JP2011208132A - 複合構造部材、その製造方法、自動車用部材及び自動車ドアパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性及び剛性に優れた複合構造部材を得ることを課題とする。
【解決手段】外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、前記外壁が、接着剤を要せず発泡層と密着可能な材料から構成された内面、かつ前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を有し、前記1次発泡粒子が15〜35%の結晶化度を有し、前記発泡層が、前記加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有することを特徴とする複合構造部材の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合構造部材、その製造方法、自動車用部材及び自動車ドアパネルに関する。
建材、航空機、鉄道車両、自動車、船舶等の輸送車両やコンテナ類のパネルの分野では、種々の複合構造部材が知られている。これらの分野では、部材の軽量性や剛性が求められている。
複合構造部材の製造方法としては、外壁から構成される空間内に、エポキシ系充填発泡剤とウレタン系充填発泡剤を充填する方法が提案されている(特許文献1)。
また、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより得られた外壁から構成される空間内に、熱可塑性樹脂の発泡粒子を充填し、次いで加熱することにより複合構造部材を得る方法が提案されている(特許文献2)。
更に、外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填し、次いで加熱することにより複合構造部材を得る方法が提案されている(特許文献3)。
特開2006−240134号公報 特開平8−183101号公報 特開2010−18334号公報
上記特許文献1の方法では、充填と発泡を同時に行うため、発泡にムラが生じやすく、均一な特性の複合構造部材を得ることが困難であった。また、特許文献2の方法では、発泡にムラは生じ難いものの、十分な剛性を有する複合構造部材を得ることが困難であった。更に、特許文献3の方法では、ある程度の剛性を有する複合構造部材を得ることができるものの、更なる剛性の向上が望まれていた。
本発明の発明者等は、鋭意検討の結果、実質的に閉鎖された外壁から構成される空間内で、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子を加熱することで、発泡層を形成するに際して、加熱の前後の結晶化度を調整することにより、剛性が向上した複合構造部材が得られることを意外にも見い出し本発明に至った。
かくして本発明によれば、外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、
前記外壁が、発泡層と密着可能な材料から構成された内面、かつ前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を有し、
前記1次発泡粒子が15〜35%の結晶化度を有し、前記発泡層が、前記加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有することを特徴とする複合構造部材の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記製造方法で得られた複合構造部材が提供される。
更に、本発明によれば、上記複合構造部材を含む自動車用部材が提供される。
また、本発明によれば、上記複合構造部材を含む自動車ドアパネルが提供される。
本発明によれば、外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性及び剛性に優れた複合構造部材を得ることができる。この複合構造部材は、自動車用部材の構成物として有用である。
また、外壁が、150℃以上の耐熱温度を有する材料から構成される場合、外壁と発泡層との密着性及び剛性を十分に確保しつつ、更に剛性に優れた複合構造部材を得ることができる。
更に、加熱が、温風により行われる場合、外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性及び剛性に優れた複合構造部材を、乾燥工程のような他の工程が付加されることなく簡便に得ることができる。
また、空間が、1次発泡粒子を通過させず、2次発泡により生じる気体を通過可能な大きさの孔を1つ以上備えることで、実質的に閉鎖される場合、より外壁と発泡層とが十分に密着し、耐熱性及び剛性に優れた複合構造部材を得ることができる。
1次発泡粒子の製造装置の一例を示した模式断面図である。 マルチノズル金型を正面から見た模式図である。 ドアパネルの概略断面図である。
本発明の複合構造部材の製造方法は、外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子(以下、単に1次発泡粒子ともいう)を充填し、1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、1次発泡粒子に由来する発泡層と発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含んでいる。
(外壁から構成される空間)
外壁から構成される空間は、少なくとも1次発泡粒子を保持することができれば特に限定されない。実際には、2次発泡により生じる気体を通過可能な程度に実質的に閉鎖されていることが好ましい。より好ましくは、空間が、1次発泡粒子を通過させず、2次発泡により生じる気体を通過可能な大きさの孔を1つ以上備えることで、実質的に閉鎖されることである。孔の大きさは、1次発泡粒子の粒径より小さければ特に限定されないが、粒径より5〜80%の範囲で小さいことが好ましい。なお、孔の大きさは、孔の最大径を意味する。
外壁の内面(内面とは、発泡層と密着する側の面を意味する)に用いられる発泡層と密着可能な材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;スチレン系樹脂;ポリ乳酸系樹脂;ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等のスーパーエンプラ樹脂;不飽和ポリエステルのような熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等を繊維で強化した繊維強化樹脂;紙;アルミニウム、銅等の金属;これらの積層体等が挙げられる。これら材料は、1種のみ用いてもよく、2種以上複合して用いてもよい。
