JP2011206008A - 芝刈機 - Google Patents

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Abstract

【課題】シャッタの開閉に必要な操作角度を十分に確保すること。
【解決手段】ロータリ芝刈機10は、刈刃14で刈られた芝草の排出先を切り替えるシャッタ40と、シャッタを操作するシャッタ操作機構50を有する。シャッタ操作機構は、第1軸51と第2軸52と第1リンクアーム53と第2リンクアーム54と第3リンクアーム55と操作レバー61とからなる。第1軸はハウジング11に位置する。第1リンクアームは、第1軸をスイング中心としてスイング可能であり、操作レバーを有する。第2軸は、第1軸に対して隣接し且つ平行に位置し、ハウジングに回転可能に取付けられ、第3リンクアームを介してシャッタに連結される。第2リンクアームは、第2軸に対して相対回転を規制されて取付けられることにより、第2軸をスイング中心としてスイング可能であり、第1リンクアームによってスイング駆動される。
【選択図】図2

Description

本発明は刈刃が回転するロータリ式芝刈機に関し、特に、刈刃によって刈られた芝草の排出先を切り替えるシャッタの、操作機構に関する。
ロータリ式芝刈機は、下開放のハウジング内に収納された刈刃を芝草に沿って回転させることにより、芝草を刈るものである。このような芝刈機には、バギングモードで用いる形式の芝刈機がある。バギングモードで用いる芝刈機は、刈刃で刈った芝草(つまり、刈り芝)をバッグ等の刈り芝収納体に収納するものであり、刈り芝の全てを除去できるので芝刈り仕上がり性が良く、ゴルフ場などで多用されている。バギングモードで用いることが可能な芝刈機としては、例えば下記の特許文献1に記載された技術が知られている。
特許文献1で知られている芝刈機は、シャッタを全開にして刈り芝を刈り芝収納体に収納するバギングモードと、シャッタを全閉にして刈り芝をハウジングの下方に排出するマルチングモードと、シャッタを任意の開度に設定してバギングモードとマルチングモードの中間モードとに、手動によって切換えることができる。
ハウジングは、刈り芝収納体を取付け可能な刈り芝搬出通路を備えている。シャッタはハウジング内に位置しており、刈刃の回転中心を旋回中心として、ハウジングの内周面に沿うように旋回可能である。刈り芝搬出通路の開度はシャッタによって調整される。シャッタには、アームを介して操作レバーが取り付けられている。操作レバーは、刈刃の回転中心を旋回中心として、旋回操作が可能である。操作レバーの旋回角(操作角度)は、シャッタの旋回角(開閉角度)と同じである。
ところで、シャッタが全開から全閉まで旋回する開閉角度は、ハウジングの大きさや刈り芝搬出通路の開口の大きさに応じて、決まってしまう。開口が比較的大きいので、開閉角度も大きくならざるを得ない。一方、操作レバーが全開から全閉まで操作される操作角度や、アームの移動範囲は、芝刈機における他の部材の位置の制約を受ける。つまり、操作角度やアームの移動範囲は、操作レバーがエンジン等の他の部材に干渉しない範囲内に納めなければならない。
それでも、大型の芝刈機であれば、ハウジングが大きいので上記制約の範囲に収めることは可能である。しかし、小型の芝刈機ではハウジングが小さい。このため、上記制約の範囲内で、シャッタの開閉に必要な操作角度を、十分に確保するには、改良の余地がある。
特許第3771507号公報
本発明は、シャッタの開閉に必要な操作角度を十分に確保することができる技術を、提供することを課題とする。
