(実施例1)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する遊技性を有する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技の遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプを備える。遊技球が第1始動入賞口または第2始動入賞口に入球すると、第1の抽選、第2の抽選がそれぞれ実行され、その抽選結果が「大当り」であった場合、大入賞口が開閉を繰り返す特別遊技が開始される。大入賞口が開放されて遊技球が入球すると、その都度所定数の賞球が払い出されることで遊技者は大きな利益を獲得できる。
大当りが確変の付与を伴う当りであれば、特別遊技の終了後に確変状態となる。また、大当りが入球容易状態の付与を伴う当りであれば、特別遊技の終了後に入球容易状態となる。その結果、確変状態であって入球容易状態でない第1遊技状態と、確変状態でなく入球容易状態でもない第2遊技状態と、入球容易状態である第3遊技状態の3つの遊技状態が形成され、これらの遊技状態の間で遷移していくことで遊技が進行する。第3遊技状態は、確変状態である場合と確変状態でない場合の双方が含まれる。なお、確変状態でない状態を適宜、非確変状態や通常確率状態ともいい、入球容易状態でない状態を非入球容易状態や通常入球状態ともいう。
確変付きの大当りは確変付きでない大当りより高い確率で発生する。大当りが入球容易状態付きとなる可能性は、当りの時点での遊技状態に応じて異なる。特別遊技には、通常どおり多くの出玉が獲得できる特別遊技と、実質的に出玉がほとんど獲得できない特別遊技とが実行される。特別遊技が出玉の多い特別遊技となる可能性は、当りの時点での遊技状態やいずれの始動入賞口へ入球させたかに応じて異なる。具体的には、第1始動入賞口への入球を契機とした大当りの場合には出玉がほとんど獲得できない特別遊技となり、第2始動入賞口への入球を契機とした大当りの場合には多くの出玉がある特別遊技となる。第1遊技状態は、入球容易状態による第2始動入賞口への入球が期待できず、出玉がほとんど獲得できない特別遊技が発生する可能性が高く、最も不利な遊技状態である。一方、第3遊技状態は、入球容易状態により第2始動入賞口への入球が期待でき、多くの出玉が獲得できる特別遊技となってその後もその状態が繰り返される可能性が高い最も有利な遊技状態である。第2遊技状態は、第1遊技状態と同様に入球容易状態による第2始動入賞口への入球が期待できず、出玉がほとんど獲得できない特別遊技が発生する可能性が高いが、第2遊技状態での第1始動入賞口への入球を契機とした大当りには入球容易状態が付与されるため、第3遊技状態へ移行しやすい利点がある。遊技性としては、第1遊技状態を「通常モード」として事実上の初期状態と扱い、第3遊技状態を「連チャンモード」として出玉の多い特別遊技が連続発生する可能性が高い状態とする。第2遊技状態を「連チャンモード」へ移行しやすい状態である「準備モード」と位置づける。
このような遊技性においては、電源投入時の遊技状態が問題となる。通常、電源投入時には電源遮断前に保存された遊技状態が復元される。ここで、いわゆる「RAMクリア」とも呼ばれる特別な操作を経て電源が投入された場合、電源遮断前の遊技状態を意図的に復元させない制御がなされる。その場合、電源投入後は確変状態でなく入球容易状態でもない第2遊技状態で遊技が開始されることとなる。しかし、上述の通り、確変状態であって入球容易状態でない第1遊技状態を初期状態とするためには、遊技店にとっては速やかに遊技状態を移行させて遊技条件を整える必要がある。また、第2遊技状態は第3遊技状態へ簡単に移行しやすい状態でもあり、遊技者に過剰な利益を付与しかねない。本実施例では、通常の状態で入球目標とされない第2の始動入賞口に遊技店の店員が遊技球を手で入球させることで素早く遊技状態を初期状態へ移行させることができる遊技機を実現する。以下、そのような構成を説明する。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、第1始動入賞口(以下「第1始動口」という)62、第2始動入賞口(以下「第2始動口」という)63、センター飾り64、大入賞口91、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動口62と第2始動口63とは、遊技領域52のセンター飾り64の下方位置に上下に並ぶように配置されている。第1始動口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、第1始動口62または第2始動口63へ入球があるたびに実行される。
第1始動口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動口63は、始動入賞検出装置75と、拡開機構である普通電動役物65(いわゆる電動チューリップ)と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。
普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動口63への入球容易性が高まる。普通電動役物65の1回の開放時間は、通常状態においては0.2秒程度の短時間であるが、入球容易状態においては普通電動役物65の1回の開放時間が6秒程度と通常入球状態よりも長く設定されるので、遊技球は第2始動口63に入球しやすくなる。
なお、本実施例では、図示のように普通電動役物65が拡開していない状態においては第2始動口63がその直上の第1始動口62によって遮蔽され、その入球が規制される態様となる。また、入球容易状態でない限り普通電動役物65の拡開頻度は低いため、第2始動口63への入球はほぼ期待できない。このように、入球容易状態でない第1遊技状態および第2遊技状態において第2始動口63へ入球させることは、第1始動口62へ入球させるより困難となる。一方、入球容易状態である第3遊技状態になると、普通電動役物65が高頻度で、かつ、長く拡開されることにより第2始動口63への入球容易性が高められ、第1始動口62へ入球させるよりもむしろ第2始動口63へ入球させる方が容易となる。このため、第2始動口63の入球容易性が低い状態においては主に第1始動口62へ入球させ、第2始動口63の入球容易性が高められた状態においては主に第2始動口63へ入球させる遊技性となる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態においては第2始動口63は入球困難な状態となるが、遊技店員が扉14を開錠して開扉した場合には遊技店員が手で遊技球を第2始動口63に直接入球させることは、配置的にも構造的にも十分可能である。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口91は、第1の遊技および第2の遊技に共通の大入賞口として設けられ、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置77と、大入賞口91を拡開させるための大入賞口ソレノイド78を備える。入賞検出装置77は、大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口91は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口91は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口91の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口91を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口91の入賞検出装置77は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左下方に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが左右に並設され、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動が表示される。遊技領域52の略中央には演出表示装置60が設けられ、第1特別図柄192または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
第1特別図柄192は、第1始動口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。本実施例における第1特別図柄192および第2特別図柄193は、当りの図柄態様である「0」〜「9」のいずれかの数字や記号、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71へ表示されることにより、第1特別図柄192および第2特別図柄193の図柄変動表示が実現される。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の第1特別図柄192および第2特別図柄193を表現してもよい。
