JP2011212531A - アルキルシラノール除去材及びそれを製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多種の凝縮性有機ガスが共存する半導体製造工程において、アルキルシラノールの除去に好適な除去材とそれを製造する方法を提供すること。
【解決手段】
電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5である椰子殻粒状活性炭からなるアルキルシラノール除去材とそれを製造する方法により上記課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】
電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5である椰子殻粒状活性炭からなるアルキルシラノール除去材とそれを製造する方法により上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明はアルキルシラノール除去材及びそれを製造する方法に関する。さらに詳しくは半導体を製造するに際し、クリーンルームなどにおいて発生するガス状汚染物質、特に半導体ウェハの表面処理材として一般的に使用されているヘキサメチルジシラザンの分解生成物であるトリメチルシラノールの吸着に好適な椰子殻粒状活性炭からなるアルキルシラノール除去材及びそれを製造する方法に関する。
半導体の微細化、高性能化の急速な進展につれて半導体製造環境に起因する汚染物質が生産性、品質、信頼性に大きな影響を及ぼすようになってきている。そのため、製造技術の進展に伴い、半導体製造におけるクリーンルームの気相管理がますます重要になってきている。
半導体製造工程において問題となる汚染物質は、粒子状汚染物質とガス状汚染物質の2種に分類することができ、粒子状汚染物質に対しては従来から防塵フィルタが使用されている。また、ガス状汚染物質は防塵フィルタでは除去できないため、イオン交換繊維や活性炭からなるケミカルフィルタが使用されている。
ガス状汚染物質は、さらに酸、塩基などの極性ガスと凝縮性有機ガスとに大別され、一般に塩酸やアンモニアなどの極性ガスの除去にはイオン交換繊維やイオン交換樹脂からなるケミカルフィルタが使用されている。一方、半導体製造工程において発生する凝縮性有機ガスは主に、樹脂添加剤であるフタル酸エステルやリン酸エステル、シーリング材料に含まれるシロキサン、ウェハの表面処理剤であるヘキサメチルジシラザンの分解生成物であるトリメチルシラノール、トルエンなどの芳香族化合物など多種が知られており、このような凝縮性有機ガスの除去には有機物の除去に効果的な活性炭フィルタが使用されている。
活性炭フィルタによる凝縮性有機ガスの除去については、活性炭繊維によるフタル酸エステルの除去(特許文献1参照)やシロキサンの除去が報告されており(特許文献2参照)、使用される活性炭としては、細孔分布の広い粒状活性炭ではなく、細孔分布の狭い活性炭繊維が適していると記載されている。しかし、クリーンルーム内で発生する汚染ガスは、トルエンやパラキシレンなど分子径が0.7nm未満の小さな分子からフタル酸エステル類などの分子径が1.4nm以上と大きな分子が幅広く共存しているため、これらを同時に除去するには細孔分布の狭い活性炭繊維は不向きである。また活性炭繊維は一般的に高価であるとともに、嵩密度が低いので、使用できる重量が少なく、フィルタとしての使用期間が短いという問題がある。
近年の半導体製造技術の進展、特に露光装置の短波長化に伴い、露光レンズへトリメチルシラノール由来の酸化ケイ素が堆積し、装置の汚染による製品の品質低下が問題となっている。そのため、半導体製造技術の進展に伴い、半導体ウェハの表面処理材として一般的に使用されているヘキサメチルジシラザンの分解生成物であるトリメチルシラノールなどのアルキルシラノールを効率良く除去することのできる除去材が強く求められている。
したがって、本発明の目的は、多種の凝縮性有機ガスが共存する半導体製造工程において、アルキルシラノールの除去に好適な除去材を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5の椰子殻粒状活性炭により、気相中のトリメチルシラノールなどのアルキルシラノールを効率よく除去することができることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は以下のものを提供する。
[1] 電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5である椰子殻粒状活性炭からなることを特徴とするアルキルシラノール除去材。
[2] 強熱残分が0.4重量%以下である[1]記載のアルキルシラノール除去材。
