JP2752720B2 - 泡沫シャワー吐水口 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水栓又はシャワーヘッド等に接続され給水
を泡沫化してシャワー散水する吐水口に関する。

〔従来の技術〕

給水音やシンク等への落下音を小さくしたり水撥ねを
なくすために、泡沫吐水口を設けた水栓が従来から利用
されている。また、泡沫の集中吐水式のほかに、泡沫化
したものを複数の孔から吐出してシャワー散水するよう
にしたものもある。

第５図は給水を泡沫化した後にシャワー散水として吐
出する例を示す概略断面図である。

図において、水栓のスパウト50の先端に固定された吐
水ヘッド51の中に多数の小孔52aを開けた減圧板52が収
納されている。そして、この減圧板52の下流に散水板53
を設け、流路中に空気を吸引するための通路54が散水板
53を吐水ヘッド51の間に形成されている。散水板53には
シャワー散水するために複数の散水孔53aが開けられ、
泡沫化を促進するための網53bが内部に収納されてい
る。

このような泡沫シャワー吐水口では、スパウト50から
の給水が減圧板52の小孔52aを通過するときに流れが増
速される。このため、減圧板52の下流側の吐水ヘッド51
の中が減圧されて通路54から外部の空気が吸い込まれ、
この空気が給水の中に混入することによって流れが泡沫
化される。そして、網53bに給水が衝き当たって流れ去
るときにも給水が激しく撹拌され、泡沫度を上げて散水
孔53aからシャワー散水される。また、通路54を設けな
いで散水板53の中央に空気孔を開け、これから空気を吸
引して給水を泡沫化する構造でも、図示のものと同様な
機能が得られる。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、減圧板52の小孔52aから一気に流入する給
水を泡沫化し、泡沫水は複数の散水孔53aのいずれか一
つに流れ込んで排出されるので、吐水ヘッド51の中で泡
沫が消滅しやすい。つまり、給水後に定常流れとなる
と、吐水ヘッド51の中では泡沫水がいずれかの散水孔53
aへ向かって流動する。このとき、流れ自体が気泡を含
んでいるため、吐水ヘッド51内の流れは激しい乱流とな
り、散水孔53aから一気に排出されずに一時的に散水板5
3の上に溢れるような状態となる。このように吐水ヘッ
ド51内で泡沫水が滞留すると、吐出されるまでに泡沫が
消滅し、適量の泡沫吐水が得られなくなる。

また、通路54を設けて減圧板52の近くから空気を吸引
するのに代えて、散水板53の中央に空気孔を開けた場合
では、散水板53の上に溢れて溜まっている泡沫水によっ
て空気孔が閉じられやすい。このため、空気混入が不十
分となって泡沫度の小さい吐水しか供給できなくなる。

そこで、本発明は、給水を泡沫した後に泡沫が消滅す
ることなく速やかに散水孔から吐出できるようにし、最
適な泡沫吐水が得られるようにすることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の泡沫シャワー吐水口は、以上の目的を達成す
るため、流体の入口及び出口と、前記入口と出口との間
を連通させる連通路と、前記連通路に配置された旋回流
チャンバと、前記連通路からの流体を前記旋回流チャン
バの内壁に沿って流入軸が斜め方向流れとして供給する
旋回孔と、前記旋回流チャンバ内での流体の旋回流れの
中心付近であって前記出口側への連通路に臨む放出口
と、前記放出口に連通すると共に該放出口の開口面積よ
り大きな横断面積の空間を有し且つその端部を前記出口
に連通させた泡沫化チャンバと、該泡沫化チャンバから
の泡沫水を散水する散水板と、該散水板のほぼ中央に形
成され外気と前記泡沫化チャンバの内部とを連通させる
空気流路とを備え、更に前記散水板に複数の散水孔を開
け、これらの散水孔のそれぞれに泡沫水を分けて供給す
るためのガイドを設けたことを特徴とする。

また、散水孔を、泡沫化チャンバを臨む側から放出側
に向けて流路断面が縮小するテーパ孔とすれば、急激な
流路断面の変化がなく、泡沫水を速やかに排出できる。

〔作用〕

入口から供給された水は旋回孔を抜けて旋回流チャン
バの中に斜め方向流れとして流入し、旋回流チャンバ内
では流れは渦巻き状に旋回し、流れ自体には遠心力が付
与されることになる。このため、放出口から泡沫化チャ
ンバに流れ出る水は遠心力によって外側へ吹き飛ばされ
て、円錐状の水膜となってこの泡沫化チャンバに供給さ
れる。一方、空気流路からは泡沫化チャンバ内での流れ
の増速による減圧効果を利用して空気が吸引され、この
吸引空気によって泡沫化チャンバ内の水が泡沫化され
る。そして、散水板に開けた複数の散水孔のそれぞれに
泡沫水を案内するガイドは、他の散水孔に向かう泡沫水
の流れどうしの干渉を抑え、泡沫水は滞留することなく
速やかに散水孔から吐出される。

