以下の説明において、説明する実施形態の基礎となる概念を完全に理解できるように、特定の詳細を説明する。しかし、説明する実施形態がそれらの特定の詳細の一部又は全てを含まずに実施されてもよいことが当業者には明らかとなるだろう。他の例において、基礎となる概念を不必要に不明確にすることを回避するために、既知の処理ステップについては詳細に説明していない。
移動無線通信装置101は、重なり合う無線通信セルから成る無線通信ネットワーク100とシームレスに接続する機能を含むことができる。各無線通信セルは、図1に示すように基地局トランシーバ(BTS)から続く地理的領域を範囲に含む。移動無線通信装置101は、無線通信ネットワーク100において複数の種々のセルから通信信号を受信できる。各セルは、移動無線通信装置から異なる距離のところに位置する。無線通信信号の信号強度が送信側と受信側との間の距離の2乗に比例して減衰するため、移動無線通信装置101は、所定の時間に最強の受信信号を有するセルを判定するために無線通信ネットワーク100のいくつかの異なるセルからの受信信号強度を監視できる。移動無線通信装置101の場所が無線通信ネットワーク100内で変更されるため、受信信号強度は実質的に変動し、移動無線通信装置101が受信する最強の信号の発信元となるセルは変更される。移動無線通信装置101は、受信する信号の発信元であるセルの動的テーブル及び各々から受信される信号強度の対応する基準を維持できる。
「電源投入」初期化の後又は同様に「新しい」無線通信ネットワークに入った時、移動無線通信装置101は、無線通信ネットワーク100のセルと関連付けられることを要求できる。無線通信ネットワーク100の各セルのBTSは、BTSの顕著な特性を識別するメッセージの集合を定期的にブロードキャストできる。受信信号強度の測定値又は搬送波対干渉波比等の他の品質計測値に基づいて、移動無線通信装置101は、基地局トランシーバ104と関連付けられ、それにより無線通信ネットワーク100内の特定のセルを「サービング」セル102として選択する。セルと関連付ける処理は、そのセルへの「キャンプオン」として既知である。サービングセル102と関連付けられた後、移動無線通信装置はサービングセル102との接続(音声又はデータ通話等)を開始できる。無線ネットワーク100がサービングセル102と移動無線通信装置101との間の関連付けを認識できるため、サービングセル102の基地局トランシーバ104は移動無線通信装置101に対する接続を開始できる。移動無線通信装置101は、サービングセル102に「キャンプオン」される間、隣接セルからのブロードキャスト信号を監視し続けることができる。各信号は、関連付けられたBTSと移動無線通信装置101との間の異なる距離を横断するだろう。図1に示すように、移動無線通信装置101は隣接セル103A、B及びCから検出可能な信号を受信できる一方で、隣接セルD103が配置される距離は遠すぎるため、どのブロードキャスト信号も確実に受信されない。信号強度を減衰させる距離に加えて、移動無線通信装置101が受ける干渉は無線ネットワーク100内の種々のセルからの信号の受信及び検出の品質にも影響を及ぼす。
図2は、無線ネットワークのいくつかの重なり合うセルを横断する移動無線通信装置101に対する受信信号強度201を示すグラフ200である。最初に時間0において、移動無線通信装置101は、隣接セル204のBTSではなくサービングセル203内のBTSからより強度の大きい信号を受信できる。移動無線通信装置101とサービングセル203のBTSとの間の距離は時間の経過と共に増加し、その結果、受信信号強度は低下する。それと同時に、隣接セル204のBTSまでの距離は減少し、その結果、受信信号強度は上昇する。移動無線通信装置101は、どのセルから最強の信号が受信されるかを判定するためにいくつかの異なるセルに配置されたBTSからの受信信号強度201を定期的に監視できる。隣接セルからの信号がある期間の間サービングセルからの信号を超える場合、移動無線通信装置101は、現在のサービングセルから隣接セルへ「再選択」すること、を選択できる。GSM(汎ヨーロッパデジタル移動通信システム)システムにおいて、再選択に対する遅延時間は、現在のサービングセルから新しい隣接セルに切り替える前に少なくとも5秒待機するように設定される。