請求項1に係る発明では、芝地に対し略垂直な軸を回転中心として回転可能な刈刃と、この刈刃を収納するための下開放のハウジングと、このハウジングから後方へ延びて、刈り芝収納体を取付け可能な刈り芝搬出通路と、この刈り芝搬出通路の開度を調節するために、前記軸を旋回中心として旋回可能なシャッタと、このシャッタを操作するシャッタ操作機構とを有した芝刈機において、前記シャッタ操作機構は、操作レバーと第1軸と第2軸と第1リンクアームと第2リンクアームとからなり、前記第1軸は、前記ハウジングに位置しており、前記第2軸は、前記第1軸に対して隣接し且つ平行に位置し、前記ハウジングに回転可能に取り付けられるとともに、前記シャッタに連結されており、前記第2リンクアームは、前記第2軸に対して相対回転を規制されて取り付けられることにより、この第2軸をスイング中心としてスイング可能であるとともに、前記第1リンクアームによってスイング駆動されるように前記第1リンクアームに連結されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、前記第2軸は、前記シャッタに対し第3リンクアームを介して連結されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記操作レバーの操作方向を案内するための操作ガイド部を、さらに有しており、この操作ガイド部は、前記操作レバーを前記第1リンクアームのスイング方向に案内するための水平なガイド用長孔と、このガイド用長孔の下縁に沿って1列に配列された複数の位置決め溝とからなり、この複数の位置決め溝は、前記操作レバーのスイング操作位置を設定するための、上開放の縦溝であって、それぞれ前記ガイド用長孔に連通しており、前記操作レバーは、操作力が解除されているときに、前記ガイド用長孔から前記複数の位置決め溝のいずれか1つに嵌る方向へ、付勢部材によって付勢されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、シャッタ操作機構を、操作レバーと第1軸と第2軸と第1リンクアームと第2リンクアームとの組み合わせによって、構成している。第2軸は、第1軸に対して隣接し且つ平行に位置し、シャッタに連結されている。操作レバーを操作することによって、第1リンクアームは第1軸をスイング中心としてスイングする。第2リンクアームは、第1リンクアームによってスイング駆動されて、第2軸を回す。この結果、第2軸は回転することによってシャッタを開閉させる。
このように、2つの軸と2つのリンクアームとを組み合わせたので、第1リンクアームの長さに対する第2リンクアームの長さの比率(アーム長さ比率)を、小さく設定することができる。このアーム長さ比率を小さくすることにより、第1リンクアーム(操作レバー)のスイング角に対する第2リンクアームのスイング角の比率は大きくなる。この結果、操作レバーの操作角度に対するシャッタの開閉角度は大きくなる。
シャッタが全開から全閉まで旋回する開閉角度は、ハウジングの大きさや刈り芝搬出通路の開口の大きさに応じて決まる。開閉角度に対して操作レバーの操作角度を小さくするには、上記アーム長さ比率を小さく設定すればよい。操作レバーの操作角度を小さくすることによって、この操作角度を、操作レバーがエンジン等の他の部材に干渉しない範囲内に納めることができるとともに、シャッタの開閉に必要な操作角度を十分に確保することができる。
しかも、第2軸は、第1軸に対して隣接し且つ平行に位置している。このため、第1及び第2リンクアームを接近させることができる。この結果、シャッタ操作機構の占有スペースを少なくすることができる。従って、小型の芝刈機にもシャッタ操作機構を十分に配置することができる。
請求項2に係る発明では、第2軸が第3リンクアームを介してシャッタに連結されている。このため、シャッタに対して第2軸を任意の位置に配置することができる。従って、小型の芝刈機において、シャッタ操作機構の占有スペースを少なくすることが可能な、より一層最適な位置に配置することができる。
請求項3に係る発明では、操作レバーがいずれか1つの位置決め溝に嵌っている状態、いわゆるロック状態のときには、操作レバーの自重に付勢部材の付勢力を加えた、比較的大きい複合力によって、ロック状態を維持する。このため、操作レバーのロック状態を、安定して維持することができる。
