JP2011208073A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、十分な活性エネルギー線硬化性を有しながら、未露光部分の硬化性にも優れる硬化性組成物の提供を目的とする。
【解決手段】架橋性シリル基を平均して少なくとも一個、末端に有する重合体(A)、光酸発生剤(B)及び(C)一般式(1);(R2a−Si−(OR14-a(1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基あるいはアルコキシ基、aは0、1または2を示す。)で表されるシリコン化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、架橋性シリル基を平均して少なくとも一個、末端に有する重合体(A)、光酸発生剤(B)及び、一般式(1)
(R2a−Si−(OR14-a(1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基あるいはアルコキシ基、aは0、1または2を示す。)で表されるシリコン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物に関する。
架橋性シリル基を末端に有するビニル系重合体からなる硬化性組成物は、一般に室温で、空気中あるいは含有する湿分で硬化するものが知られている。(特許文献1参照)。しかし、これらを用いた硬化性組成物には改善すべき点がある。硬化速度は一般に遅い場合が多く、触媒活性等により硬化速度を早くした場合、可使時間が短くなり、塗工作業が困難になることがある。
同様のビニル系重合体で、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を末端に有するポリマーの活性エネルギー線硬化性組成物が最近報告されている。(特許文献2参照)。しかし、これらを用いた硬化性組成物にも改善すべき点がある。ラジカル重合は酸素阻害を受ける傾向にあるので、硬化物表面が未硬化になることがある。また、硬化に関与する架橋反応自体は極性が低いので、接着性付与には工夫を要する。更に、ポリマー末端に(メタ)アクリロイル基等の官能基を導入するために多くの場合、エステル結合等の比較的弱い結合を介する必要があり、硬化後にこの結合が切断されることによる劣化の懸念がある。
一方、架橋性シリル基が酸によって架橋することは古くから知られており、同様の反応を利用して、架橋性シリル基を有する化合物に、光酸発生剤を添加して活性エネルギー線硬化させることも知られている(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6及び非特許文献1参照)。
多くの場合、光酸発生剤を添加して活性エネルギー線硬化させる架橋性シリル基を有する化合物は低分子量化合物であるが、架橋性シリル基を有する重合体の例も最近報告されている(特許文献7)。この重合体としては、ビニル系重合体の末端にシリル基を有する重合体を用いた例(特許文献7)、末端に架橋性シリル基を有するポリエーテルについて同様の光酸発生剤添加活性エネルギー線硬化の報告がある(特許文献8参照)。しかし、これらの系は、活性エネルギー線が照射された部分は、速硬化するものの、暗部については、未硬化であり、強度不足および樹脂の流れ出しによる接着、コーティング周辺部分への汚染の問題が顕在化して来ている。その解決策として、加水分解性シリル基を有する重合体に光酸発生剤に加え、常温で機能する硬化触媒を添加できることが、特許文献7の本文中で記載がある。しかし、この系においても暗部の硬化性が遅く、部材のアセンブリー工程での接着、シール、コーティングを施した場合に、暗部の硬化に時間を要し、課題となっていた。暗部の湿分硬化性の向上は、工業的にも実現が望まれている。
特開2000−072804号公報 特開2000−186112号公報 特開2000−1648号公報、 特開2000−169755号公報、 特開2000−171604号公報、 特開2000−298352号公報 国際公開WO2007/029733号公報 国際公開WO2002/083764号公報
Radiation Curing in Polymer Science and Technology,vol2,Elsevier Applied Science,L ondon,1993
本発明は、十分な作業時間を確保しながら、必要時には速硬化させることが可能で、且つ活性エネルギー線が当らない暗部についても優れた硬化性を有する重合体を含有する硬化性組成物の提供を目的とする。
上記現状に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、架橋性シリル基を末端に有する重合体を使用した光酸発生剤および一般式(1)で表されるシリコン化合物及び/またはその部分加水分解縮合物添加により光硬化および湿分硬化性を実現でき、さらに湿分硬化性に優れた物性を有する硬化物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の3成分:架橋性シリル基を平均して少なくとも一個、末端に有する重合体(A)、光酸発生剤(B)、及び、一般式(1)で表されるシリコン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(C)
(R2a−Si−(OR14-a (1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基あるいはアルコキシ基、aは0、1または2を示す)
を含有することを特徴とする硬化性組成物である。
上記(C)成分が一般式(1)で表されるシリコン化合物の部分加水分解縮合物であることが好ましい。
硬化触媒(D)を含有することが好ましい。
(A)成分の有機重合体が、ポリシロキサン、ポリエーテル、ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ビニル系重合体であることがより好ましい。
上記ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましく、アクリル酸エステル系重合体であることがより好ましい。
上記ビニル系重合体の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものであることが好ましく、原子移動ラジカル重合法により製造されたものであることがより好ましい。
上記系架橋性シリル基が一般式(2)で表されることが好ましい。
−[Si(R12-b(Y)bO]m−Si(R23-a(Y)a(2)
(式中、R1およびR2は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1またはR2がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
上記有機重合体(A)の分子量分布が1.8未満であることが好ましい。
上記光酸発生剤(B)が、スルホネートエステル類、オニウム塩類、カルボン酸エステル類からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本願の硬化性組成物は、さらに、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)を含有することが好ましい。
上記エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)が分子中に架橋性シリル基を有することが好ましい。
本願の硬化性組成物は、ラジカル重合性を有する炭素−炭素二重結合を有する化合物(F)を含有することが好ましい。
本願発明は、上記の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物に関する。
本願の硬化性組成物は、シーラント、接着剤、粘着剤、ポッティング剤、コーティング剤に好適である。
本願発明は、上記硬化性組成物を塗布して製造される電気・電子機器に関する。
本願発明は、上記硬化性組成物をディスプレイの表示部分に塗布されて製造される電気・電子機器に関する。
本発明の硬化性組成物は、十分な作業時間を確保しながら、必要時には速硬化させることが可能で、硬化物の耐熱性、耐油性、耐候性、機械物性、接着性等に優れているという効果を有し、且つ活性エネルギー線が当らない暗部についても優れた硬化性を有する重合体を含有する硬化性組成物の提供を目的とする。
以下に本発明の硬化性組成物について詳述する。
<<架橋性シリル基を平均して少なくとも一個、末端に有する有機重合体(A)>>
有機重合体(A)としては、特に限定されないが、ポリシロキサン、ポリエーテル、ビニル系重合体が好ましく、ビニル系重合体がより好ましい。
有機重合体(A)の分子量分布は、粘度が抑えられる点で1.8未満であることが好ましい。
<ポリシロキサン>
前記ポリシロキサンは、公知であるオルガノクロロシランを加水分解してオルガノポリシロキサンを製造する方法、特許第2599517号公報、特開昭56−151731号公報、特開昭59−66422号公報、特開昭59−68377号公報に記載のアルコキシシランを塩基性触媒あるいは酸触媒の存在下で加水分解する方法等公知の方法で得られる。ポリマーの末端官能基としては、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基等が挙げられる。
本発明におけるポリシロキサンの数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000であり、3,000〜100,000がより好ましい。分子量が低くなりすぎると、伸び、柔軟性が不十分な傾向があり、高くなりすぎると、粘度が高くなり、塗布等の作業性が低下する傾向がある。
<ポリエーテル>
前記ポリエーテル(オキシアルキレン系重合体)の合成方法は、特に限定されないが、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。開始剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
モノエポキシドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
触媒及び重合法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−215623号公報に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号公報および特公昭59−15336号公報などに示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、セシウム触媒による重合法、ホスファゼン触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。中でも、高分子量でかつ着色の少ない重合体が容易に得られる点からは、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法が好ましい。
この他、オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端オキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH3、NaOCH3等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2Cl2、CH2Br2等による鎖延長等によっても得ることができる。
さらに、上記オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。本発明におけるポリエーテルの数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000であり、1,000〜100,000がより好ましい。分子量が低くなりすぎると、伸び、柔軟性が不十分な傾向があり、高くなりすぎると、粘度が高くなり、塗布等の作業性が低下する傾向がある。
<ビニル系重合体>
(炭化水素系重合体)
前記炭化水素系重合体は、芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
本発明に用いる炭化水素系重合体の主鎖骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1,2−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主成分として単独重合もしくは共重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合もしくは共重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物を共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができる。
中でも、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンは、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。さらに、ポリイソブチレンは液状または流動性を有するので取り扱いやすく、主鎖に芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を全く含まないため水添の必要が無く、耐候性に極めて優れているので特に好ましい。ポリイソブチレンは、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合可能な単量体単位をポリイソブチレン中に、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、とくに好ましくは10重量%以下の範囲で含有してもよい。
このような炭化水素系重合の単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。たとえば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンや他の炭化水素系重合体においても、上記ポリイソブチレンの場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
炭化水素系重合体、好ましくはポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンの数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から、好ましい。
(炭化水素系重合体以外のビニル系重合体)
本発明における炭化水素系重合体以外のビニル系重合体は、その主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には特開2005−232419号公報段落[0018]記載の各種モノマーのような、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
本発明の硬化性組成物に使用される炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸系モノマーを主として重合して得られる(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを主として重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体がより好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
本発明における炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000の範囲である、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000がさらに好ましく、8,000〜50,000がなおさら好ましい。分子量が低くなりすぎると、炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の本来の特性が発現されにくい傾向があり、一方、高くなりすぎると、取り扱いが困難になる傾向がある。
本発明で使用するビニル系重合体は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」とリビング重合の一種である「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるビニル系重合体の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419号公報や、特開2006−291073号公報などの記載を参照できる。
本発明における炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。 原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419号公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を1分子内に2つ以上有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 2011208073
Figure 2011208073
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、上述したビニル系モノマーをすべて好適に用いることができる。重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体でありより好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2'−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419号公報段落[0067]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
<<架橋性シリル基の導入方法((A)成分の合成方法)>>
本発明でいう架橋性シリル基とは、シロキサン結合を形成することによって架橋しうるケイ素含有官能基のことであり、一般式(2)で表される基が好ましい。
−[Si(R112-b(Y)bO]m−Si(R123-a(Y)a(2)
(式中、R11およびR12は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素
数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で
表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素
基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R11またはR12
がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
<ポリシロキサンへの導入方法>
