以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかるレンズユニットを備えた撮像装置の斜視図であり、図2は図1に示す撮像装置をII−II線で切断した断面図であり、図3は本発明にかかるレンズユニットを分解した斜視図である。図1に示すように、撮像装置Aは、配線基板Pbと、配線基板Pbに固定されたレンズユニット1とを備えている。また、図2に示すように、配線基板Pbには撮像センサImsが実装されており、撮像センサImsを囲むようにレンズユニット1が配置されている。
この撮像装置Aは、携帯電話端末に搭載されるものであり、撮像センサImsは照射された撮像光を電気信号に変換する個体撮像素子を備えている。なお、個体撮像素子として、CMOSタイプ又はCCDタイプのイメージセンサを備えた構成となっている。また、以下のレンズユニット1の説明において、被写体側を前、撮像装置側を後と表現する場合がある。
図2及び図3に示すようにレンズユニット1は、3群5枚の固定焦点のレンズユニットである。レンズユニット1は第1レンズ群2、第2レンズ群3、第3レンズ群4を備えている。レンズユニット1において、第1レンズ群2及び第3レンズ群4は固定レンズ群であり、第2レンズ群3は可動レンズ群である。レンズユニット1は、第2レンズ群3を光軸方向に移動させることで、焦点あわせを行っている。
図2、図3に示すように、レンズユニット1は、被写体側から、第1レンズ群2、第2レンズ群3、第3レンズ群4の順番で配置されている。これら各レンズ群は筐体に収納されている。筐体は撮像センサImsに近いリヤフレーム51と、リヤフレーム51の前側に取付固定されるフロントフレーム52と、フロントフレーム52の外側を覆い、電磁シールドとして用いられるカバー53とを備えている。また、レンズユニット1には、第2レンズ群3を変位駆動するための振動リニアアクチュエータ6、撮像センサImsに入射する撮像光の赤外線成分をカットする赤外カットフィルタ9も備えている。
図2、図3に示すように、リヤフレーム51は撮像センサImsが実装された基板Pbに、撮像センサImsを囲むように固定されている。リヤフレーム51には、撮像センサImsと対向する面に赤外カットフィルタ9が貼り付けられている。また、リヤフレーム51は被写体側で第3レンズ群4のレンズ41を保持している。さらに、リヤフレーム51の被写体側には、振動リニアアクチュエータ6が固定されている。
振動リニアアクチュエータ6には、可動保持部であるレンズホルダ7が摩擦係合されている。レンズホルダ7は第2レンズ群3のレンズ31、32及びレンズ31とレンズ32の間に配置され漏れ光を遮断する遮光板33とを保持している。なお、レンズ31はレンズ32よりも被写体側に配置されている。レンズホルダ7は振動リニアアクチュエータ6によって変位駆動され、保持している第2レンズ群3を第1レンズ群2又は第3レンズ群4に接近離間させる。
また、リヤフレーム51の前側には、フロントフレーム52が配置されている。フロントフレーム52は、開いた箱形状であり、前面板で振動リニアアクチュエータ6の前側の端部を保持している。また、フロントフレーム52の前面板には、固定保持部であるレンズホルダ8が固定されている。レンズホルダ8には、第1レンズ群2のレンズ21、22、レンズ21とレンズ22の間に配置され漏れ光を遮断する遮光板23及びレンズ21に入射する光の量を制限する前面遮光板24とが保持されている。なお、レンズ21はレンズ22よりも被写体側に配置されている。さらに、フロントフレーム52の被写体側には、フロントフレーム52を覆うカバー53が取り付けられている。
レンズユニットの各部材の詳細について図面を参照して説明する。まず、リヤフレーム51について説明する。図4(A)は本発明にかかるレンズユニットの構成部材の一つであるリヤフレーム単体の前側(被写体側)から見た斜視図であり、図4(B)はリヤフレーム単体の後側(撮像センサ側)から見た斜視図である。
図2、図4(A)、(B)に示すように、リヤフレーム51は、矩形状のベース510と、ベース510に形成され、撮像光が通過する長方形状の開口511と、ベース510の前側から突出し、レンズ41の外周に形成された胴部411が嵌合される円筒状のレンズ嵌合部512とを備えている。レンズ嵌合部512は中心軸が開口511の中心と重なるように形成されている。開口511は撮像画像の画枠に相当する。
