JP2011210689A - リチウムイオン二次電池用負極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電レート特性、出入力特性、及び初期充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法を提供すること。
【解決手段】集電体上に、負極活物質粒子と、結着物質としての金属酸化物とを含む負極活物質層を形成する活物質層形成工程と、前記活物質層形成工程で形成された前記活物質層に含まれる金属酸化物を還元処理する還元工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法に関し、さらに詳しくは放電レート特性、出入力特性、及び初期充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、高エネルギー密度、高電圧を有し、また充放電時におけるメモリ効果(完全に放電させる前に電池の充電を行なうと次第に電池容量が減少していく現象)が無いことから、携帯機器、及び大型機器など様々な分野で用いられている。
上記非水電解液二次電池は、正極板、負極板、セパレータ、及び有機電解液から構成される。上記負極板としては、金属箔(例えば、銅箔)などの集電体表面に、負極活物質粒子を含む電極活物質層を備えたものが知られている。この負極板は、例えば、特許文献1、特許文献2に提案されているように、リチウムイオン挿入脱離反応を示すことにより充放電可能な負極活物質粒子、該負極活物質粒子を集電体上に固着させるとともに、該負極活物質粒子同士を固着させるための樹脂からなる結着物質(以下、樹脂製の結着物質という)、及び導電材(但し活物質粒子が導電効果も発揮する場合などには、導電材は省略される場合がある)、あるいはさらに、必要に応じてその他の材料を用い、有機溶媒中で混練及び/又は分散させて、スラリー状の電極活物質層形成溶液を調製し、この電極活物質層形成溶液を集電体表面に塗布・乾燥して集電体上に塗膜を形成し、必要に応じてプレスすることにより製造される。
このとき、電極活物質層形成溶液に含有される負極活物質粒子は、該溶液中に分散する粒子状の化合物であって、集電体表面に塗布されただけでは該集電体表面に固着され難い材料である。したがって、樹脂製の結着物質を含まない電極活物質層形成溶液を集電体に塗布して乾燥して塗膜を形成しても、該塗膜は集電体から容易に剥離してしまう。そのため、従来の負極板は、特許文献1、2に提案されているように、樹脂製の結着物質を介して、負極活物質粒子同士を固着させるとともに、負極活物質粒子を集電体表面に固着させている。すなわち、樹脂製の結着物質は実質的には、必須の構成物質であった。
特開2006−310010号公報 特開2006−107750号公報
ところで、近年、リチウムイオン二次電池は、さらに電気自動車、ハイブリッド自動車そしてパワーツールなどの放電レート特性、及び高出入力特性が必要とされる分野に向けての開発が進められている。また、携帯電話等の比較的小型の装置に用いられる二次電池であっても、装置が多機能化される傾向にあるために、放電レートのみならず出入力特性の向上が期待されている。このとき、インピーダンスが高い二次電池では、高速充放電時(大電流で充放電を行った時)にその容量を充分に生かすことができない問題や、容量がロスしてしまう問題が生ずる。二次電池において、放電レート特性や出入力特性の向上を実現するためには、電池のインピーダンスを下げる必要があり、インピーダンスの低い二次電池に対する市場の要求は高い。
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2に提案されている方法により、負極活物質粒子と、樹脂製の結着物質を用いて電極活物質層を形成した場合には、樹脂製の結着物質の存在により、放電レート特性や高出入力特性が必要とされる分野における要求を満足できる程度までインピーダンスを下げることができない。これは、電極活物質層中に樹脂製の結着物質が存在することにより、リチウムイオン等の負極活物質イオン及び電子の移動距離が長くなり、また、電極活物質層における電解液の浸透性が低くなり、かつ電解液と負極活物質粒子との接触面積が小さくなることでインピーダンスが上がることによるものと考えられる。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、放電レート特性、出入力特性及び初期充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池を製造することができるリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、リチウムイオン二次電池用負極板の製造方法であって、集電体上に、負極活物質粒子と、結着物質としての金属酸化物とを含む負極活物質層を形成する活物質層形成工程と、前記活物質層形成工程で形成された前記負極活物質層に含まれる金属酸化物を還元処理する還元工程とを有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法によれば、放電レート特性、出入力特性、及び初期充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池用負極板を製造することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造工程におけるフローチャートを示す図である。 グラファイト負極の初期充電カーブを示す図であり、図2(a)は、初期充電カーブの理想カーブを示す図であり、図2(b)は、還元反応が生じた場合の初期充電カーブを示す図である。
