以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観斜視図である。なお、図1の画像形成装置は、プリンタであるが、他の実施形態において、コピー機、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体2と、主筐体2の正面側に開放可能なマルチトレイ510と、マルチトレイ510の下方に配設される給紙カセット300とを備える。主筐体2は、シートに画像を形成するために必要な様々な機器(例えば、後述される画像形成部を構成する要素)を収容する。マルチトレイ510は、手差し給紙用のトレイであって、その下縁部を回動軸として、主筐体2に取り付けられている。マルチトレイ510は、手差し給紙を行う際に図1に図示のように開かれ、不使用時には主筐体2の凹領域21内に収容される。給紙カセット300は、自動給紙されるシートの束を収容するもので、主筐体2の正面側から引き出し可能である。
主筐体2の上方には、操作パネル22が配設されている。ユーザは、操作パネル22に操作指示を与えることで、画像形成装置1に所望の動作をさせることができる。操作パネル22は、例えば、トナー画像の濃さを調節するためのボタンを含む。画像形成装置1は、操作パネル22への使用者による入力及び外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から送られる画像信号(印刷対象となる画像に関する情報を含む信号)に従って、シートにトナー画像を形成する。
主筐体2の上面には、排紙トレイ23が形成されている。マルチトレイ510又は給紙カセット300から給紙されたシートは、画像形成部410(図2)によってトナー画像の形成がなされた後、排紙トレイ23上に排出される。排紙トレイ23は、主筐体2の上面を略三角柱状に凹没させて形成されたものである。
図2は、画像形成装置1の内部構造を概略的に示す断面図である。マルチトレイ510又は給紙カセット300から搬送されたシートは、主筐体2内で形成されたシート搬送路に案内されつつ、シートにトナー画像を形成する画像形成部410及びトナー画像をシートに定着させる定着部430へ搬送される。その後、シートは、排出部450を通じて、排紙トレイ23上に排出される。
シート搬送路は、画像形成部410に給紙する給紙構造体520を基端として、主筐体2の背面壁24に向けて延びる第1給紙搬送路530と、第1給紙搬送路530の下方に位置する給紙カセット300の下流端(図2中、右端)から上方に向けて延びる第2給紙搬送路310とを含む。給紙構造体520は、マルチトレイ510上のシートを主筐体2内へ引き込む。第1給紙搬送路530及び第2給紙搬送路310は、画像形成部410の画像形成工程とタイミングを合わせて、画像形成部410にシートを送るレジストローラ対320の上流で合流する。
シート搬送路は更に、レジストローラ対320から定着部430までの区間、シートを案内する主搬送路330と、定着部430から排出部450までの区間、シートを案内する排出搬送路340とを含む。主搬送路330に沿って移動するシートに画像形成部410はトナー画像を形成し、定着部430は、シートにトナー画像を定着させる。ユーザが片面印刷を画像形成装置1に実行させるとき、排出部450は、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを排紙トレイ23上に排紙させる。
ユーザが両面印刷を画像形成装置1に実行させるとき、排出部450は、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを一旦所定量だけ主筐体2外へ送り出した後、主筐体2内へ引き戻すスイッチバック動作を行う。シート搬送路は更に、排出部450によって引き戻されたシートを案内するための戻し搬送路350を含む。戻し搬送路350は、排出部450から主筐体2の背面壁24へ向かって延び、その後、下方に向けて延びる。更にその後、戻し搬送路350は、第2給紙搬送路310に向けて延び、第2給紙搬送路310と合流する。
第1給紙搬送路530、第2給紙搬送路310、主搬送路330、排出搬送路340及び戻し搬送路350の適所には、これら搬送路に案内されるシートを搬送するための搬送ローラ対360が配設されている。