また、リヤフレーム51のレンズ嵌合部512の内周には、胴部411の撮像センサIms側の面と接触する胴付け部513が連設されている。胴付け部513の内径はレンズ嵌合部512の内径よりも小さく形成されている。図2に示すように、レンズ41は胴部411の外周がレンズ嵌合部512の内周と嵌合するとともに、胴部411の撮像センサIms側の面が胴付け部513と接触してリヤフレーム51に保持されている。そして、胴部411とレンズ嵌合部の内周とが接着剤で固定されている。
リヤフレーム51には振動リニアアクチュエータ6が取り付け固定されている。振動リニアアクチュエータ6は、電圧を印加することで伸縮する圧電素子61と、圧電素子61の伸縮方向の一端に取り付けられ、第2レンズ群3を保持しているレンズホルダ7が摩擦係合する駆動軸62と、圧電素子61の駆動軸62と反対側の端部に固定された錘63とを備えている。また、圧電素子61にはリード線64がはんだ付けにて取り付けられており、リード線64の圧電素子61と反対側の端部には電圧を印加するための金属製の端子65がはんだ付けにて取り付けられている(図3参照)。
図4(A)、(B)に示すように、リヤフレーム51のベース510の角部には、振動リニアアクチュエータ6の錘63が接着固定されるアクチュエータ取付孔514が形成されている。アクチュエータ取付孔514は接着剤を充填するための貫通孔であり、錘63がアクチュエータ取付孔514を前側から覆うように配置された後、後側から接着剤を充填し硬化することで錘63を固定する。
また、ベース510には前側に突出した2個の係合凸部515が備えられている。係合凸部515は、一時的に撓み、フロントフレーム52の側壁に形成されている係合孔525と係合する、いわゆる、スナップフィット機構となっている。係合凸部515と係合孔525とが係合することで、リヤフレーム51とフロントフレーム52とが組み合わされる。
さらに、図4(B)に示すようにベース510の撮像センサIms側の面には、開口511を囲むように凹部516が形成されている。この凹部516の内部に赤外カットフィルタ9が接着にて固定される。また、ベース510には、四辺それぞれの端部より撮像センサIms側に突出した壁部517が備えられている。この壁部517は連続して形成された部材であり、壁部517の端部は配線基板Pbに接着固定される。
図2に示したとおり、開口511が赤外カットフィルタ9で塞がれているとともに、壁部517が配線基板Pbに接着固定されるので、リヤフレーム51と配線基板Pbとで囲まれた空間は密閉空間となっており、埃、塵等の異物が進入しにくくなっている。これにより、撮像センサImsに異物が付着するのを抑制することができる。
また、アクチュエータ取付孔514の近傍には、駆動軸62をガイドするガイド部が備えられており、ガイド部には、フロントフレーム52に向けて突出する駆動規制当たり部518が形成されている。駆動規制当たり部518は、レンズホルダ7が振動リニアアクチュエータ6により変位駆動されたとき、レンズホルダ7に設けられている後側駆動当たり部76と当たり、レンズホルダ7の変位を規制する。
また、リヤフレーム51は、レンズ嵌合部512の近傍に前側に突出するように形成された衝撃当たり部519(筐体側当たり部)を3個備えている。衝撃当たり部519はベース510の駆動規制当たり部518が近接している角部以外の3つの角部それぞれと近接して配置されている。
例えば、レンズユニット1への落下衝撃が付加された等により、レンズホルダ7に大きな力が作用する場合がある。このような大きな力が作用しレンズホルダ7が第3レンズ群4側に移動した場合、駆動規制当たり部518と後側駆動当たり部76だけでは、十分に力を受けることができない。そこで、衝撃当たり部519とレンズホルダ7に形成されている後側衝撃当たり部77が当たることで衝撃力を受け、レンズホルダ7の変位を規制する。なお、レンズホルダ7の駆動規制当たり部518及び衝撃当たり部519と接触する部分については、レンズホルダ7の詳細な説明にあわせて説明する。
次に、レンズホルダ7について説明する。レンズホルダ7は可動レンズ群である第2レンズ群3を保持する可動保持部であり、押圧部材70が取り付けられている。レンズ31の外径はレンズ32の外径よりも大きく形成されており、レンズ32が後側、レンズ31が前側に配置されている。
