JP2011203739A - 光強度分布補正光学系およびそれを用いた光学顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平面のXY方向で大きく発散角が異なる入射光の強度分布を平坦な強度分布に補正する光強度分布補正光学系は、前記入射光の大きな発散角の方向に正の屈折力を持ち、その直角方向に屈折力を持たない少なくとも1つのシリンドリカルレンズから成る第1レンズ群42と、この第1レンズ群42の後段に配置され、前記入射光の小さな発散角の方向に正の屈折力を持ち、その直角方向に屈折力を持たない少なくとも1つのシリンドリカルレンズから成る第2レンズ群43とを有し、平面のXY方向で大きく発散角が異なる点光源41からの入射光をコリメートすると共に、各レンズ群42、43の球面収差により前記入射光の強度分布を平坦にして出射する。
【選択図】図4
Description
このような共焦点顕微鏡では、レーザ光から複数のビームスポットを生成し、これらのビームスポットを試料に照射して試料からの蛍光もしくは反射光により試料の観察を行う。この場合、レーザ光の光強度の分布むら(光軸の垂直な面に対してガウス分布となる)がビームスポット各点の強度に影響する。このために、レーザ光の光軸付近の均一な光束を切り出すために、開口を有する遮蔽版を設け、これを通過した光束のみを使用している。
これらのような光強度を補正する構成では、利用できる光量が少なく試料に十分な強さの照明を行うにはその分大きな出力の光源を用いる必要があるが、余分な迷光を増加させることとなり、蛍光観察のような微弱光を扱う場合には適さない。
これに対して、光量を低下させずに光強度が均一な光を試料に照射する構成として、光度均一化レンズを使用するものがある(例えば特許文献2参照。)。
図6において、光ファイバ端から発せられるような点光源61からの光はコリメータレンズ62によって平行光となり、光強度均一化レンズ63によって強度分布均一化され、遮蔽板64の開口65を通って、集光ディスク66に入射する。なお、点光源61はコリメータレンズ62の前側焦点(焦点距離f)に置かれている。
試料8からの戻り光は再び対物レンズ68及びピンホールディスク67を通ってビームプリッタ(図示せず)で反射され、集光レンズ(図示せず)を介してカメラ(図示せず)に入る。カメラの受像面には試料面69の像が結像される。
光強度均一化レンズ63は、コリメータレンズ62と遮蔽板64との間に配置されている。光強度均一化レンズ63に入射する入射光は、光強度分布がガウス分布であり、光軸付近において入射光強度が最も強く、光軸から離れるにしたがって入射光強度が弱くなる。光強度均一化レンズ63は、入射光が密になる中心部が平行光を拡散させる拡散レンズ(凹レンズ)状に形成されており、入射光が疎になる周辺部が平行光を収束させる収束レンズ(凸レンズ)状に形成されている。光強度均一化レンズ63は、ガウス分布における光強度の低い部分(レンズ周辺部)の光をカットしないために、入射光の光量を70〜90%程度維持して光量損失を防止することができる。光強度均一化レンズ63から出射する出射光は、光強度分布が略均一な平行光になる。
また、特許文献4に記載の光学系では、通常の球面レンズを使用するものの4枚での構成が必要となり、価格やスペースに影響する。
前記入射光の大きな発散角の方向に正の屈折力を持ち、その直角方向に屈折力を持たない少なくとも1つのシリンドリカルレンズから成る第1レンズ群と、
この第1レンズ群の後段に配置され、前記入射光の小さな発散角の方向に正の屈折力を持ち、その直角方向に屈折力を持たない少なくとも1つのシリンドリカルレンズから成る第2レンズ群と、
を有し、
平面のXY方向で大きく発散角が異なる点光源からの入射光をコリメートすると共に、各レンズ群の球面収差により前記入射光の強度分布を平坦にして出射することを特徴とする光強度分布補正光学系。
(1)から(4)のいずれかに記載の光強度分布補正光学系を用いて前記入射光をコリメートすると共に、各レンズ群の球面収差により前記入射光の強度分布を平坦にして前記対物レンズに入射させることを特徴とする光学顕微鏡。
図2(a)において、凸レンズ21では、球面収差により、その外周側に入射する光束はレンズ近くの焦点距離f1に収束し、内周に入射する光束はf1よりも遠い焦点距離f2に収束する。
また、凹レンズ3は、第1凸レンズ2でビーム径全体が絞られるため、凹レンズ3の内側にビームが入射するので凹レンズ3の球面収差は弱くなり、ビーム全体を平行光に近くすると共に光強度分布を平坦にすることができる。第2凸レンズ4は、絞られたビーム径を拡大することでズーミングを可能にする。なお、本発明では、第1凸レンズ2、凹レンズ3および第2凸レンズ4の球面収差を組み合わせて、より均一な光強度分布を実現している。この場合、球面収差量としては、第1凸レンズにおいて、その合成焦点距離のほぼ40%以上あれば、このような効果が期待できる。