これら材料の内、150℃以上の耐熱温度を有する材料である場合、1次発泡粒子の加熱の際の変形が抑制できるので好ましい。このような材料としては、アルミニウム、銅等の金属、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等のスーパーエンプラ樹脂、不飽和ポリエステルのような熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等を繊維で強化した繊維強化樹脂等が挙げられる。
なお、外壁の外面を構成する材料は特に限定されず、複合構造部材の用途に応じて適宜選択できる。
外壁の厚さとしては、構成する材料や所望する用途に応じて適宜決定できる。但し、1次発泡粒子が充填された状態で空間の形状を保持する観点から、0.1mm以上であることが好ましい。
空間の形状は、特に限定されず、所望する用途に応じて適宜決定できる。
(ポリ乳酸系樹脂1次発泡粒子)
(1)ポリ乳酸系樹脂
ポリ乳酸系樹脂は、一般に市販されているポリ乳酸系樹脂を用いることができる。具体的には、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体、D−乳酸(D体)又はL−乳酸(L体)のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体が挙げられる。
ここで、D体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%未満であるD体とL体との共重合体、及びD体又はL体のいずれか一方の単独重合体は、少ない方の光学異性体が減少するにしたがって、結晶性が高くなり融点が高くなる傾向がある。一方、D体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%以上であるD体とL体との共重合体は、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、結晶性が低くなり、やがて非結晶となる傾向がある。
従って、例えば、高い耐熱性が望まれる用途では、前者のポリ乳酸系樹脂を、複雑な空間への充填性の向上が望まれる用途では、後者のポリ乳酸系樹脂を使用できる。
また、前者のポリ乳酸系樹脂は、1次発泡粒子を金型内に充填して発泡させて得られる発泡成形体の耐熱性を向上できるので、発泡成形体は高い温度であってもその形態を維持できる。従って、発泡成形体を金型から高い温度のまま取り出すことが可能となって発泡成形体の金型内における冷却時間が短縮され、発泡成形体の生産効率を向上させることもできる。
更に、D体とL体との共重合体は、D体又はL体のうちのいずれか少ない方の光学異性体の割合が4モル%未満であることが好ましく、3モル%未満であることより好ましく、2モル%未満であることが特に好ましい。
ここで、1次発泡粒子を押出発泡法で得る場合、ポリ乳酸系樹脂は、その融点(mp)と、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとが下記式1を満たすように調整されることが好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が低いと、気泡膜が伸長された場合、気泡膜が伸長力に抗して収縮しようとする力が小さい。そのため、1次発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって発泡膜が容易に伸長してしまう結果、気泡膜が過度に伸長してしまい破泡を生じることがある。一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が高いと、気泡膜に伸長力が加わった場合、伸長に抗する気泡膜の収縮力が大きくなる。そのため、1次発泡粒子の製造に必要とする発泡圧で一旦、気泡が膨張したとしても、温度低下等に起因する経時的な発泡圧の低下に伴って気泡が収縮してしまうことがある。
また、動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率は、粘弾性において粘性的な性質を示す指標である。具体的には、発泡過程における気泡膜の粘性を示す指標である。特に、発泡過程において、気泡膜をどの程度まで破れることなく伸長できるかの許容範囲を示す指標であると同時に、発泡圧によって所望大きさに気泡を膨張させた後、この膨張した気泡をその大きさに維持する能力を示す指標でもある。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が低いと、1次発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって気泡膜が伸長された場合、気泡膜が容易に破れてしまうことがある。一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が高いと、発泡力が気泡膜によって熱エネルギーに変換されてしまい、1次発泡粒子の製造時に気泡膜を円滑に伸長させることが難しくなり、気泡を膨張させることが困難になることがある。
このように、ポリ乳酸系樹脂を発泡させて1次発泡粒子を製造するにあたっては、発泡過程において、発泡圧によって気泡膜が破れることなく適度に伸長するための弾性力、即ち、貯蔵弾性率を有していることが好ましい。加えて、発泡圧によって気泡膜が破れることなく円滑に伸長し、所望大きさに膨張した気泡をその大きさに発泡圧の経時的な減少にかかわらず維持しておくための粘性力、即ち、損失弾性率を有していることが好ましい。
つまり、押出発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率の双方が押出発泡に適した値を有していることが好ましく、このような押出発泡に適した貯蔵弾性率及び損失弾性率を押出発泡工程においてポリ乳酸系樹脂に付与するために、ポリ乳酸系樹脂における動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T(以下「温度T」という)と、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが、好ましくは下記式1を満たすように、より好ましくは式2を満たすように調整される。この調整により、貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれらのバランスをとりながら押出発泡性を良好なものとし、1次発泡粒子を安定的に製造できる。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕
・・・式2
更に、温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整するのが好ましい理由を下記に詳述する。
まず、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を越えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、粘性に合わせた発泡力とすると、弾性力に対する発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好な1次発泡粒子を得られないことがある。逆に、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、弾性に合わせた発泡力とすると、粘性力に対する発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡しにくくなり、良好な1次発泡粒子を得られないことがある。
また、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎることになる。そのため、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまうことがある。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、弾性に合わせた発泡力とすると、粘性力に対する発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じ良好な1次発泡粒子を得られないことがある。逆に、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、粘性に合わせた発泡力とすると、弾性力に対する発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が一旦発泡したとしても、経時的な発泡力の低下に伴って気泡が収縮してしまって、やはり良好な1次発泡粒子を得られないことがある。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が高くなるにしたがって、温度Tが高くなる。よって、温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整するには、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間或いは反応温度を調整することによって、得られるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に或いは押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。
(2)1次発泡粒子の製造
1次発泡粒子は、公知の方法によって製造できる。例えば、以下の押出発泡法が挙げられる。
まず、ポリ乳酸系樹脂を図1及び2に示す押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練する。この後、押出機の前端に取り付けたノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させる。
なお、上記押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されない。例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
また、発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられる。例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム等の化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のフロン、二酸化炭素、窒素等の物理発泡剤等が挙げられる。この内、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。
発泡剤量は、少ないと、1次発泡粒子を所望発泡倍率まで発泡できないことがある。一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好な1次発泡粒子を得ることができないことがある。加えて1次発泡粒子の発泡倍率が高過ぎて結晶化度を制御できなくなる場合がある。よって、発泡剤量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
なお、押出機には気泡調整剤が添加されることが好ましいが、気泡調整剤の多くは、1次発泡粒子の結晶核剤として作用するため、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進しない気泡調整剤を用いることが好ましく、このような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
また、押出機に供給される気泡調整剤の量は、少ないと、1次発泡粒子の気泡が粗大となり、得られる発泡成形体の外観が低下することがある。一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させる際に破泡を生じて1次発泡粒子の独立気泡率が低下することがある。よって、気泡調製材の量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
そして、ノズル金型1から押出されたポリ乳酸系樹脂押出物は引き続き切断工程に入る。ポリ乳酸系樹脂押出物の切断は、回転軸2をモータ3により回転させ、ノズル金型1の前端面1aに配設された回転刃5を2000〜10000rpmの一定の回転数で回転させて行う。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら回転している。ノズル金型1から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物は、回転刃5と、ノズル金型1におけるノズルの出口部11端縁との間に生じる剪断応力によって、一定の時間間隔毎に大気中において切断されて1次発泡粒子とされる。この時、ポリ乳酸系樹脂押出物の冷却が過度とならない範囲内において、ポリ乳酸系樹脂押出物に水を霧状に吹き付けてもよい。