図5(A)はレンズホルダの前側(被写体側)から見た斜視図であり、図5(B)はレンズホルダの後側(撮像センサ側)から見た斜視図である。図5(A)、(B)に示すように、レンズホルダ7の中央部には撮像光が透過する貫通孔71が形成されている。レンズホルダ7は、貫通孔71を囲むように形成され、レンズ31、32が嵌合される円筒状のレンズ嵌合部72と、レンズ嵌合部72の後側に連結されレンズ32の外周に形成された胴部321の後側の面が当接する胴付け部73とを備えている。
レンズ嵌合部72は前側からレンズ32、レンズ31を配置する構成となっている。レンズ嵌合部72の内周は、後側にレンズ32の外周に形成されている胴部321の外周が嵌合し、前側にレンズ31の外周に形成されている胴部311が嵌合できるように段つき形状となっている。レンズ嵌合部72の後側に配置されたレンズ32はレンズ嵌合部72には接着されず、間に遮光板33を挟んで配置されたレンズ31がレンズ嵌合部72の内壁に接着剤で接着されている(図2参照)。
さらにレンズホルダ7の外周には、振動リニアアクチュエータ6の駆動軸62に摩擦係合される軸係合部74が形成されている。軸係合部74は2つの係合面741、742とを備えており、係合面741と係合面742とは前側から見てV字状となるように付き合わされている。軸係合部74は、2個の係合面741、742とが駆動軸62と異なる場所で接触する。そして、レンズホルダ7に取り付けられた押圧部材70が駆動軸62を軸係合部74の反対側から押圧することで、軸係合部74が駆動軸62に押し当てられ、レンズホルダ7は摩擦係合される。
レンズホルダ7は振動リニアアクチュエータ6の圧電素子61の伸縮の速度又は加速度を調整し、駆動軸62の振動速度又は加速度を調整することで、駆動軸62に沿う方向に変位駆動される。振動リニアアクチュエータ6の動作機構及び原理については、既知の内容であり省略する。
図5(A)、(B)に示すように、レンズホルダ7には、レンズホルダ7が移動するときに、フロントフレーム52に形成された駆動ガイド524にガイドされる凸部75が形成されている。凸部75はレンズホルダ7の外周からレンズ径方向の外側に向かって突出した部分であり、レンズホルダ7のレンズ嵌合部72を挟んで、軸係合部74と反対側に備えられている。
また、図5(B)に示すように、レンズホルダ7の後側には、レンズホルダ7が振動リニアアクチュエータ6により後側に変位駆動されたとき、リヤフレーム51の駆動規制当たり部518と当接する駆動当たり部である後側駆動当たり部76を備えている。また、レンズホルダ7には、衝撃が作用しレンズホルダ7が後側に過剰に移動したとき、リヤフレーム51の衝撃当たり部519と当たる保持部側当たり部である後側衝撃当たり部77が3箇所備えられている。
図5(B)に示すように、後駆動当たり部76は軸係合部74に近接した位置に備えられており、後側衝撃当たり部77の一つは、凸部75に形成されている。また、残り2個の後側衝撃当たり部77は、レンズ嵌合部72を挟んで配置されており軸係合部74と凸部75とを結ぶ線と交差する線上に配置されている。
さらに図5(A)に示すように、レンズホルダ7の前側には、レンズホルダ7が第1レンズ群2側に変位駆動されたとき、フロントフレーム52に備えられた駆動規制当たり部528と当接する駆動当たり部でる前側駆動当たり部78を備えている。また、レンズホルダ7には、衝撃が作用しフロントフレーム52側に移動したとき、フロントフレーム52の衝撃当たり部529と当接する保持部側当たり部である前側衝撃当たり部79が3箇所備えられている。
図5(A)に示すように、前側駆動当たり部78は軸係合部74の近接した位置に備えられている。また、3個の前側衝撃当たり部79は、後側衝撃当たり部77と前後に対応する位置に備えられているが、それに限定されない。
再び、図3を参照して、レンズホルダ7に取り付けられている押圧部材70について説明する。押圧部材70は前側から見てL字状の形状を有する板ばね部材である。押圧部材70の屈曲点には、レンズホルダ7に形成されているばね受け凸部743に係合される係合部700が形成されている。また、押圧部材70のL字を形成する一辺701の先端には駆動軸62を押圧する押圧部702が形成されており、もう一辺はレンズホルダ7の外周に当接する受け部703を構成している。押圧部材70は係合部700をばね受け凸部743に係合することで、受け部703がレンズホルダ7の外周に押し当てられる。また、一辺701及び押圧部702はレンズホルダ7の中央に向かって弾性力を作用させている。