図2に示すように、隣接セル204からの信号強度は、時間202の0と1との間においてサービングセル203からの信号強度を超える。信号強度の変化を検出する処理時間を説明すると、移動無線通信装置101は、隣接セルがサービングセル203より良いことを時間値1までに検出できる。同一の時間値1において、移動無線通信装置101は接続を開始することを選択できる。移動無線通信装置101がサービングセル203と関連付けられるため、ネットワークとの接続は、サービングセル203のBTSを介して通信することにより最初に実現される。サービングセル203からの受信信号強度201が隣接セル204から受信した信号強度より小さいが、移動無線通信装置101は再選択が完了するまで隣接セルと接続することを選択できない。移動無線通信装置101とサービングセル203との間の接続が開始されると、移動無線通信装置101は、無線ネットワークの制御下で「ハンドオフ」として既知の処理を介して接続を隣接セル204に転送できる。移動無線通信装置101は、無線ネットワークがハンドオフを行う時期を判断する前に受信信号性能を測定し且つそれらの測定値を無線ネットワークに通信することを要求されるため、「ハンドオフ」処理は完了するのに非常に長い時間がかかる。
ある状況において、移動無線通信装置101とサービングセル203のBTSとの間の接続の信号強度は、サービングセル203から隣接セル204へのハンドオフが実現できないほど非常に弱い可能性がある。この場合、図2に示すように、移動無線通信装置101と無線ネットワークとの間の接続は、受信信号強度201が特定の閾値(例えば、−110dBm)を下回った時に終了する(通話が切断される)。従って、移動無線通信装置101は、通話を開始する前により適切な隣接セルが存在することを認識できる一方で、ネットワークを使用する発呼が隣接セルの再選択の前に行われる場合は隣接セルとの接続は実現されない。移動無線通信装置101と無線ネットワークとの間の接続が完了することがないため又はサービングセルに対する完了した接続が弱すぎてより適切なセルに切り替えるためのメッセージを通信できないため、その接続は切断される。
現在の方法は、再選択を判定する品質の基準として受信信号強度を使用できる。しかし、より適切で迅速な方法は他の品質計測値も使用できる。移動無線通信装置とBTSとの間の接続の品質は、BTSからブロードキャストされた信号に基づいて移動無線通信装置において複数の測定値を組み合わせることができる。そのような1つの測定値は、現在のサービングセル203及び隣接セル204等の1つ以上の隣接セルに対して図2に示すように受信信号強度201を含むことができる。(図2には示さないが、複数の隣接セルが図1に示すように利用可能であってもよく、各隣接セルからの受信信号強度201は監視される。)移動無線通信装置101は、瞬間的な受信信号強度又は平均受信信号強度に加えて、図2に示した受信信号強度線の傾き等の各セルに対する受信信号強度の変化を監視できる。従って、移動無線通信装置は、現在のセルの品質を推定できるだけでなく、各セルへの接続の将来の品質も予測できる。
移動無線通信装置101は、受信信号強度に加えて、受信信号及び受信干渉を計上し得る他の品質計測値を判定及び追跡できる。これらの品質計測値は、既知のデータパターンとの受信信号の相関、等化器出力に基づく信号対雑音比の推定値及び移動無線通信装置101の受信機内の復号化ユニットからのエラーの指示を含むことができる。図3に示すように、いくつかの実施形態において、BTSは制御信号情報を定期的に繰り返しブロードキャストできる。制御信号マルチフレーム301は、固定タイムスロット0で送信されるいくつかの種々のチャネルを含むことができ、マルチフレーム301の各フレームは、異なる制御チャネルに対する情報を含むことができる。GSM無線通信ネットワークの場合、BTSは51フレームのマルチフレーム301の10フレーム毎に周波数補正チャネル(FCCH)302及び同期チャネル(SCH)303を1度ブロードキャストできる。FCCH302は、固定周波数で信号を生成できる148個の連続したゼロのバーストから構成される。移動無線通信装置101が局部発振器をBTS送信機に位置合わせするためにFCCH302からの受信固定周波数信号を使用できる一方で、BTSと自身との間の通信パスの品質を測定するためにFCCH302を更に使用できる。