図3(a),(b)において、縦軸はビームの相対強度を示し、横軸はビーム径を示している。なお、入射光はNA=0.09の光ファイバ端面からの発散光である。
これに対して、図3(b)は、光強度分布補正後の分布であって、光強度は、ビームの中心からの距離aで急峻に減衰しているが、必要な視野2aの内部では、その分布がほぼ均一に補正されていることが分かる。
この結果からビーム強度分布は、許容できるシェーディングS以内に平坦化された状態であって、アパーチャ(視野径2a)への入射効率は、補正前ではファイバからの出射光量のおよそ22%であったものが、補正後にはおよそ58%となり、2.6倍に改善された。
また、光源は、ファイバ端面からの発散光のみならず、LDやLEDなどの点光源であっても良い。加えて自然光でも良い。
さらに、補正の対象となる発散光の光強度分布はガウス分布のみならず、エアリー分布でも良い。
図4(a)は、平面図、(b)は側面図である。
図4において、第1シリンドリカルレンズ42は、短焦点距離f5であり、第2シリンドリカルレンズ43は長焦点距離f6であり、LD41の発光面は、各シリンドリカルレンズから焦点距離に相当する位置にある。また、これらシリンドリカルレンズは90°回転させて設置される。これは、シリンドリカルレンズが、半円に見える断面方向には曲率を持っているので光は曲げられるが、方形に見える断面方向には曲率がないために光が素通りする特性を利用するためである。
一方、広がり角の小さい面(広がり角の大きい面に直交している面)の光束は第1シリンドリカルレンズ42を素通りして、第2シリンドリカルレンズ43で平行光に変換される。
この時、各シリンドリカルレンズの収差により、平面で出射NAが異なる光源からの発散光を均一な光強度分布にする。この場合、必要な球面収差としては、第2シリンドリカルレンズで、焦点距離f6のほぼ40%以上あれば、このような効果を期待できる。
また、各レンズ群は、1つのシリンドリカルレンズに限らず、複数のシリンドリカルレンズで構成しても良い。
図5(a)は、補正前、図5(b)は補正後の強度分布を、強度の等しい点を連ねた曲線(水平曲線)により表示したものである。
図5(a)は補正前であって、LDのX方向とY方向のNAが大きく異なるため、X方向のビーム幅とY方向のビーム幅が異なり、楕円形を呈している。また、水平曲線は、光強度分布がガウス分布であることを表している。
また、補正前後の光量比は、実測値で4.5倍に向上するという結果がでている。
なお、本実施例において、補正の対象となる発散光の光強度分布はガウス分布のみならず、エアリー分布でも良い。
2 第1凸レンズ
3 凹レンズ
4 第2凸レンズ
41 LD
42 第1シリンドリカルレンズ
43 第2シリンドリカルレンズ
Claims (5)
- 平面のXY方向で大きく発散角が異なる入射光の強度分布を平坦な強度分布に補正する光強度分布補正光学系において、
前記入射光の大きな発散角の方向に正の屈折力を持ち、その直角方向に屈折力を持たない少なくとも1つのシリンドリカルレンズから成る第1レンズ群と、
この第1レンズ群の後段に配置され、前記入射光の小さな発散角の方向に正の屈折力を持ち、その直角方向に屈折力を持たない少なくとも1つのシリンドリカルレンズから成る第2レンズ群と、
を有し、
平面のXY方向で大きく発散角が異なる点光源からの入射光をコリメートすると共に、各レンズ群の球面収差により前記入射光の強度分布を平坦にして出射することを特徴とする光強度分布補正光学系。 - 前記入射光の強度分布はガウス分布またはエアリー分布であることを特徴とする請求項1に記載の光強度分布補正光学系。
- 前記平面のXY方向で大きく発散角が異なる点光源は、レーザダイオードであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光強度分布補正光学系。
- 前記第2レンズ群の球面収差の収差量は、前記第2レンズ群の焦点距離の40%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光強度分布補正光学系。
- 光源からの入射光を対物レンズにより試料面に照射する光学顕微鏡において、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光強度分布補正光学系を用いて前記入射光をコリメートすると共に、各レンズ群の球面収差により前記入射光の強度分布を平坦にして前記対物レンズに入射させることを特徴とする光学顕微鏡。
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