直角となるような位置関係とした。
データの処理条件は以下に記載する。
分解機能として1画素を1辺65μmの正方形とした。
各画素でシートの正常部分の光線透過率を100%とし、暗欠陥の閾値を81%、明欠陥の閾値を142%とした。閾値を超えた場合を欠陥と判定した。
データの処理条件は以下に記載する。
分解機能として1画素を1辺65μmの正方形とした。
各画素でシートの正常部分の光線透過率を100%とし、暗欠陥の閾値を81%、明欠陥の閾値を142%とした。閾値を超えた場合を欠陥と判定した。
本欠陥検査装置で検知された欠陥について、検査員が50倍のルーペを使用し、目視で欠陥の種類及び大きさを確認した。
欠陥が検知されなかったシート100mについても、検査員が50倍のルーペを使用し、目視で欠陥検査したが、65μm以上の大きさの欠陥は見つからなかった。
欠陥の大きさ:(長辺+短辺)/2
以上の結果より凹凸パターンが賦型されたシートにもかかわらず、65μmの欠陥が検出可能であるので、各種光学用途に適した欠陥のないシートが製造できる。
以上の結果より凹凸パターンが賦型されたシートにもかかわらず、65μmの欠陥が検出可能であるので、各種光学用途に適した欠陥のないシートが製造できる。
<比較例1(照射光の違い)>
蛍光灯照明装置の拡散板を取り外す以外は実施例1と同一条件で厚さ1.2mmの凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートを製造した。
この場合、エンボスの影も欠陥と判定してしまったため、異物等の欠陥が検出できなかった。
蛍光灯照明装置の拡散板を取り外す以外は実施例1と同一条件で厚さ1.2mmの凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートを製造した。
この場合、エンボスの影も欠陥と判定してしまったため、異物等の欠陥が検出できなかった。
<比較例2(照射位置の違い)>
拡散板を取り付けた蛍光灯照明装置をA面に、CCDカメラ(SCD−5000A:三菱レイヨン製)をB面に取り付けた以外は実施例1と同一条件で厚さ1.2mmの凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートを製造した。このシートの光線透過率は57%であった。
この場合、エンボス面の5mmの傷が検出できなかった。
拡散板を取り付けた蛍光灯照明装置をA面に、CCDカメラ(SCD−5000A:三菱レイヨン製)をB面に取り付けた以外は実施例1と同一条件で厚さ1.2mmの凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートを製造した。このシートの光線透過率は57%であった。
この場合、エンボス面の5mmの傷が検出できなかった。
本発明により、本来の設計性能を充分に発揮する微細な凹凸形状を有する光学シートを効率よく製造することが出来る。また、このようにして製造された本発明の微細な凹凸形状を有する光学シートは表面の賦型が光学的設計どおりに転写されており、シートの欠陥も無いため、特に、光学シートとして優れた性能を発揮する。
Claims (6)
- 片面(A面)にエンボス又は鏡面、もう一方の面(B面)に凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートを連続成型する際、B面から散乱光を照射しA面上部位置で透過光をCCDカメラを使い検知することにより欠陥を検出する熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法。
- 前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートの光線透過率が40〜99%であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法。
- 前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートの厚みが0.05〜5mmであることを特徴とする請求項1〜2記載の熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法。
- 前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートのA面のRaが0.001〜20μm以下であることを特徴とする請求項1〜3記載の熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法。
- 前記凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートのB面に賦型された形状の頂部と頂部の間隔(ピッチ)が10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜4記載の熱可塑性樹脂シート欠陥検査方法。
- 請求項1〜5の欠陥検査方法を用いることを特徴とする凹凸パターンが賦型された熱可塑性樹脂シートの連続製造方法。
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JP2010080198A JP2011214836A (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 熱可塑性樹脂シートの欠陥検査方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020122756A (ja) * | 2019-01-31 | 2020-08-13 | 住友ベークライト株式会社 | 検出装置、検出方法および光学シート母材 |
-
2010
- 2010-03-31 JP JP2010080198A patent/JP2011214836A/ja not_active Withdrawn
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