一実施形態において、移動無線通信装置101は、干渉がある状態で信号強度を効果的に判定するためにフレーム0、10、20等においてFCCH302で受信したバーストをゼロの固定パターンと相関できる。相関305は固定閾値又は適応閾値306と比較され、BTSと移動無線通信装置101との間の接続の品質を評価できる。同様に、SCH303は、移動無線通信装置101とBTSとの間の接続の品質を更に判定するためにフレーム1、11、21等において受信した受信信号と相関される64ビットの固定の既知のパターンを含むことができる。FCCH302及びSCH303の相関に対して使用された閾値は互いに依存していない。
移動無線通信装置101は、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)304、FCCH及びSCH303で受信されたバーストに対する復号化成功率を監視できる。代表的な一実施形態において、移動無線通信装置101は、サービングセル及び上述したように品質計測値を使用して各セルの性能をランク付けする1つ以上の隣接セルに対する品質のデータベースを維持できる。移動無線通信装置は、サービングセルのBCCH304、並びに既知の隣接セルのFCCH302及びSCH303を監視できる。(GSMネットワークの場合、サービングセルは、隣接セルのリストをBCCHでブロードキャストできる。)監視される品質計測値のうちの1つ以上に対して最小閾値が満たされる場合、隣接セルは再選択の候補と考えられる。例えば、再選択された隣接セルとの通信に対して最小の復号化エラーが予想されるか又は復号化エラーが予想されないことを示すSCH及びFCHの復号化の成功に対して閾値が設定される。移動無線通信装置101はバッテリを含むことができ、バッテリによる電力消費を最小にするために、移動無線通信装置は、接続品質の監視及びランク付けを常にではなくサービングセルの性能が減衰している期間に限定することにより計算周期を低減できる。
図4は、無線通信ネットワークのセルのBTS等の無線ネットワークサブシステムを有する移動無線通信装置101を再選択する方法の一実施形態を示す。ステップ401において、移動無線通信装置101は第1のネットワークサブシステムと関連付けられる。例えば第1のネットワークシステムは、無線通信ネットワークのサービングセルのBTSであってもよい。ステップ402において、移動無線通信装置101は接続要求を受信できる。接続要求は、外部無線通信ネットワークとのリンクを確立することを制御する移動無線通信装置101内の処理ブロックから発信される。ステップ403において、移動無線通信装置101は、移動無線通信装置101が関連付けられる現在のネットワークサブシステムより高い品質の接続を第2のネットワークサブシステムが提供できるかを判定できる。例えば隣接セルのBTSは、移動無線通信装置101との接続が完了する近い将来において、現在関連付けられているサービングセルのBTSと比較して、より高い品質を現在有することができるか又はより高い品質を有すると推定される。現在の第1のネットワークサブシステムが最適である場合、ステップ405において、移動無線通信装置101は現在の第1のネットワークサブシステムとの接続を開始できる。現在の第1のネットワークサブシステムが最適でない場合、ステップ404において、移動無線通信装置101は、より高い品質の第2のネットワークサブシステムに対してまず再選択することができ、接続がステップ405で開始される。
図5は、無線通信ネットワークの1つ以上のネットワークサブシステムに対して移動無縁通信装置101を再選択する方法の特定の一実施形態を更に詳細に示す。ステップ501において、移動無線通信装置101は「アイドル」モードである。すなわち、無線通信ネットワークの「サービング」セルのBTSと関連付けられているがアクティブには接続されていない。ステップ502において、移動無線通信装置101は、無線通信ネットワークとのアクティブな接続を形成するための発呼要求を受信できる。発呼要求は、移動無線通信装置101のユーザにより生成される。
