JP2011202215A - 耐候性に優れた構造用鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで、耐候性に優れた構造用鋼材を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.06%超え0.14%未満、Si:0.05%以上2.00%以下、Mn:0.2%以上2.0%以下、P:0.005%以上0.030%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、Cu:0.1%以上1.0%以下、Ni:0.1%以上5.0%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下を含有し、さらに、Sb:0.005%以上0.200%以下、Sn:0.005%以上0.100%以下の1種または2種を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、主に橋梁などの屋外で用いられる構造用鋼材に関し、特に海岸近傍などの高塩分環境下で耐候性が要求される部材として好適な鋼材に関する。
従来、橋梁などの屋外で用いられる鋼構造物においては、耐候性鋼が用いられている。耐候性鋼は、大気暴露環境において、Cu、P、Cr、Niなどの合金元素が濃化した保護性の高いさび層に表面が覆われることにより腐食速度が著しく低減する鋼材である。その優れた耐候性により、耐候性鋼を使用した橋梁は、しばしば無塗装のまま数十年間の供用に耐えることが知られている。
しかしながら、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境では、上記保護性の高いさび層は生成しにくく、実用的な耐候性が得難いことが知られている。
非特許文献1によれば、従来の耐候性鋼(JIS G 3114:溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)は、飛来塩分量が0.05mg・NaCl/dm/day(以降、単位(mg・NaCl/dm/day)をmddにて表記する場合がある)以下の地域でのみ、無塗装使用可能となっている。従って、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境では、普通鋼材(JIS G 3106:溶接構造用圧延鋼材)に塗装等の防食措置を施して使用されている。
塗装した鋼材は、時間の経過とともに塗膜が劣化し、定期的な補修が必要となる。加えて、人件費の高騰や、再塗装の困難さが加わる。このような理由から、現在、無塗装で使用可能な鋼材が求められ、無塗装使用可能な鋼材の要望が高い。
このような現状に対して、近年、海岸近傍などの高飛来塩分環境において無塗装で使用可能な鋼材として、種々の合金元素、特にNiを多量に含有させた鋼材が開発されている。
例えば、特許文献1では、耐候性向上元素として、Cuと1%以上のNiを添加した高耐候性鋼材が開示されている。
また、特許文献2では、1%以上のNiとMoを添加した耐候性に優れた鋼材が開示されている。
また、特許文献3では、C添加量を低く抑え、Cu、Tiを添加した耐候性鋼材が開示されている。
また、特許文献4では、Niを多量に含有し、加えてMo、Sn、Sb、P等を含有した溶接構造用鋼材が開示されている。
特許第3785271号公報 特許第3846218号公報 特許第3367608号公報 特開平10−251797号公報
耐候性鋼材の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XX)、1993.3、建設省土木研究所、(社)鋼材倶楽部、(社)日本橋梁建設協会
しかしながら、特許文献1、2および3のように、Niの含有量を増加させた場合、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇してしまうという問題点がある。さらに、飛来塩分量が0.5mdd程度から1.0mdd程度の高飛来塩分環境では、十分な耐候性を確保できない。
また、特許文献4のように、NiおよびPの含有量を増加させ、Cu、Mo、Sn、Sb等を含有した鋼材では、合金コストの上昇により鋼材の価格が上昇し、さらに、Pの含有量が高いために溶接性が低下する。
本発明は、かかる事情に鑑み、低コストで、耐候性に優れた構造用鋼材を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために、高塩分環境における耐候性の観点から鋼材の成分組成について鋭意検討した。その結果、Cu、Niを含有するベース鋼にMoとSbおよび/またはSnを複合含有することにより、高塩分環境における鋼材の耐候性が向上することを見出した。
図1は、表1に示す成分を有する鋼材について、乾湿繰り返し腐食試験を実施した結果である。乾湿繰り返し腐食試験は、上記鋼材から35mm×35mm×5mmの試験片を採取し、次いで、採取した試験片に対して、表面に付着する塩分が0.2mddとなるよう調整した人工海水溶液を週に一回、乾燥工程中に試験片の表面に塗布し、温度40℃、相対湿度40%RHの乾燥工程を11時間、温度を25℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を11時間、移行時間を1時間として、24時間で1サイクルとし、12週間(84サイクル)行い、次いで、塩酸にヘキサメチレンテトラミンを加えた水溶液に試験片を浸漬して脱錆してから重量を測定した。図1における板厚減少量(単位はμm)は、試験片片面の平均板厚減少量であり、上記により得られた重量と初期重量との差を求めて、その値を試験片の試験対象部分の表面積で割った値である。さらに、同様の試験を1鋼種につき3回行い、その3回の測定の平均値を図1中、符号●にて示し、最大値と最小値をエラーバーにて示す。