その後、複合力に抗して、作業者が操作レバーを手で持ち上げ操作すること(アンロック操作)により、操作レバーは位置決め溝から外れて、ガイド用長孔に入り込む。この結果、操作レバーはロック状態からアンロック状態に切り替わる。このように、アンロック操作は、操作レバーを手で持ち上げることによって行われる。このため、アンロック操作のときに、作業者の体重が操作レバーに上から作用することはない。付勢部材に余分な荷重が作用しないので、その分、付勢力を小さく設定することができる。従って、アンロック操作のときの操作力が小さくてすむので、操作性が高まる。
本発明に係る芝刈機の斜視図である。 図1に示された芝刈機の要部断面図である。 図2に示されたハウジング、シャッタ及びシャッタ操作機構の斜視図である。 図2に示されたシャッタ本体が全開位置にあるときの芝刈機の底面図である。 図2に示されたシャッタを下方から見た構成の斜視図である。 図3に示されたシャッタ、シャッタ操作機構及び操作ガイド部の斜視図である。 図3に示されたハウジング、シャッタ、シャッタ操作機構及び操作ガイド部を側方から見た断面図である。 図6に示されたシャッタ操作機構の斜視図である。 図6に示されたシャッタ操作機構の平面図である。 図9に示されたシャッタ操作機構の模式図である。 図2に示されたシャッタ本体が全閉位置にあるときの芝刈機の底面図である。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
実施例に係る芝刈機について説明する。なお、図中、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側を示している。
図1に示されるように、芝刈機10は、芝草を刈る歩行型自走式作業機であって、下開放のハウジング11と、ハウジング11の前部に備えた左右の前輪12,12と、ハウジング11の後部に備えた左右の後輪13,13と、ハウジング11の中央内部に収納された芝刈用の刈刃14と、ハウジング11の上部に備えたエンジン15(駆動源15)と、ハウジング11から後方へ延びた操作ハンドル16とからなる。
ハウジング11は、機体の役割を兼ねており、上面にエンジン15を重ねてボルト止めすることによって、一体的に組み付けたものである。エンジン15は、下端から下方の芝地(図示せず)へ向かってハウジング11内まで延びた、出力軸15aを有している、いわゆるバーチカルエンジンである。出力軸15aは、芝地(地面)に対して略垂直な駆動軸である。
図2に示されるように、ハウジング11内において、出力軸15aには、クラッチ21を介して刈刃14が取り付けられるとともに、走行用の無段変速装置(図示せず)に動力を伝達する駆動プーリ22が取り付けられている。エンジン15でクラッチ21を介して刈刃14を駆動することにより、刈刃14は、ハウジング11内において、出力軸15aの軸心SCを中心として回転可能(出力軸15a回りを回転可能)である。回転した刈刃14は、芝草を刈り取るとともに、ハウジング11内に空気の流れ(旋回流)を発生させる。この旋回流により、刈刃14で刈った芝草を刈り芝収納体Bgに送り込んで収納することができる。また、エンジン15で無段変速装置を介して後輪13,13(図1参照)を駆動することにより、芝刈機10を前方へ自走させて、芝刈り作業を進めることができる。
このように、芝刈機10は、下開放のハウジング11内に収納された刈刃14を芝草に沿って回転させることにより、芝草を刈る、いわゆるロータリ式芝刈機である。以下、刈刃14によって刈られた芝草のことを「刈り芝」という。
以下、ハウジング11の詳細について説明する。図3は上から見たハウジング11を示している。図4は下から見たハウジング11を示している。図1〜図4に示されるように、ハウジング11は、下端面(芝地に対向する面)だけが全面的に開放された、いわゆる下開放のハウジングである。しかも、ハウジング11は、スクロール部11d(図4参照)を備えた渦巻ケーシング(spiral case、scroll case)である。
図4に示されるように、スクロール部11dは、バギングモードにおいて、刈刃14で刈った芝草を、ハウジング11内で矢印Rc方向(旋回方向Rc)に旋回運動させつつ、矢印Rbのように刈り芝搬出通路31へ向かわせるものである。