演出表示装置60は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、第1特別図柄192および第2特別図柄193で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数の図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は普通電動役物65を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常入球状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。普通電動役物65の開放時間は、例えば通常状態では0.2秒間であり、入球容易状態では6秒間である。普通図柄の変動時間は、例えば通常状態では30〜60秒間であり、入球容易状態では2秒間である。なお、上述の通り普通図柄の当り確率の変動、普通電動役物65の開放時間の延長、普通図柄の変動時間の短縮の3つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める構成を本実施例では採用する。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動口63への入球容易性を高めることは可能である。また、後述の通り本実施例ではいわゆる「時短」と呼ばれる特別図柄の変動時間短縮機能を入球容易状態においてさらに実施する仕様とするが、変形例では入球容易状態において特別図柄の時短を実施しない仕様としてもよい。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、第1特別図柄保留表示装置20および第2特別図柄保留表示装置21が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1特別図柄表示装置70の下方には第1の遊技に対応する第1特別図柄保留表示装置20が設けられ、第2特別図柄表示装置71の下方には第2の遊技に対応する第2特別図柄保留表示装置21が設けられている。第1特別図柄保留表示装置20は2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第1の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第1特別図柄保留表示装置20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特別図柄保留表示装置21も2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第2の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第2特別図柄保留表示装置21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
普通図柄保留表示装置22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄195の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄195の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や第1始動口62、第2始動口63、大入賞口91の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
第1始動口62または第2始動口63に入球すると、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71および演出表示装置60において第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。第1特別図柄192および第2特別図柄193は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって第1特別図柄192および第2特別図柄193が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の第1特別図柄192、第2特別図柄193、および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときの通常外れ演出パターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのリーチ外れ演出パターンと、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときのリーチ大当り演出パターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
特別遊技には通常特別遊技と短縮特別遊技の2種類があり、それぞれ獲得賞球による利益に大きな差が生じる。通常特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口91が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口91の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口91の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば8回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって通常特別遊技が終了される。通常特別遊技においては、1回の単位遊技あたり9球以上の入球が十分に期待でき、8回分の単位遊技によって十分な賞球(これを「出玉」ともいう)を獲得でき、大きな利益が得られる。
一方、短縮特別遊技は、開始デモ時間および終了デモ時間もなく、1回の単位遊技で大入賞口91を0.2秒間だけ開放させる。この単位遊技を2回繰り返して短縮特別遊技が終了される。短縮特別遊技では、ごく短時間の大入賞口91の開放を2回繰り返すだけであるため、大入賞口91にはほとんど入球し得ず、実質的に出玉がほぼゼロに等しい特別遊技である。
特別遊技が終了した後の通常遊技において特定遊技の一つである入球容易状態が開始される。入球容易状態においては、開放抽選が当りになる確率を通常より高め、普通図柄の変動時間を通常状態より短縮するとともに、普通電動役物65の拡開時間を通常状態よりも長くする、いわゆる開放延長を実行する。このように、入球容易状態では一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動口63への入球容易性も増すため、第2始動口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、入球容易状態では第2始動口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさないか、あるいは少しずつ持ち玉を増やしながら遊技し続けることが可能となる。入球容易状態においては、さらに第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば30回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば入球容易状態もいったん終了する。入球容易状態において第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確変がさらに開始される。確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。
本実施例においては、第1始動口62への入球を契機として発生した大当りに対しては短縮特別遊技を実行し、第2始動口63への入球を契機として発生した大当りに対しては通常特別遊技を実行する。通常モードおよび準備モードにおいては、入球容易状態でないため第2始動口63への入球はほとんど期待できず、結果として出玉のない短縮特別遊技が実行される可能性が高い。連チャンモードにおいては、入球容易状態であるため第2始動口63への入球が期待でき、結果として多くの出玉が得られる通常特別遊技が実行される可能性が高い。