加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されないが、例えば、加水分解性シリル基を含むシラン化合物を酸、塩基を触媒成分として、ポリシロキサンを合成する際に、加水分解、縮合条件を調整して、末端に加水分解性のシリルを残す方法、末端クロロ基含有ポリシロキサンに、加水分解性シリルを含むクロロシランを反応させる方法等がある。
<ポリエーテルへの導入方法>
(α)水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入した後に、一般式(3)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiXa12 3-a (3)
(式中R12、X、aは前記に同じ)
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基及び水酸基と反応しうる官能基を併有する化合物をオキシアルキレン系重合体の水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法、あるいはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることによりオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
(β)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するオキシアルキレン系重合体に一般式(4)で表される化合物を反応させる方法。
(R123-aSiXa−R13NCO (4)
(式中R12、X、aは前記に同じ。R13は炭素数1〜17の2価の炭化水素基。)
(γ)イソシアネート化合物と反応しうる官能基を有するオキシアルキレン系重合体にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基を導入した後、該イソシアネート基に一般式(5)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
(R123-aSiXa−R13W (5)
(式中R12、R13、X、aは前記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基お
よびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基。)
(δ)オレフィン基が導入可能な官能基を有するオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である一般式(5)で表されるケイ素化合物を反応させる方法。
これらのうち、導入収率と導入方法の簡便さから、(α)および(β)の方法が好ましく、粘度等の樹脂物性の点で(α)の方法がより好ましい。
<ビニル系重合体への導入方法>
1)炭化水素系重合体
特に限定はないが、上記(α)の方法で導入することが、導入収率、反応の簡便さで好ましい。
2)炭化水素系以外のビニル系重合体
特開2004−210858号公報段落[0102]〜[0112]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、架橋性シリル基を持つヒドロシラン化合物によるヒドロシリル化反応により、末端アルケニル基を有する重合体のアルケニル基を架橋性シリル基に変換する方法により製造されたものであることが好ましい。
<官能基>
架橋性シリル基の数
ビニル系重合体の架橋性シリル基の数は、特に限定されないが、組成物の硬化性、及び硬化物の物性の観点から、分子中に平均して1個以上有することが好ましく、より好ましくは1.2個以上3.5個以下、さらに好ましくは1.4個以上2個以下である。架橋性シリル基のうち少なくとも1個は末端にある必要があるが、それ以外は末端にあっても、なくても構わない。
架橋性シリル基は、良好な物性を示す点から末端のみにある事が好ましい。
<複数の有機重合体の使用>
上記した有機重合体は一種のみ使用することもでき、2種以上の有機重合体を組み合わせて使用することもできる。一種のみ使用する場合は、分子量5,000〜50,000で架橋性シリル基の数が1.2〜3.5個の有機重合体を使用することが好ましい。2種以上の有機重合体を組み合わせる場合は第一の重合体は分子量5,000〜50,000で架橋性シリル基の数が1.2〜3.5個の有機重合体であって、第2の重合体は架橋性シリル基の数が少ない重合体とすると、高い破断時伸び性、低ブリード性、表面低汚染性、優れた塗料密着性を有する硬化物を得ることができる。また、第2の重合体の分子量をより小さく設定することにより、組成物の粘度を低下させることができる。低分子量成分となる重合体の好ましい分子量は10,000未満、さらには5,000未満であり、好ましい架橋性シリル基の数は1.2未満、さらには1以下である。また、さらに粘度を低下させることができるので分子量分布は1.8未満が好ましい。架橋性官能基を有し分子量分布が1.8以上のビニル系重合体と片末端に架橋性シリル基を有する有機重合体を添加すると低粘度化効果が顕著である。
このような低分子量で架橋性シリル基の数が少ない重合体として次のような製法で得られる片末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を使用することが確実に架橋性シリル基を導入できるので好ましい。
片末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体は、重合体末端に架橋性シリル基を1分子あたりほぼ1個有するものである。前記のリビングラジカル重合法、特に、原子移動ラジカル重合法を用いることが、高い割合で分子鎖末端に架橋性シリル基を有し、分子量分布が1.8未満で分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体が得られるので好ましい。
片末端に架橋性シリル基を導入する方法については、例えば、下記に示す方法を使用することができる。なお、末端官能基変換により架橋性シリル基、アルケニル基、水酸基を導入する方法において、これらの官能基はお互いに前駆体となりうるので、架橋性シリル基を導入する方法から溯る順序で記述する。
(1)アルケニル基を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法、
(2)水酸基を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を併せ持つ化合物を反応させる方法、
(3)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、一分子中に架橋性シリル基と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法、
などがあげられる。
(1)の方法で用いるアルケニル基を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体は種々の方法で得られる。以下に製造方法を例示するが、これらに限定されるわけではない。
(1−1)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、例えばアリルトリブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫のようなアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を反応させてハロゲンを置換する方法。
(1−2)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、一般式(6)にあげられるようなアルケニル基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
+-(R18)(R19)−R20−C(R17)=CH2 (6)
(式中、R18、R19はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基を示す。R20は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。R17は水素、または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。M+はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを示す)
18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
(1−3)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にハロゲンやアセチル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有するイソシアネート化合物、アルケニル基を有する酸ハロゲン化物等の、アルケニル基を有する求電子化合物と反応させる方法。
(1−4)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体に、例えば一般式(6)あるいは(7)に示されるようなアルケニル基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
2C=C(R17)−R21−O-+ (7)
(式中、R17、M+は前記に同じ。R21は炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエ−テル結合を含んでいてもよい)
2C=C(R17)−R22−C(O)O-+ (8)
(式中、R17、M+は前記に同じ。R22は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
などがあげられる。
上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
またアルケニル基を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体は、水酸基を分子鎖末端に少なくとも1個有する重合体から得ることも可能であり、以下に例示する方法が利用できるがこれらに限定されるわけではない。
水酸基を分子鎖末端に少なくとも1個有する重合体の水酸基に、
(1−5)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用させ、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方法、
(1−6)アリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシアネート化合物を反応させる方法、
(1−7)(メタ)アクリル酸クロリドのようなアルケニル基含有酸ハロゲン化物をピリジン等の塩基存在下に反応させる方法、
(1−8)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させる方法、
などがあげられる。
反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体のハロゲンを変換することによりアルケニル基を導入する場合は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を1分子当たり1個有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系単量体をラジカル重合(原子移動ラジカル重合)することにより得られる末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に1分子当たり1個有する重合体を用いることが好ましい。
また、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示すと、一般式(9)で示される化合物が例示される。
H−[Si(R112-b(Yb)O]m−Si(R123-a(Y)a (9)
(式中、R11、R12、Y、a,b,mは前記に同じ。R11またはR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。)
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式(10)
H−Si(R123-a(Y)a (10)
(式中、R12、Y、aは前記に同じ)
で示される架橋性シリル基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
上記の架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物をアルケニル基に付加させる際には、遷移金属触媒が通常用いられる。遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等があげられる。
片末端に架橋性シリル基を有する有機系重合体、好ましくは分子量分布が1.8未満の重合体、の使用量としては、有機重合体(A)100重量部に対し、モジュラス、伸びの点から5〜400重量部であることが好ましい。
2種以上の有機重合体を組み合わせて使用する第2の態様として、分子量分布が1.8以上のビニル重合体と分子量分布が1.8未満のビニル重合体を組み合わせて使用することもできる。分子量分布が1.8以上のビニル重合体は架橋性ケイ素基を有していてもいなくてもよいが架橋性ケイ素基を有するほうが耐候性や接着強度、破断時強度がより向上するので好ましい。また、組成物の硬化物の引裂き強度の改善が期待できる。第1の重合体として使用する、分子量分布が1.8以上のビニル系重合体や第2の重合体として使用する、分子量分布が1.8未満の有機重合体の主鎖としては、すでに述べた有機重合体主鎖に起因する重合体を使用することが好ましい。
架橋性シリル基を導入する方法としては、例えば、重合性不飽和結合と架橋性シリル基とを併せ持つ化合物を(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と共重合させる方法があげられる。重合性不飽和結合と架橋性シリル基とを併せ持つ化合物としては、一般式(11):
CH2=C(R28)COOR30−[Si(R112-b(Yb)O]mSi(R123-a(Y)a (11)
(式中、R28は水素原子または直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。R30は炭素数1〜6の2価のアルキレン基を示す。R11,R12,Y,a,b,mは前記と同じ。)
または一般式(12):
CH2=C(R28)−[Si(R112-b(Yb)O]mSi(R123-a(Y)a (12)
(式中、R28,R11,R12,Y,a,b,mは前記と同じ。)
で表される単量体、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−メタクリロキシプロピルポリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−アクリロキシプロピルポリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルアルキルポリアルコキシシランなどがあげられる。また、メルカプト基と架橋性シリル基とを併せ持つ化合物を連鎖移動剤に用いると重合体末端に架橋性シリル基を導入することができる。そのような連鎖移動剤としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプタン類があげられる。
架橋性官能基を有し分子量分布が1.8以上のビニル系重合体は、GPC測定によるポリスチレン換算での数平均分子量が500〜100,000のものが取り扱いの容易さの点から好ましい。さらに1,500〜30,000のものが硬化物の耐候性、作業性が良好であることからより好ましい。
<<光酸発生剤(B)>>
光酸発生剤(B)とは、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線を照射することにより、架橋性シリル基を架橋させることができる酸性活性物質を放出することができる化合物である。
光酸発生剤により発生する酸のpKaは、限定はされないが、好ましくは、約3未満、さらに好ましくは、約1未満である。
本発明の硬化性組成物に使用できる光酸発生剤としては、公知の光酸発生剤を使用することができる。例えば、特開2000−1648号公報、特表2001−515533号公報、WO2002−83764において好適とされている各種の化合物を挙げることができるが、本発明は特にこれらに限定されるわけではなく、本発明において好ましく使用できる光酸発生剤としては、スルホネートエステル類、オニウム塩類、カルボン酸エステル類が挙げられる。
具体的には以下のとおりである。
本発明においては、スルホン酸誘導体を使用することができる。例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体などのイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。
具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルフォネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1、2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、1、2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト−ニトロフェニルメチルトシラート、パラ−ニトロフェニルトシラートなどを挙げることができる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、中でもスルホネートエステル類が好ましい。例えば、次の一般構造で示されるスルホン酸エステルを使用することができる。
Figure 2011208073
(R3はアルキルまたはフルオロアルキル基であり、R4は水素またはアルキル基であり、R5およびR6はアルキル基(同じであっても異なってもよい)であるか、または、環状構造の形成に協力する炭化水素含有基(例えばR5およびR6がそれらと結合している炭素と一緒にシクロヘキサン環を形成)である)
本発明においては、カルボン酸エステル類を好ましく使用することができる。例えば、次の構造を有するカルボン酸エステルを使用することができる。
Figure 2011208073
(式中、R7はフルオロアルキル基であって、好ましくは2〜7個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、R8〜R10は、アルキル基(同じであっても異なってもよい)であるか、または環状構造の形成に協力する炭化水素含有基(例えば、R8およびR9が、それらと結合している炭素原子と一緒にシクロヘキサン環を形成)である。) 一般に、スルホン酸エステルおよびカルボン酸エステルは、酸を遊離するために、加熱ステップ(50℃〜100℃)を必要とする。
