JP2011202113A - 発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法および予備発泡粒子 - Google Patents

発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法および予備発泡粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】予備発泡粒子の過発泡を引き起こすことなく、予備発泡時間を大幅に短縮することができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法および該予備発泡方法により得られる予備発泡粒子を提供すること。
【解決手段】予備発泡工程、回収工程を少なくとも含み、発泡性熱可塑性樹脂粒子が100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂で構成され、予備発泡工程および回収工程がこの順で繰り返し実施され、予備発泡工程と回収工程との間に予備発泡槽冷却工程を設けず、回収工程の間に予備発泡槽内に乾燥空気を導入し、ジャケットが90〜T℃の温度に保たれることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法および予備発泡粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は、予備発泡粒子の過発泡を引き起こすことなく、予備発泡時間を大幅に短縮することができる発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法および該予備発泡方法により得られる予備発泡粒子に関する。
ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含むか、またはポリスチレン系樹脂を単独で含む発泡性熱可塑性樹脂粒子(本発明では、発泡性熱可塑性樹脂粒子とも称する)から得られた発泡成形体は、その成形性、耐熱性等に優れるため、自動車部品等の通い箱、電気製品等の緩衝包装材として幅広く利用されている。
前記発泡成形体の製造方法として、発泡性熱可塑性樹脂粒子を所定倍率まで予備発泡させ、次いで得られた予備発泡粒子を型内で発泡成形する発泡成形体の製造方法が一般に用いられている。
前記予備発泡方法として、予備発泡粒子の品質維持等の観点からバッチ法が広く用いられ、具体的には、
発泡性熱可塑性樹脂粒子が存在しない予備発泡槽内を予備加熱する工程(本発明においては、予備加熱工程とも称する);
予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を投入し、次いで予備発泡槽内を大気圧下、加圧されていない蒸気、または実質的に加圧されていない0.01MPa程度の加圧蒸気で流通させ、ブロッキング、過発泡を防止するための攪拌を系内に加えつつ、発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱発泡させる工程(本発明においては、予備発泡工程とも称する);
発泡性熱可塑性樹脂粒子が所望の発泡倍率まで発泡した際、蒸気の流通を停止し、次いで乾燥空気を吹き込むことにより予備発泡粒子を予備発泡槽内で冷却、乾燥させる工程(本発明においては、予備発泡槽冷却工程とも称する);
得られた予備発泡粒子を予備発泡槽内から回収する工程(本発明においては、回収工程とも称する);
予備発泡槽内を清掃する工程(本発明においては、清掃工程とも称する)
を、この順で繰り返し実施する予備発泡方法が一般に行われている。
しかしながら、前記予備発泡方法では、予備発泡工程に長時間を要するとの製造工程上の問題点が認められ、前記問題点は、単位時間当たりの製造効率の低下につながり、製造コスト、生産効率等の点で好ましいものではない。
特に、予備発泡槽冷却工程を行って繰り返し予備発泡を行う場合、一旦冷却した予備発泡槽内を再度予備加熱しなければならず、予備発泡時間、設備面、製造コスト等の点で好ましいものではない。他方、予備発泡槽冷却工程を行わない場合、製造工程を短縮できるものの、予備発泡粒子の過発泡、予備発泡粒子同士のブロッキング等を引き起こすおそれがあり、予備発泡粒子の品質面でも好ましいものではない。
よって、前記問題点に鑑みて、以下の予備発泡方法が特許文献1〜4に提案されている。
特許第4090932号公報 特許第4085835号公報 特開2005−187778号公報 特許第3026235号公報
特許文献1には、所定間隔毎に一旦蒸気加熱を止め、その間に予備発泡槽に所定時間、乾燥空気を導入する工程を設けた発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、従来技術において行われている予備発泡後の予備発泡槽冷却工程を設け、また、乾燥空気を導入する工程が新たに設けているため、製造コスト、生産効率等の点で満足のいくものではない。
特許文献2には、所定の圧縮空気により予備発泡槽を加圧する空気加圧工程およびそれに続く加熱発泡工程等を含む発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の発明も、従来技術において行われている予備発泡後の予備発泡槽冷却工程を同様に設け、また、予備発泡工程を2回以上に分けて実施しているため、同様に、予備発泡工程が複雑化し、生産性等の点で満足のいくものではない。
特許文献3には、発泡初期に所定温度の加熱温度を用いるスチレン系予備発泡粒子の予備発泡方法が開示されている。しかしながら、特許文献3に記載の発明も、従来技術において行われている予備発泡後の予備発泡槽冷却工程を設け、また、極めて狭い温度領域での加熱制御が必要であるため、生産管理等の面でも好ましいものではない。
他方、特許文献4には、前記予備発泡槽冷却工程を設けない発泡性スチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に記載の発明は、揮発性膨張剤含有量が極めて少なく、かつ、かなりの高温条件下で一気に予備発泡を行うため、同様に予備発泡の制御は困難なものである。
従って、予備発泡粒子の過発泡等を引き起こすことなく、予備発泡時間を大幅に短縮することができる、発泡性熱可塑性樹脂粒子の簡便な予備発泡方法および該予備発泡方法により得られる品質に優れた予備発泡粒子を提供することが求められている。
かくして本発明によれば、ジャケットを備えた予備発泡槽内で発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させる予備発泡工程、予備発泡槽内から予備発泡粒子を回収する回収工程を少なくとも含み、
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子が、100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂で構成され、
前記予備発泡工程および前記回収工程が、この順で繰り返し実施され、
前記予備発泡工程と前記回収工程との間に予備発泡槽冷却工程を設けず、
前記回収工程の間に前記予備発泡槽内に乾燥空気を導入し、
前記熱可塑性樹脂の軟化温度をT℃とした場合、ジャケットが、90〜T℃の温度に保たれる
ことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法が提供される。
また本発明によれば、前記予備発泡方法により得られる予備発泡粒子も提供される。
本発明の予備発泡方法を用いることにより、予備発泡粒子の過発泡を引き起こすことなく、予備発泡時間を大幅に短縮することができる。
本発明においては、予備発泡槽が、回収工程の開始時に90〜T℃の槽内温度に保たれる場合、安定に発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させつつ、予備発泡時間をより短縮することができる。
本発明においては、予備発泡槽が、予備発泡工程の開始時に90〜100℃の槽内温度に保たれる場合、易揮発性発泡剤の放出を抑えることができ、より短時間のうちに所定の発泡倍数の予備発泡粒子を得ることができる。また、予備発泡粒子の発泡のばらつきを抑制でき、より品質の良い予備発泡粒子を得ることが出来る。