通常モードおよび準備モードにおいては、普通電動役物65が拡開しない限り第2始動口63には実質的に入球しない。このとき、遊技店員は扉14を解錠して開扉した状態であれば、手で第2始動口63に直接入球させることは可能である。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40は、ぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。遊技店員がRAMクリアスイッチ41を押下しながら電源スイッチ40をオンしたときに、電源遮断前の遊技状態を意図的に復元させない制御であるRAMクリアが実行される。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動口62、第2始動口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動口62、第2始動口63、大入賞口91、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、電源ユニット48のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、電源スイッチ40がオンされることにより電源ユニット48から電力が供給され、オフされることにより電源ユニット48からの電力供給が遮断される。遊技制御装置100は、電源スイッチ40がオンまたはオフされたときにその旨を示す信号を電源ユニット48から受け取り、RAMクリアスイッチ41がオンされたときもその旨を示す信号を電源ユニット48から受け取る。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段129、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定判定手段121、特定遊技制御手段122、開閉制御手段124、特図調整手段152、遊技状態保持手段158を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口91に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、当否抽選手段として機能する。第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114を含み、第1始動口62への入球に対応する当否抽選として第1の抽選を実行する。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119を含み、第2始動口63への入球に対応する当否抽選として第2の抽選を実行する。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。例えば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1当否抽選値、第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当りまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、通常確率状態においては通常の当り確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動状態においては通常確率より当り確率が高くなる当否テーブルを参照する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当りおよび外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、当りとなったときの遊技状態が確変状態であるか否かに応じて異なる対応関係が参照される。対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて当り確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。通常確率状態、すなわち非確変状態では当否抽選値が0〜4099の範囲に該当したときに大当りとなり、当り確率は約1/16となる。確変状態では大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜4099の範囲に該当する場合だけでなく、4100〜4369の範囲に該当する場合にも大当りとなり、当り確率は約1/15となる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化し、確変状態と通常確率状態とで当り確率に関して高低の違いはあるものの、その差は僅かである。したがって、通常確率状態といっても確変状態と比べて当り確率が著しく低いということもなく、比較的当りは発生しやすい状況にあるといえる。逆に確変状態とはいっても通常確率状態と比べて当り確率が格段に高いということもなく、通常確率状態と比べてもさほど有利な状態にあるとはいえない。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
図3に戻り、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による判定結果は、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71において第1特別図柄192および第2特別図柄193の形で変動表示される。また、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定の結果と、別途取得する図柄抽選値と、特定判定手段121による判定結果とに基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。特別図柄の停止図柄を決定する方法を説明する前に、停止図柄を決定するための前提となる遊技状態の移行態様について説明する。
特定判定手段121は、第1遊技状態である通常モードと、第2遊技状態である準備モード、第3遊技状態である連チャンモードの間で遊技状態を遷移させる。通常モードでは、特定判定手段121は後述の確率変動手段154を作動させるとともに、後述の入球変動手段156を非作動とさせる。すなわち、確変状態かつ通常入球状態とさせる。準備モードでは、特定判定手段121は確率変動手段154を非作動にさせるとともに入球変動手段156も非作動とさせる。すなわち、通常確率状態かつ通常入球状態とさせる。連チャンモードでは、特定判定手段121は確率変動手段154を作動させるとともに入球変動手段156も作動させる。すなわち、確変状態かつ入球容易状態とさせる。ただし、入球容易状態である限りは通常確率状態となった場合でも連チャンモードは維持される。特定判定手段121は、当否抽選が当りとなった場合に、その特別遊技後に通常モード、準備モード、連チャンモードのいずれの遊技状態へ移行させるかを決定する。
特定判定手段121は、当否抽選が当りである場合、確率変動手段154を非作動とする確率より高い確率で確率変動手段154を作動させる。すなわち、当否抽選が当りの場合は、通常確率状態へ移行させる確率よりも高い確率で確変状態へ移行させる決定をする。確変状態が維持される期間は、次の当りが発生するか、または当りが発生しない限りは長くとも外れの図柄変動回数が所定の確変終期回数に到達するまでと定められる。通常モードにおいて確変状態のまま外れの図柄変動回数が確変終期回数、例えば「50回」に達した場合、特定判定手段121は遊技状態を通常確率状態である準備モードへ移行させる。入球容易状態が維持される期間は、次の当りが発生するか、または、当りが発生しない限りは長くとも外れの図柄変動が所定の入球容易終期回数に到達するまでと定められる。入球容易状態のまま外れの図柄変動が入球容易終期回数、例えば「30回」に達した場合、特定判定手段121は遊技状態を通常入球状態である通常モードまたは準備モードへ移行させる。
確変状態が連続したまま発生し得る当りの連続回数に関しては、その上限回数として「30回」があらかじめ定められている。特定判定手段121は、確変連続上限回数に達するまでは確変状態および通常確率状態のいずれにも移行し得るよう決定するのに対し、確変連続上限回数に達する当りの場合は通常確率状態である準備モードへ移行する旨の決定をする。入球容易状態が連続したまま発生し得る当りの回数に関しては、その上限回数として「20回」があらかじめ定められている。特定判定手段121は、入球容易連続上限回数に達するまでは当りに必ず入球容易状態を付与する連チャンモードへの移行を決定するのに対し、入球容易連続上限回数に達する当りの場合は通常入球状態である通常モードまたは準備モードへ移行する旨の決定をする。
