JP2011201721A - 二酸化塩素ガス放出ゲル状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者にとって安全で取り扱いが簡便であるとともに、二酸化塩素ガスを長期間放出可能であり、かつ、廃棄も容易な二酸化塩素ガス放出ゲル状物を提供する。
【解決手段】二酸化塩素化合物水溶液にキサンタンガム等の増粘多糖類を混合してなる混合ゲル状物と、混合ゲル状物に二酸化塩素ガスを放出させる際に添加するクエン酸等の弱酸類と、pH調整剤を有してなる二酸化塩素ガス放出ゲル状物であり、混合ゲル状物を主体とするガス放出層11の上部に二酸化塩素化合物を添加せず増粘多糖類を含有したゲル化物の緩衝層16を形成してなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、二酸化塩素ガス放出ゲル状物に関し、特に除菌,消臭等の目的に使用される二酸化塩素ガスを安全かつ容易に、長期間継続して放出させることができるゲル状物質に関する。
二酸化塩素ガスはその酸化作用により、除菌、消臭等に用いられる。二酸化塩素は水への溶解性に優れているため、専ら水溶液としての形態で使用されることが多い。しかし、二酸化塩素水溶液は空気に触れると二酸化塩素が拡散しやすい。また、不注意な取り扱いや振動等でこぼしやすく、溶液の状態のままでは必ずしも使い勝手が良いわけではない。
この点を考慮し、二酸化塩素の塩の状態(例えば亜塩素酸ナトリウム等)とし、この塩溶液(いわゆる安定化二酸化塩素水溶液)として利用することが提案されている。さらに、この安定化二酸化塩素水溶液を寒天、ゼラチン、シリカゲル、ポリアクリル酸系樹脂等の保持剤でゲル状に加工し、液漏れや液こぼれを抑える手法が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3等参照)。
前記の特許文献に開示の手法では、保持剤によるゲル化を伴うため、水溶液の流動性を低下させ取り扱いの利便性、安定性は向上する。しかし、効率良い二酸化塩素ガスの発生が犠牲となる。また、ポリアクリル酸系樹脂等の保持剤の場合、安定化二酸化塩素水溶液と短時間で反応して二酸化塩素ガスを発生させてしまう。
そこで、安定化二酸化塩素水溶液の活性化(つまり、効率良い二酸化塩素ガスの発生)を求め、同時に取り扱いの利便性にも考慮した二酸化塩素ガスの発生手法も提案されている(例えば、特許文献4,特許文献5等参照)。ただし、特許文献4,5等に開示される二酸化塩素ガスの発生方法であっても、使用者自らが安定化二酸化塩素水溶液に、活性化剤及びゲル化剤を混合する必要がある。この場合、使用者の不注意から、安定化二酸化塩素水溶液をこぼしたり、人体や衣服に付着したりするおそれがある。
さらに、製品の使用後において、ゲル状物質の種類によっては、容器との分離が難しく、容器のリサイクルや分別に応じた廃棄に難点があった。また、寒天、ゼラチン等の保持剤を用いる場合、溶解してゲル化する際に加熱が必要である。使用する以前の製造時の加熱により二酸化塩素ガスが拡散する欠点も内包している。
特開昭57−22102号公報 特許平6−75589号公報 特開昭61−181532号公報 特許第3110724号公報 特開2006−321666号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、使用者にとって安全で取り扱いが簡便であるとともに、二酸化塩素ガスを長期間放出可能であり、かつ、廃棄も容易な二酸化塩素ガス放出ゲル状物を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、二酸化塩素化合物水溶液に増粘多糖類を混合してなる混合ゲル状物と、前記混合ゲル状物に二酸化塩素ガスを放出させる際に添加する弱酸類とを有することを特徴とする二酸化塩素ガス放出ゲル状物に係る。
請求項2の発明は、前記増粘多糖類がキサンタンガムである請求項1に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物に係る。
請求項3の発明は、前記弱酸類がクエン酸である請求項1又は2に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物に係る。
請求項4の発明は、前記混合ゲル状物にpH調整剤が添加されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物に係る。