ステップ503において、移動無線通信装置101は、現在のサービングセルの信号強度が第1の閾値未満であるかを判定でき、それによりサービングセルのBTSを介する移動無線通信装置101と無線通信ネットワークとの間の接続の性能が不十分であることを潜在的に証明できるかを検出する。一実施形態において、移動無線通信装置101は、サービングセルの受信信号強度が第1の閾値未満であるかを判定できる。現在のサービングセルの信号強度が第1の閾値を超える場合、ステップ506において、移動無線通信装置101はサービングセルのBTSを使用して発呼できる。第1の閾値を超えない場合、ステップ504において、移動無線通信装置101は、現在のサービングセルの信号品質レベルが第2の閾値未満になったかを判定できる。ステップ503の信号強度のテストは、サービングセルのBTSから受信した信号が低いかを判定できる一方で、干渉レベルも低く、例えば信号対干渉波比に基づくサービングセルとの接続の品質は効果的な通信を行うのに十分に高い。FCCH及びSCHフレームの復号化成功率の測定及び受信等化器出力の検査等の品質計測値は、サービングセルの接続の品質を評価するために移動無線通信装置101で解析される。図5に概略を示した方法は、サービングセルの信号強度及び品質の双方が閾値を下回った時にステップ505の隣接セルに対するテストに進むが、その一方で別の実現例では、サービングセルの信号強度又はサービングセルの品質がそれぞれの閾値を下回った時にステップ505に進む。
現在のサービングセルの品質レベルが第2の閾値を超える場合、ステップ506において、移動無線通信装置101はサービングセルのBTSを使用して発呼できる。第2の閾値を超えない場合、ステップ505において、移動無線通信装置101は、例えばより大きい信号強度又はより高い品質を有するセルである「より適切な」隣接セルが利用可能であるかを判定できる。サービングセルの信号強度及び品質が指定された閾値を下回った場合でも、いくつかのケースでは、全ての隣接セルがより弱い信号強度を有することがある。この場合、ステップ506において、移動無線通信装置101はサービングセルのBTSを使用して発呼できる。しかし、隣接セルが現在のサービングセルより大きい信号強度を有する場合、移動無線通信装置101は、隣接セルが要求された通話を完了するのにより適切であるかを判定できる。GSM無線通信ネットワークに対する代表的な一実施形態において、ステップ505において、移動無線通信装置101は、C2タイマが隣接セルに対して実行しているかを判定できる。隣接セルと関連付けられたC2タイマは、隣接セルの信号強度が現在のサービングセルの信号強度を超えるという通知(indication)を移動無線通信装置101に提供できる。
現在のサービングセルより大きい信号強度を有する隣接セルが存在する場合、ステップ507において、移動無線通信装置101は、最近のシステム情報がステップ505で識別された隣接セルに対して読み出されたかを判定できる。サービングセル及び隣接セルの双方は、移動無線通信装置101が接続可能な種々のセルとの接続の品質を評価及びランク付けするために、信号強度の基準、干渉レベル、復号化エラー、等化器出力又は他の受信パラメータ等の1つ以上の計測値に関して定期的に監視される。サービングセル及び隣接セルに対するシステム情報の履歴は、無線ネットワークと関連付けられ且つ接続されるセルを判定することを支援するために移動無線通信装置により解析され且つ移動無線通信装置に格納される。移動無線通信装置101は、より安定した信号品質を有するセルを介してネットワークと関連付けられ且つ接続することを選択できる。後述するように、図6は、サービングセル及び隣接セルの品質を監視するための方法の代表的な一実施形態を示す。
識別された「より適切な」隣接セルに対して現在のシステム情報が利用可能でない場合、ステップ508において、移動無線通信装置101は隣接セルに対して利用可能なシステム情報を読み出し且つ更新できる。ステップ509において、利用可能なシステム情報を使用して、移動無線通信装置101は隣接セルを使用する接続の品質が現在のサービングセルを使用する品質を超えるかを判定できる。隣接セルの品質がサービングセルの品質を下回る場合、ステップ506において、移動無線通信装置101は現在のサービングセルを介して発呼できる。