本発明においては、オニウム塩を好ましく使用することができる。
本発明で使用できるオニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 -)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6 -)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩またはヨードニウム塩を使用することができる。
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアシルネート、トリフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトイルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオルアンチモネート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、10−メチルフェノキサチイニウムヘキサフルオロホスフェート、5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムキサンテニウムテトラフルオロボレート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラフルオロボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5−メチル−10,10−ジオキソチアトレニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において使用できるヨードニウム塩としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4'−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、3,3'−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4'−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4'−ビススクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、米国特許第5,554,664号に開示されている(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(CH3642I−(SO2CF3)3、米国特許第5,514,728号に開示されている(C652I−B(C654、および米国特許第5,340,898号に開示されているものなどが挙げられる。これらは、1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他のオニウム塩としては、芳香族ジアゾニウム塩を使用することができ、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなどを使用することができる。
本発明において使用できる、商業的に入手できるオニウム塩としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)CD1012(サートマー社製)、IBPF、IBCF(以上、三和ケミカル(株)製)、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、ミドリ化学(株)製)、UVE1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)等を挙げることができる。
また、J. Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31, 1473-1482(1993), J. Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31, 1483-1491(1993)において記述されている方法により製造できるジアリールヨードニウム塩を使用することもできる。
本願の硬化性組成物を導電特性が要求される用途に用いる組成物、たとえば、静電気支援塗布可能組成物を調製する場合には、 (4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、および(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどなどを使用することが好ましい。このような塩を使用した組成物は、静電気支援塗料に十分な導電性を提供することができ、また、静電吹付、電気吹付、および静電気支援を用いた連続液体適用(たとえば、ロール塗布などによる)などを使用して塗布するのに好適である。このような塩を使用する場合、一般に、さらなる導電性増強剤は必要ではないが、これらの好ましい塩と共に使用してもよい。
本発明の硬化性組成物は光酸発生剤を使用するため、熱過敏性基材を含む用途に好適である。酸の遊離を促進するために、増感剤を補足することもできる。増感剤の添加量は特に限定はされないが、架橋性シリル基を有するビニル系重合体(I)100重量部に対して約0.03〜約0.1重量部が好ましい。本発明に使用できる適当な増感剤の例としては、Radiation Curing in Polymer Science and Technology、第2巻、Fouassier and Rabek編,Elsevier SciencePubhshers LTD,1993の第13章に記載されているものなどがある。2−イソプロピルチオキサントンは、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートと一緒に使用するのに特に好ましい増感剤である。
本発明の硬化性組成物における光酸発生剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性の点から、架橋性シリル基を平均して少なくとも一個、末端に有する有機重合体(A)100重量部に対して0.1〜15重量部であることが好ましく、また、硬化物の物性バランスの点から0.3〜8.0重量部であることがさらに好ましい。
<<シリコン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(C)>>
本発明の硬化性組成物には
一般式(1);(R2a―Si−(OR14-a(1)
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基あるいはアルコキシ基、aは0、1または2を示す)
で表されるシリコン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含有するが、シリコン化合物の部分加水分解縮合物である事が好ましい。
前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜10、好ましくはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルリル基、好ましくはたとえばフェニル基などの炭素数6〜9のアリール基およびベンジル基などの炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。前記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、シリコン化合物の部分加水分解縮合物(C)成分の反応性が低下するようになる。また、Rが前記アルキル基、アリール基、アラルキル基以外の場合にも反応性が低下するようになる。
また、前記一般式(1)において、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルリル基、好ましくはR1と同様の炭素数1〜4のアラルキル基、炭素数6〜9のアリール基、炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素である。
前記一般式(1)において、(R1O)4-aは4−aが3以上になるように、すなわちaが0〜1になるように選ばれるが、本発明の組成物から形成される塗膜の硬化性が向上するという点からは、aが0であるのが好ましい。
一般式(1)中に存在する(R1O)4-aの数が複数個の場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。
前記(C)成分であるシリコン化合物の具体例としては、たとえばテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi−ブチルシリケートなどのテトラアルキルシリケート;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3ーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリsec−オクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシランなどが挙げられる。
また、前記(C)成分のシリコン化合物の部分加水分解縮合物の具体例としては、たとえば通常の方法で前記テトラアルキルシリケートやトリアルコキシシランに水を添加し、縮合させて得られるものがあげられ、たとえばMSI51、MSI53A、ESI40、ESI48、HAS−1、HAS−10(以上、コルコート(株)製)、MS51、MS56、MS56S(以上、三菱化学(株)製)、Mシリケート51、FR−3、シリケート40、シリケート45、シリケート48、ES−48(以上、多摩化学(株)製)などのテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物や、たとえばAFP−1(信越化学工業(株)製)などのトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物などが挙げられる。前記(C)成分のシリコン化合物の部分加水分解縮合物のうちでは、樹脂(A)成分との相溶性、得られる本発明の組成物の硬化性が良好で、該組成物を用いて形成される塗膜の硬度に優れるということより汚染物質の付着を制御するという点から、MSI51、MSI53A、MS51、MS56、MS56S(テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物)やESI48、HAS−1(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物)などのテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を用いるのが好ましく、特に、重量平均分子量が1000より大きいMS56SおよびESI48のような化合物が、配合量を低減できる点から更に好ましい。前記シリコン化合物の加水分解縮合物(C)成分は単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
(C)成分のシリコン化合物の部分加水分解縮合物はまた、前記シリコン化合物および/またはシリコン化合物の部分加水分解縮合物をアルコール系溶剤中、酸性条件下で加水分解しても得ることができる。
なお、前記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコールなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのうちでは、メタノール、エタノール、イソプロパノールが安定性向上の点から好ましい。前記酸性条件下とは<1>酸性物質を添加する、<2>陽イオン交換樹脂で処理するような条件を指す。
<1>酸性物質とは塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、などの無機酸;モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェートなどのリン酸エステル;ぎ酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、しゅう酸、コハク酸などのカルボン酸化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、1ーナフタレンスルホン酸、2ーナフタレンスルホン酸などのスルホン酸化合物などが挙げられる。
これらの中では酸処理後に酸を除去しやすい点から比較的沸点が低い塩酸、硝酸、亜硫酸、ぎ酸が好ましい。
<2>陽イオン交換樹脂とは、例えば、アンバーリスト15(ローム・アンド・ハース社製)、デュオライトC−433(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。陽イオン交換樹脂と水とで処理したのちは、濾過やデカンテーションなどにより陽イオン交換樹脂を除去するのが好ましい。これらのシリコン化合物の部分加水分解縮合物(C)成分には事前に脱水剤としてオルト酢酸メチルを加えておくことが、(A)成分と配合した後の貯蔵安定性などの点より好ましい。前記(C)成分の使用量は(A)成分100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは2〜50重量部、更に好ましくは2〜30重量部である。(B)成分の使用量が200部をこえると硬化物層が白濁したり、クラックなどが発生したりするようになる。前記(C)成分は、(A)成分と(C)成分との相溶性を向上させるため、(A)成分の重合時に(C)成分を加えること、さらに、(A)成分に(C)成分をホットブレンドすることができる。
シリコン化合物の部分加水分解縮合物(C)成分を樹脂(A)成分と混合させたものは常温硬化性および加熱硬化性を有する組成物となり、該組成物を用いて形成される塗膜は優れた耐汚染性を有するが、該塗膜が優れた耐汚染性を有する理由はまだ定かには判明していない。おそらく樹脂(A)成分とシリコン化合物(C)成分との相対的硬化速度の違いと相溶性のバランスが良い点から、表面硬度および親水性が向上することが影響しているものと考えられる。
<<硬化触媒・硬化剤(D)>>
本発明では、光酸発生剤により、架橋性シリル基を有するビニル系重合体は硬化することができるが、これ以外に従来公知の各種縮合触媒を添加しても構わない。但し、これらを添加した一液配合物を作製する場合には、十分に組成物中の水分を除去しておく必要がある。
このような縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、例えば、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキシド類、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテートなどのジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、例えば、ジブチル錫オキシドやジオクチル錫オキシド等のジアルキル錫オキシドと例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、例えば、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキシドとシリケート化合物との反応物、およびこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価のスズ化合物類;例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸スズ等の2価のスズ化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;例えば、モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらにはフェルザチック酸等の脂肪酸や有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CH3O)2−P(=O)(−OH)、(CH3O)−P(=O)(−OH)2、(C25O)2−P(=O)(−OH)、(C25O)−P(=O)(−OH)2、(C37O)2−P(=O)(−OH)、(C37O)−P(=O)(−OH)2、(C49O)2−P(=O)(−OH)、(C49O)−P(=O)(−OH)2、(C817O)2−P(=O)(−OH)、(C817O)−P(=O)(−OH)2、(C1021O)2−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)2、(C1327O)2−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)2、(C1633O)2−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C612O)2−P(=O)(−OH)、(HO−C612O)−P(=O)(−OH)2、(HO−C816O)−P(=O)(−OH)、(HO−C816O)−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)O]−P(=O)(−OH)2、[(CH2OH)(CHOH)C24O]2−P(=O)(−OH)、[(CH2OH)(CHOH)C24O]−P(=O)(−OH)2などがあげられるが、例示物質に限定されるものではない。
これら有機酸類とアミンの併用系は、触媒活性が高くなるため、使用量を減少できる観点でより好ましい。有機酸とアミン併用系の中では、酸性リン酸エステルとアミン、有機カルボン酸とアミン、特に有機酸性リン酸エステルとアミン、脂肪族カルボン酸とアミンの併用系は、触媒活性がより高く、速硬化性の観点で好ましい。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架橋性シリル基を有する重合体100部(重量部、以下同じ)に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.5〜5部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。なお、特に限定はされないが、錫系硬化触媒が硬化性を制御し易い点で好ましい結果を与える。
特に限定はされないが、後述のような1成分系組成物にする際には、硬化速度や組成物の貯蔵安定性などの面から、錫系硬化触媒の場合、4価錫が好ましいが、2価錫と有機アミンの組み合わせや非錫化合物も使用できる。
また、特に限定はされないが、サイディンクボード用シーリング剤等の用途に用いる際には、1成分系、2成分系問わず、硬化物が応力緩和し易いことから、被着体にダメージを与えない、接着界面での剥離が起き難いなどの面から、4価錫が好ましい。
近年、環境問題に焦点が当てられ、錫系触媒が嫌われることもあるが、その様な場合にはカルボン酸ビスマスやカルボン酸チタン等他の非錫系触媒を選択しても良い。
