JP2011213685A - ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体を有効成分とする11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤 - Google Patents
ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体を有効成分とする11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体を有効成分とする11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤に関する。
11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(以下11β−HSDと略記する)1は細胞内で不活性型グルココルチコイド(コルチゾンあるいは11−デヒドロコルチコステロン)を活性型グルココルチコイド(コルチゾールあるいは11β−コルチコステロン)へ変換する酵素であり、皮下脂肪、内臓脂肪をはじめ肝臓、中枢神経等に発現が認められる(非特許文献1、2)。一方、細胞内には活性型グルココルチコイドを不活性型へ変換する酵素11β−HSD2も存在している。活性型グルココルチコイドは、細胞中で11β−HSD1の作用により不活性な前駆体から変換されることによって作用を発揮する。グルココルチコイドは脂肪細胞の分化に関与すること及びインスリンが寄与する糖脂質代謝を阻害することが報告されている(非特許文献3)。脂肪組織での11β−HSD1活性及び発現レベルはボディーマス指数(BMI)やインスリン抵抗性と正の相関を示す(非特許文献4)。更に脂肪組織特異的に11β−HSD1を過剰発現したトランスジェニックマウスでは、内臓脂肪型肥満、インスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧、脂肪肝などメタボリックシンドロームの主要な要因を合わせもつ表現型を示すことが報告されている(非特許文献5、6)。一方、11β−HSD1ノックアウトマウスでは、不活性型から活性型に変換できないことから高脂肪食負荷による肝の糖新生酵素群の誘導が起こらず、肥満による高血糖に対して抑制的に働くこと(非特許文献7)、血中トリグリセリドの低下、HDLコレステロールの上昇、インスリン抵抗性の改善が認められること(非特許文献8)が報告されている。これらのことから、11β−HSD1により過剰に産生された活性型グルココルチコイドは、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症(高脂血症)、高血圧、脂肪肝などの代謝性疾患、又はこれらの代謝性疾患が重複するメタボリックシンドロームの病態発症の原因となることが考えられ、11β−HSD1選択的阻害剤は前述した病態の治療、又は予防に有益であると考えられる。
これまでに、11β−HSD1活性の阻害を目的とした化合物の報告が数多くなされている。例えば、スピロ構造を有する化合物(特許文献1〜4)、アダマンタン誘導体(特許文献5)、スルホンアミド誘導体(特許文献6)、ピラゾール誘導体(特許文献7)、イソオキサゾール誘導体(特許文献8)、トリアゾール誘導体(特許文献9)、テトラゾール誘導体(特許文献10)、ピリジン誘導体(特許文献11)、ピリミジン誘導体(特許文献12)、ピペリジン誘導体(特許文献13)、ピリダジン誘導体(特許文献14)、ピロリジン誘導体(特許文献15)、チアゾール誘導体(特許文献16)、チオフェン誘導体(特許文献17)、ラクタム誘導体(特許文献18)等が報告されている。
一方、ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体は、次の一般式(A):
で表される、肥満、過食症、不安症、鬱病等に有効なメラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニストが開示されている(特許文献19)。しかしながら、当該化合物はピペリジン窒素原子上の置換基が本発明の化合物とは異なる。また、当該化合物は中枢神経系の特に視床下部で作用し、食物摂取を抑制することにより抗肥満作用を発現するものと考えられるが、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームに対する作用は記載も示唆もない。
また、次の一般式(B):
で表される化合物が開示されている(特許文献20)。しかしながら、当該化合物はナトリウムチャンネル阻害作用に基づく鎮痛剤として有用であることは記載されているが、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームに対する作用は記載も示唆もない。従って、ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体が糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療剤として有用であることはまったく知られていなかった。
J.Mol.Endocrinol.,37:327-340(2006)
Endcr.Rev.,25:831-866(2004)
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J.Biol.Chem.,276:41293-41301(2001)
本発明は、11β−HSD1を選択的に阻害し、医薬品として有用な化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ヒト11β−HSD1を選択的に阻害する化合物を見出すべく鋭意検討した結果、下記式(1)で表されるベンゾイミダゾリルピペリジン骨格を有する化合物が11β−HSD1を選択的に阻害する化合物であることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
[1]次の一般式(1):
[式中、環Qは、C6−10アリール基を示し、
R1は、水素原子、又はC6−10アリールオキシ基を示し、
R2は、水素原子、又は水酸基を示す。]