マルチトレイ510に対応して設置されている給紙構造体520は、主筐体2に向けて下方に傾斜したトレイ510上のシートの先頭縁を押し上げるリフト板521と、リフト板521によって押し上げられたシートの先頭縁と接触可能に配設された給紙ローラ522と、給紙ローラ522の下方に配設された分離パッド523とを含む。給紙ローラ522が回転すると、シートは、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過し、第1給紙搬送路530内へ送り込まれる。分離パッド523は、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過するシートに対して摩擦力を与え、シートの重送を抑止する。
給紙カセット300は、その内部に収容されたシートを支持するリフト板305を含む。リフト板305は、カセット300内のシートの先頭縁を上方に押し上げるように、図略の機構によってリフトアップされる。リフト板305の下流端の上方には、ピックアップローラ311が配設され、このピックアップローラ311には、リフト板305が押し上げたシートの先頭縁が接触する。この結果、ピックアップローラ311が回転すると、シートはカセット300から下流へ送り出される。
ピックアップローラ311の下流には、給紙ローラ312と、給紙ローラ312の下方に位置するリタードローラ313とが配設されている。ピックアップローラ311は、給紙ローラ312とリタードローラ313との間にシートを送り込む。給紙ローラ312は、シートを更に下流へ送り出すように回転する。リタードローラ313の回転は、トルクリミッタにより制御される。ピックアップローラ311が2以上のシートを給紙ローラ312とリタードローラ313との間に送り込んだとき、トルクリミッタが作動し、リタードローラ313を回転不能にする。この結果、シートの重送が防止される。
第2給紙搬送路310へ送り込まれたシートは、第2給紙搬送路310に設けられた搬送ローラ対360によってレジストローラ対320に向けて送り出される。上述の戻し搬送路350は、第2給紙搬送路310の搬送ローラ対360の上流で合流する。したがって、第2給紙搬送路310の搬送ローラ対360は、戻し搬送路350を通じて第2給紙搬送路310に供給されたシートも同様にレジストローラ対320へ送り出す。レジストローラ対320の上流で、第1給紙搬送路530及び第2給紙搬送路310は合流する。したがって、レジストローラ対320は、第1給紙搬送路530又は第2給紙搬送路310を通じて搬送されたシートを画像形成部410へ供給する。
画像形成部410は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Bkを含む。これらコンテナの下方には、YMCBk各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Bkがそれぞれ配設されている。画像形成部410は、これらトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkに収容されたトナーを用いて、シートに画像を形成する。
画像形成部410は、各色のトナー像を担持する感光体ドラム17を含む。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10Bk)、転写ローラ19及びクリーニング装置18が配置されている。
帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光装置600によって露光され、静電潜像が形成される。露光装置600は、例えば、外部装置からの画像信号(画像情報を含む信号)に基づき、帯電後の感光体ドラム17の表面にレーザ光を出射する。現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkから供給される各色のトナーを供給し、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像に合致するトナー画像を形成する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
各現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、現像筐体20を備える。現像筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納される。また、現像筐体20内には、現像筐体20の底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラ11、12が回転可能に配置される。