また、本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、アミン系化合物と同様に、上記のアミノ基を有するシランカップリング剤を助触媒として使用することも可能である。このアミノ基含有シランカップリング剤は、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基(以下加水分解性シリル基という)及びアミノ基を有する化合物であり、この加水分解性基として既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が好ましい。
これらのアミン化合物の配合量は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して0.01〜50重量部程度が好ましく、更に0.1〜20重量部がより好ましい。アミン化合物の配合量が0.01重量部未満であると硬化速度が遅くなる場合があり、また硬化反応が充分に進行し難くなる場合がある。一方、アミン化合物の配合量が30重量部を越えると、ポットライフが短くなり過ぎる場合があり、作業性の点から好ましくない。
これらのアミン化合物は、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
更に、アミノ基やシラノール基をもたないケイ素化合物を助触媒として添加しても構わない。これらのケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等が好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
このケイ素化合物の配合量は、架橋性シリル基を有する重合体100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
なお、硬化触媒・硬化剤の種類や添加量は目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。また、架橋性シリル基を有する重合体のシリル基の反応性によっても硬化触媒・硬化剤の種類や添加量を変えることが可能であり、反応性が高い場合は0.01〜1部の少量の範囲で充分硬化させることが可能である。
硬化触媒・硬化剤の種類や添加量は、本発明のビニル系重合体のYの種類とaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。Yがアルコキシ基である場合、炭素数の少ない方が反応性が高く、またaが多い方が反応性が高いため少量で充分硬化させることが可能である。
<<エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)>>
本発明の硬化性組成物は、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)を添加することも可能である。これらの化合物は、光酸発生剤により硬化させることができ、ビニル系重合体とのハイブリッド硬化物になる。
エポキシ化合物は、硬化性組成物の粘度を下げ作業性を改良するとともに、硬化物の強度を向上させる役割を果たす。
エポキシ化合物としては、エポキシ基を有する化合物であればいかなるものであってもよいが、たとえばビスフェノール型のエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂があげられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の具体例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添型ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添型ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのような多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのような不飽和重合体のエポキシ化物などが例示される。
前記水添型とは、ベンゼン環部分をシクロへキシル環に水素還元したものをいう。
また、脂環式エポキシ樹脂としては、シクロヘキセンオキシド基、トリシクロデセンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する化合物が代表的であり、具体的には、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロへキサンカーボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロへキシル5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペートなどがあげられるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用され得る。これらエポキシ樹脂は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)としては分子中に架橋性シリル基を有するものが好ましい。
具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類、オキセタニルトリメトキシキシシラン、オキセタニルメチルジメトキシシラン、オキセタニルトリエトキシキシシラン等のオキセタニルシラン類等が挙げられる。
エポキシ化合物は、光を吸収して硬化を阻害したり、硬化後に着色をするのを避けるため、芳香環を有さないことが好ましい。
これらのエポキシ樹脂の中でもエポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するものが、硬化に際し、反応性が高く硬化物が3次元的網目を作りやすいなどの点から好ましい。
また、本発明のビニル系重合体とエポキシ樹脂との混合物を硬化させた時の硬化物として透明なものを得るためには、該エポキシ樹脂はビニル系重合体と相溶することが好ましく、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂は各種ビニル系重合体と相溶し易く、透明な硬化物を得易い。
有機重合体とエポキシ樹脂の相溶性が良好な組合せの硬化性組成物は、それを硬化させた時に変調構造を取り易く、その結果、透明な硬化物を得易い。更には機械物性も格段に向上することがある。
例えば、主鎖が、アクリル酸ブチルエステルホモポリマーよりも極性が高いビニル系重合体またはビニル系共重合体と、芳香環を有するエポキシ樹脂との組合せや、ビニル系重合体またはビニル系共重合体と、芳香環を有しないエポキシ樹脂との組合せ等の好ましい組合せが挙げられる。
芳香環を有しないエポキシ樹脂の例としては、特に限定はされないが、脂環式エポキシ樹脂が好ましく、グリシジル基が脂環に直接ついていないエポキシ樹脂がより好ましい。
主鎖が、アクリル酸ブチルエステルホモポリマーよりも極性が高いビニル系重合体またはビニル系共重合体としては、これに限定されるものではないが、好ましい例として一般式(ア)で表される、重合体または共重合体が挙げられる。
−[CH2−CR(COOR')]m− (ア)
(式中、Rは水素、又はメチル基、R'は、同一若しくは異なって、アルコキシアルキル基、または炭素数1〜3のアルキル基である。)
具体的にはアクリル酸エチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−メトキシエチル(モル比で40〜50/20〜30/30〜20)の共重合体とビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の組合せや、アクリル酸ブチルエステルホモポリマーと水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂やヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの組合せ等の好ましい組合せが挙げられるがこれに限定されるものではない。
オキセタン化合物は、硬化性組成物の粘度を下げ作業性を改良するとともに、硬化物の強度を向上させる役割を果たす。
オキセタン化合物にはとくに限定はないが、具体的には3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オキセタニルメチルジメトキシシランメチル〕ベンゼン、1,2−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕エタン、1,2−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレンビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ブタン、1,6−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどがあげられる。
オキセタン化合物は、光を吸収して硬化を阻害したり、硬化後に着色をするのを避けるため、芳香環を有さないことが好ましい。
エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)の添加量
エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)を添加する場合の添加量としては、架橋性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体(A)とエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)の混合比にして、重量比で100/1〜1/100の範囲が好ましいが、100/5〜5/100の範囲にあることがより好ましく、100/10〜10/100の範囲にあることが更に好ましいが、その混合比は限定されるものではなく、各用途、目的に応じて設定できる。この硬化性組成物はその特性から、線膨張係数の異なる材料の接着や、ヒートサイクルにより繰り返し変位を受けるような部材の接着に用いる弾性接着剤として用いたり、透明な硬化物になる場合はその特性を活かして、下地が見える用途でのコーティング剤等に用いたりすることが出来る。例えば、この弾性接着剤用途ではエポキシ樹脂の混合比は多過ぎると硬化物が硬くなって剥離強度が低下してしまい、少な過ぎると逆に接着強度や耐水性が低下してしまうので、ビニル系重合体(A)100重量部に対し、通常10〜150重量部程度の範囲、好ましくは20〜100重量部の範囲で使用されるのが良い。
<<重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物(F)>>
該組成物の粘度が高くなると、あらゆる用途において作業性が著しく低下する。必須成分ではないが、表面硬化性の向上、タフネスの付与あるいは粘度低減による作業性の向上などを目的として、限定はされないが、ラジカル重合性を有する炭素―炭素二重結合を有する化合物、すなわち重合性のモノマーおよび/またはオリゴマーを添加することが好ましい。
前記重合性のモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、ラジカル重合性の基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーおよび/または有機重合体、あるいは、アニオン重合性の基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーおよび/または有機重合体が、硬化性の点から好ましい。
前記ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基などの(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基などがあげられる。なかでも、本発明に使用する重合体と類似する(メタ)アクリル基を有するものが好ましい。
前記アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基などの(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基などがあげられる。なかでも、本発明に使用する重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
前記モノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマー、多官能モノマーなどがあげられる。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどがあげられる。また、下式で示される化合物などもあげることができる。なお、下式において、nは0〜20の整数を示す。
Figure 2011208073
Figure 2011208073
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Figure 2011208073
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スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレンなど、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなど、共役ジエン系モノマーとしてはブタジエン、イソプレンなど、ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビニルケトンなどがあげられる。
多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどがあげられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂などのエポキシアクリレート系樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレンなど)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなど)から得られたウレタン樹脂を、水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなど}と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂、前記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリ(メタ)アクリルアクリレート系樹脂(重合性の反応基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂)などがあげられる。
また、(メタ)アクリロイル系基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。さらに、表面硬化性の向上や、作業性向上のための粘度低減のために、モノマーを用いる場合には、分子量が1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
前記モノマーおよび/またはオリゴマーおよび/または有機重合体の使用量としては、有機重合体(A)100部に対して、1〜200部、さらには5〜100部であるのが好ましい。本願の硬化性組成物がさらに(C)または成分(E)を含有する場合は、有機重合体(A)と成分(C)又は成分(E)との合計100部に対して、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。本願の硬化性組成物がさらに成分(C)及び成分(E)を含有する場合は、有機重合体(A)と成分(C)と成分(E)との合計100重量部に対して、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。
(F)成分がオリゴマー、有機重合体の場合、重合性の炭素−炭素二重結合は、特に限定されないが、一般式(13)
−OC(O)C(Ra)=CH2 (13)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、(F)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、分子鎖末端にあることが好ましい。
<ポリシロキサンへの導入方法>
特に限定はないが、例えば、特許第3193866号公報に記載の末端シラノール停止ポリシロキサンに有機金属等を触媒として、加水分解性シリル基含有ビニル化合物、加水分解性シリル基含有(メタ)アクリロイル化合物を加水分解縮合反応させる方法等が挙げられる。
<ポリエーテルへの導入方法>
オキシアルキレン重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に限定がないが、<1>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに一般式(1)の酸クロライド化合物を反応させる方法、<2>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンにイソシアナート基を含む一般式(1)の化合物を反応性させる方法、<3>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに多官能性のイソシアナートおよび水酸基を含有するビニルモノマーを反応させる方法、<4>ヒドロシリル化可能な二重結合末端(例えばアリル基末端)ポリオキシアルキレンに多官能タイプのヒドロシリル化合物を反応させ、更にアリル(メタ)アクリレート等のヒドロシリル化可能な化合物を反応させる方法がある。反応の簡便性の点で<2>、<3>および<4>の方法が好ましく、反応の安定性の点で、<2>および<3>の方法がより好ましい。
<ビニル系重合体への導入方法>
ビニル系重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932号公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられるが、以下の方法が好ましい。
(導入方法1)
一般式(14)のビニル系重合体の末端ハロゲン基を、一般式(15)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換する方法。
−CR1415X (14)
(式中、R14、R15は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩
素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+-OC(O)C(R16)=CH2 (15)
(式中、R16は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(14)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(15)で表される化合物としては特に限定されないが、R16の具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式(15)のオキシアニオンの使用量は、一般式(14)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