Figure 2011202215
なお、これまでの知見から、本腐食試験における付着塩分量0.2mddは飛来塩分量に換算すると約0.5mddとなることがわかっており、この飛来塩分量約0.5mddは、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境に相当する。
また、試験により得られた平均板厚減少量から外挿により100年後の腐食量を求めた場合、本腐食試験の期間にて得られる平均板厚減少量が14μm未満であれば、100年後の平均板厚減少量は層状剥離さびの発生が無い0.5mm以下となる。
一般に、無塗装耐候性鋼の橋梁への適用可否の目安は、100年後の板厚減少量が0.5mm以下であることが知られているので、各種鋼材に対して本腐食試験を行い、得られる平均板厚減少量が14μm未満であれば無塗装耐候性鋼の橋梁への適用が可となる。
以上より、図1において、平均板厚減少量が14μm未満の鋼材に対して耐侯性が優れていると判定した。
図1の結果より、ベース鋼(鋼種M)にMoとSbを複合含有した鋼(鋼種D)、MoとSnを複合含有した鋼(鋼種E)、MoとSbとSnを複合含有した鋼(鋼種I)は、平均板厚減少量が14μmよりも小さい値となり、従来の耐侯性鋼(鋼種J)、普通鋼(鋼種K)、他の元素の組合せ(鋼種A〜C、F〜H)と比較しても耐候性が格段に優れていることがわかる。また、鋼種D、E、Iと、Ni含有量の多い鋼種Lと比較した場合、鋼種D、E、Iの耐候性は鋼種Lの耐候性より優れている。
このように、鋼種D、E、Iが、Ni含有量が少ないにも拘わらず優れた耐候性を示した理由は下記のように推定される。
鋼種D、E、Iは、Ni含有量を少なくし、Cuを含有し、Mo、Sbおよび/またはSnを複合含有した鋼である。Cu、Niは、さび層を緻密化させ、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。Moは、さび層中でモリブデン酸イオンを形成することによって、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材のアノード反応に伴ってMoO 2−が溶出し、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。Sbは、アノード部においてさび層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応を抑制する。Snは、Sbと同様にアノード部においてさび層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応を抑制する。ただし、これらの効果は単独含有では不十分であり、Cu、Ni、MoとSbおよび/またはSnの複合含有による相乗効果により、Cu、Ni、Mo、Sb、Snの腐食抑制効果が大きく向上すると推定される。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.06%超え0.14%未満、Si:0.05%以上2.00%以下、Mn:0.2%以上2.0%以下、P:0.005%以上0.030%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、Cu:0.1%以上1.0%以下、Ni:0.1%以上5.0%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下を含有し、さらに、Sb:0.005%以上0.200%以下、Sn:0.005%以上0.100%以下の1種または2種を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする耐候性に優れた構造用鋼材。
[2]前記[1]において、さらに、質量%で、Co:0.01%以上1.00%以下、REM:0.0001%以上0.1000%以下から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする耐候性に優れた構造用鋼材。
[3]前記[1]または[2]において、さらに、質量%で、Ti:0.005%以上0.200%以下、V:0.005%以上0.200%以下、Mg:0.0001%以上0.0100%以下から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする耐候性に優れた構造用鋼材。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、さらに、質量%で、Cr:0.2%以上1.0%以下を含有することを特徴とする耐候性に優れた構造用鋼材。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべて質量%である。また、本発明において、「耐候性に優れた」とは、1.0mdd以下の高飛来塩分環境において適用可能な高耐候性を実用上満足する構造用鋼材である。