次にフロントフレーム52について図面を参照して説明する。図6(A)はフロントフレームの前側(被写体側)から見た斜視図であり、図6(B)はフロントフレームの後側(撮像センサ側)から見た斜視図である。図6(A)、(B)に示すように、フロントフレーム52は、前面に矩形状の前面板520と、前面板520の四辺から後側に立設された側壁522とを有している。前面板520には、撮像光が入射する円形の貫通孔である開口521と、一つの角部の近傍に振動リニアアクチュエータ6の駆動軸62の先端が取り付けられる小径の貫通孔である軸取付部523とが形成されている。
図6(B)に示すように、側壁522の内周側の軸取付部523が近接する隅部の対角線上の隅部には、光軸方向に延び、レンズホルダ7の凸部75をガイドする一対の壁体を備えた駆動ガイド524を備えている。また、前面板520の内周側(後側)の軸取付部523の近傍には、リヤフレーム51に向かって突出した駆動規制当たり部528が備えられている。駆動規制当たり部528はレンズホルダ7が振動リニアアクチュエータ6により変位駆動されたとき、レンズホルダ7に設けられている前側駆動当たり部78と当たり、レンズホルダ7の変位を規制する。
また、前面板520には、後側に突出するように形成された衝撃当たり部529(筐体側当たり部)を3個備えている。衝撃当たり部529は前面板520の駆動規制当たり部528が近接している角部以外の3つの角部それぞれと近接して配置されている。
例えば、レンズユニット1への落下衝撃が付加された等により、レンズホルダ7に大きな力が作用する場合がある。このような大きな力が作用しレンズホルダ7が第1レンズ群側に移動した場合、駆動規制当たり部528と後側駆動当たり部78だけでは、十分に力を受けることができない。そこで、衝撃当たり部529とレンズホルダ7に形成されている後側衝撃当たり部79が当たることで、衝撃力を受け、レンズホルダ7の変位を規制する。
図3、図6(A)に示すように、側壁部522には貫通孔でありリヤフレーム51に形成されている係合凸部515と係合する係合孔525と、外周より突出しカバー53の係合孔532と係合する係合凸部526とを備えている。係合凸部515と係合孔525とはスナップフィット機構を構成しており、このスナップフィット機構によって、リヤフレーム51とフロントフレーム52とが組み合わせられる。
さらに、前面板520の開口521の辺縁部は段差を有するユニット取付部527が形成されている。ユニット取付部527は第1レンズ群2を保持したレンズホルダ8(固定保持部)を前側、すなわち、フロントフレーム52の外側から取り付けることができる構造になっている。
再度、図2、図3を参照して、第1レンズ群2を保持する固定保持部であるレンズホルダ8及びカバー53について説明する。図2、図3に示すように、レンズホルダ8はレンズ21と、レンズ22と、レンズ21とレンズ22との間に配置され漏れ光をカットする遮光板23と、レンズ21の前面側に配置され、撮像光の入射を制限する前面遮光板24とを保持している。
図2に示すように、レンズホルダ8はレンズ22の外周の胴部221が嵌合されるレンズ嵌合部81と、レンズ22の前側に遮光板23を挟んで配置されたレンズ21の胴部211を接着する接着剤を充填するための接着剤溜まり82と、レンズ21の光軸位置を調整する3本爪の冶具(不図示)を胴部211の外周に嵌合させるための冶具挿入部83とを備えている。
レンズ21、レンズ22、遮光板23及び前面遮光板24を保持するレンズユニット8は、フロントフレーム52の前側からユニット取付部527に取り付けられる。このとき、レンズユニット8とフロントフレーム52とが接着固定されている。
さらにフロントフレーム52にはカバー53が取り付けられる。カバー53はフロントフレーム52を前側から覆う形状を有しており、フロントフレーム52の開口521と対応する位置に被写体からの撮像光が入射する開口530を備えている。また、カバー53はフロントフレーム52の側壁522と接触配置される側壁531が備えられており、側壁531にフロントフレーム52の係合凸部526と係合する係合孔532を備えている。係合凸部526と係合孔532とはスナップフィット機構をなしており、スナップフィット機構によってカバー53をフロントフレーム52に組み付けることが可能である。なお、カバー53は金属板の成形体であり、電磁シールド及び(又は)外観部品として用いられる。