[3] トリメチルシラノールの平衡濃度2ppmにおける平衡吸着量が9重量%以上である[1]又は[2]記載のアルキルシラノール除去材。
[4] 椰子殻を炭化、水蒸気賦活して活性炭とした後、粒状化した活性炭を水洗又は酸浸漬した後に水洗してアルキルシラノール除去材を製造する方法。
[2] 強熱残分が0.4重量%以下である[1]記載のアルキルシラノール除去材。
[3] トリメチルシラノールの平衡濃度2ppmにおける平衡吸着量が9重量%以上である[1]又は[2]記載のアルキルシラノール除去材。
[4] 椰子殻を炭化、水蒸気賦活して活性炭とした後、粒状化した活性炭を水洗又は酸浸漬した後に水洗してアルキルシラノール除去材を製造する方法。
本発明のアルキルシラノール除去材は、高いアルキルシラノール除去性能を有するので、半導体製造などのクリーンルームにおいて品質や生産性低下の原因となるトリメチルシラノールを除去するためのケミカルフィルタの素材として好適である。
本発明のアルキルシラノール除去材は、電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5である椰子殻粒状活性炭からなることを特徴とする。本発明でいうアルキルシラノールとは、アルキル基を一つ以上有するシラノール化合物であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
活性炭における電気伝導度とは、活性炭に含有されている不純物でイオン化する塩類の量を示している。したがって、電気伝導度が高いことは活性炭に含まれる金属量が多いことを意味する。また、活性炭におけるpHはアルキルシラノールの脱水縮合反応の反応性に大きく影響する。本発明のシラノール除去材において、電気伝導度は100μS/cm以下が必要であり、50μS/cm以下がより望ましい。電気伝導度が100μS/cmを超えていると、活性炭に含有されている塩類による活性炭の細孔閉塞や塩類中の親水性物質であるアルカリ金属、アルカリ土類金属などの影響で有機物の吸着性能が低下するため好ましくない。また、該活性炭のpHは3〜8.5が必要であって、4〜8.4がより好ましい。pHが8.5を超えるか、または3未満であると、アルキルシラノールの吸着を阻害するため好ましくない。
活性炭の強熱残分とは、活性炭に含まれる不揮発性の無機物を示しており、これがあまりに多いと、細孔の閉塞により吸着性能が低下する。また、強熱残分中の親水性物質であるアルカリ金属、アルカリ土類金属などの影響で有機物の吸着性能が低下するので0.4重量%以下とするのが好ましく、0.2重量%以下がより望ましい。
本発明のアルキルシラノール除去材によれば、トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppmにおける平衡吸着量が9重量%以上を示し、通常の活性炭と比較して2倍〜3倍のアルキルシラノール吸着性能を発現する。
一般的に椰子殻活性炭の細孔分布は活性炭繊維と石炭系活性炭の中間に位置している。椰子殻活性炭は活性炭繊維に比べてミクロ孔は少ないがメソ孔が多く、石炭系活性炭と比べメソ孔が少なく、ミクロ孔が多い。そのため、クリーンルーム中に存在する多様な分子径の不純物を除去することができ、さらに再放出する可能性が低い。また、椰子殻活性炭は活性炭繊維に比べ安価であること、石炭系活性炭に比べて強熱残分などの不純物が少ないことから、クリーンルームなどのケミカルフィルタとして好適である。
本発明のアルキルシラノール除去材は、椰子殻を炭化、賦活、粒状化することによって要件を満たす椰子殻活性炭を得ることができれば、それを製造する方法、製造条件、製造装置などはとくに限定されない。炭化条件としては、例えば回転式ロータリーキルンに少量の不活性ガスを流しながら300℃以上で処理するなどの公知の条件を採用することができる。
また、賦活方法は、ガス賦活、薬品賦活などいかなる賦活方法を使用しても構わないが、薬剤の残留が少ないガス賦活が好ましい。ガス賦活に使用するガスとしては、水蒸気、炭酸ガス、酸素、LPG燃焼ガス又はこれらの混合ガスなどが挙げることができるが、なかでも安全性や反応効率の点から、水蒸気賦活が好ましい。賦活ガス中に水蒸気ガスを含む場合、賦活温度は、通常500℃〜1200℃であり、生産性や装置への負荷の点から、750℃〜950℃がより好ましい。また、水蒸気分圧が低すぎると反応効率が下がり生産性が低下し、高すぎると反応速度が上がりすぎて安定に生産することが困難になる。そのため、10%〜60%が好ましく、より好ましくは15%〜50%で実施される。