<<リチウムイオン二次電池用負極板の製造方法>>
本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法について、図1を用いて具体的に説明する。なお、図1は本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法は、集電体上に、負極活物質粒子と、結着物質としての金属酸化物とを含む負極活物質層を形成する活物質層形成工程(S1)と、前記活物質層形成工程で形成された前記負極活物質層に含まれる金属酸化物を還元処理する還元工程(S2)とから構成される。以下に各工程について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法を説明するにあたって、まずはじめに負極活物質層における電子の授与と、放電レート特性及び出入力特性との関係について説明する。リチウムイオン二次電池内では、正極板における正極活物質中のリチウムが電解液に染み出し、電解液と溶媒和し、リチウムイオンの状態で電解液中に拡散し、負極板における負極活物質層に到達する。そしてリチウムイオンは、脱溶媒和するとともに、負極活物質粒子の層間へ挿入し、電子の授与が行われるものと考えられている。負極板における電解液に溶媒和したリチウムイオンが脱溶媒和し、電子の授与を行うメカニズムの詳細はいまだ明らかではないが、本発明者は、負極活物質層において、界面電荷移動抵抗が小さいほど、脱溶媒和反応がスムーズにおこなわれ、負極板における放電レート特性及び出入力特性が向上することを見出した。また、この場合において、樹脂製の結着物質を用いて負極活物質粒子を集電体上に固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させた場合には、この樹脂製の結着物質が脱溶媒和反応に対し阻害的に働き、放電レート特性及び出入力特性を低下させてしまうとの知見を得た。
本発明者らは、さらに結着物質について鋭意研究した結果、集電体上に負極活物質粒子を固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させるための結着物質として、金属酸化物を採用し、集電体上に、負極活物質粒子と金属酸化物とを含む負極活物質層を形成することで、放電レート特性と出入力特性を向上させることができることを見出した。
<活物質層形成工程>
そこで、本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法は、集電体上に、負極活物質粒子と、結着物質としての金属酸化物とを含む負極活物質層を形成する活物質層形成工程(S1)を備える。本工程によれば、樹脂製の結着物質に依らず、負極活物質層が集電体上に形成される。換言すれば、負極活物質層に含まれる結着物質としての金属酸化物により負極活物質粒子が集電体上に固着されているとともに、負極活物質粒子同士が固着されていることから脱溶媒和反応に対する阻害作用がなく、電子の授与を非常にスムーズに行うことができる。これにより、インピーダンスを下げることができ、放電レート特性及び出入力特性を向上させることが可能となる。
(集電体)
集電体について特に限定はなく、リチウムイオン二次電池用負極板に用いられる従来公知の集電体を適宜選択して用いることができる。例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、銅箔などの単体又は合金から形成された集電体を好ましく用いることができる。
集電体の厚みは、一般にリチウムイオン二次電池用負極板の集電体として使用可能な厚みであれば特に限定されないが、3〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
(負極活物質層)
本工程において集電体上に形成される負極活物質層は、少なくとも負極活物質粒子と、負極活物質粒子を集電体上に固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させるための結着物質としての機能を果たす金属酸化物とを含有する。
(負極活物質粒子)
負極活物質層に含有される負極活物質粒子について特に限定はなく、リチウムイオン二次電池の分野で従来公知の負極活物質粒子を適宜選択して用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、アモルファス炭素、カーボンブラック、またはこれらの成分に異種元素を添加した炭素材料や、金属リチウム及びその合金、スズ、珪素及びそれらの合金や、珪素、チタンコバルトの酸化物、マンガン、鉄、コバルトの窒化物など、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を挙げることができる。中でも、炭素材料はコストが安く、取り扱い性容易な上、単位質量あたりに取り出せるエネルギーが大きく、放電電位が卑であり、平坦性がよいなどの理由から負極活物質粒子として特に好適に使用可能である。
負極活物質粒子として炭素材料を用いる場合には、鱗片状炭素材料が層状に重なり、塊となった鱗状炭素材料を好適に用いることができる。なお、この塊の1つを負極活物質の1粒子とみなすことが一般的である。