で表される、ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、
R1は、水素原子、又はC6−10アリールオキシ基を示し、
R2は、水素原子、又は水酸基を示す。]
で表される、ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、
[2]一般式(1)で表される化合物が、
(4−ヒドロキシフェニル){4−〔2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル〕ピペリジン−1−イル}メタノン、又は
ナフタレン−2−イル{4−〔4−フェノキシ−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル〕ピペリジン−1−イル}メタノン
である前記[1]記載の阻害剤、
(4−ヒドロキシフェニル){4−〔2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル〕ピペリジン−1−イル}メタノン、又は
ナフタレン−2−イル{4−〔4−フェノキシ−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル〕ピペリジン−1−イル}メタノン
である前記[1]記載の阻害剤、
[3]前記[1]又は[2]記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療剤、
[4]11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害用の製剤を製造するための、前記[1]又は[2]記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)、
[5]糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療のための製剤を製造するための、前記[1]又は[2]記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)、
[6]前記[1]又は[2]記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害方法(method)、及び、
[7]前記[1]又は[2]記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療方法(method)に関する。
本発明のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、優れた11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害作用を示し、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の関与する疾患(特に、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドローム)の予防又は治療薬として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(式(1)で表されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体)
本明細書で使用するとき、「アリール」とは、単環状又は縮合環状の芳香族炭化水素環を意味する。従って、「C6−10アリール基」とは、例えば、フェニル基、ナフチル基又はアズレニル基等が挙げられる。
(式(1)で表されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体)
本明細書で使用するとき、「アリール」とは、単環状又は縮合環状の芳香族炭化水素環を意味する。従って、「C6−10アリール基」とは、例えば、フェニル基、ナフチル基又はアズレニル基等が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「アリールオキシ」とは、前記「アリール」が酸素原子を介して結合した基を意味する。従って、「C6−10アリールオキシ基」とは、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基又はアズレニルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、環QのC6−10アリール基としては、フェニル基、ナフチル基(2−ナフチル基等)が好ましい。
一般式(1)中、R2における、C6−10アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基が好ましい。
本発明の一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体として、以下の化合物、その製薬学的に許容される塩又はそれらの溶媒和物が特に好ましい。
本発明の一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体において不斉炭素原子が存在する場合には光学異性体が存在するが、本発明はそれらすべての光学異性体及びラセミ体などの混合物を包含する。
本発明は一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。
一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体の製薬学的に許容される塩としては、具体的には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との酸付加塩、無機塩基(ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属)との塩基付加塩等が挙げられる。
一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体やその製薬学的に許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
(製造法)
