JP2011204514A - 感光性導電ペーストおよび導電性配線付き基板の製造方法 - Google Patents

感光性導電ペーストおよび導電性配線付き基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感光性導電ペースト中の導電性粉末量を比較的少なくしても、基板と導電性配線との密着強度が高く、かつ抵抗値が低く、膨らみ等が発生せず所望する適切な形状の導電性配線を形成することのできる感光性導電ペーストを提供する。
【解決手段】導電性粉末、ガラスフリットおよびセラミックス粉末からなる無機フィラー
ーを含む無機成分、ならびに感光性有機成分を含有する感光性導電ペーストであって、該導電性粉末の含有量が50〜70質量%の範囲内であり、該ガラスフリットの含有量が導電性粉末100重量部に対して3〜20重量部の範囲内、かつ該無機フィラーが導電性粉末100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲内であることを特徴とする感光性導電ペーストとする。
【選択図】なし

Description

本発明はシリコンやガラス、樹脂、セラミックスやコンポジット材料等の基板上にパターン化された導電性配線を形成できる感光性導電ペーストおよびこれを用いた導電性配線付き基板の製造方法に関する。本発明の感光性導電ペーストおよび導電性配線付基板の製造方法は、例えばプラズマディスプレイパネルの背面板に使用される電極パターン形成に好適に使用できる。
近年、ガラスやセラミックス、コンポジット材料等の基板上に塗布、描画、印刷してパターン化された導電性配線を形成するための導電ペーストは、比較的安価で微細加工に優れていることから、ディスプレイ、太陽電池などの分野において採用されている。導電性や微細加工性といった性能を維持向上する一方で、近年環境負荷の低減、低コスト化が注目されている。
これらの用途で用いられる一般的な導電ペーストは、導電性粉末およびガラスフリットを含む無機粉末と、有機バインダーを含む。このような導電ペーストを基板上に特定のパターンに塗布するか、塗布後パターン加工することによって所望のパターンの導電ペースト塗膜を形成した後、空気中で500℃以上で焼成して有機バインダーを除去するとともにガラスフリットを軟化させて導電性材料とガラスからなる導電性配線を形成する。
例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)は液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が容易であることから、OA機器および広報表示装置等の分野に浸透している。また、高品位テレビジョンの分野等で活用されている。
PDPは、前面板と背面板の2枚のガラス基板の間に作られた僅かな隙間を放電空間とし、アノード電極およびカソード電極の間にプラズマ放電を生じさせ、放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内に設けた蛍光体にあてて発光させることにより表示を行うものである。このため、電極は前面板と背面板にそれぞれストライプ状に、複数本の電極が平行に設けられており、前面板の電極と背面板の電極は僅かの間隙を介して対向し、かつ互いに直交するように形成される。PDPの中で、蛍光体によるカラー表示に適した3電極構造の面放電型PDPにおいては、前面板に設けられ、互いに平行に隣接した表示電極からなる複数の電極対と、各電極対と直交するよう背面板に設けられた複数のアドレス電極とを有する。また、背面板には光のクロストークを防ぎ、放電空間を確保するための隔壁が、電極間のスペースに形成される。さらに、その放電空間内に蛍光体が形成されている。
前記電極のうち、背面板に形成されるアドレス電極は、広い範囲に、厚みや線幅を均一に形成する必要がある。さらに、PDPの高精細化に伴い、アドレス電極のファインピッチ化が進んでいる。なお、導電ペーストを用いて電極を形成する場合は、上述のように空気中で500℃以上の温度での焼成工程を経るため、焼成工程を経てもライン形状が屈曲、膨らみなどの変形を起こさない材料を用いる必要があった。これらの制約から、導電性粉末として、銀、金といった貴金属を用いた感光性ペーストを使用することが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、特許文献1で用いられている電極ペーストは、貴金属を含有していることから、コストが高いという問題があった。一方、アルミニウムや銅などの金属を単体で電極材料として用いる場合、空気中での焼成工程において厚い酸化皮膜が形成されてしまい、金属粉末同士の融着が阻害され、抵抗が高くなってしまうという問題がある。よってアルミニウムや銅などのパターン形成には被覆層を施すような複雑な工程を要するのが一般的である。