図2及び図4に示されるように、ハウジング11は、天板11aと外筒部11bと内筒部11cとスクロール部11dと刈り芝搬出通路31とからなる。天板11aは、ハウジング11の上端を塞いでいる、略水平な平面視略環状の板である。外筒部11bは、出力軸15aを中心として、天板11aの外縁から下方へ延びた円筒状の部材である。内筒部11cは、出力軸15aを中心として、天板11aの内縁から下方へ延びた円筒状の部材であり、外筒部11bよりも小径に構成されている。
刈り芝搬出通路31は、外筒部11bから後方(より詳しくは、後上方)へ向かって、外筒部11bの接線方向に延びた部材である。この刈り芝搬出通路31は、前端にはハウジング11に臨む通路開口32を有し、後端にはグラスバッグ等の刈り芝収納体Bg(図1参照)を取付け可能な構成である。刈り芝搬出通路31に対して、刈り芝収納体Bgは取外し可能である。刈り芝は、ハウジング11の内部で出力軸15a回りを旋回しながら刈り芝搬出通路31へ送られる。
以上の説明から明らかなように、外筒部11bから刈り芝搬出通路31が延びる方向は、刈刃14の回転方向Rcに合致する。言い換えると、刈り芝搬出通路31は刈刃14の回転軌跡の接線方向に延びる。通路開口32は、刈刃14の回転方向Rcに開いている。
図4に示されるように、スクロール部11dは、天板11aと外筒部11bと内筒部11cとによって囲まれた、平面視略環状の空間である。この空間11dにおいて、天板11aと外筒部11bとのコーナ及び天板11aと内筒部11cとのコーナは、比較的緩やかな円弧状断面に形成されている。このスクロール部11dは、ハウジング11を側方から見たときに下向きのU字状断面に形成されて、刈り芝が旋回する通路であり、刈り芝が旋回しながら刈り芝搬出通路31へ向かうように構成されている。つまり、スクロール部11dは、刈り芝搬出通路31の通路開口32に連なる。
図2に示されるように、ハウジング11の内周面(外筒部11bの内周面)にはシャッタ40が配置されている。このシャッタ40は、ハウジング11の内部において天板11aに回転可能に取り付けられた回転盤41と、この回転盤41の外縁に取り付けられたシャッタ本体42とからなる。
回転盤41は、軸心SCと同心上に位置する環状の水平板である。図2、図3、図5及び図6に示されるように、シャッタ本体42は、板材を折曲げ形成した部材であって、回転盤41の外縁からハウジング11の外筒部11bへ向かって延びる水平部42aと、水平部42aの先端から湾曲しつつ外筒部11bの内周面に沿って下がる垂直部42bとからなる。水平部42aと垂直部42bとのコーナ42cは、スクロール部11dの外側コーナ11eに合わせた、比較的緩やかな円弧状に形成されている。シャッタ本体42の全体形状は、軸心SCを中心とした概ね扇状である。このようなシャッタ本体42は、軸心SCを中心として、回転盤41と共に回転可能である。
以上の説明から明らかなように、シャッタ機構40は、刈り芝搬出通路31において、ハウジング11に臨む通路開口32に設けられたシャッタ本体42を有する。このシャッタ本体42は、出力軸15aの軸心SCを旋回中心として旋回可能である。シャッタ本体42によって、通路開口32を開閉するとともに開度を調節することができる。
図2、図3及び図6に示されるように、シャッタ40はシャッタ操作機構50によって開閉操作される。このシャッタ操作機構50は、第1軸51と第2軸52と第1リンクアーム53と第2リンクアーム54と第3リンクアーム55と操作レバー61と操作ガイド部71とからなる。
図2及び図3に示されるように、第1軸51及び第2軸52は、ハウジング11の後部において、天板11aの上に位置しており、しかも、エンジン15の出力軸15aに対して平行に位置する。
図7に示されるように、ハウジング11は第1軸受部81及び第2軸受部82を有している。第1軸51は、第1軸受部81によって、ハウジング11に回転可能に且つ軸方向への移動が規制されて、取り付けられている。第2軸52は、第1軸51に対して隣接し且つ平行に位置している。この第2軸52は、第2軸受部82によって、ハウジング11に回転可能に且つ軸方向への移動が規制されて、取り付けられている。