現像筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラ11、12は循環経路内に配設される。攪拌ローラ11、12の間の軸方向には、現像筐体20の底部から立設された仕切り壁201が設けられる。仕切り壁201は、循環経路を区画する。仕切り壁201の周囲を周回するように、循環経路が形成される。2成分現像剤は、循環経路を攪拌ローラ11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
2成分現像剤は、攪拌ローラ11及び12によって攪拌されつつ現像筐体20内を循環し、トナーが帯電される。攪拌ローラ11上の2成分現像剤は、上側に位置する磁気ローラ14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は、磁気ローラ14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード13によって層厚規制される。現像ローラ15上のトナー層は、磁気ローラ14と現像ローラ15との間の電位差によって形成される。トナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
露光装置600は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成部410の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像信号に基づく光を出射して、静電潜像を形成する。この露光装置600については、後記で詳述する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、シートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラ922及び従動ローラ923は、主筐体2によって回転自在に支持されている。
レジストローラ対320から送り出されたシートは、二次転写部98を構成する中間転写ベルト921及び転写ローラ981との間の転写ニップ部に供給される。その後、シートは二次転写部98によって転写されたトナー画像を担持しつつ、定着部430へ送り出される。
定着部430は、ヒータ431を内蔵する加熱ローラ432と、加熱ローラ432に圧接される加圧ローラ433とを含む。二次転写部98から送り出されたシートは、加熱ローラ432と加圧ローラ433との間に送り込まれる。シート上のトナーは加熱ローラ432からの熱エネルギを受け溶融し、加圧ローラ433からの圧力を受けることにより、シートに定着される。定着部430は、シートにトナーを定着した後、排出搬送路340を介してシートを排出部450へ送る。
排出部450は、排出ローラ対451を含む。排出ローラ対451は正転・逆転可能に形成される。これにより、上述の両面印刷の際におけるスイッチバック動作が達成されることとなる。
以下、本実施形態に係る露光装置600(光源装置の一例)について説明する。図3は、露光装置600及び露光装置600を支持する枠体610の斜視図、図4は、枠体610の斜視図である。本実施形態では、YMCBk各色に個別に対応する4つの露光装置600Y、M、C、Bkが備えられている例を示しており、これらは図1に示すように画像形成部410の下方に配置されている。四角枠状の外形輪郭を有する枠体610は、4つの露光装置600を支持する。枠体610は、画像形成装置1の主筐体2の内壁面に取り付けられている。
図3中、最も左方に配設される露光装置600Yは、イエローのトナーを用いてトナー画像を形成する感光体ドラム17にレーザ光線を出射する。以下同様に、露光装置600Mはマゼンタトナー画像用の感光体ドラム17に、露光装置600Cはシアントナー画像用の感光体ドラム17に、露光装置600Bkはブラックトナー画像用の感光体ドラム17に、各々レーザ光線を照射する。
露光装置600は、略直方体形状の筐体620を備える。筐体620の内部構造については後記で詳述するが、大略的に、レーザ光線を発する光源、このレーザ光が入射され走査光を放射するポリゴンミラー671、前記走査光を感光体ドラム17の周面に結像させるFθレンズを含む光学部品、前記走査光を感光体ドラム17の周面に向かうように反射する複数のミラー、及び、このミラーの角度調整を行う調整機構700等が収容されている。
筐体620の上カバー620Tには、防塵ガラスから形成される略矩形状の窓部621が備えられている。窓部621は、筐体620の上カバー620Tの右縁に沿い、露光装置600の主走査方向に延びる。筐体620内に配設された光源からのレーザ光線は、窓部621を透過し、感光体ドラム17の周面に照射される。