請求項5の発明は、前記混合ゲル状物を主体とするガス放出層の上部に二酸化塩素化合物を添加せず前記増粘多糖類を含有したゲル化物の緩衝層を形成してなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物に係る。
請求項1の発明に係る二酸化塩素ガス放出ゲル状物によると、二酸化塩素化合物水溶液に増粘多糖類を混合してなる混合ゲル状物と、前記混合ゲル状物に二酸化塩素ガスを放出させる際に添加する弱酸類とを有するため、使用者にとって安全で取り扱いが簡便であるとともに、二酸化塩素ガスを長期間放出可能であり、かつ、廃棄も容易な二酸化塩素ガス放出ゲル状物を得ることができた。
請求項2の発明に係る二酸化塩素ガス放出ゲル状物によると、請求項1の発明において、前記増粘多糖類がキサンタンガムであるため、増粘多糖類の溶解に際して加熱をする必要が無く、亜塩素酸塩の分解を低減して使用前の二酸化塩素ガスの放出を抑制することができる。
請求項3の発明に係る二酸化塩素ガス放出ゲル状物によると、請求項1又は2の発明において、前記弱酸類がクエン酸であるため、食品添加物として安全性が高く、しかも固体であることから取り扱いも容易である。
請求項4の発明に係る二酸化塩素ガス放出ゲル状物によると、請求項1ないし3のいずれか発明において、前記混合ゲル状物にpH調整剤が添加されているため、使用前の期間での二酸化塩素化合物の分解を抑制することができる。
請求項5の発明に係る二酸化塩素ガス放出ゲル状物によると、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記混合ゲル状物を主体とするガス放出層の上部に二酸化塩素化合物を添加せず前記増粘多糖類を含有したゲル化物の緩衝層を形成してなるため、弱酸類を添加した時点からの急激な二酸化塩素ガスの発生を緩和するとともに、ガス発生の効果も持続させることができる。
本発明の二酸化塩素ガス放出ゲル状物及びその容器の概略斜視図である。 使用時の様子を示す概略斜視図である。 他の実施例に係る二酸化塩素ガス放出ゲル状物の概略斜視図である。
本発明として規定する二酸化塩素ガス放出ゲル状物は、二酸化塩素化合物水溶液に増粘多糖類を混合してなる混合ゲル状物を二酸化塩素ガスの発生源とする。図1の模式図に示すように、混合ゲル状物10は、二酸化塩素ガス発生容器1の容器本体2内に充填された状態で販売、使用される。符号3は蓋体、5は蓋体の通気穴である。そして、二酸化塩素ガスを放出させる際、続く図2の使用時の模式図にあるように、いったん蓋体3が外され、容器本体2を気密する密封シール4(密栓としてもよい。)が剥がされる。その後、弱酸類20が混合ゲル状物10に添加される。弱酸類20の添加後、蓋体3は容器本体2に取り付けられる。
このように、混合ゲル状物10と弱酸類20とを有する構成である。弱酸類の添加により、混合ゲル状物中に溶解している二酸化塩素化合物水溶液から二酸化塩素ガスは発生する。
二酸化塩素化合物水溶液は亜塩素酸塩類の水溶液を主成分とする。アルカリ性のもとでは二酸化塩素ガス(ClO2)の放出が抑制されることから、安定化二酸化塩素水溶液とも称される。亜塩素酸塩類としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、亜塩素酸カルシウム、または亜塩素酸バリウム等が用いられる。比較的入手が容易であり、安価なため、亜塩素酸ナトリウムの使用が簡便である。二酸化塩素化合物水溶液の濃度は、使用期間、用途等に応じ適宜である。亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、亜塩素酸イオン濃度として、およそ5重量%ないし10重量%の濃度である。
増粘多糖類は、水への溶解時に粘性を示し、ゲル化する性質を持った水溶性の高分子物質(糖鎖化合物)である。増粘多糖類の多くは食品添加物として広く用いられることから安全性は高い。具体的には、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジュランガム、カードラン、メチルセルロース、アガロース(寒天)等が例示される。