(導入方法2)
末端に水酸基を有するビニル重合体に一般式(16)で示される化合物を反応させる方法。
XC(O)C(R16)=CH2 (16)
(式中、R16は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
(導入方法3)
末端に水酸基を有するビニル重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と下記一般式(17)で示される化合物とを反応させる方法。
HO−R’− OC(O)C(R16)=CH2 (17)
(式中、R16は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
これらの方法の中でも、制御が容易である点から、(導入方法1)が最も好ましい。
該、硬化性組成物には、有機溶剤が添加することができる。通常、沸点が50〜180℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性に優れることから好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;ジオキサンなどの環状エーテル系溶剤などがあげられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
<光ラジカル性重合開始剤>
上述のラジカル重合性を有する炭素―炭素二重結合を有する化合物を添加した場合、該化合物を光重合させるために、光ラジカル性重合開始剤を添加することが好ましい。
光ラジカル性重合開始剤にはとくに制限はないが、具体例としては、たとえばアセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4'−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーンなどがあげられる。
前記光ラジカル性重合開始剤は単独で用いてもよく、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンとの組合せ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリドなどのヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルーなどの色素およびアミンと組み合わせたものなどがあげられる。
なお、前記光ラジカル性重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコールなどの如き重合禁止剤類を添加することもできる。
また、近赤外光重合開始剤として、近赤外光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。
近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、たとえば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報などに開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
光ラジカル性重合開始剤の添加量は系をわずかに光官能化するだけでよいので、とくに制限はないが、ビニル系重合体(I)100部に対して、0.001〜10部であるのが好ましい。
<<トリアルコキシシラン化合物あるいはテトラアルコキシシラン化合物>>
本発明の硬化性組成物には、限定はされないが、トリアルコキシシラン化合物あるいはテトラアルコキシシラン化合物を添加することが、硬化物物性や貯蔵安定性を改善するために好ましく、特に好ましくはトリアルコキシシラン化合物である。トリアルコキシシラン化合物あるいはテトラアルコキシシラン化合物としては、式R4-nSiYn(式中、Yは加水分解可能な基、Rは有機基で官能基を含んでいても含まなくともよい。nは3または4である)で示される加水分解性有機シリコン化合物が挙げられ、その具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、オルトケイ酸テトラメチル(テトラメトキシシランないしはメチルシリケート)、オルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシランないしはエチルシリケート)、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル等のシラン化合物またはこれらの部分加水分解縮合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤、またはこれらの部分加水分解縮合物等が挙げられる。これらの中から1種または2種以上併用して配合することができる。
トリアルコキシシラン化合物あるいはテトラアルコキシシラン化合物の使用量としては、ビニル系重合体100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
なお、これらのトリアルコキシシラン化合物あるいはテトラアルコキシシラン化合物を添加する際には硬化性組成物を無水の状態にしてから行うのが好ましいが、水分を含んだままの状態で添加しても構わない。
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物においては、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<脱水剤>
硬化性組成物は、作製する際の水分等によって、その貯蔵している間に増粘、ゲル化が進み、使用する際の作業性に難が生じたり、また、その増粘、ゲル化が進んだ硬化性組成物を使用することにより、硬化後の硬化物の物性が低下して、本来の目的であるシール性等を損なったりする問題が生じることがある。つまり硬化性組成物の貯蔵安定性が問題となることがある。
この硬化性組成物の貯蔵安定性を改良するには、硬化性組成物に、共沸脱水により含水分量を減らす方法がある。例えば、水に対して極小共沸点を有する揮発性有機化合物を0.1〜10重量部程度添加し、均一に混合した後、50〜90℃程度に加熱し真空ポンプで吸引しながら水−有機化合物の共沸組成物を形骸に取出す方法が挙げられる。水に対して極小共沸点を有する揮発性有機化合物としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化物;エタノール、アリルアルコール、1−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;メチルエチルケトン、3−メチル−2−ブタノン等のケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類等が例示できる。しかしながら、この方法は脱揮操作が入るため、揮発性の他の配合剤に対する工夫が必要となったり、共沸させる揮発性有機化合物の処理、回収等が必要になったりする。そのため、以下の脱水剤を添加する方が好ましいことがある。
上述の様に、本発明の組成物には、貯蔵安定性を改良する目的で組成物中の水分を除去するための脱水剤を添加することができる。脱水剤としては、例えば、5酸化リンや炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム(無水ボウ硝)、モレキュラーシーブス等の無機固体等が挙げられる。これらの固体脱水剤でも構わないが、添加後の液性が酸性や塩基性に傾いて逆に縮合し易く貯蔵安定性が悪くなったり、固体を後で取り除くなどの作業性が悪くなったりすることもあるため、後述の、液状の加水分解性のエステル化合物が好ましい。加水分解性のエステル化合物としては、オルトぎ酸トリメチル、オルトぎ酸トリエチル、オルトぎ酸トリプロピル、オルトぎ酸トリブチル等のオルトぎ酸トリアルキルや、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル等のオルト酢酸酸トリアルキル等、およびそれらの化合物から成る群から選ばれるものが挙げられる。
脱水剤の使用量としては、限定はされないが、ビニル系重合体100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
なお、これらの脱水剤を添加する際には硬化性組成物を無水の状態にしてから行なうのが好ましいが、水分を含んだままの状態で添加しても構わない。
<接着性付与剤>
本発明の組成物には、アミノシラン系化合物やその他のシランカップリング剤、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を添加することができる。接着付与剤を添加すると、外力により目地幅等が変動することによって、シーリング材がサイディングボード等の被着体から剥離する危険性をより低減することができる。また、場合によっては接着性向上の為に用いるプライマーの使用の必要性がなくなり、施工作業の簡略化が期待される。シランカップリング剤の具体例としてはアミノ基や、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等の官能基をもったシランカップリング剤が例示でき、その具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン等のポリスルファン類等を挙げることができる。また、上記のアミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物、アミノ基含有シラン類とアクロイルオキシ基含有シラン類との反応物、アミノ基含有シラン類とイソシアネート基含有シラン類との反応物も使用できる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、ブロックイソシアネートシラン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。また、上記のアミノ基含有シラン類と例えばメチルイソブチルケトン等のケトン化合物との反応によって得られるケチミン化合物等もシランカップリング剤として用いることができる。
本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、架橋性シリル基を有する重合体100部に対し、0.1〜20部の範囲で使用される。特に、0.5〜10部の範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。また、使用量が架橋性シリル基を有する重合体100部に対し1部程度であれば、硬化物の透明性にほとんど影響しない。
シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン/ブタジエン共重合体−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/プロピレン共重合体−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン共重合体−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソブテン−ポリスチレン等の直鎖状または分岐状のブロック共重合体、アルキルスルフォン酸エステル、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。エポキシ樹脂は上記のアミノ基含有シラン類と反応させて使用することができる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。特に限定はされないが、接着性、特にオイルパンなどの金属被着面に対する接着性を向上させるために、上記接着性付与剤の中でもシランカップリング剤を0.1〜20重量部、併用することが好ましい。
接着性付与剤の種類や添加量は、本発明のビニル系重合体のYの種類とaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。特に硬化性や伸びに影響するためその選択には注意が必要である。
<可塑剤>
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤を必要に応じて用いても良い。可塑剤を後述する充填材と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填材を混合できたりするためより有利となるが、必ずしも添加しなければならないものではない。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、これらポリエーテルポリオールの水酸基の片末端または両末端もしくは全末端をアルキルエステル基またはアルキルエーテル基などに変換したアルキル誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル、E−PS等のエポキシ基含有可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
なかでも数平均分子量500〜15,000の重合体である高分子可塑剤は、添加することにより、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化物にアルキッド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できる。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15,000と記載したが、好ましくは800〜10,000であり、より好ましくは1,000〜8,000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、アルキッド塗装性が改善できない。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
これらの高分子可塑剤の中ではポリエーテル系可塑剤と(メタ)アクリル系重合体可塑剤が高伸び特性あるいは高耐候性の点から好ましい。アクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207、特公平5−58005、特開平1−313522、USP5010166)にて作製されるため本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが例えば東亞合成品のARUFON UPシリーズ(UP−1000、UP−1110、UP−2000、UP−2130)(SGOと呼ばれる)等が挙げられる(防水ジャーナル2002年6月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、粘度の点から狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
なお、粘度の点から言えば、主鎖に分岐構造を有する方が同一分子量では粘度が低くなるので好ましい。上述の高温連続重合法はこの例として挙げられる。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。また、例えば、本発明のビニル系重合体と架橋性官能基を有する重合体任意成分の一つであるポリエーテル系重合体とを混合した組成物の場合には、混合物の相溶性の点から、フタル酸エステル類、アクリル系重合体が特に好ましい。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくく、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
<充填材>
本発明の硬化性組成物には、活性エネルギー線による硬化を妨げない範囲で、各種充填材を必要に応じて用いても良い。充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、非晶質球形シリカ等)、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末などの充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填材等が挙げられる。
これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。
特に、活性エネルギー線による硬化を進行しやすくするために透明性または強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加できる。これらは透明建築用シーラント、透明DIY接着剤等に好適である。なかでも、比表面積(BET吸着法による)が10m2/g以上、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノシクロポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
補強性の高いシリカ系充填材のより具体的な例としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカの1つである日本アエロジル社のアエロジルや、沈降法シリカの1つである日本シリカ社工業のNipsil等が挙げられる。平均粒径は1nm以上30μ以下のシリカが使用できる。特にヒュームドシリカについては、一次粒子の平均粒径1nm以上50nm以下のヒュームドシリカを用いると、補強効果が特に高いのでより好ましい。なお、本発明における平均粒径とは、篩い分け法による。具体的には、粉体を各種の目開きの篩(マイクロシーブ等)で分級し、測定に供した粉体の全重量の50重量%が通過した篩の目開きに相当する値(重量平均粒径)で定義されるものである。充填剤で補強された組成物は即固定性に優れ、自動車ガラスグレージング接着に好適である。
透明性はPMMA粉末など樹脂粉末などを充填材に用いることによっても得ることができる。
また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果はより大きくなる。炭酸カルシウムの形状は立方形非立方形、不定形等各種の形状が使用できる。
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の組成物の作業性を改善し、該硬化性組成物の接着性と耐候接着性の改善効果がより向上すると考えられる。前記の表面処理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の各種カップリング剤が用いられている。具体例としては、以下に限定されるものではないが、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコール硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、またアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合、配合物のチクソ性や硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性等の改善効果を特に期待する場合には膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。
