以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の第一実施形態である吐水口キャップ(吐水装置)について図1を参照しながら説明する。図1は、吐水装置としての水栓装置FCを示す斜視図である。水栓装置FCは、洗面器や手洗器やシンク等に取り付けられるものであって、水を溜めたり水を受けたりするためのボウル部に向かって吐水するためのものである。水栓装置FCは、ボウル部の周辺に取り付けられて、水の給水元である水道管と接続される。
水栓装置FCは、立位部B1とスパウト部B2と、吐水ハンドルHLと、吐水口キャップBCとを備えている。立位部B1は、取付面に固定される部分であって、その取付面から垂直若しくは手前側に傾斜した状態で取り付けられて固定される部分である。
立位部B1に繋がるスパウト部B2は、その先端の吐水口から吐水する部分である。スパウト部B2は、立位部B1の上端近傍に略水平方向に沿って突出するように設けられている。
立位部B1の上端には水栓ハンドルHLが設けられている。水栓ハンドルHLを上下に操作することで吐水と止水とを切り替えることができると共に、吐水量も調整可能である。水栓ハンドルHLを左右に操作することで、吐水の温度を変更することも可能である。
続いて、スパウト部B2の吐水口に取り付けられる吐水口キャップBCについて、図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示す吐水口キャップBCの中心線CLにおける断面を示す断面斜視図である。図2において、図1に示した中心線CLが沿う方向をy軸方向とし、y軸に直交し紙面に沿った横方向をx軸方向としている。
図2に示されるように、吐水口キャップBCは、第一筒部10(本体部)と、第二筒部20と、減圧部30(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部40(減衰部)と、パッキン50と、バネ60と、下絞径部70と、整流部80とを備えている。
第一筒部10は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部に、第二筒部20と、減圧部30と、上絞径部40と、パッキン50と、バネ60とを収める本体部として機能している。第一筒部10の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部103が設けられている。取付ネジ部103は、吐水口キャップBCをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部103の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン50が第一筒部10の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン50は、吐水口キャップBCをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部10の取付ネジ部103を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口101から供給される。流入口101から本体部としての第一筒部10に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部20、減圧部30、上絞径部40、下絞径部70、整流部80を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口102から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部40は、パッキン50の下流側(吐出口102側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部40は、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部401と、鍔部401に囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部402とを備えている。鍔部401は、減圧部30とは密接固定されており、結果として上絞径部40と減圧部30とは一体的に動くように構成されている。
環状凸部402は、鍔部401から上流側(流入口101側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部402の中央を含む領域には、流入穴403が形成されている。流入口101から入った水は、上絞径部40に当たることで水の圧力変動が減衰され、流入穴403から下流側に流出される。流入穴403から下流側に流出した水は、上絞径部40と減圧部30との間に形成される溜水部404に流入する。
減圧部30は、上絞径部40の下流側に配置されている。減圧部30は、減圧板301(受圧板)と、上方突起302と、遮蔽壁305(混入率調整部、空気量調整部)とを備えている。減圧板301は円形板状の部材である。減圧板301の外周近傍には、上方突起302が設けられている。
上方突起302は、減圧板301の全外周に渡って、上流側に突出するように形成されている。上絞径部40の鍔部401は、減圧板301の上流側の面に当接するように配置され、上方突起302によって位置決めがなされている。上絞径部40の環状凸部402は、減圧板301とは離隔するように設けられている。従って、環状凸部402と減圧板301との間の空間が溜水部404として形成されている。
減圧板301には、複数の噴射孔304(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔304が形成されているのは、溜水部404に相当する位置である。従って、複数の噴射孔304は、上絞径部40の鍔部401によって塞がれないように設けられている。
減圧板301の中央を含む領域には、凹部303が設けられている。凹部303は、減圧板301の上流側の面に形成されている。従って、上絞径部40の流入穴403から下流側に流出した水は、この凹部303によって集約されセンタリングされることで、減圧板301をy軸方向に沿って押し下げるように作用する。上絞径部40の流入穴403から下流側に流出した水は、外周方向に広がって、複数の噴射孔304から下流側へと噴射される。
減圧板301の下流側の面には、遮蔽壁305が設けられている。遮蔽壁305は、減圧板301の外周近傍に全外周に渡って突出するように設けられている。遮蔽壁305は、減圧部30の上下動(y軸方向に沿った進退運動)に伴って、後述する空気孔204(開口部)を閉じたり開いたりするように作用する。この作用に着目すれば、減圧部30特に遮蔽壁305は、内部流路に導入する空気の量を調整する空気量調整部として機能し、気泡混入水への気泡の混入率を調整する混入率調整部として機能する。
上絞径部40及び減圧部30と、第一筒部10との間には、第二筒部20が設けられている。第二筒部20は、上流側の第一ガイド部201と、下流側の第二ガイド部205とを備えている。
第一ガイド部201の上端(流入口101側の端部、y軸方向における負方向の端部)には、外側突起202が第一筒部10側に向けて突出するように設けられている。外側突起202は、第一筒部10の内側に設けられた係合突起104と係合することで、第一筒部10に対して第二筒部20が所定の位置に位置決めされ保持されるように形成されている。
第一ガイド部201の内側には、減圧板301の外周が当接するように配置されている。減圧部30の減圧板301は、第一ガイド部201の内側の壁面に沿って上下方向(y軸に沿った方向)に動くように構成されている。
第一ガイド部201の下端(吐出口102側の端部、y軸方向における正方向の端部)には、内側突起203が内部流路側に向けて突出するように設けられている。内側突起203は、減圧部30の遮蔽壁305の外側面が当接するように配置されている。遮蔽壁305は、内側突起203に当接しながら上下方向(y軸に沿った方向)に動くように構成されている。
第一ガイド部201と第二ガイド部205との間には、内部流路内に空気を導入する空気孔204(開口部)が設けられている。空気孔204は、第一ガイド部201と第二ガイド部205との間において、第二筒部20の全周に渡って散在するように設けられている。空気孔204は、第一ガイド部201の内側突起203の直下に形成されているので、上述した遮蔽壁305の動きによって、閉じたり開かれたりするように構成されている。
第一筒部10と第二筒部20との間には空間が設けられており、空気流路802として形成されている。第一筒部10の下流側端と第二筒部20の下流側端との間は開放されており、空気導入口803として形成されている。空気導入口803から導入された空気は空気流路802を通って空気孔204から内部流路へと導入されている。
第二ガイド部205の内側には、下絞径部70が配置されている。下絞径部70は、縮径テーパー部701と、拡径テーパー部702とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部701は、拡径テーパー部702よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部702は、縮径テーパー部701よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部701の内側側面である傾斜面701aは、減圧部30の複数の噴射孔304に対応した位置に形成されている。従って、減圧板301の複数の噴射孔304から噴射された水は、傾斜面701aに当たって内側に方向付けられる。
流入口101から水が供給され、減圧板301の複数の噴射孔304から水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部70に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面701aで方向付けられた水流が空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板301の作用によって、減圧板301から下絞径部70の間は負圧になるので、空気孔204から空気が引き込まれ、複数の噴射孔304から噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板301から下絞径部70にかけての領域は、気泡混入部703として形成されるものである。