本発明によれば、低コストで、耐候性に優れた構造用鋼材が得られる。
本発明の構造用鋼材は、耐候性向上に有効な元素を複合含有させることで、Niなどの高価な元素を多量に含有することなく低コストで、実用的な溶接性を有し、かつ海岸近傍などの高塩分環境おいて優れた耐候性を有することができる。特に、飛来塩分量が0.05mdd超えの高飛来塩分環境で顕著な効果を有する。ただし、飛来塩分量の範囲は、Ni含有量が0.1%以上、1.0%以下の場合は、0.05mdd以上、0.5mdd以下の飛来塩分量、Ni含有量が1.0%超え、5.0%以下の場合は、0.5mdd超え、1.0mdd以下の飛来塩分量であることが望ましい。
含有元素の組合せ(鋼種A〜M)と平均板厚減少量との関係を示す図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
C:0.06%超え0.14%未満
Cは構造用鋼材の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するため0.06%超えで含有する必要がある。一方、0.14%以上では溶接性および靭性が劣化する。したがって、C含有量は0.06%超え0.14%未満とする。好ましくは強度確保の点から0.08%以上、さらに好ましくは溶接性向上および靱性向上の点から0.10%未満である。
Si:0.05%以上2.00%以下
Siは製鋼時の脱酸剤として、また、構造用鋼材の強度を向上させ所定の強度を確保する元素として、0.05%以上含有する必要がある。一方、2.00%を超えて過剰に含有すると靭性および溶接性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は0.05%以上2.00%以下とする。
Mn:0.2%以上2.0%以下
Mnは構造用鋼材の強度を向上させる元素であり、所定の強度を確保するために0.2%以上含有する必要がある。一方、2.0%を超えて過剰に含有すると靭性および溶接性が劣化する。したがって、Mn含有量は0.2%以上2.0%以下とする。
P:0.005%以上0.030%以下
Pは構造用鋼材の耐候性を向上させる元素である。このような効果を得るためには0.005%以上含有する必要がある。一方、0.030%を超えて含有すると溶接性が劣化する。したがって、P含有量は0.005%以上0.030%以下とする。
S:0.0001%以上0.0200%以下
Sは0.0200%を超えて含有すると溶接性および靭性が劣化する。一方、含有量を0.0001%未満まで低下させると、生産コストが増大する。したがって、S含有量は0.0001%以上0.0200%以下とする。
Al:0.001%以上0.100%以下
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素である。このような効果を得るため、Al含有量として0.001%以上含有する必要がある。一方、0.100%を超えると溶接性に悪影響を及ぼす。したがって、Al含有量は0.001%以上0.100%以下とする。
Cu:0.1%以上1.0%以下
Cuはさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、構造用鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。このような効果は含有量が0.1%以上で得られる。一方、1.0%を超えるとCu消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Cu含有量は0.1%以上1.0%以下とした。
Ni:0.1%以上5.0%以下
Niはさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、構造用鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を充分に得るためには0.1%以上含有する必要がある。一方、5.0%を超えると耐候性向上効果は飽和する。したがって、Ni含有量は0.1%以上5.0%以下とする。
ただし、飛来塩分量が0.05mdd以上から0.5mdd(付着塩分量0.2mddに該当)以下の環境にて使用する場合は、図1に示した上述の検討結果からも明らかなとおり、Ni含有量が低くともSbとSnの少なくともどちらか1種とMoとを複合含有させることで、十分な耐食性が得られる。その為この場合、耐食性を確保しつつNiによるコスト上昇を防ぐことのできるNiの含有量の上限は、1.0%である。これらのことから、飛来塩分量が0.05mdd以上から0.5mdd以下の環境で用いる場合は、Ni含有量は0.1%以上1.0%以下とすることが好ましい。
一方、飛来塩分量が0.5mddを超える非常に厳しい環境にて使用する場合は、SbとSnの少なくともどちらか1種とMoとの複合含有の効果に加え、Niによる緻密なさび層形成の効果を積極的に活用することが望ましい。後述するが、MoとSbおよび/またはSnの含有による耐食性の向上は、Niのそれとは別の仕組みによるものと思われる。その為、Niによる耐食性の向上と、MoとSbおよび/またはSn複合含有による耐食性の向上は、累積して得られることが、発明者らの本発明に関わる検討により分かっている。通常、飛来塩分量が0.5mddを超える非常に厳しい環境では、普通鋼に塗装などの防食措置を施して使用することから、人件費などによりコストが上昇する。一方、本発明の鋼材は裸使用可能であり、塗装などによるコスト上昇を避けることができるため、Ni含有量の増加によるコスト上昇はさほど大きな問題とならなくなる。これらのことから、飛来塩分量が0.5mdd超えから1.0mdd以下の環境で用いる場合は、Ni含有量は1.0%超え5.0%以下であることが好ましい。