負極活物質粒子の粒子径について特に限定はなく、設計される負極活物質層の厚みや、求められる電池性能などを勘案して、任意の大きさのものを適宜選択して使用することができる。たとえば、本発明では、負極活物質粒子21として、そのメジアン径が20μm以下のものを使用することができる。また、本発明及び本明細書に示す負極活物質粒子の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察結果を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製、MAC VIEW)を用いて測定することができる。
負極活物質層における負極活物質粒子の含有量は、負極活物質層の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
(金属酸化物)
上記負極活物質層中に含有される、負極活物質粒子を集電体上に固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させるための結着物質としての金属酸化物は、リチウムイオン挿入脱離反応を示さず、且つ、負極活物質粒子を集電体上に固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させることのできるものであればよく、このような条件を満たす限り、一般的に金属酸化物と理解されるものであれば、特に限定されない。例えば、酸化銅、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛や、2種以上の金属元素を含有する鉄チタン酸化物、ランタンリチウムチタン酸化物を挙げることができる。中でも、酸化銅、酸化ニッケル、酸化リチウムを特に好適に用いることができる。
負極活物質層に含まれる金属酸化物の含有量は、負極活物質層の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
負極活物質層の厚みは、負極板に求められる電気容量や出入力特性を勘案して、適宜設計することができる。一般的には200μm以下の厚みとなるように形成することができる。なお、出入力特性を向上させつつも高容量を得ることができるという観点からは、負極活物質層の膜厚が100μm以下、好ましくは、50μm以下となるように形成することが好ましい。負極活物質層の厚みが当該範囲となるように形成することで、負極活物質層と集電体との距離を短くすることができ負極板のインピーダンスを下げることができる。
なお、本発明において負極活物質層の膜厚の下限は、主として用いられる負極活物質粒子の粒子径に依存し、使用可能な負極活物質粒子の粒子径の縮小化に伴い、さらに膜厚が薄くなるように形成することも可能である。
また、負極活物質層は、電解液が浸透可能な程度に空隙が存在していることが好ましい。電解液が浸透可能な範囲であれば、空隙率について特に限定はないが、空隙率が10%未満である場合には、電解液が浸透せずスムーズな充放電を行うことが困難となる虞がある。この点を考慮すると、負極活物質層の空隙率は、10%以上であることが好ましい。また、空隙率が70%より大きい場合には、体積エネルギー密度を下げることができず、リチウムイオン二次電池を小型化する際の支障となる虞がある。この点を考慮すると、空隙率は70%以下であることが好ましい。なお、空隙率の測定は、島津製作所製 オートポアIV 9500等で測定可能である。
(その他の材料)
上記負極活物質層は、上述する負極活物質粒子及び結着物質である金属酸化物のみから構成されていてもよいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、さらなる添加剤を含有させて形成してもよい。たとえば、本発明において導電材を使用することなく良好な導電性を発揮させることが可能であるが、より優れた導電性が望まれる場合や、負極活物質粒子の種類などによっては、導電材を使用することとしてもよい。
また本発明は、樹脂製の結着物質を使用せずとも負極活物質粒子を集電体上に固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させることができるものであるが、これは負極活物質層に樹脂成分が含有されることを禁止する趣旨ではない。
(負極活物質層の形成方法)
負極活物質層は、集電体上に形成された後に、負極活物質粒子と、結着物質である金属酸化物を含み、かつ、金属酸化物により負極活物質が集電体上に固着されるとともに、負極活物質粒子同士が固着されるように形成されていればよく、この要件を具備する負極活物質層を形成することができる従来公知の方法を適宜選択して形成することができ、その形成方法について特に限定はない。例えば、上記で説明した負極活物質粒子と、金属酸化物の粉末、あるいは加熱により酸化される金属粉末と、適当な溶媒、また、必要に応じて上記で説明した他の材料とを混合した活物質層形成用塗工液を調製し、この塗工液を従来公知の塗工方法を用いて集電体上に塗工・乾燥することでこの要件を満たす負極活物質層を形成することができる。
なお、集電体上の負極活物質層の成膜安定性を高めるためには、結着物質である金属酸化物により、負極活物質粒子同士が強固に固着されているとともに、集電体上に負極活物質粒子が強固に固着されていることが望ましい。ここで、上記に例示するように、負極活物質粒子と、金属酸化物の粉末、あるいは加熱により酸化される金属粉末と、溶媒とを混合した活物質層形成用塗工液を調製し、この塗工液を集電体上に塗工・乾燥して負極活物質層を形成した場合には、負極活物質粒子同士を強固に固着させるとともに、集電体上に負極活物質粒子を強固に固着させることができず、集電体上の負極活物質層の成膜安定性が低下してしまう場合が生ずる。