次にレンズユニット1の組立手順について説明する。まず、リヤフレーム51の凹部516に赤外カットフィルタ9挿入接着する。また、前後して、レンズ41の胴部411をレンズ嵌合部512に嵌合させ、胴部411の後側の面を胴付け部513に接触させた状態で胴部411とレンズ嵌合部512とを接着固定する。
次に、リヤフレーム51に振動リニアアクチュエータ6を取り付ける。この時点では、振動リニアアクチュエータ6の錘63はリヤフレーム51に接着しない。そして、レンズホルダ7の軸係合部74と押圧部材70の押圧部702とで駆動軸63を挟むことで、第2レンズ群3を保持するレンズホルダ7は駆動軸62に摩擦係合される。
そして、フロントフレーム52をリヤフレーム51に組み付ける。このとき、フロントフレーム52はフロントフレーム52に形成されているボスをリヤフレーム51に形成されているボス孔に嵌合するように組み付ける。これにより、フロントフレーム52やフレーム51の光軸に垂直な方向の相対位置の位置決めがなされる。さらに位置決めがなされるとき、駆動軸62の先端がフロントフレーム52の軸取付孔523に嵌合される。フロントフレーム52をリヤフレーム51に押し付けることで、係合凸部515と係合孔525と係合する。係合凸部515と係合孔525とがスナップフィット機構を構成しており、リヤフレーム51とフロントフレーム52とは接着することなしに固定される。
この状態で錘63の位置を移動すると、振動リニアアクチュエータ6は駆動軸62とフロントフレーム52の軸取付部523との嵌合部分を中心に移動する。この移動によって、駆動軸62に摩擦係合されているレンズホルダ7、すなわち、第2レンズ群3の光軸に対する傾きを調整することができる。第2レンズ群3の傾きを調整した後、リヤフレーム51の後側からアクチュエータ取付孔514に接着剤を充填、硬化することで、振動リニアアクチュエータ6をリヤフレーム51に固定する。
さらに、フロントフレーム52のユニット取付部527にレンズ22及び遮光板23を取り付けたレンズホルダ8を取り付け、ユニット取付部527とレンズホルダ8とを接着固定する。そして、遮光板23の前側にレンズ21を配置し、専用冶具を用いてレンズ21を保持するとともに、レンズ21を光軸と直交する平面内で位置調整を行い、レンズホルダ8とレンズ21とを接着固定する。さらに、レンズ21の前面に前面遮光板24を貼付する。そして、フロントフレーム52を覆うようにカバー53を取り付け、係合凸部526と係合孔532とを係合させる。カバー53はフロントフレーム52に接着なしに固定される。
このようにして組み立てられたレンズユニット1の光軸と配線基板Pbに実装されている撮像センサImsの中心とが重なるように、レンズユニット1を配線基板Pbに取り付け、リヤフレーム51の側壁517を配線基板Pbに接着固定する。
本発明にかかるレンズユニットの要部について図面を参照して説明する。図7(A)は第2レンズ群が第3ユニット側に変位駆動された状態の断面図であり、図7(B)は第2レンズ群が第1レンズ群側に変位駆動された状態の断面図である。
まず、レンズホルダ7とリヤフレーム51、フロントフレーム52との隙間について説明する。図2に示すように、レンズホルダ7の後側駆動当たり部76とリヤフレーム51の駆動規制当たり部518との隙間の距離をA、第2レンズ群3のレンズ32と第3レンズ群4のレンズ41との隙間の距離をB、レンズホルダ7の後側衝撃当たり部77とリヤフレーム51の衝撃当たり部519との距離をCとする。また、レンズホルダ7の前側駆動当たり部78とフロントフレーム52の駆動規制当たり部528との隙間をD、第2レンズ群3のレンズ31と第1レンズ群2のレンズホルダ8との隙間をE、第2レンズ群前側衝撃当たり部79とフロントフレーム52の衝撃当たり部529との間隙をFとすると、本発明のレンズユニット1には、距離A<距離C<距離Bの関係及び距離D<距離F<距離Eの関係が成り立っている。
レンズユニット1は無限遠側にピントを合わせるとき、図7(A)に示すように、第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7を後側(第3レンズ群4側)に移動する。レンズホルダ7が後側に変位すると、後側駆動当たり部76がリヤフレーム51の駆動規制当たり部518と当たり、レンズホルダ7の変位が規制される。このとき、レンズホルダ7は、圧電素子61のゆっくりした収縮に伴う駆動軸62の後側へのゆっくりした移動とともに変位している。すなわち、レンズホルダはゆっくりした変位の途中で、後側駆動当たり部76と駆動規制当たり部518とが当たり、第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7の変位が規制される。変位が規制されることよってレンズホルダに作用している慣性力は小さく、また、この慣性力ではレンズホルダ7は傾かない。