このようなことから、単体で用いても酸化することなく展性に富み保存安定性に優れた貴金属の粉末を導電性粉末として用いた導電ペーストが広く使用されており、PDPの電極としては比較的安価な銀を用いた電極が使用されている。
このような導電ペーストにおいて、導電性粉末の量を少なくする代わりに有機バインダーの量を多くした場合、塗膜中の無機成分の比率が小さくなるため、抵抗値が高くなったり、基板と導電性配線との密着強度が小さくなってしまい、導電性配線が基板から剥がれたりする等の問題がある。一方、金属粉末の量を少なくする代わりにガラス粉末の量を多くした場合、基板と導電性配線との密着強度は大きくなるが、有機バインダー成分が完全に除去される前にガラス粉末が軟化し、有機バインダー成分の蒸発が阻害されてしまい、焼成後の導電性配線に膨らみが発生する問題がある。
特開平10−273338号公報
本発明においては、かかる問題を解決し、感光性導電ペースト中の導電性粉末量を比較的少なくしても、基板と導電性配線との密着強度が高く、かつ抵抗値が低く、膨らみ等が発生せず所望する適切な形状の導電性配線を形成することのできる感光性導電ペーストを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため本発明の感光性導電ペーストは以下の構成をとる。すなわち、導電性粉末、ガラスフリットおよびセラミックス粉末からなる無機フィラーを含む無機成分、ならびに感光性有機成分を含有する感光性導電ペーストであって、該導電性粉末の含有量が50〜70質量%の範囲内であり、該ガラスフリットの含有量が導電性粉末100重量部に対して3〜20重量部の範囲内、かつ該無機フィラーが導電性粉末100重量部に対して0.2〜30質量%の範囲内であることを特徴とする感光性導電ペーストである。
本発明の感光性導電性ペーストを用いれば、ペースト中の導電性粉末量を比較的少なくしても、基板と導電性配線との密着強度が高く、かつ抵抗値が低く、膨らみが制御された高精細な導電性配線を形成することができる。
本発明の感光性導電ペーストに用いる導電性粉末は、導電性を有する粉末であればよく、好ましくは、Ag、Au、Pd、Ni、Cu、AlおよびPtの群から選ばれる少なくとも1種を含むもので、低抵抗の導電性粉末が好ましい。これらは、単独、合金、混合粉末のいずれの状態であっても用いることができる。
導電性粉末の粒子径としては、体積基準分布の中心径が0.7〜6μmが好ましい。より好ましくは1.3〜4μmである。粒子径がこの範囲にあることで、緻密な微細パターンの形成が可能となる。
導電性粉末の比表面積は、0.3〜2.5m/gのサイズを有していることが導電性配線の精度の点で好ましい。より好ましくは、比表面積0.35〜2.0m/gである。
また、導電性粉末のタップ密度は3〜6g/cmであるのが好ましい。より好ましくは、3.5〜5g/cmの範囲である。タップ密度がこの範囲にあるとバインダー樹脂成分を極力少なくすることができ、塗膜パターンの形状保持性が良くパターン制度が向上し、また、脱バインダー性が向上するので、焼成して得られる導電性配線の抵抗値が小さくなるので好ましい。
導電性粉末の形状は、粒状(粒子状)、多面体状、球状のものが使用できる。中でも粒度分布がシャープで、凝集体が少なく、球状であることがより好ましい。この場合、球状とは球形率が90個数%以上を意味する。球形率は、粉末を光学顕微鏡で300倍の倍率にて撮影し、このうち計数可能な粒子を計数し、球形のものの比率を表すものとする。球形率が高いほど比表面積がより小さく、タップ密度がより大きくなるので好ましい。
本発明におけるガラスフリットは、導電性粉末を基板上に強固に焼き付けるために導電性粉末100重量部に対して3〜20重量部の範囲内で用いられる。好ましくは導電性粉末100重量部に対して5〜20重量部の範囲内である。また、ガラスフリットは導電性粉末を焼結するための焼結助剤効果や導体抵抗を下げる効果がある。ガラスフリットの含有量が導電性粉末100重量部に対して3重量部未満の場合は、基板と導電性配線の密着強度が小さくなり、導電性配線が基板から剥がれる問題が生じる。また、導電性粉末同士の焼結性が悪くなってしまうため、得られる配線の抵抗が大きくなってしまうという問題を生じる。一方、ガラスフリットの含有量が導電性粉末100重量部に対して20重量部よりも多い場合は、感光性有機成分の蒸発が十分でなくなるため、焼成後の導電性配線の膨らみの原因となる。