得られた活性炭は整粒されるが、整粒するための粉砕手段はとくに限定されず、例えば、コーンクラッシャー、ディスククラッシャーなどの各種クラッシャー、ボールミル、遠心ロールミル、リングロールミルなどの各種ミルなど公知の粉砕機を用いることができる。粒状活性炭の粒径は、あまり小さいとフィルタとした時の空気抵抗が大きくなって圧力損失が大きくなり、またあまり大きいと空気抵抗は低下するが、ガスとの接触面積が小さくなるので、使用形態によって適宜選択するのが良い。活性炭フィルタとしては平均粒径が0.1mm〜3mm、好ましくは0.25mm〜0.5mmの粒状活性炭を使用するのが空気抵抗、圧力損失のバランスの面で好適である。
本発明のアルキルシラノール除去材は、椰子殻を炭化し、好ましくは750℃〜950℃まで昇温することにより水蒸気賦活して活性炭とした後、得られた活性炭を水洗または酸浸漬した後に水洗することによって好ましく製造することができる。このような方法によれば、アルキルシラノール除去性能に優れることは勿論、低発塵性のフィルタを得ることができる。水洗のみでも本発明のアルキルシラノール除去材を得ることはできるが、洗浄効率の点から酸浸漬した後に水洗することが好ましい。水洗または酸浸漬した後に水洗するのに用いる水としては通常の水道水で良いが、水道水中の不純物を吸着し、再放出する可能性があるため、不純物の少ないイオン交換水を用いるのが好ましい。また、活性炭を水洗、又は酸浸漬した後に水洗する場合の温度に限定はしないが、加温することで洗浄時間を短縮することができるという点から洗浄時の加温は好適であり、水の温度としては30−100℃が好ましく、より好ましくは40−80℃である。
酸浸漬した後に水洗する場合、酸の種類に限定はしないが、塩酸、硝酸、硫酸、炭酸等の無機酸を濃度0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.3重量%〜3.6重量%程度の水溶液で用いるのが好適であり、特に活性炭に対する酸化力がなく、洗浄効率や活性炭からの除去が容易であるという点から塩酸が好適である。
酸浸漬により活性炭のpHが3以下となった場合、アルキルシラノールの除去性能が低下する可能性があるため、酸浸漬後には水洗により酸性成分を除去してpHを3〜8.5、好ましくは4〜8.4に調整する必要がある。
本発明の除去材が、アルキルシラノールに対して優れた吸着性能を示す理由は必ずしも明確に説明することはできないが、本発明の椰子殻粒状活性炭からなるアルキルシラノール除去材によるアルキルシラノールの吸着メカニズムは以下のように推定される。
アルキルシラノールは酸、又は塩基存在下で脱水縮合し、分子量の大きなシロキサンとなることが知られている。そのため、活性炭に吸着したアルキルシラノールは活性炭に含まれる酸、又は塩基成分により分子間で脱水縮合を起こし、シロキサンとして吸着される。一般的に活性炭の吸着は分子量の増加に伴い強くなるので、活性炭によるシラノールの脱水縮合の促進作用がアルキルシラノールの吸着性能に大きく影響していることが推定され、電気伝導度がこのようなシラノールの脱水縮合の促進作用に関係していることが想定される。
しかしながら、過剰な酸、又は塩基存在下では逆にシロキサンの分解が促進される。そのため、アルキルシラノールの除去に適した活性炭としては、シラノールの縮合が促進され、シロキサンの分解が起こらない範囲にpHを調節することが重要になる。したがって、活性炭のpHとしては前述のように、3〜8.5、好ましくは4〜8.4とする必要がある。また、活性炭の強熱残分は細孔の閉塞による吸着性能の低下や強熱残分中の親水性物質であるアルカリ金属やアルカリ土類金属などが有機物の吸着性能を低下させるので、0.4重量%以下であることが好ましい。
また、クリーンルーム内におけるケミカルフィルタとして使用する場合はアルキルシラノール以外にも分子径が大きいものから小さいものまで、多種の汚染ガスを除去する必要があるため、使用する活性炭の細孔径分布は活性炭繊維よりも広いものが好ましい。ただし、メソ孔のような2nm以上の大きな細孔が多いと被吸着物質の脱着速度が速くなり、吸着量は低下するので好ましくない。一方、ミクロ孔のような2nm以下の小さな細孔が多すぎると、フタル酸エステルのような大きな分子によりミクロ孔が閉塞され、十分に吸着性能を発現することができなくなってしまう。そのため、活性炭の細孔特性としては、BET法による全細孔容積が0.4〜1.25cc/g、更には0.45〜1.15cc/gであることが好ましい。また、BET解析による全細孔容積とBJH解析によるメソ孔容積から算出される全細孔容積に対するメソ孔容積の比率が10〜40%、好ましくは11〜35%であることが好適である。
活性炭の比表面積は900〜2200m2/g、好ましくは1000〜1400m2/gである。この範囲を超えて比表面積が小さすぎると全細孔容積も相対的に小さくなり、吸着性能は低下してしまう。一方、大きすぎる場合、メソ孔の比率も相対的に増大するため吸着性能が低下するとともに活性炭の嵩密度が低下し、単位体積当たりの吸着量が低下するので好ましくない。