一方、重質炭酸カルシウムは配合物の低粘度化や増量、コストダウン等を目的として添加することがあるが、この重質炭酸カルシウムを用いる場合は必要に応じて下記のようなものを使用することができる。
重質炭酸カルシウムとは、天然のチョーク(白亜)、大理石、石灰石などを機械的に粉砕・加工したものである。粉砕方法については乾式法と湿式法があるが、湿式粉砕品は本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性を悪化させることが多いために好ましくないことが多い。重質炭酸カルシウムは、分級により、様々な平均粒子径を有する製品となる。特に限定されないが、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果を期待する場合には、比表面積の値が1.5m2/g以上50m2/g以下のものが好ましく、2m2/g以上50m2/g以下が更に好ましく、2.4m2/g以上50m2/g以下がより好ましく、3m2/g以上50m2/g以下が特に好ましい。比表面積が1.5m2/g未満の場合には、その改善効果が充分でないことがある。もちろん、単に粘度を低下させる場合や増量のみを目的とする場合などはこの限りではない。
なお、比表面積の値とは、測定方法としてJIS K 5101に準じて行なった空気透過法(粉体充填層に対する空気の透過性から比表面積を求める方法。)による測定値をいう。測定機器としては、島津製作所製の比表面積測定器SS−100型を用いるのが好ましい。
これらの充填材は目的や必要に応じて単独で併用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に限定はされないが、例えば、必要に応じて比表面積の値が1.5m2/g以上の重質炭酸カルシウムと膠質炭酸カルシウムを組み合わせると、配合物の粘度の上昇を程々に抑え、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が大いに期待できる。
充填材を用いる場合の添加量は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して、充填材を5〜1,000重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、1,000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。充填材は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
なお、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等は多量に添加すると本発明の透明性を妨げ、不透明な硬化物となってしまう恐れがあるので注意が必要である。
<微小中空粒子>
また、更に、物性の大きな低下を起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子をこれら補強性充填材に併用しても良い。
このような微少中空粒子(以下バルーンという)は、特に限定はされないが、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているように、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体が挙げられる。特に、真比重が1.0g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましい。
前記無機系バルーンとして、珪酸系バルーンと非珪酸系バルーンとが例示でき、珪酸系バルーンには、シラスバルーン、パーライト、ガラス(シリカ)バルーン、フライアッシュバルーン等が、非珪酸系バルーンには、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等が例示できる。これらの無機系バルーンの具体例として、シラスバルーンとしてイヂチ化成製のウインライト、三機工業製のサンキライト、ガラス(シリカ)バルーンとして富士シリシア化学のフジバルーン、日本板硝子製のカルーン、住友スリーエム製のセルスターZ−28、EMERSON&CUMING製のMICRO BALLOON、PITTSBURGE CORNING製のCELAMIC GLASSMODULES、3M製のGLASS BUBBLES、旭硝子製のQ−CEL、太平洋セメント製のE−SPHERES、フライアッシュバルーンとして、PFAMARKETING製のCEROSPHERES、FILLITE U.S.A製のFILLITE、アルミナバルーンとして昭和電工製のBW、ジルコニアバルーンとしてZIRCOA製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEES、カーボンバルーンとして呉羽化学製クレカスフェア、GENERAL TECHNOLOGIES製カーボスフェアが市販されている。
前記有機系バルーンとして、熱硬化性樹脂のバルーンと熱可塑性樹脂のバルーンが例示でき、熱硬化性のバルーンにはフェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーンが、熱可塑性バルーンにはサランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンが例示できる。また、架橋した熱可塑性樹脂のバルーンも使用できる。ここでいうバルーンは、発泡後のバルーンでも良く、発泡剤を含むものを配合後に発泡させてバルーンとしても良い。
これらの有機系バルーンの具体例として、フェノールバルーンとしてユニオンカーバイド製のUCAR及びPHENOLIC MICROBALLOONS、エポキシバルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES、尿素バルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES VF−O、サランバルーンとしてDOW CHEMICAL製のSARAN MICROSPHERES、日本フィラメント製のエクスパンセル、松本油脂製薬製のマツモトマイクロスフェア、ポリスチレンバルーンとしてARCO POLYMERS製のDYLITE EXPANDABLE POLYSTYRENE、BASF WYANDOTE製の EXPANDABLE POLYSTYRENE BEADS、架橋型スチレン−アクリル酸バルーンには日本合成ゴム製のSX863(P)が、市販されている。
上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で分散性および配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらの、バルーンは配合物の硬化前では切れ性等の作業性改善、硬化後では柔軟性および伸び・強度を損なうことなく、軽量化させることによるコストダウン、さらには表面のつや消し、スパッタ等意匠性付与等のために使用される。
バルーンの含有量は、特に限定されないが架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜50部、更に好ましくは0.1〜30部の範囲で使用できる。この量が0.1部未満では軽量化の効果が小さく50部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。またバルーンの比重が0.1以上の場合は3〜50部、更に好ましくは5〜30部が好ましい。
<物性調整剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。
物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<シラノール含有化合物>
本発明の硬化性組成物には、硬化物の物性を変える等の必要に応じてシラノール含有化合物を添加しても良い。シラノール含有化合物とは、分子内に1個のシラノール基を有する化合物、及び/又は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物のことをいう。これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に用いてもよい。
シラノール含有化合物の一つである分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、特に限定されず、下記に示した化合物、
(CH33SiOH、(CH3CH23SiOH、(CH3CH2CH23SiOH、(n−Bu)3SiOH、(sec−Bu)3SiOH、(t−Bu)3SiOH、(t−Bu)Si(CH32OH、(C5113SiOH、(C6133SiOH、(C653SiOH、(C652Si(CH3)OH、(C65)Si(CH32OH、(C652Si(C25)OH、C65Si(C252OH、C65CH2Si(C252OH、C107Si(CH32OH
(ただし、上記式中C65はフェニル基を、C107はナフチル基を示す。)
等のような(R")3SiOH(ただし式中R"は同一または異種の置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基)で表わすことができる化合物、
Figure 2011208073
等のようなシラノール基を含有する環状ポリシロキサン化合物、
Figure 2011208073
(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜20の整数を示す。)
等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサン化合物、
Figure 2011208073
(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜20の整数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 2011208073
(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜20の整数を示す。)
等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 2011208073
(式中、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素、酸素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物等が例示できる。中でも、入手が容易であり、効果の点から分子量の小さい(CH33SiOH等が好ましい。
上記、分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、架橋性シリル基を有する重合体の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えるとともに表面低タックや耐埃付着性に優れた組成物を与える。
また本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、
N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、(CH33SiNHSi(CH33、(CH33SiNSi(CH32、アリロキシトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、(CH33SiNHSi(CH33、(CH33SiNSi(CH32
Figure 2011208073
等が好適に使用できるが加水分解生成物の含有シラノール基の量からは(CH33SiN
さらには本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、上記化合物以外に下記一般式(401)で表される化合物が好ましい。
((R583SiO)n59 (18)
(式中、R58は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、nは正数を、R59は活性水素含有化合物から一部あるいは全ての活性水素を除いた基を示す。)
58は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
(R583Si基は、3個のR58が全てメチル基であるトリメチルシリル基が特に好ましい。また、nは1〜5が好ましい。
上記R59の由来となる活性水素含有化合物としては特に限定されないが、例えば、
メタノール、エタノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ヒドロキノン等のフェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、イミダゾール等のアミン類;アセトアミド、ベンズアミド等の酸アミド類、尿素、N,N'−ジフェニル尿素等の尿素類;アセトン、アセチルアセトン、2,4−ヘプタジオン等のケトン類等が挙げられる。
上記一般式(18)で表される水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、例えば上述の活性水素含有化合物等に、トリメチルシリルクロリドやジメチル(t−ブチル)クロリド等のようなシリル化剤とも呼ばれる(R583Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反応し得る基を有する化合物を反応させることにより得ることができるが、これらに限定されるものではない(ただし、R58は上述したものと同様である。)。
上記一般式(18)で表される化合物を具体的に例示すると、
アリロキシトリメチルシラン、 N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、ポリプロピレングリコールのトリメチルシリル化物、ポリプロピレントリオールのトリメチルシリル化物等ポリエーテルポリオールのトリメチルシリル化物、ポリプロピレンテトラオールのトリメチルシリル化物、アクリルポリオールのトリメチルシリル化物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、一般式(((R603SiO)(R61O)stZで表すことができるような化合物、CH3O(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33
CH2=CHCH2(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33
(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33
(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)7Si(CH33
(式中、R60は同一または異種の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素原子、R61は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、s、tは正の整数で、sは1〜6、s×tは5以上、Zは1〜6価の有機基)
等も好適に使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物の中では、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、加水分解後に生成する活性水素化合物はフェノール類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく、活性水素化合物が水酸基であるフェノール類およびアルコール類が更に好ましい。
上記の化合物の中では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物等が好ましい。
この水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、貯蔵時、硬化時あるいは硬化後に水分と反応することにより、分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成する。この様にして生成した分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、上述のようにビニル系重合体の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
このシラノール含有化合物の構造は、本発明のビニル系重合体のYの種類とaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。
シラノール含有化合物は、後述の空気酸化硬化性物質と併用してもよく、併用することにより、硬化物のモジュラスを低いままに保ち、表面へ塗装したアルキッド塗料の硬化性および埃付着性を改善するので好ましい。
シラノール含有化合物の添加量は、硬化物の期待物性に応じて適宜調整可能である。シラノール含有化合物は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部添加できる。0.1重量部未満では添加効果が現れず、50重量部を越えると架橋が不十分になり、硬化物の強度やゲル分率が低下しすぎる。
また、シラノール含有化合物を添加する時期は特に限定されず、重合体の製造時に添加してもよく、硬化性組成物の作製時に添加してもよい。
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。
チクソ性付与剤(垂れ防止剤)は揺変性付与剤ともいう。チクソ性付与とはカートリッジからビード状に押出したり、ヘラ等により塗布したり、スプレー等により吹付けたりするときのように強い力を加えられる時には流動性を示し、塗布ないしは施工後に硬化するまでの間、流下しない性質を付与するものである。
また、チクソ性付与剤(垂れ防止剤)としては特に限定されないが、例えば、ディスパロン(楠本化成製)に代表されるアマイドワックスや水添ヒマシ油、水添ヒマシ油誘導体類、脂肪酸の誘導体、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類、1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート等の有機系化合物や、脂肪酸や樹脂酸で表面処理した炭酸カルシウムや微粉末シリカ、カーボンブラック等の無機系化合物が挙げられる。
微粉末シリカとは、二酸化ケイ素を主成分とする天然又は人工の無機充填剤を意味する。具体的には、カオリン、クレー、活性白土、ケイ砂、ケイ石、ケイ藻土、無水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸マグネシウム、タルク、パーライト、ホワイトカーボン、マイカ微粉末、ベントナイト、有機ベントナイト等を例示できる。