ノズル金型1のノズル内においてポリ乳酸系樹脂が発泡しないことが好ましい。そのため、ポリ乳酸系樹脂は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後は、未だに発泡しておらず、吐出されてから僅かな時間が経過した後に発泡を始める。従って、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する、未発泡部に先んじて押出された発泡途上の発泡部とからなる。
ノズル金型1のノズルの出口部11から突出されてから発泡を開始するまでの間、未発泡部はその状態を維持する。この未発泡部が維持される時間は、ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力や、発泡剤量等によって調整できる。ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力が高いと、ポリ乳酸系樹脂押出物はノズル金型1から押出されてから直ぐに発泡することはなく未発泡の状態を維持する。ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力の調整は、ノズルの口径、押出量、ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度及び溶融張力によって調整できる。発泡剤量を適正な量に調整することによって金型内部においてポリ乳酸系樹脂が発泡することを防止し、未発泡部を確実に形成できる。
ポリ乳酸系樹脂の押出温度(押出機の先端部におけるポリ乳酸系樹脂の温度)は、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも10〜50℃高い温度が好ましく、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも15〜45℃高い温度がより好ましく、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも20〜40℃高い温度が特に好ましい。これは、ポリ乳酸系樹脂の押出温度が低いと、フラクチャーが生じ、得られた1次発泡粒子同士が付きやすくなる。一方、ポリ乳酸系樹脂の押出温度が高いと、ポリ乳酸系樹脂の分解が促進し、1次発泡粒子の発泡性及び連続気泡率が低下し易くなる。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態でポリ乳酸系樹脂押出物を切断していることから、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後の未発泡部において切断されて1次発泡粒子が製造される。
得られた1次発泡粒子は、ポリ乳酸系樹脂押出物をその未発泡部で切断していることから、切断部の表面には気泡断面は存在しない。そして、1次発泡粒子の表面全面は、気泡断面の存在しない表皮層で被覆されている。従って、1次発泡粒子は、発泡ガスの抜けがなく優れた発泡性を有していると共に連続気泡率も低く、更に、表面の熱融着性にも優れている。
1次発泡粒子の表面は、気泡断面が露出していない表皮層から形成されている。そのため1次発泡粒子を型内発泡成形に用いた時、1次発泡粒子同士の熱融着性が良好であり、得られる発泡成形体は、表面ムラがなく外観に優れていると共に優れた機械的強度を有している。
また、回転刃5は一定の回転数で回転していることが好ましい。回転刃5の回転数は、2000〜10000rpmが好ましく、3000〜9000rpmがより好ましく、4000〜8000rmpが更に好ましい。
これは、2000rpmを下回ると、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって確実に切断しがたくなる。そのため、1次発泡粒子同士が合体したり、1次発泡粒子の形状が不均一となることがある。
一方、10000rpmを上回ると下記の問題点を生じることがある。第一の問題点は、回転刃による切断応力が大きくなって、1次発泡粒子がノズルの出口部から冷却部材に向かって飛散される際に、1次発泡粒子の初速が速くなる。その結果、ポリ乳酸系樹脂押出物を切断してから、1次発泡粒子が冷却部材に衝突するまでの時間が短くなり、1次発泡粒子の発泡が不充分となることである。第二の問題点は、回転刃及び回転軸の摩耗が大きくなって回転刃及び回転軸の寿命が短くなることである。
1次発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって切断と同時に外方或いは前方に向かって飛散され、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に直ちに衝突する。1次発泡粒子は、冷却ドラム41に衝突するまでの間も発泡をし続けており、発泡によって略球状に成長している。
冷却ドラム41の周壁部41bの内周面は全面的に冷却液42で被覆されており、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に衝突した1次発泡粒子は直ちに冷却されて、発泡が停止する。このように、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断した後に、1次発泡粒子を直ちに冷却液42によって冷却していることで、1次発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が上昇するのを防止できると共に、1次発泡粒子が過度に発泡するのを防止できる。
従って、1次発泡粒子は、型内発泡成形時に優れた発泡性及び熱融着性を発揮する。型内発泡成形時に1次発泡粒子の結晶化度を上昇させて、ポリ乳酸系樹脂の耐熱性を向上でき、得られる発泡成形体は、優れた耐熱性を有している。
なお、冷却液42の温度は、低いと、冷却ドラム41の近傍に位置するノズル金型が過度に冷却されて、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡に悪影響が生じることがある一方、高いと、1次発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が高くなり、1次発泡粒子の熱融着性が低下することがある。よって、温度は、0〜45℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜35℃が特に好ましい。