気泡混入部703によって生成された気泡混入水は、第二ガイド部205の下流側に設けられた整流部80の整流格子801によって整流され、吐出口102から外部へと吐出される。
減圧部30と下縮径部70との間には、付勢手段としてのバネ60が配置されている。バネ60は、下縮径部70の縮径テーパー部701の外側を巻回するように配置されると共に、減圧部30の遮蔽壁305の内側を巻回するように配置されている。
従って、流入口101から水が供給され、上絞径部40の流入穴403を通って減圧部30の減圧板301に水が当たると、減圧部30は上流側から下流側に押し下げられる力を受ける。バネ60はこの力に対抗するように配置されているので、遮蔽壁305の動きは、流入口101から所定の流量の水が供給されるまでは動かずに(若しくは動いても空気孔204を遮らない程度に動き)、流入口101から所定の流量を超えた水が供給されると動いて空気孔204を遮蔽するように調整することができる。
このような遮蔽壁305の動きについて、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、流入口101から流入する水が所定流量に至るまでの吐水口キャップBCを示した断面図である。図4は、流入口101から流入する水が所定水量を超えた場合の吐水口キャップBCを示した断面図である。
図3に示されるように、流入口101から流入する水が所定流量に至るまでは、流入してくる水Waが減圧板301(受圧板)を下流方向(y軸正方向)に押す力よりも、バネ60が減圧板301を上流方向(y軸負方向)に押す力が勝っているので、減圧板301が初期の位置から移動せずに維持される。そのため、遮蔽壁305が空気孔204を塞ぐことがなく、負圧になる気泡混入部703内へ空気が供給され続ける。
従って、複数の噴射孔304から噴射される水は、空気を伴って気泡混入部703に形成される気液界面に突入し、気液界面を乱すことで空気を取り込んで気泡混入水を生成する。そのため、吐出口102から吐出される水Wbは気泡混入水となっている。
一方、図4に示されるように、流入口101から流入する水が所定の流量を超えると、流入してくる水Waが減圧板301(受圧板)を下流方向(y軸正方向)に押す力が、バネ60が減圧板301を上流方向(y軸負方向)に押す力に打ち勝つので、減圧板301は初期の位置から下方に移動する。そのため、遮蔽壁305が徐々に下がり、気泡混入部703内への空気の供給が規制される。やがて図4に示されるように空気孔204を塞ぐ位置まで移動し、気泡混入部703内への空気の供給が停止される。
従って、複数の噴射孔304から噴射される水は、空気を伴わずに気泡混入部703に形成される気液界面に突入するので、気泡混入水は生成されない状態となる。そのため、吐出口102から吐出される水Wbは気泡が混入されていない整流水となっている。
上述した吐水口キャップBCを用いて、流入口101に供給される水Waの流量を上げていった場合の気泡混入率と、減圧板301が移動しない吐水口キャップを用いた場合の気泡混入率とを比較した図を図5に示す。図5において実施例1とは、吐水口キャップBCを用いたものである。図5において比較例1とは、吐水口キャップBCの減圧板301を動かないように固定したものを用いたものである。尚、本実施形態における気泡混入率とは、気泡混入水中の水の体積に対する気泡混入水中の気泡の体積の総和の比率を示すものである。具体的には、気泡混入水を水と気泡(空気)とに分離し、それぞれの体積を測定して算出するものである。
比較例1においては、供給する水の流量を増やしていくと、その増分に比例して気泡の混入率も増加していっている。一方、実施例1においては、所定の流量(約4.2L/min)までは減圧板301が移動しないように構成されているので、供給する水の流量を増やしていくと、その増分に比例して気泡の混入率も増加していっている。しかしながら、所定の流量(約4.2L/min)を超えると減圧板301が下流側に移動し始めるので徐々に気泡の混入率が抑制される。流量が約5L/min付近で遮蔽壁305によって空気孔204が閉塞されるので気泡の混入率は顕著に抑制される。
上述したように本実施形態の吐水口キャップBC(吐水装置)は、気泡混入水を吐出することが可能な吐水装置であって、水Wbを吐出するための吐出口102と、吐出口102から吐出するための水Waを給水元から流入させるための流入口101と、流入口101から吐出口102に至る内部流路が形成された第一筒部10(本体部)と、流入口101から流入した水を内部流路の下流側に向けて噴射する複数の噴射孔304(オリフィス部)と、内部流路内に空気を導入する空気孔204(開口部)が形成され、この空気孔204から導入された空気を複数の噴射孔304から噴射された水に混入して気泡混入水と成し吐出口102に供給する気泡混入部703と、気泡混入部703において気泡混入水に混入される気泡の混入率を調整する遮蔽壁305(混入率調整部)と、を備えている。混入率調整部として機能する遮蔽壁305は、流入口101から流入する水が所定流量に至るまでは混入率を増加させ、流入口101から流入する水が所定流量を超えると混入率の増加を抑制するように作用している。
本実施形態に係る吐水装置としての吐水口キャップBCでは、気泡混入部703において、オリフィス部としての複数の噴射孔304から噴射された水に開口部としての空気孔204から導入された空気を混入して気泡混入水と成して吐出口102から吐出するので、エジェクタ効果を利用して簡便に気泡混入水を生成することができる。混入率調整部として機能する遮蔽壁305は、流入口101から流入する水が所定流量に至るまでは、気泡混入水に混入される気泡の混入率を増加させるので、低流量段階では気泡の混入率の高い気泡混入水を供給することができる。従って、低流量段階でも量感のある吐水が可能となって、気泡が混入していない吐水に比較して少ない水量で食器洗いや手洗いをすることができ、節水に寄与できると共に水跳ねを抑制することもできる。
混入率調整部として機能する遮蔽壁305は、流入口101から流入する水が所定流量を超えると、気泡混入水に混入される気泡の混入率の増加を抑制するので、流入口101から流入する水量に応じて、気泡の混入率を維持したり気泡の混入率を低減させたりすることができる。従って、低流量段階で気泡の混入率を極限まで上げるような設定にしても、そこからの流量の増加に伴って気泡の混入率も増加することがなく、所定流量を超えた領域においての最適な混入率にすることができる(図5参照)。そのため、使用者がその感覚に従って高流量となるように操作した結果、使用者が意図した水量を大きく超えたと感じるような総量(実際の水量及び気泡量に相当する)の気泡混入水が吐出されることを回避することができる。
具体的には、コップや花瓶に水を溜めようとする際に、水の勢いが強いこと(吐水の総量が必要以上に多いこと)による折返し流で溢れかえってしまい、コップの容量の半分程度しか貯めることができないようなことを回避できる。更に、コップや花瓶に半分程度の水を溜めようとする際に、気泡分での増量を抑制することができるので、狙った通りの分量の水を溜めることができる。更に、高流量段階での吐水の総量から不要な気泡分を減じることができるので、吐水の総量で見れば低流量段階と高流量段階での差分を少なくすることができる。従って、吐水流の流速の大きな増減を抑制することができ、吐水の勢いの大きな変動も抑制することができるので、斜めに吐水する場合などの吐水軌跡の変動を抑制することができ、狙った位置への吐水が容易なものとなる。
上述したように本実施形態に係る吐水口キャップBCを用いると、使用者が吐水水量をより微細に調整したり、空気の導入量を手動で調整したりすることなく、低流量段階においても高流量段階においても最適な気泡の混入率とした吐水を享受することができる。従って、使用者が従来の水栓装置(吐水装置)と同じ感覚でこの吐水口キャップBCを取り付けた水栓装置FC(吐水装置)で流量調整をしても、低流量段階では気泡混入率を高めた気泡混入水を吐出することが可能であり、高流量段階では使用者が意図した水量を大きく超えたと感じるような総量の気泡混入水が吐出しないようにすることが可能となる。
上述したように本実施形態の遮蔽壁305を含む減圧部30は、気泡混入水への気泡の混入率を調整する混入率調整部として機能するものである。より具体的には、空気の流動を抑制することで、混入率の増加を抑制するように機能しているものである。このように、気泡混入部703への空気の入りやすさを調整することで空気の流動を抑制しているので、気泡混入部703への水の供給量や気泡混入部への空気の搬送力を調整するといった高度な手段によらず簡単な構成で混入率の増加を抑制している。
また、本実施形態において混入率調整部として機能する減圧部30は、流入口101から流入する水が所定流量を超えると、気泡混入部703へ導入される空気の量を抑制することで混入率の増加を抑制するものでもある。このように、気泡混入部703へ導入される空気の量を抑制することで混入率の増加を抑制するので、気泡混入部703へ導入される空気の量そのものを抑制することで、確実に混入率の増加を抑制することができる。
また、本実施形態において混入率調整部として機能する減圧部30は、流入口101から流入する水が所定流量を超えると、開口部として機能する空気孔204における流路抵抗を高めることで空気の流動を抑制し、混入率の増加を抑制するものでもある。このように、開口部としての空気孔204における流路抵抗を高めることで、空気孔204を通る空気の圧力損失を高めるという簡単な構成で空気の流動を抑制し、ひいては混入率の増加を抑制しているので、簡単な構成で気泡の混入率を調整することができる。
空気孔204を通る空気の圧力損失を高める手法の一つとして、混入率調整部として機能する減圧部30は、空気孔204の内部流路に対する開口面積を狭めることで空気の流動を抑制し、混入率の増加を抑制している。換言すれば、内部流路に対する空気孔204の開口面積を狭めることで、空気孔204における流路抵抗を高めている。このように、空気孔204における流路抵抗を高めることで、空気孔204を通る空気の圧力損失を高めているので、簡単な構成で気泡の混入率を調整することができる。