本発明の感光性導電ペーストに用いるガラスフリットのガラス転移温度(Tg)および軟化点(Ts)は、それぞれ400〜500℃、450〜550℃の範囲内であることが好ましい。好ましくはTgおよびTsがそれぞれ440〜500℃、460〜530℃である。Tg、Tsがそれぞれ400℃、450℃未満では、ポリマーやモノマーなどの感光性有機成分が蒸発する前にガラスの焼結が始まり、脱バインダーがうまくいかず、焼成後に残留炭素となり、膨らみの原因となることがあり、緻密かつ低抵抗の導体膜を得るためには好ましくない。Tg、Tsがそれぞれ500℃、550℃を超えるガラスフリットでは、600℃以下の温度で焼成したときに、導電性配線と基板との充分な接着強度や緻密な導体膜が得られにくい。
ガラスフリットの粉末粒子径は、平均粒子径が0.5〜1.4μm、90%粒子径が1〜2μmおよびトップサイズが4.5μm以下であることが好ましい。平均粒子径、90%粒子径がそれぞれ0.5μm、1μm未満では、ガラスフリットの粒子サイズが小さくなり過ぎて紫外線が未露光部まで散乱され、導体膜のエッジ部・端部の光硬化が起こり、完全に現像できなくなることがあり、導体膜のパターンの切れ・解像度が低下する傾向がある。平均粒子径、90%粒子径およびトップサイズがそれぞれ1.4μm、2μm、4.5μmを超えると、粗大なガラスフリットと導電性粉末との熱膨張係数が異なることにより、特に10μm以下の薄膜では、導体膜の接着強度が低下するため膜はがれが起こることがあり、また、粗大ガラスフリットが導体膜中に残留し、接着強度が低下する傾向がある。
本発明においては、ガラスフリットの組成としては、Biは30〜70質量%の範囲で配合することが好ましい。30質量%未満の場合は、ガラス転移点や軟化点を制御する点や、基板に対する導体膜の接着強度を高める点での効果が少ない。また70質量%を超えるとガラスフリットの軟化点が低くなり感光性導電ペースト中のバインダーが蒸発する前にガラスフリットが溶融する。このためペーストの脱バインダー性が悪くなり、導体膜の焼結性が低下し、また基板との接着強度が低下する傾向がある。
特に、ガラスフリットが、酸化物換算表記で
Bi 30〜70質量%
SiO 5〜30質量%
6〜20質量%
ZrO 3〜10質量%
Al 1〜5質量%
の組成範囲からなるものを80質量%以上含有し、かつNaO,KO,LiOを実質的に含有しないアルカリフリーのガラスフリットであることが好ましい。この範囲であると、ガラス基板を用いる場合の好ましい焼成温度である550〜600℃で導体膜を基板上に強固に焼成できるガラスフリットが得られる。
本発明の感光性導電ペーストは、無機フィラーを、導電性粉末100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲内で含むことを特徴とする。好ましくは0.3〜30重量部の範囲内である。
無機フィラーの含有量が導電性粉末100重量部に対して0.2重量部未満の場合は、ガラスフリットの焼結がポリマーやモノマーなどの感光性有機成分が蒸発する前に始まり、脱バインダーがうまくいかず、焼成後の導電性配線に膨らみが発生する。一方、無機フィラーの含有量が導電性粉末100重量部に対して30重量部よりも多い場合は、導電性粉末およびガラスフリットの焼結を大きく妨げるため、基板と導電性配線の密着強度が小さくなるとともに抵抗が高くなるという問題を生じる。さらに、配線の断線による導通不良といった問題も生じやすくなる。
本発明において無機フィラーとは、導電性粉末以外の無機粉末であって、焼成時に溶融、軟化しない無機粉末のことをいい、具体的には600℃以下に軟化点や融点、分解点等を有さない無機粉末を指す。本発明の感光性導電ペーストに用いる無機フィラーとして好ましいのは、チタニア、アルミナ、シリカ、コーディエライト、ムライト、スピネル、チタン酸バリウムおよびジルコニアからなる群から選ばれた少なくとも一種である。この中でも特に、アルミナ、チタニア、シリカが好ましく用いられる。これらフィラーを単独または組み合わせて用いることにより、導体膜の脱バインダー性を向上し、膨らみを制御することが可能となる。これらフィラーの平均粒径は緻密な微細パターンの形成の点から、0.05〜4μmが好ましく。より好ましくは0.1〜4μmが好ましい。
本発明の感光性導電ペーストは感光性有機成分を含む。感光性有機成分としては、感光性ポリマーおよび/または感光性モノマーを含むことが好ましい。
感光性ポリマーは、炭素−炭素二重結合を有する化合物から選ばれた成分の重合または共重合により得られる。
不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後のアルカリ水溶液での現像を可能にすることができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などが挙げられる。こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価は50〜180mgKOH/g、さらには70〜140mgKOH/gの範囲が好ましい。