そして、得られる1次発泡粒子の結晶化度は、15〜35%が好ましく、15〜30%がより好ましく、15〜25%が特に好ましい。1次発泡粒子の結晶化度は、ノズル金型1からポリ乳酸系樹脂押出物が押出されてから1次発泡粒子が冷却液42に衝突するまでの時間や、冷却液42の温度によって調整できる。
1次発泡粒子の嵩密度が小さいと、1次発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形における発泡時に1次発泡粒子に必要な発泡力を付与できないことがある。一方、大きいと、得られる1次発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時における1次発泡粒子の発泡性が不充分となることがある。よって、嵩密度は、0.02〜0.6g/cm3が好ましく、0.03〜0.5g/cm3がより好ましく、0.04〜0.4g/cm3が特に好ましい。
そして、1次発泡粒子の連続気泡率は、高いと、型内発泡成形時に1次発泡粒子が殆ど発泡せず、1次発泡粒子同士の融着性が低くなって、得られる発泡成形体の機械的強度が低下することがある。よって、連続気泡率は、20%未満が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。なお、1次発泡粒子の連続気泡率の調整は、押出機からのポリ乳酸系樹脂の押出発泡温度、押出機への発泡剤の供給量等を調整することによって行われる。
また、1次発泡粒子の粒径は、小さいと、型内発泡成形時に1次発泡粒子の発泡性が低下することがある。一方、大きいと、型内発泡成形時に金型内への1次発泡粒子の充填性が低下することがある。よって、0.5〜5.0mmが好ましく、1.0〜4.5mmがより好ましく、1.5〜4mmが特に好ましい。
(加熱条件)
複合構造部材を得る際の加熱条件としては、15〜35%の結晶化度を有する1次発泡粒子を、加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有する発泡層に変化させうる条件であれば特に限定されない。例えば、90〜150℃の熱媒体と1〜120分間接触させることが挙げられる。ここで、熱媒体とは、水蒸気、加熱空気(温風)等が挙げられ、この内、水の乾燥工程が不要な加熱空気が好ましい。また、加熱空気はできるだけ乾燥した加熱空気であることが好ましい。更に、加熱方法は、外壁のみをヒータや加熱空気で加熱する方法や、熱媒体中に全体を浸漬することで加熱する方法等が挙げられる。
また、1次発泡粒子は、空間内への充填前に、発泡性を向上させるため気体を含浸させてもよい。気体としては、1次発泡粒子の製造時に使用される発泡剤を使用でき、中でも窒素及び二酸化炭素のいずれかを少なくとも含むことが好ましい。
(複合構造部材)
上記方法により得られた複合構造部材は、外壁と発泡層との密着性が良好であるという特徴と有している。密着性が良好であることで、耐熱性、剛性及び外観の良好な複合構造部材を得ることができる。
このような複合構造部材は、自動車用部材、建築資材等の用途に有用である。
自動車用部材としては、ドアパネル、バンパー、フェンダー等の自動車外装材、天井材のような自動車内装材が挙げられる。この内、従来鋼板で製造されていたドアパネルに使用すると、鋼板製ドアパネルと略同一剛性を有するドアパネルが本発明の複合構造部材を用いることで大きく軽量化できるため、高い自動車の軽量化の効果が得られる。図3(a)及び(b)は、ドアパネルの概略断面図である。図中、aはドアパネル、bは外壁、cは発泡層を意味する。外壁から構成される空間の体積に占める発泡層の体積の割合は、ドアパネルに要求される安全性を加味して適宜設定できる。
(D体又はL体の含有量)
ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定する。ポリ乳酸系樹脂を凍結粉砕し、ポリ乳酸系樹脂の粉末200mgを三角フラスコ内に供給した後、三角フラスコ内に1Nの水酸化ナトリウム水溶液30ミリリットルを加える。そして、三角フラスコを振りながら65℃に加熱してポリ乳酸系樹脂を完全に溶解させる。しかる後、1N塩酸を三角フラスコ内に供給して中和し、pHが4〜7の分解溶液を作製し、メスフラスコを用いて所定の体積とする。
次に、分解溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、液体クロマトグラフを用いて分析し、得られたチャートに基づいてD体及びL体由来のピーク面積から面積比を存在比としてD体量及びL体量を算出する。そして、上述と同様の要領を5回繰り返して行い、得られたD体量及びL体量をそれぞれ相加平均した値を、ポリ乳酸系樹脂のD体量及びL体量とする。
HPLC装置(液体クロマトグラフ):日本分光社製商品名「PU−2085 Plus型システム」
カラム:住友分析センター社製商品名「SUMICHIRAL OA5000」(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:25℃
移動相:2mMCuSO4水溶液と2−プロパノールとの混合液
(CuSO4水溶液:2−プロパノール(体積比)=95:5)
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV254nm
注入量:20マイクロリットル
(融点)
ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は次のようにして測定する。
即ち、JIS K7121:1987に準拠してポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
(貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T)
貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは次のようにして測定する。
まず、1次発泡粒子を製造する要領において、発泡剤を添加しないこと以外は同様の要領にて、ポリ乳酸系樹脂粒子を得る。
このポリ乳酸系樹脂粒子を9.33×104Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点を読み取ることで温度Tが得られる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、温度Tとする。
また、温度Tは、Reologica Instruments A.B社から商品名「DynAlyser DAR−100」にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定する。
(粒径)