また本実施形態では、流入口101から流入する水の圧力変動を減衰して内部流路の下流側へ流出させる減衰部として機能する上絞径部40を備えている。そして混入率調整部として機能する減圧部30は、減衰部として機能する上絞径部40から流出した水をその中央を含む領域で受ける受圧板として機能する減圧板301を有し、その減圧板301が受けた水から作用する力によって内部流路に沿って進退自在に構成されている。そして受圧板として機能する減圧板301が受ける水量が閾値水量を超えると、空気孔204の開口面積を狭めるように減圧部30(遮蔽壁305)が移動する。
このように、減圧部30が、減衰部としての上絞径部40から流出した水をその中央を含む領域で受ける受圧板として減圧板301を有し、その受圧板としての減圧板301が受けた水から作用する力によって内部流路に沿って進退自在に構成されている。従って、流入口101から入る水の圧力変動があっても減圧板301の中央を含む領域でそれを受け止めるので、傾いてしまうことなく安定して内部流路に沿って移動することができる。減圧板301が受ける水量が閾値水量を超えると、空気孔204の開口面積を狭めるように減圧部30が移動するので、簡単かつ安定した構成で気泡の混入率を調整することができる。
また、視点を変えると、受圧板として機能する減圧板301が、減衰部として機能する上絞径部40から流出する水を受け、その受圧板として機能する減圧板301が受けた自ら作用する力によって、空気量調整部として機能する減圧部30が内部流路に沿って進退自在に構成されているものと見ることもできる。このように把握すると、減圧部30(空気量調整部)の内部流路(第二筒部20の内壁によってその一部が画定されている)に沿った進退によって、開口部として機能する空気孔204の内部流路に対する開口面積が変化するように構成されている。そして、流入口101から流入する水が所定流量に至るまではその開口面積を維持し、流入口101から流入する水が所定流量を超えると開口面積が減少するように構成されている。
つまり、流入口101から流入する水の圧力変動を減衰して内部流路の下流側へ流出させる減衰部として機能する上絞径部40を備え、その上絞径部40から流出した水を受ける受圧板として機能する減圧板301を有し、その減圧板301が受けた水から作用する力によって内部流路に沿って空気量調整部として機能する減圧部30(遮蔽壁305)が進退自在に構成されている。従って、流入口101から入る水の圧力変動があっても減衰部として機能する上絞径部40で減衰し減圧板301でそれを受け止めるので、空気量調整部としての減圧部30(遮蔽壁305)が傾いてしまうことなく安定して内部流路に沿って移動することができる。
本実施形態において受圧板として機能する減圧板301は、減衰部としての上絞径部40から流出した水をその中央を含む領域で受けるように構成されている。このように、受圧板としての減圧板301は、流入口101から入る水の圧力変動があっても、その中央を含む領域で受け止めることができる。従って、受圧板としての減圧板301の挙動がより安定し、空気量調整部としての減圧部30(遮蔽壁305)が傾いてしまうことなく安定して内部流路に沿って移動することができる。
受圧板としての減圧板301の中央を含む領域には凹部303が形成され、この凹部303において減衰部としての上絞径部40から流出した水を受けるように構成されている。このように、受圧板としての減圧板301の中央を含む領域に凹部303が形成されているので、減圧板301に当たって横方向に向かう水の力を凹部303で集約して下方に向かわせることができる。従って、空気量調整部としての減圧部30(遮蔽壁305)の挙動をより内部流路に沿った挙動とすることができ、減圧部30(遮蔽壁305)が傾いてしまうことなく安定して内部流路に沿って移動することができる。
減衰部としての上絞径部40と受圧板としての減圧板301との間には、水を一時的に溜めるための溜水部404が設けられている。このように、減衰部としての上絞径部40と受圧板としての減圧板301との間に水を一時的に溜めるための溜水部404が設けられているので、溜水部404に溜められた水が緩衝作用を発揮し、受圧板としての減圧板301のぐらつきを小さなものとし、内部流路に沿った移動を安定的に行うことができる。
また本実施形態における内部流路は、少なくとも空気孔204が形成された部分でその流路断面が略円形となる円形断面部分を有し、空気量調整部としての減圧部30は、受圧板としての減圧板301の外周が円形断面部分に沿って略円形状となるように形成され、開口部としての空気孔204は、内部流路をその流路断面に沿って囲むように複数設けられている。
上述したように本実施形態では、空気量調整部としての減圧部30が安定して移動し、開口部としての空気孔204の内部流路に対する開口面積を安定して変化させることができるものである。そこで、受圧板としての減圧板301の外周が内部流路の円形断面部分に沿って円板状となるように形成され、開口部としての空気孔204は内部流路をその流路断面に沿って囲むように複数設けられているので、内部流路を囲んで配置される各空気孔204それぞれに対応する開口面積を一定に調整することができ、気泡混入水の生成がより安定したものとなる。
続いて、本実施形態に係る吐水口キャップBCの第一変形例としての吐水口キャップBCaについて図6及び図7を参照しながら説明する。図6及び図7は、第一変形例としての吐水口キャップBCaの断面図である。吐水口キャップBCでは、減圧部30に空気孔204を遮蔽する遮蔽壁305を設け、減圧部30を動かすことで空気孔204の開口面積を変化させて混入率を調整するものであった。しかしながら、気泡混入水への気泡の混入率を変化させる混入率調整部としては、これに限られるものではなく、気泡の混入効率を抑制することで混入率の増加を抑制するものも好ましいものである。吐水口キャップBCaは、このように気泡の混入効率を抑制するように構成した一例である。
図6に示されるように、吐水口キャップBCaは、第一筒部10(本体部)と、第二筒部20aと、減圧部30a(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部40(減衰部)と、パッキン50と、バネ60と、下絞径部70と、整流部80とを備えている。
第一筒部10は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部に、第二筒部20aと、減圧部30aと、上絞径部40と、パッキン50と、バネ60とを収める本体部として機能している。第一筒部10の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部103が設けられている。取付ネジ部103は、吐水口キャップBCaをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部103の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン50が第一筒部10の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン50は、吐水口キャップBCaをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部10の取付ネジ部103を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口101から供給される。流入口101から本体部としての第一筒部10に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部20a、減圧部30a、上絞径部40、下絞径部70、整流部80を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口102から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部40は、パッキン50の下流側(吐出口102側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部40は、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部401と、鍔部401に囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部402とを備えている。鍔部401は、第二筒部20aに固定されており、上絞径部40と減圧部30aとは一体的には動かず、減圧部30aのみが独立して動くように構成されている。
環状凸部402は、鍔部401から上流側(流入口101側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部402の中央を含む領域には、流入穴403が形成されている。流入口101から入った水は、上絞径部40に当たることで水の圧力変動が減衰され、流入穴403から下流側に流出される。流入穴403から下流側に流出した水は、上絞径部40と減圧部30aとの間に形成される溜水部404に流入する。
減圧部30aは、上絞径部40の下流側に配置されている。減圧部30aは、減圧板301a(受圧板)によって構成されている。減圧板301aは円形板状の部材である。
減圧板301aには、複数の噴射孔304a(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔304aが形成されているのは、溜水部404に相当する位置である。従って、複数の噴射孔304aは、上絞径部40の鍔部401によって塞がれないように設けられている。
減圧板301aの中央を含む領域には、凹部303aが設けられている。凹部303aは、減圧板301aの上流側の面に形成されている。従って、上絞径部40の流入穴403から下流側に流出した水は、この凹部303aによって集約されセンタリングされることで、減圧板301aをy軸方向に沿って押し下げるように作用する。上絞径部40の流入穴403から下流側に流出した水は、外周方向に広がって、複数の噴射孔304aから下流側へと噴射される。