図5は、通常モード、準備モード、連チャンモードの間でなされる遊技状態の移行態様を示す状態遷移図である。本図では、相対的に高い確率で発生する当りによる移行が実線で描かれ、相対的に低い確率で発生する当りによる移行が一点鎖線で描かれる。外れの連続によってなされる移行が破線で描かれる。まず、初期状態として第1遊技状態である通常モード300で遊技が開始される場合、当りには高い確率で確変が付与されるため通常モード300が維持されやすく(S500)、低い確率ではあるが確変が付与されない当りとなったときに準備モード302へ移行する(S502)。確変が付与されるか否かは、第1抽選手段126および第2抽選手段128による後述の図柄決定結果により判定される。通常モード300において外れの連続回数が確変終期回数に達した場合は(S504)、準備モード302へ移行する(S506)。確変付き大当りの連続を経て通常モード300が維持されたまま当りの連続回数が確変上限回数に達した場合は(S508)、準備モード302へ移行する(S510)。本図に示される通り、通常モード300における当りには入球容易状態への移行が付与されないため、当りが発生しても高い確率で通常モード300へ戻るか、低い確率で準備モード302へ移行するだけであり、連チャンモード304へは移行しない。ただし、変形例としては、低い確率で当りに入球容易状態への移行を付与することで、通常モード300から連チャンモード304へ移行する可能性のある遊技性を採用してもよい。
準備モード302において確変を伴う大当りが発生したとき、その当りが第1始動口62への入球を契機とする当りの場合は(S512)、連チャンモード304へ移行し(S513)、その当りが第2始動口63への入球を契機とする当りの場合は(S516)、通常モード300へ戻される(S517)。準備モード302において確変を伴わない大当りが発生したとき、その当りが第1始動口62への入球を契機とする当りの場合は(S514)、確変を伴う大当りと同様に連チャンモード304へ移行するが(S515)、その当りが第2始動口63への入球を契機とする当りの場合は(S518)、準備モード302へ戻される(S519)。
連チャンモード304において確変を伴う大当りが発生するとき、その当りには入球容易状態が付与されるため連チャンモード304が維持される(S520)。連チャンモード304において確変を伴わない大当りが発生するときもまた、その当りには入球容易状態が付与されるため連チャンモード304が維持される(S521)。外れの連続回数が入球容易終期回数に達した場合は(S522)、その時点で確変状態であれば通常モード300へ移行し(S524)、通常確率状態であれば準備モード302へ移行する(S526)。連チャンモード304が維持されたまま確変を伴う大当りが発生して当りの連続回数が入球容易上限回数に達した場合は(S528)、通常モード300へ移行する(S530)。連チャンモード304が維持されたまま確変を伴わない大当りが発生して当りの連続回数が入球容易上限回数に達した場合は(S532)、準備モード302へ移行する(S534)。なお、連チャンモード304においても確変を伴う大当りの際には、通常モード300と同様に確変終期回数が定められるが、入球容易終期回数が「30回」であり且つ確変終期回数が「50回」であれば、外れの連続回数がまず入球容易終期に達した時点で、通常モード300へ移行し、その後確変終期回数に達した時点で準備モード302へ移行することとなる。よって連チャンモード304のまま確変終期回数に達することはない。
図3に戻り、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、特定判定手段121による判定結果にしたがい、当否判定の結果と図柄抽選値に基づいて特別図柄の停止図柄を決定する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する図柄範囲テーブルを保持する。第1特別図柄192または第2特別図柄193を決定するための図柄範囲テーブルには、「0」〜「9」の数字や記号および「−」の記号で表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。
図6は、当否抽選の結果が大当りに該当した場合に参照する第1図柄判定テーブルを模式的に示す図である。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。第1図柄判定テーブル400には、特別図柄番号「1」〜「10」の特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。
本図に示す通り、特別図柄番号「1」〜「10」のうち「2」「4」「6」「8」「10」が確変付き大当りに対応付けられ、残りの特別図柄番号「1」「3」「5」「7」「9」が確変付きでない通常大当りに対応づけられている。図示するとおり、通常大当りに対しては「0、1」「52、53」「104、105」「156」「207」の計8個の抽選値が対応づけられているにすぎないのに対し、確変付き大当りに対しては残りの抽選値、すなわち248個の抽選値が対応づけられている。これにより、第1図柄判定テーブル400を参照するモードにおいて当りのうち約97%が確変付きの大当りとなり、約3%が通常大当りとなる。
図7は、連続当り回数が確変連続上限回数に達したときに参照する第2図柄判定テーブルを模式的に示す図である。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否抽選の結果が大当りに該当した場合であっても、連続当り回数が確変連続上限回数に達したときの図柄判定においては、図6の第1図柄判定テーブル400に代えて本図の第2図柄判定テーブル402を参照する。第2図柄判定テーブル402には、特別図柄番号「11」の特別図柄にすべての図柄抽選値が対応付けられている。特別図柄番号「11」の特別図柄は、確変を伴わず、入球容易状態の付与も伴わない大当りを示す図柄である。これにより、連続当り回数が確変連続上限回数に達したときは100%の確率で確変も入球容易状態も伴わない大当りとなって準備モードへ移行する。なお、本実施例においては、特別図柄番号「11」の特別図柄にすべての図柄抽選値を対応付けた例を説明した。変形例では、確変は伴わないが入球容易状態は伴う大当りを示す別の特別図柄に一部の図柄抽選値を対応付けることで、そのような大当りが低い確率で発生するような図柄判定テーブルとしてもよい。
図8は、連続当り回数が入球容易連続上限回数に達したときに参照する第3図柄判定テーブルを模式的に示す図である。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否抽選の結果が大当りに該当した場合であっても、連続当り回数が入球容易連続上限回数に達したときの図柄判定においては、図6の第1図柄判定テーブル400に代えて本図の第3図柄判定テーブル404を参照する。第3図柄判定テーブル404には、この図柄判定テーブルには、特別図柄番号「12」〜「21」の特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。
本図に示す通り、特別図柄番号「12」〜「21」のうち「13」「15」「17」「19」「21」が確変付きであって入球容易状態を伴わない大当りに対応付けられ、残りの特別図柄番号「12」「14」「16」「18」「20」が確変も入球容易状態も伴わない大当りに対応づけられている。図示するとおり、確変も入球容易状態も伴わない大当りに対しては「0、1」「52、53」「104、105」「156」「207」の計8個の抽選値が対応づけられているにすぎないのに対し、確変付きであって入球容易状態を伴わない大当りに対しては残りの抽選値、すなわち248個の抽選値が対応づけられている。これにより、連続当り回数が入球容易連続上限回数に達したときは、当りのうち約97%が確変付きであって入球容易状態を伴わない大当りとなって通常モードへ移行し、約3%が確変も入球容易状態も伴わない大当りとなって準備モードへ移行する。
図9は、当否抽選の結果が外れに該当した場合に参照する第4図柄判定テーブルを模式的に示す図である。本図に示す通り、第4図柄判定テーブル406においては、外れを示す特別図柄番号「0」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
以上の通り、当否抽選が当りの場合、その特別遊技後の遊技状態が確変状態となるか否かおよび入球容易状態となるか否かは、特定判定手段121による判定結果と、第1抽選手段126および第2抽選手段128による図柄決定結果とによって決定される。
図3に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得するパターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得するパターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルをそれぞれ複数保持する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