例えば、カラギーナン、アガロース等の増粘多糖類を水に溶解する場合、加熱、加温しなければ多糖類を十分に溶解しゲル化物を得ることはできない。しかし、加熱時に亜塩素酸塩が分解して二酸化塩素ガスが放出されやすくなる。そのため、製造時に損失が生じることから、実際の使用時までの濃度の維持が難しくなる。このため、溶解に加熱を必要としない増粘多糖類として、キサンタンガム、グアーガムが好適である。そのうち、低濃度でありながら十分な粘性を呈する点を考慮して、請求項2の発明に規定するように、増粘多糖類としてキサンタンガムが用いられる。
室温あるいはそれ以下の液温の二酸化塩素化合物水溶液(亜塩素酸塩類の水溶液)に増粘多糖類はそのまま添加され、適度に混合されて混合ゲル状物となる。例えばキサンタンガムを用いる場合、その濃度は亜塩素酸塩希釈液に対して1重量%ないし8重量%に調整される。むろん、粘度調整のため、キサンタンガムとグアーガムを混合してもよい。
混合ゲル状物の気密を開放すると安定化二酸化塩素化合物の分解が進み、自然に二酸化塩素ガスは発生する。ガス発生量は自然拡散となるため、必ずしも所望の発生量を得ることはできなかった。そこで、混合ゲル状物に弱酸類を添加することによって、混合ゲル状物中の二酸化塩素化合物(例えば亜塩素酸ナトリウム:NaClO2)との酸化還元反応により二酸化塩素ガス(ClO2)の発生を増加させることが可能となる。
この反応から理解されるように、混合ゲル状物に対しては、理論上いかなる酸も使用可能である。しかし、塩酸等の酸は液体であり、濃度によっては劇物であるため、取り扱いは容易ではなく、一般に消費者が取り扱う場合に危険を伴う。この点を考慮して、弱酸類とした。弱酸類は水溶液中での電離度の小さい酸類であり、クエン酸、酢酸、コハク酸、アコニット酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸が列挙される。さらにペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸カリウム等の無機酸も用いられる。
前掲の図2の使用態様から把握されるように、弱酸類は液体であるよりも粉末(固体)である方が、商品の流通、保管、並びに使用時の取り扱いの利便性から都合が良い。そこで、請求項3の発明に規定するように、弱酸類の中でクエン酸が最適である。クエン酸は食品添加物として広汎に使用されていることから、安全性が高く、比較的安価なためである。
混合ゲル状物は、製品の使用までの保管、陳列等の間に空気中の二酸化炭素と反応し、pHは酸性側に移行しやすい。この場合、使用前に前記した安定化二酸化塩素化合物に対する酸化還元反応が生じ、実際の使用時に十分な二酸化塩素ガスが発生しないおそれがある。そこで、請求項4の発明に規定するように、保管中等のpHの低下を抑制するべく、混合ゲル状物には緩衝剤となるpH調整剤が添加される。
pH調整剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、メタケイ酸ソーダ等の使用が可能である。これらにおいて、取り扱いの容易さや安全性、アルカリ緩衝能力等を考慮して、炭酸ナトリウムが好ましい。
弱酸類とpH調整剤の量について、混合ゲル状物に含まれるpH調整剤の量が増えるほど、弱酸類の添加量を増やす必要がある。材料の種類、商品の保存期間、双方のバランス等を勘案すると、二酸化塩素化合物(亜塩素酸塩希釈液)の重量に対して弱酸類は2ないし8重量%であり、pH調整剤は1ないし6重量%とすることが妥当と考えられる。なお、弱酸類の量及びpH調整剤の量は、亜塩素酸塩希釈液における亜塩素酸イオンの濃度により適宜調整される。
これまでの説明にあるように、使用時に混合ゲル状物に弱酸類を添加することにより二酸化塩素ガスの発生量を高め、そして、予めpH調整剤を添加しておくことにより、使用前の二酸化塩素ガスの減少を抑制することができる。この設定においては、弱酸類を添加した時点のガス発生量が多くなりやすい。次に発明者は、弱酸類を添加した時点のガス発生量と、日数を経過した後のガス発生量の平坦化を試みた。
すなわち、請求項5の発明に規定し、図3に開示するように、混合ゲル状物10を主体とするガス放出層11の上部に、二酸化塩素化合物を含有せず増粘多糖類を含有したゲル化物15からなる緩衝層16が形成される。混合ゲル状物(ガス放出層)の説明は前述のとおりであるため、詳細を省略する。緩衝層としてガス放出層の上に積層されるゲル化物とは、水に、前出のキサンタンガムやグアーガム等の増粘多糖類を溶かした粘性物であり、その濃度は1重量%ないし8重量%に調整される。また、当該ゲル化物には炭酸ナトリウム等のpH調整剤も添加される。