上絞径部40及び減圧部30aと、第一筒部10との間には、第二筒部20aが設けられている。第二筒部20aは、上流側の第一ガイド部201aと、下流側の第二ガイド部205aとを備えている。
第一ガイド部201aの上端206a(流入口101側の端部、y軸方向における負方向の端部)には、上絞径部40を係合するための凹部が設けられている。第一ガイド部201aの内側には、減圧板301aの外周が当接するように配置されている。減圧部30aの減圧板301aは、第一ガイド部201aの内側の壁面に沿って上下方向(y軸に沿った方向)に動くように構成されている。
第一ガイド部201aと第二ガイド部205aとの間には、内部流路内に空気を導入する空気孔204a(開口部)が設けられている。空気孔204aは、第一ガイド部201aと第二ガイド部205aとの間において、第二筒部20aの全周に渡って散在するように設けられている。
第一筒部10と第二筒部20aとの間には空間が設けられており、空気流路802として形成されている。第一筒部10の下流側端と第二筒部20aの下流側端との間は開放されており、空気導入口803として形成されている。空気導入口803から導入された空気は空気流路802を通って空気孔204aから内部流路へと導入されている。
第二ガイド部205aの内側には、下絞径部70が配置されている。下絞径部70は、縮径テーパー部701と、拡径テーパー部702とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部701は、拡径テーパー部702よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部702は、縮径テーパー部701よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部701の内側側面である傾斜面701aは、減圧部30aの複数の噴射孔304aに対応した位置に形成されている。従って、減圧板301aの複数の噴射孔304aから噴射された水流WFaは、傾斜面701aに当たって内側に方向付けられ、水流WFbとなって気液界面に突入する。
流入口101から水が供給され、減圧板301aの複数の噴射孔304aから水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部70に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面701aで方向付けられた水流WFbが空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板301aの作用によって、減圧板301aから下絞径部70の間は負圧になるので、空気孔204aから空気が引き込まれ、複数の噴射孔304aから噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板301aから下絞径部70にかけての領域は、気泡混入部703として形成されるものである。
気泡混入部703によって生成された気泡混入水は、第二ガイド部205aの下流側に設けられた整流部80の整流格子801によって整流され、吐出口102から外部へと吐出される。
減圧部30aと下縮径部70との間には、付勢手段としてのバネ60が配置されている。バネ60は、下縮径部70の縮径テーパー部701の外側を巻回するように配置されている。
従って、流入口101から水が供給され、上絞径部40の流入穴403を通って減圧部30aの減圧板301aに水が当たると、減圧部30aは上流側から下流側に押し下げられる力を受ける。バネ60はこの力に対抗するように配置されているので、減圧板301aの動きは、流入口101から所定の流量の水が供給されるまでは動かずに(若しくは動いても空気孔204を遮らない程度に動き)、流入口101から所定の流量を超えた水が供給されると下方に動く。
減圧板301aが下方に動いた状態を図7に示す。図7に示されるように、流入口101から流入する水が所定の流量を超えると、流入してくる水Waが減圧板301a(受圧板)を下流方向(y軸正方向)に押す力が、バネ60が減圧板301aを上流方向(y軸負方向)に押す力に打ち勝つので、減圧板301aは初期の位置から下方に移動する。更に、複数の噴射孔304aから噴射される水流WFaの直進性も高まるので、水流WFaは、縮径テーパー部701の傾斜面701aに当たらずに、そのまま気液界面に突入する。
図6と図7を比較すると、図6に示された状態では、複数の噴射孔304aから噴射される水流WFaは、傾斜面701aに当たって分割され、増えた水流WFbとなって気液界面に突入している。一方、図7に示された状態では、複数の噴射孔304aから噴射される水流WFaはそのまま気液界面に突入している。従って、この吐水口キャップBCaでは、流入口101から流入する水量が所定の水量を超えると、気液界面に突入する水流の外周と気液界面とが接触する総延長長さが減少するように構成されている。
上述したように吐水口キャップBCaでは、オリフィス部としての複数の噴射孔304aから噴射された水が空気を巻き込みながら気液界面に突入することで、空気の巻き込みと気液界面の変形による空気の取り込みとが行われ、それらの作用によって気泡混入水が生成されるものである。そこで、気液界面に突入する水流の外周長さに応じて空気の取り込み量が変動することを利用して、流入口101から流入する水が所定流量を超えると、気液界面に突入する水流の外周と気液界面とが接する総延長長さを減少させることで混入効率を抑制するものとしている。
このように、流入口101から流入する水が所定流量を超えると、気泡混入部703での水に対する気泡の混入効率を抑制することで混入率の増加を抑制するので、空気の引き込み量や水の供給量を調整することなく、水と空気との混ざりやすさである混入効率を調整するのみで混入率を調整するので、より簡便に混入率の増加を抑制することができる。
続いて、本実施形態に係る吐水口キャップBCの第二変形例としての吐水口キャップBCbについて図8及び図9を参照しながら説明する。図8及び図9は、第二変形例としての吐水口キャップBCbの断面図である。吐水口キャップBCでは、減圧部30に空気孔204を遮蔽する遮蔽壁305を設け、減圧部30を動かすことで空気孔204の開口面積を変化させて混入率を調整するものであった。しかしながら、気泡混入水への気泡の混入率を変化させる混入率調整部としては、これに限られるものではなく、気泡混入部の内圧を高めることで混入率の増加を抑制するものも好ましいものである。吐水口キャップBCbは、このように気泡混入部の内圧を高めることで気泡の混入効率を抑制するように構成した一例である。
図8に示されるように、吐水口キャップBCbは、第一筒部10(本体部)と、第二筒部20bと、減圧部30b(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部40(減衰部)と、パッキン50と、バネ60と、下絞径部70と、整流部80とを備えている。
第一筒部10は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部に、第二筒部20bと、減圧部30bと、上絞径部40と、パッキン50と、バネ60とを収める本体部として機能している。第一筒部10の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部103が設けられている。取付ネジ部103は、吐水口キャップBCbをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部103の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン50が第一筒部10の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン50は、吐水口キャップBCbをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部10の取付ネジ部103を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口101から供給される。流入口101から本体部としての第一筒部10に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部20b、減圧部30b、上絞径部40、下絞径部70、整流部80を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口102から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部40は、パッキン50の下流側(吐出口102側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部40は、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部401と、鍔部401に囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部402とを備えている。鍔部401は、第二筒部20aに固定されており、上絞径部40と減圧部30bとは一体的には動かず、減圧部30bのみが独立して動くように構成されている。
環状凸部402は、鍔部401から上流側(流入口101側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部402の中央を含む領域には、流入穴403が形成されている。流入口101から入った水は、上絞径部40に当たることで水圧が減衰され、流入穴403から下流側に流出される。流入穴403から下流側に流出した水は、上絞径部40と減圧部30aとの間に形成される溜水部404に流入する。
減圧部30bは、上絞径部40の下流側に配置されている。減圧部30bは、減圧板301b(受圧板)と、接続部306bと、大径部307bとを備えている。減圧板301aは円形板状の部材である。接続部306bは、減圧板301bと大径部307bとを繋ぐように設けられた部分であって、減圧板301bの下流側の面から整流部80に向けて延びている。大径部307bは、整流部80における流路抵抗を高めるためのものであって、接続部306bよりも大きな径を成す円板状の部分である。