露光装置600は、窓部621の左縁に沿って延びるスクリュシャフト631と、スクリュシャフト631に接続される清掃部632とを含む。清掃部632は、スクリュシャフト631に取り付けられるリング部633と、リング部633から延出し、窓部621に接触するワイパ部634とを含む。リング部633はスクリュシャフト631の回転によって、主走査方向に往復移動可能であり、この移動の際にワイパ部634は窓部621上を摺動して該窓部621を清掃する。
枠体610は、連設された4つの露光装置600を支持する第1支持部611と、第1支持部611と略平行に対向配置される第2支持部612とを含む。筐体620は、第1支持部611に沿う第1壁622と、第1壁622に対して反対側に位置する第2壁623とを含む。露光装置600が枠体610内に据え付けられる際、第1支持部611は第1壁622に対向し、第2支持部612は第2壁623に対向する。
第1支持部611には、後述する筐体620内の第3ミラー677(図6他)の角度調整を外部から行わせるための調整穴641が設けられている。ユーザは、調整穴641に所定の工具を挿入して、後述の調整機構700を動作させることで、第3ミラー677の角度調整を行うことができる。したがって、本実施形態では、第1支持部611が配設される側を調整側と称する。
第2支持部612の外面には、スクリュシャフト631を駆動するための駆動機構635の一部を収容する駆動ハウジング637が取り付けられる。駆動ハウジング637と第2壁623との間には、スクリュシャフト631を駆動するための駆動機構635の一部が露出する。本実施形態では、第2支持部612が配設される側を駆動側と称する。枠体610の角隅部には、駆動機構635を駆動するための駆動源636が取り付けられている。
図4を参照して、枠体610の第1支持部611は、断面U字形状の梁部材であり、第1上縁面615と、第1上縁面615の下方に配設される下縁面619と、第1上縁面615と下縁面619との間の主板652とを備える。第1支持部611には、第1切り欠き部613及び第2切り欠き部614が交互に凹設されている。第1切り欠き部613及び第2切り欠き部614は、第1上縁面615から主板652に跨って凹設されている。第1上縁面615中において、第1切り欠き部613及び第2切り欠き部614は、第1上縁面615の内縁から調整側方向に向けて延びる。また、主板652中において、第1切り欠き部613及び第2切り欠き部614は、下方に向けて延びる。
枠体610の第2支持部612には、第3切り欠き部616が凹設される。第3切り欠き部616は、第2支持部612の第2上縁面617から、第2上縁面617を支持する主板699に向けて形成された、略半円弧状の凹空間である。第3切り欠き部616は、第1切り欠き部613に対向する位置に形成されている。露光装置600は、第1切り欠き部613、第2切り欠き部614及び第3切り欠き部616を位置決めの箇所として、上方から枠体610に装着することができる。
第2支持部612の第2上縁面617上には、吸収部材618が取り付けられている。吸収部材618は、枠体610に伝達された振動を吸収する役割を担う。これにより、枠体610から露光装置600への振動伝達が抑制される。吸収部材618は、第2切り欠き部614に略対向する位置に取り付けられている。
続いて、一つの露光装置600の構造について詳細に説明する。図5は、露光装置600の外観斜視図、図6は、筐体620から上カバー620Tを外した状態の露光装置600の上面図、図7は、図6の状態から、さらに第3ミラー677を外した状態の露光装置600の上面図、図8は、図6のVIII−VIII線断面図である。
図5に示すように、露光装置600の筐体620において、第1支持部611に沿う第1壁622には、外方へ向けて突出する略円筒形状の第1突出部624及び第2突出部625が形成されている。また、第2支持部612に沿う第2壁623にも、図略の第3突出部が突設されている。第1突出部624は第1切り欠き部613に、第2突出部625は第2切り欠き部614に各々嵌合され、第3突出部は第3切り欠き部616に嵌合される。
第1突出部624と第2突出部625との間には、取付穴626が形成されている。第1支持部611の主板652に形成された穴部651を通じて取り付けられた固定具(例えば、ねじやビス)が、取付穴626に螺合されることにより、筐体620は枠体610に固定される。この取付穴626と第1支持部611との間には、図略の付勢バネが介在される。穴部651は、調整穴641にも連通される。取付穴626の下方には、筐体620の内部空間に連通する連通穴627が形成される。ユーザは、上述の如く、調整穴641及び連通穴627を通じて、筐体620の内部に工具の先端を挿入して調整機構700を動作させることが可能である。