このような点を考慮すると、負極活物質層は以下に示す工程を経て形成されていることが好ましい。具体的には、図1に示すように、活物質層形成工程(S1)が、負極活物質粒子と、前記結着物質としての金属酸化物の前駆体と、溶媒とを用いて、活物質層形成用塗工液を調製する調製工程(S11)と、調製工程で調製される活物質層形成用塗工液を、集電体上に塗工する塗工工程(S12)と、塗工工程において塗工された活物質層形成用塗工液を加熱処理し、金属酸化物の前駆体が酸化されてなる金属酸化物を形成する加熱工程(S13)とからなり、これらの工程により集電体上に、負極活物質粒子と、金属酸化物からなる結着物質とを含む負極活物質層を形成することが好ましい。
調製工程(S11)、塗工工程(S12)、加熱工程(S13)を有する活物質層形成工程(S1)によれば、金属酸化物の前駆体が酸化する際の化学反応により、負極活物質粒子同士を固着させるとともに、該負極活物質粒子を集電体上に強固に固着させ、成膜安定性の高い負極活物質層を集電体上に形成することができる。以下、調製工程(S11)、塗工工程(S12)、加熱工程(S13)について更に具体的に説明する。
(調製工程)
調製工程(S11)は、負極活物質粒子、結着物質としての金属酸化物の前駆体、溶媒、必要に応じて上記で説明した他の材料とを用いて、活物質層形成用塗工液を調製する工程である。負極活物質粒子は上記で説明した負極活物質粒子を適宜選択して用いることができ、ここでの説明は省略する。
金属酸化物の前駆体としては、金属酸化物の金属元素を含む塩化物、硝酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、臭素酸塩等の金属塩や、これらの金属塩の水和物等を挙げることができる。中でも、本発明においては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩は汎用品としての入手が容易であるほか、これらの金属酸化物の前駆体を溶媒に溶解させ、これを後述する塗工工程(S12)において塗工して塗膜を形成し、加熱工程(S13)において加熱すると、塩素イオン、硝酸イオン、酢酸イオンを容易に塗膜中から消失させることができることから、これらを特に好適に用いることができる。
金属酸化物の前駆体の具体的な例としては、例えば、結着物質としての金属酸化物の金属元素が銅である場合には、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、酢酸銅(II)一水和物等を挙げることができ、金属酸化物の金属元素がニッケルである場合には、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル(II)六水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物等を挙げることができ、金属酸化物の金属元素がリチウムである場合には、塩化リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、酢酸リチウム三水和物等を挙げることができる。
金属酸化物の前駆体を溶解させるための溶媒は、該前駆体を溶解することができるものであればよく、従来公知の溶媒を適宜選択して用いることができる。例えば、水、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等の低級アルコール、アセチルアセトン、ジアセチル、ベンゾイルアセトン等のケトン類、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル蟻酸エチル等のケトエステル類、トルエン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
金属酸化物の前駆体を溶媒中に溶解した溶解液に、上述した負極活物質粒子を混合させることにより活物質層形成用塗工液が調製される。活物質層形成用塗工液において、金属酸化物の前駆体、及び負極活物質粒子の配合量は、負極板に要求される性能や電気容量、あるいは負極板と組み合わせて用いられる正極板の性能や電気容量を勘案して決定することができる。中でも、集電体上に形成される負極活物質層に含まれる負極活物質粒子及び金属酸化物が、負極活物質層の総質量に対し、上記で説明した好ましい範囲内で含まれるような量で含有されるように、負極活物質粒子及び金属酸化物の前駆体が配合されていることが好ましい。
上述する活物質層形成用塗工液において、溶媒に対し、添加される1種または2種以上の金属酸化物の前駆体の添加量の合計の比率は、0.01〜20mol/L、特に0.1〜10mol/Lが好ましい。上記濃度を0.01mol/L以上とすることにより、集電体と該集電体表面で生成される負極活物質層とを良好に固着させることができ、負極活物質粒子の集電体への固着が充分に図られる。また、上記濃度を、20mol/L以下とすることにより、上記活物質層形成用塗工液を集電体表面へ良好に塗布できる程度の良好な粘度を維持することができ、均一な塗膜を形成することができる。
(塗工工程)
塗工工程(S12)は、調製工程(S11)で調製された活物質層形成用塗工液を、集電体上に塗工する工程である。