本発明においては、予備発泡工程が、0.02〜0.15MPaのゲージ圧力を有する加圧蒸気を用いて行われる場合、より安定に発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させつつ、予備発泡時間をより短縮できる。また、予備発泡時の加熱制御が容易となる。
本発明においては、発泡性熱可塑性樹脂粒子が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂100〜400重量部含む場合、予備発泡粒子表面が、必要以上に軟化することを抑制することによって予備発泡粒子同士の過発泡をより抑制し、発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡をより安定に行うこともできる。また、予備発泡槽から予備発泡粒子取り出し後の余熱による発泡の継続を抑制できる。
本発明においては、本発明の予備発泡方法を行うことにより予備発泡粒子が過発泡することなく、品質面に優れた予備発泡粒子を得ることもできる。
本発明で用い得る予備発泡槽の概略図である。
本発明は、ジャケットを備えた予備発泡槽内で発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させる予備発泡工程、予備発泡槽内から予備発泡粒子を回収する回収工程を少なくとも含み、
前記発泡性熱可塑性樹脂粒子が、100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂で構成され、
前記予備発泡工程および前記回収工程が、この順で繰り返し実施され、
前記予備発泡工程と前記回収工程との間に予備発泡槽冷却工程を設けず、
前記回収工程の間に前記予備発泡槽内に乾燥空気を導入し、
前記熱可塑性樹脂の軟化温度をT℃とした場合、ジャケットが、90〜T℃の温度に保たれる
ことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法である。
以下に本発明で使用する発泡性熱可塑性樹脂粒子について説明する。
本発明においては、発泡性熱可塑性樹脂粒子は、100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含むため、予備発泡後に得られる予備発泡粒子は過発泡等が抑制され、耐熱性に優れた樹脂粒子である。よって、本発明においては、従来予備発泡時、必須工程とされていた長時間に亘る予備発泡槽冷却工程を行うことなく、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させることができる。軟化温度が135℃より高い場合、予備発泡時、発泡性熱可塑性樹脂粒子が十分に軟化せず、所定の嵩倍数を得ることができないことがある。他方、軟化温度が100℃より低い場合、予備発泡時、発泡性熱可塑性樹脂粒子が軟化しすぎ、予備発泡粒子が過発泡を引き起こすことがある。
また、発泡性熱可塑性樹脂粒子が100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含む場合、得られた予備発泡粒子および発泡成形体も同様の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含む。また、同様の観点から、発泡性熱可塑性樹脂粒子が105〜125℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、115〜125℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含むことがより好ましい。なお、軟化温度の測定方法等については、実施例において詳説する(本発明においては、前記軟化温度をT℃とも称する)。
本発明においては、予備発泡槽に備えたジャケットの温度との間で調和を図り、予備発泡粒子表面が必要以上に軟化することを抑制することもできるため、発泡性熱可塑性樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂を含むことが好ましく、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含むことがより好ましい。また、予備発泡粒子の過発泡をより抑制し、発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡をより安定に行うこともできる。
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン単独重合体、またはスチレンを主成分とし、スチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体である。ここでスチレンを主成分とするとは、スチレンが全単量体の70重量%以上を占めることを意味する。他の単量体として、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が例示される。例示中、アルキルとは炭素数1〜8のアルキルを意味する。
本発明においては、発泡性熱可塑性樹脂粒子を安定に予備発泡させることができるポリスチレン単独重合体が好ましい。
本発明においてポリオレフィン系樹脂とは、二重結合を有するオレフィン系重合性単量体を重合させることにより得られる樹脂をいう。ポリオレフィン系樹脂として、例えば、分枝鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂;
プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
本発明においては、予備発泡粒子表面が必要以上に軟化することを抑制することにより予備発泡粒子同士の合着を抑制し得ることがあるため、ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンおよびポリプロピレン系樹脂のいずれかが好ましい。
本発明においては、予備発泡工程等に影響を与えない限り前記ポリオレフィン系樹脂を単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。なお、前記例示中、低密度とは0.91〜0.94g/cm3であることが好ましく、0.91〜0.93g/cm3であることがより好ましい。高密度とは0.95〜0.97g/cm3であることが好ましく、0.95〜0.96g/cm3であることがより好ましい。中密度とはこれら低密度と高密度の中間の密度である。
ポリオレフィン系樹脂およびポリスチレン系樹脂は、予備発泡工程等に影響を与えない限り、それぞれ、ビニル基、カルボニル基、芳香族基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基等の官能基を含んでいてもよく、2以上のビニル基を有する架橋剤等により架橋されていてもよく、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
ポリスチレン系樹脂は、発泡性熱可塑性樹脂粒子中に、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して100〜400重量部の範囲で含有されることが好ましい。ポリスチレン系樹脂の含有量が400重量部より多いと、予備発泡粒子の耐熱性が低下し、ブロッキングを引き起こす場合がある。また予備発泡槽から予備発泡粒子を取り出し後においても余熱により発泡が継続し過発泡を引き起こす場合もある。一方、100重量部より少ないと、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面層からの易揮発性発泡剤の逸散が速くなり所望の発泡性を得ることができず、易揮発性発泡剤の保持性が低下することがある。
本発明において、ポリスチレン系樹脂の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して125〜240重量部がより好ましい。他方、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との組合せとして、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂のいずれかとポリスチレン単独重合体との組合せが好ましい。