本発明の除去材に用いられる椰子殻粒状活性炭は、成型されケミカルフィルタに作製されてアルキルシラノールを除去するのに用いられる。以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、活性炭の物性は次のように測定した。
<電気伝導度の測定>
活性炭を3±0.1gで秤量し、100mLビーカーに投入し、純水100mLを加え、電熱器上で加熱し、攪拌することなしに5分間沸騰させた後に冷却し、室温到達後、純水を加えて100mLとし、よく攪拌した後に水溶液の電気伝導度を電気伝導度計(HORIBA DS-52)で測定し、この値を活性炭の電気伝導度とした。
活性炭を3±0.1gで秤量し、100mLビーカーに投入し、純水100mLを加え、電熱器上で加熱し、攪拌することなしに5分間沸騰させた後に冷却し、室温到達後、純水を加えて100mLとし、よく攪拌した後に水溶液の電気伝導度を電気伝導度計(HORIBA DS-52)で測定し、この値を活性炭の電気伝導度とした。
<強熱残分の測定>
JIS K1474に準拠して測定した。活性炭3gを予め恒量にした磁性るつぼに1mgの桁まで量りとった。試料は予め115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥し、デシケーター中(乾燥剤としてシリカゲルを使用)で室温になるまで放冷し、その後、活性炭を投入した磁性るつぼを電気炉に入れ除々に温度を上げて完全に灰化させた後、800〜900℃で1時間加熱した。強熱後、デシケーター中で放冷し、質量を1mgの桁まで計り残分を求めた。
JIS K1474に準拠して測定した。活性炭3gを予め恒量にした磁性るつぼに1mgの桁まで量りとった。試料は予め115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥し、デシケーター中(乾燥剤としてシリカゲルを使用)で室温になるまで放冷し、その後、活性炭を投入した磁性るつぼを電気炉に入れ除々に温度を上げて完全に灰化させた後、800〜900℃で1時間加熱した。強熱後、デシケーター中で放冷し、質量を1mgの桁まで計り残分を求めた。
<pHの測定>
JIS K1474に準拠して測定した。具体的には活性炭試料を3±0.1gで秤量し、100mLビーカーに投入し、さらに、純水100mLを加え、電熱器上で加熱する。攪拌することなしに5分間沸騰させた後に冷却し、室温に到達後、純水を加えて100mLとし、よく攪拌した後に水溶液のpHをpH計(HORIBA F-52)で測定し、この値を活性炭のpHとした。
JIS K1474に準拠して測定した。具体的には活性炭試料を3±0.1gで秤量し、100mLビーカーに投入し、さらに、純水100mLを加え、電熱器上で加熱する。攪拌することなしに5分間沸騰させた後に冷却し、室温に到達後、純水を加えて100mLとし、よく攪拌した後に水溶液のpHをpH計(HORIBA F-52)で測定し、この値を活性炭のpHとした。
<比表面積の測定方法>
日本ベル株式会社製BELSORP-miniを用い、活性炭の77Kにおける窒素吸着等温線を作成し、得られた吸着等温線からBETの式により多点法による解析を行い、得られた曲線の相対圧p/p0=0.0001〜0.5の領域での直線から比表面積を算出した。
日本ベル株式会社製BELSORP-miniを用い、活性炭の77Kにおける窒素吸着等温線を作成し、得られた吸着等温線からBETの式により多点法による解析を行い、得られた曲線の相対圧p/p0=0.0001〜0.5の領域での直線から比表面積を算出した。
<平衡吸着試験>
十分に乾燥させた活性炭1.0gを3.8Lのガラス性密閉容器に投入し、真空ポンプを用いてガラス性密閉容器内の空気を除去し、その後アルキルシラノールとして市販のトリメチルシラノール(信越化学株式会社)を用い、トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールのみを活性炭に接触しないように、ガラス製密閉容器に加えた。また、混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノール/オルトキシレンの混合系を用い、上記の単一ガスの平衡吸着試験と同様の方法でトリメチルシラノールを加えた後、トリメチルシラノールと同じ重量のオルトキシレン(和光純薬株式会社製)を加えた。