活物質層形成用塗工液を集電体上に塗工する方法について特に限定はなく、一般的な塗工方法を適宜選択して用いることができる。例えば、印刷法、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレーコート等によって、集電体表面の任意の領域に活物質層形成用塗工液を塗工することができる。また、集電体の表面が多孔質であったり、凹凸が多数設けられていたり、三次元立体構造を有したりする場合には、上記の方法以外に手動で塗布することも可能である。なお、本発明において使用する集電体は、必要に応じて、予めコロナ処理や酸素プラズマ処理等を行うことで、負極活物質層の成膜性をさらに改善することができる。
また、活物質層形成用塗工液の塗工量について特に限定はないが、後述する加熱工程(S13)後の厚みが、上記で説明した負極活物質層の厚みとなるような範囲で塗工されていることが好ましい。
(加熱工程)
加熱工程(S13)は、前記塗工工程(S12)において塗工された活物質層形成用塗工液を加熱処理し、金属酸化物の前駆体から金属酸化物を形成する工程である。
本工程では、活物質層形成用塗工液中に含まれる金属酸化物の前駆体を加熱することで金属酸化物の前駆体が化学反応(酸化反応)により酸化され負極活物質層中に金属酸化物が生成される。また、生成される金属酸化物は、化学反応により酸化する際の凝集力により、該負極活物質粒子同士を強固に固着させるとともに、集電体上に負極活物質粒子を強固に固着させる。この結果、集電体上に負極活物質粒子と、金属酸化物からなる結着物質とを含む負極活物質層が形成される。
加熱工程(S13)において実施される加熱方法について、特に限定されず、塗工液を加熱することができる加熱方法あるいは加熱装置を、適宜選択して実施することができる。具体的な例としては、ホットプレート、オーブン、減圧オーブン、加熱炉、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、熱風送風機等のいずれかを使用するか、あるいは2以上を組み合わせて使用する方法を挙げることができる。加熱温度は、金属酸化物の前駆体に含まれる金属元素を酸化させることができる温度以上であればよく、金属酸化物の前駆体に含まれる金属元素の種類によって異なるが、通常120℃〜800℃の温度範囲である。
次に、活物質層形成工程により、負極活物質粒子としてのグラファイトと、結着物質としての金属酸化物とを含む負極活物質層が集電体上に形成されてなる負極板(以下、グラファイト負極という場合がある)を用いて、負極への初期充電を行った場合における初期充放電効率について、図2を用いて説明する。図2は、グラファイト負極の初期充電カーブを示す図である。なお、初期充放電効率は、初回充放電時の充電容量に対する放電容量の比×100から求めることができる。
高い初期充放電効率を得るためには、初期充電時に充放電反応以外の不可逆反応成分を低減させることが必要である。例えば、Li/Li+電極電位で0.1V以下に電位平坦部を有するグラファイト負極において、高い初期充放電効率を得るためには、図2(a)に示すようにグラファイト負極への初期充電開始後、直ちに、グラフェン層間にインターカレートされるプラトー電位に達することが望ましい。
しかしながら、充電反応を開始した際に、結着物質としての金属酸化物が含まれるグラファイト負極においては、図2(b)に示すように、初期充電時に、インターカレーション反応が生じる電位よりも高い電位(図中の0.8V〜0.2V付近)において、優先的に結着物質である金属酸化物の還元反応が生じる。その結果、初期充電時の不可逆な反応が増大し、初期充電効率は低下することとなる。
そこで、本発明は、活物質層形成工程(S1)で形成された負極活物質層を還元処理する還元工程(S2)を有する。本工程によれば、初期充電時に還元反応が生ずることによる初期充放電効率の低下を防止することができる。以下、還元工程について更に具体的に説明する。
<還元工程>
還元工程(S2)は、活物質層形成工程(S1)で形成される負極活物質層に含まれる金属酸化物を還元処理する工程である。具体的には、初期充電を行う前に負極活物質層に含まれる金属酸化物を予め還元処理することで、初期充電時に不可逆反応である還元反応が生ずることを防止するための工程である。還元工程(S13)を有する本発明によれば、初期充電時に還元反応が生ずることを防止することができ、初期充放電効率を向上させることができる。
さらには、金属酸化物のみならず、負極板を構成する他の材料(例えば、集電体等)が酸化された場合(例えば、集電体として銅箔を用いた場合に、酸素雰囲気下での加熱により銅箔が酸化された場合)であっても、本工程によれば、負極活物質層に含まれる金属酸化物のみならず、あらゆる酸化物を還元することができ、初期充電時に還元反応が生ずることもない。
また、本発明は、金属単体で、集電体上に負極活物質粒子を固着させ、負極活物質粒子同士を固着させたものではなく、還元工程を行う前の負極活物質層には、負極活物質粒子と結着物質としての金属酸化物が含まれ、金属酸化物で、集電体上に負極活物質粒子を固着させるとともに、負極活物質粒子同士を固着させており、金属単体で固着させた場合と比較して、その固着力は高い。特に、金属酸化物の前駆体から金属酸化物を生成した場合には、金属酸化物の前駆体が化学反応により酸化される際の凝集力により、集電体上に負極活物質粒子が強固に固着されるとともに、負極活物質粒子同士も強固に固着されることから、本工程において還元処理を行った場合であっても、凝集力自体が変化することはなく、還元処理により固着力が低下することはない。