図6〜図8を参照して、筐体620の第2壁623には、光源が搭載された基板681が取り付けられ、筐体620の内部には、コリメータレンズ682、第1アパチャーレンズ683、シリンドリカルレンズ684、第2アパチャーレンズ685、ポリゴンミラー671(回転多面鏡)、ポリゴンモータ672、第1fθレンズ673、第1ミラー674、第2ミラー675、第2fθレンズ676、第3ミラー677(ミラー)及び調整機構700が収容されている。
基板681には、例えば780nm帯の光線を発する半導体レーザからなる光源68(図14)、半導体レーザを発信させる発信回路、及び半導体レーザの出力を自動調整するAPC回路などが搭載されている。半導体レーザの出力は、画像形成装置1に入力された画像データにより変調される。
コリメータレンズ682、第1アパチャーレンズ683、シリンドリカルレンズ684及び第2アパチャーレンズ685は、基板681の光源68とポリゴンミラー671との間の光軸上に配列されている。コリメータレンズ682は、点光源である光源68が発する放射光を平行光に変換するカップリングレンズである。第1アパチャーレンズ683は、前記平行光を所定の大きさに絞り込む開口を備える。シリンドリカルレンズ684は、前記平行光を主走査方向に長い線状光(走査光L)にし、ポリゴンミラー671の反射面に結像させる。第2アパチャーレンズ685は、前記線状光を所定の大きさに絞り込む開口を備える。
ポリゴンミラー671は、シリンドリカルレンズ684により結像された線状の走査光Lが、被走査面(感光体ドラム17の周面)上で走査されるように偏向する。ポリゴンモータ672は、ポリゴンミラー671を所定の速度で回転させる。第1fθレンズ673及び第2fθレンズ676は、テレセントリック特性を有し、ポリゴンミラー671から放射される走査光Lの光軸倒れ(又は鏡面の倒れ)を補正し、被走査面上に走査光Lが垂直に照射されるようにすることで、照射された走査光Lを等角速度運動から等速運動に変換する。
第1ミラー674は、第1fθレンズ673から出射される走査光Lを上方に向けて反射する。第2ミラー675は、第1ミラー674から出射される走査光Lを更に略水平方向に反射させ、第2fθレンズ676に入射させる。第3ミラー677は、第2fθレンズ676を通過した走査光Lを上方に反射させ、筐体620の窓部621を透過させ、感光体ドラム17の周面に向かわせる。これら第1、第2、第3ミラー674、675、677は、いずれも主走査方向に長い長方形のミラーである(図6参照)。
この第3ミラー677が、感光体ドラム17に対して最寄りのミラーである。このため、筐体620内にアセンブリされている光学部品の取付誤差や公差等に起因する光軸ズレ(走査傾きや走査湾曲)は、該第3ミラー677の角度調整、撓み矯正によって補正することが合理的である。そこで、本実施形態では、第3ミラー677の角度調整のために、調整機構700が筐体620内に組み込まれている。第3ミラー677の角度は、上述の如く、調整穴641を通じて挿入された所定の工具によって調整される。
図9は、図6のIX−IX線断面図である。図10(A)は、図6のXA−XA線断面図、図10(B)は、図10(A)のXB部分の拡大図である。図11(A)は、図6のXIA−XIA線断面図、図11(B)は、図11(A)のXIB部分の拡大図である。これらの図と、図6、図7を参照して、第3ミラー677は、長手方向(主走査方向)に第1端部677Aと、その単体の第2端部677Bとを備える。
第3ミラー677の第1端部677Aは、その上面が筐体620に一体的に形成された保持部6204で保持され、その下面が第1板バネ81(第1付勢部材;図11参照)により押圧状態で支持されている。また、第3ミラー677の第2端部677Bは、その上面が第2板バネ82(第2付勢部材)により押圧状態で支持され、その下面が調整機構700で支持されている。調整機構700は、図7に示すように、第3ミラー677の第2端部677Bの下面側に、第2板バネ82と対向する位置関係で配置されている。
図9に示すように、調整機構700は、当該調整機構700を構成する各種部品を搭載するベース基板70を備える。筐体620には、調整機構700を固定するために、下向きに開口したネジ孔を有する第1ボス部6201及び第2ボス部6202が設けられている。ベース基板70には第1貫通孔707及び第2貫通孔708が穿孔されている。第1固定ネジ691及び第2固定ネジ692は、第1貫通孔707及び第2貫通孔708を通して第1ボス部6201及び第2ボス部6202の各ネジ孔に螺合され、これによりベース基板70が筐体620に固定されている。