クエン酸等の弱酸類はゲル化物からなる緩衝層に散布されると、同層のゲル化物内に溶解する。その後、弱酸類は緩衝層から混合ゲル状物のガス放出層に到達して反応が進み、混合ゲル状物から二酸化塩素ガスが生じる。しかし、二酸化塩素ガスは直上の緩衝層に浸透し、当該緩衝層を超えてはじめて二酸化塩素ガス発生容器1(図1、3参照)の外に拡散する。従って、弱酸類を添加した時点からの急激なガス発生は緩和される。そして、弱酸類と二酸化塩素化合物の反応速度を低下させ、混合ゲル状物の二酸化塩素化合物の消耗を減らしてガス発生の効果を持続させることができる。
[増粘多糖類の選択]
発明者は混合ゲル状物を調製するに際し、はじめに増粘多糖類の種類、濃度を調べた。二酸化塩素化合物の分解が少ない点から冷水(室温)に可溶な増粘多糖類として、市販のキサンタンガム4種類(A、B、C、及びD)、グアーガム3種類(A、B、及びC)を用いた。ガラスびんに水50mLを入れ、この中に表1の濃度(重量/体積%)に計量した各種の増粘多糖類を添加し、適当に混合して10分間放置し溶液の硬化を待った。
その後、増粘多糖類溶液入りのガラスびんを90°倒し、そのまま室温下で放置した。当初のびんにおける増粘多糖類溶液(ゲル体)の液面(界面)を基準の0°線とし、ゲル体が重力により流動する度合いを傾きとして表した。例えば、全く流動がない場合の傾き角度は0°であり、完全に流動した場合の傾き角度は90°である。それぞれ、倒してから1日後、2日後、4日後の傾き角度を測定した。表1の結果のとおりである。
Figure 2011201721
増粘多糖類のキサンタンガム、グアーガムは、同じ種類であっても銘柄によりゲル化に大きな差が生じた。グアーガムは濃度を高めた場合にゲル化に有効である。このことは使用量の増加と同義である。キサンタンガムはグアーガムと比較してより低濃度でゲル化に効果を上げる。価格や効果、製造時の作業性を勘案すると、増粘多糖類としてキサンタンガムが好ましいといえる。なお、増粘多糖類の水への溶解性を高めるため、少量のエタノールを用いた(以降においても同様である。)。
[pH調整剤の添加]
二酸化塩素化合物の反応を抑え、混合ゲル状物を使用するまでの保存期間を延ばすためには、pH調整剤を添加して混合ゲル状物を適度なアルカリ性に保つことが望ましい。そこで、どれほどの量の添加が有効であるかについて検証した。
100mLのビーカーに、25%亜塩素酸ナトリウム水溶液23mL、水(異なる添加量の炭酸ナトリウムを溶解)24mLを加え、キサンタンガムAを添加してゲル化し、試料1−1、試料1−2、試料1−3、試料1−4の混合ゲル状物を調製した。試料1−1は炭酸ナトリウムを含まず、試料1−2は亜塩素酸塩希釈液に対して1.0重量%、試料1−3は1.9重量%、試料1−4は5.5重量%とした。いずれの試料の増粘多糖類(キサンタンガムA)の濃度は亜塩素酸塩希釈液に対して3.7重量%である。
はじめに試料1−1(炭酸ナトリウム無添加)について常温で放置し、混合ゲル状物の臭気、pHを測定した。7日経過後、ゲル全体は黄色に変色し二酸化塩素臭を発した。pHは7.1であった。そこで、残りの試料については60℃に維持した湯煎にて加速試験とした。湯煎した試料については測定時まで口部をフィルムで覆い、ガス拡散を防いだ。
試料1−2(炭酸ナトリウム1.0重量%):60℃に加温後、9時間で褐色になり始め、12.5時間経過して二酸化塩素臭が生じ、15時間で臭気が大きくなった。このときのゲル状物のpHは7.0であった。
試料1−3(炭酸ナトリウム1.9重量%):60℃に加温後、21.5時間経過後も二酸化塩素臭は生じなかった。このときのゲル状物のpHは9.8であった。
試料1−4(炭酸ナトリウム5.5重量%):60℃に加温後、68.5時間経過後も二酸化塩素臭は生じなかった。このときのゲル状物のpHは10.2であった。
上記の結果を踏まえ二酸化塩素臭の放出の遅延に有効であるためには、pH調整剤が炭酸ナトリウムである場合、亜塩素酸塩希釈液に対して1.9ないし5.5重量%の配合が適切と考える。むろん、これよりも多くすることは可能である。しかし、他の成分との均衡を欠くため、好ましくない。
[弱酸類の添加]
二酸化塩素化合物(実施例においては亜塩素酸ナトリウム)から安定して二酸化塩素ガスを放出させるためには、混合ゲル状物をpH4ないし6の弱酸性域にすることが好ましい。この点を踏まえ、固体で取り扱いが容易であり、食品添加物として安全性が高く、安価なクエン酸を弱酸類の一例に用い、濃度を変えて評価した。