熱可塑性樹脂の軟化温度が100〜135℃であるため、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、耐熱性等に優れたものである。このため、予備発泡槽に備えたジャケットを90〜T℃の温度に保ち、予備発泡槽冷却工程を行わない場合であっても、回収工程時に予備発泡粒子の過発泡等を引き起こすことを抑制しつつ所望の予備発泡粒子を回収することができる。その結果、本発明においては、従来必須の工程とされていた予備発泡槽冷却工程を要することなく、製造工程時間を大幅に短縮することができる。
易揮発性発泡剤として、公知の種々の揮発性発泡剤を使用することができる。特に、発泡性能付与の観点からブタンおよびペンタンのいずれかを用いることが好ましい。ブタンとしてノルマルブタン、イソブタンが挙げられ、ペンタンとしてノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンが挙げられる。また、プロパン、ヘキサン、シクロヘキサン等のその他の炭化水素、フロン、ハロン等を少量併用してもよい。易揮発性発泡剤中、ブタンの含量は80重量%以上であることが好ましい。さらに、発泡助剤を用いてもよい。発泡助剤として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、d−リモネン等の溶剤、ジイソブチルアジペート、グリセリン、ジアセチル化モノラウレート、やし油等の可塑剤(高沸点溶剤)が挙げられる。
易揮発性発泡剤の含有量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは10〜17重量部である。易揮発性発泡剤の含有量が5重量部より低いと、発泡性熱可塑性樹脂粒子の発泡性が低下することがある。発泡性が低下すると、嵩倍数の高い低嵩密度の予備発泡粒子が得られ難くなると共に、この予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡成形体は、合着率が低下し、耐割れ性が低下することがある。一方、20重量部より高いと、成形性の低下や、得られる発泡成形体の圧縮、曲げ等の強度特性の低下が発生することがある。
また、所望の予備発泡粒子を得ることができる限り、予備発泡粒子は添加剤等を含んでいてもよい。添加剤として、具体的には、難燃剤、難燃助剤、被覆剤、連鎖移動剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
予備発泡を行う発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法について以下に説明する。
発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造時に使用する熱可塑性樹脂粒子の製造には、公知の重合法、即ち、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、シード重合法等を適宜使用することができる。本発明においては、重合時の過度な発熱、圧力上昇を抑制しつつ、より容易かつ安全に熱可塑性樹脂粒子を製造することができるため、重合法として懸濁重合法を用いることが好ましい。
特に、懸濁重合法として、ポリオレフィン系樹脂粒子中にスチレン系単量体を水性媒体中で含浸、重合させることにより熱可塑性樹脂粒子を製造する含浸重合法が好ましい。前記含浸重合により、熱可塑性重合性樹脂粒子および予備発泡粒子の表層におけるポリオレフィン系樹脂の比率がより高くなり、予備発泡粒子の耐熱性をより向上させ得る。
次いで、得られた熱可塑性樹脂粒子に易揮発性発泡剤を含浸させることにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。易揮発性発泡剤の含浸は、易揮発性発泡剤存在下、水性媒体の存在下または非存在下に行うことができる。前記含浸は熱可塑性樹脂粒子を過剰量の易揮発性発泡剤に接触、浸漬することで、熱可塑性樹脂粒子に易揮発性発泡剤を含浸させることに対応している。
含浸法の例として、
易揮発性発泡剤と熱可塑性樹脂粒子とを攪拌下に混合させる方法;
熱可塑性樹脂粒子が保持された容器中に易揮発性発泡剤を循環させる方法;
熱可塑性樹脂粒子が分散している水性媒体中に易揮発性発泡剤を注入して熱可塑性樹脂粒子に易揮発性発泡剤を含浸させる方法等が挙げられる。
以下に本発明で使用し得る予備発泡槽について説明する。
本発明においては、予備発泡槽内で発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させる予備発泡工程、予備発泡槽内から予備発泡粒子を回収する回収工程を少なくともすることができ、ジャケットを所定の温度に維持し得る限り、公知のジャケットを備えた予備発泡槽を使用することができる。また、比較的大きな接触面を得ることにより、予備発泡槽内をより均一な温度に保つことができるため、予備発泡槽全体を覆うジャケットを使用することが好ましい。前記温度は、ジャケット内を通過する熱煤の温度を意味する。熱煤として、蒸気、熱水等の公知の熱煤を使用し得るが、製造コスト等の観点から蒸気が好ましい。
また、予備発泡槽内の槽内温度およびゲージ圧力とは、それぞれ予備発泡を実際に行う予備発泡槽内に備えた計測計がそれぞれ示す温度および圧力を意味する。よって、予備発泡が所定のゲージ圧力下行われる場合、大気圧とゲージ圧力との合算圧力下で行われることを意味する。
予備発泡槽は、蒸気、熱水等の熱煤が通過することにより、予備発泡槽内を所定の温度に維持し得る保温用のコイル、熱煤ヒーター、温風器等のその他の保温設備を備えていてもよい。
本発明において、ジャケットの温度は、予備加熱工程、予備発泡工程、回収工程等の発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡時に90〜T℃、好ましくは95〜T℃、より好ましくは95〜(T−5)℃に保たれる。前記温度が90℃より低い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子が十分に軟化せず、所望の嵩倍数の予備発泡粒子を得ることができないことがある。他方、前記温度がT℃より高い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子が必要以上に軟化し、予備発泡時、過発泡を引き起こすことがある。
図1において、本発明で使用し得る予備発泡槽を例示するが、本発明は前記予備発泡槽に限定されるものではない。
図1において、1は予備発泡槽に加圧蒸気を送り込むラインを示しており、バルブの開閉により送り込む加圧蒸気の圧力を調節することができる。
2は予備発泡槽のジャケットに蒸気を送り込むラインを示しており、1と同様に、ジャケットに送り込む蒸気の圧力をバルブで調節することができる。
3は予備発泡を行う予備発泡槽を示している。
4は予備発泡の際、予備発泡粒子同士のブロッキングを防ぐための攪拌翼を示している。
5は1から予備発泡槽内に送り込んだ加圧蒸気を排出するためのラインを示しており、バルブ操作により開閉度を調節することができる。
6は予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を入れる際に用いる投入口を示している。
7は予備発泡終了後、予備発泡粒子を取り出す際の排出口を示している。
8は予備発泡槽内のゲージ圧力および温度を測定する際の計測計を示している。
9は蒸気配管内の加圧蒸気のゲージ圧力および温度を測定する際の計測計を示している。
10は予備発泡槽が備えるジャケットを示している。
11はジャケットのゲージ圧力および温度を測定する際の計測計を示している。
12はジャケット内に溜まったドレンの排出配管を示している。
前記予備発泡槽は、5の蒸気排出バルブの開閉度を調節することで8の予備発泡槽内のゲージ圧力をゼロから9の蒸気配管の蒸気圧と同等のゲージ圧力まで任意に調節することができる。
本発明において、予備加熱工程とは、予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子が存在しない状態で、予備発泡槽内の温度を90℃以上とする工程を意味する。また、前記予備加熱は、ジャケット内の熱煤を介して行ってもよく、予備発泡槽内に加熱蒸気を導入して行ってもよい。