筐体620には、さらに、第2板バネ82を取り付けるための、上向きに開口したネジ孔を有する第3ボス部6203が設けられている。第2板バネ82の基端部821(固定端)には貫通孔が穿孔されており、この貫通孔を通して、第3固定ネジ693が第3ボス部6203のネジ孔に螺合されて、基端部821を固定している。一方、第2板バネ82の先端部822(自由端)は、第3ミラー677の上面側に延出している。
先端部822の裏面側には押圧突起823が突設されており、この押圧突起823が第3ミラー677の上面と接触している。第2板バネ82は、無負荷時には真っ直ぐな形態を取るバネであり、ここでは図9に示すように、上方へ湾曲された状態で組み付けられている。このため、第2板バネ82は、常に第3ミラー677を上から下の方向(第4方向)に付勢する付勢力を、押圧突起823を介して第3ミラー677の第2端部677Bに与えている。
図10(A)、(B)に示すように、保持部6204は、第1端部677Aの端縁部付近の上面において、第3ミラー677を保持している。保持部6204は、第2壁623の内側面から筐体内部に向けて突設されたフレーム部材であり、第3ミラー677の断面方向の傾斜に沿った形状部分を有している。第3ミラー677の裏面側の傾斜面には2つの小突起6205が突設され、これら小突起6205の先端が、第3ミラー677の第1端部677Aの上面に接触している。
図11(A)、(B)に示すように、第1板バネ81は、第1端部677Aの端縁部から所定長さだけ内側に寄った部分に配置され、第3ミラー677を下から上の方向(第3方向)に付勢している。第1板バネ81は、側面視でU字型の形状を有する板バネであり、その基端部811が筐体620に設けられた水平な座面部6206に当接し、その先端部812が第3ミラー677の下面に当接している。基端部811は、座面部6206に立設されたバネ座6207に取り付けられ、先端部812は、第3ミラー677のホルダに係止されている。第1板バネ81は、そのU字型の開口が閉じる方向に圧縮して組み付けられており、これにより第3ミラー677に対して、常に上方に向けて付勢する付勢力を与えている。
ここで、図6及び図8を参照して、第3ミラー677の中央部分677Cには、その下面側において板金ホルダ677Hが取り付けられている。さらに、第3ミラー677の長手方向の中心部の裏面には、その先端が板金ホルダ677Hを貫通して第3ミラー677と当接するピン部材677Pが配置されている。このピン部材677Pを挟んで、一対の圧縮コイルバネ(図略)が、板金ホルダ677Hと筐体620との間に介在されている。ピン部材677Pは第3ミラー677に対して進退自在であり、その突出度を調整することで第3ミラー677の撓みを矯正することができる。すなわち、走査湾曲(ROW)の調整は、このピン部材677Pによって行われる。
上述の通り、調整機構700は、第3ミラー677の第2端部677Bの下面側に配置されている。図12は、調整機構700の斜視図、図13は、調整機構700の断面図である。これらの図において、ベース基板70の一端70Aから他端70Bへ延びる長手方向に沿った方向を第1方向X、第1方向Xと水平な平面において直交する方向を第2方向Yという。なお、Z方向は、第1方向X及び第2方向Yと直交する上下方向を示す。
調整機構700は、上述のベース基板70と、このベース基板70に搭載された調整レバー71、干渉ピン72(干渉部材)、ヘッダーピン73(ガイド部材)、ウォームギア74(伝達部材)、操作部75及びラチェット部76とを備えている。
図14は、第3ミラー677の角度調整状況を模式的に示す図である。この模式図に示すように、調整機構700は、第3ミラー677の第2端部677Bを上下方向(図14の矢印aの方向)に移動させることにより、走査光Lが感光体ドラム17の周面を照射する位置を、主走査方向と直交する副走査方向に移動させるためのものである。すなわち、走査傾き(SKEW)を調整するために、調整機構700は配置されている。
調整レバー71は、第3ミラー677の下面直下に配置され、第3ミラー677と直接接触する部分を有し、自身の姿勢の変更によって、第3ミラー677の角度を調整可能とする部材である。調整レバー71は、自身の姿勢を変更させるための筒状の揺動軸部711(揺動支点)と、揺動軸部711から上方に延びる上プレート部712と、揺動軸部711から下方に延びる下プレート部713とを含む。上プレート部712の先端(上端)の上面には、第3ミラー677の第2端部677Bの下面(第2面)と接触する半円突起714(接触部)が突設されている。また、下プレート部713の先端(下端)には、干渉ピン72が当接されるピン受け部715が設けられている。