Mo:0.005%以上1.000%以下、Sb:0.005%以上0.200%以下および/またはSn:0.005%以上0.100%以下
Moは、本発明において重要な要件であり、Sbおよび/またはSnと共存することにより、高塩分環境における鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。また、さび層中でモリブデン酸イオンを形成することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材のアノード反応に伴ってMoO 2−が溶出し、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、1.000%を超えるとMo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、Mo含有量は0.005%以上1.000%以下とする。
Sbは、本発明において重要な要件であり、Moと共存することにより、高塩分環境における鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。また、アノード部においてさび層と地鉄の界面付近に濃化し、アノード反応を抑制する。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると鋼の脆化が起こる。したがって、Sb含有量は0.005%以上0.200%以下とする。
Snは、本発明において重要な要件であり、Moと共存することにより、高塩分環境における鋼材の耐候性を著しく向上させる効果がある。また、鋼材表面にSnを含む酸化皮膜を形成し、鋼材のアノード反応を抑制することで構造用鋼材の耐候性を向上させる。これらの効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.100%を超えると鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sn含有量は0.005%以上0.100%以下とする。
また、SbとSnは、少なくともどちらか1種を含有させれば本発明の効果を奏することができる。しかし、SbとSnの両方を含有させれば、より顕著に耐候性を向上させる効果がある。また、鋼材の機械的性質、溶接性などを確保する上で、耐候性を劣化させずにSb、Snの添加量をそれぞれ低減することが可能であるという利点もある。このような理由から、SbとSnの両方を含有することは、好ましい発明形態となる。
残部はFeおよび不可避的不純物である。ここで不可避的不純物として、N:0.010 %以下、O:0.010%以下、Ca:0.0010%以下が許容できる。また、不可避的不純物として含有するCaは、鋼中に多量に存在すると溶接熱影響部の靭性を劣化させるため0.0010%以下が好ましい。
上記成分元素に加えて、以下の合金元素を必要に応じて添加することができる。
Co:0.01%以上1.00%以下
Coはさび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、構造用鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。このような効果を充分に得るためには、0.01%以上含有する必要がある。一方、1.00%を超えるとCo消費量増加に伴うコスト上昇を招く。したがって、含有する場合、Co含有量は0.01%以上1.00%以下とする。
REM:0.0001%以上0.1000%以下
REMはさび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、構造用鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有する必要がある。一方、0.1000%を超えるとその効果は飽和する。したがって、含有する場合、REM含有量は0.0001%以上0.1000%以下とする。
さらに本発明では、以下の理由で、Ti、VおよびMgから選ばれる1種以上を含むことができる。
Ti:0.005%以上0.200%以下
Tiは、鋼材の強度を高めるために必要な元素である。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると靭性の劣化を招く。したがって、含有する場合、Ti含有量は0.005%以上0.200%以下とする。
V:0.005%以上0.200%以下
Vは、強度を高めるために必要な元素である。この効果を充分に得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、0.200%を超えると効果が飽和する。したがって、含有する場合、V含有量は0.005%以上0.200%以下とする。
Mg:0.0001%以上0.0100%以下
Mgは、鋼中のSを固定して溶接熱影響部の靭性向上に有効な元素である。この効果を充分に得るためには、0.0001%以上含有する必要がある。一方、0.0100%を超えると鋼中の介在物の量が増加しかえって靭性の劣化を招く。したがって、含有する場合、Mg含有量は0.0001%以上0.0100%以下とする。