感光性ポリマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル樹脂の側鎖または分子末端に光反応性基を付加したもの等が好ましく用いられる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
本発明の感光性導電ペーストにおける感光性ポリマーの含有量は、1〜30質量%、さらには、2〜30質量%であることが好ましい。
感光性モノマーの具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレートおよび上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
本発明の感光性導電ペーストにおいては、感光性有機成分が導電性粉末100重量部に対して5〜40重量部含まれることが光に対する感度の点で好ましい。さらには10〜30重量部含まれることが好ましい。
本発明の感光性導電ペーストは、感光性有機成分以外に、さらに、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のセルロース系樹脂、ポリ−α−メチルスルホン、ポリビニルアルコール、または、ポリブテン等の非感光性ポリマーを含有することができる。
また、本発明の感光性導電ペーストは、必要に応じ光重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、有機溶媒を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4’−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルー、アセトフェノン、アニソイン、4−ベンゾイルビフェニル、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4−モルフォリノブチロフェノン、ジベンゾスベレノン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、エチルアントラキノン、3−ヒドロキシアセトフェノン、3−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−メチル−4−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−クロロチオキサンテン−9−オン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−チオキサン−9−オン、市販品としてチバスペシャリティーケミカルズ社製IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE1300、4,4−ビス(ジエチルアミノベンゾフェノン)、IRGACURE651、IRGACURE784、IRGACURE819、IRGACURE2100、IRGACURE2022、DAROCUR TPOなどが挙げられる(「IRGACURE」「DAROCUR」は登録商標である)。
増感剤は、感度を向上させるために添加されることが好ましい。増感剤の具体例としては、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ジエチルチオキサントン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。
増感剤を本発明の感光性導電ペーストに添加する場合、その添加量は感光性有機成分に対して0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
感光性導電ペーストは保存時の熱安定性を向上させるため、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性導電ペースト中に、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは、0.2〜3質量%である。重合禁止剤の量が少なすぎれば、保存時の熱的な安定性を向上させる効果が発揮されず、重合禁止剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
本発明の感光性導電ペーストには、溶液の粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセルソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトンなどがあげられる。これらの有機溶媒は、単独あるいは2種以上併用して用いられる。
本発明の感光性導電ペーストの組成は、上述の通り次の範囲で選択する。