減圧板301bには、複数の噴射孔304b(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔304bが形成されているのは、溜水部404に相当する位置である。従って、複数の噴射孔304bは、上絞径部40の鍔部401によって塞がれないように設けられている。
減圧板301bの中央を含む領域には、凹部303bが設けられている。凹部303bは、減圧板301bの上流側の面に形成されている。従って、上絞径部40の流入穴403から下流側に流出した水は、この凹部303bによって集約されセンタリングされることで、減圧板301bをy軸方向に沿って押し下げるように作用する。上絞径部40の流入穴403から下流側に流出した水は、外周方向に広がって、複数の噴射孔304bから下流側へと噴射される。
上絞径部40及び減圧部30bと、第一筒部10との間には、第二筒部20bが設けられている。第二筒部20bは、上流側の第一ガイド部201bと、下流側の第二ガイド部205bとを備えている。
第一ガイド部201bの上端206b(流入口101側の端部、y軸方向における負方向の端部)には、上絞径部40を係合するための凹部が設けられている。第一ガイド部201bの内側には、減圧板301bの外周が当接するように配置されている。減圧部30bの減圧板301bは、第一ガイド部201bの内側の壁面に沿って上下方向(y軸に沿った方向)に動くように構成されている。
第一ガイド部201bと第二ガイド部205bとの間には、内部流路内に空気を導入するための空気孔204bが設けられている。空気孔204bは、第一ガイド部201bと第二ガイド部205bとの間において、第二筒部20bの全周に渡って散在するように設けられている。
第一筒部10と第二筒部20bとの間には空間が設けられており、空気流路802として形成されている。第一筒部10の下流側端と第二筒部20bの下流側端との間は開放されており、空気導入口803として形成されている。空気導入口803から導入された空気は空気流路802を通って空気孔204bから内部流路へと導入されている。
第二ガイド部205bの内側には、下絞径部70が配置されている。下絞径部70は、縮径テーパー部701と、拡径テーパー部702とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部701は、拡径テーパー部702よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部702は、縮径テーパー部701よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部701の内側側面である傾斜面701aは、減圧部30bの複数の噴射孔304bに対応した位置に形成されている。従って、減圧板301bの複数の噴射孔304bから噴射された水流は、傾斜面701aに当たって内側に方向付けられ、分割された水流となって気液界面に突入する。
縮径テーパー部701の上端701bは、減圧板301bが下降してきた場合に当接可能なように形成されている。従って、減圧板301bが下降して縮径テーパー部701の上端701bに当接すると、空気孔204bから導入された空気の気泡混入部703への供給が規制されることになる。
流入口101から水が供給され、減圧板301bの複数の噴射孔304bから水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部70に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面701aで方向付けられた水流が空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板301bの作用によって、減圧板301bから下絞径部70の間は負圧になるので、空気孔204bから空気が引き込まれ、複数の噴射孔304bから噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板301bから下絞径部70にかけての領域は、気泡混入部703として形成されるものである。
気泡混入部703によって生成された気泡混入水は、第二ガイド部205bの下流側に設けられた整流部80の整流格子801によって整流され、吐出口102から外部へと吐出される。
減圧部30bと下縮径部70との間には、付勢手段としてのバネ60bが配置されている。バネ60bは、下縮径部70の縮径テーパー部701の外側を巻回するように配置されている。
従って、流入口101から水が供給され、上絞径部40の流入穴403を通って減圧部30bの減圧板301bに水が当たると、減圧部30bは上流側から下流側に押し下げられる力を受ける。バネ60bはこの力に対抗するように配置されているので、減圧板301bの動きは、流入口101から所定の流量の水が供給されるまでは動かずに(若しくは動いても空気孔204bを遮らない程度に動き)、流入口101から所定の流量を超えた水が供給されると下方に動く。
減圧板301bが下方に動いた状態を図9に示す。図9に示されるように、流入口101から流入する水が所定の流量を超えると、流入してくる水Waが減圧板301b(受圧板)を下流方向(y軸正方向)に押す力が、バネ60bが減圧板301bを上流方向(y軸負方向)に押す力に打ち勝つので、減圧板301bは初期の位置から下方に移動する。この減圧板301bの移動に伴って、大径部307bも移動し、整流部80の一部を閉塞して整流部80における流路抵抗を高めることになる。更に、減圧板301bが縮径テーパー部701の上端701bに当接すると、空気の供給が停止される。
この吐水口キャップBCbでは、気泡混入部703で生成された気泡混入水を収束させて整流する整流部80を、気泡混入部703と吐出口102との間に設けているので、整った綺麗な泡沫吐水を行うことができる。また、整流部80の流路抵抗を高めることで気泡混入部703内の内圧を高めているので、別途流路抵抗を高める装置を設けることなく簡単な構成で気泡の混入率を調整することができる。
この吐水口キャップBCbでは、混入率調整部として機能する減圧部30bが、減衰部40から流出した水をその中央を含む領域で受ける受圧板としての減圧板301bを有し、その減圧板301bが受けた水から作用する力によって内部流路に沿って進退自在に構成されている。従って、流入口101から入る水の圧力変動があっても減圧板301bの中央を含む領域でそれを受け止めるので、傾いてしまうことなく安定して内部流路に沿って移動することができる。減圧板301bが受ける水量が閾値水量を超えると、整流部80における内部流路の断面積を狭めるように混入率調整部としての減圧部30bが移動するので、簡単かつ安定した構成で気泡の混入率を調整することができる。
続いて、本発明の第二実施形態に係る吐水口キャップBDについて、図10及び図11を参照しながら説明する。図10及び図11は、第二実施形態としての吐水口キャップBBDの断面図である。
図10に示されるように、吐水口キャップBDは、第一筒部11(本体部)と、第二筒部21(本体部)と、減圧部31(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部41(減衰部)と、パッキン51と、バネ61と、下絞径部71と、整流部81(本体部)とを備えている。
第一筒部11は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部にパッキン51を収め、その下流側に延伸するように、第二筒部21及び整流部81が設けられている。従って、本実施形態の場合は、第一筒部11と、第二筒部21と、整流部81とによって本体部が構成されている。第一筒部11の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部113が設けられている。取付ネジ部113は、吐水口キャップBDをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部113の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン51が第一筒部11の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン51は、吐水口キャップBDをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部11の取付ネジ部113を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口111から供給される。流入口111から本体部としての第一筒部11に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部21、減圧部31、上絞径部41、下絞径部71、整流部81を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口112から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部41は、パッキン51の下流側(吐出口112側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部41は、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部411と、鍔部411に囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部412とを備えている。鍔部411は、第二筒部21に固定されており、上絞径部41と減圧部31とは一体的には動かず、減圧部31のみが独立して動くように構成されている。
環状凸部412は、鍔部411から上流側(流入口111側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部412の中央を含む領域には、流入穴413が形成されている。流入口111から入った水は、上絞径部41に当たることで水圧が減衰され、流入穴413から下流側に流出される。流入穴413から下流側に流出した水は、上絞径部41と減圧部31との間に形成される溜水部414に流入する。