図7〜図9に示されるように、第1リンクアーム53は、回転可能な第1軸51の上端部51aに対し、相対回転を規制されて取り付けられている。このため、第1リンクアーム53は、第1軸51をスイング中心としてスイング可能である。さらに、第1リンクアーム53は操作レバー61を有している。なお、第1軸51はハウジング11に固定されてもよい。その場合には、第1リンクアーム53は、第1軸51に対して回転可能に取り付けられることにより、第1軸51をスイング中心としてスイング可能である。
詳しく述べると、第1リンクアーム53は、上下逆向きの略U状の部材であって、水平な横板53aと、この横板53aの左右両端から下方へ延びた一対の縦板53b,53bとからなる。横板53aは、第1軸51の上端部51aに取り付けられており、第2軸52へ向かって延びるアーム部53cを有している。アーム部53cの先端には、第2軸52に平行な第1連結ピン56を有している。
図7〜図9に示されるように、第2リンクアーム54は、回転可能な第2軸52の上端部52aに対し、基端部を相対回転を規制されて取り付けられている。このため、第2リンクアーム54は、第2軸52をスイング中心としてスイング可能である。さらに、第2リンクアーム54は、第1連結ピン56へ向かって延びており、先端部には第1連結ピン56に連結される長孔54aを有している。この長孔54aは、第2リンクアーム54の長手方向に沿って細長く、上下貫通している。
図6及び図7に示されるように、シャッタ40のシャッタ本体42は、上方へ突出した第2連結ピン57を有している。第2連結ピン57は、第2軸52に対して平行である。
図7〜図9に示されるように、第3リンクアーム55は、第2軸52の下端部52bに対し、基端部を相対回転を規制されて取り付けられている。このため、第3リンクアーム55は、第2軸52をスイング中心としてスイング可能である。さらに、第3リンクアーム55は、第2連結ピン57へ向かって延びており、先端部には第2連結ピン57に連結される長孔55aを有している。この長孔55aは、第3リンクアーム55の長手方向に沿って細長く、上下貫通している。
図7〜図9に示されるように、操作レバー61は、第1リンクアーム53に取り付けられた水平な支持軸62と、この支持軸62に回転可能に支持されたレバー基端部材63と、このレバー基端部材63に固定されたレバー部64と、このレバー部64の上端に固定されたグリップ65とからなる。支持軸62は、一対の縦板53b,53bに掛け渡されている。レバー基端部材63は横向きの略U状の部材であって、支持軸62に対して平行な縦板63aと、この縦板63aの左右両端から支持軸62へ向かって延びた左右一対の側板63b,63bとからなる。縦板63aは、支持軸62に対してハウジング11の後方に位置している。左右一対の側板63b,63bは、支持軸62に回転可能に嵌合している。レバー部64の基端は、レバー基端部材63の縦板63aから上方へ延びている。
ここで、図9に示されるように、シャッタ操作機構50を第1軸51の軸方向から見たときに、次のように定義する。第1軸51の中心P1(第1の点P1)から第1連結ピン56の中心P2(第2の点P2)までの直線S1を、第1直線S1とする。第1連結ピン56の中心P2(第2の点P2)から第2軸52の中心P3(第3の点P3)までの直線S2を、第2直線S2とする。第2軸52の中心P3(第3の点P3)から第2連結ピン57の中心P4(第4の点P4)までの直線S3を、第3直線S3とする。第1軸51の中心P1(第1の点P1)からレバー部64の中心P5(第5の点P5)までの直線S4を、第4直線S4とする。
第1直線S1に対して、第3の点P3と、第4・第5の点P4,P5とは、互いに左右へ分かれて位置している。第1直線S1に対して、第3直線S3は概ね直交している。第3直線S3に対して、第4直線S4は概ね平行である。第1直線S1に対する第2直線S2の角度θ1、及び、第2直線S2に対する第3直線S3の角度θ2は、共に鋭角であり、例えば30°から60°の範囲に設定される。