図12に示すように、第1方向Xに長い長方形のベース基板70から、2枚の平行な保持板701、702が垂直な方向に立設されている。保持板701、702は、概ねベース基板70の一端70Aから他端70Bにかけて延在するプレート材であり、他端70Bの側に、他の部分よりも一段高くされた軸支部703、704が形成されている。軸支部703、704には、揺動軸部711の両端部が挿入される軸支孔SHが穿孔されている。調整レバー71は、揺動軸部711の両端部が軸支孔SHに挿入された状態で、揺動軸部711の軸周りに揺動自在であり、自身の姿勢を変更することが可能である。
上述の通り、第1板バネ81が第3ミラー677の下面から第1端部677Aを上方向に付勢し、第2板バネ82が第2端部677Bを上面(第1面)から下方向に付勢している。このような付勢力に伴い、第3ミラー677の第2端部677Bは、調整レバー71に向けて常時押し付けられている。半円突起714は、このような付勢力を伴った第3ミラー677の第2端部677Bを一点で受ける部分である。
従って、図9、図13において、調整レバー71が揺動軸部711の軸周りに時計方向に回動すると、第3ミラー677の第2端部677Bが下方に移動する一方、第1端部677Aが相対的に上方に位置するようになる。これに対し、調整レバー71が揺動軸部711の軸周りに反時計方向に回動すると、第2板バネ82の付勢力に抗して、第3ミラー677の第2端部677Bが上方に移動する。これに対応して、第1端部677Aが第1板バネ81の付勢力に抗して下方に移動する。このように、調整レバー71の姿勢変更によって、第3ミラー677は、走査傾きを矯正するように調整される。
調整レバー71は、干渉ピン72からピン受け部715に与えられる押圧力に依存して、揺動軸部711の軸周りに回動する。ピン受け部715は、干渉ピン72と対向する側に、平坦な当接面715Sを有している。この当接面715Sに、干渉ピン72の先端曲面部721Sが当接している。
干渉ピン72は、第1方向Xに進退移動が可能であり、調整レバー71を揺動軸部711の軸周りに回動させて姿勢を変更させる部材である。干渉ピン72は、上記の先端曲面部721Sを先端に備えた円柱状のピン部721と、このピン部721に一体的に連接された円筒状のウォームホイール部722とを備えている。
ピン部721は、ベース基板70から立設されU字状のガイド溝を有するガイド壁705の前記ガイド溝に嵌め込まれ、前記長手方向への移動の際にガイドされる構造とされている。調整レバー71の半円突起714が受ける付勢力は、当接面715Sを通して、干渉ピン72の先端曲面部721Sに与えられている。ウォームホイール部722は、円筒状ボディを備え、その外周面にはハス歯部722Aが設けられ、内周面にはネジ溝722B(第1方向に延びるネジ孔)が刻設されている。
ヘッダーピン73は、干渉ピン72の第1方向Xへの進退移動を高精度にガイドする円柱状の部材であり、ネジ部731、胴部732及びヘッド部733を備える。ネジ部731には、干渉ピン72のネジ溝722Bと螺合可能なネジ山731Aが刻設されている。胴部732は、ベース基板70及び保持板701、702から突設された保持リブ706で位置決めされている。保持リブ706は、胴部732の周囲に、90度ピッチで配置されている。ヘッド部733は、胴部732より大きい外径を有し、保持リブ706の端縁に当接している。なお、ネジ部731の根元側にはナット734が螺合され、ヘッダーピン73の第1方向Xへの移動が規制されている。
ヘッダーピン73と干渉ピン72とは、第1方向Xに沿った同じ軸線上に配置された状態で、ヘッダーピン73のネジ部731が干渉ピン72のウォームホイール部722へ挿通されている。つまり、ネジ溝722Bにネジ山731Aが螺合されている。従って、ウォームホイール部722に、干渉ピン72を軸回りに回転させる回転力が与えられると、ネジ溝722B及びネジ山731Aのネジピッチに応じて、干渉ピン72は第1方向Xに進行若しくは退行移動する。
ウォームギア74は、第2方向Yに延びるように配置され、つまり干渉ピン72及びヘッダーピン73と直交して配置され、ネジ歯部741と、軸部742とを備える。ネジ歯部741は、干渉ピン72のウォームホイール部722に備えられているハス歯部722Aと歯合される。軸部742は、ウォームギア74の回転軸であって、操作部75に連結されている。