減圧部31は、上絞径部41の下流側に配置されている。減圧部31は、減圧板311(受圧板)と、大径突起部316と、小径突起部317とを備えている。減圧板311は円形板状の部材である。大径突起部316は、減圧板311の下流側の面から整流部80に向けて延びている部分である。小径突起部317は、大径突起部316の下流側に整流部80に向けて延びている部分である。従って、大径突起部316及び小径突起部317は、段付棒として減圧板311から突出するように構成されている。
減圧板311には、複数の噴射孔314(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔314が形成されているのは、溜水部414に相当する位置である。従って、複数の噴射孔314は、上絞径部41の鍔部411によって塞がれないように設けられている。
上絞径部41及び減圧部31の外側であって、第一筒部11の下流側には、第二筒部21が設けられている。第二筒部21は、上流側の第一ガイド部211と、下流側の第二ガイド部215とを備えている。
第一ガイド部211の上端212(流入口111側の端部、y軸方向における負方向の端部)には、上絞径部41を係合するための凹部が設けられている。第一ガイド部211の内側には、減圧板311の外周が当接するように配置されている。減圧部31の減圧板311は、第一ガイド部211の内側の壁面に沿って上下方向(y軸に沿った方向)に動くように構成されている。
第一ガイド部211と第二ガイド部215との間には、内部流路内に空気を導入するための空気孔211aが設けられている。空気孔211aは、第一ガイド部211と第二ガイド部215との間において、第二筒部21の全周に渡って散在するように設けられている。
第二ガイド部215の内側には、下絞径部71が配置されている。下絞径部71は、縮径テーパー部711と、拡径テーパー部712とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部711は、拡径テーパー部712よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部712は、縮径テーパー部711よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部711の内側側面である傾斜面711aは、減圧部31の複数の噴射孔314に対応した位置に形成されている。従って、減圧板311の複数の噴射孔314から噴射された水流は、傾斜面711aに当たって内側に方向付けられ気液界面に突入する。
縮径テーパー部711の上端711bは、減圧板311が下降してきた場合に当接可能なように形成されている。従って、減圧板311が下降して縮径テーパー部711の上端711bに当接すると、空気孔211aから導入された空気の気泡混入部713への供給が規制されることになる。従って、本実施形態では、縮径テーパー部711の上端711bと減圧板311との間の隙間214も、開口部としての機能を果たしている。
流入口111から水が供給され、減圧板311の複数の噴射孔314から水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部71に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面711aで方向付けられた水流が空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板311の作用によって、減圧板311から下絞径部71の間は負圧になるので、空気孔211a及び隙間214から空気が引き込まれ、複数の噴射孔314から噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板311から下絞径部71にかけての領域は、気泡混入部713として形成されるものである。
気泡混入部713によって生成された気泡混入水は、第二ガイド部215の下流側に設けられた整流部81の整流格子811によって整流され、吐出口112から外部へと吐出される。
減圧部31と整流部81との間には、付勢手段としてのバネ61が配置されている。バネ61は、減圧部31の小径突起部317の外側を巻回するように配置されている。小径突起部317は、整流部81の中央に設けられたガイド穴814に挿通されている。
従って、流入口111から水が供給され、上絞径部41の流入穴413を通って減圧部31の減圧板311に水が当たると、減圧部31は上流側から下流側に押し下げられる力を受ける。バネ61はこの力に対抗するように配置されているので、減圧板311の動きは、流入口111から所定の流量の水が供給されるまでは動かずに(若しくは動いても隙間214を閉塞しない程度に動き)、流入口111から所定の流量を超えた水が供給されると下方に動く。
減圧板311が下方に動いた状態を図11に示す。図11に示されるように、流入口111から流入する水が所定の流量を超えると、流入してくる水Waが減圧板311(受圧板)を下流方向(y軸正方向)に押す力が、バネ61が減圧板311を上流方向(y軸負方向)に押す力に打ち勝つので、減圧板311は初期の位置から下方に移動する。この減圧板311の移動に伴って、隙間214が狭められ、気泡混入部713内への空気の供給が規制される。更に、減圧板311が縮径テーパー部711の上端711bに当接して隙間214が閉塞されると、空気の供給が停止される。
上述したように本実施形態の吐水口キャップBD(吐水装置)は、気泡混入水を吐出することが可能な吐水装置であって、水Wbを吐出するための吐出口112と、吐出口112から吐出するための水Waを給水元から流入させるための流入口111と、流入口111から吐出口112に至る内部流路が形成された第一筒部11,第二筒部21,整流部81(本体部)と、流入口111から流入した水を内部流路の下流側に向けて噴射する複数の噴射孔314(オリフィス部)と、内部流路内に空気を導入する空気孔211a及び隙間214(開口部)が形成され、この空気孔211a及び隙間214から導入された空気を複数の噴射孔314から噴射された水に混入して気泡混入水と成し吐出口112に供給する気泡混入部713と、気泡混入部713において気泡混入水に混入される気泡の混入率を調整する減圧部31(混入率調整部)と、を備えている。混入率調整部として機能する減圧部31は、流入口111から流入する水が所定流量に至るまでは混入率を増加させ、流入口111から流入する水が所定流量を超えると混入率の増加を抑制するように作用している。従って、第一実施形態に係る吐水口キャップ部BCと同等の作用効果を奏するものである。
続いて、本実施形態に係る吐水口キャップBDの第一変形例としての吐水口キャップBDaについて図12及び図13を参照しながら説明する。図12及び図13は、第一変形例としての吐水口キャップBDaの断面図である。吐水口キャップBDでは、減圧部31と下絞径部71との間に隙間214を設け、減圧部31を動かすことで開口部としての隙間214の開口面積を変化させて混入率を調整するものであった。しかしながら、気泡混入水への気泡の混入率を変化させる混入率調整部としては、これに限られるものではなく、空気を引き込む力を抑制することで混入率の増加を抑制するものも好ましいものである。吐水口キャップBDaは、このように気泡の混入効率を抑制するように構成した一例である。
図12に示されるように、吐水口キャップBDaは、第一筒部11(本体部)と、第二筒部21a(本体部)と、減圧部31a(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部41(減衰部)と、パッキン51と、下絞径部72と、整流部81(本体部)とを備えている。
第一筒部11は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部にパッキン51を収め、その下流側に延伸するように、第二筒部21a及び整流部81が設けられている。従って、本実施形態の場合は、第一筒部11と、第二筒部21aと、整流部81とによって本体部が構成されている。第一筒部11の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部113が設けられている。取付ネジ部113は、吐水口キャップBDaをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部113の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン51が第一筒部11の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン51は、吐水口キャップBDaをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部11の取付ネジ部113を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口111から供給される。流入口111から本体部としての第一筒部11に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部21a、減圧部31a、上絞径部41、下絞径部72、整流部81を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口112から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部41は、パッキン51の下流側(吐出口112側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部41は、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部411と、鍔部411に囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部412とを備えている。鍔部411は、第二筒部21aに固定されている。