さらに本発明では、以下の理由で、Crを含むことができる。
Cr:0.2%以上、1.0%以下
Crは、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、耐侯性を向上させる元素であり、この効果を充分に得るためには、0.2%以上含有する必要がある。一方、1.0%を超えると、溶接性の低下を招く。したがって、含有する場合、Cr含有量は0.2%以上1.0%以下とする。
本発明の耐候性に優れた構造用鋼材は、上記成分組成を有する鋼を通常の連続鋳造や分塊法により得られたスラブを熱間圧延することにより厚板や形鋼、薄鋼板、棒鋼等の鋼材に製造され、得られる。加熱、圧延条件は、要求される材質に応じて適宜決定すればよく、制御圧延、加速冷却、あるいは再加熱熱処理等の組合せも可能である。
表2および表3に示す化学組成の鋼を溶製し、1150℃に加熱した後熱間圧延を行い、室温まで空冷して厚さ6mmの鋼板を試作した。次いで、得られた鋼板から35mm×35mm×5mmの試験片を採取した。試験片は、表面を表面粗さRaが1.6以下となるよう研削加工し、端面、裏面をテープシールし、表面露出部の面積が25mm×25mmとなるよう表面もテープシールした。
以上により得られた試験片について、耐候性試験を行い、耐候性を評価した。
耐候性評価試験としては、実際の橋梁などの構造物において最も厳しい環境と考えられる、雨掛かりの無い桁内部の環境を模擬した腐食試験を行った。腐食試験の条件は以下の通りである。温度40℃、相対湿度40%RHの乾燥工程を11時間、その後、移行時間を1時間とった後、温度を25℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を11時間として、その後1時間移行時間をとり、合計24時間で1サイクルとし、実環境の温湿度サイクルを模擬した。また、試験片表面に付着する塩分が表2に示す鋼では0.2mdd、表3に示す鋼では0.4mddとなるよう調整した人工海水溶液を週に一回、乾燥工程中に試験片の表面に塗布した。この条件にて、12週間で84サイクルの試験を行った。
また、腐食試験終了後、試験片を塩酸にヘキサメチレンテトラミンを加えた水溶液に浸漬して脱錆してから重量を測定し、得られた重量と初期重量との差を求めて片面の平均板厚減少量を求めた。この平均板厚減少量が14μm以下であれば、耐侯性が優れていると評価した。
以上により得られた腐食試験結果を成分組成と併せて表2および表3に示す。
Figure 2011202215
Figure 2011202215
表2より、本発明例(鋼種No.1〜18)では、板厚減少量は12.5〜13.9μmであり、付着塩分量0.2mmd(飛来塩分量0.5mmd相当)の環境下において、優れた耐候性を有している。
一方、本発明で規定する範囲から外れる比較例(鋼種No.19〜31)では、板厚減少量が15.3〜17.3μmと本発明例に比べ大きく耐候性が劣っていることがわかる。
また、表3より、本発明例(鋼種No.32〜45)では、板厚減少量は12.1〜13.8μmであり、付着塩分量0.4mmd(飛来塩分量1.0mmd相当)の環境下において、優れた耐候性を有している。またこの結果から、Niによる耐食性の向上と、MoとSbおよび/またはSn複合含有による耐食性の向上は、累積して得られることも明らかである。
一方、本発明で規定する範囲から外れる比較例(鋼種No.46〜58)では、板厚減少量が17.3〜35.0μmと本発明例に比べ大きく耐候性が劣っていることがわかる。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.06%超え0.14%未満、Si:0.05%以上2.00%以下、Mn:0.2%以上2.0%以下、P:0.005%以上0.030%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、Cu:0.1%以上1.0%以下、Ni:0.1%以上5.0%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下を含有し、さらに、Sb:0.005%以上0.200%以下、Sn:0.005%以上0.100%以下の1種または2種を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする耐候性に優れた構造用鋼材。
  2. さらに、質量%で、Co:0.01%以上1.00%以下、REM:0.0001%以上0.1000%以下から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
  3. さらに、質量%で、Ti:0.005%以上0.200%以下、V:0.005%以上0.200%以下、Mg:0.0001%以上0.0100%以下から選ばれる一種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
  4. さらに、質量%で、Cr:0.2%以上1.0%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐候性に優れた構造用鋼材。
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