導電性粉末:導電ペースト全体に対して50〜70質量%、好ましくは55〜70質量%
ガラスフリット:導電性粉末100重量部に対して3〜20重量部の範囲内、好ましくは5〜20重量部の範囲内
無機フィラー:導電性粉末100重量部に対して0.2〜30質量%、好ましくは0.3〜30質量%
感光性有機成分:導電性粉末100重量部に対して5〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜30質量%
各成分の量が上述の範囲内であると露光時において紫外線がよく透過し、光硬化の機能が十分発揮され、現像時における露光部の膜強度が高くなり、微細な解像度を有する導電性配線が形成できる。また基板と導電性配線の密着強度が高く、かつ焼成後の導電性配線の抵抗値を低く、膨らみを抑制することができる。
本発明の感光性導電ペーストを製造する方法について説明する。上述の導電性粉末、ガラスフリット、無機フィラー、感光性有機成分、さらに必要に応じて光重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、有機溶媒を添加し、混合物のスラリーとする。所定の組成となるように調整されたスラリーはホモジナイザなどの攪拌機で均質に混合した後、3本ローラーや混練機で均質に分散し、ペーストを作製する。
感光性導電ペーストの粘度は導電性粉末、ガラスフリット、無機フィラー、有機溶媒、有機成分の組成・種類、可塑剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤および有機のレベリング剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は3rpmにおいては、10〜150Pa・sの範囲内であることが好ましい。
例えばガラス基板への塗布をスクリーン印刷法やバーコータ、ローラコータ、アプリケータで1〜2回塗布して膜厚1〜25μmを得るには、30〜100Pa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明の導電性配線付き基板の製造方法は、上述の感光性導電ペーストを基材上に塗布し、フォトリソグラフィ法でパターン形成した後、焼成して導電性配線を形成することを特徴とする。本発明の感光性導電ペーストは上述の通り、微細なパターン加工が可能であって、基板と導電性配線の密着強度が高く、かつ焼成後の導電性配線の抵抗値を低く、膨らみを抑制することができる。
次に具体例として、本発明の感光性導電ペーストを用いてプラズマディスプレイの電極を形成する場合の方法について説明する。
本発明の感光性導電ペーストは、ガラス基板上に通常スクリーン印刷法で塗布される。印刷厚みはスクリーンの材質(ポリエステルまたはステンレス製)、250から325メッシュのスクリーンを用い、スクリーンの目開き、スクリーンの張力、ペーストの粘度等を調製することによって任意に制御できるが、一般的には1〜25μmの範囲内であり、さらに好ましい厚みの範囲は、1〜15μmである。1μm未満になると印刷法では、均質な厚みを得ることが難しくなる傾向がある。また25μmを超えると電極パターンは、精度が低下し、断面形状が逆台形になり、例えば最小線幅/最小幅間隔が30μm/30μm以下の高精細なパターンを形成しようとした場合に、パターンやエッジの切れが悪くなる。
ガラス基板としては、通常、ソーダガラスや旭硝子社製の“PD−200”、日本電気化学社製の“PP−8”などの高歪み点ガラスを用いたガラス基板が用いられる。
次に感光性導電ペーストを基板上に塗布した膜を130℃で10分加熱して乾燥して溶媒類を蒸発させてから、パターン露光し、感光性導電ペーストを光硬化させる。次に露光部分と未露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行い、電極パターンを形成する。現像には、浸漬法、スプレー法、ブラシ法などが用いられる。現像液には、感光性導電ペースト中の有機成分、特にポリマーが溶解可能な溶液を用いるとよい。
次いで、基板を大気雰囲気中590℃で10分保持して焼成し、焼成後厚み2.5μmのストライプ状電極を形成する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の実施例および比較例に使用した材料を以下に示す。
導電性粉末:湿式還元法により製造されたもので平均粒径1.70μm、比表面積0.41m/g、タップ密度5.0g/cmの銀粉末を用いた。
フリットガラス:酸化ビスマス(48.1質量%)二酸化ケイ素(27.5質量%)、酸化ホウ素(14.2質量%),酸化亜鉛(2.6質量%)、酸化アルミニウム(2.8質量%)、酸化ジルコニウム(4.8質量%)の成分比を持ち、平均粒子径が0.9μm、ガラス転移点(Tg)が465℃、熱軟化点(Ts)が510℃のものを用いた。