レンズホルダ7の駆動が規制された直後等、レンズホルダ7には、変位駆動が規制された後も、振動リニアアクチュエータ6からの駆動力が作用される場合がある。このとき、軸係合部74(係合面741、742)には駆動力(後ろ向き)が、後側駆動当たり部76には駆動力と対抗する抗力(前向きの力)が作用している。このように、駆動力が作用する軸係合部74と抗力が作用する後側駆動当たり部76とが近接していることで、レンズホルダ7に作用するモーメントを小さくすることができる。これにより、移動が規制された後に、振動リニアアクチュエータ6からの駆動力が作用した場合であっても、レンズホルダ7及びレンズホルダ7に保持されているレンズ31、32が傾くのを抑制することが可能である。
そして、レンズユニット1には、隙間A<隙間Bの関係が成り立っているので、後駆動当たり部76が駆動規制当たり部518とが当たった場合であっても、レンズ32とレンズ41とは接触しない。これにより、レンズの破損やずれによる不具合を抑制することが可能である。
また、レンズユニット1には、隙間A<隙間Cの関係も成り立っており、後側駆動当たり部76が駆動規制当たり部518と当ったとき、後側衝撃当たり部77と衝撃当たり部519とは当たらないようになっている。すなわち、レンズホルダ7は後側駆動当たり部76が駆動規制当たり部518と当たり、変位が規制されるまで外部から変位を規制されることはなく、第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7が傾くのを抑制できる。
つぎに、レンズユニット1はマクロ側にピントを合わせるとき、図7(B)に示すように、第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7を前側(第1レンズ群2側)に変位させる。レンズホルダ7が前側に変位されると、前側駆動当たり部78がフロントフレーム52の駆動規制当たり部528と当たり、第2レンズ群3の変位が規制される。このとき、レンズホルダ7は、圧電素子61のゆっくりした伸長に伴う駆動軸62の前側へのゆっくりした移動とともに変位する。すなわち、レンズホルダ7はゆっくりした変位の途中で、前側駆動当たり部78が駆動規制当たり部528と当たり、第2レンズ群3の変位が規制される。このとき、変位が規制されることによるレンズホルダ7の慣性力は小さく、この慣性力ではレンズホルダ7は傾かない。
駆動が規制された直後等、レンズホルダ7の駆動が規制された後も、レンズホルダ7に振動リニアアクチュエータ6からの駆動力が作用される場合がある。このとき、軸係合部74(係合面741、742)には駆動力(前向き)が、前側駆動当たり部78には駆動力と対抗する抗力(後向きの力)が作用している。このように、駆動力が作用する軸係合部74と抗力が作用する前側駆動当たり部78とが近接していることで、第2レンズ群3に作用するモーメントを小さくすることができる。これにより、レンズホルダ7の移動が規制された後に、振動リニアアクチュエータ6からの駆動力がレンズホルダ7作用した場合であっても、レンズホルダ7及びレンズホルダ7に保持されているレンズ31、32が傾くのを抑制することが可能である。
そして、隙間D<隙間Eの関係が成り立っているので、前側駆動当たり部78が駆動規制当たり部528とが当たった場合であっても、レンズ31とレンズホルダ8とは接触しない。これにより、レンズ31の破損やずれによる不具合を抑制することが可能である。また、第1レンズ群2を保持するレンズホルダ8はフロントフレーム52のユニット取付部527に前側から取付固定されている。レンズホルダ8は後側から押されると接着の状態によってはユニット取付部527から脱落する可能性があるが、第2レンズ群3及びレンズホルダ7が第1レンズ群2又はレンズホルダ8と当たらないのでレンズホルダ8が脱落したり、ずれたりするのを抑制することも可能である。
また、隙間D<隙間Fの関係も成り立っている。前側駆動当たり部78が駆動規制当たり部528と当たったとき、前側衝撃当たり部79と衝撃当たり部529とは当たらないようになっている。すなわち、レンズホルダ7は前側駆動当たり部78が駆動規制当たり部528と当たり、変位が規制されるまでの間、外部から変位を規制されることはなく、第2レンズ群3が傾くのを抑制することができる。