1次発泡粒子の粒径は、直径を直接、ノギスを用いて次のようにして測定する。即ち、1次発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)及び最も短い直径(短径)を測定すると共に、1次発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定する。1次発泡粒子20個の長径、短径及び長さの相加平均値を粒径とする。
(連続気泡率)
連続気泡率は次のようにして測定する。
まず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量の1次発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記1次発泡粒子全体の体積B(cm3)を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に1次発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れた1次発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいて1次発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと1次発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式により1次発泡粒子の連続気泡率を算出する。なお、水1gの体積を1cm3とする。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
(結晶化度)
結晶化度は次のようにして測定する。
1次発泡粒子又は発泡層を4mg試料として採取する。得られた試料を、JIS K7121に記載の測定法に準拠して、10℃/分の速度にて昇温しながら、示差走査熱量計(DSC:エスアイアイナノテクノロジー社製DSC6220型)を用いて、1mg当たりの冷結晶化熱量及び融解熱量を測定する。両熱量を下記式に代入することで結晶化度を算出する。
結晶化度(%)
Figure 2011208132
(嵩密度)
1次発泡粒子を500cm3メスシリンダ内に500cm3のメモリまで充填する。なお、メスシリンダを水平方向から目視し、1次発泡粒子が一粒でも500cm3のメモリに達しているものがあれば、その時点で1次発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した1次発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字まで秤量し、その質量W(g)とする。
そして、下記の式により1次発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
(圧縮応力)
φ66mm円柱を厚み40mmにカットしたものを試験体とする。この試験体の側面を、圧縮速度10mm/分の条件で5%圧縮時の圧縮応力を測定する。圧縮応力の測定には、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いる。
(ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子製造例1)
図1及び図2に示した製造装置を用いて1次発泡粒子を製造した。まず、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6250H」、融点(mp):169.1℃、D体比率:1.2モル%、L体比率:98.8モル%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:138.8℃)100重量部及び気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、ポリ乳酸系樹脂を始めは190℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
続いて、単軸押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の先端部において、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を200℃に冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルから剪断速度7639sec-1でポリ乳酸系樹脂を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型1の温度は200℃に維持されていた。
なお、マルチノズル金型1は、出口部11の直径が1.0mmのノズルを10個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
そして、回転軸2の後端部外周面には、四枚の回転刃5が回転軸2の周方向に等間隔毎に一体的に設けられており、各回転刃5はマルチノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態で仮想円A上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及びドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に冷却水42が供給されており、周壁部41bの内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水42が前方に向かって螺旋状に流れていた。
そして、マルチノズル金型1の前端面1aに配設した回転刃5を4800rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型1の各ノズルの出口部11から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断して略球状の発泡粒子を製造した。ポリ乳酸系樹脂押出物は、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。そして、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズルの出口部11の開口端において切断されており、ポリ乳酸系樹脂押出物の切断は未発泡部において行われていた。