普図抽選手段129は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値(以下「普図抽選値」ともいう)を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段129が参照する当否テーブルには、当りまたは外れの判定結果と普図抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。入球容易状態では250/256程度の高確率で当たるよう設定され、作動口68を遊技球が通過するとほぼ確実に第2始動口63が拡開される。逆に通常状態では1/256程度の低確率に設定される。普図抽選手段129による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄195の形で変動表示される。普図抽選手段129は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄195の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。その図柄範囲テーブルには普図抽選値と普通図柄195の対応関係が定められており、普図抽選手段129は、普通図柄195の停止図柄を図柄範囲テーブルを参照して決定する。
普図抽選手段129は、また、普通図柄195の変動時間を決定するために参照すべき時間決定テーブルを保持し、内部状態に応じて普通図柄195の変動時間を選択する。普図抽選手段129は、通常状態における普通図柄195の変動表示において30秒から60秒の間で比較的長い変動時間をランダムに選択する。一方、入球容易状態においては2秒と通常状態よりも相当短い変動時間を選択する。時間決定テーブルには、このような内部状態と普通図柄195の変動時間との対応関係が定められており、普図抽選手段129は、普通図柄195の変動時間を時間決定テーブルを参照して決定する。
普通図柄195について決定された停止図柄が所定の図柄となった場合、普通図柄195が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄195の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、特図保留手段144、普図保留手段147を含む。特図保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持するが、その当否抽選値の当否判定結果とともに保持してもよい。その保留数が第1特別図柄保留表示装置20の点灯数により表される。特図保留手段144は、また、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持するが、その当否抽選値の当否判定結果とともに保持してもよい。その保留数が第2特別図柄保留表示装置21の点灯数または点滅数により表される。普図保留手段147は、普図抽選手段129により取得された普図抽選値を保留球として保持する。その保留数が普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了したことを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段129による抽選の結果を普通図柄195の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。特図調整手段152は、第1始動口62および第2始動口63のうちいずれに遊技球が入球したかの順序に関係なく、第2始動口63への入球に基づく第2特別図柄193の変動表示を、第1始動口62への入球に基づく第1特別図柄192の変動表示より優先させる。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、つねに第2当否抽選値を優先的に消化させ、第2特別図柄193を連続的に変動表示させる。これにより、出玉の獲得が期待できない第1始動口62への入球よりも、出玉の獲得が期待できる第2始動口63への入球に基づく図柄変動が優先的に実行されるため、遊技者の期待に添った遊技の進行が実現される。
なお、変形例における特図調整手段152は、第1特別図柄192の変動表示と第2特別図柄193の変動表示とを、第1始動口62および第2始動口63への入球順序にしたがって選択的に変動表示させてもよい。例えば、第1始動口62、第1始動口62、第2始動口63の順序で入球したときは、第1特別図柄192、第1特別図柄192、第2特別図柄193の順序で変動表示される。この場合、特図調整手段152は保留制御手段116を監視して当否抽選値の保留順序を記憶する。どちらの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順、すなわち保留制御手段116における当否抽選値の保留順序にしたがって決定されるので、遊技者は変動の順序を視覚的に把握しやすい。
別の変形例における特図調整手段152は、第1特別図柄192の変動表示と第2特別図柄193の変動表示とを、入球順序にかかわらず予め定められた消化順序にて表示させてもよい。例えば、第1特別図柄192の変動表示と第2特別図柄193の変動表示とを交互に表示することを優先してもよい。例えば、第1当否抽選値および第2当否抽選値の双方が保留されているとき、第1特別図柄192と第2特別図柄193とが交互に変動表示される。いずれの特別図柄を変動させるべきかが遊技球の入球順に関係なく単純に交互に入れ替わるので、遊技者は変動の順序を感覚的に把握しやすい。
特図調整手段152は、また、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方が当り態様で停止されたときは他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。
特別遊技は、大入賞口91の開閉動作を複数回連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。第1始動口62への入球を契機とした大当りの場合は短縮特別遊技として2回の単位遊技で構成される2R特別遊技を実行する。2R特別遊技では、1回の単位遊技において大入賞口91を原則として約0.2秒間開放させる。第2始動口63への入球を契機とした大当りの場合は通常特別遊技として8回の単位遊技で構成される8R特別遊技を実行する。8R特別遊技では、1回の単位遊技において大入賞口91を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
このように、特別遊技制御手段120は、遊技者が獲得できる利益の大きさ、すなわち出玉量の多さが異なる複数種の特別遊技のうちいずれの特別遊技を実行するかは、その当りが第1始動口62と第2始動口63のいずれへの入球を契機としたかで異なる。その結果、第1始動口62への入球を契機とした当りであれば第2始動口63への入球を契機とした当りよりも高い確率で相対的に利益の小さい短縮特別遊技を実行することとなる。逆に、その当りが第2始動口63への入球を契機とした当りであれば第1始動口62への入球を契機とした当りよりも高い確率で相対的に利益の大きい通常特別遊技を実行することとなる。また、第2始動口63は、入球容易状態である連チャンモードでなければ容易に拡開しないため、通常モードや準備モードでは滅多に拡開せず入球困難な状態であるのに対して、連チャンモードでは頻繁に拡開して入球容易な状態となる。したがって、特別遊技制御手段120は、通常モードや準備モードでの当りの場合は短縮特別遊技を実行する可能性が高く、連チャンモードでの当りの場合は通常特別遊技を実行する可能性が高い。
特定遊技制御手段122は、確率変動手段154および入球変動手段156を有し、確変状態および入球容易状態における通常遊技を制御する。確率変動手段154は、確変付きの大当りであった場合に作動し、その特別遊技の終了後に遊技状態を確変状態に移行させる。確変状態へ移行してからの特別図柄の変動回数が、確変終期としてあらかじめ定められた回数、例えば40回に達したとき、確率変動手段154は非作動となって遊技状態が通常の確率状態へ戻される。また、確変状態のまま発生する当りの連続回数が確変連続上限回数、例えば30回に達したときも、確率変動手段154は非作動となって遊技状態が通常の確率状態へ戻される。
入球変動手段156は、入球容易状態の付与を伴う大当りであった場合に作動し、その特別遊技の終了後に遊技状態を入球容易状態に移行させる。入球容易状態においては、普通図柄抽選が当りとなる確率が通常入球状態よりも高くなり、さらに第2始動口63が拡開する期間が通常入球状態よりも相対的に長くなる開放延長がなされる。入球容易状態においては、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。入球容易状態へ移行してからの特別図柄の変動回数が入球容易終期としてあらかじめ定められた回数、例えば30回に達したとき、入球変動手段156は非作動となって遊技状態が通常の入球状態へ戻される。また、入球容易状態のまま発生する当りの連続回数が入球容易連続上限回数、例えば20回に達したときも、入球変動手段156は非作動となって遊技状態が通常入球状態へ戻される。