次に、レンズユニット1に落下衝撃等の大きな衝撃が作用したときの第2レンズ群の動きについて図面を参照して説明する。図8(A)はレンズホルダが衝撃によって後側(撮像センサ側)に移動した状態の断面図であり、図8(B)は衝撃によってレンズホルダが前側(被写体側)に移動した状態の断面図である。
まず、衝撃によって第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7が後側に向かって移動する場合について説明する。レンズホルダ7はレンズユニット1に加わった衝撃によって移動しており、その移動は速い。レンズホルダ7が第3レンズ群4に向かって移動すると、後側駆動当たり部76が駆動規制当たり部518と当たる。後側駆動当たり部76と駆動規制当たり部518が当たることで、レンズホルダ7は後側駆動当たり部76に抗力を受ける(図7(A)の状態)。
後側駆動当たり部76と駆動規制当たり部518とが当たったとき、レンズホルダ7には後側駆動当たり部76に移動をとめる方向の抗力が作用する。それと同時に移動に伴う慣性力も作用している。この慣性力によってレンズホルダ7には後側駆動当たり部76を支点として凸部75を後側に回転させるモーメントが発生する。このモーメントによって軸係合部74に駆動軸62から離れる方向の力が作用する。この力が押圧部材70の駆動軸62を押圧する押圧力を超えると、レンズホルダ7は後側駆動当たり部76を支点として凸部75が後側に回転する。
さらに、隙間A<隙間Cの関係が成り立っており、後側衝動当たり部77と衝撃当たり部519とには隙間が形成されている。すなわち、レンズホルダ7の後側駆動当たり部76を支点として回転し、後側衝動当たり部77が衝撃当たり部519と当たって停止する(図8(A)参照)。なお、隙間C<隙間Bの関係が成り立っているので、後側衝撃当たり部77が衝撃当たり部519と当たった場合でも、レンズ32とレンズ41とは接触しない。
これにより、レンズユニット1に落下衝撃等の強い衝撃が作用し、第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7が第3レンズ群4側に急激に移動し、レンズホルダ7がリヤフレーム51と当たっても、レンズ31、32及び(又は)レンズ41が破損したり、ずれたりする不具合を抑制することができる。
なお、図4(B)に示すように、後側衝撃当たり部77は3箇所備えられており、3個の後側衝撃当たり部77はそれら同士及び後側駆動当たり部76から離れた位置に形成されている。このように形成されていることで、レンズユニット1に作用する衝撃によって、第2レンズ群3に駆動軸62の軸線方向とずれた方向の力が作用し、傾いて移動した場合でも、レンズ32とレンズ41とが当たる前に、いずれかの後側衝撃当たり部77が衝撃当たり部519とあたる。これにより、レンズ32とレンズ41との当たりを効果的に抑制することが可能である。
なお、上述の実施形態では、レンズ32とレンズ41とが接触近接した構造で説明しているが、レンズ32、レンズホルダ7、レンズ41及びリヤフレーム51の構成(形状)によっては、レンズ32とリヤフレーム51又はレンズホルダ7とレンズ41が当たる構成の場合も考えられる。この場合、上述の隙間Bとして、レンズ32とリヤフレーム51との距離の最小値或いはレンズホルダ7とレンズ41との距離の最小値のいずれかを採用することも可能である。すなわち、レンズ32、レンズ41の破損やずれを抑制できるようにレンズホルダ7とリヤフレーム51とで変位を規制するものを広く採用できる。
次に、衝撃によって第2レンズ群3を保持したレンズホルダ7が前側に向かって移動する場合について説明する。レンズホルダ7はレンズユニット1に加わった衝撃によって移動しており、その移動は速い。レンズホルダ7が前側に向かって移動すると、前側駆動当たり部78が駆動規制当たり部528と当たる。前側駆動当たり部78と駆動規制当たり部528が当たることで、レンズホルダ7は前側駆動当たり部78から抗力を受ける(図7(B)の状態)。
前側駆動当たり部78と駆動規制当たり部528とが当たっとき、レンズホルダ7には前側駆動当たり部78に移動をとめる抗力が作用しているとともに、移動に伴う慣性力も作用している。この慣性力によってレンズホルダ7には前側駆動当たり部78を支点として凸部75を前側に回転させるモーメントが発生する。このモーメントによって軸係合部74に駆動軸62から離れる方向の力が作用し、この力が押圧部材70の駆動軸62を押圧する押圧力を超えると、レンズホルダ7は前側駆動当たり部78を支点として凸部75が前側に回転する。