本発明においては、熱可塑性樹脂粒子が100℃〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含むため、予備発泡終了時に予備発泡槽冷却工程を実施しなくても、予備発泡粒子の過発泡を抑制することができる。このため、予備発泡終了時に予備発泡槽冷却工程を必要としない。よって、従来行われていた投入工程前の予備加熱工程を要さないか、または短縮することが出来る。このことは、予備発泡に要する時間を短縮することができることを示している。また、予備発泡時間短縮の観点から予備加熱工程を行わないことが好ましい。
本発明において、予備発泡工程とは、予備加熱工程終了後、所定の温度に保たれた予備発泡槽内に、発泡性熱可塑性樹脂粒子、次いで加圧蒸気を導入して熱可塑性樹脂粒子の予備発泡を開始し、所望の嵩倍数の予備発泡粒子を得ることにより、加圧蒸気の導入を停止するまでの工程を意味する。予備発泡工程の開始時の槽内温度は、好ましくは90〜100℃に保たれ、より好ましくは90〜95℃に保たれる。90℃より低い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽内に投入した際、槽内温度が大幅に下がり、長時間に亘る予備発泡時間を要することがある。他方、100℃より高い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子が必要以上に軟化し、過発泡を引き起こすことがある。
本発明においては、予備発泡槽内をより均一な温度条件下とし得る場合があるため、好ましくは0.02〜0.15MPa、より好ましくは0.02〜0.06MPaのゲージ圧力の加圧蒸気を用いて予備発泡槽を加熱する。0.02MPaより低いゲージ圧力の加圧蒸気を用いた場合、槽内温度を均一にできないことがある。他方、0.15MPaより高いゲージ圧力の加圧蒸気を用いた場合、製造コスト面で問題となることがある。
本発明においては、予備発泡工程時、得られる予備発泡粒子の物性に影響を与えない限り、予備発泡槽は、大気圧に開放された、実質的に大気圧と同等の圧力下であってもよく、予備発泡槽が密閉された加圧下であってもよい。
予備発泡工程時、バルブの開閉等により予備発泡槽内を密閉調整とし、次いで加圧蒸気を導入することにより、予備発泡槽内を好ましくは0〜0.15MPa、より好ましくは0〜0.06MPaのゲージ圧力下で予備発泡を行う。この場合、予備発泡粒子内からの易揮発性発泡剤の散逸を抑制し、過発泡をより抑制し得ることがある。他方、0.15MPaより高いゲージ圧力下で予備発泡を行った場合、樹脂粒子が必要以上に軟化し、ブロッキングを引き起こすことがある。同様の理由に基づいて、予備発泡の一連の工程において前記ゲージ圧力条件下で予備発泡を行うことが好ましい。また、予備発泡槽内の圧力調整により予備発泡槽内のゲージ圧力と加圧蒸気のゲージ圧力が同じ圧力に調整されることが好ましい。
さらに、予備発泡をより安定に行い得る場合があるため、予備発泡工程時の槽内温度は、90〜T℃が好ましく、95〜(T−5)℃がより好ましい。90℃より低い場合、十分に発泡性熱可塑性樹脂粒子が十分に予備発泡していない場合がある。他方、T℃より高い場合、予備発泡粒子の過発泡を引き起こすことがある。なお、過発泡抑制の観点から、予備発泡槽内に穏やかな攪拌を加えることが好ましい。
本発明の予備発泡を行うことにより、従来技術と比較して予備発泡サイクル時間を大幅に短縮することができる。このことは、バッチ法においては製造コスト等の点から極めて好ましい。予備発泡サイクル時間の測定方法等は実施例に詳説する。
本発明の予備発泡方法において、発泡性熱可塑性樹脂粒子が100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含むため、予備発泡粒子同士の過発泡も抑制することができる。このため、従来行われている予備発泡工程後の予備発泡槽冷却工程を要さず、予備発泡工程後、直ちに回収工程を行うことができる。このことは、予備発泡に要する時間を大幅に短縮することができることを意味する。
本発明において、回収工程とは、予備発泡粒子を予備発泡槽内から回収を開始し、終了するまでの工程を意味する。回収工程開始時の槽内温度は、好ましくは90〜T℃に保たれ、より好ましくは95〜(T−5)℃に保たれる。90℃より低い場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子が十分に予備発泡していない場合がある。他方、T℃より高い場合、予備発泡粒子が必要以上に軟化し、過発泡を引き起こすことがある。また、回収工程時の予備発泡槽内のゲージ圧力は、予備発泡粒子の品質に影響を与えない限り、加圧下で行ってもよく、実質的に大気圧下で行ってもよい。
本発明においては、回収工程時に予備発泡槽内に乾燥空気を導入する。ここで、乾燥空気とは、好ましくは冷凍乾燥機を通過させ空気自体の湿りを取り除いた空気を意味し、工業用圧空機器に用いられる通常の圧縮空気を本発明は使用することも出来る。また、使用する乾燥空気は0〜25℃の温度を有することが好ましく、0.1〜0.4MPaであることが好ましい。前記範囲のいずれかに含まれない場合、過発泡等を引き起こすことなく、予備発泡粒子を乾燥できないことがある。
また、乾燥空気の導入は、回収工程の任意の時間に行うことができ、回収工程開始時に予備発泡槽内に乾燥空気の導入を開始してもよく、回収工程の途中に前記の導入を開始してもよい。また、回収工程における工程時間短縮の観点から、回収工程開始から5秒以内に予備発泡槽内に乾燥空気の導入を開始することが好ましい。同様の観点から、好ましくは1〜10秒間、より好ましくは3〜7秒間、乾燥空気を導入する。このことは、従来予備発泡時行われていた予備発泡槽冷却工程を要さずとも、回収工程時に前記乾燥空気により、過発泡を抑制するとともに予備発泡粒子の送粒性を向上させ、加湿状態で予備発泡粒子を回収することができることを意味する。乾燥空気の導入が1秒間より短い場合、予備発泡粒子の過発泡を引き起こすことがある。また、予備発泡粒子の送粒性が十分に向上せず、サイクル間の予備発泡槽内の清掃時間が長くなってしまうことがある。他方、10秒間より長い場合、乾燥空気の導入により必要以上に発泡槽内が冷却されてしまい、サイクル間の予備加熱時間が長くなってしまうことがある。
また、回収工程時、予備発泡槽内の回収工程によって回収することができなかった予備発泡粒子等を再度回収する清掃工程を任意に組み込んでもよい。
次いで、回収工程終了後、次のバッチの発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽内に投入することにより、同様の予備発泡を繰り返し行うこともできる。
本発明においては、任意の予備加熱工程、予備発泡工程、回収工程が、この順で繰り返し実施されることにより、予備発泡の生産性をさらに上げ、その結果製造コスト等をさらに下げることができる。なお、予備発泡工程、品質等に影響を与えない限り、予備発泡工程を2段階以上の温度、圧力、時間条件下で行ってもよい。
本発明においては、前記のとおり、予備発泡時間を短縮し、予備発泡時の過発泡等を抑制しつつ、高品質の予備発泡粒子を得ることができる。
本発明の予備発泡粒子は、好ましくは嵩倍数25〜80倍(嵩密度0.04〜0.0125g/cm3)、より好ましくは嵩倍数35〜60倍(嵩密度0.029〜0.017g/cm3)を有する。嵩倍数が80倍より大きいと、得られる発泡成形体の強度が低下することがある。一方、25倍より小さいと、得られる発泡成形体の重量が増加することがある。
また、予備発泡粒子の平均粒子径は8.4mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましい。平均粒子径が8.4mmより大きいと、発泡成形機への予備発泡粒子の充填性が低下することがあり、得られる発泡成形体の強度が低下することがある。
さらに、予備発泡粒子を成型機の型内に充填し、加熱して二次発泡させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることにより、所望の形状を有する発泡成形体を得ることができる。前記成形機としては、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子から発泡成形体を製造する際に用いられるEPS成形機等を用いることができる。