開閉制御手段124は、第2始動口63の普通電動役物65や大入賞口91の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄195が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、入球容易状態においては普通電動役物65を通常状態に比べて長い時間作動させ、第2始動口63を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。第2始動口63の入球容易性を高め、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。開閉制御手段124は、特別遊技においては大入賞口ソレノイド78に開放指示を送り、大入賞口91を開放させる。
遊技状態保持手段158は、遊技状態がどの状態であるかを特定できる状態情報を所定の内蔵の不揮発性メモリに記憶させる。遊技状態保持手段158は、電源スイッチ40の操作により電源ユニット48からの電力供給が遮断されるときはその時点の状態情報を不揮発性メモリに記憶させた状態で遮断がなされる。遊技状態保持手段158は、次の電源投入時に不揮発性メモリから状態情報を読み出して電源遮断前の遊技状態の少なくとも一部を復元させる。
一方、いわゆる「RAMクリア」と呼ばれる特別な操作方法を経て電源が投入される場合、遊技状態保持手段158は、その遮断前の遊技状態を不揮発性メモリから読み出さずに電源を投入させる。その特別な操作方法は、通常の電源投入のための電源スイッチ40の操作方法とは異なる操作方法であり、RAMクリアスイッチ41を押しながら電源スイッチ40を操作する方法である。遊技状態保持手段158は、その特別な操作方法を経て電源投入されたときは、電源遮断前の遊技状態が復元されないため、初期状態である第2遊技状態、すなわち非確変状態かつ非入球容易状態にて起動する。なお、変形例として、上記の特別な操作方法を経て電源投入されたときに、不揮発性メモリに保存された状態情報を消去してもよいし、読み込んだ上で破棄してもよい。あるいは、その状態情報を復元する処理自体を電源投入時にスキップすることとしてもよい。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に前兆として予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、読み出した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、第1抽選手段126または第2抽選手段128による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば第2始動口63への入球を契機とした通常特別遊技に対応する当りであった場合は「777」や「111」のように同じ数字図柄が3つ揃った組合せが選択される。逆に、第1始動口62への入球を契機とした短縮特別遊技に対応する当りであった場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が不揃いである特定の組合せが選択される。第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が外れであって確変終期回数に達する外れである場合、準備モードへ移行する好ましい外れであることを示すため3つの図柄が所定規則で並ぶ「123」「789」のような特別な組合せが選択される。確変終期回数に達する外れ以外の外れであった場合は、上述の特定の組合せや特別な組合せ以外の不揃いな3つの図柄の組合せが選択される。当否判定結果が外れを示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。なお、通常モードは入球容易状態ではないため、第1始動口62への入球を契機とした当り、すなわち短縮特別遊技しかほぼ発生しない構成である。ただし変形例としては、通常モードにおける第1始動口62への入球を契機とした当りのうち、低い確率で通常特別遊技を発生させる構成としてもよい。この場合、高い確率で確変を伴う当りであって準備モードへ移行できない当りであるため、好ましい当りではないものの、出玉が獲得できる当りではあるため、図柄態様決定手段131は3つの数字図柄が揃った組合せで装飾図柄を選択してもよい。
装飾図柄の変動パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当り図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動パターンを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して前兆設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
演出決定手段132は、遊技状態が現在どの状態にあるかを遊技者へ示すために、遊技状態に応じた画面の表示内容を決定する。本実施例においては、演出決定手段132は遊技状態に応じて画面の背景色を決定する。演出決定手段132は、遊技状態の移行があったとき、その移行に合わせて画面背景色の変化を決定する。例えば、当否抽選が当りとなったことにより、通常モード、準備モード、連チャンモードの間で遊技状態が移行された場合はもちろん画面の背景色を変化させる。また、通常モードにおける外れの連続回数が確変終期回数に達して準備モードへ移行した場合や、連チャンモードにおける外れの連続回数が入球容易終期回数に達して通常モードまたは準備モードへ移行した場合にも、画面の背景色を変化させる。さらに、通常モードにおける当りの連続回数が確変連続上限回数に達して準備モードへ移行した場合や、連チャンモードにおける当りの連続回数が入球容易連続上限回数に達して通常モードまたは準備モードへ移行した場合にも、画面の背景色を変化させる。これにより、遊技者は画面の背景色やその変化を見ることで現在の遊技状態を容易に把握することができる。なお、変形例として、現在の遊技状態を遊技者に示すために、背景色に限らず文字、絵、模様、音等の他の要素を用いて画面に表示する仕様を採用してもよい。
演出表示制御手段134は、第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄190を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技状態に応じて演出決定手段132により決定された背景色を演出表示装置60の画面に表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
以上の構成において、遊技店の開店前に遊技店員によりRAMクリアと呼ばれる特別な操作方法で電源投入された場合、遊技性における事実上の初期状態とは異なる準備モードで起動してしまう。そのまま遊技者に遊技させた場合、第1始動口62への入球を経て比較的容易に連チャンモードへと移行してしまい、結果として過剰に利益を付与することになりかねない。この点、準備モードにおいては第2始動口63へ入球させることで容易に通常モードへ移行させることができるので、遊技店員は開店前に扉14を解錠して開扉し、手で第2始動口63へ直接入球させ、当りが発生するまで手で入球を繰り返すことができる。また、準備モードでの通常の遊技では第2始動口63への入球はそもそも困難な状態であるため、第2始動口63への入球によって通常モードへ移行しやすくなっているとはいっても、通常の遊技であれば遊技者が誤って第2始動口63へ入球させてしまう心配も少ない。したがって、実質的に遊技性を妨げることなく遊技店員のために第2始動口63を活用して素早く通常モードへ移行させることができる遊技機を提供できる。
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動口62、第2始動口63、一般入賞口72、大入賞口91などへ入球した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数にて各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図11は、図10におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S30のN)、第2特別図柄193の変動表示タイミングであれば(S32のY)、第2当否判定手段117が特図保留手段144から第2当否抽選値を読み出して第2の抽選の当否を判定する(S34)。特定判定手段121が遊技状態に応じて確変状態への移行要否および入球容易状態への移行要否を判定するとともに遊技状態の変化があれば演出決定手段132が画面背景色を決定する(S35)。第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し、演出決定手段132が決定された変動パターンに対応する装飾図柄190の変動演出パターンを決定する(S38)。その後、第2特別図柄193および装飾図柄190の図柄変動が開始される(S48)。