本発明の一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体の製造法を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、J.Med.Chem.,6921−6934(2004)、WO2007/039462号パンフレット、WO2003/37890号パンフレット等の文献に記載の方法に有機化学で通常用いられる方法を適宜組合わせることにより、本発明のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体を製造することができる。
本発明の一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体の製造法を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、J.Med.Chem.,6921−6934(2004)、WO2007/039462号パンフレット、WO2003/37890号パンフレット等の文献に記載の方法に有機化学で通常用いられる方法を適宜組合わせることにより、本発明のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体を製造することができる。
〔式中、環Q、R1及びR2は前記と同じ基を示し、R3は低級アルキル基を示し、Pはアミノ基の保護基を示す〕
[反応工程1]本工程は、2−フルオロニトロベンゼン誘導体(2)とアミン誘導体(3)を塩基の存在下、溶媒中で反応し、次いで、溶媒中、ニトロ基の還元反応を行い、フェニレンジアミン誘導体(4)を製造する工程である。アミノ基の保護基Pは、Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.等に記載されているtert-ブトキシカルボニル基(Boc基)やベンジルオキシカルボニル基(Z基)等のアミノ基の保護基を用いることができる。
1)2−フルオロニトロベンゼン誘導体(2)とアミン誘導体(3)の反応は溶媒中、塩基の存在下にて行うことができる。溶媒としては特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。塩基としては特に制限はないが、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクテン(DABCO)、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等を使用することができる。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に0〜180℃、好ましくは50〜160℃にて5分〜2週間、好ましくは3時間〜1週間反応させることによって目的物が得られる。
2)上記反応で得られるニトロ化合物を、溶媒中で還元反応することにより、フェニレンジアミン誘導体(4)を製造することできる。この還元方法は、適当な溶媒中、水素源と触媒を用いてニトロ基を還元する接触水素付加反応により行われる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、酢酸等を単独又は組み合わせて使用することができる。水素源としては、水素、ギ酸、ギ酸アンモニウム、シクロヘキサジエン等を使用することができる。触媒としては、例えば、パラジウム、パラジウム黒、パラジウム炭素、白金炭素、白金、酸化白金、亜クロム酸銅、ラネーニッケル等を単独又は組み合わせて使用することができる。接触水素付加反応における水素圧は、通常、常圧〜50気圧、好ましくは常圧〜10気圧である。接触水素付加反応における反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜100℃にて30分〜5日間、好ましくは1時間〜1日間である。また、本反応は、適当な不活性溶媒中、鉄、亜鉛、スズ等の金属と塩酸、硫酸等の混合物等を還元剤として用いてニトロ基を還元する金属還元を用いてもよい。
[反応工程2]本工程は、フェニレンジアミン誘導体(4)とトリフルオロ酢酸(5)を適当な溶媒中で縮合反応し、ベンゾイミダゾール誘導体(8)を製造する工程である。溶媒は特に制限はないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を単独又は組み合わせて使用することができる。反応条件は、使用する原料によって異なるが、一般に−20〜180℃、好ましくは0〜50℃にて5分〜3日間、好ましくは1時間〜24時間反応させることによって目的物が得られる。また、本工程はトリフルオロ酢酸(5)の代わりに、カルボキシアルデヒド(6)で縮合してベンズイミダゾリンを形成し、続いてOxone(登録商標)のような酸化剤を用いて酸化する方法や、オルトエステル(7)を用いて縮合反応を行う方法を用いてもよい。
[反応工程3]本工程は、ベンゾイミダゾール誘導体(8)のアミノ基の保護基Pを脱保護し、化合物(9)を製造する工程である。脱保護方法は通常の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.等に記載されている方法を用いることができる。
[反応工程4]本工程は、化合物(9)とカルボン酸誘導体(10)を縮合し、ベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体(1)を製造する工程である。本反応は、溶媒中で縮合剤を用いて行う通常のアミド形成反応を用いることができる。また、反応を促進する目的で、塩基や縮合促進剤を共存させて縮合反応を行ってもよい。溶媒としては特に制限はないが、例えば、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。塩基としては特に制限はないが、例えば、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクテン(DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミン、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を使用することができる。縮合促進剤としては特に制限はないが、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(HONB)、ペンタフルオロフェノール(HOPfp)、N−ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等を使用することができる。縮合剤としては特に制限はないが、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCI・HCl)、ジエチルホスホリルシアニド(DEPC)、(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(TBTU)等を使用することができる。反応条件は、使用する原料、試薬によって異なるが、一般に−20〜100℃、好ましくは0〜40℃にて5分〜1日、好ましくは10分〜12時間反応させることによって目的のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体(1)が得られる。