100mLのビーカーに、25%亜塩素酸ナトリウム水溶液23mL、水24mL(炭酸ナトリウムを亜塩素酸塩希釈液に対して3.7重量%含有に調製)を加え、亜塩素酸塩希釈液に対して3.7重量%に相当する量のキサンタンガムAを添加してゲル化し、試料2−1、試料2−2、試料2−3の混合ゲル状物を調製した。試料2−1のクエン酸添加量は亜塩素酸塩希釈液に対して2.0重量%、試料2−2は4.0重量%、試料2−3は7.7重量%とした。
はじめに試料2−1(クエン酸添加量2.0重量%)を40℃に維持した湯煎に静置し、18時間経過後にゲルの色を観察し、pHを測定した。試料2−1については、当初からの色合いの変化はなく、pH9.9であった。
試料2−2(クエン酸添加量4.0重量%)及び試料2−3(クエン酸添加量7.7重量%)はともに常温で5日間静置した。試料2−2では黄変は見られず、pH6.0〜9.0であった。試料2−3は黄褐色に変色しpH4.9〜5.8となった。3.7重量%濃度の炭酸ナトリウム存在下では、クエン酸は4.0重量%では不十分である。
そこで、100mLのビーカーに、25%亜塩素酸ナトリウム水溶液23mL、水24mL(炭酸ナトリウムを亜塩素酸塩希釈液に対して1.9重量%含有に調製)を加え、亜塩素酸塩希釈液に対して3.7重量%に相当する量のキサンタンガムAを添加してゲル化した。そして、試料2−4、試料2−5、試料2−6の3種類のクエン酸添加量で変化を観察した。試料2−4のクエン酸添加量は亜塩素酸塩希釈液に対して2.0重量%、試料2−5は4.0重量%、試料2−6は7.7重量%とした。
混合ゲル状物を入れてガス発生量を評価する際の容器として内径50mm、高さ70mmの容量100mLのビーカーを用いた。前記並びに後出の各試料とも当該ビーカーに入れて調製した。ゲル表面はビーカーの底から約25mmの高さである。発生する二酸化塩素ガス濃度の測定に当たり、株式会社ガステック社製の気体採集器(MODEL GV−100)に同社製の検知管No.8HもしくはNo.23Mを取り付けた。この検知管の先端をビーカーの最上部(口部と同じ高さ)で開口円の中心に合わせ、気体を採取した。
試料2−4、2−5、2−6とも、40℃に維持した湯煎に静置し、100時間後に外観を観察し、pH及び二酸化塩素ガス濃度を測定した。
試料2−4(クエン酸2.0重量%):混合ゲル状物は薄い黄色を呈した。pHは9.1、ガス濃度は0.5ppmであった。
試料2−5(クエン酸4.0重量%):混合ゲル状物は黄色を呈した。pHは7.4、ガス濃度は1.5ppmであった。
試料2−6(クエン酸7.7重量%):混合ゲル状物は黄色を呈した。pHは4.7、ガス濃度は1.8ppmであった。
pH調整剤の炭酸ナトリウムが1.9重量%の場合、弱酸類のクエン酸量は2.0重量%で効果を発揮し、さらに4.0重量%に増やすとより有効である。ただし、7.7重量%以上に増やしても発生量の大幅な増加は認められないと考える。
[発生ガス量の経時変化−1]
pH調整剤や弱酸類の添加により二酸化塩素ガスの発生を調節できることを確認した発明者は、さらにガス発生量の経時変化を測定した。前出の100mLのビーカーに、25%亜塩素酸ナトリウム溶液23mL、水24mL(炭酸ナトリウムを亜塩素酸塩希釈液に対して無配合もしくは1.9重量%含有に調製)を加え、亜塩素酸塩希釈液に対して3.7重量%に相当する量のキサンタンガムAを添加してゲル化した。そして、試料3−1、試料3−2、試料3−3の3種類のクエン酸添加量で変化を観察した。試料3−1のクエン酸添加量は亜塩素酸塩希釈液に対して2.0重量%、試料3−2は4.0重量%、試料3−3は7.7重量%とした。比較のために市販品の二酸化塩素ガス発生ゲル剤を対照例1とした。
試料3−1、3−2、3−3、及び対照例1について、フィルムを被せて40℃にて最長100時間湯煎した。測定のたびにフィルムを外して前出の気体採集器及びガス検知管により二酸化塩素ガスの濃度を測定した。試料の経時変化はクエン酸を投入してからの経過時間であり、表2のとおりである。
Figure 2011201721
各試料の経時変化より、おおよそ既存品の対照例1と同等あるいはそれ以上のガス発生量を示した。ただし、クエン酸投入直後、反応開始時のガス発生量が多くなることも明らかとなった。特にクエン酸量の多い試料3−3で顕著である。
[発生ガス量の経時変化−2]