第2当否抽選値の保留がなく、第2特別図柄193の変動表示タイミングではない場合であって(S32のN)、第1特別図柄192の変動表示タイミングであった場合(S40のY)、第1当否判定手段113が特図保留手段144から第1当否抽選値を読み出して第1の抽選の当否を判定する(S42)。特定判定手段121が遊技状態に応じて確変状態への移行要否および入球容易状態への移行要否を判定するとともに遊技状態の変化があれば演出決定手段132が画面背景色を決定し(S43)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定する(S46)。その後、第1特別図柄192および装飾図柄190の図柄変動が開始される(S48)。第1特別図柄192の変動表示タイミングでなかった場合はS42からS46までの処理がスキップされる(S40のN)。
S30において図柄変動が開始済みであった場合は(S30のY)、図柄変動表示処理を実行し(S49)、タイミングに応じた変動終了の処理がなされる(S50)。なお、変形例として、第1特別図柄192の変動開始タイミングであるか、第2特別図柄193の変動開始タイミングであるかを、特図調整手段152により記憶された第1始動口62への入賞と第2始動口63への入賞の順序に応じて決定してもよい。
図12は、図11におけるS35およびS43の遊技状態判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選が当りであり(S60のY)、その時点での遊技状態が通常モードであった場合(S62のY)、確変連続上限回数に達していれば(S66のY)、第2図柄判定テーブル402を参照して特別図柄の停止図柄を決定し(S69)、特定判定手段121は準備モードへ移行する決定をするとともに演出決定手段132が準備モードの画面背景色を決定する(S70)。確変連続上限回数に達していなければ(S66のN)、第1図柄判定テーブル400を参照して特別図柄の停止図柄を決定し(S67)、特定判定手段121は通常モードまたは準備モードへ移行する決定をするとともに演出決定手段132が通常モードまたは準備モードの画面背景色を決定する(S68)。なお、実際に通常モードとなるか準備モードとなるかは、S67において決定された特別図柄の停止図柄により決定され、確変を伴う大当りを示す図柄であった場合に通常モードとなり、確変を伴わない大当りを示す図柄であった場合に準備モードとなる。
当りの時点での遊技状態が通常モードではなく(S62のN)、準備モードであった場合(S72のY)、第1始動口62への入球を契機とした当りであれば(S74のY)、第1図柄判定テーブル400を参照して特別図柄の停止図柄を決定し(S75)、特定判定手段121は確変を伴うか否かにかかわらず連チャンモードへ移行する決定をするとともに演出決定手段132が連チャンモードの画面背景色を決定する(S76)。一方、第2始動口63への入球を契機とした当りであれば(S74のN)、第1図柄判定テーブル400を参照して特別図柄の停止図柄を決定し(S77)、特定判定手段121は通常モードまたは準備モードへ戻す決定をするとともに演出決定手段132が通常モードまたは準備モードの画面背景色を決定する(S78)。なお、実際に通常モードとなるか準備モードとなるかは、S77において決定された特別図柄の停止図柄により決定され、確変を伴う大当りを示す図柄であった場合に通常モードとなり、確変を伴わない大当りを示す図柄であった場合に準備モードとなる。ただし、この場合、約97%という極めて高い確率で確変を伴う大当りとなって通常モードへ移行することとなる。
準備モードでもなく連チャンモードであった場合(S72のN)、入球容易連続上限回数に達していれば(S79のY)、第3図柄判定テーブル404を参照して特別図柄の停止図柄を決定し(S80)、特定判定手段121は通常モードまたは準備モードへ移行する決定をするとともに演出決定手段132が通常モードまたは準備モードの画面背景色を決定する(S81)。入球容易連続上限回数に達していなければ(S79のN)、第1図柄判定テーブル400を参照して特別図柄の停止図柄を決定し(S82)、特定判定手段121は連チャンモードへ移行する決定をするとともに演出決定手段132が連チャンモードの画面背景色を決定する(S83)。当否抽選が当りでない場合は(S60のN)、第4図柄判定テーブル406を参照して特別図柄の停止図柄を決定する(S84)。
図13は、図11におけるS50の変動終了処理を詳細に示すフローチャートである。変動表示中の図柄について所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S90のY)、表示中の図柄変動を停止する(S92)。このとき、当否抽選の結果が外れであり(S94のY)、その時点での遊技状態が通常モードであった場合(S96のY)、外れの連続回数が確変終期回数に達していれば(S98のY)、準備モードへ移行し(S100)、確変終期回数に達していなければS100をスキップして本図のフローを終了する(S98のN)。通常モードではなく(S96のN)、連チャンモードであった場合(S102のY)、外れの連続回数が入球容易終期回数に達し(S104のY)、その時点で確変状態であれば(S106のY)、通常モードへ移行して演出表示制御手段134が通常モードの画面背景色を表示させる(S108)。確変状態でなければ(S106のN)、準備モードへ移行して演出表示制御手段134が準備モードの画面背景色を表示させる(S110)。入球容易終期回数に達していなければS106以降の処理をスキップして本図のフローを終了する(S104のN)。また、連チャンモードでもない場合もまた本図のフローを終了する(S102のN)。当否抽選が外れではなかったときもS96以降のフローをスキップして本図のフローを終了し(S94のN)、図柄表示の停止タイミングに達していない場合も(S90のN)、S92以降の処理をスキップして本図のフローを終了する。なお、本実施例では確変終期回数に達したか否かの判定(S98)や入球容易終期回数に達したか否かの判定(S104)を図柄変動の停止後に実行する例を説明した。変形例としては、それよりも前のタイミング、例えば図柄変動の開始前において確変終期回数や入球容易終期回数に達したか否かを判定する構成としてもよい。
図14は、図10におけるS16の特別遊技を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口91がまだ開放済でない場合(S300のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S302)、開閉制御手段124が大入賞口91を開放する(S304)。大入賞口91が開放済であればS302およびS304をスキップする(S300のY)。大入賞口91が開放されてから、所定の開放時間が経過した場合(S306のY)、または、開放時間が経過していないものの(S306のN)、大入賞口91への入球数が9球以上に達した場合(S308のY)、開閉制御手段124が大入賞口91を閉鎖させる(S310)。開放時間が経過しておらず(S306のN)、大入賞口91への入球数も9球以上に達していない場合は(S308のN)、S310以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S310における大入賞口91の閉鎖後、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合(S312のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S314)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させ(S316)、図12のS35またはS43の決定処理により特定遊技、すなわち確変状態への移行や入球容易状態への移行を伴う当りであった場合はそれぞれの開始をするとともに演出表示制御手段134が遊技状態に応じた画面背景色を表示させる(S318)。単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S312のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S319)。