なかでも、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることによって作られる超微粒子状無水シリカや有機ベントナイトが好ましい。少なくとも50m2/g、更には50〜400m2/gの比表面積を有していることが好ましい。また、親水性シリカ、疎水性シリカの何れをも使用することができる。表面処理はあってもなくても構わないが、ケイ素原子に結合した有機置換基としてメチル基のみを有するシラザン、クロロシラン、アルコキシシランもしくはポリシロキサンによりその表面が疎水処理されている疎水性シリカが好ましい。
上記の表面処理剤を具体的に例示すると、ヘキサメチルジシラザン等のようなシラザン類;トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のようなハロゲン化シラン類;トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン等のようなアルコキシシラン類(ここで、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる);環状あるいは直鎖状のポリジメチルシロキサン等のようなシロキサン類等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でもシロキサン類(ジメチルシリコーンオイル)によって表面処理を施された疎水性微粉末シリカが揺変性付与効果の面から好ましい。
また、微粉末シリカにジエチレングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコール等のポリエーテル化合物,ポリエーテル化合物と官能性シランの反応生成物等やエチレンオキシド鎖を有する非イオン系界面活性剤を併用するとチクソ性が増す。この非イオン系界面活性剤は1種又は2種以上使用してもよい。
この微粉末シリカの具体例としては、例えば、日本アエロジル製の商品名Aerosil R974、R972、R972V、R972CF、R805、R812、R812S、RY200、RX200、RY200S、#130、#200、#300、R202等や、日本シリカ製の商品名Nipsil SSシリーズ、徳山曹達製の商品名Rheorosil MT−10、MT−30、QS−102、QS−103、Cabot製の商品名Cabosil TS−720、MS−5,MS−7、豊順洋行製のエスベンやオルガナイト等の市販品が挙げられる。
また、有機ベントナイトとは、主にモンモリロナイト鉱石を細かく粉砕した粉末状の物質で、これを各種有機物質で表面処理したものをいう。有機化合物としては脂肪族第1級アミン、脂肪族第4級アミン(これらはいずれも炭素数20以下が好ましい)などが用いられる。この有機ベントナイトの具体例としては、例えば、白石工業製の商品名オルベンD、NewDオルベン、土屋カオリン製の商品名ハードシル、Bergess Pigment製のクレー#30、Southern Clay社#33、米国National Lead製の「ベントン(Bentone)34」(ジメチルオクタデシルアンモニウムベントナイト)等が挙げられる。
チクソ性指標とは、回転粘度計による粘度測定において、回転速度の低速(例えば、0.5〜12rpm)と高速(例えば、2.5〜60rpm)とにおける見掛け粘度の比を意味する(ただし、高速回転の速度と低速回転の速度の比が少なくとも5、更には5〜10の範囲内が好ましい。
これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<光硬化性物質>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光硬化性物質を添加しても良い。光硬化性物質とは、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。この光硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。この光硬化性物質は、光をあてることにより硬化し得る物質であるが、代表的な光硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に1日間、室温で静置することにより硬化させることができる物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くのものが知られており、その種類は特に限定されないが、例えば、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
不飽和アクリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコール等の低分子量アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類(オリゴエステルアクリレート);ビスフェノールA、イソシアヌル酸等の酸あるいは上記低分子量アルコール等をエチレンオキシドやプロピレンオキシドで変性したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール等の(メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリル系重合体であり、主鎖中に多官能アクリレートを共重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA型やノボラック型等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレート等を反応させることにより得られる分子鎖中にウレタン結合および(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
ポリケイ皮酸ビニル類とは、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル系誘導体が挙げられる。
アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液のほか「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、93頁〜、106頁から、117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。
エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物としては、エポキシ基末端またはビニルエーテル基末端ポリイソブチレン等が挙げられる。
上記の光硬化性物質の中では、取り扱い易いという理由で不飽和アクリル系化合物が好ましい。
光硬化性物質は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類等の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
<空気酸化硬化性物質>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて空気酸化硬化性物質を添加しても良い。空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化できる不飽和基を有する化合物である。この空気酸化硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。本発明における空気酸化硬化性物質は、空気と接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体的には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有するものである。代表的な空気酸化硬化性物質は、例えば空気中で室内に1日間静置することにより硬化させることができる。
空気酸化硬化性物質としては、例えば、桐油、アマニ油等の乾性油;これら乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂;1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C5〜C8ジエンの重合体や共重合体、更には該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが具体例として挙げられる。これらのうちでは桐油、ジエン系重合体のうちの液状物(液状ジエン系重合体)やその変性物が特に好ましい。
上記液状ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のジエン系化合物を重合又は共重合させて得られる液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させて得られるNBR,SBR等の重合体や更にはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら液状ジエン系化合物のうちでは液状ポリブタジエンが好ましい。
空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また空気酸化硬化性物質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果を高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩やアミン化合物等が例示される。
空気酸化硬化性物質は、前述の光硬化性物質と併用してもよく、さらに前述のシラノール含有化合物を併用することができる。これら2成分の併用または3成分の併用によりその効果を更に発揮し、特に長期に渡って曝露される場合や、塵埃や微粉土砂の多い汚染性の過酷な地域においても顕著な汚染防止効果を発揮することがあるので特に好ましい。
空気酸化硬化性物質は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。
<酸化防止剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 例えば、MARK PEP−36、MARK AO−23等のチオエーテル系(以上いずれも旭電化工業製)、Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等のようなリン系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には以下のものが例示できる。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2'−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、MARK AO−30、MARK AO−40、MARK AO−50、MARK AO−60、MARK AO−616、MARK AO−635、MARK AO−658、MARK AO−80、MARK AO−15、MARK AO−18、MARK 328、MARK AO−37(以上いずれも旭電化工業製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、SumilizerGM、SumilizerGA−80(以上いずれも住友化学製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
酸化防止剤は後述する光安定剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐熱性が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などを使用しても良い。
酸化防止剤の使用量は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
<耐光安定剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて耐光安定剤を添加しても良い。耐光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられる。これらに限定されるわけではないが、耐光安定剤の中では、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤化合物が好ましい。具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物を以下に記載する。
コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N'−ビス(3アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリディニル)エステル等が挙げられる。
商品名で言えば、チヌビン622LD、チヌビン144、CHIMASSORB944LD、CHIMASSORB119FL、Irgafos168、(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、MARK LA−52、MARK LA−57、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−82、MARK LA−87、(以上いずれも旭電化工業製)、サノールLS−770、サノールLS−765、サノールLS−292、サノールLS−2626、サノールLS−1114、サノールLS−744、サノールLS−440(以上いずれも三共製)などが例示できるがこれらに限定されるものではない。
耐光安定剤は前述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。組み合わせは特に限定されないが、前述のヒンダードフェノール系酸化防止剤と例えばベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤との組み合わせや前述のヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤化合物との組合せが好ましい。あるいは、前述のヒンダードフェノール系酸化防止剤と例えばベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤化合物との組合せが好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などを使用しても良い。
ヒンダードアミン系光安定剤は前述した光硬化性物質と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。組み合わせは特に限定されないが、この場合、3級アミン含有のヒンダードアミン系光安定剤が貯蔵中の粘度上昇が少なく貯蔵安定性が良好であるので好ましい。
光安定剤の使用量は、架橋性シリル基を有する重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
<相溶化剤>
本発明の硬化性組成物には、相溶化剤を添加することができる。このような添加物の具体例は、たとえば、特開2001−329025の明細書に記載されている複数のビニル系モノマーの共重合体等が使用できる。
<分子中にα,βジオール構造又はα,γジオール構造を有する化合物>
本発明の硬化性組成物に含有される分子中にα,βジオール構造又はα,γジオール構造を有する化合物を添加しても構わない。α,βジオール構造又はα,γジオール構造を有する化合物としては、一般によく知られたものが利用できる。なお、本明細書中、上記α,βジオール構造は、隣接する炭素原子に2つの水酸基を有する構造を表し、上記α,γジオール構造は、一つおいて隣り合う炭素原子に2つの水酸基を有する構造を表し、また、グリセリン等に代表されるように、α,βジオール構造とα,γジオール構造の両方、ないしは何れかの構造を含むトリオールやテトラオール等のポリオールも含む。
上記分子中にα,βジオール構造又はα,γジオール構造を有する化合物としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類;グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタノール等のトリオール類;ペンタエリスリトール、D−ソルビトール、D−マンニトール、ジグリセリン、ポリグリセリン等の4価以上のポリオール類;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノベヘネート等のグリセリンモノカルボン酸エステル類;
ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノオレエート、テトラグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンジステアレート、テトラグリセリンジオレエート、テトラグリセリンジラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレエート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンジステアレート、デカグリセリンジオレエート、デカグリセリンジラウレート等のポリグリセリンカルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノイソステアレート、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノラウレート等のペンタエリスリトールモノカルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジオレエート、ペンタエリスリトールジラウレート等のペンタエリスリトールジカルボン酸エステル類;
ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート等のソルビタンモノカルボン酸エステル類;ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジベヘネート等のソルビタンジカルボン酸エスエル類;グリセリンモノステアリルエーテル、グリセリンモノオレイルエーテル、グリセリンモノラウリルエーテル、グリセリンモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のグリセリンモノアルキルエーテル類;ジグリセリンモノステアリルエーテル、ジグリセリンモノオレイルエーテル、ジグリセリンモノラウリルエーテル、テトラグリセリンモノステアリルエーテル、テトラグリセリンモノオレイルエーテル、テトラグリセリンモノラウリルエーテル、テトラグリセリンジステアリルエーテル、テトラグリセリンジオレイルエーテル、テトラグリセリンジラウリルエーテル、デカグリセリンモノステアリルエーテル、デカグリセリンモノオレイルエーテル、デカグリセリンモノラウリルエーテル、デカグリセリンジステアリルエーテル、デカグリセリンジオレイルエーテル、デカグリセリンジラウリルエーテル等のポリグリセリンアルキルエーテル類;
ペンタエリスリトールモノステアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノオレイルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル等のペンタエリスリトールモノアルキルエーテル類;ペンタエリスリトールジステアリルエーテル、ペンタエリスリトールジオレイルエーテル、ペンタエリスリトールジラウリルエーテル等のペンタエリスリトールジアルキルエーテル類;ソルビタンモノステアリルエーテル、ソルビタンモノオレイルエーテル、ソルビタンモノラウリルエーテル等のソルビタンモノアルキルエーテル類;ソルビタンジステアリルエーテル、ソルビタンジオレイルエーテル、ソルビタンジラウリルエーテル等のソルビタンジアルキルエーテル類等を挙げることができる。
上記化合物の多くは、乳化剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、防曇剤、可溶化剤、増粘剤、滑剤として汎用のものが多く、容易に入手できる。
上記の化合物は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。上記の化合物の使用量は、ビニル系重合体(I)100重量部に対し、0.01〜100重量部が好ましい。0.01重量部未満であると、目的とする効果が得られず、100重量部を超えると、硬化物の機械的強度が不足するという問題点を生じるため好ましくない。より好ましくは、0.1〜20重量部である。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
本発明の硬化性組成物は、実質的に無溶剤で使用できる。作業性の観点等から溶剤を使用しても構わないが、環境への影響から使用しないことが望ましい。
<<配合物の形態>>
本発明の硬化性組成物は、特に限定はされないが、全ての配合成分を予め配合密封保存した1成分型として調製しても良く、重合体(A)と光酸発生剤やその他の硬化剤・硬化触媒を別々にしておき、該配合材を使用前に混合する2成分型として調整しても良い。上述のように、一般的な架橋性シリル基を有する重合体の1成分型は、物理的、化学的に十分な脱水が必要であるが、本発明の組成物の場合は、光酸発生剤は光照射までは硬化触媒として働かないので、厳密な脱水をしなくても良い場合がある。
<<硬化方法>>
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により、硬化させることができる。活性エネルギー線源にはとくに限定はないが、光重合開始剤の性質に応じて、たとえば高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザーなどによる光および電子線の照射があげられる。
<<用途>>
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング剤、サイディングボード用シーリング剤、複層ガラス用シーリング剤、車両用シーリング剤等建築用および工業用のシーリング剤、太陽電池裏面封止剤などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、コンタクト接着剤、タイル用接着剤、反応性ホットメルト接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、缶蓋等のシール材、放熱シート、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、マリンデッキコーキング、注型材料、各種成形材料、人工大理石、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車や船舶、家電等に使用される防振・制振・防音・免震材料、自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤、防水剤等の様々な用途に利用可能である。
更に、本発明の硬化性組成物から得られたゴム弾性を示す成形体は、ガスケット、パッキン類を中心に広く使用することができる。例えば自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。建築分野では、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。スポ―ツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。防振ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。
なかでも、本発明の硬化性組成物は、粘・接着性組成物として有用であり、特にシーラント、接着剤、粘着剤、ポッティング剤、コーティング剤として有用であり、特に耐候性や耐熱性が要求される用途や透明性が必要な用途にも有用である。また、本発明の硬化性組成物は電気、電子機器に有用であり、ディスプレイの表示部分に塗布して使用される事が特に有用である。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
下記合成例、実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
本発明における重合体の合成例を以下に示した。
下記合成例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
<架橋性シリル基含有オキシアルキレン重合体の製造>
(製造例1)
アクトコールP−23(三井武田株式会社製、ポリオキシプロピレングリコール)を開始剤として、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を用いて、プロピレンオキシドを重合することにより、GPC測定(ポリスチレン換算)数平均分子量10800、Mw/Mnが1.2のポリオキシプロピレングリコールを製造し、次いで末端水酸基をメタルオキシ化した。さらに塩化アリルを反応させ、全末端に不飽和基を導入した後、メチルジメトキシシランを不飽和基に対して0.75当量反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有する重合体〔P1〕を得た。〔P1〕の粘度(23℃:B型粘度計)は5.9Pa・sであった。
<加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル系重合体の製造>
(製造例2)
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
アクリル酸エステル(共重合する場合には予め所定量混合されたアクリル酸エステル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸エステルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル2,5−ジブロモアジペートを添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸エステル(表1では追加用モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で揮発分を減圧脱揮して除去し、重合体濃縮物を得た。
(2)ジエン反応工程
上記濃縮物に1,7−オクタジエン(以下ジエン若しくはオクタジエンと略す)、アセトニトリル(表1ではジエン反応用アセトニトリルと記載)を添加し、トリアミン(表1ではジエン反応用トリアミンと記載)を追加した。内温を約80℃〜約90℃に調節しながら数時間加熱攪拌させて、重合体末端にオクタジエンを反応させた。アセトニトリル及び未反応のオクタジエンを減圧脱揮して除去し、末端にアルケニル基を有する重合体を含有する濃縮物を得た。
(3)粗精製工程
上記濃縮物をトルエンで希釈し、ろ過助剤、吸着剤(キョーワード700SEN:協和化学製)、ハイドロタルサイト(キョーワード500SH:協和化学製))を添加し、80〜100℃程度に加熱攪拌した後、固形成分をろ別した。ろ液を濃縮し、重合体粗精製物を得た。
(4)高温加熱処理・吸着精製工程
重合体粗精製物、熱安定剤(スミライザーGS:住友化学(株)製)、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加し、減圧脱揮、加熱攪拌しながら昇温し、約170℃〜約200℃の高温状態で数時間程度加熱攪拌、減圧脱揮を行なった。吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)、を追加し、重合体に対して約10重量部のトルエンを添加し、約170℃〜約200℃の高温状態で更に数時間程度加熱攪拌した。
処理液を更にトルエンで希釈し、吸着剤をろ別した。ろ液を濃縮し、両末端にアルケニル基を有する重合体を得た。
(5)シリル化工程
上記方法により得られた重合体、メチルジメトキシシラン(DMS)、オルト蟻酸メチル(MOF)、白金触媒[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒のイソプロパノール溶液:以下白金触媒という]を所定量混合し、約100℃に加熱攪拌した。1時間程度加熱攪拌後、未反応のDMS等の揮発分を減圧留去し、両末端にメトキシシリル基を有する重合体〔P2〕を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたシリル基数、分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
(製造例3)
表1の製造例3に示す各原料の使用量を用い、製造例2と同様の方法で重合、ジエン反応、精製、高温加熱処理・吸着精製工程、シリル化を行い、重合体〔P3〕を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたシリル基数、分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
Figure 2011208073
(実施例1)
末端に架橋性シリル基を有する有機重合体(A)として、上記製造例1で得られた〔P1〕100部に(B)成分として、オプトマーSP−172(光酸発生剤、トリ(アルキルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、旭電化工業(株)製)1部、(C)成分としてMSi53A(メチルシリケート、コルコート製)10部、(D)成分としてバーサチック酸2.4部、A1100(γ―アミノプロピルトリエトキシシラン)を0.4部、脱水剤としてA171 2部(ビニルトリメトキシシラン、モメンティブマテリアルズ製)、加え、充分に混合して硬化性組成物を得た。
次いで、得られた硬化性組成物をガラス板(50mm×50mm×1mmサイズ)に500μm厚で塗布し、周囲5mmを遮光して、HgドランプにてUV光を照射して(積算光量3000mJ/cm2)、硬化物を得た。UVを照射した部分では、透明な硬化塗膜が得られた。遮光を施した部分にの経時での硬化状態を指触で確認した。結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1の硬化性組成物に、IBXA(イソボロニルアクリレート、大阪有機化学工業製)を10部、光ラジカル開始剤DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.2部と、IRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.1部を加えた他は、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、遮光部の硬化性を確認した。結果を表2に示す。
(実施例3)
末端に架橋性シリル基を有する有機重合体(A)として、上記製造例2で得られた〔P2〕100部に(B)成分としてオプトマーSP−172を1部、(C)成分としてMSi53Aを10部、(D)成分としてバーサチック酸を2.4部、A1100を0.4部、脱水剤としてA171を2部加え、充分に混合して硬化性組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、遮光部の硬化性を確認した。結果を表2に示す。
(実施例4)
末端に架橋性シリル基を有する有機重合体(A)成分として、上記製造例1で得られた〔P1〕50部、製造例3で得られた〔P3〕50部に(B)成分としてオプトマーSP−172を1部、(C)成分としてMSi53Aを5部、(D)成分として、バーサチック酸2.4部、A1100を0.4部、脱水剤としてA171 2部、(E)成分としてA187(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、モメンティブジャパン製)2部、加え、充分に混合して硬化性組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、遮光部の硬化性を確認した。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1のMSI53Aを添加しない以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、遮光部の硬化性を確認した。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例3のMSI53Aを添加しない以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でUV照射を行い、遮光部の硬化性を確認した。結果を表2に示す。
Figure 2011208073
表2に示す様に、シリケート化合物を添加した実施例1〜4では、UV硬化性の低下はなく、遮光部分の硬化性が比較例1、2よりも格段に向上していることが分かる。

Claims (23)

  1. 架橋性シリル基を平均して少なくとも一個、末端に有する有機重合体(A)、
    光酸発生剤(B)、及び
    一般式(1)で表されるシリコン化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物(C)
    (R2a−Si−(OR14-a (1)
    (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基あるいはアルコキシ基、aは0、1または2を示す)
    を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. (C)成分が一般式(1)で表されるシリコン化合物の部分加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 硬化触媒(D)を含有することを特徴する請求項1、2の何れかに記載の硬化性組成物。
  4. (A)成分の有機重合体が、ポリシロキサン、ポリエーテル、ビニル系重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴する請求項1〜3の何れかに記載の硬化性組成物。
  5. (A)成分の有機重合体がビニル系重合体であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の硬化性組成物。
  6. ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
  8. ビニル系重合体の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項5〜7のうち何れかに記載の硬化性組成物。
  9. ビニル系重合体の主鎖が原子移動ラジカル重合法により製造されたものであることを特徴とする請求項5〜7のうち何れかに記載の硬化性組成物。
  10. 架橋性シリル基が一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の硬化性組成物。
    −[Si(R112-b(Y)bO]m−Si(R123-a(Y)a(2)
    (式中、R11およびR12は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。R11またはR12がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
  11. 有機重合体(A)の分子量分布が1.8未満であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の硬化性組成物。
  12. 光酸発生剤(B)が、スルホネートエステル類、オニウム塩類、カルボン酸エステル類からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜11のうち何れかに記載の硬化性組成物。
  13. エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)を含有することを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の硬化性組成物。
  14. エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物(E)が分子中に架橋性シリル基を有することを特徴とする請求項13に記載の硬化性組成物。
  15. ラジカル重合性を有する炭素−炭素二重結合を有する化合物(F)を含有することを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の硬化性組成物。
  16. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
  17. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物からなるシーラント。
  18. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物からなる接着剤。
  19. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物からなる粘着剤。
  20. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物からなるポッティング剤。
  21. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物からなるコーティング剤。
  22. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物を塗布して製造される電気・電子機器。
  23. 請求項1〜15の何れかに記載の硬化性組成物をディスプレイの表示部分に塗布されて製造される電気・電子機器。
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