次に実際の使用状況を想定し、室温下(常温)にてビーカーにフィルムを被せず開放したまま、放置して二酸化塩素ガス発生量の推移を調べた。試料は、前記の試料3−1、試料3−2、試料3−3の配合組成をそのままとし、比較のため対照例1も用いた。温度条件を40℃の湯煎から、室温下に変更し、クエン酸投入時(反応開始時)から一定時間毎に前記の気体採集器及びガス検知管により二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果は表3である。
Figure 2011201721
室温下の試験においても、各試作例は、おおよそ既存品の対照例1と同等あるいはそれ以上のガス発生量を示した。40℃加温時と同様に、クエン酸投入直後、反応開始時のガス発生量が多くなることも明らかとなった。特にクエン酸量の多い試料3−3で顕著である。
[ゲル化物からなる緩衝層の形成]
これまでの実験から、二酸化塩素ガス放出ゲル状物の使用に際し、二酸化塩素ガス濃度が反応開始時に極端に高くなることは、ガス濃度にばらつきを生じさせ、また、除菌効果以上に人体にとっても好ましくない。そこで、発明者は、反応初期の急激なガス発生を緩和し、かつ、ガス発生量を持続させる方法を模索した。具体的には、混合ゲル状物を主体とするガス放出層の上部に、二酸化塩素化合物を含有せず増粘多糖類を含有したゲル化物からなる緩衝層を形成した。
ゲル化物の緩衝層の組成は、炭酸ナトリウムを当該緩衝層のゲル化物重量当たり1.9重量%及び前記のキサンタンガムAを当該緩衝層のゲル化物体積当たり4%(w/v)とした。このゲル化物(緩衝層)を前出の試料3−2及び試料3−3に基づく組成の混合ゲル状物のガス放出層上側にそれぞれ重層した。緩衝層の量はいずれも10mL、厚さ5.0mmであった(試料4−1及び試料4−2)。室温下(常温)にてビーカーにフィルムを被せず開放したまま、放置して二酸化塩素ガス発生量の推移を調べた。結果は表4である。
Figure 2011201721
表3の試料3−2及び試料3−3と、表4の試料4−1及び試料4−2との比較から明らかであるように、クエン酸投入直後の弱酸類との反応に伴う急激なガス発生の抑制を確認することができた。併せて、10日後、20日後の時点においてもより高いガス発生量を維持している。この現象について、発明者は次のとおり推察する。すなわち、重層した緩衝層が混合ゲル状物のガス放出層の「ふた」となり、弱酸類(クエン酸)の浸透、拡散とともに、酸添加の反応により生じた二酸化塩素ガスが緩衝層を通過する際に時間を要することになるため、急激なガス発生の抑制、いわゆるガス拡散の遅延が生じたと類推する。同時に、反応が緩和されるため、二酸化塩素化合物の分解速度も緩やかになり、ガス発生の持続効果につながると考えることができる。従って、二酸化塩素ガス放出ゲル状物の長期使用における効果の持続に有効である。
本発明の二酸化塩素ガス放出ゲル状物は、二酸化塩素ガスを発生させて除菌,消臭等に供することができる。
1 二酸化塩素ガス発生容器
2 容器本体
3 蓋体
4 密封シール
5 通気穴
10 混合ゲル状物
11 ガス放出層
15 ゲル化物
16 緩衝層
20 弱酸類

Claims (5)

  1. 二酸化塩素化合物水溶液に増粘多糖類を混合してなる混合ゲル状物と、
    前記混合ゲル状物に二酸化塩素ガスを放出させる際に添加する弱酸類とを
    有することを特徴とする二酸化塩素ガス放出ゲル状物。
  2. 前記増粘多糖類がキサンタンガムである請求項1に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物。
  3. 前記弱酸類がクエン酸である請求項1又は2に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物。
  4. 前記混合ゲル状物にpH調整剤が添加されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物。
  5. 前記混合ゲル状物を主体とするガス放出層の上部に二酸化塩素化合物を添加せず前記増粘多糖類を含有したゲル化物の緩衝層を形成してなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化塩素ガス放出ゲル状物。
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