隣接セルの品質が現在のサービングセルの品質を超える場合、ステップ510において、移動無線通信装置101は、サービングセル及び隣接セルが同一の位置エリア識別子(Location Area Identifier:LAI)を有するかを判定できる。無線通信ネットワーク内のいくつかのセルの集合は、特定の地理的領域に対応するセルのグループ等に対して共通のLAIによりグループ化される。隣接セルがサービングセルとは異なる位置エリア識別子(LAI)を有する場合、移動無線通信装置101はサービングセルにおいて発呼できる(ステップ506)。隣接セルがサービングセルと同一のLAIを有する場合、ステップ511において、移動無線通信装置は隣接セルに対して再選択できる。最後にステップ512において、移動無線通信装置101は隣接セル(これは、実際にはステップ510の再選択後の新しいサービングセルであってもよい)において発呼できる。
図5は、代表的な一実施形態を示している。しかし、他の実施形態は、いくつかのステップの順序を再構成できるか又はいくつかのステップをスキップできる。例えば、図示するようにサービングセルの信号強度及びその品質の双方ではなくいずれかが関連する閾値を下回る場合、移動無線通信装置101はより適切な隣接セルを探索できる。同様に、隣接セルの信号強度レベルに関係なく、サービングセルの品質がサービングセルより適切である場合、移動無線通信装置101は隣接セルに対して再選択できる。受信信号の品質の基準は、信号強度の絶対レベルのみよりも関連性が高い。
図6は、再選択の候補である隣接セルの品質を評価するために移動無線通信装置101が「アイドル」モードである間に使用できる一連のステップを示す。ステップ601において、移動無線通信装置101は、「アイドル」モードでサービングセルと関連付けられる。ステップ602において、移動無線通信装置101は1つ以上の隣接セルに対してFCCH及びSCHフレームの復号化をスケジュールできる。ステップ603において、隣接セルの品質の評価は、受信等化器又は移動無線通信装置101のソフト復号器からの出力に基づく各隣接セルに対する信号対雑音比(SNR)推定値及びFCCH及びSCHトレーニングシーケンスの復号化及び相関を含むことができる。ステップ603において、各隣接セルに対する受信FCCH及びSCHフレームの評価の結果は、隣接セルから先に受信したFCCH及びSCHフレームからの格納された推定値と組み合わされ、監視された各品質計測値の最大値、平均値又は他の「フィルタリングされた」値を生成する。ステップ603は、ステップ604でテストされるように、N個の連続したFCCH及びSCHフレームが復号化されるまで繰り返される。ステップ605において、隣接セル毎にN個の連続したFCCH及びSCHフレームを復号化及び評価した後、移動無線通信装置101はN個の最新の測定値に基づいて監視した隣接セルをランク付けできる。移動無線通信装置101が継続してアイドルモードである場合、ステップ602〜605において品質計測値をスケジュールし、測定し、組み合わせ且つ格納すること、並びに隣接セルをランク付けすることは、ステップ606で示すように定期的に繰り返される。
以下の表は、無線通信ネットワークにおけるサービングセル及びいくつかの隣接セルに対して仮定した監視品質値の集合を一覧表示する。この表は、図5及び図6に示した方法の代表的な実施形態を示すことができる。
時間T0において、移動無線通信装置101は、−90dBmの受信信号強度インジケータ(RSSI)及び6dBの受信信号品質基準(SNR)を有するサービングセル(SCELL)と関連付けられる。3つの隣接セル(NCELL1、NCELL2及びNCELL3)の各々は、示されるようにサービングセルより小さい受信信号強度値を有する可能性がある。移動無線通信装置101は、図5のステップ503の第1の閾値に対して少なくとも−95dBmの最小受信信号強度を要求できる。発呼要求が時間T0で行われる場合、移動無線通信装置101は、現在のサービングセルの信号強度で十分であるためサービングセルにおいて発呼できる。時間T1において、サービングセルにおける受信信号強度は−95dBm(要求された最小値である)まで減衰したが、その一方で−93dBmの隣接セルNCELL1は、移動無線通信装置101で測定された受信信号強度に関してサービングセルを超えることができる。発呼要求が時間T1で行われる場合、第1の閾値レベル設定に基づくとサービングセルの信号強度が依然として十分であるため、隣接セルの信号強度の方が高いが、移動無線通信装置101はサービングセルで依然として発呼できる。