また、テーパ孔を形成した散水孔は、泡沫化チャンバ
からの流路断面の縮小度合を緩やかにするので、流路の
急激な縮小による気泡の消滅が防され、泡沫度の高い泡
沫水が供給される。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例により本発明の特徴を具体的
に説明する。

第１図は本発明の泡沫水シャワー吐水口の要部縦断面
図、第２図及び第３図はそれぞれ第１図のＩ−Ｉ線及び
II−II線矢視による断面図である。

図において、スパウト50の先端に泡沫化のための吐水
ヘッド１が取り付けられている。吐水ヘッド１は、第２
図に示すように円形の横断面を持ち上端部分にはスパウ
ト50への接続筒1aを半径方向に突き出している。そし
て、接続筒1aからほぼ水平方向に向かう流線は吐水ヘッ
ド１の中心から下に直角に曲がり、下端に設けた散水板
２から吐出される内部流路が形成されている。

吐水ヘッド１の内部は隔壁３によって上下に分割さ
れ、この隔壁３の上方を旋回流チャンバ４及び下方を泡
沫化チャンバ５としている。旋回流チャンバ４は、隔壁
３と吐水ヘッド１の上端内壁との間を繋ぐ環状壁６によ
って流入路７及び流出路８に区画されている。流入路７
は接続筒1aに連通し、流出路８は隔壁３に開けた放出口
3aによって泡沫化チャンバ５に連通している。なお、隔
壁３及び環状壁６は一体成形品としておき、これを吐水
ヘッド１の中に固定する組立て構造とする。

環状壁６は吐水ヘッド１の流路断面と同軸配置され、
第２図に示すように４箇所に孔6aを旋回孔として開けて
いる。これらの孔6aは、環状壁６に内部の流出路８の横
断面に対して流線がタンジェンシャル方向となるような
姿勢としている。一方、流出路８の底部に開放している
放出口3aは流出路８の中心に位置し、その内径は流出路
８の内径よりも格段に小さい。

散水板２は、ネジ2a接合によって吐水ヘッド１の下端
に固定され、第１図に示すように通常のシャワー用等の
散水板よりも厚くしたものである。この散水板２には、
第３図のように合計８個の散水孔９が環状に配置され、
中心には空気孔10が空気流路として開けられている。散
水孔９は、泡沫化チャンバ５に臨む側の内径が大きく下
流に向けて流路面積が小さくなるテーパ孔9aを形成し、
これに続けて等径の吐出孔9bを設けている。

更に、散水板２の上面には、泡沫水を各散水孔９に導
くと共に吸引した空気を速やかに給水に混入して泡沫化
するためのガイド11が一体化されている。このガイド11
は、空気孔10と同軸上に配置されて上に立ち上げた円筒
状のスリーブ11a及びこのスリーブ11aを中心として放射
状に設けた仕切壁11bとから構成されている。仕切壁11b
は第３図に示すように各散水孔９を１個ずつ含むように
合計８枚設けられ、各散水孔９に向かう泡沫水どうしが
干渉し合わないようにしている。また、仕切壁11bに囲
まれた部分には網12が配置されている。

ここで、スパウト50から水を送り込むと、流入路７か
ら環状壁６の孔6aを通って流出路８に水が流れ込む。こ
のとき、孔6aの軸線は円形断面の流出路８に対してタン
ジェンシャル方向を向いているので、流出路８内では水
が旋回流となる。すなわち、第４図に示すように、水は
流出路８の外周部から内壁に沿って流れ込み、４箇所の
孔6aからの水が合流して渦を形成しながら流出路８の中
で旋回し始める。このとき、孔6aの全体の流路面積が放
出口3aのそれよりも大きければ、流出路８内で水が滞留
する現象を生じ、内圧も幾分か上昇する。したがって、
流出路８の内部では水自体の流動エネルギが増加し、旋
回流による遠心力が作用する。このため、放出口3aから
下に流れ落ちる水は、遠心力の影響を受けて外に広がる
挙動をし、図中の破線で示すように円錐状の水膜Ｆとな
って吐出される。つまり、放出口3aから円筒状の流路断
面として流れ落ちるのではなく、水自体が持つ遠心力の
作用によって半径方向へ吹き飛ばされ、これが連続流れ
となって円錐状の水膜Ｆとなる。そして、水膜Ｆの厚さ
は放出口3aから遠ざかるにつれて薄くなり、泡沫化チャ
ンバ５の下端に設けたガイド11の仕切壁11bによって囲
まれた部分に流れ込む。

一方、放出口3aは泡沫化チャンバ５のほぼ中央に位置
し、遠心力を伴った水が大きな流速で流れ出すため、円
錐状の水膜Ｆの外の空間の内圧が低下する。このため、
空気孔10を通ってスリーブ11aの上端から空気が流入
し、流れ去る水の中に混入して給水が泡沫化される。な
お、スリーブ11aは泡沫化チャンバ５の中に深く嵌まり
込んでいるためと放出口3aから放出される給水は円錐状
の水膜Ｆとなって流れ込むために、スリーブ11aの中に
直接入り込むことはない。したがって、流量が大きくて
も、空気孔10から安定して空気が供給され、給水の泡沫
化が維持されると共に、空気孔10からオーバーフローが
流れ出ることもない。