第1直線S1の長さL1に対して、第2直線S2の長さL2は短く、例えば1/2に設定される。第2直線S2の長さL2に対して、第3直線S3の長さL3は長く、例えば2倍に設定される。このように、第1の点P1に対して、第3の点P3は第2の点P2よりも近くに位置している。従って、第2軸52は、第1軸51に隣接している。
図2、図6及び図7に示されるように、操作ガイド部71は、操作レバー61の操作方向を案内する(規定する)ものであり、ハウジング11の後部壁板72に形成されている。この操作ガイド部71は、ハウジング11の車幅方向に細長い水平なガイド用長孔73と、このガイド用長孔73を形成している縁の下の部分73a(下縁73a)に沿って1列に配列された複数の位置決め溝74とからなる。
ガイド用長孔73は、操作レバー61のレバー部64を第1リンクアーム53のスイング方向(水平方向)に案内するための横孔であって、一直線状に形成されている。複数(例えば5個)の位置決め溝74は、操作レバー61のスイング操作位置を任意の位置に設定するための、上開放の縦溝であって、それぞれガイド用長孔73に連通している。ガイド用長孔73の一端側に臨む位置決め溝74の位置は全閉位置を規定し、ガイド用長孔73の他端側に臨む位置決め溝74の位置は全開位置を規定する。位置決め溝74の間隔は、例えばシャッタ本体42の開度が25%ずつになる間隔に設定すればよい。
ところで、図7〜図9に示されるように、操作レバー61は、操作力が解除されているときに、ガイド用長孔73から複数の位置決め溝74のいずれか1つに嵌る方向へ、付勢部材75によって付勢されている。この付勢部材75は、例えばねじりコイルばね(リターンスプリング)によって構成される。ねじりコイルばねのコイルは、支持軸62に嵌め込まれる。
次に、シャッタ操作機構50の作用を図10に基づいて説明する。図10は、上記図9に示されたシャッタ操作機構50を、模式的に表したものである。上記図9に示されたシャッタ操作機構50を、図10では実線によって表している。実線によって表されている操作レバー61を、図反時計回りにスイング操作した結果、シャッタ操作機構50は、想像線によって表された状態に変位する。以下、シャッタ操作機構50の動作を説明する。
今、操作レバー61は、実線によって表されている第1操作位置Buにある。この第1操作位置Buは、図6に示されるバギング操作位置Bu、つまりシャッタ全開(full open)操作位置に相当する。その後、操作レバー61を、図反時計回りに第2操作位置Muまで、角度θ11だけスイング操作する。想像線によって表されている第2操作位置Muは、図6に示されるマルチング操作位置Mu、つまりシャッタ全閉(full close)操作位置に相当する。
操作レバー61を、図反時計回りに角度θ11(例えば15°)だけスイング操作した結果、第1リンクアーム53は図反時計回りに角度θ11だけスイングする。このときに、第1リンクアーム53の第1連結ピン56が、長孔54aの縁を押すことによって、第2リンクアーム54は図反時計回りに角度θ12(例えば30°)だけスイングする。このため、第2軸52が図反時計回りに回ることによって、第3リンクアーム55は図反時計回りに角度θ12だけスイングする。このときに、第3リンクアーム55の長孔55aの縁が、第2連結ピン57を押すことによって、第2連結ピン57は長孔55aに沿って、図反時計回りに角度θ12だけ変位する。この結果、第2連結ピン57は図4に示されるシャッタ40を回転変位させる。
次に、上記構成の芝刈機10の全体的な作用を説明する。
図6の実線に示されているように、操作レバー61をバギング操作位置Buにセットすることにより、シャッタ本体42は図4に示される全開位置(開度100%)に位置する。通路開口32を全開にすることによって、芝刈機10をバギングモードで用いる形式に設定し、刈刃14で刈った芝草(刈り芝)を、刈り芝収納体Bg(図1参照)に収納することができる。