隙間D<隙間Fの関係が成り立っており、前側衝動当たり部79と衝撃当たり部529には隙間が形成されている。すなわち、レンズホルダ7は前側駆動当たり部78を支点として回転し、前側衝動当たり部79が衝撃当たり部529と当たって停止する(図8(B)参照)。なお、隙間F<隙間Eの関係が成り立っているので、前側衝撃当たり部79が衝撃当たり部529と当たった場合でも、レンズ31がレンズホルダ8と当たらない。
これにより、レンズユニット1に落下衝撃等の強い衝撃が作用し、レンズホルダ7が第1レンズ群2側に移動しても、レンズ31、32及び(又は)レンズ41が破損したり、ずれたりする不具合を抑制することができる。また、レンズホルダ7が移動したときに、レンズホルダ7の前側衝撃当たり部79がレンズホルダ8と当たらない。これにより、レンズホルダ8にフロントフレーム52から脱落する方向の力が作用するのを抑制することができる。落下衝撃等でレンズホルダ7が移動してもレンズホルダ8がずれたり、脱落したりする不具合を抑制することができる。
なお、図4(A)に示すように、前側衝撃当たり部79は3箇所備えられており、3個の前側衝撃当たり部79はそれら同士及び前側駆動当たり部78から離れた位置に形成されている。このように形成されていることで、レンズユニット1に作用する衝撃によって、レンズホルダ7に駆動軸62の軸線方向とずれた方向の力が作用し、傾いて移動した場合でも、レンズ31とレンズホルダ8とが当たる前に、いずれかの前側衝撃当たり部79が衝撃当たり部529と当たる。これにより、レンズ31とレンズホルダ8との当たりを効果的に抑制することが可能である。
なお、上述の実施形態では、レンズ31とレンズホルダ8との接触を回避する構造で説明しているが、レンズ31、レンズホルダ7、レンズホルダ8及びフロントフレーム52の構成(形状)によっては、レンズ31とレンズ22又はレンズホルダ7とレンズ22が当たる場合も考えられる。この場合、上述の隙間Eとして、レンズ22とレンズホルダ7との距離の最小値或いはレンズ22とレンズ31との距離の最小値のいずれかを採用することも可能である。
上述したように、本発明にかかるレンズユニット1は、第1レンズ群2及び第3レンズ群3の2つの固定レンズ群の間を、可動レンズ群である第2レンズ群3を移動させる3群5枚構成のレンズユニットであり、同じ光学性能を有するレンズユニットに比べて光軸方向の高さを低く(低背化)できる。これにより、小型携帯端末の小型化、薄型化に光学性能を低下させることなく対応させることが可能である。
また、レンズユニット1は落下衝撃等の強い衝撃が作用した場合であっても、内部に含まれるレンズ同士が接触するのを抑制することができる。レンズの接触によってレンズが破損したり、ずれたりして像の乱れを発生させたり、撮像不可能になったりする不具合を抑制することができる。すなわち、本発明によると、信頼性の高いレンズユニットを提供することができる。
さらにレンズユニット1は、レンズホルダ7のレンズホルダ8への後側からの接触を抑制する構成となっており、レンズホルダ8をフロントフレーム52に前側から取り付けることが可能である。このように、レンズホルダ8を前側から取り付けることができる構成とすることで、レンズ21の位置決めをレンズユニット8がユニット取付部527に取り付けた後に行うことができる。この構成とすることで、レンズ21を精度良く配置することができる。これにより、レンズユニット1の個体差による光学性能のばらつきの発生を抑えることができ、信頼性の高いレンズユニット1を提供することが可能である。
なお、上述のレンズユニット1は、2群の固定レンズ群(第1レンズ群及び第3レンズ群)と筐体で閉ざされた空間内を変位駆動される1群の可動レンズ群(第2レンズ群)を備えている構成を有している。これに限定されるものではなく、可動レンズ群の位置が異なるもの、レンズ群が3群以外(例えば、固定レンズ群と可動レンズ群1個の計2群或いは、2個以上の可動レンズ群をそなえている)もの等、可動レンズ群を含む構成等、可動レンズ群と固定レンズ群とを備える構成のレンズユニットを広く採用することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。