なお、発泡粒子の製造にあたっては、まず、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付けずかつ冷却部材4をマルチノズル金型1から退避させておいた。この状態で、単軸押出機からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させ、ポリ乳酸系樹脂押出物が、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなることを確認した。次に、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付けかつ冷却部材4を所定位置に配設した後、回転軸2を回転させ、ポリ乳酸系樹脂押出物をノズルの出口部11の開口端において回転刃5で切断して発泡粒子を製造した。
発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって外方或いは前方に向かって飛ばされ、冷却部材4の冷却ドラム41の内面に沿って流れている冷却水42に衝突して直ちに冷却された。
冷却された発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41e及び排出管41fを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。得られた発泡粒子は、その粒径が2.2〜2.6mmであり、嵩密度が0.21g/cm3であった。
得られた発泡粒子の表面は、表皮層で全面的に被覆されていた。表皮層には気泡断面は存在していなかった。
次に、発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を0.3MPaの圧力にて圧入して20℃にて24時間に亘って放置して発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
発泡粒子を圧力容器から取り出し、直ちに攪拌機付の熱風乾燥機に供給し、攪拌しながら55℃の乾燥した熱風で3分間に亘って加熱発泡させた。この発泡により、粒径が2.6〜3.6mm、嵩密度が0.083g/cm3、結晶化度が20.2%の発泡粒子を得た。
得られた粒子を10リットルの圧力容器内に供給して、容器を密閉し、容器内に二酸化炭素を0.5MPaの圧力で圧入した後、20℃にて6時間に亘って放置した。放置後、容器から取り出した粒子を以下の実施例及び比較例において1次発泡粒子として使用した。
実施例1
直径66mm、厚み0.2mm、長さ60mmのアルミニウムからなる外壁から構成される3個の筒(圧縮応力0.5N、内面及び外面共にアルミニウム)のそれぞれに、上記製造例で得られた結晶化度26%の1次発泡粒子を詰め、両端をアルミニウムテープで塞いだ。その後、アルミニウムテープの中心に、発泡剤の逸散用として直径1mmの孔を1つ開けた。
上記1次発泡粒子が詰まったアルミニウム缶をオーブンに入れ、100℃で20分間加熱することで、発泡層を形成した後、オーブンより取り出すことで複合構造部材を得た。
得られた複合構造部材を直径方向に20mmの幅で切断して、アルミニウム缶の側壁と発泡層との接合状態を観察したところ、隙間は認められなかった。
上記と同様に複合構造部材の重量を測定したところ、重量バラツキは観察されなかった。
中心部より切り取った発泡層の結晶化度を測定したところ42%(3個の平均値)であった。また、複合構造部材の圧縮応力(2個の平均値)は、331Nであった。
比較例1
1次発泡粒子としてポリスチレン1次発泡粒子を使用したこと以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、発泡層が収縮しており、容易に外壁と分離した。
なお、ポリスチレン1次発泡粒子には、エスレンビーズHCS(積水化成品工業社製)を予備発泡機に供給して、次いで、このビーズを水蒸気を用いて発泡させて得られた嵩密度0.067の発泡粒子を、1日常温で保管することで乾燥させた粒子を用いた。
比較例2
アルミニウムテープに孔を開けず筒内に1次発泡粒子を密封すること以外は実施例1と同様にして複合構造部材を得た。得られた複合構造部材は、1次発泡粒子の2次発泡が不足しており、容易に外壁と分離した。
1ノズル金型:1a前端面:2回転軸:3モータ:4冷却部材:5回転刃:11出口部:41冷却ドラム:41a前部:41b周壁部:41c供給口:41d供給管:41e排出口:41f排出管:42冷却液:A仮想円:aドアパネル:b外壁:c発泡層

Claims (11)

  1. 外壁から構成される空間内に、ポリ乳酸系樹脂の1次発泡粒子を充填し、前記1次発泡粒子を加熱して2次発泡させることにより、前記1次発泡粒子に由来する発泡層と前記発泡層が密着した外壁とから構成される複合構造部材を得る工程を含み、
    前記外壁が、発泡層と密着可能な材料から構成された内面、かつ前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を有し、
    前記1次発泡粒子が15〜35%の結晶化度を有し、前記発泡層が、前記加熱により、40〜50%の増加した結晶化度を有することを特徴とする複合構造部材の製造方法。
  2. 前記外壁が、150℃以上の耐熱温度を有する材料から構成される請求項1に記載の複合構造部材の製造方法。
  3. 前記加熱が、前記外壁を加熱することにより行われる請求項1又は2に記載の複合構造部材の製造方法。
  4. 前記空間が、前記1次発泡粒子を通過させず、前記2次発泡により生じる気体を通過可能な孔を1つ以上備えることで、実質的に閉鎖される請求項1〜3のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
  5. 前記1次発泡粒子が、0.02〜0.6g/cm3の嵩密度を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
  6. 前記加熱が、90〜150℃の温度で行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
  7. 前記1次発泡粒子が、気体を含浸させた後、前記空間内へ充填される請求項1〜6のいずれか1つに記載の複合構造部材の製造方法。
  8. 前記気体が、窒素及び二酸化炭素のいずれかを少なくとも含む請求項7に記載の複合構造部材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の製造方法で得られた複合構造部材。
  10. 請求項9に記載の複合構造部材を含む自動車用部材。
  11. 請求項9に記載の複合構造部材を含む自動車ドアパネル。
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