また、金属酸化物の前駆体から形成される金属酸化物は、負極活物質粒子の表面全体を覆うように皮膜の状態で存在することとなるが、この皮膜状態の金属酸化物は、還元処理が施されることにより粒子状態の金属単体に還元される。これにより、電解液と負極活物質粒子との接触面積を大きくすることができ、放電レート特性、及び出入力特性を更に向上させることができる。
還元処理方法としては、負極活物質層に含まれる金属酸化物を所望の程度に還元できる処理方法であれば特に限定はないが、金属酸化物を均一に還元することが容易な、水素プラズマ雰囲気下で還元処理を行う還元処理方法や、水素、一酸化炭素等、もしくは水素、一酸化炭素を窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈した還元ガスを用い、該還元ガス雰囲気下で還元を行う還元処理方法を好適に用いることができる。還元ガスは1種の還元ガスを単独で使用してもよく、2種以上のガスを混合して用いることとしてもよい。
水素プラズマ雰囲気下で金属酸化物の還元処理を行う方法としては、例えば、水素をキャリアガスとしたマイクロ波表面波プラズマ照射装置を用い、圧力:20Pa、マイクロ波:1000W、照射時間:30secの条件下にて還元処理を行う方法を挙げることができる。
なお、本発明の還元処理工程は、初期充電時に充放電反応以外の不可逆反応を低減させることができる程度に金属酸化物の還元処理を行うことを趣旨とするものである。つまり、必ずしも、還元工程(S2)において負極活物質層に含まれる全ての金属酸化物が還元されていることを必要とするものではない。具体的には、負極活物質層に含まれる全ての金属酸化物が還元されていてもよく、初期充電時に充放電反応以外の不可逆反応を低減させ、初期充放電効率を向上させることができる範囲内で、負極活物質層中に、一部の金属酸化物が還元されずに存在していてもよい。
以上説明した、本発明のリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法によれば、負極活物質粒子と、金属酸化物からなる結着物質とを含む負極活物質層を集電体上に形成する活物質層形成工程により、放電レート特性を向上させることができる。さらに、金属酸化物を結着物質として用いることによる初期充電効率の低下を、金属酸化物を予め還元処理する還元工程により防止することができ、これにより、放電レート特性と、初期充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池用負極板を製造することができる。
<<リチウムイオン二次電池の製造方法>>
次に、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、正極板と、負極板と、少なくともリチウム化合物を含む電解液を容器に収容する工程を有するリチウムイオン二次電池の製造方法であって、電解液と接触する前の負極板が、上記で説明したリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法により製造された負極板(以下、本発明の負極板という場合がある)である点に特徴を有する。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法により製造されるリチウムイオン二次電池によれば、初期充電が行われるより前に負極活物質層に含まれる金属酸化物の還元処理が施されていることから、初期充電時に不可逆反応が生ずることを防止でき初期充放電効率を向上させることができる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法に用いられる負極板は、上記で説明したように、放電レート特性、及び出入力特性に優れることから、本発明の製造方法によれば、放電レート特性、出入力特性、及び初期充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、電解液と接触する前の負極板が、本発明の負極板であることを必須の要件とし、この要件を具備するものであれば、従来公知のリチウムイオン二次電池の製造方法を適宜選択して用いることができ、他の要件について限定されることはない。
例えば、正極板及び本発明の負極板を、ポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータを介して渦巻状に巻き回して、電池容器内に収納することしてもよい。また、所定の形状に切り出した正極板及び本発明の負極板を、セパレータを介して積層して固定し、これを電池容器内に収納することとしてもよい。
そして、正極板及び本発明の負極板を電池容器内に収納後、正極板に取り付けられたリード線を外装容器に設けられた正極端子に接続し、一方、負極板に取り付けられたリード線を外装容器内に設けられた負極端子に接続し、さらに電池容器内に電解液を充填した後、密閉することによってリチウムイオン二次電池が製造される。
負極活物質層に含まれる金属酸化物を還元するための還元処理工程は、少なくとも容器内に電解液を充填する前までに行われていればよく、負極板を容器に収容する前に還元処理を行うこととしてもよく、負極板を容器に収容した後に還元処理を行うこととしてもよい。
(正極板)