十分に乾燥させた活性炭1.0gを3.8Lのガラス性密閉容器に投入し、真空ポンプを用いてガラス性密閉容器内の空気を除去し、その後アルキルシラノールとして市販のトリメチルシラノール(信越化学株式会社)を用い、トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールのみを活性炭に接触しないように、ガラス製密閉容器に加えた。また、混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノール/オルトキシレンの混合系を用い、上記の単一ガスの平衡吸着試験と同様の方法でトリメチルシラノールを加えた後、トリメチルシラノールと同じ重量のオルトキシレン(和光純薬株式会社製)を加えた。
ガラス性密閉容器を60℃に設定した乾燥器に入れて約2時間加熱し、加えた被吸着物質を完全に気化させた。被吸着物質が完全に気化した後、ガラス性密閉容器を25℃に設定したインキュベーターに入れ、この時間を吸着開始時間とし、24時間かけて活性炭に吸着させた。その後、ガラス性密閉容器内のガスをシリンジで正確に1ml抜き取りガスクロマトグラフィ(島津株式会社製GC-14B)にて測定を行なった。実施例および比較例に使用した原料活性炭の物性を表1に示す。
<通気試験>
アルキルシラノールとしてトリメチルシラノール(信越化学株式会社)を測定ガスに用いた。まず、活性炭を直径80mm、長さ60mmのガラスカラムに充填した。次に活性炭136gを充填したガラスカラムを、ガス流路内にガスが通気するように配置し、このカラムに、トリメチルシラノール濃度が2ppmの測定ガスを風速0.1m/secで2時間通気させ、通気後のトリメチルシラノール濃度をガスクロマトグラフィ(島津株式会社製GC-14B)により求めた。
アルキルシラノールとしてトリメチルシラノール(信越化学株式会社)を測定ガスに用いた。まず、活性炭を直径80mm、長さ60mmのガラスカラムに充填した。次に活性炭136gを充填したガラスカラムを、ガス流路内にガスが通気するように配置し、このカラムに、トリメチルシラノール濃度が2ppmの測定ガスを風速0.1m/secで2時間通気させ、通気後のトリメチルシラノール濃度をガスクロマトグラフィ(島津株式会社製GC-14B)により求めた。
実施例1
椰子殻を原料として炭化、900℃で水蒸気賦活し、粉砕して得た粒径分布0.25mm〜0.5mmの原料活性炭1、200gを流動洗浄器に入れ、水道水を流して活性炭を流動させながら室温で一晩洗浄を行なった。その後、115℃で一晩乾燥させた。得られた活性炭の分析値を表1に示す。
椰子殻を原料として炭化、900℃で水蒸気賦活し、粉砕して得た粒径分布0.25mm〜0.5mmの原料活性炭1、200gを流動洗浄器に入れ、水道水を流して活性炭を流動させながら室温で一晩洗浄を行なった。その後、115℃で一晩乾燥させた。得られた活性炭の分析値を表1に示す。
この活性炭に対してトリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を各々図1および図2に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ19重量%、30重量%であった。混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ15重量%、20重量%であった。
実施例2
実施例1と同じ原料活性炭1、201gを2L三角フラスコに入れた後、イオン交換水0.5Lを加え煮沸するまで加熱した。その後、上澄み液を除去し、1Lのイオン交換水で2回洗浄、デカンテーションを行なった。この作業を15回行なった後、115℃に設定した乾燥器内で一晩乾燥させた。この活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1および図2に示す。トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ9重量%、20重量%であった。混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ10重量%、17重量%であった。
実施例1と同じ原料活性炭1、201gを2L三角フラスコに入れた後、イオン交換水0.5Lを加え煮沸するまで加熱した。その後、上澄み液を除去し、1Lのイオン交換水で2回洗浄、デカンテーションを行なった。この作業を15回行なった後、115℃に設定した乾燥器内で一晩乾燥させた。この活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1および図2に示す。トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ9重量%、20重量%であった。混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ10重量%、17重量%であった。
実施例3