環状凸部412は、鍔部411から上流側(流入口111側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部412の中央を含む領域には、流入穴413が形成されている。流入口111から入った水は、上絞径部41に当たることで水圧が減衰され、流入穴413から下流側に流出される。流入穴413から下流側に流出した水は、上絞径部41と減圧部31aとの間に形成される溜水部414に流入する。
減圧部31aは、上絞径部41の下流側に配置されている。減圧部31aは、減圧板311a(受圧板)と、下方突起312aとを備えている。減圧板311aは円形板状の部材である。下方突起312aは、減圧板311aの外周部分から下流側に延びる突起である。下方突起312aは、第二筒部21a及び下絞径部72に当接し、下絞径部72と減圧板311aとの間に隙間214aを形成するためのものである。
減圧板311aには、複数の噴射孔314a(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔314aが形成されているのは、溜水部414に相当する位置である。従って、複数の噴射孔314aは、上絞径部41の鍔部411によって塞がれないように設けられている。
本例の場合、複数の噴射穴314aの一部にダックビル315aが設けられている。ダックビル315aは変形可能な部材(例えば、樹脂)によって形成されており、水量が多くなると開いて水が通るように形成されている。ダックビル315aは、減圧板311aの下流側の面に取り付けられている。
上絞径部41及び減圧部31aの外側であって、第一筒部11の下流側には、第二筒部21aが設けられている。第二筒部21aは、上流側の第一ガイド部216aと、下流側の第二ガイド部215aとを備えている。
第一ガイド部216aの上端212a(流入口111側の端部、y軸方向における負方向の端部)には、上絞径部41を係合するための凹部が設けられている。第一ガイド部216aの内側には、減圧板311aの外周及び下方突起312aが当接するように配置されている。
第一ガイド部216aと第二ガイド部215aとの間には、内部流路内に空気を導入するための空気孔216aaが設けられている。空気孔216aaは、第一ガイド部216aと第二ガイド部215aとの間において、第二筒部21aの全周に渡って散在するように設けられている。
第二ガイド部215aの内側には、下絞径部72が配置されている。下絞径部72は、縮径テーパー部721と、拡径テーパー部722とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部721は、拡径テーパー部722よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部722は、縮径テーパー部721よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部721の内側側面である傾斜面721aは、減圧部31aの複数の噴射孔314aに対応した位置に形成されている。従って、減圧板311aの複数の噴射孔314aから噴射された水流は、傾斜面721aに当たって内側に方向付けられ気液界面に突入する。
流入口111から水が供給され、減圧板311aの複数の噴射孔314aから水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部72に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面721aで方向付けられた水流が空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板311aの作用によって、減圧板311aから下絞径部72の間は負圧になるので、空気孔216aa及び隙間214aから空気が引き込まれ、複数の噴射孔314aから噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板311aから下絞径部72にかけての領域は、気泡混入部713として形成されるものである。
気泡混入部713によって生成された気泡混入水は、第二ガイド部215aの下流側に設けられた整流部81の整流格子811によって整流され、吐出口112から外部へと吐出される。
本実施形態の場合、複数の噴射孔314aの一部の噴射孔314aにダックビル315aが取り付けられている。従って、流入口111から水が供給され、上絞径部41の流入穴413を通って減圧部31aの減圧板311aに形成された噴射孔314aに至ると、ダックビル315aは押し広げられる力を受ける。ダックビル315aの動きは、流入口111から所定の流量の水が供給されるまでは開かずに、流入口111から所定の流量を超えた水が供給されると開くものである。
ダックビル315aが開いた状態を図13に示す。図13に示されるように、流入口111から流入する水が所定の流量を超えると、流入してくる水Waがダックビル315aを押し広げようとする力が勝り、ダックビル315aが開いて、そのダックビル315aが取り付けられた噴射孔314aからも水が通るようになる。結果として複数の噴射孔314a全体してみれば開口面積が増えることになるため、複数の噴射孔314aから噴射される水の流速増加が抑制される。
尚、本例では一部の噴射孔314aにダックビル315aを取り付けたが、ダックビル315aの先端に予め開口を設けておき、全ての噴射孔314aに取り付けることも好ましいものである。このようにすれば、個々の噴射孔314aの開口面積を、水量の増加に伴って広げるように構成することができる。
このように、流入口111から流入する水が所定流量を超えると、複数の噴射孔314aの開口面積を広げることで複数の噴射孔314aから噴射される水の流速増加を抑制するので、複数の噴射孔314a全体の総面積を増加させるという簡単な構成で、容易に複数の噴射孔314aから噴射される水の流速増加を抑制することができる。
換言すれば、流入口111から流入する水が所定流量を超えると、複数の噴射孔314aから噴射される水の流速増加を抑制することで、開口部としての空気孔216aa及び隙間214aから空気を引き込む力を抑制するので、噴射される水の流速増加の抑制という一つの動作で付帯的に空気の導入量も抑制することができる。従って、強制的に空気を送り込む力を可変できるポンプといった別途の装置を設ける必要が無いので、より簡単な構成で確実に混入率の増加を抑制することができる。
開口部としての空気孔216aa及び隙間214aから空気を引き込む力を抑制するという観点からは、減圧板311aから下流側に水が至る経路を、複数の噴射孔314a以外にも形成することも好ましいものである。この好ましい態様の例を図14及び図15を参照しながら説明する。図14及び図15は、第二変形例としての吐水口キャップBDbの断面図である。
図14に示されるように、吐水口キャップBDbは、第一筒部11(本体部)と、第二筒部21b(本体部)と、減圧部31b(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部41(減衰部)と、パッキン51と、下絞径部72と、整流部81(本体部)とを備えている。
第一筒部11は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部にパッキン51を収め、その下流側に延伸するように、第二筒部21b及び整流部81が設けられている。従って、本実施形態の場合は、第一筒部11と、第二筒部21bと、整流部81とによって本体部が構成されている。第一筒部11の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部113が設けられている。取付ネジ部113は、吐水口キャップBDbをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部113の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン51が第一筒部11の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン51は、吐水口キャップBDbをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部11の取付ネジ部113を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口111から供給される。流入口111から本体部としての第一筒部11に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部21b、減圧部31b、上絞径部41、下絞径部71、整流部81を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口112から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部41は、パッキン51の下流側(吐出口112側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部41は、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部411と、鍔部411に囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部412とを備えている。鍔部411は、第二筒部21bに固定されている。
環状凸部412は、鍔部411から上流側(流入口111側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部412の中央を含む領域には、流入穴413が形成されている。流入口111から入った水は、上絞径部41に当たることで水圧が減衰され、流入穴413から下流側に流出される。流入穴413から下流側に流出した水は、上絞径部41と減圧部31bとの間に形成される溜水部414に流入する。
減圧部31bは、上絞径部41の下流側に配置されている。減圧部31bは、減圧板311b(受圧板)と、開口調整部32bとを備えている。減圧板311bは円形板状の部材である。開口調整部32bは、流入口111から入る水量が増えた場合に、減圧板311bの開口面積を広げる役割を果たすものである。