散水孔９に向かう泡沫水は、ガイド11の仕切壁11bに
囲まれた領域に流れ込み、それぞれの散水孔９から排出
される。このように、泡沫化された給水は仕切壁11bの
中に流れ込んでその下流の散水孔９へ向かうので、従来
のように散水板２の上で泡沫水が溢れるようになって
も、乱流化を抑えることができる。すなわち、各散水９
へは仕切壁11bによって区画された流路を流れるので、
仕切壁11bによって各散水孔９に向かう流れどうしの干
渉度合が小さくなる。このため、散水板２の全面で泡沫
水が激しく流動する流れに比べると、仕切壁11bによっ
て整流効果が得られ、速やかに泡沫水を排出することが
できる。したがって、泡沫水は含んだ気泡が消滅しない
前に吐出され、泡沫度の高い給水が得られる。

また、仕切壁11bによって案内されて流れる泡沫水
は、散水孔９のテーパ孔9aを経て一様断面の吐出孔9aか
ら排出される。一般に、水や湯程度の粘性流体では、管
内流路が急激に拡大したり縮小しても、管壁に沿って流
線を屈折させながら剥離を伴うことなく流れる。ところ
が、泡沫化された給水は気液二層流なので、圧縮性が大
きくなるほか通常の粘性流体とは挙動が少し異なる。た
とえば、流れの密度が高いほうが自重によって先行して
流れるので気泡が残されるようになり、特に流路が急激
に縮小しているとこのような現象が顕散になる。

これに対し、前述のように、散水孔９はテーパ孔9aか
ら等径の吐出孔9bを形成しているので、流路断面の変化
が緩やかに抑えられている。このため、泡沫水は急激な
流路面積の縮小の影響を受けることなくテーパ孔9aから
吐出孔9bに流れ、気泡と流体とが分離するようなことが
ない。したがって、流路の急激な縮小によって気泡が圧
縮されて消滅したりすることなく、適正な泡沫度を持つ
給水が得られる。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明では、吐水ヘッドに流
入する給水を旋回流とした後に泡沫化し、仕切壁を形成
したガイドによって散水孔に向かう泡沫水の流れが互い
に干渉し合わないようにしている。このため、散水板の
上で溢れて滞留しやすい従来構造に比べると、泡沫水を
速やかに散水孔から放出でき、泡沫が消滅しないうちに
吐出させることができる。したがって、泡沫度の高い吐
水が得られ、給水音や水はねが更に効果的に低減され
る。

また、散水孔に形成したテーパ孔によって流路断面の
急激な変化が抑えられているので、泡沫水の気泡と流体
とが分離したり気泡が圧縮されて消滅することもない。
このため、泡沫度の一様な吐水が得られ、脈動や間欠的
な吐水となることが防止され、使い勝手も向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の泡沫シャワー吐水口の要部縦断面図、
第２図は第１図のＩ−Ｉ線矢視断面図、第３図は第１図
のII−II線矢視断面図、第４図（ａ）は環状壁の内部で
の旋回流の発生を示す概略縦断面図、第４図（ｂ）は概
略横断面図、第５図は従来例を示す概略図である。 1:吐水ヘッド、1a:接続筒 2:散水板、2a:ネジ 3:隔壁、3a:放出口 4:旋回流チャンバ、5:泡沫化チャンバ 6:環状壁、6a:孔 7:流入路、8:流出路 9:散水孔、9a:テーパ孔 9b:吐出孔、10:空気孔 11:ガイド、11a:スリーブ 11b:仕切壁

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】流体の入口及び出口と、前記入口と出口と
   の間を連通させる連通路と、前記連通路に配置された旋
   回流チャンバと、前記連通路からの流体を前記旋回流チ
   ャンバの内壁に沿って流入軸が斜め方向流れとして供給
   する旋回孔と、前記旋回流チャンバ内での流体の旋回流
   れの中心付近であって前記出口側への連通路に臨む放出
   口と、前記放出口に連通すると共に該放出口の開口面積
   より大きな横断面積の空間を有し且つその端部を前記出
   口に連通させた泡沫化チャンバと、該泡沫化チャンバか
   らの泡沫水を散水する散水板と、該散水板のほぼ中央に
   形成され外気と前記泡沫化チャンバの内部とを連通させ
   る空気流路とを備え、更に前記散水板に複数の散水孔を
   開け、これらの散水孔のそれぞれに泡沫水を分けて供給
   するためのガイドを設けたことを特徴とする泡沫シャワ
   ー吐水口。
2. 【請求項２】前記散水孔は、泡沫化チャンバを臨む側か
   ら放出側に向けて流路断面が縮小するテーパ孔を形成し
   ていることを特徴とする請求項１記載の泡沫シャワー吐
   水口。