本発明で得られる発泡成形体は過発泡が低減された予備発泡粒子を使用しているため、成形性に優れ、その表面は美麗である。よって、得られる発泡成形体は、家電製品等の緩衝材(クッション材)、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の用途に用いることができる。特に、自動車部品等の通い箱、電気製品等の緩衝包装材として好適に用いることもできる。
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。各種製造条件および評価方法について以下に説明する。
<発泡性熱可塑性樹脂粒子の熱機械分析による軟化温度測定方法>
JIS K7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法に準拠し測定した。すなわち、試料を 190℃もしくは200℃で5分間 熱プレスして、厚み3mmのプレート状成形体を作製した後、縦5mm×横5mm×厚み3mmの試験片を切り出し、熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用い、針入試験モード(針の先端φ1m)、荷重500mNで、試験片に針を当て30℃から昇温速度5℃/minで温度を上げていき、TMA曲線で、圧子(針)が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針入温度とし、その針入温度をこの樹脂粒子の軟化温度とした。また、上記軟化温度が2点ある場合は、高温側の数値を軟化温度とする。
<予備発泡方法>
以下の実施例および比較例において、任意の予備加熱工程、予備発泡工程、任意の予備発泡槽冷却工程、回収工程、清掃工程をこの順で繰り返し行うことにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡を行う。
具体的には、予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子が存在しない状態で、予備発泡槽に加圧蒸気を導入することにより、予備発泡槽内の温度を所定の温度以上、本発明の実施においては90℃以上に加熱し、大気圧下または密閉系において、任意に予備発泡槽内の予備加熱を実施する(予備加熱工程)。
前記予備加熱工程終了後、または後述する予備発泡槽清掃工程終了後、予備発泡槽内の温度が所定の温度以上である場合は予備加熱工程を行うことなく、予備発泡槽内に発泡性熱可塑性樹脂粒子を投入する。次いで所定の圧力に調整した加圧蒸気を導入し、大気圧下または予備発泡槽内を所定の圧力下、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させる(予備発泡工程)。
加圧蒸気の導入は、予備発泡粒子の嵩倍数が所定の容積に達した時に終了し、予備発泡粒子回収後、予備発泡粒子の嵩倍数を評価することにより、予備発泡粒子の嵩倍数が実際に、所定の発泡倍数であることを確認する。加圧蒸気の導入の終了は、予備発泡槽内に備えたレベルセンサを用いて判断する。なお、加圧下に予備発泡工程を行う場合、発泡性熱可塑性樹脂粒子を投入した後に予備発泡槽内を密閉し、ついで加圧蒸気を導入して予備発泡工程を行う。
予備発泡工程終了後、予備発泡槽を冷却する場合、特に加熱・冷却等の処理を行っていない大気温の乾燥空気を直ちに予備発泡槽内に所定の時間、本発明の比較例では20〜30秒、導入し予備発泡粒子を冷却、乾燥させる(予備発泡槽冷却工程)。
予備発泡工程または予備発泡槽冷却工程終了後、加圧条件下予備発泡工程を行う場合、予備発泡槽内を大気圧下に戻し、次いで予備発泡粒子取り出し口を開放し、予備発泡粒子の回収を実施する。予備発泡粒子回収の際、予備発泡槽内に、所定の時間、前記乾燥空気を導入しつつ、予備発泡槽内より予備発泡粒子を回収する。前記、乾燥空気の導入は、予備発泡粒子回収開始と同時もしくは5秒以内に導入するのが望ましい(回収工程)。
回収工程終了後、予備発泡槽内に残った予備発泡粒子を、乾燥空気やブラシ等を用いて清掃を実施する。清掃工程時、予備発泡槽内温度保持の観点から乾燥空気は用いずに清掃を実施するのが望ましい(清掃工程)。
清掃工程終了後、前記の一連の工程をこの順で繰り返し実施する。
ジャケットを備えた予備発泡槽として、予備発泡槽を密閉し、所定の加圧下で予備発泡を行う場合、予備発泡槽(笠原工業社製、製品名PSX40)を用い、他方、予備発泡槽に加圧を行わず予備発泡槽を大気圧下に開放し、実質的に大気圧と同等の圧力下に予備発泡を行う場合、予備発泡槽(積水工機製作所社製、製品名SKK−70)を用いる。
予備発泡時、ジャケットには、所定の温度の蒸気を導入することにより、ジャケット内の温度を一定に保ちつつ、予備発泡槽内を保温する。
<予備発泡サイクル時間>
本発明においては、予備発泡サイクル時間とは、以下の一連の工程に要する時間をいい、
予備加熱工程に要する時間(本発明においては、予備加熱時間とも称する);
予備発泡工程に要する時間(本発明においては、予備発泡時間とも称する);
予備発泡槽冷却工程に要する時間(本発明においては、冷却時間とも称する);
回収工程および清掃工程に要する時間(本発明においては、回収時間とも称する);
の合計時間を意味する。
予備発泡サイクル時間の評価として2〜4回の試行の平均を判定する。
<予備発泡粒子の嵩密度および嵩倍数>
予備発泡粒子を500cm3のメスシリンダ内に500cm3の目盛りまで充填する。メスシリンダを水平から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。次いで、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を少数点以下2位の有効数字で測定し、その質量をW(g)とする。
下式により予備発泡粒子の嵩密度および嵩倍数を算出する。
嵩密度(g/cm3)=W/500
嵩倍数=1/嵩密度
以下の判定基準に従って、嵩倍数の評価として2〜3回の試行の平均を判定する。
1.40〜45倍の嵩倍数が得られた場合:○(合格)
2.40〜45倍の嵩倍数が得られなかった場合:×(不合格)
<予備発泡粒子の平均粒子径>
予備発泡粒子の平均粒子径は、予備発泡粒子の粒子径の平均をとることにより算出する。即ち、本発明の予備発泡粒子の平均粒子径は体積平均粒子径を意味する。なお、予備発泡粒子の平均粒子径は、例えば、べックマンコールター株式会社から製品名「コールターマルチサイザーII」として市販されている測定装置を用いて測定することができる。
実施例1〜4および比較例1〜5において予備発泡を行う発泡性熱可塑性樹脂粒子A〜Cを以下の製造方法に従って得た。
(発泡性熱可塑性樹脂粒子Aの作成方法)
<ポリエチレン系樹脂粒子の調製>
ポリオレフィン系樹脂粒子として、直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン・ヘキセン共重合体、メルトインデックス1.0g/10分、密度0.921g/ml、融点126℃)を押出機にて造粒し、L/D=0.9、平均粒径が0.8mmの略球状のポリエチレン系樹脂粒子を得た。なお、造粒時に気泡調整剤として、前記ポリエチレン100重量部に対して0.5重量部のタルクを添加した。
<第1の重合>
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリオレフィン系樹脂粒子600gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド(dicumyl peroxide)0.65gを溶解させたスチレン単量体0.258kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。
次に、反応系の温度をポリオレフィン系樹脂の融点より14℃高い140℃に昇温して2時間保持し、スチレン単量体をポリオレフィン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
<第2の重合>