ウォームギア74が軸部742の軸回りに回転されると、その回転力は、ネジ歯部741及びハス歯部722Aを介して干渉ピン72に伝達され、干渉ピン72を軸回りに回転させる。すなわち、ウォームギア74が正逆回転されることで、干渉ピン72が第1方向Xに沿って進退移動することになる。なお、ウォームギア74と干渉ピン72とは減速機構を構成しており、ネジ歯部741及びハス歯部722Aのギア比に応じて、ウォームギア74の回転数が減速して干渉ピン72に伝達される。
操作部75は、第3ミラー677の角度調整のための外力を受け付ける部位であり、工具(六角レンチ)が係合されるレンチ孔を備えた工具受け部751と、この工具受け部751の周囲に配置された円筒胴部752とを備える。工具受け部751はウォームギア74が軸部742に直結しており、工具受け部751に回転力(外力)が与えられると、軸部742も回転する。円筒胴部752も工具受け部751と一体回転する部材であり、その周面には爪受け753が凹設されている。
ラチェット部76は、操作部75の自由回転を規制する部材であり、ラチェット爪761を備える。ラチェット爪761は、爪受け753と係合可能である。このラチェット爪761と爪受け753との係合に基づくクリック感により、ユーザは操作部75の回転量、換言すると干渉ピン72の移動量を知見することができる。
以上の通り構成された調整機構700において、操作部75の工具受け部751は、筐体620の連通穴627(図5参照)の位置に位置合わせして配置される。記述の通り、この連通穴627は、露光装置600を支持する第1支持部611に備えられている調整穴641(図3参照)と位置合わせされている。従って、ユーザは、露光装置600を枠体610から取り外したり、筐体620を解体したりすることなく、調整穴641を通して工具受け部751に工具を挿入し操作部75を回転させることで、調整機構700を動作させて第3ミラー677の角度調整を行うことができる。
すなわち、操作部75に回転力が与えられると、その回転力はウォームギア74にダイレクトに伝達され、ネジ歯部741とハス歯部722Aとからなるウォーム減速機構を介して干渉ピン72に伝達される。これにより干渉ピン72は軸回りに回転するのであるが、ヘッダーピン73のネジ部731のネジ山731Aがウォームホイール部722のネジ溝722Bに螺合されているので、干渉ピン72は、ネジ山731A及びネジ溝722Bのネジピッチに応じて第1方向Xに移動する。
干渉ピン72の先端曲面部721Sは、付勢力を持つ調整レバー71の当接面715Sに当接している。このため、干渉ピン72の第1方向Xへの移動に伴い、調整レバー71は、揺動軸部711の軸周りに回動する。従って、第3ミラー677と直接接触している半円突起714の位置もシフトするので、第3ミラー677の角度が調整されるものである。
本実施形態によれば、第3ミラー677へ直接的に外力を伝達されて角度調整を行うのではなく、ウォームギア74と、ヘッダーピン73で精度良くガイドされた干渉ピン72を経由して、調整レバー71の姿勢を変更させる構成を備える。従って、ネジ歯部741及びハス歯部722Aのギア比、ネジ山731A及びネジ溝722Bのネジピッチ、並びに調整レバー71のレバー比(揺動軸部711を挟んだ半円突起714とピン受け部715との位置で決まる動作比)を適宜選択することで、所望の微動機構を構築することができる。このため、様々な筐体620の形状、筐体620内の部品配置環境、ミラーの配置位置や大きさに応じて、最適な微動機構を設定することができる。従って、画像形成装置1に装着した状態で、微小な光軸ズレを的確に矯正することが可能な露光装置600を提供することができる。
本発明は、上記で説明した画像形成装置1(露光装置600)の構成に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、光源装置の例として画像形成装置1に適用される露光装置600を例示した。光源装置は、光線を発する光源と、この光線を反射するミラーを備えるものであればよく、例えば測定光を対象物に照射して物理量を計測する光計測装置等にも、本発明を適用することができる。
(2)上記実施形態では、伝達部材としてウォームギア74を、干渉部材としてウォームギアと噛み合うウォームホイール部722を有する干渉ピン72を例示した。このようなウォーム減速機構に代えて、他の歯車減速機構や、リンク機構又はスライド機構などの他のメカニカルな機構を採用しても良い。
(3)上記実施形態では、付勢部材として、第1板バネ81及び第2板バネ81を例示した。これに代えて、例えばコイルバネや皿バネなどの他のバネ部材や、ゴム弾性を有する弾性部材を用いるようにしても良い。
(4)上記実施形態では、ガイド部材としてヘッダーピン73を例示した。これは一例であり、干渉ピン72(干渉部材)を高精度に第1方向Xへガイド可能な部材であれば、その機構、形態を問わない。