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。たとえばラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
(使用態様)
本発明の医薬組成物は、一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、その製薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は薬学的に許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
本発明の医薬組成物は、一般式(1)で示されるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、その製薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は薬学的に許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
本発明のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくは、その塩、又は、それらの溶媒和物を有効成分とする医薬の投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、又は、静脈内注射剤、筋肉注射剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、点鼻剤等による非経口投与が挙げられる。また、このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、この有効成分を単独で、又は他の製薬上許容される担体、すなわち、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、希釈剤等を適宜組み合わせて医薬組成物として調製できる。
本発明の医薬の投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状等によって異なるが、通常成人の場合、一般式(1)で表わされるベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体として、1日0.1〜1000mg、好ましくは1〜300mgを、一回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与し得る。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、化合物1及び2はpolyphor社より入手可能であり、本試験には同社より入手した化合物をそのまま使用した。
試験例1 ヒト11β−HSD1及びマウス11β−HSD1阻害作用
1.ヒト11β−HSD1及びマウス11β−HSD1遺伝子のクローニングと安定発現細胞の樹立
ヒト11β−HSD1及びマウス11β−HSD1遺伝子のクローニングは各々ヒト肝臓RNA、ヒト腎臓RNA(CELL APPLICATIONS)、マウス肝臓RNAの逆転写産物を鋳型とし、Genbank Accession No. NM_005525、NM_000196及びNM_008288の塩基配列を参考にPCRクローニングした。得られた約0.9kbp、1.2kbp及び0.9kbpのPCR産物は発現ベクターpcDNA3.1+/Zeo(Invitrogen)にサブクローニングした。
1.ヒト11β−HSD1及びマウス11β−HSD1遺伝子のクローニングと安定発現細胞の樹立
ヒト11β−HSD1及びマウス11β−HSD1遺伝子のクローニングは各々ヒト肝臓RNA、ヒト腎臓RNA(CELL APPLICATIONS)、マウス肝臓RNAの逆転写産物を鋳型とし、Genbank Accession No. NM_005525、NM_000196及びNM_008288の塩基配列を参考にPCRクローニングした。得られた約0.9kbp、1.2kbp及び0.9kbpのPCR産物は発現ベクターpcDNA3.1+/Zeo(Invitrogen)にサブクローニングした。
ヒト11β−HSD1発現ベクターはトランスフェクション試薬、jetPEI(フナコシ)を用いてヒト腎由来細胞株、HEK293細胞に、マウス11β−HSD1はチャイニーズハムスター卵巣由来細胞株、CHO−K1細胞に各々トランスフェクションした。200〜400μg/mLのzeocine(Invitrogen)によってセレクションを行い、安定発現細胞クローンを得た。安定発現細胞は緩衝液A(20mmol/L Tris−HCl pH7.4、250mmol/L sucrose、1mmol/L EGTA、1mmol/L EDTA、1mmol/L MgCl2)にて懸濁し超音波処理を行った後、−80℃にて保存した。
2.酵素阻害活性の測定
酵素反応はポリスチレン製96穴プレートを用いて行った。DMSOに溶解、希釈した被検薬(0.003〜3mmol/L)、1μLを各ウェルに添加し、更に0.1mg/mL〜0.4mg/mLに希釈した細胞溶解液、10μLを添加した。次に基質(100nmol/L コルチゾンあるいはコルチゾール)と補酵素(400μmol/L NADPHあるいはNAD+)を含む緩衝液A、90μLを添加して37℃にて1時間インキュベーションした。酵素反応は95℃、3分間の処理を行うことにより停止した。反応液中に存在するコルチゾールは以下に示す競合ELISA法で定量した。