無機フィラー:平均粒子径が1.0μmのシリカ粒子を用いた。
感光性ポリマー:アクリル酸、メチルメタクリレート、スチレンを重量比で40/30/30の比率で共重合し、グリシジルメタクリレートをアクリル酸1モルに対し0.4モル付加させたポリマー(重量平均分子量32,000、酸価110)
有機溶媒1:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
有機溶媒2:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
感光性モノマー :トリメチロールプロパントリアクリレート
重合禁止剤:ヒドロキノンモノメチルエーテル
光重合開始剤:IRGACURE651
表1〜3に示した組成、比率で各材料を計量後、混合し、3本ローラーで混練して24種類のペーストを得た。
Figure 2011204514
Figure 2011204514
評価方法
まず、スクリーン印刷機で感光性導電ペーストを340×260×2.8mmサイズのガラス基板(PD−200;旭硝子(株)製)基板の全面に塗布した。130℃10分の条件で溶剤を乾かし、フォトマスクを使って、超高圧水銀灯によるパターン露光を行い、35℃の0.1%2−アミノエタノール水溶液でシャワー現像してパターンを得た。次いで、基板を大気雰囲気中590℃で10分保持して焼成し、焼成後厚み2.5μmのストライプ状電極を形成した。
膨らみの評価
SEM(日立ハイテク製)を使用して、パターン形成された電極を斜め60°より観察し、電極の凹凸を確認する。次に凸部の電極断面をSEM観察し、基板からの厚みが3.0μm以上であり、電極下に空洞が認められた場合に膨らみと判断した。さらに電極付き基板を表面粗さ計(東京精密製)にて電極平均厚み(測定範囲2.0cm、n=100)を算出する。膨らみが存在せず平均厚みが3.0μm未満の場合を「○」、膨らみが存在し平均厚みが3.0μm以上の場合は「×」とした。評価結果を表3に示す。
導通特性の評価
電極ライン幅40μm、ライン長80cmとし、検査装置(日本電産リード製)を用いて電極導通不良を評価。20,000本の電極を検査し、不良率が2%未満の場合を「○」、不良率が2%以上の場合を「×」とした。評価結果を表3に示す。
抵抗値の評価
電極ライン幅65μm、ライン長60cmとし、テスターを用いてライン抵抗を評価した。2000Ω以下の場合を「○」、断線により評価できなかった場合を「×」とした。評価結果を表3に示す。
密着強度の評価
パターン端にデジタルフォース・ゲージDFG−5KR(日本電産シンポ製)を使用して評価した。密着強度測定用パターンにコネクト治具を半田付け、直角方向に引っ張り、基板から2mm角の測定部分が外れた時点での強度を20回測定し、その平均値を求め、1.5kgf以上の場合を「○」、1.5kgfより小さい場合を「×」とした。評価結果を表3に示す。
Figure 2011204514
本願の範囲内である実施例1〜8は全ての評価で良好な結果が得られたが、銀の重量比が少なすぎる比較例1〜4、フィラーが多すぎる比較例8では銀同士の結合効率が減少し、導通不良が生じた。ガラスフリットが少なすぎる比較例5では、密着強度が低下し、電極剥がれが発生し、導通不良が生じた。またガラスフリットが多すぎる、または、フィラー添加が少なすぎる、それぞれ比較例7または比較例8は、ガラスフリットの焼結が有機成分蒸発前に始まり、脱バインダーがうまくいかず、電極パターンに膨らみが発生した。

Claims (3)

  1. 導電性粉末、ガラスフリットおよびセラミックス粉末からなる無機フィラーを含む無機成分、ならびに感光性有機成分を含有する感光性導電ペーストであって、該導電性粉末の含有量が50〜70質量%の範囲内であり、該ガラスフリットの含有量が導電性粉末100重量部に対して3〜20重量部の範囲内、かつ該無機フィラーが導電性粉末100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲内であることを特徴とする感光性導電ペースト。
  2. 前記無機フィラーが、チタニア、アルミナ、シリカ、コーディエライト、ムライト、スピネル、チタン酸バリウムおよびジルコニアのうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性導電ペースト。
  3. 請求項1または2に記載の感光性導電ペーストを基材上に塗布し、フォトリソグラフィ法でパターン形成した後、焼成して導電性配線を形成することを特徴とする導電性配線付き基板の製造方法。
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