減圧板311bには、複数の噴射孔314b(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔314bが形成されているのは、溜水部414に相当する位置である。従って、複数の噴射孔314bは、上絞径部41の鍔部411によって塞がれないように設けられている。
本例の場合、複数の噴射孔314bの他に、通水孔316bが設けられている。通水孔316bの下流側を覆うように、開口調整部32bの調整板321bが設けられている。流入口111から入る水の流量が流量を上回ると、調整板321bと減圧板311bとの間に隙間ができて、通水孔316bからも水が通るように構成されている。
上絞径部41及び減圧部31bの外側であって、第一筒部11の下流側には、第二筒部21bが設けられている。
第二筒部21bには、内部流路内に空気を導入するための空気孔211bが設けられている。空気孔211bは、第二筒部21bの全周に渡って散在するように設けられている。
第二筒部21bの内側且つ下流側には、下絞径部71が配置されている。下絞径部71は、縮径テーパー部711と、拡径テーパー部712とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部711は、拡径テーパー部712よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部712は、縮径テーパー部711よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部711の内側側面である傾斜面711aは、減圧部31bの複数の噴射孔314bに対応した位置に形成されている。従って、減圧板311bの複数の噴射孔314bから噴射された水流は、傾斜面711aに当たって内側に方向付けられ気液界面に突入する。
流入口111から水が供給され、減圧板311bの複数の噴射孔314bから水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部71に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面711aで方向付けられた水流が空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板311bの作用によって、減圧板311bから下絞径部71の間は負圧になるので、空気孔211bから空気が引き込まれ、複数の噴射孔314bから噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板311bから下絞径部71にかけての領域は、気泡混入部713として形成されるものである。
気泡混入部713によって生成された気泡混入水は、下流側に設けられた整流部81の整流格子811によって整流され、吐出口112から外部へと吐出される。
調整板321bと減圧板311bとの間に隙間ができた状態を図15に示す。図15に示されるように、流入口111から流入する水が所定の流量を超えると、流入してくる水Waが調整板321bを押し広げようとする力が勝り、調整板321bが減圧板311bから離れて、通水孔316bからも水が通るようになる。結果として複数の噴射孔314a以外にも減圧板311bの下流側に水が至る経路が形成されるので、全体としてみれば開口面積が増えることになり、複数の噴射孔314bから噴射される水の流速増加が抑制される。
このように、流入口111から流入する水が所定流量を超えると、複数の噴射孔314b以外にも水が通る経路を形成することで複数の噴射孔314bから噴射される水の流速増加を抑制するものとしている。従って、何もしなければオリフィス部を構成する複数の噴射孔314bを通る水を、その複数の噴射孔314b以外の経路を通し、複数の噴射孔314bを通る水量の増加を抑制し、複数の噴射孔314bから噴射される水の流速増加を確実に抑制することができる。
気泡混入水への気泡の混入効率を抑制することで混入率の増加を抑制する観点からは、気液界面に突入する水の流速増加を抑制することも好ましいものである。この好ましい態様の例を図16及び図17を参照しながら説明する。図16及び図17は、第三変形例としての吐水口キャップBDcの断面図である。
図16に示されるように、吐水口キャップBDcは、第一筒部11(本体部)と、第二筒部21c(本体部)と、減圧部31c(混入率調整部、空気量調整部)と、上絞径部41c(減衰部)と、パッキン51と、下絞径部74と、整流部81(本体部)とを備えている。
第一筒部11は、略円筒形状の部材であって、その円筒形状の内部にパッキン51を収め、その下流側に延伸するように、第二筒部21c及び整流部81が設けられている。従って、本実施形態の場合は、第一筒部11と、第二筒部21cと、整流部81とによって本体部が構成されている。第一筒部11の図中上端側(y軸方向における負方向の末端側)には、取付ネジ部113が設けられている。取付ネジ部113は、吐水口キャップBDcをスパウト部B2の吐水口に取り付けるための雌ネジである。取付ネジ部113の下方(y軸方向における正方向)には、パッキン51が第一筒部11の内壁に沿うように円環状に設けられている。パッキン51は、吐水口キャップBDcをスパウト部B2の吐水口に取り付けた場合の漏水防止用の密接部材である。
第一筒部11の取付ネジ部113を、スパウト部B2の吐水口の雄ネジと螺合させて取り付けると、水栓装置FCから供給される水Waは流入口111から供給される。流入口111から本体部としての第一筒部11に入った水Waは、その内部流路(詳細は後述するが、第二筒部21c、減圧部31c、上絞径部41c、下絞径部74、整流部81を通る流路)を通って気泡混入水又は整流水(実質的に気泡が混入されていない水)となって、吐出口112から外部(ボウル部)へと吐出される水Wbとなる。
上絞径部41cは、パッキン51の下流側(吐出口112側、y軸方向における正方向)に配置されている。上絞径部41cは、帽子の鍔状に外周を構成する円環状の鍔部411cと、鍔部411cに囲繞され中央を含む領域に形成される環状凸部412cとを備えている。鍔部411cは、減圧部31cに固定されている。
環状凸部412cは、鍔部411cから上流側(流入口111側、y軸方向における負方向)に突出するように形成されている。環状凸部412cの中央を含む領域には、流入穴413cが形成されている。流入口111から入った水は、上絞径部41cに当たることで水圧が減衰され、流入穴413cから下流側に流出される。流入穴413cから下流側に流出した水は、上絞径部41cと減圧部31cとの間に形成される溜水部414cに流入する。
減圧部31cは、上絞径部41cの下流側に配置されている。減圧部31cは、減圧板311c(受圧板)と、上保持部318cと、下保持部317cとを備えている。減圧板311cは円形板状の部材であって、樹脂やゴムといった可撓性のある材料で形成されている。上保持部318cと下保持部317cとは、減圧板311c及び鍔部411cを挟み込んで、第二筒部21cに固定するための部材である。
減圧板311cには、複数の噴射孔314c(オリフィス部)が円環状を成すように形成されている。複数の噴射孔314cが形成されているのは、溜水部414cに相当する位置である。従って、複数の噴射孔314cは、上絞径部41cの鍔部411cによって塞がれないように設けられている。
上絞径部41c及び減圧部31cの外側であって、第一筒部11の下流側には、第二筒部21cが設けられている。
第二筒部21cには、内部流路内に空気を導入するための空気孔211cが設けられている。空気孔211cは、第二筒部21cの全周に渡って散在するように設けられている。
第二筒部21cの内側且つ下流側には、下絞径部74が配置されている。下絞径部74は、縮径テーパー部741と、拡径テーパー部742とを備えた円筒状の部材である。縮径テーパー部741は、拡径テーパー部742よりも上流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を狭めるように形成されている。拡径テーパー部742は、縮径テーパー部741よりも下流側に設けられており、上流側から下流側に向けて内部流路を広げるように形成されている。
縮径テーパー部741の内側側面である傾斜面741aは、減圧部31cの複数の噴射孔314cに対応した位置に形成されている。従って、減圧板311cの複数の噴射孔314cから噴射された水流は、傾斜面741aに当たって内側に方向付けられ気液界面に突入する。
流入口111から水が供給され、減圧板311cの複数の噴射孔314cから水が噴射されると、下流側から水が溜まって、下絞径部74に相当する位置に気液界面が形成される。この気液界面に、傾斜面741aで方向付けられた水流が空気を巻き込みながら突入するので、気泡混入水が生成される。減圧板311cの作用によって、減圧板311cから下絞径部74の間は負圧になるので、空気孔211cから空気が引き込まれ、複数の噴射孔314cから噴射される水と共に気液界面に突入する。気液界面への水流の突入によって、気液界面は乱されて、より気泡が混入されやすい状況にもなる。従って、減圧板311cから下絞径部74にかけての領域は、気泡混入部713として形成されるものである。
気泡混入部713によって生成された気泡混入水は、下流側に設けられた整流部81の整流格子811によって整流され、吐出口112から外部へと吐出される。
本例の場合、減圧板311cは可撓性を有するように形成されているので、流入口111から流入する水が所定の流量を超えると、下流側に膨張するように変形する。減圧板311cが変形した状態を図17に示す。図17に示されるように、流入口111から流入する水が所定の流量を超えて減圧板311cが下流側に膨張するように変形すると、噴射孔314cから噴射される水が向かう方向が変化し、傾斜面741aのより上側に当たるようになる。従って、傾斜面741aを水が流れる距離が増え、結果として気液界面に突入する際の水の流速が低減される。
このように、流入口111から流入する水が所定流量を超えると、気液界面に突入する水の流速増加を抑制することで、空気の巻き込み量が減少すると共に気液界面の変形が抑制され、混入効率を抑制することができる。このように流速を調整するという簡単な構成で、容易に混入効率を抑制することができる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。