その後、図6の想像線に示されているように、操作レバー61をマルチング操作位置Muにセットすることにより、シャッタ本体42は図11に示される全閉位置(開度0%)に位置する。シャッタ本体42によって通路開口32を完全に閉じることにより、芝刈機10をマルチングモードで用いる形式に設定し、刈り芝をハウジング11の中で更に細かく刻んで、ハウジング11の下方に排出することができる。
図6に示される操作レバー61を、バギング操作位置Buとマルチング操作位置Muとの間の、任意の位置にセットすることにより、通路開口32をシャッタ本体42によって任意の開度だけ開けることにより、芝刈機10を中間モード(バギングモードとマルチングモードの中間モード)で用いる形式に設定し、刈り芝の一部を地面に戻しつつ、残りを刈り芝収納体Bg(図1参照)に収納することができる。
このように、(1)シャッタ本体42を全開にして、刈り芝を刈り芝収納体Bgに収納するバギングモードと、(2)シャッタ本体42を全閉にして、刈り芝をハウジング11の下方に排出するマルチングモードと、(3)シャッタ本体42を任意の開度に設定した、バギングモードとマルチングモードの中間モードとに、適宜切換えることができる。
さらには、シャッタ本体42を任意の開度に操作することにより、芝地の状態、仕上がり条件や好みに応じて、刈り芝の排出形態を、きめ細かく自由に設定することができる。さらにまた、中間モードに切換えることにより、ハウジング11から刈り芝収納体Bgへ排出する刈り芝の排出流量を減少させることができる。この結果、刈り芝収納体Bgへの刈り芝の溜まる時間が延びるので、刈り芝収納体Bgの交換頻度を低減することができる。
以上の構成及び作用の説明をまとめると、次の通りである。
本実施例では、図6及び図9に示されるように、シャッタ操作機構50を、第1軸51と第2軸52と第1リンクアーム53と第2リンクアーム54と操作レバー61との組み合わせによって、構成している。第2軸52は、第1軸51に対して隣接し且つ平行に位置し、シャッタ40に連結されている。操作レバー61を操作することによって、第1リンクアーム53は第1軸51をスイング中心としてスイングする。第2リンクアーム54は、第1リンクアーム53によってスイング駆動されて、第2軸52を回す。この結果、第2軸52は回転することによってシャッタ40を開閉させる。
このように、第1・第2軸51,52と第1・第2リンクアーム53,54とを組み合わせたので、第1リンクアーム53の長さL1(図9参照)に対する第2リンクアーム54の長さL2(図9参照)の比率「Ra=L2/L1」、つまりアーム長さ比率Raを、小さく設定することができる。このアーム長さ比率Raを小さくすることにより、第1リンクアーム53や操作レバー61のスイング角θ11(図10参照)に対する、第2リンクアーム54のスイング角θ12(図10参照)の、比率「Rθ=θ12/θ11」は大きくなる。この結果、操作レバー61の操作角度θ11に対するシャッタ40の開閉角度θ12は大きくなる。
シャッタ40が全開から全閉まで旋回する開閉角度θ12は、ハウジング11の大きさや刈り芝搬出通路31の開口32(通路開口32)の大きさに応じて決まる。開閉角度θ12に対して操作レバー61の操作角度θ11を小さくするには、上記アーム長さ比率Raを小さく設定すればよい。操作レバー61の操作角度θ11を小さくすることによって、この操作角度θ11を、操作レバー61がエンジン15(図2参照)等の他の部材に干渉しない範囲内に納めることができるとともに、シャッタ40の開閉に必要な操作角度θ12を十分に確保することができる。
しかも、第2軸52は、第1軸51に対して隣接し且つ平行に位置している。このため、第1及び第2リンクアーム53,54を接近させることができる。この結果、シャッタ操作機構50の占有スペースを少なくすることができる。従って、小型の芝刈機10にもシャッタ操作機構50を十分に配置することができる。
さらに、本実施例では、図6及び図9に示されるように、第2軸52が第3リンクアーム55を介してシャッタ40に連結されている。このため、シャッタ40に対して第2軸52を任意の位置に配置することができる。従って、小型の芝刈機10において、シャッタ操作機構50の占有スペースを少なくすることが可能な、より一層最適な位置に配置することができる。
