JP2011208326A - 海島型複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる海島型複合繊維であって、島成分の直径が900nm以下であり、かつ、以下の要件(A)、(B)を満足することを特徴とする海島型複合繊維。
(A)海島単糸中の島数が30〜200島である。
(B)海島単糸繊度が1.5dtex以下である。
【選択図】なし
Description
(A)海島単糸中の島数が30〜200島である。
(B)海島単糸繊度が1.5dtex以下である。
上記の熱可塑性樹脂には、艶消し剤、難燃剤、滑剤、抗酸化剤、着色顔料等として、無機微粒子や有機化合物、カーボンブラックを必要に応じて添加することができる。
2000≦(島数×単糸数)≦40000 ・・・(I)
式(I)に記載のパラメータを2000以上にすると、従来の複合紡糸機でも製糸安定的に製造しやすく、さらにパラメータを40000以下にすると海島型複合繊維の海島単糸数を少数本に抑えることができ、紡糸時の単糸間冷却斑や糸条干渉リスクを減らすことができる。また、糸条を強く収束させた状態で海成分溶解処理を施した場合にも、マルチフィラメント中での表面/芯部の溶解剤接触時間差が少なくなり、高強度・高品質となるため好ましい。式(I)に記載のパラメータのより好ましい範囲は、5000以上20000以下である。
本発明の複合繊維は、吐出されたポリマーを未延伸糸として一旦巻き取った後に延伸する二工程法のほか、紡糸および延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸法や高速製糸法など、いずれのプロセスにおいても製造できる。また、高速製糸法における紡糸速度の範囲は特に規定しないため、半延伸糸として巻き取った後に延伸する工程でもよい。さらに、必要に応じて仮撚りなどの糸加工を行うこともできる。
定義式のηrは、純度98%以上のO−クロロフェノール(OCP)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下記の式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマー溶液の粘度、η0:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm3)、t0:OCPの落下時間(秒)、d0:OCPの密度(g/cm3)。
ポリアミド系樹脂については、98%濃硫酸100mL中に試料ポリマーを1g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下記の式により求めた。
(ηr)=T1/T2
ここで、T1:溶液の落下時間(秒)、T2:濃硫酸の落下時間(秒) 。
ポリスチレン系樹脂のMFR(g/10分)は、JIS K 7210(1999)に従い測定した。
各実施例についての製糸を行い、1千万m辺りの糸切れ回数から海島型複合繊維の製糸安定性を3段階評価した。
○○:0.8回/千万m未満
○ :0.8回/千万m以上、2.0回/千万m未満
× :2.0回/千万m以上 。
海成分溶解除去後のナノファイバー単糸群を走査型電子顕微鏡(SEM:日立社製S−3000N)にて観察した。ナノファイバー単糸群から50本をランダムに選出し、それら測定値から平均繊維径(R)を算出した。また、各測定値から標準偏差(σ)も併せて算出し、下記の式により繊維径変動係数(CV)を算出した。
繊維径CV=σ/R×100
繊維径CVの値から、得られるナノファイバー単糸群の均一性を3段階評価した。
○○:10未満
○ :10以上15未満
× :15以上
なお、融着した島成分はサンプリングから除外して繊維径CV測定を行った。
ツェルベガーウースター社製 ウースターテスターUT−4CXを用い、下記の条件で繊度変動チャート(Diagram Mass)を得ると同時に、ハーフInertモードで平均偏差率(U%)を測定した。
給糸速度:200m/分
測定糸長:200m
ツイスター:S撚 12000rpm
ディスクテンション強さ:10%
U%の値が1.3未満であれば、糸斑の少ない製品であると判断した。
海成分の複合比をパーセンテージ変換し、下記の式により算出された減量率の分だけ溶解除去処理を施したナノファイバー単糸群の強度について、JIS L 1013(1999)に従い、オリエンテック製テンシロンUCT−100にて測定した。溶解液は80℃の水酸化ナトリウム1%水溶液とした。
減量率(%)=海成分複合比(%)×1.1 。
海島型複合繊維の未延伸糸から20本の海島単糸を選定し(総単糸数が20本より少ない品種は全単糸を対象とした)、横断面方向に薄くスライスして得た試料の海成分を染色した後、光学顕微鏡(ニコン社製MICROPHOT−FX)により島融着の有無を観察した。島融着欠点について、下記の2段階評価をした。