次に、第1の重合の反応液をポリオレフィン系樹脂の融点より3℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド4.9gを溶解したスチレン単量体1.140kgを4時間かけて滴下し、ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
得られた熱可塑性樹脂粒子の軟化温度は106℃であった。
<易揮発性発泡剤の含浸>
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後の熱可塑性樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、易揮発性発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。易揮発性発泡剤の含有量は発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して13重量部であった。
(発泡性熱可塑性樹脂粒子Bの作成方法)
<ポリエチレン系樹脂粒子の調製>
ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、プライムポリマー社製、製品名F−744NP、融点140℃)100重量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリオレフィン系樹脂粒子を得た。このときのポリオレフィン系樹脂粒子の平均質量を100粒当たり74mgに調整した。
<第1の重合>
次いで、攪拌機付き5Lオートクレーブに、前記ポリオレフィン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド(dicumyl peroxide)0.7gを溶解させたスチレン単量体0.344kgを30分で滴下した。滴下後30分間保持し、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。次いで、反応系の温度をポリオレフィン系樹脂の融点と同じ140℃に昇温して2時間保持し、スチレン単量体をポリオレフィン系樹脂粒子中で重合させた。
<第2の重合>
次いで、第1の重合の反応液をポリオレフィン系樹脂の融点より20℃低い120℃として、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3.6gを溶解したスチレン単量体0.856kgを4時間かけて滴下し、ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収させながら重合を行った。この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し、3時間保持して重合を完結し、熱可塑性樹脂粒子を得た。得られた熱可塑性樹脂粒子の軟化温度は124℃であった。
<易揮発性発泡剤の含浸>
この後、反応系の温度を60℃にして、この懸濁液中に、難燃剤としてトリ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成社製)60gと、難燃助剤として2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン(化薬アクゾ社製)30gとを投入し、投入後、反応系の温度を130℃に昇温し、2時間攪拌を続け、熱可塑性樹脂粒子を得た。次いで、常温まで冷却し、熱可塑性樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後の熱可塑性樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、易揮発性発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性熱可塑性樹脂粒子Bを得た。易揮発性発泡剤の含有量は発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して13重量部であった。
(発泡性熱可塑性樹脂粒子Cの作成方法)
<易揮発性発泡剤の含浸>
攪拌装置を備えたステンレス製の100リットルのオートクレーブ内に、イオン交換水40000g、平均粒径が0.4mmのポリスチレン粒子40000g、リン酸三カルシウム120gおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0gを供給して1時間かけて110℃まで昇温した。
しかる後、前記オートクレーブ内にペンタン3200gを圧入して110℃で2時間に亘って放置した後に冷却して水を分離除去した上で乾燥させて、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して易揮発性発泡剤としてペンタンを5.5重量部含有させた平均粒径0.4mmの発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
そして、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子100gと、直接法により製造された平均粒径が40μmのステアリン酸亜鉛(堺化学社製、製品名SZ−P)0.4gおよび重量平均分子量が300であるポリエチレングリコール1030重量%含有するポリエチレングリコール水溶液0.2gからなる被覆剤とをスーパーミキサーに供給して5分間に亘って攪拌、混合し、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面に被覆剤を塗布して、被覆剤からなる表皮層で表面前面が略均一に被覆されている発泡性熱可塑性樹脂粒子Cを得た。易揮発性発泡剤の含有量は発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して5重量部であった。得られた熱可塑性樹脂粒子の軟化温度は108℃であった。
実施例1
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Aを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を99℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を90℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.02MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽を加圧しないで嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽冷却工程を行わないで、直ちに予備発泡粒子の回収工程を実施し、
(7)回収工程時に、乾燥空気を3秒間予備発泡槽内に導入し、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Aの予備発泡サイクルを3回実施した。
予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は99℃であった。また、清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は84℃であったため予備発泡槽内温度を90℃以上にするために予備加熱工程を実施した。予備加熱工程に要した時間は5秒であった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は35秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.7mmであった。
実施例2
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Aを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を95℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を90℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.05MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽を加圧しないで嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽冷却工程を行わないで、直ちに予備発泡粒子の回収工程を実施し、