さらに、本実施例では、図6及び図7に示されるように、操作レバー61がいずれか1つの位置決め溝74に嵌っている状態、いわゆるロック状態のときには、操作レバー61の自重に付勢部材75の付勢力を加えた、比較的大きい複合力によって、ロック状態を維持する。このため、操作レバー61のロック状態を、安定して維持することができる。
その後、複合力に抗して、作業者が操作レバー61を手で持ち上げ操作すること(アンロック操作)により、操作レバー61は位置決め溝74から外れて、ガイド用長孔73に入り込む。この結果、操作レバー61はロック状態からアンロック状態に切り替わる。このように、アンロック操作は、操作レバー61を手で持ち上げることによって行われる。このため、アンロック操作のときに、作業者の体重が操作レバー61に上から作用することはない。付勢部材75に余分な荷重が作用しないので、その分、付勢力を小さく設定することができる。従って、アンロック操作のときの操作力が小さくてすむので、操作性が高まる。
本発明の芝刈機10は、バギングモードとマルチングモードの両方で使用できる、ロータリ式芝刈機に用いるのに好適である。
10…芝刈機、11…ハウジング、14…刈刃、15a…芝地に対し略垂直な軸(エンジンの出力軸)、31…刈り芝搬出通路、40…シャッタ、50…シャッタ操作機構、51…第1軸、52…第2軸、53…第1リンクアーム、54…第2リンクアーム、55…第3リンクアーム、61…操作レバー、71…操作ガイド部、73…ガイド用長孔、74…位置決め溝、75…付勢部材、Bg…刈り芝収納体。

Claims (3)

  1. 芝地に対し略垂直な軸を回転中心として回転可能な刈刃と、
    この刈刃を収納するための下開放のハウジングと、
    このハウジングから後方へ延びて、刈り芝収納体を取付け可能な刈り芝搬出通路と、
    この刈り芝搬出通路の開度を調節するために、前記軸を旋回中心として旋回可能なシャッタと、
    このシャッタを操作するシャッタ操作機構とを有した芝刈機において、
    前記シャッタ操作機構は、操作レバーと第1軸と第2軸と第1リンクアームと第2リンクアームとからなり、
    前記第1軸は、前記ハウジングに位置しており、
    前記第2軸は、前記第1軸に対して隣接し且つ平行に位置し、前記ハウジングに回転可能に取り付けられるとともに、前記シャッタに連結されており、
    前記第1リンクアームは、前記第1軸をスイング中心としてスイング可能であるとともに、前記操作レバーを有しており、
    前記第2リンクアームは、前記第2軸に対して相対回転を規制されて取り付けられることにより、この第2軸をスイング中心としてスイング可能であるとともに、前記第1リンクアームによってスイング駆動されるように前記第1リンクアームに連結されていることを特徴とする芝刈機。
  2. 前記第2軸は、前記シャッタに対し第3リンクアームを介して連結されていることを特徴とする請求項1記載の芝刈機。
  3. 前記操作レバーの操作方向を案内するための操作ガイド部を、さらに有しており、
    この操作ガイド部は、前記操作レバーを前記第1リンクアームのスイング方向に案内するための水平なガイド用長孔と、このガイド用長孔の下縁に沿って1列に配列された複数の位置決め溝とからなり、
    この複数の位置決め溝は、前記操作レバーのスイング操作位置を任意の位置に設定するための、上開放の縦溝であって、それぞれ前記ガイド用長孔に連通しており、
    前記操作レバーは、操作力が解除されているときに、前記ガイド用長孔から前記複数の位置決め溝のいずれか1つに嵌る方向へ、付勢部材によって付勢されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の芝刈機。
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