○:全ての海島単糸に島融着が見られなかった。
×:海島単糸中で島融着が見られた。
海島型複合繊維を用いて経密度100本/2.54cm、緯密度95本/2.54cmのゾッキ織物を作製し、95℃にて精練した。引き続き、1wt%の水酸化ナトリウム水溶液にて海成分を溶解除去し、染色工程を経て最終セットを行った。なお、減量率は強度の項目と同一の式により算出した。得られた布帛について、熟練した検査者(5人)の触感によって布帛の表面均一性、染色均一性を相対評価した。両項目について、均一性が非常に良い(4点)、均一性が良い(3点)、均一性があまり良くない(2点)、均一性がない(1点)の4段階で官能評価してその合計値(最高点は8点)を算出し、各検査者の合計値の平均値にて下記の通り評価をした。
○○:7点以上
○ :7点未満4点以上
× :4点未満 。
島成分ポリマーとしてIV=0.71のポリエチレンテレフタレートと、海成分ポリマーとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸7.3wt%を共重合成分として含むIV=0.55の易溶解性ポリエチレンテレフタレートを用い、それぞれ300℃、290℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、紡糸温度298℃にて口金に流入させた。なお、両ポリマーのアルカリ水溶液に対する溶解速度差は約40倍である。複合比は、海/島=20/80とした。島数127島、ホール数112の海島型複合用紡糸口金(島数×単糸数=14224)に流入させた各ポリマーは、口金内部で合流し、海成分ポリマー中に島成分ポリマーが包含された複合形態を形成し、口金から吐出された。口金から吐出された糸条は、空冷装置により冷却、油剤付与後、ワインダーにより1500m/分の速度で巻き取り、175dtex−112フィラメントの未延伸糸として巻き取った。このとき、冷却開始点は口金面から30mmに設定し、さらに給油位置を850mmとすることで長手糸斑の抑制と製糸性の安定を図った。
複合比を海/島=40/60として、島数、単糸数を表1に示すように変更し、実施例1と同様の方法により、それぞれ62dtex−144フィラメント、260dtex−576フィラメントの延伸糸を得た。得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
複合比を海/島=30/70として、島数、単糸数を表1に示すように変更し、実施例1と同様の方法により、それぞれ22dtex−18フィラメント、110dtex−144フィラメントの延伸糸を得た。実施例4、5ではナノファイバー単糸群の強度、繊維径CV、さらに実施例4においては布帛品質が実施例1に一歩譲るものの、いずれも長手方向の糸斑が少ない高品質な製品が得られた。
島数、単糸数を表1に示すように変更し、実施例1と同様の方法により、それぞれ140dtex−288フィラメント、36dtex−48フィラメントの延伸糸を得た。得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
複合比を海/島=45/55として、島数、単糸数を表1に示すように変更し、実施例1と同様の方法により、20dtex−48フィラメントの延伸糸を得た。実施例8は、製糸安定性の面で実施例1に一歩譲るが、得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛は実施例1と同等に良好な特性であった。
複合比を海/島=15/85として、島数、単糸数を表1に示すように変更し、実施例1と同様の方法にて、それぞれ140dtex−288フィラメント、288dtex−576フィラメントの延伸糸を得た。実施例9、10ではナノファイバー布帛の品質面で実施例1に一歩譲るものの、いずれも高強度かつ長手方向の糸斑が少ない高品質な製品が得られた。
複合比を海/島=60/40として、実施例1と同様の方法にて、84dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。実施例8では、海成分比が多く生産性、ナノファイバー布帛の品質面で実施例1に一歩譲るものの、高強度かつ長手方向の糸斑が少ない高品質な製品が得られた。
島成分ポリマーとしてηr=2.8のナイロン66を用い、複合比を海/島=30/70とした以外は実施例1と同様の方法にて66dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。評価結果を表1に示す。実施例12で得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