ステップ503の第1の閾値に対するレベルを設定することにより、隣接セルが再選択されると考えられる時期を判定できる。時間T2において、サービングセルの受信信号強度は第1の閾値−95dBmを下回る−97dBmまで減衰したが、その一方で−90dBmで隣接セルNCELL1から受信した信号及び−94dBmで隣接セルNCELL2から受信した信号は双方ともサービングセルの受信信号強度を超える。しかし、ステップ504のサービングセルの品質が十分である場合、時間T2における発呼要求の結果として、移動無線通信装置101は依然としてサービングセルにおいて発呼する。例えばサービングセルの品質に対する第2の閾値が3dBに設定される場合、時間T2における4dBのSNRは、サービングセルが使用可能であることを依然として示すことができる。時間T3において、サービングセルの受信信号強度は−100dBmまで減衰し続け、受信SNRはサービングセルの品質に対する第2の閾値3dBを下回る2dBまで低下する。発呼要求が時間T3で行われる場合、移動無線通信装置101は、図5及び図6に概略を示したようにより高い品質の接続を提供できる隣接セルを判定するために隣接セルNCELL1及びNCELL2からの格納及びフィルタリングされた品質計測値を評価できる。
図7は、無線通信ネットワークが接続を開始する時の移動無線通信装置101によるセル再選択の方法を示す。ステップ701において、移動無線通信装置101は「アイドル」モードであってもよい。すなわち、サービングセルのBTSと関連付けられるがアクティブに接続されない。ステップ702において、移動無線通信装置101は、無線通信ネットワークからページ指示を受信できる。各々が異なるセルに配置され且つ共通のLAIを共有するいくつかのBTSのいずれかがそのページ指示を送信できる。ステップ703において、移動無線通信装置101は、関連付けられるサービングセルの受信信号強度が第1の閾値を下回ったかを判定できる。サービングセルの受信信号強度が第1の閾値を下回らない場合、移動無線通信装置101は、ステップ708に示すように発呼するためにサービングセルのBTSにページング応答を送出できる。サービングセルの信号強度が第1の閾値を下回った場合、ステップ704において、移動無線通信装置101は、サービングセルの品質が第2の閾値を下回ったかを判定できる。品質閾値が満たされる場合、サービングセルは発呼に使用される。品質閾値が満たされない場合、移動無線通信装置は、ステップ705に示すように、隣接セルが現在のサービングセルより大きい信号強度を有するかを判定できる。全ての隣接セルが現在のサービングセルより小さい信号強度を有する場合、ページング応答は現在のサービングセルにおいて送出される。しかし、1つ以上の隣接セルが現在のサービングセルより大きい信号強度を有する場合、移動無線通信装置は、隣接セルのLAIがサービングセルに対するものと同一であるかを判定できる。ステップ706に示すように隣接セルが同一のLAIを有する場合、移動無線通信装置101は、ステップ707において隣接セルに対して再選択できる。ステップ708において、ページング応答は、再選択された隣接セル(ここでは、ステップ707で再選択された後のサービングセルである)に送出される。
説明した実施形態の種々の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現される。説明した実施形態は、製造事業を制御するコンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして又は熱可塑性成形部を製造するのに使用される製造ラインを制御するコンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして具体化される。コンピュータ可読媒体は、後でコンピュータシステムにより読み出し可能であるデータを格納できるあらゆるデータ記憶装置である。コンピュータ可読媒体の例としては、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、DVD、磁気テープ、光データ記憶装置及び搬送波が含まれる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散的に格納及び実行されるようにネットワークに結合されたコンピュータシステムにわたり分散される。