(7)回収工程時に、乾燥空気を8秒間予備発泡槽内に導入し、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Aの予備発泡サイクルを3回実施した。予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は95℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は82℃であったため予備発泡槽内温度を90℃以上にするために予備加熱工程を実施した。予備加熱工程に要した時間は5秒であった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は36秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.7mmであった。
実施例3
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Bを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を119℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を90℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.1MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽内を0.1MPaのゲージ圧まで加圧し、嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽冷却工程を行わないで、予備発泡槽内のゲージ圧を大気圧下に戻した後、直ちに予備発泡粒子の回収工程を実施し、
(7)回収工程時に、乾燥空気を3秒間予備発泡槽内に導入し、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Bの予備発泡サイクルを3回実施した。
予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は114℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は95℃であり、所定の温度である90℃以上であったため予備加熱工程は実施しなかった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は34秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.4mmであった。
実施例4
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Cを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を99℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を90℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.02MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽を加圧しないで嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽冷却工程を行わないで、直ちに予備発泡粒子の回収工程を実施し、
(7)回収工程時に、乾燥空気を3秒間予備発泡槽内に導入し、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Cの予備発泡サイクルを3回実施した。
予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は95℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は86℃であったため予備発泡槽内温度を90℃以上にするために予備加熱工程を実施した。予備加熱工程に要した時間は5秒であった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は32秒であった。
予備発泡終了後、嵩倍数40倍で予備発泡工程を終了したが、回収後嵩倍数を測定したところ嵩倍数43倍の予備発泡粒が得られた。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は2.4mmであった。
比較例1
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Aを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を72℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を90℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.06MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽を加圧しないで嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽内に20秒間乾燥空気を導入することにより予備発泡槽冷却工程を実施し、その後予備発泡粒子の回収工程を行い、
(7)回収工程時に、乾燥空気を導入しないで、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Aの予備発泡サイクルを3回実施した。
予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は78℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は72℃であったため予備発泡槽内温度を90℃以上にするために予備加熱工程を実施した。予備加熱工程に要した時間は20秒であった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は16秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.7mmであった。
比較例2
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Aを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を78℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を80℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.06MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽を加圧しないで嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽冷却工程を行わないで、直ちに予備発泡粒子の回収工程を実施し、
(7)回収工程時に、乾燥空気を4秒間予備発泡槽内に導入し、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記、条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Aの予備発泡サイクルを3回実施した。予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は98℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は80℃であり、所定の温度である80℃以上であったため予備加熱工程は実施しなかった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は35秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は4.7mmであった。