上記の実施例では、連チャンモードにおける当りは高い確率で確変状態および入球容易状態への移行の付与を伴う当りとなる構成を説明した。その変形例としては、連チャンモードにおける当りのすべてが確変状態および入球容易状態への移行の付与を伴う当りを発生させる構成としてもよい。
上記の実施例では、準備モードにおいて第2始動口63への入球を契機とする当りのうち低い確率で確変を伴わない当りとなる構成を説明した。その変形例としては、第2始動口63への入球を契機とする当りをすべて確変を伴う当りとして通常モードへ移行させる構成としてもよい。
(実施例2)
本実施例のぱちんこ遊技機10は、主に第2始動口63の設置位置の点で実施例1と異なる。その他の構成や遊技方法は基本的に実施例1と共通するため、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
図15は、実施例2におけるぱちんこ遊技機10の前面側における基本的な構造を示す。図示する通り、本実施例の第2始動口63は遊技領域52の右下方に設けられる。また、作動口68は第2始動口63の上方、すなわち遊技領域52の右側方に設けられる。第2始動口63および作動口68の位置は、通常のいわゆる左打ち、すなわちセンター飾り64の左側を遊技球が流れて第1始動口62へ向かうルートを狙って発射された遊技球のそのルートから外れた位置であって、左打ちの遊技球は入球困難な位置である。したがって、第2始動口63へ入球すべき期間、例えば入球容易状態においては、遊技者はいわゆる右打ちによってセンター飾り64の右側を遊技球が流れて第2始動口63へ向かうルートを狙って発射する。作動口68も遊技領域52の右方に設けられることで、第2始動口63を狙った遊技球が作動口68にも通過しやすく、連チャンモードにおいて開放抽選の頻度向上と第2始動口63への入球数増加を同時に狙うことができ、速やかな連続当りが期待できる。また、第2始動口63を狙った遊技球は、本来左打ちを想定した位置に設けられた第1始動口62には入球し難いため、第2始動口63を狙うべき期間である入球容易状態において第1始動口62への不用意な入球を低減できる。なお、準備モードにおいては、頻度はきわめて低いものの第2始動口63の普通電動役物65が開放されることもあるため、偶発的な第2始動口63への入球により通常モードへ移行してしまう可能性が考えられる。しかし、第2始動口63の設置位置を通常の左打ちのルートから外れた遊技領域52の右方とすることで、そうした偶発的な第2始動口63への入球を効果的に防止することができる。
本実施例の構成においてもまた、第2始動口63の位置は通常モードおよび準備モードにおいては入球困難な位置となり、通常の遊技では第2始動口63がほとんど利用されないことになる。しかし、遊技店員がRAMクリアのための特別な操作方法を経て電源投入した結果として準備モードで起動されてしまった場合、遊技店員が扉14を解錠して開扉し、第2始動口63へ直接手で入球させることはできる。これにより、通常の遊技では利用されない始動口を利用して比較的早期に当りを発生させ、意図的に準備モードから通常モードに移行させることができ、遊技者には通常モードから遊技を始めさせることができる。
なお、実施例2では、通常入球状態においても第2始動口63が拡開する可能性はゼロではない。また、第2始動口63の上方は実施例1と異なり遮蔽されておらず、拡開していない状態でも普通電動役物65には遊技球が辛うじて通過可能な幅の通路が形成されるため、拡開しなくとも入球する可能性はゼロではない。ここで、第2始動口63の上方にいわゆる命釘と呼ばれる二つの釘が設けられ、その命釘の間隔は遊技球が辛うじて通過可能な程度の狭い幅に形成され、さらに第2始動口63への入球を困難とし、事実上遊技球が通過しないような構造および配置としてもよい。またその場合の第2始動口63の位置は必ずしも右打ちに最適な遊技領域52の右方ないし右下方でなくともよく、任意の位置に設けられてもよい。
(実施例3)
本実施例のぱちんこ遊技機10は、主に第2始動口63が複数の始動口で構成される点で実施例1,2と異なる。その他の構成や遊技方法は基本的に実施例1,2と共通するため、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
本実施例においては、実施例1,2の第2始動口63として機能する始動口が二つの始動口で構成され、一つは実施例1,2の第2始動口63と同じ構成および配置にて設けられ、もう一つは普通電動役物65を有しない始動口(以下、「第3の始動口」という)として、通常の発射方法では入球し得ない位置、例えば遊技領域52の右下隅、左下隅、左方端部といった位置に設けられる。さらに、第3の始動口はその入球口上方に命釘と呼ばれる二つの釘が設けられ、その命釘の間隔は遊技球が辛うじて通過可能な程度の狭い幅に形成され、事実上遊技球が通過しないような構造および配置とされる。命釘の他、その上方には多数の釘が設置され、また、通常の遊技球のルートからは大きく外れた位置に設置される。このような第3の始動口もまた、通常の遊技では利用されない。しかし、遊技店員がRAMクリアのための特別な操作方法を経て電源投入した結果として準備モードで起動されてしまった場合、遊技店員が扉14を解錠して開扉し、第3の始動口へ直接手で入球させることはできる。これにより、通常の遊技では利用されない始動口を利用して比較的早期に当りを発生させ、意図的に準備モードから通常モードに移行させることができ、遊技者には通常モードから遊技を始めさせることができる。また、第3の始動口を設けたことから、実施例1,2の第2始動口63と同じ構成および配置にて設けられた普通電動役物65を有する第2始動口63へ遊技店員が入球させる必要がない。したがって、普通電動役物65が開放されていないときの第2始動口63への入球を不正な入球であると判定してその入球を無効にする機能を設けることもできる。
(実施例4)
本実施例のぱちんこ遊技機10は、主に第2パターン決定手段119により決定される図柄変動の変動時間が少なくとも電源投入後の限定的な期間において通常の状態における変動時間より短くなるよう構成される点で実施例1〜3と異なる。その他の構成や遊技方法は基本的に実施例1〜3と共通するため、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
本実施例では、まず電源投入を契機とした所定の限定的な期間において、通常状態と異なる変動パターンテーブルである限定変動パターンテーブルを参照することとする。限定変動パターンテーブルには、おおむね通常状態よりも変動時間の短い変動パターンが各パターン抽選値と対応付けられており、限定的な期間だけそのような変動時間の短い変動パターンが選ばれやすくすることができる。これにより、遊技店員がRAMクリアとして特定の操作方法を経て電源投入しなければならない場合であっても、変動時間が短縮されることによって次の当りをより早く発生させることができ、1台ずつ準備モードへの移行を手作業する遊技店員の負担を軽減させることができる。またこの場合、遊技店員がRAMクリアとして特別な操作方法を経て電源投入した場合に限って、電源投入後の限定的な期間に限定変動パターンテーブルを参照することとしてもよい。
(実施例5)
本実施例のぱちんこ遊技機10は、主に入球判定手段110が第2始動口63への入球を正規の入球であるか否かを判定する点で実施例1〜4と異なる。その他の構成や遊技方法は基本的に実施例1〜4と共通するため、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
本実施例の入球判定手段110は、第2始動口63へ入球があったとき、所定の許可条件を満たす入球であった場合に限り正規の入球であると判定する。この場合の許可条件は、例えば扉14の開扉センサによって開扉が検知されておらず、または開扉が検知されている場合には遊技店員のみが実行し得る所定の操作が同時になされていることが検知されていることを条件とする。例えば所定の箇所に鍵を差し込んでいる状態や、操作ボタン82を所定手順で押下した後に開扉した状態などである。これらの許可条件を満たすことなく、例えば普通電動役物65が開放されていないのにも関わらず第2始動口63へ入球があった場合、これを不正な入球と判定する構成としてもよい。これにより、不正遊技者による第2始動口63への不正な入球と遊技店員による正当な入球とを区別し、不正を防止することができる。なお、開扉中の入球により当りが発生した場合は、当りが発生したことを示す信号を外部出力端子から外部装置へ出力しない構成としてもよい。これにより、単に遊技状態を遊技店員の手で移行させる場合にまで当り発生回数を外部装置によってカウントされてしまうことを防ぐことができる。また、不正を検知したときのために、許可条件を満たす入球か否かで異なる音声や映像を出力する構成を備えてもよい。これにより不正入球があったことを遊技機から遊技店員へ効果的に報知することができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。