説明した実施形態の種々の態様、実施形態、実現例又は特徴は、別個に使用されてもよく又はあらゆる組み合わせで使用されてもよい。説明の目的のため、上記説明は本発明を完全に理解できるように特定の専門用語を使用した。しかし、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは、当業者には明らかとなるだろう。従って、本発明の特定の実施形態の上記説明は、例示及び説明の目的で提示される。上記説明は、本発明を網羅する意図はなく、あるいは本発明を開示された厳密な形式に限定する意図はない。上記教示を鑑みて多くの変更及び変形が可能であることは当業者には明らかとなるだろう。
実施形態は、本発明の原理及びその実際的な応用例を最適に説明し、それにより他の当業者が本発明及び特定の使用に適すると考えられる種々の変更を伴う種々の実施形態を最適に利用できるように選択及び説明された。
方法は、移動無線通信装置において、移動無線通信装置が電源を投入され且つ無線ネットワークに接続されない場合、複数の無線ネットワークサブシステムから受信した無線信号の無線信号属性を評価することと、評価に基づいて複数の無線ネットワークサブシステムのうちの1つを識別することと、ネットワーク接続要求が移動無線通信装置により生成されるまで評価すること及び識別することを繰り返すことと、ネットワーク接続要求に応答して、移動無線通信装置を識別した無線ネットワークサブシステムと関連付け且つ関連付けられた無線ネットワークサブシステムを使用して無線ネットワークに対する接続を開始することとから成る。方法は、無線信号属性評価の履歴レコードを作成することを更に含み、評価することは、無線信号の少なくとも1つ以上の無線信号属性を測定することと、測定した無線信号属性を互いに比較することとを含む。
無線通信ネットワークとの接続を開始する前に移動無線通信装置をネットワークサブシステムに関連付ける方法は、移動無線通信装置において、無線通信ネットワークに接続するための要求を受信することと、移動無線通信装置と関連付けられた第1のネットワークサブシステム及び移動無線通信装置と関連付けられていない無線通信ネットワークの第2のネットワークサブシステムから受信された信号の1つ以上の属性を測定することと、測定した信号の属性に基づいて移動無線通信装置を第1のネットワークサブシステム又は第2のネットワークサブシステムと関連付けることと、関連付けられたネットワークサブシステムを介する無線通信ネットワークとの移動無線通信装置の接続を開始することとから成る。方法は、無線通信ネットワークの複数のネットワークサブシステムからある期間にわたり移動無線通信装置により受信された信号の属性を測定することと、ネットワークサブシステム毎に品質計測値を生成するために測定した属性を組み合わせることと、生成した品質計測値に基づいてネットワークサブシステムをランク付けすることとを更に含む。第1のネットワークサブシステム及び第2のネットワークサブシステムは、無線通信ネットワークの第1のセル及び第2のセルのそれぞれの基地局トランシーバである。移動無線通信装置を関連付けることは、基地局トランシーバの位置エリア識別子に更に基づく。
移動無線通信装置はプロセッサを備える。移動無線通信装置が無線ネットワークに接続されない場合、プロセッサは、複数の無線ネットワークサブシステムから受信した無線信号の無線信号属性を評価し、評価に基づいて複数の無線ネットワークサブシステムのうちの1つを識別し、ネットワーク接続要求が移動無線通信装置により生成されるまで評価すること及び識別することを繰り返し、ネットワーク接続要求に応答して、識別した無線ネットワークサブシステムと関連付け且つ識別した無線ネットワークサブシステムを使用して無線ネットワークに対する接続を開始する。移動無線通信装置において、プロセッサは、少なくとも1つ以上の無線信号属性を測定し且つ測定した1つ以上の信号属性を互いに比較することにより無線信号属性を評価する。移動無線通信装置において、プロセッサは、無線ネットワークサブシステムの位置エリア識別子を判定し、測定された信号属性及び判定したLAIを使用して無線ネットワークサブシステムを識別する。