本発明のリチウムイオン二次電池を製造するために用いられる正極板について特に限定はなく、リチウムイオン二次電池の分野で使用される従来公知の正極板を適宜選択して用いることができる。例えば、このような正極板としては、本発明の負極板において用いられる集電体と同様の集電体を用い、該集電体上に、リチウム遷移金属複合酸化物などの正極活物質粒子、導電材、樹脂製の結着物質などが分散された溶液を塗布・乾燥し、必要に応じてプレスすることにより形成される正極板等を挙げることができる。
(電解液)
本発明のリチウムイオン二次電池を製造するために用いられる電解液は、一般的に、リチウムイオン二次電池用の非水電解液として用いられるものであれば、特に限定されないが、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解液が好ましく用いられる。
上記リチウム塩の例としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、及びLiBr等の無機リチウム塩;LiB(C654、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiOSO2CF3、LiOSO225、LiOSO249、LiOSO2511、LiOSO2613、及びLiOSO2715等の有機リチウム塩等が代表的に挙げられる。
リチウム塩の溶解に用いられる有機溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、及び鎖状エーテル類等が挙げられる。
<放電レート特性の評価方法>
なお、本発明のリチウムイオン二次電池の放電レート特性は、放電容量維持率(%)を求めることにより評価することができる。すなわち、放電容量維持率は、放電レート特性を評価するものであり、放電レート特性が向上した電極板においては、一般的に、充電レート特性も同様に向上していると理解される。したがって、望ましい放電容量維持率が示される場合には、充放電レート特性が向上したと評価するものである。より具体的には、活物質の有する放電容量(mAh/g)の理論値を1時間で放電終了となるよう放電レート1Cを設定し、設定された1Cの放電レートにおいて実際に測定された放電容量(mAh/g)を放電容量維持率100%とする。そしてさらに放電レートを高くしていった場合の放電容量(mAh/g)を測定し、以下の数1に示す式によって放電容量維持率(%)を求めることができる。
Figure 2011210689
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。
(実施例1)
エタノール溶媒100部に対して、金属酸化物の前駆体として硝酸銅25部添加し、さらに負極活物質粒子として平均粒子径6μmの人造黒鉛粒子を35部混合させて、活物質層形成用塗工液を調製した。次に、集電体として、厚さ10μm、25cm×30cmの電解銅箔を置き、当該集電体の一面側に、上記活物質層形成用塗工液を、アプリケーターで5Mil塗布して塗工膜を形成した。そして、上記塗工膜を備える集電体を大気雰囲気下のオーブン内に設置し、270℃ 5時間加熱することで、酸化銅とグラファイトとが含有される厚さ約26μmの負極活物質層を備えるリチウムイオン二次電池用負極板を作製した。次いで、作製されたリチウムイオン二次電池用負極板を、水素をキャリアガスとしたマイクロ波表面波プラズマ照射装置で還元処理を施し、これを実施例1の負極板とした。
<還元処理条件>
2圧:20Pa
マイクロ波出力:1000W
照射時間:30sec
(実施例2)
実施例1の硝酸銅を、硝酸ニッケル(II)六水和物に変更した以外は、全て実施例1と同じ条件で、実施例2の負極板を作製した。
(実施例3)
実施例1の硝酸銅を、硝酸リチウムに変更した以外は、全て実施例1と同じ条件で、実施例3の負極板を作製した。
(実施例4)
実施例1の硝酸銅を、酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、全て実施例1と同じ条件で、実施例4の負極板を作製した。
(実施例5)
実施例1の硝酸銅を、酢酸ニッケル(II)四水和物に変更した以外は、全て実施例1と同じ条件で、実施例5の負極板を作製した。
(実施例6)
実施例1の硝酸銅を、酢酸リチウム三水和物に変更した以外は、全て実施例1と同じ条件で、実施例6の負極板を作製した。
(実施例7〜12)
実施例1〜6の負極板を、水素をキャリアガスとしたマイクロ波表面波プラズマ照射装置を用いる代わりに、水素ガスを窒素ガスで希釈した混合ガスで置換したボックス炉(光洋サーモ社製:小型ボックス炉 KBF542N1)を用いて還元処理を行った以外は、全て実施例1〜6と同じ条件で、実施例7〜12の負極板を作製した。
(実施例13〜18)
実施例1〜6の負極板を、水素をキャリアガスとしたマイクロ波表面波プラズマ照射装置を用いる代わりに、一酸化炭素ガスを窒素ガスで希釈した混合ガスで置換したボックス炉(光洋サーモ社製:小型ボックス炉 KBF542N1)を用いて還元処理を行った以外は、全て実施例1〜6と同じ条件で、実施例13〜18の負極板を作製した。
(比較例1)
硝酸銅を添加しなかった以外は、全て実施例1と同じ条件で、比較例1の負極板を作製した。
(比較例2)
還元処理を施さなかった以外は、全て実施例1と同じ条件で、比較例2の負極板を作製した。
<三極式コインセルの作製>
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)混合溶媒(体積比=1:1)に、溶質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を加えて、当該溶質であるLiPF6の濃度が、1mol/Lとなるように濃度調製して、非水電解液を調製した。