炭酸緩衝液(pH9.6)で2μg/mLに希釈した抗ウサギIgG抗体(ケミコン)を96穴イムノプレート(ヌンク)に100μLずつ添加し、4℃にて一晩インキュベーションすることにより固定化した。50μLの酵素反応液をプレートにのせ、さらに緩衝液B(25mmol/L Tris−HCl pH7.4、137mmol/L NaCl、2.68mmol/L KCl) で希釈した抗コルチゾール抗体(コスモバイオ)、コルチゾール−HRP標識体(コスモバイオ)を各々50μL添加し、4℃にて一晩インキュベーションした。0.05%のTween20を含む緩衝液Bで3回洗浄した後、発色試薬、TMB(Moss) 100μLを添加して発色させた。1mol/Lの硫酸 25μLにて発色反応を停止し、マイクロプレートリーダー(Molecular Device, VersaMax)にて450nmの吸光度を測定した。
酵素反応はポリスチレン製96穴プレートを用いて行った。DMSOに溶解、希釈した被検薬(0.003〜3mmol/L)、1μLを各ウェルに添加し、更に0.1mg/mL〜0.4mg/mLに希釈した細胞溶解液、10μLを添加した。次に基質(100nmol/L コルチゾンあるいはコルチゾール)と補酵素(400μmol/L NADPHあるいはNAD+)を含む緩衝液A、90μLを添加して37℃にて1時間インキュベーションした。酵素反応は95℃、3分間の処理を行うことにより停止した。反応液中に存在するコルチゾールは以下に示す競合ELISA法で定量した。
炭酸緩衝液(pH9.6)で2μg/mLに希釈した抗ウサギIgG抗体(ケミコン)を96穴イムノプレート(ヌンク)に100μLずつ添加し、4℃にて一晩インキュベーションすることにより固定化した。50μLの酵素反応液をプレートにのせ、さらに緩衝液B(25mmol/L Tris−HCl pH7.4、137mmol/L NaCl、2.68mmol/L KCl) で希釈した抗コルチゾール抗体(コスモバイオ)、コルチゾール−HRP標識体(コスモバイオ)を各々50μL添加し、4℃にて一晩インキュベーションした。0.05%のTween20を含む緩衝液Bで3回洗浄した後、発色試薬、TMB(Moss) 100μLを添加して発色させた。1mol/Lの硫酸 25μLにて発色反応を停止し、マイクロプレートリーダー(Molecular Device, VersaMax)にて450nmの吸光度を測定した。
100からヒト11β−HSD1及びマウス11β−HSD1活性の値を差し引いた値を実施例化合物のそれぞれの11β−HSD阻害率とし、各実施例化合物について、複数の濃度での11β−HSD阻害率の値から11β−HSD1を50%阻害する濃度(IC50)を算出した。ヒト11β−HSD1とマウス11β−HSD1の阻害活性値の比較を表1に示した。
表1に記載したとおり、本発明の化合物はヒト11β−HSD1のみを強力かつ選択的に阻害する作用を有することが確認された。
本発明のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体(1)は、ヒト11β−HSD1のみを強力かつ選択的に阻害する作用を有しており、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の関与する疾患(特に、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドローム)の予防又は治療薬として有用である。本発明のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体(1)は、製薬工業において有用であることから、産業上の利用可能性を有している。
Claims (7)
- 一般式(1)で表される化合物が、
(4−ヒドロキシフェニル){4−〔2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル〕ピペリジン−1−イル}メタノン、又は
ナフタレン−2−イル{4−〔4−フェノキシ−2−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル〕ピペリジン−1−イル}メタノン
である請求項1記載の阻害剤。 - 請求項1又は2記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療剤。
- 11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害用の製剤を製造するための、請求項1又は2記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)。
- 糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療のための製剤を製造するための、請求項1又は2記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)。
- 請求項1又は2記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害方法(method)。
- 請求項1又は2記載のベンゾイミダゾリルピペリジン誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、高血圧、脂肪肝又はメタボリックシンドロームの予防及び/又は治療方法(method)。
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JP2018513175A (ja) * | 2015-04-21 | 2018-05-24 | ピエール、ファーブル、メディカマン | 非アルコール性脂肪性肝炎の予防および/または治療における(4−ヒドロキシ−2−メチル−1,1−ジオキシド−2H−ベンゾ[e][1,2]チアジン−3−イル)(ナフタレン−2−イル)メタノンの使用 |
-
2010
- 2010-04-01 JP JP2010085001A patent/JP2011213685A/ja active Pending
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