椰子殻を原料として炭化、900℃で水蒸気賦活し、粉砕し、水洗して得た粒径0.25mm〜0.5mmの活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を各々図1および図2に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ9重量%、20重量%であった。混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ13重量%、18重量%であった。
椰子殻を原料として炭化、900℃で水蒸気賦活し、粉砕し、水洗して得た粒径0.25mm〜0.5mmの活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を各々図1および図2に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ9重量%、20重量%であった。混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ13重量%、18重量%であった。
実施例4
実施例1と同じ原料活性炭200gをガラスビーカーに入れた後、濃度0.6重量%の希塩酸600gを加えて室温で一晩静置した。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、活性炭を洗浄器に移し、実施例1と同様の方法で水洗した。得られた活性炭の分析値を表1に示す。
実施例1と同じ原料活性炭200gをガラスビーカーに入れた後、濃度0.6重量%の希塩酸600gを加えて室温で一晩静置した。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、活性炭を洗浄器に移し、実施例1と同様の方法で水洗した。得られた活性炭の分析値を表1に示す。
この活性炭に対してトリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を各々図1および図2に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ12重量%、29重量%であった。混合ガスの平衡吸着試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ17重量%、22重量%であった。
実施例5
椰子殻を原料として炭化、900℃で水蒸気賦活し、粉砕し、水洗して得た粒径0.25mm〜0.5mmの活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ21重量%、35重量%であった。
椰子殻を原料として炭化、900℃で水蒸気賦活し、粉砕し、水洗して得た粒径0.25mm〜0.5mmの活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ21重量%、35重量%であった。
実施例6
実施例1と同じ原料活性炭1の200gを2L三角フラスコに入れた後、イオン交換水0.5Lを加え煮沸するまで加熱した。その後、上澄み液を除去し、1Lのイオン交換水で2回洗浄、デカンテーションを行なった。この作業を10回行なった後、115℃に設定した乾燥器内で一晩乾燥させた。得られた活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ9重量%、16重量%であった。
実施例1と同じ原料活性炭1の200gを2L三角フラスコに入れた後、イオン交換水0.5Lを加え煮沸するまで加熱した。その後、上澄み液を除去し、1Lのイオン交換水で2回洗浄、デカンテーションを行なった。この作業を10回行なった後、115℃に設定した乾燥器内で一晩乾燥させた。得られた活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ9重量%、16重量%であった。
比較例1
原料活性炭1について、トリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を各々図1および図2に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ2.7重量%、12重量%であった。混合ガス試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ4重量%、7.5重量%であった。