上述のとおり作製した実施例1〜実施例18、比較例1〜2の負極板を15mmφサイズに打ち抜き、これを作用極板とした。また、対極板及び参照極板として金属リチウム板、電解液として上記にて作製した非水電解液を用い、三極式コインセルを組み立て、これを実施例の試験セル1〜18、及び比較例の試験セル1〜2とした。そして、実施例、及び比較例のそれぞれの試験セルを、下記充放電試験に供した。
<充放電試験>
上述のとおり作成した三極式コインセルである実施例の試験セル1〜18、比較例の試験セル1〜2において、作用極板の放電試験を実施するために、各実施例、及び比較例の試験セルを下記充電試験のとおり満充電させた。
充電試験:
各実施例、及び比較例の試験セルを、25℃の環境下で、電圧が0.03Vに達するまで定電流(充電レート:0.2C)で定電流充電した。当該電圧が0.03Vに達した後は、電圧が0.03Vを下回らないように、当該電流(充電レート:0.2C)が5%以下となるまで減らしていき、定電圧で充電を行い、満充電させた後、10分間休止させた。ここで、上記「0.2C」とは、上記三極式コインセルを用いて定電流放電して、5時間で放電終了となる電流値(放電終止電圧に達する電流値)のことを意味する。また上記定電流は、実施例、及び比較例の試験セルにおける作用極板において、活物質であるグラファイトの理論放電量372mAh/gが5時間で放電されるよう設定した。
放電試験:
その後、満充電された各実施例、及び比較例の試験セルを、25℃の環境下で、電圧が0.03V(満充電電圧)から2.0V(放電終止電圧)になるまで、定電流(放電レート:0.2C)で定電流放電し、縦軸にセル電圧(V)、横軸に放電時間(h)をとり、放電曲線を作成し、作用極(実施例1〜18、比較例1〜2である負極板)の放電容量(mAh)を求め、当該作用極の単位活物質質量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。
続いて、各実施例、及び比較例の試験セルについて定電流(放電レート:1C、放電終了時間:1時間)での定電流放電試験を行い、1Cレートにおける作用極の放電容量を求め、単位活物質質量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。次いで、1Cレートにおける定電流放電試験を基準として、10倍の定電流(放電レート10C、放電終了時間:6分)、20倍の定電流(放電レート20C、放電終了時間:3分)、30倍の定電流(放電レート30C、放電終了時間:2分)、40倍の定電流(放電レート40C、放電終了時間:90秒)の定電流放電試験を行い、各放電レートにおける作用極の放電容量(mAh)を求め、単位活物質質量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。
<放電容量維持率(%)の算出>
作用極板の放電レート特性を評価するため、上述のとおり得られた各放電レートにおける単位質量当たりの各放電容量(mAh/g)を用い、上述で示した数1により放電容量維持率(%)を求めた。上記放電試験により得られた単位質量当たりの放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)を表1に示す。
<初期充放電効率(%)の算出>
初期充放電効率を評価するため、実施例、及び比較例の試験セルに0.2Cレートの電流を印加して、定電流(CC)+定電圧(CV)充電を1サイクル行い、その後、定電流放電を1サイクル行った。このときの放電容量、充電容量を算出し、実施例、及び比較例の初期充放電効率(%)を求めた。実施例、及び比較例の初期充放電効率(%)を表1に併せて示す。なお、上記充放電試験は、Bio Logic社製のVMP3を用いて実施した。
Figure 2011210689
表1からも明らかなように、結着物質として金属酸化物を用い、還元処理を施した実施例1〜18は、放電容量維持率(放電レート)、及び初期充放電効率ともに優れた結果となった。中でも、還元処理として水素をキャリアガスとしたプラズマ還元処理を行った場合には、特に初期充放電効率に優れた結果となった。一方、還元処理を施さなかった比較例2は、結着物質として金属酸化物を用いた場合であっても、放電容量維持率(放電レート)、及び初期充放電効率ともに低下すること結果となった。

Claims (2)

  1. リチウムイオン二次電池用負極板の製造方法であって、
    集電体上に、負極活物質粒子と、結着物質としての金属酸化物とを含む負極活物質層を形成する活物質層形成工程と、
    前記活物質層形成工程で形成された前記負極活物質層に含まれる金属酸化物を還元処理する還元工程とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法。
  2. 正極板と、負極板と、少なくともリチウム化合物を含む電解液を容器に収容する工程を有するリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記電解液と接触する前の負極板が、請求項1に記載の方法により製造されたリチウムイオン二次電池用負極板であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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