比較例3
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Bを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を120℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を80℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.1MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽内を0.1MPaのゲージ圧まで加圧し、嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽内のゲージ圧を大気圧下に戻した後、予備発泡槽内に25秒間乾燥空気を導入することにより予備発泡槽冷却工程を実施し、その後予備発泡粒子の回収工程を行い、
(7)回収工程時に、乾燥空気を導入しないで、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Bの予備発泡サイクルを3回実施した。
予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は82℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は78℃であり、予備発泡槽内温度を80℃以上にするために予備加熱工程を実施した。予備加熱工程に要した時間は2秒であった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は18秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は5.4mmであった。
比較例4
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Bを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を140℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を95℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.2MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽内を0.2MPaのゲージ圧まで加圧し、嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽内のゲージ圧を大気圧下に戻した後、予備発泡槽内に25秒間乾燥空気を導入することにより予備発泡槽冷却工程を実施し、その後予備発泡粒子の回収工程を行い、
(7)回収工程時に、乾燥空気を導入しないで、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Bの予備発泡を実施した。しかし得られた予備発泡粒子は過発泡を起こしており、またブロッキングも見られたため、以降の検討を中止した。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
比較例5
(1)予備発泡を行う原料として発泡性熱可塑性樹脂粒子Cを使用し、
(2)予備発泡時、ジャケット温度を80℃に保ち、
(3)予備発泡粒子投入時の予備発泡槽内温度を90℃にし、
(4)予備発泡に用いる加圧蒸気のゲージ圧力を0.02MPaにし、
(5)予備発泡時の予備発泡槽を加圧しないで嵩倍数40倍まで予備発泡を行い、
(6)予備発泡工程終了後、予備発泡槽内に20秒間乾燥空気を導入することにより予備発泡槽冷却工程を実施し、その後予備発泡粒子の回収工程を行い、
(7)回収工程時に、乾燥空気を導入しないで、
(8)回収工程終了後、清掃工程を適時実施した。
前記条件において発泡性熱可塑性樹脂粒子Cの予備発泡サイクルを3回実施した。予備発泡サイクルを実施した結果、予備発泡粒子取り出し時の予備発泡槽内温度は74℃であった。また清掃工程終了後の予備発泡槽内温度は64℃であったため予備発泡槽内温度を90℃以上にするために予備加熱工程を実施した。予備加熱工程に要した時間は20秒であった。予備発泡終了後の、予備発泡粒子回収工程および清掃工程に要した時間、回収時間は15秒であった。
予備発泡サイクル時間、嵩倍数の評価を表1に示す。
予備発泡粒子の平均粒子径は2.3mmであった。
表1および表2に、実施例および比較例の原料種、評価結果等を示す。
Figure 2011202113
Figure 2011202113
表2より、原料種Aを使用した予備発泡において実施例1のように本発明を用いた場合、本発明を用いない比較例1と比較して予備発泡サイクルは2分の1以下に短縮が可能であった。
同様に、原料種Bを使用した予備発泡において実施例3のように本発明を用いた場合、本発明を用いない比較例3と比較して予備発泡サイクルはおよそ3分の2に短縮が可能であった。
同様に、原料種Cを使用した予備発泡において実施例4のように本発明を用いた場合、本発明を用いない比較例5と比較して予備発泡サイクルは4分の3以下に短縮が可能であった。
よって、実施例1〜4で行った発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法では、予備発泡槽冷却工程を要することなく、工程時間を大幅に短縮しつつ、予備発泡を行い得ることを示している。また、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂を含むため、実施例1〜4で得られた予備発泡粒子は過発泡を引き起こすことなく、耐熱性等に優れた高品質な予備発泡粒子を得ることができることを示している。
1 予備発泡槽に蒸気を送り込むラインおよびその開閉バルブ
2 予備発泡槽のジャケットに蒸気を送り込むラインおよびその開閉バルブ
3 予備発泡槽
4 攪拌翼
5 予備発泡槽に送り込んだ蒸気を排出するためのラインおよびその開閉バルブ
6 予備発泡粒子の投入口
7 予備発泡粒子の排出口
8 予備発泡槽の計測計
9 予備発泡槽に蒸気を送り込むラインの計測計
10 予備発泡槽のジャケット
11 ジャケットの計測計
12 ドレンの排出配管

Claims (6)

  1. ジャケットを備えた予備発泡槽内で発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させる予備発泡工程、予備発泡槽内から予備発泡粒子を回収する回収工程を少なくとも含み、
    前記発泡性熱可塑性樹脂粒子が、100〜135℃の軟化温度を有する熱可塑性樹脂で構成され、
    前記予備発泡工程および前記回収工程が、この順で繰り返し実施され、
    前記予備発泡工程と前記回収工程との間に予備発泡槽冷却工程を設けず、
    前記回収工程の間に前記予備発泡槽内に乾燥空気を導入し、
    前記熱可塑性樹脂の軟化温度をT℃とした場合、ジャケットが、90〜T℃の温度に保たれる
    ことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法。
  2. 前記予備発泡槽が、前記回収工程の開始時に90〜T℃の槽内温度に保たれる請求項1に記載の予備発泡方法。
  3. 前記予備発泡槽が、前記予備発泡工程の開始時に90〜100℃の槽内温度に保たれる請求項1または2に記載の予備発泡方法。
  4. 前記予備発泡工程が、0.02〜0.15MPaのゲージ圧力を有する加圧蒸気を用いて行われる請求項1〜3のいずれか1つに記載の予備発泡方法。
  5. 前記発泡性熱可塑性樹脂粒子が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してポリスチレン系樹脂100〜400重量部を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の予備発泡方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法により得られる予備発泡粒子。
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