海成分ポリマーとしてIV=0.59のポリ−L−乳酸と、島成分ポリマーとしてIV=1.10のポリトリメチレンテレフタレートを用いた以外は実施例1と同様の方法にて、66dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。評価結果を表1に示す。実施例13で得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
海成分ポリマーとしてηr=2.8のナイロン66を用いた以外は実施例1と同様の方法にて、66dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。溶解剤は25℃の99%蟻酸水溶液を使用した。評価結果を表1に示す。実施例14で得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
海成分ポリマーとしてMFR=5.5g/10分のポリスチレン(東洋スチレン社製“トーヨースチロール”H−45)を用い、複合比を海/島=30/70とした以外は実施例1と同様の方法にて、66dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。溶解剤は25℃のトリクロロエチレンを使用した。評価結果を表1に示す。実施例15で得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
海成分ポリマーとしてMFR=5.5g/10分のポリスチレン(東洋スチレン社製“トーヨースチロール”H−45)と、島成分ポリマーとしてηr=2.8のナイロン66を用い、複合比を海/島=30/70とした以外は実施例1と同様の方法にて、66dtex−112フィラメントの延伸糸を得た。溶解剤は25℃のトリクロロエチレンを使用した。評価結果を表1に示す。実施例16で得られた海島型複合繊維およびナノファイバー単糸群、ナノファイバー布帛はいずれも実施例1と同等に良好な特性であった。
島数271島、ホール数96の海島型複合用紡糸口金(島数×単糸数=26016)を用い、複合比をそれぞれ海/島=40/60、20/80とした以外は実施例1と同様の方法にて、それぞれ318dtex−96フィラメント、85dtex−96フィラメントの延伸糸を得た。評価結果を表2に示す。比較例1では、海島型複合繊維の単糸繊度が大きく、海成分の溶解除去に時間がかかるうえ、単糸中の島数も多いため、ナノファイバー単糸群の繊維径CVおよび布帛品質が製品として不十分な結果となった。比較例2では、島融着、繊維径CV、布帛品質いずれも欠点が生じる結果となった。
複合比を海/島=30/70とし、冷却開始点を口金面から150mm、給油位置を口金面から1800mmに設定した以外は実施例1と同様の方法にて、110dtex−48フィラメントの延伸糸を得た。比較例3では、紡糸張力が大きくなりすぎるため製糸が困難であり、かつ表2に示す通り、繊維長手方向での糸斑が大きく、繊維径CVと布帛品質に欠点が生じる結果となった。
複合比を海/島=30/70とし、島数、単糸数を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法にて、それぞれ56dtex−10フィラメント、20dtex−10フィラメントの延伸糸を得た。比較例4、5では、表2に示す通り、島融着、繊維径CV、布帛品質いずれも欠点が生じる結果となった。
複合比を海/島=45/55とし、島数、単糸数を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法にて、16dtex−144フィラメントの延伸糸を得た。比較例6では、単糸繊度が小さすぎるため製糸が困難であり、かつ表2に示す通り、繊維長手方向での糸斑が大きく、布帛品質に欠点が生じる結果となった。
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂からなる海島型複合繊維であって、島成分の直径が900nm以下であり、かつ、以下の要件(A)、(B)を満足することを特徴とする海島型複合繊維。
(A)海島単糸中の島数が30〜200島である。
(B)海島単糸繊度が1.5dtex以下である。 - 海島単糸中の島数と単糸数が下記の式(I)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の海島型複合繊維。
2000≦(島数×単糸数)≦40000 ・・・(I) - 海/島複合比が10/90〜50/50であることを特徴とする請求項1または2記載の海島型複合繊維。
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