原料活性炭1について、トリメチルシラノール単一ガス、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を各々図1および図2に示す。トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験においてトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ2.7重量%、12重量%であった。混合ガス試験ではトリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppm の時の平衡吸着量はそれぞれ4重量%、7.5重量%であった。
比較例2
実施例1で調製した活性炭を賦活用の流動炉で700℃、20分間加熱した。得られた活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ1.5重量%、7重量%であった。
実施例1で調製した活性炭を賦活用の流動炉で700℃、20分間加熱した。得られた活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ1.5重量%、7重量%であった。
比較例3
実施例1と同じ原料活性炭をガラスビーカーに入れた後、濃度0.6重量%の希塩酸600gを加えて一晩静置した。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、活性炭を洗浄器に移し、実施例4と同様の方法で30分水洗した。得られた活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ5重量%、13重量%であった。
実施例1と同じ原料活性炭をガラスビーカーに入れた後、濃度0.6重量%の希塩酸600gを加えて一晩静置した。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、活性炭を洗浄器に移し、実施例4と同様の方法で30分水洗した。得られた活性炭の分析値を表1に示す。この活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ5重量%、13重量%であった。
比較例4
市販の石炭系活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ1.3重量%、7.5重量%であった。
市販の石炭系活性炭に対してトリメチルシラノールの平衡吸着試験を行ない、吸着等温線を作成し、各平衡濃度での平衡吸着量を求めた。結果を図1に示す。トリメチルシラノールの濃度が2ppm、10ppmの時の平衡吸着量はそれぞれ1.3重量%、7.5重量%であった。
実施例7
実施例1で調製した活性炭に対してトリメチルシラノールの通気試験を行なった。活性炭が充填されたカラムに2ppmのトリメチルシラノールガスを0.1m/secで2時間通気させたところ活性炭通気後のガスにはトリメチルシラノールは検出されなかった。
実施例1で調製した活性炭に対してトリメチルシラノールの通気試験を行なった。活性炭が充填されたカラムに2ppmのトリメチルシラノールガスを0.1m/secで2時間通気させたところ活性炭通気後のガスにはトリメチルシラノールは検出されなかった。
表1並びに、図1及び図2から、トリメチルシラノール単一ガスの平衡吸着試験、トリメチルシラノール/オルトキシレン混合ガスの平衡吸着試験において電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5の活性炭からなる除去材がトリメチルシラノールの吸着に優れていることは明らかである。
本発明のアルキルシラノール除去材によればシラノール類を効率良く除去することができるため、半導体製造において問題となるトリメチルシラノールなどのアルキルシラノールの除去に有効なケミカルフィルタを提供することができる。これにより、半導体製造におけるクリーンルーム内でアルキルシラノール由来のガス状汚染物質であるシロキサンや酸化ケイ素などのシラン系汚染物質の発生を効果的に抑制することができる。また、本発明のアルキルシラノール除去材は、トルエンやパラキシレンなどの分子径が小さい分子からフタル酸エステル類などの分子径が大きな分子が混在していても優れた吸着性能を示すので、とくにこれら汚染物質が発生する半導体製造の分野で有用である。
Claims (4)
- 電気伝導度が100μS/cm以下かつpHが3〜8.5である椰子殻粒状活性炭からなることを特徴とするアルキルシラノール除去材。
- 強熱残分が0.4重量%以下である請求項1記載のアルキルシラノール除去材。
- トリメチルシラノールの平衡濃度が2ppm における平衡吸着量が9重量%以上である請求項1又は2記載のアルキルシラノール除去材。
- 椰子殻を炭化、水蒸気賦活して活性炭とした後、粒状化した活性炭を水洗又は酸浸漬した後に水洗してアルキルシラノール除去材を製造する方法。
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